(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スクイズ容器の口部に装着されるシーリングキャップと、該シーリングキャップ或いは該スクイズ容器の口部に取り付けられる筒状本体と、該筒状本体の上部開口を覆うように形成されている天井基板とを備え、該筒状本体の内部には、下方から上方に延びている空気管が設けられ且つ上方部に泡出し部材が装着されている泡出し複合キャップであって、
前記シーリングキャップは、頂板部と、該頂板部の周縁から降下しており且つスクイズ容器の口部に固定される筒状側壁とを有しており、該頂板部には、内容液排出用開口若しくは引き裂きにより内容液排出用開口が形成される開口予定部が形成されており、
前記天井基板の上面には、容器内容液を噴出させるための噴出管が立設されており、
前記泡出し部材は、空気路形成用基板と、該空気路形成用基板の下面側に形成される気液混合流路とを備え、
前記空気路形成用基板の上面と前記天井基板の下面との間には、前記空気管と前記気液混合流路とに連なる空気路が形成され、
前記空気路に連通している気液混合流路は、内容液導入孔を有しており、さらに前記噴出管に連通していると共に、該気液混合流路には、少なくとも1つのメッシュ部材が設けられており、
前記スクイズ容器を傾倒させて且つスクイズしたとき、該容器内の内容物は、前記内容液排出用開口を介して前記筒状本体内を通り、前記内容液導入孔から前記気液混合流路に流れ込み、前記筒状本体内の空気は、該筒状本体内を流れる内容液の液圧によって前記空気管から前記空気路を介して前記気液混合流路に流れ込み、該気液混合流路において内容液と空気とが混合され、空気を含む内容液が前記メッシュ部材を通って微細な泡状となって、前記噴出管から噴出されることを特徴とする泡出し複合キャップ。
前記気液混合流路は、前記空気路形成用基板の下面に取り付けられ且つ前記内容液導入孔を有する中空筒状ハウジングにより形成されており、該空気路形成用基板の周縁部には、前記空気管の上端が嵌め込まれている請求項1に記載の泡出し複合キャップ。
前記空気路形成用基板の下面には、下方に延びている降下壁によって囲まれた気液混合流路形成領域が形成されており、該降下壁には、前記空気路に連通する開口と前記噴出管に連通する開口とが形成されており、該気液混合流路形成領域に前記中空筒状ハウジングが嵌合固定されている請求項2に記載の泡出し複合キャップ。
前記気液混合流路は、前記空気路に連通し且つ前記内容液導入孔が形成された気液混合室と、前記噴出管に連通している微細気泡室とを有しており、該気液混合室と該微細気泡室とは、連通孔を有する壁で区画されている請求項1〜3の何れかに記載の泡出し複合キャップ。
前記泡出し部材は、前記天井基板の下面側に嵌合固定され、該泡出し部材の空気路形成用基板の上面と該天井基板の下面との間の周縁部に空気路が形成されている請求項1〜5の何れかに記載の泡出し複合キャップ。
【背景技術】
【0002】
容器の内容液を泡状にして噴出させるための機構を備えたキャップ(泡出しキャップ)が従来から知られており、例えば調味料、食品、飲料或いは洗浄剤、化粧品などが収容されたボトル等の容器に適用されている。
【0003】
ところで、このような泡出しキャップでは、内容液と空気とを混合してから内容液を容器から噴出させなければならない。このため、従来公知の泡出しキャップには、内容液の噴出に際して、容器内の空気(ヘッドスペースに存在する空気)を直ちに容器外に排出せず、一旦、この空気を取り込んで内容液と混合するためのチューブ或いは内容液を容器内の空気と混合し得るようにして排出するためのチューブなどが設けられており、このようなチューブは極めて長い(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
しかるに、上記のようなチューブが設けられている泡出しキャップは、これを容器口部に装着するためのキャッピング作業が極めて面倒であるという問題がある。即ち、このようなチューブは長いばかりか、可撓性に富んでいるため、これを小さな口径の容器口部内に通すための位置合わせなどが極めて面倒となってしまうからである。
【0005】
一方、上記のようなチューブを全く備えていない泡出しキャップも提案されている(特許文献3参照)。
かかる泡出しキャップには、テフロン樹脂加工布などの小泡発生シートが取り付けられており、容器内容液及びボトルのヘッドスペースに存在している空気を、該シートを通して排出することにより、内容液を泡状に噴出させるというものである。
