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特許6200737ダイボンダ用ディッピング機構及びフリップチップボンダ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6200737
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】ダイボンダ用ディッピング機構及びフリップチップボンダ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20170911BHJP
【FI】
   H01L21/60 311T
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-191889(P2013-191889)
(22)【出願日】2013年9月17日
(65)【公開番号】特開2015-60860(P2015-60860A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】515085901
【氏名又は名称】ファスフォードテクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】石井 良英
【審査官】 堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−250730(JP,A)
【文献】 特開2013−074005(JP,A)
【文献】 特開2012−043904(JP,A)
【文献】 特開2011−060987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 21/52
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部が開放されフラックスを収納しているスキージと前記フラックスを収容する収容部を有するディッピングプレートを相対的に駆動手段で移動させ、前記底部から前記収容部に前記フラックスを供給するダイボンダ用ディッピング機構であって、
前記スキージを前記ディッピングプレートの平面に追随できるようにする2軸傾斜追随軸を有する追随手段と、前記スキージを2軸傾斜追随軸の回転軸を介してディッピングプレート側に押付ける押付手段とを有し、
前記追随手段は、前記移動する方向に回転軸を有する第1軸と、前記第1軸に直交し前記ディッピングプレートの平面に平行な回転軸を有する第2軸を直列に連結した構造を有する、
ことを特徴とするダイボンダ用ディッピング機構。
【請求項2】
底部が開放されフラックスを収納しているスキージと前記フラックスを収容する収容部を有するディッピングプレートを相対的に駆動手段で移動させ、前記底部から前記収容部に前記フラックスを供給するダイボンダ用ディッピング機構であって、
前記スキージを前記ディッピングプレートの平面に追随できるようにする2軸傾斜追随軸を有する追随手段と、前記スキージを2軸傾斜追随軸の回転軸を介してディッピングプレート側に押付ける押付手段とを有し、
前記追随手段は、前記移動する方向に回転軸を有する第1軸と、前記第1軸に直交し前記ディッピングプレートの平面に平行な回転軸を有する第2軸とを備える2軸自在継手である、
ことを特徴とするダイボンダ用ディッピング機構。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のダイボンダ用ディッピング機構であって、
前記押付手段は、一端側を前記2軸傾斜追随軸に接続され、他端側を前記2軸傾斜追随軸を上下に回転させる第3軸に接続されたフレームと、前記フレームを前記第3軸を軸として前記スキージを前記ディッピングプレート側に押付けるフレーム駆動源とを有し、前記押付手段は、前記第3軸を介して押付手段固定部に固定されている、
ことを特徴とするダイボンダ用ディッピング機構。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のダイボンダ用ディッピング機構であって、
前記押付手段は、一端側を前記2軸傾斜追随軸に接続されたフレームと、前記フレームを上下に移動し、前記2軸傾斜追随軸を前記ディッピングプレート側に押付けるフレーム駆動源とを有し、前記押付手段は、前記フレーム駆動源を介して押付部固定部に固定され
ている、
ことを特徴とするダイボンダ用ディッピング機構。
【請求項5】
請求項又はに記載のダイボンダ用ディッピング機構であって、
