特許第6200744号(P6200744)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6200744
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】送信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/0413 20170101AFI20170911BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20170911BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   H04B7/0413
   H04B7/06 780
   H04L27/26 100
【請求項の数】1
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-200584(P2013-200584)
(22)【出願日】2013年9月26日
(65)【公開番号】特開2015-70332(P2015-70332A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年8月3日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】成清 善一
(72)【発明者】
【氏名】本田 円香
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 宏明
(72)【発明者】
【氏名】実井 仁
(72)【発明者】
【氏名】高田 政幸
(72)【発明者】
【氏名】中村 直義
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 知弘
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 一彦
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 慎悟
(72)【発明者】
【氏名】蔀 拓也
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 進
【審査官】 北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−218718(JP,A)
【文献】 特開2010−219662(JP,A)
【文献】 特開2013−055375(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/035336(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/0413
H04B 7/06
H04L 27/26
CiNii
IEEE Xplore
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの送信アンテナを備え、送信対象のデータの送信信号のそれぞれを該2つの送信アンテナから送信するように構成されているMIMO伝送方式で用いられる送信装置であって、
前記送信対象のデータに対して所定の変調方式によるキャリア変調処理を施すように構成されているキャリア変調部と、
前記キャリア変調部によってキャリア変調処理が施された信号を、前記2つの送信アンテナに対応する2つの送信系統に分割するように構成されている分割部と、
分割された各送信系統の信号を構成する全ての情報を含むように該各送信系統の信号を変換する送信アンテナ間拡散処理を行うように構成されている送信アンテナ間拡散部と、
前記送信アンテナ間拡散部によって送信アンテナ間拡散処理が行われた前記各送信系統の信号に対して所定処理を施すことによって生成された前記送信信号のそれぞれを前記2つの送信アンテナを介して送信するように構成されている送信部とを具備し、
前記送信アンテナ間拡散部は、以下の(式B)によって、前記2つの送信系統の各々における2つキャリア分の信号に対して送信アンテナ間拡散処理を行うように構成されていることを特徴とする送信装置。
【数B】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、地上デジタル放送等の無線伝送技術の1つとして、複数の送信アンテナ及び複数の受信アンテナを用いる多入力多出力(MIMO:Multiple Input Multiple Output)方式の送受信技術が知られている。
【0003】
図9(a)に、MIMO伝送方式で用いられる送信装置の機能ブロックの一例を示す。
【0004】