【0006】
このような特許文献3のキャップでは、格別のチューブが取り付けられてないため、容器口部に装着するためのキャッピング作業が極めて容易であるものの、泡出し機能が著しく低いという問題がある。即ち、気泡の発生に必要な空気は、容器を傾けてスクイズしたとき、極めて速やかに排出されてしまい、始めに噴出される僅かな量の内容液が泡出しされるに過ぎないからである。
【0007】
また、本発明者等は先に、上記のようなチューブを使用していない泡出しキャップを提案したが(特願2013−017334号)、かかる泡出しキャップは、構成部品数が多いため、さらなる改良が必要となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、チューブなどのキャッピングを阻害する部材を有しておらず、しかも、少ない構成部品で容易に組み立て可能な泡出しキャップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、スクイズ容器の口部に装着されるシーリングキャップと、該シーリングキャップ或いは該スクイズ容器の口部に取り付けられる筒状本体と、該筒状本体の上部開口を覆うように形成されている天井基板とを備え、該筒状本体の内部には、下方から上方に延びている空気管が設けられ且つ上方部に泡出し部材が装着されている泡出し複合キャップであって、
前記シーリングキャップは、頂板部と、該頂板部の周縁から降下しており且つスクイズ容器の口部に固定される筒状側壁とを有しており、該頂板部には、内容液排出用開口若しくは引き裂きにより内容液排出用開口が形成される開口予定部が形成されており、
前記天井基板の上面には、容器内容液を噴出させるための噴出管が立設されており、
前記泡出し部材は、空気路形成用基板と、該空気路形成用基板の下面側に形成される気液混合流路とを備え、
前記空気路形成用基板の上面と前記天井基板の下面との間には、前記空気管と前記気液混合流路とに連なる空気路が形成され、
前記空気路に連通している気液混合流路は、内容液導入孔を有しており、さらに前記噴出管に連通していると共に、該気液混合流路には、少なくとも1つのメッシュ部材が設けられており、
前記スクイズ容器を傾倒させて且つスクイズしたとき、該容器内の内容物は、前記内容液排出用開口を介して前記筒状本体内を通り、前記内容液導入孔から前記気液混合流路に流れ込み、前記筒状本体内の空気は、該筒状本体内を流れる内容液の液圧によって前記空気管から前記空気路を介して前記気液混合流路に流れ込み、該気液混合流路において内容液と空気とが混合され、空気を含む内容液が前記メッシュ部材を通って微細な泡状となって、前記噴出管から噴出されることを特徴とする泡出し複合キャップが提供される。
【0011】
本発明の泡出し複合キャップにおいては、次の態様を採用することができる。
(1)前記気液混合流路は、前記空気路形成用基板の下面に取り付けられ且つ前記内容液導入孔を有する中空筒状ハウジングにより形成されており、該空気路形成用基板の周縁部には、前記空気管の上端が嵌め込まれていること。
(2)前記空気路形成用基板の下面には、下方に延びている降下壁によって囲まれた気液混合流路形成領域が形成されており、該降下壁には、前記空気路に連通する開口と前記噴出管に連通する開口とが形成されており、該気液混合流路形成領域に前記中空筒状ハウジングが嵌合固定されていること。
(3)前記気液混合流路は、前記空気路に連通し且つ前記内容液導入孔が形成された気液混合室と、前記噴出管に連通している微細気泡室とを有しており、該気液混合室と該微細気泡室とは、連通孔を有する壁で区画されていること。
(4)前記微細気泡室には、前記メッシュ部材が2つ設けられていること。
(5)前記泡出し部材は、前記天井基板の下面側に嵌合固定され、該泡出し部材の空気路形成用基板の上面と該天井基板の下面との間の周縁部に空気路が形成されていること。
(6)前記泡出し部材が嵌合固定されている天井基板と泡出し部材との組立体に、前記筒状本体が嵌合固定されていること。
(7)前記筒状本体の下方内面には螺条が形成され、該筒状本体は、前記シーリングキャップに螺子固定されていること。
(8)前記天井基板には、オーバーキャップが設けられていること。
【発明の効果】
【0012】