前記フレームは、口の字(4角形の囲み)形状を有する、
ことを特徴とするダイボンダ用ディッピング機構。
【請求項6】
請求項又はに記載のダイボンダ用ディッピング機構であって、
前記フレーム駆動源は、バネまたはエアシリンダである
ことを特徴とするダイボンダ用ディッピング機構。
【請求項7】
請求項又はに記載のダイボンダ用ディッピング機構であって、
前記駆動手段は、前記押付手段を支持する押付部ベースと前記ディッピングプレートを支持するディッピングベースのそれぞれの下方に設けられたプーリと、2つの前記プーリ間に配設されたベルトと、一端が前記ベルトに接続され他端が前記押付手段、前記ディッピングプレートのうちどちらか一方に接続された連結部と、2つの前記プーリのどちらか一方を駆動するプーリ駆動源とを有する、
ことを特徴とするダイボンダ用ディッピング機構。
【請求項8】
請求項に記載のダイボンダ用ディッピング機構であって、
前記連結部に接続された前記押付手段は、前記押付部ベースに設けられたガイドレールに沿って移動する、
ことを特徴とするダイボンダ用ディッピング機構。
【請求項9】
ウェハからバンプを有するダイをピックアップヘッドでピックアップし、ピックアップした前記ダイを反転し、ボンディングヘッドで前記ダイを受け取り、フラックスを塗布された前記バンプをワークの半田部にボンディングするフリップチップボンダであって、
前記ボンディングヘッドは、請求項1乃至のいずれか1項に記載のダイボンダ用ディッピング機構の前記収容部で前記バンプに前記フラックスを塗布する、
ことを特徴とするフリップチップボンダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダイボンダ用ディッピング機構及びフリップチップボンダに係わり、確実にフラックスを供給できるダイボンダ用ディッピング機構及びそれを用いた信頼性の高いフリップチップボンダに関する。
【背景技術】
【0002】
バンプを有する半導体ダイ(以下、単にダイという)を配線基板などのワークに搭載してパッケージを組み立てる工程の一部に、半導体ウェハ(以下、単にウェハという)からダイを分割する工程と、分割したバンプ付きダイをウェハからピックアップし、ダイを反転してバンプにフラックスを塗布して、基板上の半田にボンディングするボディング工程とがある。
【0003】
ボンディング工程の中にダイのバンプを有するバンプ面にフラックスを塗布するディッピング工程がある。ディッピング工程では、ボンディングヘッドが昇降し、ダイのバンプ面をフラックスが収納されている凹状の空洞に浸漬して行う。また、塗布によって失われる空洞のフラックスを補充するためにディッピング機構がある。ディッピング機構は、空洞を有するプレート上を、底部が開かれフラックスを収納した容器を移動させて行う。
このようなディッピング機構としては、特許文献1がある。
特許文献1のディッピング機構は、容器下部に設けられたピンをベースプレートの下部に設けられたガイドレール上を走行するスライドの窪みに係合させて、容器がプレート上を移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−504633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ディッピング機構では、バンプへのフラックスの浸漬高さを一様とする必要がある。そのために、ボンディングヘッドとベースプレート(ディッピングプレート)の平行度を保つために、ディッピングプレートの例えばアオリ調整が行われる。この結果、ディッピングプレートと容器(スキージ)とが平行でなくなり、スキージによる空洞ヘのフラックス供給が一様ではなくなる。フラックス供給が一様でなくなると、バンプへのフラックスの浸漬高さが一様でなくなる。スキージに平行度調整機構を設けることも考えられるが、その調整に時間を要する。
【0006】
特許文献1のディッピング機構は、左右のピンに設けられたバネで、ある程度左右のアオリ(傾斜)に対応できるが、所定以上になると対応できない。また、特に図8に示すようにガイドレールGとの距離が不変であるので、前後アオリ(傾斜)に対して対応できない。
【0007】
従って、本発明の目的は、自動的にスキージのディッピングプレートに対する平行度を保てるディッピング機構及びそのディッピング機構を有し、信頼度または稼働率の高いフリップチップボンダを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、少なくとも以下の特徴を有する。
