特許第6198749号(P6198749)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6198749バッテリーパックの充電及び放電電力レベルを決定するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6198749
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】バッテリーパックの充電及び放電電力レベルを決定するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20170911BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20170911BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20170911BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20170911BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20170911BHJP
   H01M 10/633 20140101ALI20170911BHJP
   H01M 10/635 20140101ALI20170911BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20170911BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20170911BHJP
   H02J 7/04 20060101ALI20170911BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   H01M10/48 301
   H01M2/10 S
   H01M10/44 P
   H01M10/613
   H01M10/625
   H01M10/633
   H01M10/635
   H01M10/647
   H01M10/6563
   H02J7/04 L
   H02J7/10 L
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-547107(P2014-547107)
(86)(22)【出願日】2012年12月14日
(65)【公表番号】特表2015-506073(P2015-506073A)
(43)【公表日】2015年2月26日
(86)【国際出願番号】KR2012010919
(87)【国際公開番号】WO2013089488
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2014年8月15日
【審判番号】不服2016-9820(P2016-9820/J1)
【審判請求日】2016年6月30日
(31)【優先権主張番号】13/327,103
(32)【優先日】2011年12月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】サティシュ・ケトカー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ジェイ・ガダウスキー
(72)【発明者】
【氏名】マイク・ニールソン
【合議体】
【審判長】 藤井 昇
【審判官】 矢島 伸一
【審判官】 中川 真一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−185504(JP,A)
【文献】 特開平9−289701(JP,A)
【文献】 特開平11−111349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10 , 10/42 - 10/667
H02J 7/00 - 7/12 , 7/34 - 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーパックの充電及び放電電力レベルを決定するシステムであって、
前記バッテリーパックの内部にバッテリーモジュールを保持する筐体を有し、前記バッテリーモジュールはハウジング及びハウジング内に位置した第1バッテリーセル、第2バッテリーセル、第3バッテリーセルを含み、前記第1バッテリーセルは前記ハウジングの端部と前記第2バッテリーセルとの間で前記ハウジングの端部に隣接して配置され、前記第2バッテリーセルは前記第1バッテリーセルと前記第3バッテリーセルとの間に配置され、
前記システムは、
前記第2バッテリーセルと前記第3バッテリーセルとの間に位置して、前記第2バッテリーセルの第1温度レベルを示す第1温度信号を出力するように構成された第1温度センサと、
前記筐体に流入する冷却媒体の第2温度レベルを示す第2温度信号を出力するように構成された第2温度センサと、