本発明の泡出し複合キャップは、大まかに言って、スクイズ容器の口部に装着されるシーリングキャップと、該シーリングキャップに取り付けられる筒状本体と、該筒状本体の上部開口を覆うように形成されている天井基板と、該筒状本体の内部に装着される泡出し部材との4つの主要部材から構成されているが、最も大きな特徴は、スクイズ容器を傾倒させて且つスクイズしたとき、シーリングキャップの頂板に形成された開口(内容液排出用開口)を介して筒状本体内に流れ込む内容液の液圧によって、該筒状本体内の空気が空気管から排出され、この空気が筒状本体に流れ込んだ内容液と混合され、微細な泡状となって噴出管から噴出されるという点にある。即ち、筒状本体内の空気は、スクイズ容器内のヘッドスペースには流入せず、全て内容液と混合しての気泡の生成に消費されることとなる。
即ち、キャップ内の筒状本体内部に存在している空気を使用するため、容器のヘッドスペース内に存在している空気を用いる場合と異なり、空気を内容液と混合するように排出するチューブを用いる必要はなく、勿論、内容液を空気と混合するように排出するためのチューブを容器内に設ける必要はない。
従って、本発明においては、泡出しのためにチューブなどの格別の部材は必要がなく、この結果、この泡出し複合キャップは、容器口部へのキャッピング作業を容易に行うことができることとなる。
【0013】
また、本発明においては、キャップ内(筒状本体内)の空気は、容器内容液が筒状本体内に浸入したときの液圧によって空気管を通って排出されるのであるが、この空気管を通って排出される空気が、泡出し部材を構成する空気路形成用基板の上に形成されている空気路を通って迂回して該基板の下側に回り込んで容器内容液と混合される構造となっている。即ち、内溶液と空気は異なる経路を通った後に、混合される構造となっているため、空気を押し出しながら空気と同じ経路を通って内容液が流れる構造での不都合、つまり、内容液が排出されるときに、空気がほとんど外部に排出されてしまっているという不都合は有効に防止され、持続して、一定量の空気を内容液と混合し、泡状に噴出することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の泡出し複合キャップの全体の構造を示す
図1及び
図2を参照して、この複合キャップは、大まかに言って、ボトル形状のスクイズ容器の口部1に装着されるシーリングキャップ3と、このシーリングキャップ3に取り付けられる筒状本体5と、筒状本体5の上部開口を覆うように設けられており且つオーバーキャップ6を有している天井基板7、及び筒状本体5の内部に組み込まれている泡出し部材9とからなっている。
【0016】
<スクイズ容器及びキャップの材質>
先ず、シーリングキャップ3が取り付けられるスクイズ容器について説明すると、この容器は、一般に、各種熱可塑性樹脂によりボトル形状に成形されたものであり、これを傾倒させ、該容器の胴部をスクイズすることにより、容器内容液を絞り出すようにして排出するものである。
【0017】
このような容器を形成する熱可塑性樹脂としては、ボトル等の容器の形態に成形し得るものであれば特に制限されないが、一般的には、スクイズ容器に要求される可撓性や柔軟性を有するという観点から、オレフィン系樹脂或いはポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂が使用される。オレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどの各種オレフィンの重合体、プロピレン−エチレン共重合体などの各種オレフィン同士の共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン系不飽和カルボン酸乃至その無水物でグラフト変性されたオレフィン樹脂等の変性オレフィン系共重合体、及びこれらのブレンド物などが使用されるが、特に好適なものは、低密度ポリエチレンである。
また、スクイズ性が確保されている限り、複数の層から形成されていてもよく、例えば、オレフィン系樹脂の内外面層の間にエチレン−ビニルアルコール共重合体等からなるガスバリア性樹脂層が適宜接着剤層を介して形成されていてもよい。また、オレフィン系樹脂層の外面に、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂層が接着剤層を介して積層された構造を有していてもよい。
【0018】
