特許第6200959号(P6200959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6200959リチウム二次電池用正極活物質及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6200959
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用正極活物質及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/505 20100101AFI20170911BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20170911BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20170911BHJP
   C01G 53/00 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   H01M4/505
   H01M4/525
   H01M4/36 C
   C01G53/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-537653(P2015-537653)
(86)(22)【出願日】2014年6月18日
(65)【公表番号】特表2015-533257(P2015-533257A)
(43)【公表日】2015年11月19日
(86)【国際出願番号】KR2014005375
(87)【国際公開番号】WO2014204213
(87)【国際公開日】20141224
【審査請求日】2015年4月15日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0069947
(32)【優先日】2013年6月18日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0074346
(32)【優先日】2014年6月18日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109841
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 健史
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(72)【発明者】
【氏名】コン,ウー−イェオン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ミュン−キ
(72)【発明者】
【氏名】カン,ミン−スク
(72)【発明者】
【氏名】シン,スン−シク
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン,ヒエ−リム
(72)【発明者】
【氏名】ジョ,チ−ホ
(72)【発明者】
【氏名】ミン,ゲウン−ギ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン,ワン−モ
【審査官】 冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/048048(WO,A2)
【文献】 特開2006−164758(JP,A)
【文献】 特開2011−171150(JP,A)
【文献】 特表2008−536285(JP,A)
【文献】 特表2012−505520(JP,A)
【文献】 特表2013−510393(JP,A)
【文献】 特開2011−096626(JP,A)
【文献】 特表2010−511990(JP,A)
【文献】 特開2010−232001(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/123011(WO,A1)
【文献】 特開2006−012426(JP,A)
【文献】 特開2007−213866(JP,A)
【文献】 特開2012−146443(JP,A)
【文献】 特開2014−116308(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/176903(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00−4/62
C01G 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム二次電池用リチウム‐ニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質の製造方法であって、
(a)ニッケル化合物、マンガン化合物及びコバルト化合物を均一に混合する段階と、
(b)リチウム化合物を添加し、焼成処理して、層状のリチウム‐ニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質を得る段階と、及び
(c)前記層状のリチウム‐ニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質に、フッ素含有化合物を付与し、還元雰囲気で焼成し、前記層状のリチウム‐ニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質の表面をフッ素コーティングして、前記フッ素コーティングされた前記層状のリチウム‐ニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質の表面がスピネル類似相を備えてなる段階とを含んでなり、
前記層状のリチウム‐ニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質が、下記の一般化学式(2)で表されることを特徴とする、リチウム二次電池用リチウム‐ニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質の製造方法。
LixNiyMnzCo1-y-zMαO2 (化2)
〔前記一般化学式(2)において、
z>yであり、
z>1−y−z>0であり、
x≧1であり、
0≦α≦1であり、
MはB、Li、Mg、Al、Ca、Sr、Cr、V、Ti、Fe、Co、Ni、Zr、Zn、Si、Y、Nb、Ga、Sn、Mo、W、及びこれらの組み合せからなる群より選択された一種以上の金属である。〕
【請求項2】
前記工程(c)が、300〜600℃の温度で、5〜10時間で行われることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池用リチウム‐ニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質の製造方法。
【請求項3】
前記リチウム‐ニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質が、最長直径20nm〜200μmの粒子を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のリチウム二次電池用リチウム‐ニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質の製造方法。
【請求項4】
前記フッ素コーティングされた表面が、2nm〜20μmの厚さを有することを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載のリチウム二次電池用リチウム‐ニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質の製造方法。
【請求項5】
前記フッ素コーティングに使用されるフッ素含有化合物が、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、AlF3、NH4F、CsF、KF、LiF、NaF、RbF、TiF、AgF、AgF2、BaF2、CaF2、CuF2、CdF2、FeF2、HgF2、Hg22、MnF2、MgF2、NiF2、PbF2、SnF2、SrF2、XeF2、ZnF2、AlF2、BF3、BiF3、CeF3、CrF3、DyF3、EuF3、GaF3、GdF3、FeF3、HoF3、InF3、LaF3、LuF3、MnF3、NdF3、VOF3、PrF3、SbF3、ScF3、SmF3、TbF3、TiF3、TmF3、YF3、YbF3、TIF3、CeF4、GeF4、HfF4、SiF4、SnF4、TiF4、VF4、ZrF4、NbF5、SbF5、TaF5、BiF5、MoF6、ReF6、SF6、WF6、フッ素含有ガス、及びこれらの混合物からなる群より選択された化合物からなることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載のリチウム二次電池用リチウム‐ニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質の製造方法。