本発明は、底部が開放されフラックスを収納しているスキージと前記フラックスを収容する収容部を有するディッピングプレートを相対的に駆動手段で移動させ、前記底部から前記収容部に前記フラックスを供給するダイボンダ用ディッピング機構であって、前記スキージを前記ディッピングプレートの平面に追随できるようにする2軸傾斜追随軸を有する追随手段と、前記スキージを2軸傾斜追随軸の回転軸を介してディッピングプレート側に押付ける押付手段とを有する、ことを特徴とする。
【0009】
また、前記追随手段は、前記移動する方向に回転軸を有する第1軸と、前記第1軸に直交し前記ディッピングプレートの平面に平行な回転軸を有する第2軸を直列に連結した構造を有してもよい。
さらに、前記追随手段は、前記移動する方向に回転軸を有する第1軸と、前記第1軸に直交し前記ディッピングプレートの平面に平行な回転軸を有する第2軸とを備える2軸自在継手であってもよい。
【0010】
また、前記押付手段は、一端側を前記2軸傾斜追随軸に接続され、他端側を前記2軸傾斜追随軸を上下に回転させる第3軸に接続されたフレームと、前記フレームを前記第3軸を軸として前記スキージを前記ディッピングプレート側に押付けるフレーム駆動源とを有し、前記押付手段は、前記第3軸を介して押付手段固定部に固定されていてもよい。
さらに、前記押付手段は、一端側を前記2軸傾斜追随軸に接続されたフレームと、前記フレームを上下に移動し、前記2軸傾斜追随軸を前記ディッピングプレート側に押付けるフレーム駆動源とを有し、前記押付手段は、前記フレーム駆動源を介して押付部固定部に固定されていてもよい。
【0011】
また、前記フレームは、口の字(4角形の囲み)形状をしてもよい、
さらに、前記駆動手段は、前記押付手段を支持する押付部ベースと前記ディッピングプレートを支持するディッピングベースのそれぞれの下方に設けられたプーリと、2つの前記プーリ間に配設されたベルトと、一端が前記ベルトに接続され他端が前記押付手段、前記ディッピングプレートのうちどちらか一方に接続された連結部と、2つの前記プーリのどちらか一方を駆動するプーリ駆動源とを有してもよい。
【0012】
また、本発明は、ウェハからバンプを有するダイをピックアップヘッドでピックアップし、ピックアップした前記ダイを反転し、ボンディングヘッドで前記ダイを受け取り、フラックスを塗布された前記バンプをワークの半田部にボンディングするフリップチップボンダであって、前記ボンディングヘッドは、請求項1乃至9のいずれかに記載のディッピング機構の前記収容部で前記バンプに前記フラックスを塗布する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
従って、本発明によれば、自動的にスキージのディッピングプレートに対する平行度を保てるディッピング機構及びそのディッピング機構を有し、信頼度または稼働率の高いフリップチップボンダを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態であるフリップチップボンダの概略上面図である。
図2図1において矢印A方向から見たときに、ピックアップヘッド及びボンディングヘッドの動作を説明する図である。
図3】本発明の一実施形態であるダイ供給部の主要部を示す概略断面図である。
図4図2において、矢印Bに示すようにディッピング機構を紙面手前側から見た鳥瞰図である。
図5図4をY方向から見た側面図であり、スキージが最も左側にいる時の状態を示す図である。
図6図5と同様に図4をY方向から見た側面図であり、スキージが右側から最も左側に移動した状態を示す図である。
図7】本発明の実施例における効果を説明する図である。
図8】従来技術の課題を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明の一実施形態であるフリップチップボンダ10の概略上面図である。図2は、図1において矢印A方向から見たときに、ピックアップヘッド21及びボンディングヘッド41の動作を説明する図である。
ダイボンダ10は、大別して、ダイ供給部1と、ピックアップ部2、反転機構部3と、ボンディング部4と、搬送部5、基板供給部6Kと、基板搬出部6Hと、ディッピング機構8と、各部の動作を監視し制御する制御部7と、を有する。
【0016】
まず、ダイ供給部1は、基板P等のワークに実装するダイDを供給する。ダイ供給部1は、ウェハ11を保持するウェハ保持台12と、ウェハ11からダイDを突き上げる点線で示す突き上げユニット13と、を有する。ダイ供給部1は、図示しない駆動手段によってXY方向に移動し、ピックアップするダイDを突き上げユニット13の位置に移動させる。