図9(a)に示すように、かかる送信装置は、キャリア変調処理が施された信号を2つの送信系統に分割し、各送信系等の信号に対して、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)フレーム化処理やIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)処理やGI(Guard Interval)付加処理を施した後、送信アンテナ#1及び#2を介して送信するように構成されている。
【0005】
すなわち、2つの送信アンテナ#1及び#2からは、異なる映像音声データを含む送信信号が送信されるように構成されている。
【0006】
一方、図9(b)に、MIMO伝送方式で用いられる受信装置の機能ブロックの一例を示す。
【0007】
図9(b)に示すように、かかる受信装置は、2つの受信アンテナ#1及び#2を介して受信した受信信号に対して、GI除去処理やFFT処理や伝搬路推定処理を施した後、2つの伝送路推定値H及び受信信号に基づいて、QR分解やLLR(Log Likelihood Rate、対数尤度比)算出等の信号分離処理を行い、かかるLLRに基づいて、誤り訂正処理を行うように構成されている。
【0008】
ここで、MIMO伝送方式では、送信アンテナ#1及び#2によって送信される送信信号をx及びxとし、受信アンテナ#1及び#2によって受信される受信信号をy及びyとすると、図9(c)に示す式が成立する。
【0009】
ここで、h11は、送信アンテナ#1と受信アンテナ#1との間の伝搬路であり、h12は、送信アンテナ#2と受信アンテナ#1との間の伝搬路であり、h21は、送信アンテナ#1と受信アンテナ#2との間の伝搬路であり、h22は、送信アンテナ#2と受信アンテナ#2との間の伝搬路である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「回転型シンボルマッピングをISDB-Tに適用した場合の一検討」、成清善一他、電子情報通信学会総合大会、2009年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のように、MIMO伝送方式では、受信アンテナ#1によって受信される受信信号yは、y=h11+x12となり、受信アンテナ#2によって受信される受信信号yは、y=h21+x22となる。
【0012】
ここで、伝搬路h11及びh12が同じ場合(例えば、伝搬路h11及びh12が共に1である場合)、受信アンテナ#1及び#2によって受信される受信信号yは、y=x+xとなる。
【0013】
また、キャリア変調方式としてQPSKが用いられる場合、図10(a)に示すように、送信アンテナ#1/#2の各々から4つのパターン(00)、(01)、(10)、(11)の送信信号が送信され得るため、本来であれば、送信アンテナ#1及び#2によって送信される送信信号の組み合わせとしては、4×4=16のパターンが存在し得る。
【0014】
ここで、パターン(00)の送信信号のIQ平面における座標位置は、(1,1)であり、パターン(10)の送信信号のIQ平面における座標位置は、(−1,1)であり、パターン(11)の送信信号のIQ平面における座標位置は、(−1,−1)であり、パターン(01)の送信信号のIQ平面における座標位置は、(1,−1)である。
【0015】
しかしながら、かかる場合、図10(b)及び図10(c)に示すように、受信アンテナ#1及び#2の各々は、9パターンの受信信号しか検出することができないという問題点があった。
【0016】
例えば、送信信号xが(00)(IQ平面における座標位置(1,1))であり、送信信号x=(11)(IQ平面における座標位置(−1,−1))である場合、受信アンテナ#1及び#2の各々において検出される受信信号y及びyの座標位置は(0,0)となる(y及びy=1−1+1−1)。
【0017】
また、送信信号xが(01)(IQ平面における座標位置(1,−1))であり、送信信号x=(10)(IQ平面における座標位置(−1,1))である場合、受信アンテナ#1及び#2の各々において検出される受信信号y及びyの座標位置は(0,0)となる(y及びy=1−1−1+1)。
【0018】
また、送信信号xが(10)(IQ平面における座標位置(−1,1))であり、送信信号x=(01)(IQ平面における座標位置(1,−1))である場合、受信アンテナ#1及び#2の各々において検出される受信信号y及びyの座標位置は(0,0)となる(y及びy=−1+1+1−1)。
【0019】
例えば、送信信号xが(11)(IQ平面における座標位置(−1,−1))であり、送信信号x=(00)(IQ平面における座標位置(1,1))である場合、受信アンテナ#1及び#2の各々において検出される受信信号y及びyの座標位置は(0,0)となる(y及びy=−1+1−1+1)。