それぞれの前記第1及び第2温度信号に基づいてそれぞれの第1及び第2温度レベルに対応する第1及び第2温度値を決定し、第1及び第2温度値に基づいて温度相関値を決定し、前記第1温度値と前記温度相関値に基づいて前記ハウジングの端部に隣接して位置することで前記第1ないし第3バッテリーセルのうち最も低い温度レベルを有する前記第1バッテリーセルの温度レベルを示す第3温度値を決定し、前記第1温度センサにより直接温度レベルが測定されない前記第1バッテリーセルの前記第3温度値及び前記バッテリーパックの充電状態に基づいて前記バッテリーパックの所望充電電力レベル及び所望放電電力レベルを決定するように構成されたコンピュータとを含み、
前記第3バッテリーセルは、前記第1温度センサに隣接して位置し、前記第1乃至第3バッテリーセルは、それぞれ単数である
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記コンピュータが、前記所望充電電力レベルを示すメッセージを車両コントローラに伝送するように構成された
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コンピュータが、前記所望放電電力レベルを示すメッセージを車両コントローラに伝送するように構成された
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コンピュータが、前記第1温度値と前記第2温度値との間の差を示す差値を決定し、前記差値を使用してテーブルから前記温度相関値を選択するように構成された
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記コンピュータが、前記第1温度値を前記温度相関値に加えて前記第3温度値を決定するように構成された
ことを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2温度センサが、前記筐体の入口に隣接して位置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
バッテリーパックの充電及び放電電力レベルを決定する方法であって、
前記バッテリーパックの内部にバッテリーモジュールを保持する筐体を有し、前記バッテリーモジュールはハウジング及びハウジング内に位置した第1バッテリーセル、第2バッテリーセル、第3バッテリーセルを含み、前記第1バッテリーセルは前記ハウジングの端部と前記第2バッテリーセルとの間で前記ハウジングの端部に隣接して配置され、前記第2バッテリーセルは前記第1バッテリーセルと前記第3バッテリーセルとの間に配置され、
前記方法は、
前記第2バッテリーセルと前記第3バッテリーセルとの間に位置した第1温度センサを使用して前記第2バッテリーセルの第1温度レベルを示す第1温度信号を出力する段階と、
第2温度センサを使用して前記筐体に流入する冷却媒体の第2温度レベルを示す第2温度信号を出力する段階と、
コンピュータを用いてそれぞれの前記第1及び第2温度信号に基づいてそれぞれの第1及び第2温度レベルに対応する第1及び第2温度値を決定する段階と、
コンピュータを用いて第1及び第2温度値に基づいて温度相関値を決定する段階と、
コンピュータを用いて前記第1温度値と前記温度相関値に基づいて前記ハウジングの端部に隣接して位置することで前記第1ないし第3バッテリーセルのうち最も低い温度レベルを有する前記第1バッテリーセルの温度レベルを示す第3温度値を決定する段階と、
コンピュータを用いて前記第1温度センサにより直接温度レベルが測定されない前記第1バッテリーセルの前記第3温度値及び前記バッテリーパックの充電状態に基づいて前記バッテリーパックの所望充電電力レベルを決定する段階と、
コンピュータを用いて前記第1温度センサにより直接温度レベルが測定されない前記第1バッテリーセルの前記第3温度値及び前記バッテリーパックの充電状態に基づいて前記バッテリーパックの所望放電電力レベルを決定する段階とを含み、
前記第3バッテリーセルは、前記第1温度センサに隣接して位置し、前記第1乃至第3バッテリーセルは、それぞれ単数である
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記所望充電電力レベルを示すメッセージを車両コントローラに伝送する段階をさらに含む
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記所望放電電力レベルを示すメッセージを車両コントローラに伝送する段階をさらに含む
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第1温度値と前記第2温度値との間の差を示す差値を決定し、前記差値を使用してテーブルから前記温度相関値を選択する段階をさらに含む
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記第1温度値と前記温度相関値を足して前記第3温度値を決定する段階をさらに含む
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーパックの充電及び放電電力レベルを決定するシステム及び方法に関する。
【0002】
本出願は、2011年12月15日出願の米国特許出願第13/327,103に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