このようなスクイズ容器は公知の方法によって製造することができ、例えば、上記の熱可塑性樹脂をパイプ形状に押出し、その一方の先端部をピンチオフしてパリソンを形成し、このパリソンに圧縮エアなどをブローしてボトル形状に成形する、所謂ダイレクトブロー成形により製造される。
【0019】
また、泡出し複合キャップを構成するシーリングキャップ3、筒状本体5及び天井基板7、泡出し部材9、さらに、これらに取り付けられる各種の部材も、何れも、容器と同様、各種の熱可塑性樹脂、特にオレフィン系樹脂で形成されている。
【0020】
<シーリングキャップ3>
図1〜
図3(特に
図3)を参照して、シーリングキャップ3は、前述したスクイズ容器の口部1の密封に使用されるものであり、頂板部10と、頂板部10の周縁から降下している筒状側壁11とを有している。
【0021】
このシーリングキャップ3の頂板部10の中央部分は、凹部となっており、この凹部の周縁部分から中心側に向かって、引き裂き用のスコア13が無端状に形成されており、このスコア13で囲まれた領域には、支柱15が立設されており、その上端には、プルリング17が形成されている。即ち、プルリング17を持って支柱15を引っ張ることにより、スコア13が引き裂かれ、この部分に内容液排出用開口19が形成されることとなる。このことから理解されるように、無端状のスコア13で囲まれた領域が内容液排出用開口19を形成するための開口予定部となっている。
また、このようにして形成される内容液排出用開口19の径は、容器口部1の半径Dよりもかなり小さく設定されており、キャップの軸線Oの一方側に偏って開口19が形成される。
尚、頂板部10の中央部分が凹部となっているのは、プルリング17をできるだけ突出させず、シーリングキャップ3のハイトをできるだけ小さくするためである。
【0022】
さらに、上記の頂板部10の上面には、中央部分の凹部を取り囲むようにして筒状突起21が形成されている。この筒状突起21は、上記の開口19から排出される内容液の案内としての機能を有している。
また、この筒状突起21の外面には、シーリングキャップ3に装着される筒状本体5を係合固定するための螺条21aが形成されている。
【0023】
一方、頂板部10の下面には、筒状側壁11とは間隔を置いて、インナーリング23が設けられており、さらに、筒状側壁11の内面下端には、アンダーカット25が設けられている。即ち、インナーリング23と筒状側壁11との間の空間に容器口部1の上端が嵌め込まれ、アンダーカット25によりがっちりと固定されることとなる。
また、筒状側壁11は、図示されているように、上方から下方に延びており、アンダーカット25が形成されている下端部を残すように形成されているスリット27により、内側壁11aと外側壁11bとに分断された二重壁構造となっている(
図1及び
図2では、これらの引照数字は省略されている)。このような二重壁構造とすることにより、例えばスコア等の薄肉部を設けての外側壁11bの引き剥がしにより、シーリングキャップ3を容器口部1から容易に取り外すことが可能となり、分別廃棄性を高めることができる。
【0024】
<天井基板7>
筒状本体5の形態を説明するに先立って、天井基板7の形態を説明する。
天井基板7を示す
図4を
図1及び
図2と共に参照して、筒状本体5の上部開口を覆うように設けられる天井基板7は、実質上フラットなパネルにより形成されるが、その周縁部には、この基板7を筒状本体5に固定するための固定用環状突起30が形成されており、この環状突起30の上部は肉厚部30aとなっており、下部は、外面が肉抜きされた薄肉部30bとなっている。即ち、この薄肉部30bの外面に筒状本体5の上端が位置するように、固定用環状突起30の薄肉部30bが筒状本体5の内部に嵌め込まれる。また、この際、筒状本体5の上部外面と固定用環状突起30の肉厚部30aの外面とが面一となるように厚み調整されており、これにより、筒状本体5と天井基板7(固定用環状突起30)との間に段差が形成されることが防止され、段差による外観の低下が回避される。
【0025】
さらに、環状突起30の肉厚部30aの外面には、複数個所に下端外面が肉抜きされて薄肉となった凹部31が形成されている。図の例では、3か所に凹部31が形成されている(
図4(b)参照)。
即ち、この凹部31に後述する筒状本体5の上端に形成されている突片50が嵌め込まれ、これにより、天井基板7と筒状本体5とが相対的に回転せず、位置ずれすることなく、しっかりと、位置決めされることとなる。
【0026】