【0020】
これは、同一の受信信号y及びyの座標位置(0,0)から、4つの送信アンテナ#1及び#2によって送信される送信信号の組み合わせのパターンが考えられるということである。かかる場合、受信装置は、受信C/N(Carrier to Noize ratio)=∞であっても、上述の送信信号の組み合わせのパターンを識別することができない。
【0021】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、MIMO伝送方式で用いられる受信装置において、全ての送信信号の組み合わせのパターンを識別することを可能とする送信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の第1の特徴は、複数の送信アンテナを備え、送信対象のデータの送信信号のそれぞれを該複数の送信アンテナから送信するように構成されているMIMO伝送方式で用いられる送信装置であって、前記送信対象のデータに対して所定の変調方式によるキャリア変調処理を施すように構成されているキャリア変調部と、前記キャリア変調部によってキャリア変調処理が施された信号を、前記複数の送信アンテナに対応する送信系統に分割するように構成されている分割部と、分割された各送信系統の信号を構成する全ての情報を含むように該各送信系統の信号を変換する送信アンテナ間拡散処理を行うように構成されている送信アンテナ間拡散部と、前記送信アンテナ間拡散部によって送信アンテナ間拡散処理が行われた前記各送信系統の信号に対して所定処理を施すことによって生成された前記送信信号のそれぞれを前記複数の送信アンテナを介して送信するように構成されている送信部とを具備することを要旨とする。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、MIMO伝送方式で用いられる受信装置において、全ての送信信号の組み合わせのパターンを識別することを可能とする送信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1の実施形態に係る送信装置の機能ブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る送信装置によって行われる送信アンテナ間拡散処理について説明するための図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る送信装置によって行われる送信アンテナ間拡散処理について説明するための図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る送信装置の機能ブロック図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る送信装置によって行われる送信アンテナ間拡散処理について説明するための図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る送信装置によって行われる送信アンテナ間拡散処理について説明するための図である。
図7】本発明の第3の実施形態に係る送信装置の機能ブロック図である。
図8】本発明の変更例に係る送信装置によって行われる送信アンテナ間拡散処理について説明するための図である。
図9】従来技術を説明するための図である。
図10】従来技術を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(本発明の第1の実施形態)
図1乃至図3を参照して、本発明の第1の実施形態に係る送信装置10について説明する。
【0026】
本実施形態に係るデジタル放送システムは、次世代地上放送方式に対応するデジタル放送システムであって、図1に示す送信装置10及び受信装置を具備している。例えば、送信装置10は、放送局に設置され、受信装置は、各家庭等に設置されることが想定される。
【0027】
また、本実施形態に係る送信装置10は、2つの送信アンテナ#1/#2を備え、MIMO伝送方式で用いられるように構成されている、すなわち、送信対象のデータの送信信号のそれぞれを2つの送信アンテナ#1/#2から送信するように構成されている。
【0028】
具体的には、図1に示すように、本実施形態に係る送信装置10は、誤り訂正外符号符号化部10Aと、誤り訂正内符号符号化部10Bと、キャリア変調部10Cと、分割部10Dと、送信アンテナ間拡散部10Eと、OFDMフレーム化部11F/12Fと、IFFT部11G/12Gと、GI付加部11H/12Hと、送信部11I/12Iとを具備している。
【0029】
誤り訂正外符号符号化部10Aは、入力された映像音声データ(送信対象のデータ)に対して、リードソロモン符号やBCH符号等の外符号を用いて符号化処理を施すように構成されている。
