(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6200487
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】原子層堆積法の使用によるTiSiN薄層の形成方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/34 20060101AFI20170911BHJP
C23C 16/02 20060101ALI20170911BHJP
H01L 21/285 20060101ALI20170911BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
C23C16/34
C23C16/02
H01L21/285 C
H01L21/28 301R
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-503899(P2015-503899)
(86)(22)【出願日】2013年4月8日
(65)【公表番号】特表2015-514161(P2015-514161A)
(43)【公表日】2015年5月18日
(86)【国際出願番号】EP2013057308
(87)【国際公開番号】WO2013153031
(87)【国際公開日】20131017
【審査請求日】2016年4月7日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0036505
(32)【優先日】2012年4月9日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】502010251
【氏名又は名称】アイクストロン、エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 典子
(74)【代理人】
【識別番号】100146950
【弁理士】
【氏名又は名称】南 俊宏
(74)【代理人】
【識別番号】100185476
【弁理士】
【氏名又は名称】宮下 桂輔
(72)【発明者】
【氏名】パク、ウン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ヨン ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ギ ヨウル
(72)【発明者】
【氏名】ル、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】シウ、グレッグ
(72)【発明者】
【氏名】シルバ、ヒューゴ
(72)【発明者】
【氏名】ラマナサン、ササンガン
【審査官】
岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−011940(JP,A)
【文献】
特開2008−240158(JP,A)
【文献】
特開2008−124474(JP,A)
【文献】
特開2009−007670(JP,A)
【文献】
H. KIM,Atomic layer deposition of metal and nitride thin films: Current research efforts and applications for semiconductor device processing,Journal of Vacuum Science & Technology B,2003年,Volume 21, Issue 6,pp. 2231-2261
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00−16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子層堆積法に従って基板上にTiSiN薄膜を形成するための方法であって、
チャンバーに基板を配置した後、ArまたはN2を含有する不活性ガスをチャンバーに供給している間に、基板を予熱する第1のプロセスと、
所定の時間Ti含有ガスを供給し、その後で所定の時間不活性ガスを供給することによって過度に供給されたTi含有ガスを除去し、その後で所定の時間N含有ガスを供給し、その後で所定の時間不活性ガスを供給して過度に供給された残余の生成物を除去する第1のステップを有し、基板上にTiN薄膜を形成する第2のプロセスと、
