特許第6198726号(P6198726)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6198726非水電解液及びそれを用いたリチウム二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6198726
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】非水電解液及びそれを用いたリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0569 20100101AFI20170911BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20170911BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20170911BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20170911BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20170911BHJP
   H01M 10/0567 20100101ALI20170911BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20170911BHJP
【FI】
   H01M10/0569
   H01M4/505
   H01M4/525
   H01M4/58
   H01M10/052
   H01M10/0567
   H01M10/0568
【請求項の数】15
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-514810(P2014-514810)
(86)(22)【出願日】2012年6月8日
(65)【公表番号】特表2014-516203(P2014-516203A)
(43)【公表日】2014年7月7日
(86)【国際出願番号】KR2012004570
(87)【国際公開番号】WO2012169843
(87)【国際公開日】20121213
【審査請求日】2013年12月5日
【審判番号】不服2016-1372(P2016-1372/J1)
【審判請求日】2016年1月29日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0055197
(32)【優先日】2011年6月8日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2011-0055198
(32)【優先日】2011年6月8日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2012-0061584
(32)【優先日】2012年6月8日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109841
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 健史
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ソン−フン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ドゥ、キョン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ミン−ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、ミン−ジョン
【合議体】
【審判長】 池渕 立
【審判官】 宮本 純
【審判官】 小川 進
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−032301(JP,A)
【文献】 特開2001−357838(JP,A)
【文献】 特開2010−056076(JP,A)
【文献】 特開2009−301954(JP,A)
【文献】 特開2004−047131(JP,A)
【文献】 特開2004−014352(JP,A)
【文献】 特開2004−327445(JP,A)
【文献】 特開2004−134261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/ 05- 10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質塩及び有機溶媒を含むリチウム二次電池用非水電解液であって、
記化学式1で表される、分枝型アルキル基を有するエステル系化合物と、
前記有機溶媒としての環状カーボネートとを含んでなり、
前記分枝型アルキル基を有するエステル系化合物の含量が、前記有機溶媒及び前記分枝型アルキル基を有するエステル系化合物のトータル体積に対して50体積%乃至90体積%であり、
前記エステル系化合物が、前記非水電解液中における前記環状カーボネートの分解を抑制するものであり、
前記分枝型アルキル基を有するエステル系化合物が、イソブチルプロピオネート、イソアミルプロピオネート、イソブチルブチレート、エチル2‐メチルブチレート、エチルイソバレレート、エチルイソブチレート、メチル2‐メチルブチレート、メチルイソバレレート、メチルイソブチレート、プロピル2‐メチルブチレート、プロピルイソバレレート、及びプロピルイソブチレートからなる群より選択される1種以上であることを特徴とする、リチウム二次電池用非水電解液。
【化1】
〔化学式1において、
1及びR2はそれぞれ独立して置換または非置換された炭素数1乃至10のアルキル基であり、このとき、R1及びR2の少なくとも1つが置換または非置換された炭素数3乃至10の分枝型アルキル基である。〕
【請求項2】
前記電解質塩が、リチウム塩であることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池用非水電解液。
【請求項3】
前記リチウム塩の陰イオンが、F-、Cl-、Br-、I-、NO3-、N(CN)2-、BF4-、ClO4-、PF6-、(CF32PF4-、(CF33PF3-、(CF34PF2-、(CF35PF-、(CF36-、CF3SO3-、CF3CF2SO3-、(CF3SO22-、(FSO22-、CF3CF2(CF32CO-、(CF3SO22CH-、(SF53-、(CF3SO23-、CF3(CF27SO3-、CF3CO2-、CH3CO2-、SCN-、及び(CF3CF2SO22-からなる群より選択された一種又は二種以上の混合物であることを特徴とする、請求項2に記載のリチウム二次電池用非水電解液。
【請求項4】
前記有機溶媒が、線状カーボネートエーテル、エステル、及びアミドからなる群より選択される一種又は二種以上の混合物を含むことを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載のリチウム二次電池用非水電解液。
【請求項5】
前記エーテルが、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、及びエチルプロピルエーテルからなる群より選択される一種又は二種の混合物を含むことを特徴とする、請求項4に記載のリチウム二次電池用非水電解液。
【請求項6】
前記線状カーボネートが、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、及びエチルプロピルカーボネートからなる群より選択される一種又は二種の混合物を含むことを特徴とする、請求項4又は5に記載のリチウム二次電池用非水電解液。
【請求項7】