【0030】
誤り訂正内符号符号化部10Bは、誤り訂正外符号符号化部10Aから入力された符号化データに対して、所定の符号化率(例えば、1/2)にて、LDPC符号やターボ符号や畳み込み符号等の内符号を用いて符号化処理を施すように構成されている。
【0031】
キャリア変調部10Cは、誤り訂正内符号符号化部10Bから入力された符号化データに対して、QPSKや16QAM等の所定の変調方式によるキャリア変調処理を施し、かかる符号化データをIQ軸のコンスタレーション上にマッピングするように構成されている。
【0032】
分割部10Dは、キャリア変調部10Cから入力されたデータ(すなわち、キャリア変調部10によってキャリア変調を施されIQ軸のコンスタレーション上にマッピングされたデータ)を、2つの送信アンテナ#1/#2に対応する異なる送信系統TX1/TX2の信号に分割するように構成されている。
【0033】
送信アンテナ間拡散部10Eは、分割部10Dから入力された2つの送信系統TX1/TX2の信号に対して、送信アンテナ間拡散処理を施すように構成されている。
【0034】
ここで、送信アンテナ間拡散処理は、各送信系統TX1/TX2の信号を構成する全ての情報(キャリア変調処理が施された後の各送信系統TX1/TX2の信号を構成するI軸及びQ軸の値の全て)を含むように各送信系統TX1/TX2の信号を変換する処理である。
【0035】
例えば、図1図2(a)及び図2(b)に示すように、送信アンテナ間拡散部10Eは、送信系統TX1の入力信号A及び送信系統TX2の入力信号Bを、送信系統TX1の出力信号X及び送信系統TX2の出力信号Yに変換するように構成されている。ここで、入力信号A及び入力信号Bは、同一周波数の信号であるものとする。
【0036】
具体的には、送信アンテナ間拡散部10Eは、図3(a)又は図3(b)に示す式を用いて、送信系統TX1の入力信号A及び送信系統TX2の入力信号Bを、送信系統TX1の出力信号X及び送信系統TX2の出力信号Yに変換するように構成されている。
【0037】
図3(a)及び図3(b)に示す式において、α及びβは、キャリア変調処理が施された後の送信系統TX1の入力信号Aを構成するI軸及びQ軸の値であり、γ及びδは、キャリア変調処理が施された後の送信系統TX2の入力信号Bを構成するI軸及びQ軸の値である。すなわち、かかる送信系統TX1の入力信号Aは、(α,β)と表現でき、かかる送信系統TX2の入力信号Bは、(γ,δ)と表現できる。
【0038】
図3(a)及び図3(b)に示す式から分かるように、送信系統TX1の出力信号Xは、上述の送信系統TX1の入力信号Aを構成するI軸及びQ軸の値α/βと、上述の送信系統TX2の入力信号Bを構成するI軸及びQ軸の値γ/δとを含んでいる。
【0039】
同様に、送信系統TX2の出力信号Yも、上述の送信系統TX1の入力信号Aを構成するI軸及びQ軸の値α/βと、上述の送信系統TX2の入力信号Bを構成するI軸及びQ軸の値γ/δとを含んでいる。
【0040】
OFDMフレーム化部11Fは、送信アンテナ間拡散部10Eから入力された送信系統TX1の出力信号Xに対して、パイロット信号等を付加すると共に、予め設定された周波数の位置に配置することによって、OFDMフレームを生成するように構成されている。
【0041】
同様に、OFDMフレーム化部12Fは、送信アンテナ間拡散部10Eから入力された送信系統TX2の出力信号Yに対して、パイロット信号等を付加すると共に、予め設定された周波数の位置に配置することによって、OFDMフレームを生成するように構成されている。
【0042】
IFFT部11Gは、OFDMフレーム化部11Fから入力されたOFDM信号に対して、IFFT処理を施すことによって、周波数軸データから時間軸データに変換するように構成されており、IFFT部12Gは、OFDMフレーム化部12Fから入力されたOFDM信号に対して、IFFT処理を施すことによって、周波数軸データから時間軸データに変換するように構成されている。
【0043】
GI付加部11Hは、IFFT部11Gから入力された時間軸データに変換されたOFDM信号に対してGI付加処理を施すように構成されており、GI付加部12Hは、IFFT部12Gから入力された時間軸データに変換されたOFDM信号に対してGI付加処理を施すように構成されている。
【0044】
送信部11Iは、送信系統TX1の信号に対して所定処理(OFDMフレーム化処理やIFFT処理やGI付加処理等)を施すことによって生成された送信信号を送信アンテナ#1を介して送信するように構成されており、送信部12Iは、送信系統TX2の信号に対して所定処理(OFDMフレーム化処理やIFFT処理やGI付加処理等)を施すことによって生成された送信信号を送信アンテナ#2を介して送信するように構成されている。