所定の時間TiN薄膜上にSi含有ガスを供給し、その後で所定の時間不活性ガスを供給することによって過度に供給されたSi含有ガスを除去し、その後で所定の時間N含有ガスを供給し、その後で不活性ガスを供給して残余の生成物を除去する第2のステップを有し、SiN薄膜を形成する第3のプロセスと、
前記第2と第3のプロセスを少なくとも1回繰り返すことによって、望ましい厚さを持つTiSiN薄膜を形成する第4のプロセスと、
を備え、
TiSiN薄膜の形成に使用されるガスの分圧の範囲は、Ti含有ガスが9×10−3トール以下、Si含有ガスが1×10−3〜3×10−1トール、N含有ガスが7×10−3〜6×10−1トールであり、ガスの圧力範囲は500mトール〜5トールであり、形成されたTiSiN薄膜のSi含有量は20原子%以下であり、
前記第2のプロセスにおいて、前記第1のステップが前記第3のプロセスに先だって少なくとも1回繰り返され、
前記第3のプロセスにおいて、前記第2のステップが前記第4のプロセスに先だって少なくとも1回繰り返される、
ことを特徴とするTiSiN薄膜形成方法。
【請求項2】
Ti含有ガスが、TiCl4、TDMATまたはTDEATであることを特徴とする請求項1に記載のTiSiN薄膜形成方法。
【請求項3】
Si含有ガスが、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiH4またはSi2H6であることを特徴とする請求項1または2に記載のTiSiN薄膜形成方法。
【請求項4】
N含有ガスが、NH3またはMMHであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のTiSiN薄膜形成方法。
【請求項5】
予熱プロセスにおける予熱温度が400℃〜700℃であり、予熱圧力が0.5mトール〜5トールであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のTiSiN薄膜形成方法。
【請求項6】
Ti含有ガスの分圧が、6×10−4トール以下であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のTiSiN薄膜形成方法。
【請求項7】
Ti含有ガスの供給におけるバブラーの温度が、0℃〜15℃に維持されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のTiSiN薄膜形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、原子層堆積法(ALD)を使うことによってTiSiN薄層を形成するための方法に関し、特に、原子層堆積法を使うことによって導電性のある最下層と最上層の間に拡散障壁層であるTiSiN薄層を形成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体集積回路を製造するために、半導体ウェハのような基板上で成膜とパターンエッチングが繰り返し実行され、複数の望ましいデバイスが製造される。
デバイスを相互に接続するための配線材料と、最下層のように基板から拡散されるシリコンまたはSi含有層との間の相互拡散を防ぐために、一般に障壁金属が最下層と配線の間に配置される。そのような障壁金属は低い電気抵抗と高い耐食性を持つ金属材料でなければならない。現在配線材料として使われるアルミニウムやタングステン配線のように、上述した必要条件を満たすことができる障壁金属材料は、高融点の金属窒化物、例えば、Ti、W、およびMoであることができる。導電性と耐食性を持つTiまたはTiN薄膜が障壁金属材料として使用されている。
障壁金属としてのTi薄膜またはTiN薄膜は、一般に化学気相堆積法(CVD)に従って500℃〜700℃の高い温度範囲で形成される。TiまたはTiNは、高いアスペクト比を持つコンタクトホールまたはビアホールに効果的に埋め込まれ、配線材料であるアルミニウムまたはタングステンに対して良好な特性を持つ。
【0003】
集積回路の高集積および極微細構造への最近の要求は配線の線幅をより狭くさせた。上述した高集積だけでなく高い作業効率も必要とされる。そのような状況の下で、低い抵抗と経済的な実現可能性を持つ銅(Cu)は、アルミニウムを置き換えることができる配線材料として注目を集めた。けれども、上述したように、銅はアルミニウムのようにシリコンとの移動に対して弱く、比較的低温で拡散されやすい。その結果、銅(Cu)はTiまたはTiN薄膜で使用される金属として不適切な障壁特性を持つ。