前記環状カーボネートが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2‐ブチレンカーボネート、2,3‐ブチレンカーボネート、1,2‐ペンチレンカーボネート、2,3‐ペンチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、及びこれらのハロゲン化物からなる群より選択される一種又は二種の混合物を含むことを特徴とする、請求項1〜6の何れか一項に記載のリチウム二次電池用非水電解液。
【請求項8】
前記環状カーボネートのハロゲン化物が、下記化学式2で表される化合物であることを特徴とする、請求項に記載のリチウム二次電池用非水電解液。
【化2】
〔前記化学式2において、
3、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素、または置換または非置換された炭素数1乃至10のアルキル基であり、このとき、R3、R4、R5、及びR6の少なくとも1つの水素はハロゲンに置換される。〕
【請求項9】
前記環状カーボネートのハロゲン化物が、フルオロエチレンカーボネートであることを特徴とする、請求項に記載のリチウム二次電池用非水電解液。
【請求項10】
前記非水電解液が、環状スルファイト、飽和スルトン、不飽和スルトン、及び非環状スルホンからなる群より選択される一種又は二種の混合物をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜9の何れか一項に記載のリチウム二次電池用非水電解液。
【請求項11】
リチウム二次電池であって、
正極と、負極と、及び前記正極と前記負極との間に介在したセパレーターとを備えた電極組立体と、並びに
前記電極組立体に注入された非水電解液とを備えてなり、
前記非水電解液が請求項1〜10の何れか一項に記載のリチウム二次電池用非水電解液である、リチウム二次電池。
【請求項12】
前記負極が、リチウム金属、炭素材、金属化合物、及びこれらの混合物を含む負極活物質層を備えることを特徴とする、請求項11に記載のリチウム二次電池。
【請求項13】
前記金属化合物が、Si、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Al、Ga、In、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、Mg、Sr、及びBaからなる群より選択された1種以上の金属元素を含む化合物またはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項12に記載のリチウム二次電池。
【請求項14】
前記正極が、リチウム含有酸化物を含む正極層を備えることを特徴とする、請求項11〜13の何れか一項に記載のリチウム二次電池。
【請求項15】
前記リチウム含有酸化物が、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn24、Li(NiaCobMnc)O2(0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LiNi1-yCoy2、LiCo1-yMny2、LiNi1-yMny2(0≦y<1)、Li(NiaCobMnc)O4(0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2-zNiz4、LiMn2-zCoz4(0<z<2)、LiCoPO4、及びLiFePO4からなる群より選択される何れか一種のリチウム含有遷移金属酸化物またはこれらの二種以上の混合物であることを特徴とする、請求項14に記載のリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分枝型アルキル基を有するエステル化合物を含むリチウム二次電池用非水電解液及びそれを用いたリチウム二次電池に関する。
【0002】
本出願は、2011年6月8日出願の韓国特許出願第10−2011−0055197号、第10−2011−0055198号、及び2012年6月8日出願の第10−2012−0061584号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
近年、エネルギー貯蔵技術に対する関心が高まりつつある。携帯電話、カムコーダー、及びノートパソコン、さらには電気自動車のエネルギーまで適用分野が拡がるとともに、このような電子機器の電源として用いられる電池の高エネルギー密度化に対する要求が高くなっている。リチウム二次電池はこのような要求に最も応えられ得る電池であって、現在それに対する研究が活発に行われている。
【0004】
現在使用されている二次電池のうち1990年代の初めに開発されたリチウム二次電池は、リチウムイオンを吸蔵及び放出できる炭素材からなる負極、リチウム含有酸化物からなる正極、及び混合有機溶媒にリチウム塩が適量溶解された非水電解液で構成されている。
【0005】
リチウム二次電池の平均放電電圧は約3.6〜3.7Vであって、他のアルカリ電池、ニッケル‐カドミウム電池などに比べて放電電圧が高いことが長所の一つである。このような高い駆動電圧が得られるためには、充放電電圧領域である0〜4.2Vで電気化学的に安定した電解液の組成が必要である。そのために、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状カーボネート化合物と、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの線状カーボネート化合物とが適切に混合された混合溶媒を電解液の溶媒として使用する。電解液の溶質であるリチウム塩としては、通常LiPF、LiBF、LiClOなどを使用し、これらは電池内でリチウムイオンの供給源として作用してリチウム電池が作動できるようにする。
【0006】
リチウム二次電池の初期充電時、リチウム金属酸化物などの正極活物質から放出されたリチウムイオンはグラファイトなどの負極活物質に移動し、負極活物質の層間に挿入される。このとき、リチウムは反応性が強いため、グラファイトなどの負極活物質の表面で電解液と負極活物質を構成する炭素とが反応してLiCO、LiO、LiOHなどの化合物を生成する。これら化合物はグラファイトなどの負極活物質の表面に一種のSEI(Solid Electrolyte Interface)層を形成する。
【0007】
SEI層はイオントンネルの役割を果たしてリチウムイオンのみを通過させる。SEI層はこのようなイオントンネルの効果として、電解液中でリチウムイオンとともに移動する分子量の大きい有機溶媒分子が負極活物質の層間に挿入されて負極構造を破壊することを防止する。つまり、電解液と負極活物質との接触を防止することで電解液の分解が発生せず、電解液中のリチウムイオンの量が可逆的に維持されて安定的な充放電が続けられる。
【0008】
しかし、上述したSEI層形成反応中に、カーボネート系溶媒の分解により発生するCO、CO、CH、Cなどの気体によって充電時に電池の厚さが膨張する問題が生じる。また、満充電状態で高温放置時、経時的に、増加した電気化学的エネルギーと熱エネルギーによってSEI層が徐々に崩壊し、露出した負極の表面と周囲の電解液とが反応する副反応が持続的に起きる。このとき、継続的な気体の発生によって電池の内圧が上昇し、その結果、角形電池及びパウチ電池の場合、電池の厚さが増加して携帯電話及びノートパソコンなどの機器で問題を引き起こす。すなわち、高温放置安全性に劣る。また、エチレンカーボネートを多量含む通常のリチウム二次電池は、SEI層が不安定であるため、上述した電池の内圧上昇の問題が一層目立つ。さらに、エチレンカーボネートは凝固点が37〜39℃と高く、室温で固体状態であるため、低温におけるイオン伝導度が低くて、多量のエチレンカーボネートを含む非水系溶媒を使用するリチウム電池は低温導電率に劣るという問題点がある。
【0009】
