(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、ノートパソコンやスマートフォンなどをはじめとする携帯性に優れた高性能な無線端末の普及により、企業や公共スペースだけではなく一般家庭でもIEEE802.11標準規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)が広く使用されるようになっている。
IEEE802.11標準規格の無線LANには、2.4GHz帯を用いるIEEE802.11bやIEEE802.11g規格に準拠したものや、5GHz帯を用いるIEEE802.11a規格に準拠したものがある。
【0003】
無線LANの最大伝送速度は、直接拡散方式であるDSSS(Direct Sequence Spread Spectrum)を用いるIEEE802.11b規格の場合は11Mbpsである。
また、直交周波数分割多重(OFDM;Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式によるIEEE802.11a規格やIEEE802.11g規格などでの最大伝送速度は54Mbpsである。
ただし、上記の最大伝送速度は物理レイヤ上での速度であり、実際にはMAC(Medium Access Control)レイヤでの伝送効率が50〜70%程度であるため、実際のスループットの上限値はIEEE802.11b規格では5Mbps程度、IEEE802.11a規格やIEEE802.11g規格では30Mbps程度である。
【0004】
一方、有線LANでは、Ethernet(登録商標)における100Base−Tインタフェースが普及しており、さらに、各家庭でも光ファイバを用いたFTTH(Fiber to the home)による100Mbpsの高速回線が普及している。このために、無線LANにおいても更なる伝送速度の高速化が求められている。
【0005】
そこで、2009年に標準化が完了したIEEE802.11n規格では、これまで20MHzで固定であったチャネル帯域幅を最大で40MHzにまで拡大するとともに、空間多重送信技術(MIMO:Multiple Input Multiple Output)技術が導入された(例えば、非特許文献1参照)。
IEEE802.11n規格で規定されているすべての機能を適用して送受信を行った場合、物理レイヤでは最大で600Mbpsの通信速度を実現することが可能になる。
【0006】
また、現在において標準化が進められているIEEE802.11acでは、チャネル帯域幅を80MHz(最大では160MHz)にまで拡大することが検討されている。IEEE802.11acでは、空間分割多元接続(SDMA:Space Division Multiple Access)を適用したマルチユーザMIMO(MU(Multi-User)−MIMO)の導入が検討されている(例えば、非特許文献2参照)。
IEEE802.11ac規格で規定されているすべての機能を適用して送受信を行った場合に、物理レイヤでは最大で約6.8Gbpsの通信速度を実現することが可能になる。
【0007】
特に最近においては、マルチユーザMIMOが、伝送速度の高速化や大容量化の技術として注目されている。
マルチユーザMIMOは、例えばアクセスポイント(アクセスポイント(Access Point;AP)などの基地局装置がN本のアンテナ素子から同一周波数かつ同一タイミングで異なる独立な信号を、複数の端末装置に対して送信する。この際、複数の端末装置が備える1以上のアンテナ素子全体を巨大な受信アレイとみなして送信制御が行われる。これにより、下り方向(基地局から端末への通信方向)のスループットの向上が図られる。
【0008】
マルチユーザMIMOにおいては、ZF(Zero forcing;ゼロフォーシング)法や、MMSE(Minimum mean square error;最小2乗誤差)法などが知られている。
上記のZF法やMMSE法では、送信側の基地局装置において、自装置が備えるアンテナ素子と各端末装置が備えるアンテナ素子との間の伝搬チャネルの特性を示すチャネル状態情報(CSI:Channel State Information)を得て、得られたチャネル状態情報に基づいて送信ウェイトを算出する。
具体的に、マルチユーザMIMOにおいては、基地局装置からの信号の送信に先立って、予め端末装置側でチャネル状態情報(伝達関数)が推定され、推定されたチャネル状態情報が基地局装置に通知される。基地局装置は、通知されたチャネル状態情報に基づいて送信ウェイトを算出し、算出した送信ウェイトにより各端末装置に送信すべき信号を同時に送信する。
【0009】
あるいは、マルチユーザMIMOにおいて、基地局装置と端末装置との間でTDD(Time Division Duplex;時分割複信)を利用して通信を行っているような場合には、以下のような方式によっても信号を伝送可能である。
つまり、基地局装置は、端末装置の各々から送信された既知信号を利用して上り方向のリンクチャネル状態情報を推定し、推定したチャネル状態情報を予め測定しておいたキャリブレーションの値を利用して補正する。基地局装置は、補正後のチャネル状態情報を利用して送信ウェイトを算出し、算出した送信ウェイトにより各端末装置に対して信号を送信する(例えば、非特許文献3参照)。
【0010】
なお、マルチユーザMIMOだけではなく、シングルユーザMIMO(SU(Single User)−MIMO)においても、E−SDM(Eigen-value Space Division Multiplexing)などにより、ビームフォーミングによる送信を行うことができる。このように、シングルユーザMIMOによりビームフォーミングを行う場合にも、マルチユーザMIMOの場合と同様に、端末装置側で推定したチャネル状態情報が基地局装置へ通知される。そして、基地局装置は、通知されたチャネル状態情報を利用して送信ウェイトを算出し、算出された送信ウェイトにより信号を送信する。
【0011】
ここで、無線LANによる通信では、基地局装置の設置位置に応じた基地局装置と端末装置間の距離や、基地局装置及び端末装置の周囲における障害物等の材質、形状などの周囲環境などによってスループットが大きく変化する。
特に、前述のように、シングルユーザMIMOやマルチユーザMIMOなどのMIMOによる通信では、送信側がビームフォーミングを行うにあたり、送信側がチャネル状態情報を取得して送信ウェイトを算出し、算出した送信ウェイトを利用してビームフォーミングによる送信を行う。
この場合、送信ウェイトの算出に利用したチャネル状態情報を推定するタイミングと、算出された送信ウェイトにより送信を行うタイミングとの間にはタイムラグが存在する。このために、伝搬チャネルの時変動が大きいほど、送信に用いる送信ウェイトが現在のチャネルの伝搬状態と乖離し、スループットを低下させる。即ち、チャネル状態情報に基づいて算出した送信ウェイトを利用してビームフォーミングにより送信を行う場合には、伝搬チャネルの時変動がスループットに大きく影響を与える。
【0012】
このため、無線LANの基地局装置を設置するうえでは、スループットの向上の観点から他の無線LAN対応機器とのスループットを考慮してシステム設計を行うことが好ましい。ただし、現状においては、無線LANの普及に伴って無線LAN対応機器も多様化していることから、それぞれの無線LAN対応機器に対応したシステム設計を行うことは非常に難しい。
このようなことから、無線LANシステムにおいては、スループットを測定することが重要になる。一例として、基地局装置側が測定したスループットに基づいて、MIMOによる通信におけるビームフォーミングを制御することによりスループットを改善可能になる。
【0013】
スループットの測定手法として、例えばプローブ要求信号を利用してフレームエラーレートを測定し、測定したフレームエラーレートをスループットに換算するという手法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1実施形態>