また、天井基板7の上面には、中空の噴出管33が立設されており、この噴出管33を通って、その先端から容器内の内容液が泡状となって噴出されるものである。
この噴出管33は、
図4(a)から理解されるように、その上方部分が傾斜しており、その先端部には、蓋35が連結部35aでヒンジ連結されている。
このような噴出管35は、容器内に連通していることが必要であるため、図示されているように中空に形成されており、この噴出管33の内部は、天井基板7の下側に通じている。
尚、傾斜している噴出管33の付け根部分は、この噴出管33の長手方向と傾斜する傾斜壁36が形成され、これにより、噴出管33の傾斜状態が安定に保持されるようになっているが、樹脂量低減のため、この傾斜壁36の部分は、肉抜きされて凹部36aとなっている。
【0027】
さらに、天井基板7の上面周縁部には、背の低い周状係合突起37が形成されている。即ち、この天井基板7には、ヒンジバンド6aによりオーバーキャップ6がヒンジ連結されており、このオーバーキャップ7を旋回して閉じることにより、オーバーキャップ6の下端周縁部(
図4(a)ではオーバーキャップ6は上下反転しており、その下端周部は、上端周縁部となっている)が周状係合突起37と係合し、オーバーキャップ6の閉塞状態が安定に保持されるようになっている。
【0028】
また、オーバーキャップ6の解放状態が示されている
図2(a)及び(b)を参照して、オーバーキャップ6の外面のヒンジバンド6aとは反対側部分には、凹面39が形成されており、これにより、閉じられたオーバーキャップ6に指を引っかけての開栓を容易に行うことが可能となっている。
【0029】
さらに、オーバーキャップ6の内面のヒンジバンド6aとは反対側部分には、水平片41,41と、傾斜面43aを有する縦リブ43を有している。
即ち、オーバーキャップ6を閉じたとき、この水平片41が噴出管33の上端に設けられている蓋35の両端部に当接し、これにより、蓋35がオーバーキャップ6の閉栓に伴って噴出管33の上端を閉じるように構成されている。
一方、オーバーキャップ6を閉じたとき、水平片41は、蓋35の周縁を乗り越えて蓋35の下側に移行するが、縦リブ43の傾斜面43aが蓋35の上面に密接し、これにより、蓋35の閉栓状態が安定に保持され、前述したシーリングキャップ3の頂板部10に内容液排出用開口19を形成した後の密封状態が有効に確保されるようになっている。
さらに、オーバーキャップ6を開栓したとき、上記の水平片41が蓋35の周縁に当接し、これを押し上げることとなり、これにより、オーバーキャップ6の開栓と共に、蓋35も開栓され、内容物の排出が可能となる。しかも、このような蓋35の開栓状態は、ヒンジバンド35aの旋回長さ等の調節により、安定に保持することができる。
【0030】
上述した本発明の泡出し複合キャップの天井基板7においては、特に
図4から理解されるように、その下面に、固定用環状突起30の内面と間隔を置いて下方に延びている弧状突起45が設けられている。この弧状突起45は、キャップの中心Oを中心とする円の一部を切り欠いた形状を有するものである。この切り欠き部は、ヒンジバンド6aが設けられる側とは反対側に形成され、45aで示されている。
このような弧状突起45と固定用環状突起30との間の空間が後述する空気路となり(
図4(b)参照)、ヒンジバンド6aが設けられる側から切り欠き部45aに空気流Zが流れ込むようになっている。このような空気路及び空気流Zについては後述する。
また、弧状突起45で囲まれる領域には、後述する泡出し部材9の一部が嵌め込まれて天井基板7に固定されるようになっている。
【0031】
<筒状本体5>
前述したシーリングキャップ3には、筒状本体5が装着され、筒状本体5の上端には、この上部空間を閉じるように上述した天井基板7が設けられる。
前述した
図1及び
図2と共に、筒状本体5の構造を示す
図5を併せて参照し、この筒状本体5は、上下に長い大径部5aと、大径部5aの下端に連なる上下に短い小径部5bとから形成されている。
【0032】
特に
図5(a)及び(b)に示されているように、この筒状本体5の上端(即ち、大径部5aの上端)には、前述した天井基板7の環状突起30の肉厚部30aに形成されている複数の凹部31に対応して、複数の突片50が形成されている(図の例では、3つの突片50が形成されている)。