このような問題点を解決するため、カーボネート有機溶媒の溶媒成分の組成を多様に変化させるか、又は、特定添加剤を混合することで、SEI層形成反応の様相を変化させようとする研究が行われた。しかし、現在までは、電池性能の向上のために溶媒成分を変化させるか又は特定化合物を電解液に添加する場合、一部項目の性能は向上するものの、他の項目の性能は低下する場合が多いと知られている。
【0010】
したがって、高率充放電特性に優れながらも、サイクル寿命、低温放電特性、高温放電特性が全て良好なリチウム二次電池を提供できる非水電解液の組成を開発することが至急に求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、常温及び高温サイクルが改善されたリチウム二次電池用非水電解液及びそれを用いたリチウム二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を達成するため、本発明の一態様は、電解質塩及び有機溶媒を含むリチウム二次電池用非水電解液において、前記非水電解液が下記化学式1で表されるエステル系化合物をさらに含み、前記エステル系化合物の含量が前記有機溶媒及びエステル系化合物のトータル体積に対して50乃至(〜)90体積%であるリチウム二次電池用非水電解液を提供する。
【化1】
【0013】
化学式1において、R及びRはそれぞれ独立して置換または非置換された炭素数1乃至10のアルキル基であり、このとき、R及びRの少なくとも1つが置換または非置換された炭素数3乃至10の分枝型アルキル基である。
【0014】
本発明の他の態様は、正極、負極、及び非水電解液を備えるリチウム二次電池において、前記非水電解液が前記リチウム二次電池用非水電解液であるリチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、分枝型アルキル基エステル系化合物を含む非水電解液を備えるリチウム二次電池を使用することで、直鎖型アルキル基エステル系化合物のみを含む非水電解液を備えるリチウム二次電池に比べて、常温及び高温で数百回の充放電サイクルを繰り返しても電池容量の減少及び電池厚さの変化が格段に少なく、二次電池の寿命特性及び安定性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】混合溶媒で、エチレンカーボネート(EC)及びフルオロエチレンカーボネートに対するエステルの分率を変更しながら、混合溶媒のイオン伝導度を測定した結果を示したグラフである。
図2】実施例2−1、2−2、及び比較例2−1乃至2−3で製造されたリチウム二次電池の常温寿命特性を示したグラフである。
図3】実施例2−3、2−4、及び比較例2−4乃至2−6で製造されたリチウム二次電池の常温寿命特性を示したグラフである。
図4】実施例2−1、2−2、及び比較例2−1で製造されたリチウム二次電池の常温寿命特性を示したグラフである。
図5】実施例2−1、2−2、比較例2−1、及び比較例2−7で製造されたリチウム二次電池の高温寿命特性を示したグラフである。
図6】実施例2−5、2−6、比較例2−8、及び比較例2−9で製造されたリチウム二次電池の高温寿命特性を示したグラフである。
図7】実施例2−1、2−2、及び比較例2−1で製造されたリチウム二次電池の寿命特性及び厚さ変化を示したグラフである。
図8】実施例2−2、比較例2−10、及び比較例2−11で製造されたリチウム二次電池の寿命特性及び厚さ変化を示したグラフである。
図9】実施例4−1、4−2、及び比較例4−1で製造されたリチウム二次電池の寿命特性を示したグラフである。
図10】実施例4−3及び比較例4−2で製造されたリチウム二次電池の寿命特性を示したグラフである。
図11】実施例4−4、4−5、比較例4−3、及び比較例4−4で製造されたリチウム二次電池の寿命特性を示したグラフである。
図12】実施例4−4、比較例4−5、及び比較例4−6で製造されたリチウム二次電池の寿命特性を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を詳しく説明する。本明細書及び請求範囲に使用された用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0018】
本発明の一態様による電解質塩及び有機溶媒を含むリチウム二次電池用非水電解液は、下記化学式1で表されるエステル系化合物をさらに含み、前記エステル系化合物の含量が前記有機溶媒及びエステル系化合物のトータル体積に対して50乃至90体積%である。
【化2】
【0019】
化学式1において、R及びRはそれぞれ独立して置換または非置換された炭素数1乃至10のアルキル基であり、このとき、R及びRの少なくとも1つが置換または非置換された炭素数3乃至10の分枝型アルキル基である。
【0020】
前記非水電解液が注入された二次電池の充電及び放電サイクルが繰り返されるにつれて、負極も急激に収縮膨張するようになり、充電時に負極の膨張によりSEI層が崩壊すれば電解液の分解によって新たなSEI層が生成される。それにより電解質が徐々に枯渇し、その結果、電解液内に存在するリチウムイオンが消耗して、サイクルの進行とともに電池の容量が減少する。電解質の枯渇は、溶媒の中では主に環状カーボネートで起きる。例えば、寿命テストにおいて、寿命が急減した時点で電池を分解して電解液を分析して見れば、環状カーボネートとして使用したフルオロエチレンカーボネート(FEC)が全て消耗していることが分かる。
【0021】
一方、本発明の一態様による前記エステル系化合物は、置換または非置換された炭素数3乃至10の分枝型アルキル基を、エステル基の酸素及びカルボニル基の少なくとも1つと結合した状態で必ず有することで、直鎖型アルキル基のみを含むエステル系化合物に比べてラジカルを生成し易いという特性を有する。したがって、前記分枝型アルキル基を有するエステル系化合物は、環状カーボネートの代わりにラジカルを生成して電解液中の環状カーボネートの分解を抑制することで、電池の容量を長期間維持することができる。
【0022】
このとき、前記R及びRはそれぞれ独立して置換または非置換された炭素数1乃至8のアルキル基であり、このとき、R及びRの少なくとも1つは置換または非置換された炭素数3乃至8の分枝型アルキル基であり得る。また、前記R及びRはそれぞれ独立して置換または非置換された炭素数1乃至6のアルキル基であり、このとき、R及びRの少なくとも1つは、置換または非置換された炭素数3乃至8のイソアルキル基、置換または非置換された炭素数4乃至8のsec‐アルキル基、又は置換または非置換された炭素数4乃至8のtert‐アルキル基であり得る。
【0023】
具体的には、前記Rはメチル基、エチル基、またはプロピル基であり、前記Rはイソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、イソヘキシル基、sec‐ブチル基、sec‐ペンチル基、tert‐ブチル基、またはtert‐ペンチル基であり得る。また、前記Rはイソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、イソヘキシル基、sec‐ブチル基、sec‐ペンチル基、tert‐ブチル基、またはtert‐ペンチル基であり、前記Rはメチル基、エチル基、またはプロピル基であり得る。また、R及びRがそれぞれ独立してイソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、イソヘキシル基、sec‐ブチル基、sec‐ペンチル基、tert‐ブチル基、またはtert‐ペンチル基であり得る。
【0024】
前記エステル系化合物の非制限的な例としては、イソブチルプロピオネート、イソブチルブチレート、イソアミルプロピオネート、エチル2‐メチルブチレート、エチルイソバレレート、エチルイソブチレート、メチル2‐メチルブチレート、メチルイソバレレート、メチルイソブチレート、プロピル2‐メチルブチレート、プロピルイソバレレート、及びプロピルイソブチレートからなる群より選択される1種以上が挙げられる。