[通信システムの全体構成例]
図1は、本実施形態における通信システムの全体構成例を示している。同図に示す通信システムは、無線LAN(Local Area Network)に対応する。
同図に示す通信システムは、1つのアクセスポイント100と、アクセスポイント100の通信範囲内に位置するL(Lは2以上の自然数)個の端末装置200−1〜200−Lを備える。なお、以降において、端末装置200−1〜200−Lについて特に区別する必要の無い場合には端末装置200と記載する。
【0029】
アクセスポイント100(基地局装置の一例)は、自己の通信範囲内に位置する端末装置200と通信を実行する。
また、端末装置200(スループット測定装置の一例)は、スループットの測定のためにアクセスポイント100と通信を実行する。
【0030】
本実施形態におけるアクセスポイント100と端末装置200は、MIMO(マルチユーザMIMOまたはシングルユーザMIMO)による通信に対応する。ただし、以降においては、説明を分かりやすくするために、アクセスポイント100と端末装置200が、ZF法もしくはMMSE法に従ったマルチユーザMIMOに対応する場合を例に挙げて説明する。
【0031】
マルチユーザMIMOに対応するために、アクセスポイント100は、図示するように、複数によるN(Nは2以上の自然数)本のアンテナ素子(以下、単にアンテナと称する)101−1〜101−Nを備える。なお、以降の説明にあたり、アンテナ101−1〜101−Nについて特に区別しない場合には、アンテナ101と記載する。
【0032】
また、端末装置200−1〜200−Lは、それぞれ、複数によるM(1)個〜M(L)個のアンテナ201−1〜201−M(1)、201−1〜201−M(2)・・・201−1〜201−M(L)を備える。なお、以降の説明においてアンテナ201−1〜201−M(1)・・・201−1〜201−M(L)について特に区別しない場合には、アンテナ201と記載する。また、同図においては、各端末装置200が複数のアンテナ201を備えた例を示しているが、端末装置200としては1以上のアンテナ201を備えていればよい。
【0033】
ここで、アンテナ101の本数Nと、端末装置200−1〜200−Lごとのアンテナ201の本数M(1)・・・M(L)はそれぞれが同じである必要はない。また、端末装置200−1〜200−Lの間においても、アンテナ201の本数M(1)・・・M(L)については同じである必要はない。
【0034】
マルチユーザMIMOのもとで、端末装置200は、それぞれ、アクセスポイント100との伝搬経路であるチャネルの伝搬特性(伝達関数)を表すチャネル状態情報を推定し、推定したチャネル状態情報をアクセスポイント100に通知する。
アクセスポイント100は、端末装置200のそれぞれから通知されたチャネル状態情報を利用して、アンテナ101ごとに対応する送信ウェイトを算出する。アクセスポイント100は、算出した送信ウェイトによりアンテナ201のそれぞれから送信すべき信号についての重み付けを行う。そして、アクセスポイント100は、端末装置200のそれぞれに送信すべき信号の電波を合成し、アンテナ101のそれぞれから送出させる。このように、アクセスポイント100からはビームフォーミングにより信号が送信される。
そして、上記のようにアクセスポイント100が信号を送信することにより、端末装置200では、受信された電波により得られる信号のうちから自己宛の信号のみを効率的に抽出して復元することができる。
【0035】
[端末装置の構成例]
図2は、第1実施形態の端末装置200の構成例を示している。同図に示す端末装置200は、
図1に示した端末装置200−1〜200−Lのうちのいずれかである。
図2に示す端末装置200は、前述のようにマルチユーザMIMOに対応して複数のM本のアンテナ201−1〜200−Mを備える。アンテナ201−1〜200−Mは、それぞれ、アクセスポイント100から送出された電波を受信する。
【0036】
また、端末装置200は、送受信部202、受信ACK数カウント部203、送信パケット数カウント部204、エラーレート算出部205、チャネル情報取得部206、パケット生成部207、送信レート制御部208及びスループット測定部209を備える。
【0037】
送受信部202は、アクセスポイント100との通信に対応する処理を実行する。つまり、送受信部202は、アクセスポイント100との無線接続を確立する。送受信部202は、アクセスポイント100に対して送信すべき送信信号を生成し、生成した送信信号をアンテナ201−1〜200−Mから電波として送信させる。この際において、送受信部202は、例えばビームフォーミングのために、アンテナ201−1〜200−Mごとに対応する送信信号に対して送信ウェイトに応じた重み付けを行う。
また、送受信部202は、スループットの測定にあたり、所定の送信レートによってパケット(測定信号の一例)をアクセスポイント100に送信し、送信した測定信号に応答してアクセスポイント100から送信されたACK(応答信号の一例)を受信する。
また、送受信部202は、アクセスポイント100から受信した信号の復調を実行する。
【0038】
端末装置200は信号をパケット単位で送信する。アクセスポイント100は端末装置200に対してパケットの受信ごとに応答して肯定応答とも呼ばれるACK(応答信号の一例)が送信される。
受信ACK数カウント部203は、アクセスポイント100から受信したACKの数(受信ACK数)をカウントする。具体的に、受信ACK数カウント部203は、アンテナ201により受信されたACKが送受信部202にて復調されるごとに、ACKが受信されたものとしてACKの数をカウントアップする。そして、受信ACK数カウント部203は、パケット送信期間に対応してカウントした受信ACK数をエラーレート算出部205に出力する。ここでのパケット送信期間は、予め定められた一定数のパケットの送信を端末装置200が開始してから終了するまでの期間である。
【0039】
送信パケット数カウント部204は、送受信部202がアクセスポイント100に送信したパケット(送信信号の一例)の数(送信パケット数)をカウントする。送信パケット数カウント部204は、パケット送信期間において送信したパケットをカウント対象としてカウントを行う。また、パケットは、例えば送信後において一定時間以内にACKが受信されない場合には、所定の制限回数まで再送される。送信パケット数カウント部204は、再送されたパケットもカウント対象に含めてカウントを行う。送信パケット数カウント部204は、カウントした送信パケット数をエラーレート算出部205に出力する。
【0040】
エラーレート算出部205は、送受信部202が送信した送信パケット数と受信ACK数カウント部203がカウントした受信ACK数とに基づいてエラーレートを算出する。 本実施形態におけるエラーレート算出部205は、エラーレートとしてフレーム単位を対象とするフレームエラーレートを算出する。
【0041】
チャネル情報取得部206は、受信したACKを利用してチャネルの伝搬経路の特性に関連する情報(チャネル情報)を取得する。ここでのチャネル情報は、チャネル状態情報、信号電力対雑音電力比(SNR;Signal-to:Noise power ratio)、チャネル状態変化情報などである。
【0042】
具体的に、チャネル情報取得部206は、アクセスポイント100から送信され、送受信部202にて受信された信号(ACKも含む)を利用してチャネル推定を行い、推定結果としてのチャネル状態情報を取得する。チャネル状態情報は、例えばチャネルの伝搬特性を示す。
また、チャネル情報取得部206は、取得したチャネル状態情報を利用して信号電力対雑音電力比を推定する。
【0043】
また、チャネル情報取得部206は、時間経過に応じたチャネルの状態の変化を示すチャネル状態変化情報として、チャネル変動量またはチャネル推定誤差量を算出する。