【0017】
ピックアップ部2は、ダイ供給部1からダイDを吸着するコレット部22と、コレット部22を先端に備えダイをピックアップするピックアップヘッド21と、ピックアップヘッド21をY方向に移動させるY駆動部23と、ダイDを反転させる反転機構部24とを有する。なお、ピックアップヘッド21は、コレット部22を昇降、回転及びX方向移動させる図示しない各駆動部を有する。
【0018】
反転機構部24は、図2に破線で示すように、ピックアップヘッド21を180度回転させ、ダイDのパンプを反転させて下面に向け、ダイDをボンディングヘッド41に渡す姿勢にする。
【0019】
ボンディング部4は、反転したダイDをピックアップヘッド21から受けとり、ディッピング機構でフラックスFを塗布し、搬送されてきたワークの半田部にボンディングする。ボンディング部4は、ピックアップヘッド21と同様にダイDを先端に吸着保持するコレット部42を備えるボンディングヘッド41と、ボンディングヘッド41をY方向に移動させるY駆動部43と、ワークの位置認識マーク(図示せず)を撮像し、ボンディング位置を認識する基板認識カメラ44とを有する。
【0020】
このような構成によって、ボンディングヘッド41は、図示しないステージ認識カメラの撮像データに基づいてピックアップ位置・姿勢を補正し、ピックアップヘッドから反転したダイDを受け取り、基板認識カメラ44の撮像データに基づいて基板PにダイDをボンディングする。ボンディングヘッド41は、上記動作中に、後述するディッピング機構8に移動しバンプDbにフラックスFを塗布する。
【0021】
搬送部5は、一枚又は複数枚の基板P(図1では4枚)を載置した基板搬送パレット51と、基板搬送パレット51が移動するパレットレール52とを具備し、並行して設けられた同一構造の第1、第2搬送部とを有する。基板搬送パレット51は、基板搬送パレット51に設けられた図示しないナットをパレットレール52に沿って設けられた図示しないボールネジで駆動することによって移動する。
【0022】
このような構成によって、基板搬送パレット51は、基板供給部6Kで基板Pを載置し、パレットレール52に沿ってボンディング位置まで移動し、ボンディング後基板搬出部6Hまで移動して、基板搬出部6Hに基板Pを渡す。第1、第2搬送部は、互いに独立して駆動され、一方の基板搬送パレット51に載置された基板PにダイDをボンディング中に、他方の基板搬送パレット51は、基板Pを搬出し、基板供給部6Kに戻り、新たな基板Pを載置するなどの準備を行なう。
【0023】
図3は、ダイ供給部1の主要部を示す概略断面図である。図3に示すように、ダイ供給部1は、ウェハリング14を保持するエキスパンドリング15と、ウェハリング14に保持され複数のダイDが粘着されたダイシングテープ16を水平に位置決めする支持リング17と、ダイDを上方に突き上げるための突き上げユニット13とを有する。所定のダイDをピックアップするために、突き上げユニット13は、図示しない駆動機構によって上下方向に移動し、ダイ供給部1は水平方向に移動するようになっている。
【0024】
ダイ供給部1は、ダイDの突き上げ時に、ウェハリング14を保持しているエキスパンドリング15を下降させる。その結果、ウェハリング14に保持されているダイシングテープ16は引き伸ばされ、ダイDの間隔は広がる。そのような状態で、突き上げユニット13によりダイ下方よりダイDを突き上げることにより、ダイ供給部1はダイDのピックアップ性を向上させている。
【0025】
なお、ダイDの薄型化に伴い、ダイDを基板Pへ接着する際に用いられる接着剤は、液状のものからフィルム状のものが用いられる場合が多くなり、ダイアタッチフィルムDAFと呼ばれるフィルムがダイDとダイシングテープ16との間に設けられている場合がある。ダイアタッチフィルムDAFはフィルム状の粘着材料を貼り付け、複数のダイDを保持している。ダイアタッチフィルムDAFを有するウェハ11では、ダイシングはウェハとダイアタッチフィルムDAFに対して行なわれる。
【0026】
以下、本発明の実施形態の特徴であるディッピング機構8の構成と動作を説明する。
図4乃至図6を用いてディッピング機構8の実施例を説明する。図4は、図2において、矢印Bに示すようにディッピング機構8を紙面手前側から見た鳥瞰図である。図5は、図4をY方向から見た側面図であり、スキージ81が最も左側にいる時の状態を示す図である。図6は、図5と同様に図4をY方向から見た側面図であり、スキージ81が右側から最も左側に移動した状態を示す図である。