【0025】
前記エステル系化合物の含量は、非水溶媒及びエステル系化合物のトータル体積に対して50乃至90体積%、または60乃至80体積%であり得る。
【0026】
前記エステル系化合物の含量が上記の条件を満たす場合、イオン伝導度が高く、様々な電池性能を十分実現することができる。
【0027】
このようなエステル系化合物の含量範囲は、図1を参照しても導出することができる。すなわち、図1は、環状カーボネートとして主に使用されるエチレンカーボネート(EC)やフルオロエチレンカーボネートに対するエステルの分率を変更しながら、これら環状カーボネートとエステルとの混合溶媒のイオン伝導度を測定した結果を示したグラフである。このとき、電解質塩としてはLiPFを1M添加した。図1を参照すれば、エステルの分率が低過ぎる場合は混合溶媒の粘度が高く、エステルの分率が高過ぎる場合は電解質塩の溶解度と電解液の誘電率が低下するなどの問題が生じる。したがって、エステルの含量は50乃至90体積%、または60乃至80体積%であり得る。
【0028】
また、上述したように、化学式1においてR及びRは置換され得るが、具体的にR及びRのアルキル基に含まれている1つ以上の水素原子がハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基(‐NH、‐NH(R)、‐N(R’)(R”)、R’とR”とは相互独立して炭素数1乃至10のアルキル基)、炭素数1乃至12のアルキル基、炭素数1乃至12のハロゲン化されたアルキル基、炭素数2乃至12のアルケニル基、炭素数2乃至12のアルキニル基、炭素数6乃至12のアリール基に任意に置換され得る。
【0029】
本発明の一態様による非水電解液に含まれる電解質塩はリチウム塩である。前記リチウム塩としては、リチウム二次電池用電解液に通常使用されるものなどを制限なく使用することができる。例えば、前記リチウム塩の陰イオンとしては、F、Cl、Br、I、NO、N(CN)、BF、ClO、PF、(CFPF、(CFPF、(CFPF、(CFPF、(CF、CFSO、CFCFSO、(CFSO、(FSO、CFCF(CFCO、(CFSOCH、(SF、(CFSO、CF(CFSO、CFCO、CHCO、SCN、及び(CFCFSOからなる群より選択されたいずれか1つであり得る。
【0030】
上述した非水電解液に含まれる有機溶媒としては、リチウム二次電池用電解液に通常使用されるものなどを制限なく使用でき、例えば、エーテル、エステル、アミド、線状カーボネート、環状カーボネートなどをそれぞれ単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0031】
その中、代表的には、環状カーボネート、線状カーボネート、またはこれらの混合物であるカーボネート化合物を含むことができる。
【0032】
前記環状カーボネート化合物の具体的な例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、1,2‐ブチレンカーボネート、2,3‐ブチレンカーボネート、1,2‐ペンチレンカーボネート、2,3‐ペンチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、及びこれらのハロゲン化物からなる群より選択される一種又は二種の混合物が挙げられる。
【0033】
このとき、前記環状カーボネートのハロゲン化物は、下記化学式2で表される化合物であり得る。
【化3】
【0034】
化学式2において、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素、または置換または非置換された炭素数1乃至10のアルキル基であり、このときR、R、R、及びRの少なくとも1つの水素はハロゲンに置換される。このとき、ハロゲンの例としては塩素、フッ素などが挙げられる。
【0035】
前記環状カーボネートのハロゲン化物の例としては、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、1,2‐ジフルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、1,2‐ジクロロエチレンカーボネートなどが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0036】
また、前記線状カーボネート化合物の具体的な例としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート、及びエチルプロピルカーボネートからなる群より選択される一種又は二種の混合物などが代表的であるが、これらに限定されることはない。
【0037】
特に、前記カーボネート系有機溶媒のうち環状カーボネートであるエチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートは、高粘度の有機溶媒であって、誘電率が高いため、電解質内のリチウム塩を一層解離させ易く、このような環状カーボネートにジメチルカーボネート及びジエチルカーボネートのような低粘度、低誘電率の線状カーボネートを適当な比率で混合して使用すれば、より高い電気伝導率を有する電解液が得られる。
【0038】
また、前記有機溶媒のうちエーテルとしては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、及びエチルプロピルエーテルからなる群より選択される一種又は二種の混合物を使用することができるが、これらに限定されることはない。
【0039】
また、前記有機溶媒のうちエステルとしては、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、γ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトン、γ‐カプロラクトン、σ‐バレロラクトン、及びε‐カプロラクトンからなる群より選択される一種又は二種の混合物を使用することができるが、これらに限定されることはない。
【0040】
本発明の一態様によるリチウム二次電池用非水電解液は、従来周知のSEI層形成用添加剤を本発明の目的から逸脱しない範囲でさらに含むことができる。本発明で使用可能なSEI層形成用添加剤としては、環状スルファイト、飽和スルトン、不飽和スルトン、非環状スルホンなどをそれぞれ単独でまたは2種以上混合して使用することができるが、これらに限定されることはない。また、上述した環状カーボネートのうちビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートも電池の寿命向上のためのSEI層形成用添加剤として使用することができる。
【0041】
前記環状スルファイトとしては、エチレンスルファイト、メチルエチレンスルファイト、エチルエチレンスルファイト、4,5‐ジメチルエチレンスルファイト、4,5‐ジエチルエチレンスルファイト、プロピレンスルファイト、4,5‐ジメチルプロピレンスルファイト、4,5‐ジエチルプロピレンスルファイト、4,6‐ジメチルプロピレンスルファイト、4,6‐ジエチルプロピレンスルファイト、1,3‐ブチレングリコールスルファイトなどが、飽和スルトンとしては、1,3‐プロパンスルトン、1,4‐ブタンスルトンなどが、不飽和スルトンとしては、エテンスルトン、1,3‐プロペンスルトン、1,4‐ブテンスルトン、1‐メチル‐1,3‐プロペンスルトンなどが、非環状スルホンとしては、ジビニルスルホン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、メチルエチルスルホン、メチルビニルスルホンなどがそれぞれ挙げられる。