チャネル変動量は、例えば時間経過に応じたチャネル利得の変化状態を示す。
チャネル推定誤差量は、時間経過に応じたチャネル推定情報との誤差を示す。
【0044】
ここで、チャネル変動量の算出にあたっては2つの異なる方式がある。ここでは、一方の方式を方式Aとし、他方の方式を方式Bとする。
チャネル情報取得部206は、方式Aによるチャネル変動量ρ
A(k,t,t+Δ)を以下の式1により求めることができる。
【0046】
上記の式1において、H
m,n(k,t)は、サブキャリア(チャネル)k、時刻tのもとでのn(1≦n≦N)番目のアンテナ101とm(1≦m≦M)番目のアンテナ201との間のチャネル利得を示す。上記の式1によるチャネル変動量ρ
A(k,t,t+Δ)は、サブキャリアkについての時刻tから時刻t+Δまでの期間Δにおけるチャネル利得の変動量を示す。また、式1において右辺の分子におけるアスタリスクは、複素共役であることを示す。
【0047】
また、チャネル情報取得部206は、方式Bによるチャネル変動量ρ
B(k,t,t+Δ)を以下の式1により求めることができる。
【0049】
なお、上記の式1、式2では、アクセスポイント100が備えるN本のアンテナ101の全てと、端末装置200が備えるM本のアンテナの全てを用いてチャネル変動量が算出されている。
しかし、必ずしも全てのアンテナ101、201が用いられる必要はない。チャネル情報取得部206は、例えば任意の数のアンテナ101、201を選択し、選択したアンテナ101、201の組み合わせを用いてチャネル変動量を算出してもよい。あるいは、チャネル情報取得部206は、例えばSNRが高い順に従って所定数のアンテナ101、201を選択するようにしてもよい。
また、チャネル情報取得部206は、アクセスポイント100のアンテナ101についてのみ1本とする、あるいは逆に、端末装置200のアンテナ201についてのみ1本としたうえでチャネル変動量を算出することも可能である。
また、上記の式1、式2では、全てのサブキャリアごとに対応してチャネル変動量が算出されている。しかし、チャネル情報取得部206は、例えば一部のサブキャリアのチャネル変動量を算出してもよい。一部のサブキャリアを選択してチャネル変動量を算出する場合には、SNRの高いサブキャリアが優先的に選択されてもよい。あるいは、一定間隔ごとのサブキャリアが選択されてもよい。さらには、ランダムにサブキャリアが選択されてもよい。
【0050】
また、チャネル情報取得部206は、期間Δが経過するごとに測定したチャネル利得をU(Uは1以上の整数)組取得し、取得したU組ごとに対応する複数のチャネル変動量ρ
A(k,t,t+Δ)もしくはρ
B(k,t,t+Δ)を求め、求めたチャネル変動量ρ
A(k,t,t+Δ)もしくはρ
B(k,t,t+Δ)を平均化して得られる平均チャネル変動量を最終的なチャネル変動量としてもよい。
平均チャネル変動量は、以下の式3によって求められる。式3においては、平均チャネル変動量について、ρ
A(k,t,t+Δ)もしくはρ
B(k,t,t+Δ)におけるρにオーバーラインを付すことによって示している。
【0052】
次に、チャネル情報取得部206がチャネル推定誤差量を算出する場合について説明する。チャネル情報取得部206は、以下の式4により、サブキャリアkについての時刻tから時刻t+Δまでの期間Δにおけるチャネル推定誤差量Z(k,t,t+Δ)を求めることができる。
【0054】
なお、式4については、以下の式5が成立する。
【0056】
式5において、H(k,t)、W(k,t)、eは、それぞれ、チャネル行列(チャネル推定情報)、送信ウェイト行列、送信パイロットベクトルである。以下のように、チャネル行列H(k,t)は式6により表され、送信ウェイト行列W(k,t)は式7により表され、送信パイロットベクトルeは式8により表される。
【0058】
ただし、式8の送信パイロットベクトルeはM×1のベクトルであり、
e[H
n,m(k,t)]=1
である。
【0059】
なお、先の式4では、アクセスポイント100が備えるN本のアンテナ101の全てと、端末装置200が備えるM本のアンテナの全てを用いてチャネル推定誤差量が算出されている。
しかし、必ずしも全てのアンテナ101、201が用いられる必要はない。チャネル情報取得部206は、例えば任意の数のアンテナ101、201を選択し、選択したアンテナ101、201の組み合わせを用いてチャネル推定誤差量を算出してもよい。あるいは、チャネル情報取得部206は、例えばSNRが高い順に従って所定数のアンテナ101、201を選択するようにしてもよい。
また、チャネル情報取得部206は、アクセスポイント100のアンテナ101についてのみ1本とする、あるいは逆に、端末装置200のアンテナ201についてのみ1本としたうえでチャネル推定誤差量を算出することも可能である。
また、上記の式1、式2では、全てのサブキャリアごとに対応してチャネル推定誤差量が算出されている。しかし、チャネル情報取得部206は、例えば一部のサブキャリアのチャネル推定誤差量を算出してもよい。一部のサブキャリアを選択してチャネル推定誤差量を算出する場合には、SNRの高いサブキャリアが優先的に選択されてもよい。あるいは、一定間隔ごとのサブキャリアが選択されてもよい。さらには、ランダムにサブキャリアが選択されてもよい。
【0060】
また、チャネル情報取得部206は、期間Δが経過するごとに測定したチャネル利得をU(Uは1以上の整数)組取得し、取得したU組ごとに対応する複数のチャネル推定誤差量Z(k,t,t+Δ)を求め、求めたチャネル推定誤差量Z(k,t,t+Δ)を平均化して得られる平均チャネル推定誤差量を最終的なチャネル推定誤差量としてもよい。
平均チャネル推定誤差量は、以下の式9によって求められる。式9においては、平均チャネル推定誤差量について、Z(k,t,t+Δ)におけるZにオーバーラインを付すことによって示している。
【0062】
また、式7における送信ウェイト行列W(k,t)は、ZF法あるいはMMSE法に基づくものが用いられてもよい。ZF法に基づく送信ウェイト行列W(k,t)は、以下の式10により表される。
【0064】
また、MMSE法に基づく送信ウェイト行列W(k,t)は、以下の式11により表される
【0066】
式11において、γ、Iは、それぞれSNR、単位行列である。また、式11により表される送信ウェイトは正規化されていない。しかし、送信ウェイトについては、例えば送信ウェイト行列W(k,t)のフロベニアスノルムなどで除算することによって送信信号電力が一定になるように正規化されてもよい。また、BD(Block Diagonalization)法やVP(Vector Perturbation)法、DPC(Dirty-Paper Coding)法などによって表される送信ウェイト行列が用いられてもよい。さらには。アクセスポイント100の送信ウェイト行列の演算方法が既知である場合には、アクセスポイント100の送信ウェイト行列の演算方法が用いられてもよい。
【0067】
また、マルチユーザMIMOによる通信を行ったときの空間多重による影響を考慮したチャネル状態変化情報を求める場合、チャネル情報取得部206は、疑似チャネル行列をさらに利用してチャネル状態変化情報を取得してもよい。疑似チャネル行列は、例えばチャネル情報取得部206が疑似的に生成したチャネル状態情報である。
つまり、チャネル情報取得部206は、チャネル推定誤差量の場合であれば、式6のチャネル行列に対して疑似的なチャネル行列(疑似チャネル行列)を加えて送信ウェイト行列を算出することによってチャネル推定誤差量(空間多重対応チャネル推定誤差量)を算出してもよい。
一例として、ZF法による送信ウェイトを用いた場合の空間多重対応チャネル推定誤差量Z’(k,t,t+Δ)は、以下の式12によって求めることができる。
【0069】
ただし、式12については、以下の式13、式14、式15、式16が成立する。
【0071】
式13において、W’(k,t)は、ZF法による送信ウェイト行列である。