バッテリーパックは、冷却液を用いて冷却されるバッテリーモジュールを含む。本発明者らは、バッテリーパックの端部に位置した終端のバッテリーモジュールに含まれたバッテリーセルが他のバッテリーモジュールに含まれたバッテリーセルより温度が低いこと、バッテリーモジュールの中央部分に位置した温度センサがバッテリーモジュールの端部に位置したバッテリーセルの温度を正確に測定できないこと、さらに、端部に位置したバッテリーセルが求められる電力量を出力できない温度であっても、バッテリーパックシステムは中央部分に位置したバッテリーモジュールの温度に基づいて放電電力量を決定することを認識した。
【0004】
そこで、本発明者らは、バッテリーパックの充電及び放電電力レベルを判断する、向上したシステム及び方法が必要であることを認識した。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態によるバッテリーパックの充電及び放電電力レベルを決定するシステムが提供される。本発明によれば、バッテリーパックの内部にバッテリーモジュールを保持する筐体を有し、前記バッテリーモジュールはハウジング及びハウジング内に位置した第1バッテリーセル、第2バッテリーセル、第3バッテリーセルを含み、前記第1バッテリーセルは前記ハウジングの端部と第2バッテリーセルとの間で前記ハウジングの端部に隣接して配置され、第2バッテリーセルは前記第1バッテリーセルと第3バッテリーセルとの間に配置されるバッテリーパックの充電及び放電電力レベルを決定するシステムにおいて、前記第2バッテリーセルと第3バッテリーセルとの間に位置して、前記第2バッテリーセルの第1温度レベルを示す第1温度信号を出力するように構成された第1温度センサ;前記筐体に流入する冷却媒体の第2温度レベルを示す第2温度信号を出力するように構成された第2温度センサ;及びそれぞれの前記第1及び第2温度信号に基づいてそれぞれの第1及び第2温度レベルに対応する第1及び第2温度値を決定し、第1及び第2温度値に基づいて温度相関値を決定し、前記第1温度値と前記温度相関値に基づいて前記ハウジングの端部に隣接して位置した第1バッテリーセルの温度レベルを示す第3温度値を決定し、前記第3温度値に基づいて前記バッテリーパックの所望充電電力レベルを決定するように構成されたコンピュータ;を含む。
【0006】
他の実施形態によるバッテリーパックの充放電電力レベルを決定する方法が提供される。本発明によれば、バッテリーパックの内部にバッテリーモジュールを保持する筐体を有し、前記バッテリーモジュールはハウジング及びハウジング内に位置した第1バッテリーセル、第2バッテリーセル、第3バッテリーセルを含み、前記第1バッテリーセルは前記ハウジングの端部と第2バッテリーセルとの間で前記ハウジングの端部に隣接して配置され、第2バッテリーセルは前記第1バッテリーセルと第3バッテリーセルとの間に配置されるバッテリーパックの充電及び放電電力レベルを決定する方法において、前記第2バッテリーセルと第3バッテリーセルとの間に位置した第1温度センサを使用して前記第2バッテリーセルの第1温度レベルを示す第1温度信号を出力する段階;第2温度センサを使用して前記筐体に流入する冷却媒体の第2温度レベルを示す第2温度信号を出力する段階;コンピュータを用いてそれぞれの前記第1及び第2温度信号に基づいてそれぞれの第1及び第2温度レベルに対応する第1及び第2温度値を決定する段階;コンピュータを用いて第1及び第2温度値に基づいて温度相関値を決定する段階;コンピュータを用いて前記第1温度値と前記温度相関値に基づいて前記ハウジングの端部に隣接して位置した第1バッテリーセルの温度レベルを示す第3温度値を決定する段階;及びコンピュータを用いて前記第3温度値に基づいて前記バッテリーパックの所望充電電力レベルを決定する段階;を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態によるバッテリーパックの充電及び放電電力レベルを決定するシステムを示したブロック図である。
図2】バッテリーパックを示したブロック図である。
図3】冷却媒体と終端のバッテリーセルとの間の温度差値と、温度相関値との相関関係曲線を示したグラフである。
図4】終端のバッテリーセルの温度と前記バッテリーセルの充電状態(state of charge)との関係による充電電力レベル及び放電電力レベルを示したグラフである。
図5】本発明の他の実施形態によるバッテリーパックの充電及び放電電力レベルを決定する方法を示したフロー図である。
図6】本発明の他の実施形態によるバッテリーパックの充電及び放電電力レベルを決定する方法を示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1を参照すれば、車両10は、本発明の一実施形態によるバッテリーパックの充電及び放電電力レベルを判断するシステム20(以下、「システム」とする)を含む。前記車両10は、バッテリーパック22、車両コントローラ30、電力インバータ40及びモータ50を備えている。
【0009】