【0004】
特許文献1は、従来のTiまたはTiN薄膜の欠点を解消するためにプラズマCVDまたは熱CVDに従って堆積されたTiSiN薄膜を使用するための方法を開示する。けれども、化学堆積法に従って堆積されたTiSiN薄膜に含まれる不純物である塩素と酸素の濃度は、
図1に示すように高い。その結果、それらの不純物が製造された薄膜の漏れ電流特性を悪化させる。
そこで、不純物の含有量が削減されたTiSiN薄膜を形成する方法が研究された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国特許第10−2009−0048523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した問題を解決するために、本発明の目的は、原子層堆積法(ALD)を使うことによって良好な漏れ電流特性を持つTiSiN薄膜を形成するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの目的と他の利点を達成するために、本実施形態の目的に従って、ここに具体化されて広く記述されるように、ALDに従って基板上にTiSiN薄膜を形成するための方法は次のプロセスを含む。
【0008】
チャンバーに基板を配置した後、ArまたはN
2を含有する不活性ガスをチャンバーに供給している間に基板を
予熱する第1のプロセスがあることができる。
Ti含有ガスを供給し、その後で不活性ガスを供給して過度に供給されたTi含有ガスを除去するプロセスと、N含有ガスを供給し、その後で不活性ガスを供給して残余の生成物を除去するプロセスとを、少なくとも1回繰り返すことによって基板上にTiN薄膜を形成する第2のプロセスがあることができる。
TiN薄膜上にSi含有ガスを供給し、その後で不活性ガスを供給して過度に供給されたSi含有ガスを除去するプロセスと、N含有ガスを供給し、その後で不活性ガスを供給して残余の生成物を除去するプロセスとを、少なくとも1回繰り返すことによってSiN薄膜を形成する第3のプロセスがあることができる。
前記第2と第3のプロセスを少なくとも1回繰り返すことによって、望ましい厚さを持つTiSiN薄膜を形成する第4のプロセスがあることができる。
TiSiN薄膜の形成に使用されるガスの分圧の範囲は、Ti含有ガスが9×10
−3トール以下、Si含有ガスが1×10
−3〜3×10
−1トール、N含有ガスが7×10
−3〜6×10
−1トールであることができ、ガスの圧力範囲は500mトール〜5トールであることができ、形成されたTiSiN薄膜のSi含有量は20原子%以下であることができる。
【0009】
Ti含有ガスは、TiCl
4、TDMATまたはTDEATであることができる。
Si含有ガスは、SiH
2Cl
2、SiHCl
3、SiCl
4、SiH
4またはSi
2H
6であることができる。
N含有ガスは、NH
3またはMMHであることができる。
予熱プロセスにおける
予熱温度は400℃〜700℃であることができ、
予熱圧力は0.5mトール〜5トールであることができる。
Ti含有ガスの分圧は、6×10
−4トール以下であることができる。
Ti含有ガスの供給におけるバブラーの温度は、0℃〜15℃に維持される。
【発明の効果】
【0010】
本実施形態は、次の有利な効果を有する。TiSiNを形成するための本方法によれば、障壁金属としてTiSiN薄膜が効果的にALDに従って製造されることができる。TiSiNのような障壁金属が金属の最上層と金属の最下層の間の反応を抑制するために用いられる。反応を抑制することで障壁金属が低抵抗を維持することは重要である。
本方法によれば、Ti含有ガスの分圧は製造プロセスにおいて適切な範囲に制御される。同時に、製造された薄膜中のSi含有量は適切な値以下であるように制御される。それで、TiSiN薄膜を製造することの強みがある。
【0011】
以下の図面を参照して配置と実施形態が詳細に記述される。図面中で参照数字等は要素等を示す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】化学堆積法に従って堆積されたTiSiN薄膜に含まれる不純物である塩化物と酸素の濃度を示すグラフである。