【0027】
ディッピング機構8は、大別して、スキージ81と、スキージ81が摺動するディッピング部82、スキージ81をディッピングプレート82p面に追随させながら移動させる追随部83、スキージ81を移動させる駆動部84とを有する。スキージとディッピングプレートとは、互いに摺慟するので、少なくとも一方の摺動面は、摩擦の小さい材料で製作するのが望ましい。
【0028】
スキージ81は、フラックスFが均一に充填され、底部に設けられた開放口から収容部82dにフラックスFを均一に補充する。底部の開放口は、収容部82dのY方向の幅W以上の長辺を有する。フラックスFは十分な粘度を有しており、開放口から落下することはない。
【0029】
収容部82dは、スキージ81が摺動するディッピングプレート82pに設けられ、凹状の形状を有する。ボンディングヘッド41は、収容部82dに降下し、ダイDのバンプDbを浸漬させる。図4では、収容部82dは、一箇所しか設けられていないが、複数個設けてもよい。収容部82dの深さは、バンプDbの厚さtのおよそ1/2から2/3の深さを有する。例えば、t=60μmならば、収容部82dの深さはおよそ30μmから40μmとなる。
【0030】
また、ディッピング部82は、後述する追随部83によってスキージ81が移動できるように、ディッピングプレート82pを嵩上げする嵩上げプレート82kと、ディッピング部82をフリップチップボンダ10の機構部に固定するディッピングベース82fを有する。
【0031】
追随部83は、3つの回転軸を有する。第1は、ディッピングプレート82pのX方向の傾斜に追随するX傾斜追随軸83x、第2は、ディッピングプレート82pのY方向の傾斜に追随するY傾斜追随軸83y、第3は、X傾斜追随軸とY傾斜追随軸がそれぞれの傾斜に対して追随できるように、両軸をディッピングプレート82dに押付ける押付軸83pである。
【0032】
X傾斜随時軸83xは、コの字状の形状を有するコの字状フレーム83xfにコの字の平行する上下の辺に回転軸83xjを有し、この回転軸によってスキージ81を支持している。Y傾斜追随軸83yは、コの字状のフレーム83xfの縦辺の中心に回転軸83yjを有する。押付軸83pは、口の字(4角形の囲み)形状を有する口の字状フレーム83pfのY方向辺のうちスキージ81側から離れた辺83pmに回転軸83pjを、スキージ側のY方向辺83psの中心にY傾斜追随軸83yの回転軸83yjをそれぞれ有する。なお、押付軸83pは、辺83pmを介して押付部固定板83pkに固定されている。押付部固定板83pkは、後述する駆動部84のスライド84sに固定され、口の字状フレーム83pf全体がX方向に移動可能となる。
【0033】
押付軸83pは、スキージ81をディッピングプレート82pに押付けるために、口の字状フレーム83pfを図面下側に押付けるバネ部83pbを有する。バネ部83pbは、その底部が押付部固定板83pkに固定されたスキージ81側に延在する下部固定部83pdと、口の字状フレーム83pfのX方向の2辺を結ぶ上部固定板83puとで固定されている。また、バネ部83pbは、頭部と上部固定板83puとの間に圧縮バネ83pa(口の字状フレーム駆動源)を有し、上部固定板83puを下方に押付けている。
【0034】
この構成により、口の字状フレーム83pfは、上部固定板83puを介して常に図面下方に押付けられている。この結果、回転軸83yj、83xjが下に押付けられ、スキージ81は、ディッピングプレート82pの表面にならうことができる。また、例え、ディッピングプレート82pが上下しても、スキージ81は、ディッピングプレート82pの表面にならうことができる。
【0035】
駆動部84は、押付部固定板83pkに固定されるスライド84sと、押付部ベース84b上の両側に設けられたガイドレール84r上を移動させて、スキージ81をX方向に移動させる。スライド84sは、連結板84tを介して駆動ベルト84vに固定されている。駆動ベルト84vは、駆動モータ84mの駆動軸と、ディッピングベース82fの下部とに回転軸に設けられたプーリ84pm、84pf間を駆動モータ84mによって移動する。
【0036】
図6は、スキージ81が図5の状態からフラックスFの収容部82dの右端に移動した状態を示す。ガイドレール84r及び口の字状フレーム83pfのX方向の長さは、少なくともスキージ81が収容部82dのX方向の長さをカバーできる長さが必要である。勿論、収容部82dが複数ある場合には、その複数の収容部82dをカバーする長さが必要である。