即ち、筒状本体5の上端に形成されている突片50が天井基板7の環状突起30の凹部31に嵌め込まれるように、筒状本体5の上部に環状突起30を嵌め込むことにより、筒状本体5の上部を覆うように、しかも天井基板7と筒状本体5とが一定の位置関係となるように、天井基板7をしっかりと固定することができる。
【0033】
また、筒状本体5の小径部5bの内面には、螺条51が形成されている。この螺条51が、シーリングキャップ3の筒状突起21の外面に形成されている螺条21aと螺子係合することにより、筒状本体5は、シーリングキャップ3に装着されることとなる。
さらに、大径部5aと小径部5bとの境界部には、内面全周にわたって水平方向内方に突出した張出し部53が形成されており、この張出し部53の先端には、下方に延びている固定用リング55が形成されている。即ち、上記の螺子係合により筒状本体5がシーリングキャップ3に装着されたとき、シーリングキャップ3の筒状突起21の上端が小径部5bの内面と固定用リング55との間に嵌まり込み、これにより、筒状本体5は、シーリングキャップ3と一体にしっかりと固定されることとなる。
このように、筒状本体5は、その下端部分はシーリングキャップ3に固定され、さらに、上端部分には、これを覆うように天井基板7が固定される。
【0034】
本発明は、このようにして固定されている筒状本体5の内部空間Yの空気を内容液の泡形成に利用するものであり、この内部空間Y(以下、空気室と呼ぶことがある)の空気を泡形成に利用するために、前述した張出し部53には、下方から上方に延びている空気管57が取り付けられている。
即ち、天井基板7が装着されている筒状本体5を開栓方向に旋回して、スクイズ容器の口部1に装着されているシーリングキャップ3から取り外し、プルリング17を引っ張ってシーリングキャップ3の頂板部10に内容液排出用開口19を形成した後、再び天井基板7が装着されている筒状本体5をシーリングキャップ3に装着し、この状態でスクイズ容器を傾倒することにより、内容液が排出される。この際、内容液排出用開口19を通って筒状本体5内(即ち、空気室Y)に内容液が流入するが、この時の液圧によって、空気室Y内の空気は、空気管57を通って下方から上方に流れる。本発明では、このようにして空気室Y内の空気を、空気管57を通して流して泡形成に使用することとなる。
【0035】
上記の説明から理解されるように、内容液を排出用開口19を通して排出する際、空気室Y内の空気は、容器内部に流れずに、速やかに空気管57内に流れ込むように設計することが必要である。空気が容器内部に流れ込んでしまうと、泡形成のために消費される空気量が少なくなってしまい、泡出しを効果的に行うことが困難となってしまうからである。
従って、排出用開口19の幅dは小さい方が好ましく、例えば、容器の口部の径Dよりも小さく、その1/2以下程度の大きさであることが好ましい。
また、空気管57の位置は、開口19とは径方向反対側に位置せしめると共に、当然のことながら、容器を傾けて内容液を排出する際、排出用開口19が下方(即ち、噴出管33の先端側)となり、空気管57が上方となる位置が、空気を速やかに空気管57に流すという点で最適である。
【0036】
<泡出し部材9>
本発明においては、上記のように筒状本体5の空気室Yに流入した内容液に空気管57に流れ込んだ空気を混合して泡を形成するため、空気室Yの上部に泡出し部材9が設けられる。
【0037】
図1及び
図2の泡出し複合キャップの要部を拡大して示す
図6を参照して、この泡出し部材9は、空気路形成用基板60を備えており、この空気路形成用基板60の上面に、前述した空気路が形成され、この下面に、中空筒状ハウジング100が装着され、該ハウジング100の内部に気液混合流路Qが形成される。
【0038】
上記の
図6と共に、空気路形成用基板60の構造を示す
図7を参照して、この基板60の周縁部の全周にわたって直立フランジ61が形成され、さらに、該基板60の上面には、直立フランジ61に沿って肉抜きされた溝部63が周状に形成されており、この結果、中央部分には、ほぼ円形の凸部65が形成されている。
【0039】
即ち、泡出し部材9は、筒状本体5内(空気室Y)の上部に位置するように、前述した天井基板7の下面に固定されるものであり、このため、直立フランジ61の外径は、天井基板7の周縁の固定用環状突起30の内径とほぼ同等或いはやや小さく、これにより、直立フランジ61は、固定用環状突起30内にすっぽりと嵌め込まれる。一方、凸部65の径は、天井基板7の下面の弧状突起45の内径とほぼ同等であり、これにより、凸部65は弧状突起45の内部にすっぽりと嵌め込まれ、凸部65の上面は、天井基板7の下面に密着する。このようにして、泡出し部材9は、天井基板7の下面に固定されることとなる。