【0042】
前記SEI層形成用添加剤は、添加剤の具体的な種類によって適切な含量で含むことができ、例えば非水電解液100重量部対比0.01重量部乃至10重量部で含むことができる。
【0043】
前記非水電解液は、それ自体が液体電解質または高分子に含浸されたゲルポリマー電解質の形態でリチウム二次電池の電解質として使用され得る。
【0044】
本発明の一態様による非水電解液は、前記非水溶媒に前記電解質塩を混合し、上記の化学式1で表されるエステル系化合物をその含量が前記有機溶媒及びエステル系化合物のトータル体積に対して50乃至90体積%になるようにさらに添加し溶解させることで得られる。
【0045】
このとき、非水溶媒及び電解液に添加する化合物は、生産性を著しく低下させない範囲内で予め精製し、不純物が非常に少ないものを用いることができる。
【0046】
前記非水電解液には、例えば空気や二酸化炭素を含ませて、電解液の分解によるガス発生の抑制や、長期間のサイクル特性及び充電保存特性などの電池特性をさらに向上させることができる。
【0047】
高温における充放電特性向上の面で、非水電解液中に二酸化炭素を溶解させた電解液を用いることができる。二酸化炭素の溶解量は非水電解液の重量に対して0.001重量%以上、または0.05重量%以上、または0.2重量%以上であり得、非水電解液に二酸化炭素が飽和状態になるまで溶解させ得る。
【0048】
また、本発明の一態様によれば、正極、負極、及び前記正極と負極との間に介在したセパレーターからなる電極組立体、及び前記電極組立体に注入された非水電解液を備えるリチウム二次電池において、前記非水電解液は上述したリチウム二次電池用非水電解液であるリチウム二次電池が提供される。
【0049】
前記電極組立体をなす正極、負極、及びセパレーターとしては、リチウム二次電池の製造に通常使用されるものなどを全て使用することができる。
【0050】
前記正極は、正極活物質、導電材、及びバインダーを含む正極層が集電体の一面または両面に担持された構造を有する。
【0051】
前記正極活物質としては、リチウム含有遷移金属酸化物を使用することが望ましく、例えばLiCoO(0.5<x<1.3)、LiNiO(0.5<x<1.3)、LiMnO(0.5<x<1.3)、LiMn(0.5<x<1.3)、Li(NiCoMn)O(0.5<x<1.3、0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LiNi1−yCo(0.5<x<1.3、0<y<1)、LiCo1−yMn(0.5<x<1.3、0≦y<1)、LiNi1−yMn(0.5<x<1.3、0≦y<1)、Li(NiCoMn)O(0.5<x<1.3、0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2−zNi(0.5<x<1.3、0<z<2)、LiMn2−zCo(0.5<x<1.3、0<z<2)、LiCoPO(0.5<x<1.3)、及びLiFePO(0.5<x<1.3)からなる群より選択される一種又は二種の混合物を使用することができる。
【0052】
また、前記リチウム含有遷移金属酸化物は、アルミニウム(Al)などの金属や金属酸化物でコーティングされ得る。また、前記リチウム含有遷移金属酸化物(oxide)の外に、硫化物(sulfide)、セレン化物(selenide)、及びハロゲン化物(halide)なども使用され得る。
【0053】
前記導電材としては、電気化学素子で化学変化を起こさない電子伝導性物質であれば特に制限されない。一般に、カーボンブラック(carbon black)、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ、金属粉末、導電性金属酸化物、有機導電材などを使用でき、現在導電材として市販されている商品には、アセチレンブラック系列(Chevron Chemical Company製またはGulf Oil Company製など)、ケッチェンブラック(Ketjen Black)EC系列(Armak Company製)、バルカン(Vulcan)XC−72(Cabot Company製)、及びスーパーP(MMM社製)などがある。例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などが挙げられる。
【0054】
前記負極は、負極活物質及びバインダーを含む負極層が集電体の一面または両面に担持された構造を有する。
【0055】
前記負極活物質としては、通常リチウムイオンを吸蔵及び放出できる炭素材、リチウム金属、金属化合物、及びこれらの混合物を使用することができる。
【0056】
具体的に、前記炭素材としては、低結晶性炭素及び高結晶性炭素などを全て使用することができる。低結晶性炭素としては軟質炭素(soft carbon)及び硬質炭素(hard carbon)が代表的であり、高結晶性炭素としては天然黒鉛、キッシュ黒鉛(Kish graphite)、熱分解炭素(pyrolytic carbon)、液晶ピッチ系炭素繊維(mesophase pitch based carbon fiber)、メソカーボンマイクロビーズ(meso−carbon microbeads)、液晶ピッチ(Mesophase pitches)、及び石油または石炭系コークスなどの高温焼成炭素が代表的である。
【0057】
前記金属化合物としては、Si、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Al、Ga、In、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、Mg、Sr、Baなどの金属元素を1種以上含む化合物が挙げられる。これら金属化合物は、単体、合金、酸化物(SiO、TiO、SnOなど)、チッ化物、硫化物、ホウ化物、リチウムとの合金など、如何なる形態も使用できるが、単体、合金、酸化物、リチウムとの合金は高容量化され得る。中でも、Si、Ge及びSnから選択される1種以上の元素を含み得、Si及びSnから選択される1種以上の元素を含めば、電池をさらに高容量化することができる。
【0058】
前記負極活物質としては、金属化合物と炭素材との混合物を使用でき、このとき、金属化合物と炭素材との重量比は1:99乃至40:60、または3:97乃至33:67、または5:95乃至20:80であり得る。前記金属化合物と炭素材との重量比が上記の範囲を満たす場合、金属化合物を単独で使用することによる電気伝導性の低下及び体積の膨張による活物質の亀裂発生を最小化し、負極活物質の容量を改善して、このような金属化合物と炭素材との混合物を使用した電気化学素子に優れた電気化学的特性を与えることができる。
【0059】
前記正極及び負極に使用されるバインダーは、正極活物質及び負極活物質を集電体に保持させ、活物質同士の間を結び付く機能を有するものであって、通常使用されるバインダーが制限なく使用される。
【0060】
例えば、フッ化ビニリデン‐ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF‐co‐HFP)、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、スチレン‐ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などの多様な種類のバインダー高分子を使用することができる。
【0061】
前記正極及び負極に使用される集電体としては、伝導性が高く、前記活物質のスラリーが容易に付着できる金属であって、電池の電圧範囲で反応性のないものであれば、全て使用することができる。正極用集電体の非制限的な例としては、アルミニウム、ニッケル、またはこれらの組合せによって製造されるホイルなどが挙げられ、負極用集電体の非制限的な例としては、銅、金、ニッケル、または銅合金またはこれらの組合せによって製造されるホイルなどが挙げられる。また、前記集電体は、上記のような物質でなる基材を積層して使用することもできる。