【0045】
なお、本実施形態に係る送信装置10では、時間インターリーブ処理や周波数インターリーブ処理等を行う機能が含まれていないが、これらの機能が含まれていてもよい。
【0046】
本実施形態に係る送信装置10によれば、MIMO伝送方式で用いられる受信装置において、全ての送信信号の組み合わせのパターンを識別することを可能となる。
【0047】
ここで、本実施形態に係る送信装置10によれば、送信アンテナ#1/#2のそれぞれで、各送信系統TX1/TX2の信号を構成する全ての情報α/β/γ/δを送信するように構成されているため、伝送レートは変わらない。
【0048】
なお、本実施形態に係る送信装置10によって送信される送信信号は、2つの受信アンテナを備えており、MIMO伝送方式に対応可能な従来の受信装置によって受信され得る。
【0049】
(本発明の第2の実施形態)
図4乃至図6を参照して、本発明の第2の実施形態に係る送信装置10について、上述の第1の実施形態に係る送信装置10との相違点に着目して説明する。
【0050】
本実施形態に係る送信装置10では、図4図5(a)及び図5(b)に示すように、送信アンテナ間拡散部10E1は、2つの送信系統TX1/TX2の各々における2つキャリア分の信号A/B/C/Dに対して送信アンテナ間拡散処理を施すように構成されている。
【0051】
すなわち、送信アンテナ間拡散部10E1は、送信系統TX1の入力信号A/B及び送信系統TX2の入力信号C/Dを、送信系統TX1の出力信号X/Y及び送信系統TX2の出力信号Z/Wに変換するように構成されている。
【0052】
例えば、送信アンテナ間拡散部10E1は、図6に示す式を用いて、送信系統TX1の入力信号A/B及び送信系統TX2の入力信号C/Dを、送信系統TX1の出力信号X/Y及び送信系統TX2の出力信号Z/Wに変換するように構成されている。
【0053】
その結果、送信系統TX1の出力信号X/Y及び送信系統TX2の出力信号Z/Wは、送信系統TX1の入力信号A/B及び送信系統TX2の入力信号C/Dを構成する全ての情報を含むことになる。
【0054】
(本発明の第3の実施形態)
図5乃至図7を参照して、本発明の第3の実施形態に係る送信装置10について、上述の第1の実施形態に係る送信装置10との相違点に着目して説明する。
【0055】
本実施形態に係る送信装置10では、図7に示すように、分割部10Dは、キャリア変調部10Cによってキャリア変調処理が施された信号を4つの送信アンテナ#1/#2/#3/#4に対応する4つの送信系統TX1/TX2/TX3/TX4に分割するように構成されている。
【0056】
また、本実施形態に係る送信装置10では、図5(a)、図5(b)及び図7に示すように、送信アンテナ間拡散部10E2は、図6に示す式によって、4つの送信系統TX1/TX2/TX3/TX4の信号A/B/C/D(1キャリア分の信号)に対して送信アンテナ間拡散処理を行うように構成されている。
【0057】
すなわち、送信アンテナ間拡散部10E2は、図6に示す式を用いて、送信系統TX1の入力信号A、送信系統TX2の入力信号B、送信系統TX3の入力信号C及び送信系統TX4の入力信号Dを、送信系統TX1の出力信号X、送信系統TX2の出力信号Y、送信系統TX3の出力信号Z及び送信系統TX4の出力信号Wに変換するように構成されている。
【0058】
その結果、送信系統TX1/TX2/TX3/TX4の出力信号X/Y/Z/Wは、送信系統TX1/TX2/TX3/TX4の入力信号A/B/C/Dを構成する全ての情報を含むことになる。
【0059】
(変更例)
図8を参照して、本発明の変更例に係る送信装置10について、上述の第1〜第3の実施形態に係る送信装置10との相違点に着目して説明する。
【0060】
上述の実施形態に係る送信装置10では、分割部10Dが、キャリア変調部10Cから入力されたデータを2つ又は4つの送信系統の信号に分割し、送信アンテナ間拡散部10E(或いは、10E1/10E2。以下、同じ)が、これらの送信系統の信号の各々に対して送信アンテナ間拡散処理を施すように構成されているが、本発明に係る送信装置10は、これらのケースに限定されるものではない、すなわち、本発明に係る送信装置10において、送信アンテナ間拡散部10Eは、8以上の送信系統の信号に対して送信アンテナ間拡散処理を施すことができる。
【0061】
すなわち、上述の実施形態に係る送信装置10では、送信アンテナ間拡散部10Eは、図8に示す行列式Rや行列式Rを用いて、上述の送信系統の信号の各々に対して送信アンテナ間拡散処理を施すように構成されているが、本発明に係る送信装置10は、これらのケースに限定されるものではない。
【0062】