【
図2】本発明の実施形態にかかる製造プロセスで使用される原子層堆積装置を図示するブロック図である。
【
図3】Ti含有ガスを供給するための方法を図示するブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態にかかる製造プロセスを示すフローチャートである。
【
図5】TiSiN薄膜を形成する製造プロセスを示す図である。
【
図6(a)】本発明に従って製造されたTiSiN薄膜におけるSi含有量についてのXRD解析結果を示す。
【
図6(b)】本発明に従って製造されたTiSiN薄膜におけるSi含有量についてのXRD解析結果を示す。
【
図7(a)】
図6(a)と(b)で解析されたXRD試料のTEM解析の写真である。
【
図7(b)】
図6(a)と(b)で解析されたXRD試料のTEM解析の写真である。
【
図8】本製造プロセスで製造されたTiSiN薄膜を概念的に示す断面図である。
【
図9】本製造プロセスにおけるTiCl
4の分圧に対して製造されたTiSiN薄膜の抵抗率の測定された変化を示すグラフである。
【
図10】本方法に従って製造されたTiSiN薄膜のSi含有量に対して抵抗率の値の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態は、添付図面を参照して、関連する当業者によって実施されるように詳細に記載される。今、特定の実施形態、添付図面に示される例に参照が詳細になされる。
本発明の実施形態は、導体である最下層と最上層の間に拡散障壁層としてTiSiN薄膜を形成するための方法に関する。添付図面を参照して、実施形態が以下に詳細に記載される。
【0014】
図2は、本発明の実施形態にかかる製造プロセスで使用される原子層堆積装置を図示するブロック図である。
図2に示すように、原子層堆積装置は、反応炉の中に配置されたサセプタ1と、その中に埋め込まれ、半導体ウェハが上に置かれるヒータ2とを含む。電源4がヒータ2に接続され、ヒータ2は半導体ウェハを望まれる温度に加熱するために使用される。また、電源4はコントローラ5に接続され、コントローラ5は温度センサの信号に基づいてヒータ2の出力を制御することができる。
更に、シャワーヘッド3が反応炉の上部に設置されており、堆積のために必要なガスがシャワーヘッド3から供給される。シャワーヘッド3は、Ti含有ガス、Si含有ガス、およびN含有ガスを独立に供給するための内部独立パスを持ち、各ガスはシャワーヘッドから注入された後で混合される。
【0015】
一方、
図3は、Ti含有ガスを供給するための方法を示す。
図3に示すように、Ti含有ガスはバブラー(bubbler)によって供給され、Ti含有ガスが望ましい蒸気温度を持つことができるように、サーモスタットを使うことによってバブラーの温度は0℃〜15℃の間に保たれることができる。マスフローメータによって供給される不活性ガスはサーモスタットによって保たれる所定の温度を持つコンテナに注入され、その不活性ガスは液相の化学物質から生成されるTi含有ガスとともに原子層堆積装置に供給される。
【0016】
図4に示すように、基板がチャンバー内に配置された後で、アルゴン(Ar)または窒素(N
2)含有不活性ガスがチャンバーに供給され、基板が
予熱される。
つまり、ウェハ搬送装置に運ばれたウェハがヒータ2の埋め込まれたサセプタ1の上に配置されるとき、ウェハは所定の時間、例えば、30秒から2分の間
予熱される。0.5mトールから5トールまででArまたはN
2のような不活性ガスを流しながら、望ましい温度になるまで、冷たいウェハは短時間
予熱される。この場合、サセプタ1の温度は400℃から700℃の範囲に維持される。
【0017】
続いて、Ti含有ガスが基板に供給され、不活性ガスが供給された後で、過度に供給されたTi含有ガスが除去される。N含有ガスが供給された後に供給される不活性ガスを使うことによって残余の生成物を除去するプロセスは、基板上にTiN薄膜を形成するために、1回以上繰り返されてよい。
つまり、Ti含有ガスが0.4〜60秒の範囲で所定の時間基板に供給され、その後、過度に供給されたTiCl