式15、式16においては、H(k,t)のHの上にチルダを付すことによって疑似チャネル行列が示される。
【0072】
式16におけるJ(Iは整数、J≧1)は、他の端末装置200における空間多重の総計を示す。
一例として、アクセスポイント100のアンテナ101の数が4本(M=4)で、各端末装置200のアンテナ201の数が1本(N=1)の場合において、3つの端末装置200を空間多重することによりマルチユーザMIMOによる通信を行う場合のJは以下のようになる。即ち、この場合には、自己を除く2つの端末装置200が他端末として空間多重が行われるので、J=2となる。
【0073】
なお、疑似チャネル行列は、任意の複素数値であってもよい。あるいは、異なる時刻あるいは異なる場所で測定された値を記憶したものが用いられてもよい。あるいは、疑似チャネル行列は、推定したチャネル行列H(k,t)から解析されたチャネルの性質(遅延スプレッド、遅延パス数、NLOS/LOS、Kファクターなど)に基づいて生成されてもよい。つまり、疑似チャネル行列は、上記のように解析されたチャネルの性質などが反映される周辺環境パラメータに適合したチャネル行列として、乱数によって生成されてもよい。
【0074】
また、
図2において、パケット生成部207は、アクセスポイント100に送信すべきパケットを生成する。この場合においてパケット生成部207が生成するパケットのサイズは任意でよい。
パケット生成部207は、生成したパケットを送受信部202に出力する。
送受信部202は、アクセスポイント100との無線接続が確立されている状態のもとで、パケット生成部207から入力したパケットをアクセスポイント100に対して送信し、送信したパケットに対する応答としてアクセスポイント100から送信されたACKを受信する。また、端末装置200からパケットを送信しても、伝送路の状態が劣化していたりアクセスポイント100の処理負荷が重くなっているようなときには、ACKを受信できない場合がある。このような場合、送受信部202は、再送制限回数に達するまで、あるいは制限時間に到達するまで、所定タイミングでアクセスポイント100に対して同じパケットを再送する。
【0075】
送信レート制御部208は、無線LANクライアントとしての端末装置200が備える自動送信レート制御機能(フォールバック機能)を無効に設定し、送信の際の伝送速度を所定の固定値に設定する。
自動送信レート制御機能は、アクセスポイント100から送信される電波の強度(電波強度)は、アクセスポイント100からの距離等の環境条件に応じて変動し、電波強度に応じて通信速度も変化する。そこで、無線LANクライアントである端末装置200は、電波強度に応じて自動的に送信時の伝送速度(送信レート)を変更することによって、電波強度の変化に対してできるだけ良好な通信が行われるように制御する。このような伝送速度の調整機能が自動送信レート制御機能である。
しかし、自動送信レート制御によって伝送速度が変化するのに伴っては、スループットも変動する。また、自動送信レート制御の態様は例えばメーカー依存であって統一されたものではない。このために、自動送信レート制御機能が有効な状態でのスループット測定によっては的確な測定結果を得ることが難しい。
そこで、送信レート制御部208により自動送信レート制御機能を無効化して予め定めた一定の送信レートでスループットを測定すれば、測定結果の精度を向上させることが可能になる。
【0076】
スループット測定部209は、スループットを測定する。なお、ここでのスループットの測定は、スループットの予測(推定)を行うことに相当する。
スループット測定部209は、スループットの測定にあたり、パケットのサイズと送信レートとに基づいて取得したスループット理論値と、エラーレート算出部205により算出されたフレームエラーレートと、チャネル情報取得部206により取得されたチャネル情報であるチャネル状態変化情報(チャネル変動量またはチャネル推定誤差量)とを利用する。チャネル状態変化情報は、時間経過に応じたチャネルの状態の変化を示すチャネル情報である。
スループット測定部209は、補正フレームエラーレートを求める。スループット測定部209は、補正フレームエラーレートを求めるにあたり、フレームエラーレートと、チャンネル状態変化情報とを利用する。
【0077】
[処理手順例]
続いて、
図3のフローチャートを参照して、第1実施形態における端末装置200がスループット測定のために実行する処理手順例について説明する。
まず、端末装置200においては、スループット測定にあたっての初期設定として、パケットサイズ、送信レート及びBSSID(Basic Service Set Identifier)が設定される(ステップS101)。
パケットサイズは、パケット生成部207が生成してアクセスポイント100に送信すべきパケットのサイズであり、パケット生成部207により設定される。
送信レートは、送信レート制御部208によって自動送信レート制御機能を無効化したうえで、例えば予め定められた所定値が設定される。
BSSIDは、送受信部202によって設定されればよい。
【0078】
また、初期設定として、送信パケット数カウント部204がカウントする送信パケット数を示す変数aに0が代入され、受信ACK数カウント部203がカウントする受信ACK数を示す変数bに0が代入される(ステップS102)。
変数aへの0の代入は、送信パケット数カウント部204が実行すればよい。変数bへの0の代入は、受信ACK数カウント部203が実行すればよい。
【0079】
次に、パケット生成部207は、ステップS101にて設定されたパケットサイズによるパケットを生成する(ステップS103)。
送受信部202は、ステップS103により生成されたパケットを、ステップS101にて設定された送信レートでアクセスポイント100に送信する(ステップS104)。
送信パケット数カウント部204は、ステップS104によるパケットの送信に応じて、送信パケット数を示す変数aをインクリメントする(ステップS104)。
【0080】
送受信部202は、ステップS104によるパケットの送信に応答したACKが所定の再送タイムアウト時間内に受信されたか否かについて判定する(ステップS106)。
ACKが受信された場合(ステップS106:YES)、受信ACK数カウント部203は、受信ACK数を示す変数bをインクリメントする(ステップS107)。
【0081】
また、ACKが受信されるのに応じて、チャネル情報取得部206は、受信されたACKの信号を利用してチャネル状態変化情報(チャネル変動量またはチャネル推定誤差量)を取得する(ステップS108)。
【0082】
次に、送受信部202は、スループット測定のための規定回数のパケット送信が終了したか否かについて判定する(ステップS109)。
ステップS109の判定にあたっては、現在の送信パケット数を示す変数aが規定回数を示すAよりも大きいか否かについて判定すればよい。
【0083】
規定回数のパケット送信が終了していない場合(ステップS109:NO)にはステップS103に処理が戻される。このようにステップS103に戻ることによって、次の回の応じたパケットの送信が実行される。
一方、規定回数のパケット送信が終了した場合には、ステップS110以降の処理が実行される。
【0084】
また、再送タイムアウト時間を経過してもACKが受信されなかった場合は、ステップS109に処理が進められる。ここで、ステップS109において規定回数のパケット送信が終了していないことが判定されれば、ステップS103に処理が戻される。
ステップS106にてACKが受信されずに、ステップS109を経てステップS103に戻る場合としては、先のステップS104にて送信したのと同じパケットを再送する場合と、次のパケットを再送する場合とがある。