例えば、図8に示すように、送信アンテナ間拡散部10Eは、行列式Rを用いて、8つの送信系統の信号(或いは、4つの送信系統の各々における2チャネル分の信号や、2つの送信系統の各々における4チャネル分の信号等)の各々に対して送信アンテナ間拡散処理を施すように構成されていてもよい。
【0063】
図8に示すように、かかる行列式Rは、上述の行列式Rを用いて生成され、かかる行列式Rは、上述の行列式Rを用いて生成され得る。このように、2(n+1)個の送信系統の信号に対する送信アンテナ間拡散処理で用いられる行列式R2(n+1)は、2n個の送信系統の信号に対する送信アンテナ間拡散処理で用いられる行列式R2nを用いて生成され得る。
【0064】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0065】
本実施形態の第1の特徴は、複数の送信アンテナを備え、送信対象のデータの送信信号のそれぞれを複数の送信アンテナから送信するように構成されているMIMO伝送方式で用いられる送信装置10であって、送信対象のデータに対して所定の変調方式によるキャリア変調処理を施すように構成されているキャリア変調部10Cと、キャリア変調部10Cによってキャリア変調処理が施された信号を複数の送信アンテナに対応する送信系統に分割するように構成されている分割部10Dと、分割された各送信系統の信号を構成する全ての情報を含むように各送信系統の信号を変換する送信アンテナ間拡散処理を行うように構成されている送信アンテナ間拡散部10Eと、送信アンテナ間拡散部10Eによって送信アンテナ間拡散処理が行われた各送信系統の信号に対して所定処理を施すことによって生成された送信信号のそれぞれを複数の送信アンテナを介して送信するように構成されている送信部11Hとを具備することを要旨とする。
【0066】
本実施形態の第1の特徴において、2つの送信アンテナ#1/#2が備えてられており、分割部10Dは、キャリア変調部10Cによってキャリア変調処理が施された信号を2つの送信アンテナ#1/#2に対応する2つの送信系統TX1/TX2に分割するように構成されており、送信アンテナ間拡散部10Eは、以下の(式1)によって、2つの送信系統TX1/TX2の信号A/Bに対して送信アンテナ間拡散処理を行うように構成されていてもよい。
【0067】
【数1】
【0068】
本実施形態の第1の特徴において、2つの送信アンテナ#1/#2が備えてられており、分割部10Dは、キャリア変調部10Cによってキャリア変調処理が施された信号を2つの送信アンテナ#1/#2に対応する2つの送信系統TX1/TX2に分割するように構成されており、送信アンテナ間拡散部10Eは、以下の(式2)によって、2つの送信系統TX1/TX2の各々における2つキャリア分の信号A/B/C/Dに対して送信アンテナ間拡散処理を行うように構成されていてもよい。
【0069】
【数2】
【0070】
本実施形態の第1の特徴において、4つの送信アンテナ#1/#2/#3/#4が備えてられており、分割部10Dは、キャリア変調部10Cによってキャリア変調処理が施された信号を4つの送信アンテナ#1/#2/#3/#4に対応する4つの送信系統TX1/TX2/TX3/TX4に分割するように構成されており、送信アンテナ間拡散部10Eは、以下の(式3)によって、4つの送信系統TX1/TX2/TX3/TX4の信号A/B/C/Dに対して送信アンテナ間拡散処理を行うように構成されていてもよい。
【0071】
【数3】
【0072】
なお、上述の送信装置10の動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0073】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0074】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、送信装置10内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとして送信装置10内に設けられていてもよい。
【0075】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0076】
10…送信装置
10A…誤り訂正外符号符号化部
10B…誤り訂正内符号符号化部
10C…キャリア変調部
10D…分割部
10E…送信アンテナ間拡散部
11F、12F、13F、14F…OFDMフレーム化部
11G、12G,13G、14G…IFFT部
11H、12H、13H、14H…GI付加部
11I、12I、13I、14I…送信部
図1
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図10