【0062】
前記正極及び負極は、活物質、導電材、バインダー、高沸点溶剤を用いて混練して電極合剤にした後、該合剤を集電体の銅箔などに塗布し乾燥、加圧成形してから、真空下、50℃乃至250℃程度の温度で2時間ほど加熱処理することでそれぞれ製造することができる。
【0063】
また、前記正極の電極層の厚さ(集電体の片面当り)は、30乃至120um、または50乃至100umであり得、前記負極の電極層の厚さは1乃至100um、または3乃至70umであり得る。前記正極及び負極がこのような厚さ範囲を満たす場合、電極材料層における活物質の量が十分確保され、電池容量が低下することを防止でき、また、サイクル特性やレート特性を改善することができる。
【0064】
また、前記セパレーターとしては、従来セパレーターとして使用した通常の多孔性高分子フィルム、例えばエチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体、及びエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルムを単独でまたはこれらを積層して使用でき、または通常の多孔性不織布、例えば高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などでなる不織布を使用することができるが、これらに限定されることはない。
【0065】
本発明のリチウム二次電池は、その外形に制限がないが、缶を使用した円筒型、角形、パウチ型、またはコイン型などであり得る。
【実施例】
【0066】
以下、本発明を具体的な実施例を挙げて説明する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態に変形されることができ、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0067】
非水電解液の製造(1)
実施例1−1
フルオロエチレンカーボネート(FEC)とイソブチルプロピオネートとを20体積%:80体積%で混合し、そこにLiPFを1M濃度になるように溶解させて非水電解液を製造した。
【0068】
実施例1−2
イソブチルプロピオネートの代りにイソアミルプロピオネートを使用した点を除き、実施例1−1と同様の方法で非水電解液を製造した。
【0069】
実施例1−3
実施例1−1で製造された非水電解液100重量部に対してビニレンカーボネート3重量部をさらに添加して非水電解液を製造した。
【0070】
実施例1−4
実施例1−2で製造された非水電解液100重量部に対してビニレンカーボネート3重量部をさらに添加して非水電解液を製造した。
【0071】
実施例1−5
フルオロエチレンカーボネート(FEC)とイソブチルプロピオネートとを30体積%:70体積%で混合し、そこにフルオロエチレンカーボネート(FEC)及びイソブチルプロピオネートの総100重量部に対して1,3‐プロペン‐スルトン3重量部、1,3‐プロパンスルトン3重量部を添加し、LiPFを1M濃度になるように溶解させて非水電解液を製造した。
【0072】
実施例1−6
イソブチルプロピオネートの代りにイソアミルプロピオネートを使用した点を除き、実施例1−5と同様の方法で非水電解液を製造した。
【0073】
比較例1−1
イソブチルプロピオネートの代りにn‐ブチルプロピオネートを使用した点を除き、実施例1−1と同様の方法で非水電解液を製造した。
【0074】
比較例1−2
イソブチルプロピオネートの代りにn‐ペンチルプロピオネートを使用した点を除き、実施例1−1と同様の方法で非水電解液を製造した。
【0075】
比較例1−3
イソブチルプロピオネートの代りにn‐ヘキシルプロピオネートを使用した点を除き、実施例1−1と同様の方法で非水電解液を製造した。
【0076】
比較例1−4
比較例1−1で製造された非水電解液100重量部に対してビニレンカーボネート3重量部をさらに添加して非水電解液を製造した。
【0077】
比較例1−5
比較例1−2で製造された非水電解液100重量部に対してビニレンカーボネート3重量部をさらに添加して非水電解液を製造した。
【0078】
比較例1−6
比較例1−3で製造された非水電解液100重量部に対してビニレンカーボネート3重量部をさらに添加して非水電解液を製造した。
【0079】
比較例1−7
イソブチルプロピオネートの代りにエチルプロピオネートを使用した点を除き、実施例1−1と同様の方法で非水電解液を製造した。
【0080】
比較例1−8
イソブチルプロピオネートの代りにn‐ブチルプロピオネートを使用した点を除き、実施例1−5と同様の方法で非水電解液を製造した。
【0081】
比較例1−9
イソブチルプロピオネートの代りにエチルプロピオネートを使用した点を除き、実施例1−5と同様の方法で非水電解液を製造した。
【0082】
比較例1−10
フルオロエチレンカーボネート(FEC)とイソアミルプロピオネートとを60体積%:40体積%で混合し、そこにLiPFを1M濃度になるように溶解させて非水電解液を製造した。
【0083】
比較例1−11
フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、及びイソアミルプロピオネートを30体積%、30体積%、及び40体積%で混合し、そこにLiPFを1M濃度になるように溶解させて非水電解液を製造した。
【0084】
リチウム二次電池の製造(1)
実施例2−1
正極としてLiCoOを、負極としてSi酸化物(SiO 10重量%、グラファイト90重量%を混合し、非水系バインダーを使用して製造する)を使用して電極を製造した後、実施例1−1で製造された非水電解液を注入する通常の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0085】
実施例2−2
実施例1−2で製造された非水電解液を使用した点を除き、実施例2−1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0086】
実施例2−3
実施例1−3で製造された非水電解液を使用した点を除き、実施例2−1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0087】
実施例2−4
実施例1−4で製造された非水電解液を使用した点を除き、実施例2−1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0088】
実施例2−5
負極として人造黒鉛を使用し、電解液として実施例1−5で製造された電解液を使用した点を除き、実施例2−1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0089】
実施例2−6
負極として人造黒鉛を使用し、電解液として実施例1−6で製造された電解液を使用した点を除き、実施例2−1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0090】
比較例2−1
比較例1−1で製造された非水電解液を使用した点を除き、実施例2−1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0091】
比較例2−2
比較例1−2で製造された非水電解液を使用した点を除き、実施例2−1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0092】
比較例2−3
比較例1−3で製造された非水電解液を使用した点を除き、実施例2−1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0093】