図1及び図2を参照すれば、前記バッテリーパック22は、バッテリーモジュール70、72、74、76、78、80、筐体90及びファン94を含み、前記バッテリーモジュール70〜80及びファン94は筐体90内に配置される。コンピュータ210の制御信号により前記ファン94がターンオンすれば、 前記バッテリーモジュール70〜80を冷却するために、前記ファン94は空気のような冷却媒体を前記筐体90の内部を通過するように移動させる。代案的な実施形態として、前記ファン94は、前記バッテリーモジュール70〜80を冷却するために、流体または冷却水のような冷却媒体が前記筐体90の内部を通過するように送り込むポンプ96に代替され得る。前記バッテリーモジュール70〜80は互いに類似した構造を有しているため、バッテリーモジュール70のみに対して以下詳細に説明する。図面の簡素化のため、前記バッテリーモジュール72、74、76、78、80に含まれたバッテリーセルは図示していない。
【0010】
前記バッテリーモジュール70は、ハウジング100及び前記ハウジング100内に配置されたバッテリーセル110、112、114、116、118、120、124、126、128を含む。一実施形態によれば、前記バッテリーセル110〜128はパウチ型リチウムイオンバッテリーセルである。勿論、代案的な実施形態として、他の形態のバッテリーセルが考慮され得る。
【0011】
前記システム20は、前記バッテリーパック22に所望放電電力レベル及び所望充電電力レベルを決定するように構成される。前記システム20は、温度センサ160、162、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184、電圧センサ200及びコンピュータ210を含む。詳細は後述するが、前記バッテリーセル110の温度は、前記バッテリーパック22の所望放電電力レベル及び所望充電電力レベルを決定するために用いられる。
【0012】
前記温度センサ160、162は、前記バッテリーモジュール70の中心領域に位置する。前記温度センサ160は、バッテリーセル114とバッテリーセル116との間に位置して、両側のバッテリーセル114、116の温度レベルを示す温度信号を生成し、該温度信号を前記コンピュータ210に送信する。前記温度センサ162は、バッテリーセル122とバッテリーセル124との間に位置して、両側のバッテリーセル122、124の温度レベルを示す温度信号を生成し、該温度信号を前記コンピュータ210に送信する。
【0013】
前記温度センサ164、166は、前記バッテリーモジュール72の中心領域に位置する。前記温度センサ164は、一対のバッテリーセル(図示せず)の間に位置して、両側のバッテリーセル(図示せず)の温度レベルを示す温度信号を生成し、該温度信号を前記コンピュータ210に送信する。前記温度センサ166は、他の一対のバッテリーセル(図示せず)の間に位置して、両側のバッテリーセル(図示せず)の温度レベルを示す温度信号を生成し、該温度信号を前記コンピュータ210に送信する。
【0014】
前記温度センサ168、170は、前記バッテリーモジュール74の中心領域に位置する。前記温度センサ168は、一対のバッテリーセル(図示せず)の間に位置して、両側のバッテリーセル(図示せず)の温度レベルを示す温度信号を生成し、該温度信号を前記コンピュータ210に送信する。前記温度センサ170は、他の一対のバッテリーセル(図示せず)の間に位置して、両側のバッテリーセル(図示せず)の温度レベルを示す温度信号を生成し、該温度信号を前記コンピュータ210に送信する。
【0015】
前記温度センサ172、174は、前記バッテリーモジュール76の中心領域に位置する。前記温度センサ172は、一対のバッテリーセル(図示せず)の間に位置して、両側のバッテリーセル(図示せず)の温度レベルを示す温度信号を生成し、該温度信号を前記コンピュータ210に送信する。前記温度センサ174は、他の一対のバッテリーセル(図示せず)の間に位置して、両側のバッテリーセル(図示せず)の温度レベルを示す温度信号を生成し、該温度信号を前記コンピュータ210に送信する。
【0016】
前記温度センサ176、178は、前記バッテリーモジュール78の中心領域に位置する。前記温度センサ176は、一対のバッテリーセル(図示せず)の間に位置して、両側のバッテリーセル(図示せず)の温度レベルを示す温度信号を生成し、該温度信号を前記コンピュータ210に送信する。前記温度センサ178は、他の一対のバッテリーセル(図示せず)の間に位置して、両側のバッテリーセル(図示せず)の温度レベルを示す温度信号を生成し、該温度信号を前記コンピュータ210に送信する。
【0017】
前記温度センサ180、182は、前記バッテリーモジュール80の中心領域に位置する。前記温度センサ180は、一対のバッテリーセル(図示せず)の間に位置して、両側のバッテリーセル(図示せず)の温度レベルを示す温度信号を生成し、該温度信号を前記コンピュータ210に送信する。前記温度センサ182は、他の一対のバッテリーセル(図示せず)の間に位置して、両側のバッテリーセル(図示せず)の温度レベルを示す温度信号を生成し、該温度信号を前記コンピュータ210に送信する。
【0018】
前記電圧センサ200は、前記バッテリーパック22が出力する電圧レベルを示す電圧信号を生成する。前記コンピュータ210は、前記電圧センサ200から前記電圧信号を受信し、前記電圧信号に基づいて前記バッテリーパック22の充電状態を計算するように構成される。