4ガスを除去するためにのみ、不活性ガスが0.4〜60秒の範囲で所定の時間供給される。続いて、N含有ガスが0.4〜60秒の範囲で所定の時間供給され、不活性ガスが0.4〜60秒の範囲で所定の時間供給され、残余の生成物を除去する。その結果、TiN薄膜が形成される。そのプロセスはx回繰り返され、望ましい厚さを持つTiN薄膜が形成される。
Ti含有ガスはTiCl
4,TDMATまたはTDEATであってよい。N含有ガスはNH
3またはMMHであってよい。不活性ガスはアルゴンまたは窒素であってよい。
【0018】
本発明の実施形態に従って、形成されたTiN薄膜にSi含有ガスが供給され、不活性ガスが供給された後で、過度に供給されたSi含有ガスが除去される。続いて、N含有ガスが供給され、不活性ガスが供給された後で、残余の生成物が除去される。そのプロセスが1回以上繰り返され、その結果、TiSiN薄膜が形成される。
つまり、上述したプロセスで形成されたTiN薄膜上にSi含有ガスが供給され、過度に供給されたSi含有ガスを除去するために、不活性ガスが0.4〜60秒の範囲で所定の時間供給される。N含有ガスが0.4〜60秒の範囲で所定の時間供給され、SiN薄膜を形成し、残余の生成物を除去をするために不活性ガスが0.4〜60秒の範囲で所定の時間供給される。そのプロセスがy回繰り返され、望ましい厚さを持つSiN薄膜が結果的に形成される。
上述したプロセスでは、Si含有ガスはSiH
2Cl
2、SiHCl
3、SiCl
4、SiH
4、またはSi
2H
6であってよい。N含有ガスも上記と同様である。
【0019】
その後、TiNとSiN薄膜を形成するプロセスが1回以上繰り返され、最終的にTiSiN薄膜が形成されることができる。つまり、そのプロセスがz回繰り返されるとき、望ましい厚さを持つTiSiN薄膜が形成されることができる。
図5は、これらのプロセスを示す図である。
【0020】
一方、上述した本発明にかかるTiSiN薄膜を製造するために使われるガスの分圧の範囲は次の通りである。
つまり、Ti含有ガスの分圧の範囲は9×10
−3トール、望ましくは6×10
−4トール以下であることができる。Si含有ガスの分圧の範囲は1×10
−3〜3×10
−1トールの範囲であることができ、N含有ガスの分圧の範囲は7×10
−3〜6×10
−1トールの範囲であることができる。圧力の範囲は500mトール〜5トールであることができる。
上述したように、障壁金属としてのTiSiN薄膜は、塩化物のような不純物をより少なく含み、比較的低い抵抗を持つことが必要とされ、これらは金属の最下層と金属の最上層の間での反応を抑圧するために、TiSiN薄膜の適用範囲に基づいて異なることができる。
それを考慮すると、本発明はTi含有ガスの分圧を9×10
−3トール以下、望ましくは6×10
−4トール以下に制限する。そのような範囲内で、有効に低い抵抗を持つTiSiN薄膜を得ることができる。
更に、製造プロセスで形成されたTiSiN薄膜のSi含有量が原子の20%以下であり、そのような範囲で低い抵抗が保証されることができることを本発明は必要とする。
【0021】
本発明の実施形態が、以下に詳細に記載される。
[第1の実施形態]
本実施形態では、形成されたTiSiN薄膜のSiの含有量が調整される。表1は、TiSiN薄膜のSiの含有量を調整するための4つの方法と、4つの方法の各々に従って堆積されたTiSiN薄膜の中のSiの含有量に関して実行されたRBS解析の結果を示す。
【0023】
表1において、”DCS”はSi含有ガスとしてSiH
2Cl
2に言及する。
第1の方法はDCS供給時間に比例してSi含有量を増加させるための方法である。第2の方法はDCS供給流に比例してSi含有量を増加させるための方法である。第3の方法は、TiN堆積回数(x回)/SiN堆積回数(y回)に反比例してSi含有量を増加させるための方法である。
【0024】
[第2の実施形態]
表2は、堆積条件に従うTiSiN薄膜の中のCl含有量を示す。
【0026】
一般に、拡散防止層に含まれるClは、拡散障壁層の特性とそこに適用される拡散障壁層を有するデバイスの特性とを悪化させる傾向がある。けれども、本発明に従うプロセスの範囲およびSi含有量の全ての範囲において堆積したTiSiN薄膜に適用された複数の温度で、Cl含有量はRBS解析の検出限界を下回る適切な薄膜特性を持つことができる。
【0027】
[第3の実施形態]
図6(a)と6(b)は、本発明に従って製造されたTiSiN薄膜におけるSi含有量についてのXRD解析結果を示す。特に、