つまり、送受信部202は、パケットの再送制限回数に至っていない場合には、先のステップS104にて送信したのと同じパケットを再送する。なお、パケットを再送する場合には、ステップS103にて同じパケットを再生成せずに、送受信部202がバッファリングしているパケットを再送すればよい。即ち、この場合にはステップS103の処理は省略されてよい。
一方、パケットの再送制限回数に達した場合、送受信部202は次のパケットをステップS103により生成し、ステップS104により送信する。
【0085】
そして、規定回数によるパケット送信が終了することにより(ステップS109:YES)、パケット送信期間が終了する。そして、エラーレート算出部205は、これまでのパケット送信期間において、フレームエラーレートを算出する(ステップS110)。
エラーレート算出部205は、フレームエラーレートの算出にあたり、パケット送信期間わたって送信パケット数カウント部204がこれまでにカウントした送信パケット数aを入力する。つまり、エラーレート算出部205は、最後のステップS105によって得られた送信パケット数aを入力する。
また、エラーレート算出部205は、同じパケット送信期間にわたって受信ACK数カウント部203がカウントした受信ACK数bを入力する。つまり、エラーレート算出部205は、最後のステップS107によって得られた受信ACK数bを入力する。
そして、エラーレート算出部205は、例えば以下の(式17)によりフレームエラーレートFERを求める。
【0087】
上記の式17から理解されるように、フレームエラーレートFERは、送信パケット数aと受信ACK数bとの比率に基づいて求められる。フレームエラーレートFERは、送信パケット数aに対する受信ACK数bの割合が大きくなるのに応じて小さくなる。
【0088】
次に、スループット測定部209は、ステップS101にて設定されたパケットサイズと送信レートに基づいてスループットの理論値(スループット理論値)Sを取得する(ステップS111)。
スループット理論値Sは、パケットサイズと送信レートとの関係によって一義的に求められる。そこで、スループット測定部209は、例えばパケットサイズと送信レートとの組み合わせごとにスループット理論値が対応付けられたスループット理論値テーブルを記憶しておくようにする。
そして、スループット測定部209は、ステップS111の処理として、ステップS101にて設定されたパケットサイズと送信レートとの組み合わせに対応付けられたスループット理論値Sをスループット理論値テーブルから取得すればよい。
また、スループット測定部209は、上記のようにスループット理論値テーブルから取得したスループット理論値について、例えばMIMOによる通信により発生するオーバーヘッドを考慮して補正を行ってもよい。このように補正を行うことによって、より正確なスループット理論値Sを得ることができる。
【0089】
そして、スループット測定部209は、ステップS111にて取得したスループット理論値Sと、ステップS110にて算出したフレームエラーレートFERと、チャネル情報取得部206により取得された信号電力対雑音電力比SNRと、チャネル状態変化情報(チャネル変動量またはチャネル推定誤差量)とに基づいてスループットTを測定する(ステップS112)。
【0090】
スループット測定部209は、スループットTの測定にあたりチャネル状態変化情報としてチャネル変動量ρ(Δ)(=ρ
A(orB)(k,t,t+Δ))または平均チャネル変動量を利用する場合、以下の式18によりスループットTを求めることができる。
【0092】
上記の式18における関数fは、チャネル変動量を考慮してフレームエラーレートFERを補正した補正フレームエラーレート(補正エラーレートの一例)を求める関数である。関数fは、フレームエラーレートFER、信号電力対雑音電力比SNR、チャネル変動量ρ(Δ)をパラメータとして含む。
スループット測定部209は、例えば関数fの演算を行うにあたり、フレームエラーレートFER、信号電力対雑音電力比SNR、チャネル変動量ρ(Δ)の組みあわせごとに補正フレームエラーレートを対応付けた補正フレームエラーレートテーブル(補正エラーレートテーブルの一例)を記憶する。
【0093】
図4は、補正フレームエラーレートテーブルの一例を示している。同図に示す補正フレームエラーレートテーブルは、フレームエラーレートFER、信号電力対雑音電力比SNR、チャネル変動量ρ(Δ)の数値範囲の組みあわせごとに、補正フレームエラーレートを求める演算式が対応付けられる。
【0094】
例えば、
図4の補正フレームエラーレートテーブルの1行目は、フレームエラーレートFER、信号電力対雑音電力比SNR及びチャネル変動量ρ(Δ)の各値が0.01<FER≦1、20<SNR、0.9<ρ(Δ)≦1の組み合わせに該当する場合、関数f(FER,SNR,ρ(Δ))として、ステップS110にて算出されたフレームエラーレートFERの値をそのまま補正フレームエラーレートとして求めるべきことを示す。
また、
図4の補正フレームエラーレートテーブルの2行目は、フレームエラーレートFER、信号電力対雑音電力比SNR及びチャネル変動量ρ(Δ)の各値が0.01<FER≦1、20<SNR、0.8<ρ(Δ)≦0.9の組み合わせに該当する場合、関数f(FER,SNR,ρ(Δ))として、ステップS110にて算出されたフレームエラーレートFERの値を2倍(2×FER)することによって補正フレームエラーレートを求めるべきことを示す。
【0095】
また、スループット測定部209は、スループットTの測定にあたりチャネル状態変化情報としてチャネル推定誤差量Z(Δ)(=Z
A(orB)(k,t,t+Δ))または平均チャネル推定誤差量を利用する場合、以下の式19によりスループットTを求めることができる。
【0097】
上記の式19における関数gは、チャネル推定誤差量を考慮してフレームエラーレートFERを補正した補正フレームエラーレートを求める関数である。関数gは、フレームエラーレートFER、信号電力対雑音電力比SNR、チャネル変動量ρ(Δ)をパラメータとして含む。
スループット測定部209は、例えば関数gの演算を行うにあたり、フレームエラーレートFER、信号電力対雑音電力比SNR、チャネル推定誤差量Z(Δ)の組みあわせごとにチャネル推定誤差量に対応の補正フレームエラーレートを対応付けた補正フレームエラーレートテーブルを記憶する。
【0098】
図5は、チャネル推定誤差量に対応の補正フレームエラーレートテーブルの一例を示している。同図に示す補正フレームエラーレートテーブルは、フレームエラーレートFER、信号電力対雑音電力比SNR、チャネル推定誤差量Z(Δ)の数値範囲の組みあわせごとに、関数g(FER,SNR,Z(Δ))として求めるべきチャネル推定誤差量対応の補正フレームエラーレートが示される。
【0099】
例えば、
図5の補正フレームエラーレートテーブルの1行目は、フレームエラーレートFER、信号電力対雑音電力比SNR及びチャネル推定誤差量Z(Δ)の各値が、0.01<FER≦1、20<SNR、Z(Δ)=1の組み合わせに該当する場合、関数g(FER,SNR,Z(Δ))として、ステップS110にて算出されたフレームエラーレートFERの値をそのまま補正フレームエラーレートとして求めるべきことを示す。
また、
図5の補正フレームエラーレートテーブルの2行目は、フレームエラーレートFER、信号電力対雑音電力比SNR及びチャネル推定誤差量Z(Δ)の各値が、0.01<FER≦1、20<SNR、1<Z(Δ)≦10の組み合わせに該当する場合、関数g(FER,SNR,Z(Δ))として、ステップS110にて算出されたフレームエラーレートFERの値を2倍(2×FER)することによって補正フレームエラーレートを求めるべきことを示す。
【0100】
このように、本実施形態においては、端末装置200がパケットを送信し、パケットの送信に応答して受信されるACKの受信に基づいてチャネル状態変化情報、フレームエラーレート、信号電力対雑音電力比SNRなどを取得する。そして、端末装置200は、取得したこれらのパラメータに基づいてスループットを測定することができる。