【0019】
前記コンピュータ210は、前記温度センサ160〜184、ファン94、電圧センサ200及び車両コントローラ30と連結されている。代案的な実施形態において、前記コンピュータ210は前記ファン94の代わりにポンプ96に連結され、ポンプ96の動作を制御する。前記コンピュータ210は、実行ソフトウェア命令及び後述される方法を行うための関連データを保存する内部メモリ装置212を含んでいる。代案的な実施形態として、前記コンピュータ210がプログラマブル論理制御装置またはフィールドプログラマブル論理アレーを含み得ることは勿論である。
【0020】
図1を参照すれば、前記車両コントローラ30は、所望充電電力レベル及び所望放電電力レベルを示す制御信号を前記コンピュータ210から受信するように構成される。前記車両コントローラ30がバッテリーパック22の充電を決定すれば、車両コントローラ30は電力インバータ40に制御信号を生成し、所望充電電力レベルでバッテリーパック22を充電するようにする。一方、前記車両コントローラ30がバッテリーパック22の放電を決定した場合、車両コントローラ30は、電力インバータ40に作動可能に連結されたモータ50を駆動するため、電力インバータ40に別の制御信号を生成し、所望放電電力レベルでバッテリーパック22を放電するようにする。
【0021】
図2及び図3を参照して、前記温度センサ160を使用してバッテリーセル110の推定温度レベルを決定する方法を簡単に説明する。図示されたように、前記温度センサ160はバッテリーセル110から離れているため、前記バッテリーセル110の温度レベルを直接測定することができない。本発明者らは、前記バッテリーセル110が前記バッテリーモジュール70の端部に位置し、前記バッテリーモジュール70〜80に含まれたバッテリーセルのうち最も低い温度レベルを有する可能性があるため、前記バッテリーセル110の温度レベルを決定することが望ましいことを認知した。また、本発明者らは、所望充電電力レベル及び所望放電電力レベルは最も低い温度レベルを有するバッテリーセル(例えば、バッテリーセル110の温度レベル)に基づくべきであることも認知した。そこで、本発明者らは、前記バッテリーセル110の温度レベルを推定する方法に着目した。
【0022】
グラフ250のY軸は、(i)温度センサ160から出力された温度信号によって決定された温度レベルと(ii)前記筐体内に流れる冷却媒体の温度レベル(温度センサ184によって出力された温度信号によって決定される)との差を示す温度差値を表す。グラフ250のX軸は、温度相関値を表す。曲線260は、Y軸の温度の差値とX軸の温度相関値の関係を表す。
【0023】
グラフ250を用いて前記バッテリーセル110の温度レベルを決定する例示的な方法を説明する。例えば、温度差値が25℃の場合、グラフ250によれば、関連する温度相関値は−8℃である。このとき、バッテリーセル114の温度レベルが20℃であれば、前記バッテリーセル110の温度レベルは20℃に−8℃を加えた12℃になる。したがって、本実施形態では前記バッテリーセル110の温度レベルが12℃と推定される。
【0024】
図4を参照して、所望充電電力レベル及び所望放電電力レベルを決定する方法を簡略に説明する。図示されたように、グラフ300のY軸は電力レベルを表し、X軸は温度レベルを表す。前記グラフ300には充電レベル曲線310、320及び放電レベル曲線330、340が示されている。
【0025】
充電レベル曲線310は、バッテリーパック22の最大充電状態の70%に該当する充電状態と関連している。充電レベル曲線320は、バッテリーパック22の最大充電状態の50%に該当する充電状態と関連している。前記充電レベル曲線310、320は、所望充電電力レベルを決定するために用いられる。例えば、もしバッテリーセル110の温度レベルが12℃であって、最大充電状態の70%に該当する充電状態であれば、所望充電電力レベルは値P1になる。
【0026】
放電レベル曲線330は、バッテリーパック22の最大充電状態の50%に該当する充電状態と関連している。放電レベル曲線340は、バッテリーパック22の最大充電状態の70%に該当する充電状態と関連している。前記放電レベル曲線330、340は、所望放電電力レベルを決定するために用いられる。例えば、もしバッテリーセル110の温度レベルが12℃であって、最大充電状態の50%に該当する充電状態であれば、所望放電電力レベルは値P2になる。
【0027】
図5及び図6のフロー図を参照して、本発明の他の実施形態により、所望充電電力レベル及び所望放電電力レベルを決定する方法を説明する。
【0028】
段階400において、前記バッテリーパック22はその内部にバッテリーモジュール70を保持する筐体90を含む。前記バッテリーモジュール70は、ハウジング100及び前記ハウジング100内に配置された第1ないし第3バッテリーセル110、114、116を含む。前記第1バッテリーセル110は、前記ハウジング100の端部と前記第2バッテリーセル114との間に位置し、前記ハウジング100の端部に隣接して位置する。前記第2バッテリーセル114は、前記第1バッテリーセル110と前記第3バッテリーセル116との間に位置する。