図6(a)は4%のSi含有量を持つTiSiN薄膜に関して実行されたXRD解析の結果を示す。
図6(a)は、TiN(111)、TiN(200)、およびTiN(220)方向の結晶性を持つ結晶TiSiN薄膜を示す。
図6(b)は、20%のSi含有量を持つTiSiN薄膜に関して実行されたXRD解析の結果としてアモルファスTiSiN薄膜を示す。従って、TiSiN薄膜の中でSi含有量が増加するにつれて、結晶TiSiN薄膜はアモルファスTiSiN薄膜に変えられる。
一方、
図7(a)と7(b)は、
図6(a)と
6(b)で解析されたXRD試料のTEM解析の結果を示し、それらはTiSiN薄膜の結晶性に関するXRD結果をSi含有量についてサポートする。
【0028】
[第4の実施形態]
本発明に係るTiSiN薄膜は、厚さに従って同じSi含有量を持つように、または異なるSi含有量を持つように堆積されることができる。次の表3から表5は、含有量に違いを付けるための方法を示すプロセス条件である。
図8は、そのようなプロセス条件に基づいて製造されたTiSiN薄膜を示す断面図である。
【0032】
表3から表5に示すように、同じSi含有量を持つようにTiSiN薄膜を堆積させるための方法において、TiSiN薄膜を堆積させるとき、TiN堆積回数(x回)/SiN堆積回数(y回)とDCS供給流のようなTiSiN薄膜におけるSi含有量を調整するために必要とされる3つの条件を固定することができる。異なるSi含有量を持つようにTiSiN薄膜を堆積させるための方法において、TiSiN薄膜の厚さに基づいて異なるSi含有量を持つように3つの条件に違いを付ける。
TiSiN薄膜の厚さに基づくSi含有量の組み合わせは次の通りである。
TiSiN_1=TiSiN_2=TiSiN_3;
TiSiN_1≠TiSiN_2≠TiSiN_3;
TiSiN_1=TiSiN_2≠TiSiN_3;
TiSiN_1≠TiSiN_2≠TiSiN_3.
TiSiN_1、TiSiN_2、およびTiSiN_3の厚さは、2Åと100Åの間で調整可能である。
【0033】
[第5の実施形態]
異なる量のTiCl
4、Ar、NH
3、およびArが、
予熱された基板にそれぞれ10秒、40秒、60秒、および40秒の間連続して供給される。そのプロセスが14回繰り返され、TiN薄膜が形成される。DCS、Ar、NH
3、Arが、形成されたTiN薄膜の上にそれぞれ8秒、40秒、60秒、および40秒の間連続して供給される。そのプロセスが2回繰り返され、最終的にTiSiN薄膜が形成される。そのプロセスが5回繰り返され、TiSiN薄膜が堆積される。
この例では、サセプタの温度は670℃であり、堆積圧力は2トールである。TiSiN薄膜の形成に使用されるガスの分圧は、DCSが0.1トールであり、NH
3が0.58トールである。
【0034】
図9は、上述したTiSiN薄膜を製造するためのTiCl
4の供給量に対して薄膜の抵抗率の測定された変化を示す。
図9に示すように、TiCl
4の分圧が6×10
−4トールを超えるとき、抵抗率の増加は悪化する。その結果、TiCl
4の分圧を6×10
−4トールより下であるようにすることが確実である。けれども、TiSiN薄膜の適用範囲に基づいて、TiCl
4の分圧は9×10
−3トールまでであってもよい。
【0035】
[第6の実施形態]
予熱された基板上に、TiCl
4が10秒間、Arが40秒間、NH
3が60秒間、およびArが40秒間連続して供給される。そのプロセスが14回繰り返され、TiN薄膜が形成される。形成されたTiN薄膜上に、DCSがx秒間(0.4<x<30秒)、Arが40秒間、NH
3が60秒間、およびArが40秒間連続して供給される。そのプロセスが2回繰り返され、最終的にTiSiN薄膜が形成される。そのプロセスが5回繰り返され、TiSiN薄膜が堆積される。
この例では、サセプタの温度は670℃であり、堆積圧力は1トールである。また、TiSiN薄膜の形成に使用されるガスの分圧は、TiCl
4が5×10
−4トールであり、DCSが0.1トールであり、NH
3が0.58トールである。
【0036】
図10は、TiSiN薄膜のSi含有量に対して抵抗率の測定された変化を示す。
図10に示すように、TiSiN薄膜のSi含有量が20原子%以下であるとき、抵抗率が改善される。