このような構成によって、本実施形態においては、スループットの測定にあたって端末装置200がプローブ要求信号を送信する必要がない。プローブ要求信号の送信が不要であることで、本実施形態では、アクセスポイント100との間でアソシエーションが行われる前の段階でスループットを測定することができる。
【0101】
アソシエーションより以前の段階でスループットが測定可能となることで、端末装置200とアクセスポイント100とは、例えばIP(Internet Protocol)ネットワークに接続されている必要はないために、IPネットワークのもとでの各種設定が不要になる。また、IPネットワークと接続していないことで、端末装置200が送信するパケットは、IPにより規定される必要もなく、任意の形式とすることができる。このように任意のパケットが送信されたとしても、アクセスポイント100は、エラーなく受信できさえすれば無線LANの仕様に従ってACK信号を返送する。
このようにIPネットワークとの接続が不要であることで、例えば、IPアドレス、サブネットマスク、WEPキーなどの無線LAN関連の設定も不要になる。このために、例えば、スループット測定を即座に開始することが可能となり、スループット測定に要する時間を短縮することが可能になる。
【0102】
また、本実施形態においては、送信レート制御部208によって自動送信レート制御機能をオフとし、スループット測定時において端末装置200からアクセスポイント100にパケットを送信する際の送信レートを一定としている。これにより、前述もしたように、送信レートの変化に伴うスループットの変動がなくなり、測定結果の精度の向上が図られる。
【0103】
さらに、本実施形態においてはスループット測定時において端末装置200からアクセスポイント100に送信するパケットのサイズについても、
図3のステップS101の処理により一定としている。IPネットワークにおけるパケットサイズは必ずしも一定でなく、例えばFTP(File Transfer Protocol)を使用するアプリケーションなどでは、送信するファイルのサイズ等に応じてパケットサイズも適宜変更される。このようにパケットサイズが変動する状態のもとでスループットを測定しても、高い精度の測定結果を得ることは難しい。
そこで、本実施形態のようにスループットの測定にあたって送信するパケットのサイズを一定とすることで、より高い精度でスループットを測定することが可能となる。
【0104】
なお、上記の説明では、チャネル情報取得部206は、アクセスポイント100から受信するACKに基づいてチャネル情報(チャネル状態情報、チャネル状態変化情報など)を取得していた。しかし、チャネル情報取得部206は、アクセスポイント100から送信されるACK以外の信号に基づいてチャネル情報を取得してもよい。
この場合、チャネル情報取得部206は、チャネル情報の取得のためにACKを利用する必要がない。そこで、この場合には、フレームエラーレートを算出するために受信ACK数カウント部203が実行するACK受信数のカウントと、チャネル情報取得部206によるチャネル情報の取得の処理とが互いに独立して実行されるように構成されてもよい。
【0105】
<第2実施形態>
[概要]
続いて、第2実施形態について説明する。第2実施形態の端末装置200の構成は、例えば
図2と同様でよい。
第1実施形態における端末装置200は、スループットTの測定にあたってフレームエラーレートを補正するにあたり、補正フレームエラーレートテーブルから補正フレームエラーレートを取得するように構成されていた。
これに対して、第2実施形態における端末装置200のスループット測定部209は、エラーレート算出部205により算出されたエラーレートと、信号対干渉雑音電力比(SINR:Signal-to-Interference plus:Noise power Ratio))と、信号電力対雑音電力比(SNR)とを利用して補正エラーレートを求める。
【0106】
[処理手順例]
図6のフローチャートは、第2実施形態における端末装置200がスループット測定のために実行する処理手順例を示している。なお、同図において
図3と同一部分には同一符号を付し、ここでは、主に
図3との相違点について説明する。
【0107】
端末装置200においては、初期設定として、ステップS101によるパケットサイズ、送信レート、BSSIDの設定を実行するとともに、さらに以下の処理が実行される。
つまり、パケット生成部207は、スループットの測定にあたりアクセスポイント100がACKを送信する際の送信電力(アクセスポイント送信電力)として、複数のアクセスポイント送信電力を予め決定する(ステップS101−1)。
【0108】
次に、パケット生成部207は、ステップS101−1により決定した複数のアクセスポイント送信電力のうちから1つのアクセスポイント送信電力を選択する(ステップS101−2)。
【0109】
また、ステップS102において、送信パケット数カウント部204は送信パケット数を示す変数aに0を代入し、受信ACK数カウント部203は、受信ACK数を示す変数bに0を代入する。
【0110】
そして、パケット生成部207は、ステップS101にて設定されたパケットサイズによるパケットを生成する(ステップS103A)。パケット生成部207は、ステップS103Aにてパケットを生成するにあたり、ステップS101−2にて選択されたアクセスポイント送信電力によるACKの送信を指示する送信電力指示情報を含めてパケットを生成する。
【0111】
送受信部202は、ステップS104により、ステップS103にて生成されたパケットをアクセスポイント100に対して送信する。この際、送受信部202は、ステップS101により設定された送信レートによりパケットの送信を行う。
【0112】
ステップS104によりパケットが送信された後、ステップS105〜S109の処理が実行される。
図6におけるステップS105〜S109の処理は、
図3の場合と同様である。
ただし、第2実施形態においてステップS106に対応して送受信部202が受信するACKは、ステップS104にて送信したパケットに含まれていた送信電力指示情報が指示する送信電力によってアクセスポイント100から送信されている。
ステップS108におけるチャネル情報取得部206は、このようにステップS101−2にて選択したアクセスポイント送信電力により送信されたACKを利用してチャネル状態変化情報をはじめとするチャネル情報を取得する。
【0113】
また、
図6の場合にも、
図3の場合と同様に、ステップS106にてACKが受信されずに、ステップS109を経てステップS103に戻る場合としては、先のステップS104にて送信したのと同じパケットを再送する場合と、次のパケットを再送する場合とがある。
送受信部202は、パケットの再送制限回数に至っていない場合には、先のステップS104にて送信したのと同じパケットを再送する。この場合には、ステップS103Aを省略し、送受信部202がバッファリングしているパケットを再送すればよい。
一方、パケットの再送制限回数に達した場合、送受信部202は次のパケットをステップS103Aにより生成し、ステップS104により送信する。
【0114】
そして、
図6のステップS109において規定回数Aによるパケットの送信が終了し、1回のパケット送信期間の終了したことが判定されると、エラーレート算出部205は、ステップS110によりフレームエラーレートFERを算出する。ここでのフレームエラーレートの算出は、第1実施形態の場合と同様に、式17による演算を行えばよい。
【0115】
そのうえで、第2実施形態におけるチャネル情報取得部206は、1回のパケット送信期間に対応するSNR(パケット送信期間対応SNR)を算出する(ステップS110−1)。
パケット送信期間対応SNRは、受信信号(ACK)の先頭部に付加されているSTF(Short training field)やLTF(Long training field)などを用いて測定することができる。