【0040】
上記の溝部63には、前述した空気路が形成されるものであり、従って、
図7(a)から理解されるように、凸部65の側面が若干凹んだ部分が位置している溝部63に、空気孔67が形成されており、さらに、この空気孔67を取り囲むように、空気路形成用基板60の下面には、シールリング69が形成され(
図7(b)参照)
図6に示されているように、このシールリング69内に、空気が漏洩しないように、空気管57の上端が嵌め込まれる。
また、空気孔67に対して径方向反対側の凸部65の外側面は、若干外方に張り出しており、この部分に、溝部63(空気路)を通って流れる空気流Zを下方の気液混合流路Qに流すための開口71が形成されている。
【0041】
さらに、凸部65の中央部分には、天井基板7の上面に形成されている噴出管33の内部に連通する凹部73が形成されており、この凹部73の側壁に、気液混合流路Qを流れる気液混合物(泡状物)を噴出管33内に導入するための開口75が形成されている。
【0042】
一方、
図7(d)に示されているように、空気路形成用基板60の下面には、上述した上面の凸部65に対応して肉抜きされた薄肉部77が形成され、これにより、樹脂量の低減が図られていると共に、下方に延びている降下壁79が形成され、この降下壁79によって囲まれた領域が気液混合流路形成領域80となっている。
即ち、この降下壁79は、前述した空気流Zを下方の気液混合流路Qに流すための開口71及び気液混合流路Qを流れる気液混合物(泡状物)を噴出管33内に導入するための開口75を含み、このような降下壁79によって囲まれた領域に、中空筒状ハウジング100が嵌合固定され、この内部に気液混合流路Qが形成される。
【0043】
この中空筒状ハウジング100には、
図6に示されているように、前記開口71側から開口75側に向かって、順に仕切り管101及びメッシュカラー103が直列に挿入され、メッシュカラー103の両端には、第1のメッシュ部材105、第2のメッシュ部材107が接着固定され、これらの部材により、気液混合室110、第1の微細気泡室120及び第2の微細気泡室130が形成されている。
【0044】
図6と共に、中空筒状ハウジング100を示す
図8を参照して、この中空筒状ハウジング100の一方側側面140(開口71側となる側面)は閉じられており、この側面140には、小径の絞り孔141が複数(図では3つ)形成されており、前述した空気路から開口71を通って流入する空気流Zは、この絞り孔141を通って、仕切り管101との間に形成される気液混合室110に導入される。
また、気液混合室110となる側の中空筒状ハウジング100の底壁には、内容液導入孔143が形成されており、この導入孔143を通って、スクイズ容器から排出される内容液が導入されるようになっている。
即ち、側面140に小径の絞り孔141を形成しておくことにより、空気路からの気流Zが高速で気液混合室110内に導入されて内容液と速やかに混合されると共に、気液混合室110からの内容液の漏洩を有効に防止することができる。
【0045】
さらに、
図8(a)から理解されるように、仕切り管101との間に適度なスペースの気液混合室110が形成されるように、仕切り管101が挿入される側は大径となっており、側面140から若干離れた位置に段差145が形成されている。
また、中空筒状ハウジング100の側面140とは反対側に位置する底壁には、可撓性の小片147が形成されていることが望ましい。この小片147の機能については後述する。
【0046】
上記の中空筒状ハウジング100内に挿入される仕切り管101は、第1の微細気泡室120を形成するものであり、
図9に示されているように、上述した気液混合室110に対面する側に仕切り面150が形成されており、この仕切り面150によって、気液混合室110と第1の微細気泡室120とが区画されている。
この仕切り面150には、連通孔153が複数形成されており、気液混合室110で生成する気液混合物に含まれる大きな気泡が、この連通孔153を通ることにより微細な気泡となる。尚、この前述した絞り孔141よりも若干大きな径とすることが好ましい。即ち、この連通孔153の径が小さすぎると、内容液の詰まりなどを生じ易くなり、気泡の微細化をスムーズに行うことが困難となるためである。
