特許第6199729号(P6199729)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6199729-ウエーハ収容カセット 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6199729
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】ウエーハ収容カセット
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20170911BHJP
【FI】
   H01L21/68 V
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-261166(P2013-261166)
(22)【出願日】2013年12月18日
(65)【公開番号】特開2015-119026(P2015-119026A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2016年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 さやか
(72)【発明者】
【氏名】台井 暁治
【審査官】 宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−101748(JP,U)
【文献】 特開平06−122487(JP,A)
【文献】 実開平06−007290(JP,U)
【文献】 特開平09−301484(JP,A)
【文献】 特表2005−521600(JP,A)
【文献】 実開昭56−134739(JP,U)
【文献】 実開平04−130434(JP,U)
【文献】 実公昭56−017301(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面にウエーハを支持する複数の支持溝が設けられた第1の側板と、内面にウエーハを支持する複数の支持溝が設けられ該第1の側板と所定の間隔をおいて平行に配設される第2の側板と、該第1の側板の下端と該第2の側板の下端を連結する底板と、該第1の側板の上端と該第2の側板の上端を連結する天板と、該天板の後端と該底板の後端との間に配設される背板と、該第1の側板と該第2の側板と該底板と該天板の前端側に設けられる出入開口と、を具備するウエーハ収容カセットであって、
該第1の側板の下端部と該底板の一方の側部および該第2の側板の下端部と該底板の他方の側部とはそれぞれ回動可能にヒンジ結合され、
該第1の側板の上端部と該天板の一方の側部および該第2の側板の上端部と該天板の他方の側部とはそれぞれ回動可能にヒンジ結合され、
該背板の上端部または下端部の一方は該天板の後端部または該底板の後端部の一方と回動可能にヒンジ結合され、
該背板の上端部または下端部の他方は該天板の後端部または該底板の後端部の他方と着脱可能に連結される、
ことを特徴とするウエーハ収容カセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等のウエーハを収容するためのウエーハ収容カセットに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイスを形成する。そして、半導体ウエーハをストリートに沿って切削装置やレーザー加工装置等の加工装置によってダイシングすることにより個々の半導体デバイスを製造している。
【0003】
切削装置やレーザー加工装置等の加工装置は、環状のフレームに装着された保護テープに貼着されたウエーハを保持する被加工物保持手段と、該被加工物保持手段に環状のフレームに装着された保護テープを介して保持されたウエーハに加工を施す加工手段と、被加工物保持手段と加工手段とを相対的に加工送り方向に加工送りする加工送り手段と、環状のフレームに保護テープを介して支持されたウエーハを複数収容するカセットが載置されるカセット載置台と、該カセット載置台に載置されたカセットに収容されている環状のフレームに保護テープを介して支持されたウエーハを搬出して被加工物保持手段に搬送する搬送手段を具備している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、環状のフレームに保護テープを介して支持されたウエーハを複数収容するカセットは、所定の間隔をおいて平行に配設された第1の側壁および第2の側壁の内面にそれぞれ複数の支持溝が対向して設けられており、互いに対向する支持溝に保護テープを介してウエーハを支持する環状のフレームの両側部を挿入し、支持溝を形成する底面に環状のフレームの側部を載置することによりウエーハを収容する(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−77362号公報
【特許文献2】特開平9−27943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、半導体デバイス製造における生産性を向上させるために、ウエーハの径が450mm、600mmと大口径化の傾向があり、このためウエーハを収容するカセットも大きくなり保管場所に苦慮するという問題がある。
特に、切削装置やレーザー加工装置においては、ウエーハは環状のフレームに装着された保護テープに貼着して支持されることから、カセットは更に大きくなり保管場所の問題は深刻となる。