なお、チャネル情報取得部206は、ACKが受信されるごとに求めたSNRを利用してパケット送信期間対応SNRを求めてもよい。この場合には、例えばパケット送信期間において測定されたSNRの平均値をパケット送信期間対応SNRとすればよい。
【0116】
スループット測定部209は、例えばステップS110により算出されたフレームエラーレートFERと、ステップS110−1により算出されたパケット送信期間対応SNRと、同じパケット送信期間において取得されたチャネル状態変化情報(チャネル変動量またはチャネル推定誤差量)と対応付けて記憶する。
スループット測定部209は、このように記憶したフレームエラーレートFER、パケット送信期間対応SNR及びチャネル状態変化情報をスループットの測定に用いる。
【0117】
次に、送受信部202は、ステップS101−1にて決定した複数のアクセスポイント送信電力の全てに応じた処理(ステップS110によるフレームエラーレートFERの算出と、ステップS110−1によるパケット送信期間対応SNRの算出)が終了したか否かについて判定する(ステップS110−2)。
まだ、フレームエラーレートFERとパケット送信期間対応SNRの算出が行われていないアクセスポイント送信電力が残っている場合には(ステップS110−2:NO)、ステップS101−2に処理が戻される。これにより、端末装置200においては、次のパケット送信期間において、次のアクセスポイント送信電力を指示する送信電力指示情報を含むパケットの送信が行われ、フレームエラーレートFERとパケット送信期間対応SNRの算出が行われる。
このようにステップS101−2〜S109の処理が繰り返されることによって、送受信部202は、それぞれ異なる送信電力を指示する送信電力指示情報を含むパケットをそれぞれ所定回数(A回)ずつ送信する。
【0118】
そして、全てのアクセスポイント送信電力に応じたフレームエラーレートFERとパケット送信期間対応SNRの算出が終了すると(ステップS110−2:YES)、スループット測定部209は、スループット理論値Sを取得する(ステップS111)。スループット理論値Sの取得の仕方については、例えば第1実施形態と同様でよい。
【0119】
次に、スループット測定部209は、スループットTを測定する(ステップS112)。第2実施形態におけるスループット測定部209は、ステップS112においてスループットTを測定するにあたり以下のように補正フレームエラーレートを求める。
【0120】
スループット測定部209は、例えば、ステップS101−1により決定した複数のアクセスポイント送信電力のうちで、実際のデータ通信にあたってアクセスポイント100が設定する送信電力と同じアクセスポイント送信電力を選択した際に求められたパケット送信期間対応SNRと、その際にステップS108にて得られたチャネル状態変化情報に基づいて得られた干渉電力とを利用して信号対干渉雑音電力比SINRを算出する。なお、干渉電力に代えて干渉雑音電力比INR(Interference-to-Noise power Ratio)が利用されてもよい。
スループット測定部209は、実際のデータ通信に対応するパケット送信期間対応SNRを求めたときの受信信号電力をPs、雑音電力をPnとして、例えばチャネル推定誤差量Z(Δ)を用いる場合には、以下の式20により信号対干渉雑音電力比SINRを求めることができる。
【0122】
そして、スループット測定部209は、上記のように算出した信号対干渉雑音電力比SINRに最も近似する値のパケット送信期間対応SNRが求められたときに算出されたフレームエラーレートFERを補正フレームエラーレートとする。
ここで、上記のように求めた補正フレームエラーレートをFER’とすると、スループットTは以下の式21により求められる。
【0124】
なお、上記
図6のフローチャートによる処理では、アクセスポイント100の送信電力を端末装置200側から制御している。しかし、例えば端末装置200においてアナログもしくはデジタルの受信信号に対して疑似的に雑音を付加したり、アッテネータにより受信信号を減衰させなどして雑音電力を制御することで、アクセスポイント100の送信電力を制御するのと同じように受信信号の電力を変化させてもよい。また、信号電力対雑音電力比SNRが異なる複数の場所で測定することによっても、アクセスポイント100の送信電力を制御するのと同等の状態を得ることが可能である。
【0125】
<第3実施形態>
[端末装置の構成例]
続いて、第3実施形態について説明する。
図7は、第3実施形態における端末装置200の構成例を示している。なお、
図7において、
図2と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0126】
図7に示す端末装置200は、
図2の構成に対してさらに送信タイミング制御部210をさらに備える。
送信タイミング制御部210は、送受信部202がパケットを送信するタイミングを制御する。送信タイミング制御部210が送受信部202におけるパケットの送信タイミングを制御することで、ACKの受信タイミングを調整することができる。このようにACKの受信タイミングを調整可能となることで、時刻tの差分Δに相当するパケット送信時間間隔を調整することができる。
【0127】
また、送信タイミング制御部210がパケット送信時間間隔を変化させることによって、MIMOによる通信を行った際に一定以上の通信品質を維持するのに許容される最長の信号(パケット)送信時間間隔(最大更新時間)を判定することも可能になる。
ここで、時刻tの差分Δとしての送信時間間隔は、チャネル情報取得部206が受信信号(ACK)を利用してチャネル状態情報を推定してから、送受信部202が送信ウェイトを算出し、算出した送信ウェイトにより信号(パケット)を送信するまでの時間と対応する。
そして、チャネル情報取得部206がチャネル状態情報を推定した時点と、送受信部202がチャネル状態情報を利用して求めた送信ウェイトにより信号を送信するまでの間には遅延時間が生じる。この遅延時間が長くなるほど、信号を送信するタイミングにおけるチャネルの状態がチャネル状態情報推定時のチャネルの状態から乖離して通信品質が劣化していくことになる。そして、遅延時間が或る一定値を越えることにより一定以上の通信品質を維持することができなくなる。一定以上の通信品質を維持することのできる最長の遅延時間が最大更新時間である。
【0128】
[処理手順例]
図8のフローチャートを参照して、第3実施形態の端末装置200がスループット測定のために実行する処理手順例について説明する。なお、同図において
図3と同一部分には同一符号を付し、ここでは、主に
図3との相違点について説明する。
【0129】
端末装置200においては、初期設定として、ステップS101によるパケットサイズ、送信レート、BSSIDの設定を実行するとともに、さらに以下の処理が実行される。
つまり、送信タイミング制御部210は、スループットの測定にあたり、複数の測定用送信時間間隔を決定する(ステップS101A−1)。
【0130】
続くステップS101A−2〜S110−3の処理は1回のパケット送信期間に対応した処理となる。
送信タイミング制御部210は、1回のパケット送信期間の開始にあたり、ステップS101A−1にて決定された複数の測定用送信時間間隔のうちから、1つの測定用送信時間間隔を選択する(ステップS101A−2)。
また、ステップS102において、送信パケット数カウント部204は送信パケット数を示す変数aに0を代入し、受信ACK数カウント部203は、受信ACK数を示す変数bに0を代入する。
【0131】
そして、送受信部202は、ステップS103により生成されたパケットを、ステップS101A−2により選択された測定用送信時間間隔に従ったタイミングでアクセスポイント100に対して送信する(ステップS104A)。
【0132】
ステップS104Aに続く、ステップS105〜S109の処理は、