【0047】
また、上記の仕切り管101に続いて中空筒状ハウジング100内に挿入されるメッシュカラー103には第2の微細気泡室130が形成されるが、この微細メッシュカラー103は、
図10に示されているように、両端が開放された中空筒の形態を有しており、その端部に、それぞれ、第1のメッシュ部材105及び第2のメッシュ部材107が形成され(
図10では、これらのメッシュ部材は省略されている)、第1のメッシュ部材105は、上述した第1の微細気泡室120に対面しており、第1の微細気泡室120と第2の微細気泡室130とを区画している。
一般に、第1のメッシュ部材105は比較的粗く、第2のメッシュ部材107は比較的微細なものとなっている。
【0048】
上述した説明から理解されるように、スクイズ容器を傾倒することにより排出される内容液は、液導入孔143から気液混合室110に導入され、一方、排出される内容液の液圧によって空気管57から排出される空気流Zは、開口71を通って絞り孔141を介して気液混合室110に導入され、かくして空気と混合され、気泡が生成する。
このような気泡を含む内容液は、気液混合流Qとなって連通孔153を通り、これにより気泡が細分されて第1の微細気泡室120に流れる。気泡が細分された気液混合流Qは、第1のメッシュ部材105を通って気泡が微細化されて第2の微細気泡室130に流れ込み、さらに第2のメッシュ部材107を通り、さらに気泡が微細化されて噴出管33内に導入され、所望のクリーミーな泡状となって噴出管33の先端から排出されることとなる。
【0049】
上記のようにして内容液を泡状に排出した後は、容器のスクイズを停止し、容器を直立に戻すことになるが、この際、容器内及び空気室Yが減圧状態となっているため、噴出管33から、前述した気液混合流Qの流路を逆流し、気液混合室110から空気室Y内に空気が流入する。これにより、次回の内容液の排出に際しての泡出しに必要な空気が補充され、従って、繰り返し泡出し作業を行うことができる。
また、中空筒状ハウジング100の底壁に可撓性の小片147(
図6では示されていない)を設けておくことにより、逆流する空気流を、中空筒状ハウジング100内を通さずに、直接空気室Yに流すことができ、これにより、中空筒状ハウジング100内に残存する泡の容器内への戻りを抑制することができる。即ち、この小片147は逆止弁としての機能を有しており、空気室Y内に空気が存在するときには、中空筒状ハウジング100の端部と降下壁79との間に生じる若干の隙間を閉じているが、空気室Yが減圧状態となると、この小片147は下方に垂れ下がり、上記の隙間を開放し、この部分から空気が空気室Y内に流入することとなる。
【0050】
上述した本発明の泡出し複合キャップは、例えば、オーバーキャップ6が閉じられた状態の天井基板7の下面に、上述した泡出し部材9を嵌め込み、この組立体を筒状本体5の上端に嵌合固定し、次いで、この筒状本体5をシーリングキャップ3に螺子固定することにより作製され、最後に、筒状本体5が装着されているシーリングキャップ3を打栓によりスクイズ容器の口部1に装着されて使用に供される。
【0051】
このような本発明の泡出し複合キャップは、
図1〜
図10に示された態様に限定されず、種々の設計変更が可能である。
例えば、図の例では、筒状本体5は、シーリングキャップ3に固定する構造となっているが、筒状本体5をシーリングキャップ3に被せるようにして容器の口部1に固定する構造とすることもできる。
また、メッシュ部材は、メッシュカラー103の両端に2つ設けられており、微細気泡室が2つに分割されているが、メッシュ部材105,107の何れか一方を省略することもできるし、さらにメッシュカラーを設けて、メッシュ部材の数を増やすこともできる、さらには、噴出管33内にメッシュ部材を設けることも可能である。
【0052】
本発明の泡出し複合キャップは、泡出しのためにチューブを用いる必要がなく、容器内にチューブを挿入する作業を行うことがなく、しかも、これを構成する部品数も少なく且つ各部材を嵌め込み等により容易に組み立てることができ、そのキャッピング作業も容易であり、極めて生産性が高い。
【0053】
本発明の泡出し複合キャップは、小出しが要求される食品、飲料或いは洗浄剤、化粧品などが収容され、泡出しが要求される流動性内容物が充填されたスクイズ容器のキャップとして利用される。