比較例2−4
比較例1−4で製造された非水電解液を使用した点を除き、実施例2−1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0094】
比較例2−5
比較例1−5で製造された非水電解液を使用した点を除き、実施例2−1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0095】
比較例2−6
比較例1−6で製造された非水電解液を使用した点を除き、実施例2−1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0096】
比較例2−7
比較例1−7で製造された非水電解液を使用した点を除き、実施例2−1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0097】
比較例2−8
負極として人造黒鉛を使用し、電解液として比較例1−8で製造された電解液を使用した点を除き、比較例2−1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0098】
比較例2−9
負極として人造黒鉛を使用し、電解液として比較例1−9で製造された電解液を使用した点を除き、比較例2−1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0099】
比較例2−10
電解液として比較例1−10で製造された電解液を使用した点を除き、比較例2−1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0100】
比較例2−11
電解液として比較例1−11で製造された電解液を使用した点を除き、比較例2−1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0101】
リチウム二次電池の特性評価(1)
常温寿命特性(1)
実施例2−1、2−2、及び比較例2−1乃至2−3で製造されたリチウム二次電池(電池容量950mAh)を23℃で0.5Cの定電流で4.35Vになるまで充電し、その後4.35Vの定電圧で充電し、充電電流が50mAになれば充電を終了した。次いで、10分間放置した後、0.5Cの定電流で2.5Vになるまで放電した。このような充放電を500サイクル行った後、電池容量を測定し、図2に示した。ここで、Cはampere(A)で表される電池の充放電電流速度、C−rateを示すものであって、通常電池容量の比率として表される。すなわち、上記のように製造された電池の1Cは0.95Aの電流を意味する。
【0102】
常温寿命特性(2)
実施例2−3、2−4、及び比較例2−4乃至2−6で製造されたリチウム二次電池(電池容量950mAh)を23℃で0.5Cの定電流で4.35Vになるまで充電し、その後4.35Vの定電圧で充電し、充電電流が50mAになれば充電を終了した。次いで、10分間放置した後、0.5Cの定電流で2.5Vになるまで放電した。このような充放電を700サイクル行った後、電池容量を測定し、図3に示した。ここで、Cはampere(A)で表される電池の充放電電流速度、C−rateを示すものであって、通常電池容量の比率として表される。すなわち、上記のように製造された電池の1Cは0.95Aの電流を意味する。
【0103】
常温寿命特性(3)
実施例2−1、2−2、及び比較例2−1で製造されたリチウム二次電池(電池容量950mAh)を23℃で1.0Cの定電流で4.35Vになるまで充電し、その後4.35Vの定電圧で充電し、充電電流が50mAになれば充電を終了した。次いで、10分間放置した後、1.0Cの定電流で2.5Vになるまで放電した。このような充放電を400サイクル行った後、電池容量を測定し、図4に示した。ここで、Cはampere(A)で表される電池の充放電電流速度、C−rateを示すものであって、通常電池容量の比率として表される。すなわち、上記のように製造された電池の1Cは0.95Aの電流を意味する。
【0104】
高温寿命特性(1)
実施例2−1、2−2、比較例2−1、及び比較例2−7で製造されたリチウム二次電池(電池容量950mAh)を45℃で1.0Cの定電流で4.35Vになるまで充電し、その後4.35Vの定電圧で充電し、充電電流が50mAになれば充電を終了した。次いで、10分間放置した後、1.0Cの定電流で2.5Vになるまで放電した。このような充放電を400サイクル行った後、電池容量を測定し、図5に示した。ここで、Cはampere(A)で表される電池の充放電電流速度、C−rateを示すものであって、通常電池容量の比率として表される。すなわち、上記のように製造された電池の1Cは0.95Aの電流を意味する。
【0105】
高温寿命特性(2)
実施例2−5、2−6、比較例2−8、及び比較例2−9で製造されたリチウム二次電池(電池容量5.5mAh)を55℃で0.7Cの定電流で4.35Vになるまで充電し、その後4.35Vの定電圧で充電し、充電電流が0.275mAになれば充電を終了した。次いで、10分間放置した後、0.5Cの定電流で3.0Vになるまで放電した。このような充放電を200サイクル行った後、電池容量を測定し、図6に示した。ここで、Cはampere(A)で表される電池の充放電電流速度、C−rateを示すものであって、通常電池容量の比率として表される。すなわち、上記のように製造された電池の1Cは5.5mAの電流を意味する。
【0106】
寿命特性及び厚さの変化
実施例2−1、2−2、比較例2−1、2−10、及び2−11で製造されたリチウム二次電池(電池容量950mAh)を23℃で0.5Cの定電流で4.35Vになるまで充電し、その後4.35Vの定電圧で充電し、充電電流が50mAになれば充電を終了した。次いで、10分間放置した後、0.5Cの定電流で2.5Vになるまで放電した。このような充放電を500サイクル行った後、電池の容量及び厚さの変化を測定し、図7及び図8に示した。ここで、Cはampere(A)で表される電池の充放電電流速度、C−rateを示すものであって、通常電池容量の比率として表される。すなわち、上記のように製造された電池の1Cは0.95Aの電流を意味する。
【0107】
図7及び図8において、上段のグラフは電池の容量変化を、下段のグラフは厚さの変化を示す。
【0108】
図2乃至図8を参照すれば、イソブチルプロピオネート及びイソアミルプロピオネートのような分枝型アルキル基を有するエステル系化合物を前記有機溶媒及びエステル系化合物のトータル体積に対して50乃至90体積%で含む電解液を備えるリチウム二次電池が、直鎖型アルキル基を有するエステル系化合物を含むか、または、上記の含量範囲から外れる条件の電解液を備えるリチウム二次電池より、常温及び高温ともに優れた寿命特性を示し、厚さの変化も極めて小さいことが分かる。
【0109】
非水電解液の製造(2)
実施例3−1
フルオロエチレンカーボネート(FEC)とエチル2‐メチルブチレートとを20体積%:80体積%で混合し、そこにLiPFを1M濃度になるように溶解させて非水電解液を製造した。
【0110】
実施例3−2
エチル2‐メチルブチレートの代りにエチルイソバレレートを使用した点を除き、実施例3−1と同様の方法で非水電解液を製造した。
【0111】
実施例3−3
エチル2‐メチルブチレートの代りにエチルイソブチレートを使用した点を除き、実施例3−1と同様の方法で非水電解液を製造した。
【0112】
実施例3−4
フルオロエチレンカーボネート(FEC)とエチル2‐メチルブチレートとを30体積%:70体積%で混合し、そこにフルオロエチレンカーボネート(FEC)及びエチル2‐メチルブチレートの総100重量部に対して1,3‐プロペン‐スルトン3重量部、1,3‐プロパンスルトン3重量部を添加し、LiPFを1M濃度になるように溶解させて非水電解液を製造した。
【0113】