図3の場合と同様である。ただし、ステップS106に応じて順次受信されるACKのタイミング(時間間隔)は、ステップS101A−2により選択された測定用送信時間間隔に応じたものとなる。
例えば、ACKは、パケットの送信タイミングから、端末装置200とアクセスポイント100との間の伝搬遅延時間と、アクセスポイント100がパケットを受信してからACKを送信するまでの処理時間とに応じて遅延したタイミングで端末装置200にて受信される。
【0133】
また、ステップS108にてチャネル状態変化情報(チャネル変動量またはチャネル推定誤差量)を取得するにあたって演算に用いられる時刻tの差分Δは、ステップS101A−2にて選択された測定用送信時間間隔に対応する。つまり、この場合のチャネル状態変化情報は、測定用送信時間間隔に応じたチャネルの状態の変化を示す。
【0134】
そして、ステップS109において規定回数Aのパケットの送信が終了したことが判定されて1回のパケット送信期間が終了するのに応じて、エラーレート算出部205はステップS110によりフレームエラーレートを算出する。
【0135】
ステップS110にてフレームエラーレートが算出された後、送受信部202は、ステップS101A−1にて決定された全ての測定用送信時間間隔によるパケットの送信が終了したか否かについて判定する(ステップS110−3)。
未だパケットの送信が終了していない測定用送信時間間隔が残っている場合には(ステップS110−3:NO)、ステップS101A−2に処理が戻されることにより、次の測定用送信時間間隔によるパケット送信期間が開始される。このように、第3実施形態における送受信部は、複数の異なる測定用送信時間間隔により所定回数(A回)ずつ測定信号を送信する。
一方、全ての測定用送信時間間隔によるパケットの送信が終了した場合(ステップS110−3:YES)、スループット測定部209は、
図3と同様に、ステップS111によりスループット理論値Sを取得し、ステップS112によりスループットTを測定する。
【0136】
また、第3実施形態におけるスループット測定部209は、最大更新時間Δmaxを算出する(ステップS113)。
具体例として、スループット測定部209は、ステップS108にて取得されるチャネル状態変化情報がチャネル変動量ρ(Δ)である場合には、以下の式22を満たす最大の時刻tの差分Δを、最大更新時間Δmaxとして算出する。
【0138】
また、スループット測定部209は、ステップS108にて取得されるチャネル状態変化情報がチャネル推定誤差量Z(Δ)である場合には、以下の式23を満たす最大の時刻tの差分Δを、最大更新時間Δmaxとして求める。
【0140】
ここで、上記の式22におけるTaと、式23におけるTbは、それぞれ閾値である。式22または式23を満たす時刻tの差分Δが存在しない場合には、例えば最大更新時間Δmax=0を算出結果として出力すればよい。
このように、第3実施形態においては、パケットの送信時間間隔を調整することによって、送信ウェイトが有効とされる最大更新時間Δmaxを求めることができる。
【0141】
なお、最大更新時間Δmax=0の場合には、MIMOによる通信が行われないことになる。しかし、例えばストリーム数やユーザの多重数を減少させるなどして式23または式24を満たすことができるように調整することもできる。
【0142】
また、
図8のフローチャートの処理によれば、1回のパケット送信期間においては、ステップS101A−2にて選択された測定用送信時間間隔による一定時間間隔でパケットを複数回(A回)送信するようにされている。
しかし、現実の無線LANの環境では、CSMA/CAが動作していることによって、必ずしも一定時間間隔によりパケットを送信できない場合がある。そこで、以下のような構成としてもよい。
つまり、送受信部202は、1回のパケット送信期間において送信タイミング制御部210によってランダムに設定された送信時間間隔により複数回にわたってパケットを送信する。チャネル情報取得部206は、ACKが受信される時間間隔(ACK受信時間間隔)を、当該ACKの受信に応じて取得されるチャネル状態変化情報と対応付けて記憶する。そして、記憶された複数のACK受信時間間隔を時刻tの差分Δとして扱い、ACK受信時間間隔により表される時刻tの差分Δのうちから、式23または式24を満足する時刻tの差分Δを最大更新時間Δmaxとして出力してもよい。
さらに、式23または式24の条件を満足し、かつフレームエラーレートFERが一定以下であればMIMOによる通信が可能であると判定するようにしてもよい。
【0143】
また、上記各実施形態によるスループットの測定を行うにあたり、アクセスポイント100との通信を実行している期間中においては、端末装置200におけるAGCの動作を停止させてゲインを一定にする、あるいは外部から所定の固定値によるゲインを与えるようにすれば、AGCが動作することによるゲインの変動による測定誤差の影響を抑制することができる。
【0144】
また、上記各実施形態においては、端末装置200側でスループットを測定している。しかし、例えばアクセスポイント100側が測定装置として機能してスループットを測定するように構成してもよい。
この場合には、例えば
図4、
図5に示した補正フレームエラーレートテーブルなどをアクセスポイント100側で集中管理することができる。このように集中管理することによって、複数のアクセスポイント100が測定したデータに基づいて修正した内容に補正フレームエラーレートテーブルを更新して、測定精度を向上させることが可能になる。
【0145】
また、上記各実施形態において、チャネル情報取得部206がチャネル状態変化情報を取得するにあたっては、アクセスポイント100のアンテナ101の全てから送信されたACKなどの送信信号を端末装置200側で受信し、このように受信された信号に基づいて推定したチャネル状態情報からチャネル状態変化情報を算出することが好ましい。
しかし、アクセスポイント100のアンテナ101の全てから送信された信号を受信することができない場合であっても、例えば以下のようにしてチャネル情報取得部206がチャネル状態変化情報を取得することは可能である。
【0146】
ここでは、アクセスポイント100がN本のアンテナ101を用いてマルチユーザMIMOを行う。ACKの送信にあたっては1本のアンテナ101のみを使用して送信を行うようにされている場合を例に挙げる。
この場合には、端末装置200においてアクセスポイント100が備えるのと同じ本数のアンテナを用いてチャネル状態情報を推定する。そして、端末装置200は、推定結果であるチャネル行列H(k,t)を転置させたものをチャネルとして扱い、チャネル状態変化情報(チャネル変動量またはチャネル推定誤差量)を算出すればよい。即ち、この場合には仮想的に1×NのチャネルをN×1のチャネルに変換することによりアクセスポイント100側のアンテナをN本として扱っているものである。
【0147】
また、プローブ信号などとしてのパケットを端末装置200からアクセスポイント100に送信するにあたり、アクセスポイント100がパケットの受信に応答したACKなどの返信に使用するアンテナ数を指定できるようにしてもよい。
例えば、アクセスポイント100のn(1≦n≦N)本のアンテナ101から信号が送信された場合の全てのチャネル行列を推定しようとする場合には以下のようになる。この場合、端末装置200からアクセスポイント100にパケットを送信するにあたり、例えばn本のアンテナ101を使用して信号を送信すべきことを示す指示情報をパケットに付加すればよい。アクセスポイント100は、受信したパケットに付加されていた指示情報に従って、n本のアンテナ101を使用して信号を送信することができる。
【0148】
なお、上述した実施形態における端末装置200をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0149】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。