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、ウエーハを収容しないときは折り畳むことができるウエーハ収容カセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、内面にウエーハを支持する複数の支持溝が設けられた第1の側板と、内面にウエーハを支持する複数の支持溝が設けられ該第1の側板と所定の間隔をおいて平行に配設される第2の側板と、該第1の側板の下端と該第2の側板の下端を連結する底板と、該第1の側板の上端と該第2の側板の上端を連結する天板と、該天板の後端と該底板の後端との間に配設される背板と、該第1の側板と該第2の側板と該底板と該天板の前端側に設けられる出入開口と、を具備するウエーハ収容カセットであって、
該第1の側板の下端部と該底板の一方の側部および該第2の側板の下端部と該底板の他方の側部とはそれぞれ回動可能にヒンジ結合され、
該第1の側板の上端部と該天板の一方の側部および該第2の側板の上端部と該天板の他方の側部とはそれぞれ回動可能にヒンジ結合され、
該背板の上端部または下端部の一方は該天板の後端部または該底板の後端部の一方と回動可能にヒンジ結合され、
該背板の上端部または下端部の他方は該天板の後端部または該底板の後端部の他方と着脱可能に連結される、
ことを特徴とするウエーハ収容カセットが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるウエーハ収容カセットは、内面にウエーハを支持する複数の支持溝が設けられた第1の側板と、内面にウエーハを支持する複数の支持溝が設けられ第1の側板と所定の間隔をおいて平行に配設される第2の側板と、第1の側板の下端と第2の側板の下端を連結する底板と、第1の側板の上端と第2の側板の上端を連結する天板と、天板の後端と底板の後端との間に配設される背板と、第1の側板と該第2の側板と底板と天板の前端側に設けられる出入開口とを具備し、第1の側板の下端部と底板の一方の側部および第2の側板の下端部と底板の他方の側部とはそれぞれ回動可能にヒンジ結合され、第1の側板の上端部と天板の一方の側部および第2の側板の上端部と天板の他方の側部とはそれぞれ回動可能にヒンジ結合され、背板の上端部または下端部の一方は天板の後端部または底板の後端部の一方と回動可能にヒンジ結合され、背板の上端部または下端部の他方は天板の後端部または底板の後端部の他方と着脱可能に連結されるので、組み立てられたウエーハ収容カセットを保管する際には、背板と天板または底板との連結を解除し、第2の側板側または第1の側板側から第1の側板側または第2の側板側に全体を倒すことにより、各部材を折り畳むことができる。このようにして折り畳まれたウエーハ収容カセットは、全体の高さが第1の側板と、第2の側板と、底板と、天板の厚みの総和程度となるため、保管スペースを小さくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に従って構成されたウエーハ収容カセットの組み立てた状態の斜視図。
図2図1に示すウエーハ収容カセットを折り畳んだ状態の正面図。
図3図1に示すウエーハ収容カセットの構成部材を分解して示す斜視図。
図4図1に示すウエーハ収容カセットを構成する背板と天板との連結状態を示す要部側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に従って構成されたウエーハ収容カセットの好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1には本発明に従って構成されたウエーハ収容カセットの組み立てた状態の斜視図が示されており、図2には図1に示すウエーハ収容カセットを折り畳んだ状態の正面図が示されており、図3には図1に示すウエーハ収容カセットの構成部材を分解して示す斜視図が示されている。図示の実施形態におけるウエーハ収容カセットは、図1に示す組み立てた状態において全体として直方体形状であり、図1に示す組み立てた状態において所定の間隔をおいて平行に配設される第1の側板2および第2の側板3と、該第1の側板2の下端と第2の側板3の下端を連結する底板4と、第1の側板2の上端と第2の側板3の上端を連結する天板5と、底板4の後端と天板5の後端との間に配設される背板6(図3参照)とを具備している。このようにウエーハ収容カセットを構成する第1の側板2と第2の側板3と底板4と天板5の前端側には、図1に示すように環状の支持フレームFに装着された保護テープTに貼着されたウエーハWを出し入れするための出入開口7が設けられている。
【0013】
ウエーハ収容カセットを構成する第1の側板2と第2の側板3は矩形状に形成され、その内面にはそれぞれ環状のフレームFの側部を収容するための前後方向に平行に延びる複数の支持溝21と31が対向して設けられている。第1の側板2および第2の側板3の下端中央部には、図3に示すようにそれぞれ連結凹部22および32が形成されている。このように下端中央部に連結凹部22および32が形成された第1の側板2および第2の側板3の下端部には、連結凹部22および32の両側にそれぞれ連結支持部23、24および33、34が設けられている。このようにして第1の側板2および第2の側板3の下端部にそれぞれ設けられた連結支持部23、24および33、34には、それぞれ連結ピン挿入穴231、241および331、341が形成されている。また、第1の側板2および第2の側板3の上端中央部には、それぞれ連結凹部25および35が形成されている。このように上端中央部に連結凹部25および35が形成された第1の側板2および第2の側板3の上端部には、連結凹部25および35の両側にそれぞれ連結支持部26、27および36、37が設けられている。このようにして第1の側板2および第2の側板3の上端部にそれぞれ設けられた連結支持部26、27および36、37には、それぞれ連結ピン挿入穴261、271および361、371が形成されている。
【0014】