【0029】
段階402において、前記第1温度センサ160は、前記第2バッテリーセル114の第1温度レベルを示す第1温度信号を出力する。前記第1温度センサ160は、前記第2バッテリーセル114と第3バッテリーセル116との間に位置する。
段階404において、前記第2温度センサ184は、前記筐体90の内部に流れ込む冷却媒体の第2温度レベルを示す第2温度信号を出力する。
【0030】
段階406において、前記コンピュータ210は、それぞれの前記第1及び第2温度信号に基づいてそれぞれの第1及び第2温度レベルに対応する第1及び第2温度値を決定する。
【0031】
段階408において、前記コンピュータ210は、式「差値=第1温度値−第2温度値」を用いて第1温度値と第2温度値との差を示す差値を決定する。
【0032】
段階410において、前記コンピュータ210は、前記差値を用いてメモリ装置212に保存されている第1テーブルから温度相関値を検索する。特に、前記第1テーブルは前記グラフ250を示したソフトウェアテーブルである。
【0033】
段階412において、前記コンピュータ210は、式「第3温度値=第1温度値+温度相関値」を用いて前記ハウジング100の端部に隣接して位置した第1バッテリーセル110の温度レベルを示す第3温度値を決定する。
【0034】
段階420において、前記コンピュータ210は、前記第3温度値及び前記バッテリーパック22の充電状態に基づいてバッテリーパック22の所望充電電力レベルを決定する。特に、前記コンピュータ210は、前記第3温度値及び前記バッテリーパック22の充電状態に基づいて、バッテリーパック22の所望充電電力レベルを決定するためのグラフ300に該当するデータを有しているメモリ装置212に保存された第2テーブルにアクセスする。
段階422において、前記コンピュータ210は、前記所望充電電力レベルに関するメッセージを前記車両コントローラ30に伝送する。
【0035】
段階424において、前記コンピュータ210は、前記第3温度値及び前記バッテリーパック22の充電状態に基づいて、前記バッテリーパック22の所望放電電力レベルを決定する。特に、前記コンピュータ210は、前記第3温度値及び前記バッテリーパック22の充電状態に基づいて、バッテリーパック22の所望放電電力レベルを決定するためのグラフ300に該当するデータを有しているメモリ装置212に保存された第2テーブルにアクセスする。
段階426において、前記コンピュータ210は、前記所望放電電力レベルに関するメッセージを前記車両コントローラ30に伝送する。
【0036】
段階428において、前記車両コントローラ30は、前記バッテリーパック22が充電されるべきかを判断し、「はい」であれば段階430に移行し、「いいえ」の場合は段階432に移行する。
【0037】
段階430において、前記車両コントローラ30は、前記所望充電電力レベルで前記バッテリーパック22が充電されるように電力インバータを誘導する制御信号を出力する。段階430の後、本方法は終了する。
【0038】
段階428の判断値が「いいえ」であれば、本方法は段階432に移行する。段階432において、前記車両コントローラ30は、前記バッテリーパック22が放電されるべきかを判断し、「はい」であれば段階434に移行し、「いいえ」の場合は、本方法は終了する。
【0039】
段階434において、前記車両コントローラ30は、前記所望放電電力レベルで前記バッテリーパック22が放電されるように電力インバータを誘導する制御信号を出力する。段階434の後、本方法は終了する。
【0040】
本発明によるバッテリーパックの充電及び放電電力レベルを決定するシステム20及び方法は、他のシステム及び方法に比べて実質的な長所を提供する。特に、本発明によるシステム20及び方法は、バッテリーパックの端部にあるバッテリーセルの正確な温度レベルを決定するために相関値を用いて、端部にあるバッテリーセルの温度レベルに基づいて所望充電電力レベルまたは放電電力レベルを決定する。
【0041】
以上のように、上記実施の形態を参照して詳細に説明され図示されたが、本発明は、これに限定されるものでなく、このような本発明の基本的な技術的思想を逸脱しない範囲内で、当業界の通常の知識を有する者にとっては、他の多くの変形、変更、置換又は均等な構成が可能である。また、本発明は、添付の特許請求の範囲により解釈されるべきであることは言うまでもない。さらに、本発明の様々な実施の形態を説明したが、幾つかの実施形態のみを含んでもよいと理解されるべきである。したがって、本発明は、上述の説明によって限定されると解釈されてはならない。
【符号の説明】
【0042】
10 車両
20 システム
22 バッテリーパック
30 車両コントローラ
40 電力インバータ
50 モータ
70〜80 バッテリーモジュール
90 筐体
94 ファン
96 ポンプ
100 ハウジング
110〜128 バッテリーセル
160〜184 温度センサ
200 電圧センサ
210 コンピュータ
212 メモリ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6