【0037】
以上説明した追随部83、駆動部84によって、ディッピングプレート82pがXY平面に対して傾斜しても、或いはZ方向にズレたとしても、スキージ81は、ディッピングプレート82面上をならって摺動することができる。図8は、分かり易いX方向の傾斜(あおり)に注目して本実施例の効果を示したものである。本実施例では、口の字状フレーム83pfを回転させる押付軸83pを有し、その押付軸がガイドレール84rとスキージ81との距離の変動を吸収してくれるので、スキージ81は、常にディッピングプレート82pにならって摺動できるので、余分なフラックスを排出することなく、収容部82dのみに供給することができる。また、その結果、装置の信頼度を向上させることができる。
【0038】
さらに、スキージ81は、常にディッピングプレート82pにならって摺動できるので、スキージ81の傾斜などの調整をする必要がなく、装置の稼働率を向上させることができる。
【0039】
以上説明した実施例では、ディッピングプレート82pのXY平面に対する傾斜にスキージを追随できるようにする2軸傾斜傾追随軸として、2軸を分離し、スキージ81側にX傾斜随時軸83xを設けたが、Y傾斜追随軸83yを設けてもよい。また、2軸傾斜傾追随軸として、2軸を分離せず、ユニバーサルジョイントなどの2軸自在継手を用いてもよい。
【0040】
また、以上説明した実施例では、2軸傾斜追随軸によってスキージ81がディッピングプレート82pの表面の傾斜に追随できるように、押付軸83pの回転軸83pjとして口の字状フレーム83pfを回転させてX傾斜随時軸83x、Y傾斜随時軸83yの回転軸83xj、83yjを介してスキージをディピングプレート側に押しつけた。要は、X傾斜随時軸83x、Y傾斜随時軸83yの回転軸83xj、83yj或いは2軸自在継手の回転軸を介してスキージをディピングプレート側に押付ける手段があればよい。
【0041】
例えば、口の字状フレーム83pfを回転させずに平行に押下げる口の字状フレーム駆動源を用いてもよい。その場合は、例えば、回転軸83pjが存在しているフレーム83pmは、押付部固定板83pkに固定せず、口の字状フレーム83pfは、下部固定部83pdと上部固定板83puとの間に設けられた引張バネ(口の字状フレーム駆動源)を介して押付部固定板83pkに固定される。
【0042】
以上のことにより、本実施の形態におけるディッピング機構は、スキージがディッピングプレートの平面に追随できるようにする2軸傾斜追随軸と、スキージを2軸傾斜追随軸の回転軸を介してディッピングプレート側に押付ける押付手段を有する。
【0043】
また、以上説明した実施例では、スキージ81を移動させたが、ディッピングプレート82pを移動させてもよい。例えば、その構成としては、口の字状フレーム83pfを押付部ベースに固定し、ガイドレール84をディッピングベース82f上まで延長して、連結板84tに直接的または間接的に連結したディッピングプレートがガイドレール上を走行する構成とする。
【0044】
さらに、以上説明した実施例では、口の字状フレーム駆動源として圧縮バネまたは引張バネをバネでなくエアシリンダなどを用いてもよい。
【0045】
以上のように本発明の実施例について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0046】
1:ダイ供給部 2:ピックアップ部
24:反転機構部 4:ボンディング部
41:ボンディングヘッド 42:コレット部
7:制御部 8:ディッピング機構
10:フリップチップボンダ 11:ウェハ
81:スキージ 82:ディッピング部
82d:収容部 82f:ディッピングベース
82k:嵩上げプレート 82p:ディッピングプレート
83:追随部 83b:押付部ベース
83p:押付軸 83pa:圧縮バネ
83pb:バネ部 83pd:下部固定部
83pf:口の字状フレーム 83pk:押付部固定板
83pu:上部固定板
83pm、83ps:口の字状フレームのY方向の辺
83x:X傾斜追随軸 83xf:コの字状フレーム
83xj:回転軸 83y:Y傾斜追随軸
83yj:回転軸 84:駆動部
84m:駆動モータ 84pf、84pm:プーリ
84r:ガイドレール 84s:スライド
84t:連結板 84v:駆動ベルト
D:ダイ Db:バンプ
F:フラックス P:基板
W:収容部の幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8