上記底板4は矩形状に形成され、図3に示すように一方の側部(第1の側板2と対応する側部)における中央部には、第1の側板2の下端中央部に形成された連結凹部22に嵌合する連結凸部41が上方に突出して設けられている。この連結凸部41には、連結ピン挿入穴411が形成されている。また、底板4の他方側部(第2の側板3と対応する側部)には、全長に渡って上方に突出する支持部42が設けられている。この支持部42における中央部には、第2の側板3の下端中央部に形成された連結凹部32に嵌合する連結凸部43が上方に突出して設けられている。この連結凸部43には、連結ピン挿入穴431が形成されている。また、底板4の後端部(背板6と対応する端部)の中央部には、所定の間隔(底板4の横幅に対応する間隔)を持って一対の連結支持部44、45が上方に突出して設けられている。この連結支持部44、45には、それぞれ連結ピン挿入穴441および451が形成されている。このように形成された底板4の連結凸部41に第1の側板2の下端中央部に設けられた連結凹部22を嵌合し、連結凸部41に形成された連結ピン挿入穴411および第1の側板2に設けられた連結支持部23、24に形成された連結ピン挿入穴231、241に連結ピン81を嵌挿することにより、第1の側板2に設けられた連結支持部23、24と底板4に設けられた連結凸部41は回動可能にヒンジ結合される。また、底板4の連結凸部43に第2の側板3の下端中央部に設けられた連結凹部32を嵌合し、連結凸部43に形成された連結ピン挿入穴431および第2の側板3に設けられた連結支持部33、34に形成された連結ピン挿入穴331、341に連結ピン82を嵌挿することにより、第2の側板3に設けられた連結支持部33、34と底板4に設けられた連結凸部43は回動可能にヒンジ結合される。
【0015】
上記天板5は上記底板4に対応した矩形状に形成され、図3に示すように一方の側部(第1の側板2と対応する側部)には、全長に渡って下方に突出する支持部51が設けられている。この支持部51における中央部には、第1の側板2の上端中央部に形成された連結凹部25に嵌合する連結凸部52が下方に突出して設けられている。この連結凸部52には、連結ピン挿入穴521が形成されている。また、天板5の他方の側部(第2の側板3と対応する側部)における中央部には、第2の側板3の上端中央部に形成された連結凹部35に嵌合する連結凸部53が下方に突出して設けられている。この連結凸部53には、連結ピン挿入穴531が形成されている。また、天板5の後端には、図4に示すように内側(図4において右側)に突出して形成された係合凸部54が設けられている。また、天板5の上面中央部には、所定の間隔を持って一対の連結支持部55、56が上方に突出して設けられている。この連結支持部55、56には、それぞれ連結ピン挿入穴が形成されている。この一対の連結支持部55、56間に把持部材57に配設される。把持部材57の両端部にはそれぞれ形成された連結ピン挿入穴が設けられており、この連結ピン挿入穴と上記連結支持部55、56に設けられた連結ピン挿入穴にそれぞれ連結ピン571、572を嵌挿することによって、把持部材57は一対の連結支持部55、56に回動可能に支持される。このように形成された天板5の連結凸部52を第1の側板2の上端中央部に設けられた連結凹部25を嵌合し、連結凸部52に形成された連結ピン挿入穴521および第1の側板2に設けられた連結支持部26、27に形成された連結ピン挿入穴261、271に連結ピン83を嵌挿することにより、第1の側板2に設けられた連結支持部26、27と天板5に設けられた連結凸部52は回動可能にヒンジ結合される。また、天板5の連結凸部53を第2の側板3の上端中央部に設けられた連結凹部35を嵌合し、連結凸部53に形成された連結ピン挿入穴531および第2の側板3に設けられた連結支持部36、37に形成された連結ピン挿入穴361、371に連結ピン84を嵌挿することにより、第2の側板3に設けられた連結支持部36、37と天板5に設けられた連結凸部53は回動可能にヒンジ結合される。
【0016】
上記背板6は、図3に示すように下端部に連結ピン挿入穴61を備えているとともに、上端部に上記天板5の後端に設けられた係合凸部54と着脱可能に係合する係合凹部62を備えている。このように形成された背板6は、下端部を底板4の後端部に配設された一対の連結支持部44、45間に位置付け、下端部に形成された連結ピン挿入穴61および一対の連結支持部44、45に形成された連結ピン挿入穴441、451に連結ピン85を嵌挿することにより、一対の連結支持部44、45に回動可能にヒンジ結合される。そして、背板6を連結ピン85を中心として上方に回動し、上端部に設けられた係合凹部62を天板5の後端に設けられた係合凸部54に着脱可能に係合することにより、図1に示すようにウエーハ収容カセットを組み立てることができる。そして、出入開口7を通して環状の支持フレームFに装着された保護テープTに貼着されたウエーハWを出し入れすることができる。
【0017】
上述したように組み立てられたウエーハ収容カセットを保管する際には、背板6を連結ピン85を中心として係合凹部62が天板5の後端に設けられた係合凸部54との係合を解除する方向に回動するとともに、第2の側板3側から第1の側板2側に全体を倒すことにより、図2に示すように各部材を折り畳むことができる。このようにして折り畳まれたウエーハ収容カセットは、全体の高さが第1の側板2と、第2の側板3と、底板4と、天板5の厚みの総和程度となるため、保管スペースを小さくすることが可能となる。
【0018】
なお、上述した実施形態においては、背板6は下端部を底板4にヒンジ結合し上端部を天板5に着脱可能に連結した例を示したが、背板6は上端部を天板5にヒンジ結合し下端部を底板4に着脱可能に連結するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0019】
2:第1の側板
21:支持溝
3:第2の側板
31:支持溝
4:底板
5:天板
6:背板
7:出入開口
81、82、83、84、85:連結ピン
F:環状の支持フレーム
T:保護テープ
W:ウエーハ
図1
図2
図3
図4