実施例3−5
エチル2‐メチルブチレートの代りにエチルイソバレレートを使用した点を除き、実施例3−4と同様の方法で非水電解液を製造した。
【0114】
比較例3−1
エチル2‐メチルブチレートの代りにエチルバレレートを使用した点を除き、実施例3−1と同様の方法で非水電解液を製造した。
【0115】
比較例3−2
エチル2‐メチルブチレートの代りにエチルブチレートを使用した点を除き、実施例3−1と同様の方法で非水電解液を製造した。
【0116】
比較例3−3
エチル2‐メチルブチレートの代りにエチルバレレートを使用した点を除き、実施例3−4と同様の方法で非水電解液を製造した。
【0117】
比較例3−4
エチル2‐メチルブチレートの代りにエチルブチレートを使用した点を除き、実施例3−4と同様の方法で非水電解液を製造した。
【0118】
比較例3−5
フルオロエチレンカーボネート(FEC)とエチル2‐メチルブチレートとを60体積%:40体積%で混合し、そこにLiPFを1M濃度になるように溶解させて非水電解液を製造した。
【0119】
比較例3−6
フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチル2‐メチルブチレートを30体積%、30体積%、及び40体積%で混合し、そこにLiPFを1M濃度になるように溶解させて非水電解液を製造した。
【0120】
リチウム二次電池の製造(2)
実施例4−1
正極としてLiCoOを、負極としてSi酸化物(SiO 10重量%、グラファイト90重量%を混合し、非水系バインダーを使用して製造する)を使用して電極を製造した後、実施例3−1で製造された非水電解液を注入する通常の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0121】
実施例4−2
実施例3−2で製造された非水電解液を使用した点を除き、実施例4−1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0122】
実施例4−3
実施例3−3で製造された非水電解液を使用した点を除き、実施例4−1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0123】
実施例4−4
負極として人造黒鉛を使用し、電解液として実施例3−4で製造された電解液を使用した点を除き、実施例4−1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0124】
実施例4−5
負極として人造黒鉛を使用し、電解液として実施例3−5で製造された電解液を使用した点を除き、実施例4−1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0125】
比較例4−1
比較例3−1で製造された非水電解液を使用した点を除き、実施例4−1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0126】
比較例4−2
比較例3−2で製造された非水電解液を使用した点を除き、実施例4−1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0127】
比較例4−3
負極として人造黒鉛を使用し、電解液として比較例3−3で製造された電解液を使用した点を除き、比較例4−1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0128】
比較例4−4
負極として人造黒鉛を使用し、電解液として比較例3−4で製造された電解液を使用した点を除き、比較例4−1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0129】
比較例4−5
電解液として比較例3−5で製造された電解液を使用した点を除き、比較例4−1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0130】
比較例4−6
電解液として比較例3−6で製造された電解液を使用した点を除き、比較例4−1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0131】
リチウム二次電池の特性評価(2)
寿命特性(1)
実施例4−1、4−2、及び比較例4−1で製造されたリチウム二次電池(電池容量60mAh)を23℃で0.5Cの定電流で4.35Vになるまで充電し、その後4.35Vの定電圧で充電し、充電電流が3.0mAになれば充電を終了した。次いで、10分間放置した後、0.5Cの定電流で2.5Vになるまで放電した。このような充放電を200サイクル行った後、電池容量を測定し、図9に示した。ここで、Cはampere(A)で表される電池の充放電電流速度、C−rateを示すものであって、通常電池容量の比率として表される。すなわち、上記のように製造された電池の1Cは0.06Aの電流を意味する。
【0132】
寿命特性(2)
実施例4−3及び比較例4−2で製造されたリチウム二次電池(電池容量950mAh)を23℃で0.5Cの定電流で4.35Vになるまで充電し、その後4.35Vの定電圧で充電し、充電電流が50mAになれば充電を終了した。次いで、10分間放置した後、0.5Cの定電流で2.5Vになるまで放電した。このような充放電を400サイクル行った後、電池容量を測定し、図10に示した。ここで、Cはampere(A)で表される電池の充放電電流速度、C−rateを示すものであって、通常電池容量の比率として表される。すなわち、上記のように製造された電池の1Cは0.95Aの電流を意味する。
【0133】
寿命特性(3)
実施例4−4、4−5、比較例4−3、及び比較例4−4で製造されたリチウム二次電池(電池容量5.5mAh)を55℃で0.7Cの定電流で4.35Vになるまで充電し、その後4.35Vの定電圧で充電し、充電電流が0.275mAになれば充電を終了した。次いで、10分間放置した後、0.5Cの定電流で3.0Vになるまで放電した。このような充放電を100サイクル行った後、放電容量を測定し、図11に示した。ここで、Cはampere(A)で表される電池の充放電電流速度、C−rateを示すものであって、通常電池容量の比率として表される。すなわち、上記のように製造された電池の1Cは5.5mAの電流を意味する。
【0134】
寿命特性(4)
実施例4−4、比較例4−5、及び比較例4−6で製造されたリチウム二次電池(電池容量5.5mAh)を55℃で0.7Cの定電流で4.35Vになるまで充電し、その後4.35Vの定電圧で充電し、充電電流が0.275mAになれば充電を終了した。次いで、10分間放置した後、0.5Cの定電流で3.0Vになるまで放電した。このような充放電を100サイクル行った後、放電容量を測定し、図12に示した。ここで、Cはampere(A)で表される電池の充放電電流速度、C−rateを示すものであって、通常電池容量の比率として表される。すなわち、上記のように製造された電池の1Cは5.5mAの電流を意味する。
【0135】
図9乃至図11を参照すれば、エチル2‐メチルブチレート、エチルイソバレレート、エチルイソブチレートのような分枝型アルキル基がカルボニル基に結合されたエステル系化合物を含む電解液を備えるリチウム二次電池が、直鎖型アルキル基がカルボニル基に結合されたエステル系化合物を含む電解液を備えるリチウム二次電池より、寿命が急減する時点が相当延ばされ、優れた寿命特性を示すことが分かる。
【0136】
また、図12を参照すれば、このような分枝型アルキル基の含有量が50乃至90体積%、特に60乃至80体積%のときが、このような含有量の範囲から外れる場合に比べて、リチウム二次電池の寿命特性が大きく改善されることが分かる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12