【請求項6】
前記フッ素コーティングに使用されるフッ素含有化合物が、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)であることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載のリチウム二次電池用リチウム‐ニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム二次電池用正極活物質及びその製造方法に関し、より詳しくは、より向上されたレート(rate)特性を有するリチウム二次電池用正極活物質及びその製造方法に関する。
【0002】
本出願は、2013年06月18日出願の韓国特許出願第10−2013−0069947号、及び2014年06月18日出願の韓国特許出願第10−2014−0074346に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発と需要が増加するにつれて、エネルギー源としての二次電池の需要が急増し、そのような二次電池の中でも、高いエネルギー密度と作動電位を有し、サイクル寿命が長く、自己放電率の低いリチウム二次電池が商品化されて広く使用されている。
【0004】
また、近年、環境問題に対する関心が高まるにつれて、大気汚染の主な原因の一つであるガソリン、ディーゼルなどの化石燃料を用いる車を代替できる電気自動車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle、HEV)などに対する多くの研究が行われている。
【0005】
このような電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)などには、動力源としてニッケル水素金属(Ni‐MH)二次電池、または高いエネルギー密度、高い放電電圧及び出力安定性を有するリチウム二次電池が用いられるが、リチウム二次電池を電気自動車に使用する場合には、高いエネルギー密度と短時間で大きい出力を発揮できる特性と共に、苛酷な条件下で10年以上使用するために従来の小型リチウム二次電池より著しく優れた安全性及び長期寿命特性が必然的に求められる。また、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)などに使用される二次電池は、車の作動条件によって優れたレート特性とパワー特性が求められる。
【0006】
最近、リチウムイオン二次電池の正極活物質としては、層状構造(layered structure)のLiCoO2のようなリチウム含有コバルト酸化物、層状構造のLiNiO2のようなリチウム含有ニッケル酸化物、スピネル結晶構造のLiMn24のようなリチウム含有マンガン酸化物などが使用されている。
【0007】
LiCoO2は、優れたサイクル特性などの諸般物性が良好であり、最近多く使用されているが、安全性が低く、原料としてのコバルト資源の限界によって高価であるため、電気自動車などのような分野の動力源としての大量使用には限界がある。LiNiO2は、その製造方法による特性上、合理的なコストで実際の量産工程に適用することが困難である。
【0008】
一方、LiMnO2、LiMn24などのリチウムマンガン酸化物は、原料としての資源が豊かであり、環境に優しいマンガンを使用するという長所を有するため、LiCoO2を代替できる正極活物質として注目を浴びている。しかし、これらリチウムマンガン酸化物も、サイクル特性などが悪いという短所を有する。LiMnO2は初期容量が小さく、一定容量に到達するまで数十回の充放電サイクルが必要であるという短所がある。また、LiMn24は、サイクルが続くにつれて容量低下が激しく、特に50℃以上の高温で電解質の分解、マンガンの溶出などによってサイクル特性が急激に低下するという短所がある。
【0009】
このような状況で、それぞれの正極活物質が有する欠点を克服または最小化し、電池性能のバランスに優れた活物質として、層状構造を有するリチウムニッケル‐マンガン‐コバルト系複合酸化物が提案された。しかし、前記層状構造を有するリチウムニッケル‐マンガン‐コバルト系複合酸化物が多様な用途に活用されるためには、特にレート特性を改善する必要がある。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、レート特性に優れたリチウム二次電池用リチウムニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質を提供することを目的とする。
また、本発明は、上述した正極活物質の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
本発明の一態様によれば、リチウム二次電池用リチウムニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質において、前記リチウムニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質は層状構造を有し、フッ素コーティングされた表面を有し、このとき前記フッ素コーティングされた表面は、スピネル類似相(spinel‐like phase)構造を有するリチウム二次電池用リチウムニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質が提供される。
【0012】
前記リチウムニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質は、ニッケル、マンガン、コバルトのうちMnが50重量%以上の組成を有する任意の正極活物質であり得、その非制限的な例は、下記の一般化学式(1)で表され得るが、これに限定されることはない。
【0013】
LixNiyMnzCo1-y-z2 (1)
一般化学式(1)において、z>yであり、z>1−y−z≧0であり、x≧1である。
または、前記リチウムニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質の非制限的な例が下記の一般化学式(2)で表され得る。
【0014】
LixNiyMnzCo1-y-zα2 (2)
【0015】
一般化学式(2)において、z>yであり、z>1−y−z≧0であり、x≧1であり、0≦α≦1であり、MはB、Li、Mg、Al、Ca、Sr、Cr、V、Ti、Fe、Co、Ni、Zr、Zn、Si、Y、Nb、Ga、Sn、Mo、W、及びこれらの組み合せからなる群より選択された1種以上の金属である。
一般化学式(2)において、z≧0.5である。
前記リチウムニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質は、最長直径20nm〜200μmの二次粒子を有し得る。
前記フッ素コーティングされた表面は、2nm〜20μmの厚さを有し得る。
一般化学式(1)において、Mn/Niの原子比率を表すz/yの値は1<z/y≦20であり得る。
【0016】
前記フッ素コーティングは、ポリフッ化ビニリデン(Polyvinylidene fluoride:PVdF)、AlF3、NH4F、CsF、KF、LiF、NaF、RbF、TiF、AgF、AgF2、BaF2、CaF2、CuF2、CdF2、FeF2、HgF2、Hg22、MnF2、MgF2、NiF2、PbF2、SnF2、SrF2、XeF2、ZnF2、AlF2、BF3、BiF3、CeF3、CrF3、DyF3、EuF3、GaF3、GdF3、FeF3、HoF3、InF3、LaF3、LuF3、MnF3、NdF3、VOF3、PrF3、SbF3、ScF3、SmF3、TbF3、TiF3、TmF3、YF3、YbF3、TIF3、CeF4、GeF4、HfF4、SiF4、SnF4、TiF4、VF4、ZrF4、NbF5、SbF5、TaF5、BiF5、MoF6、ReF6、SF6、WF6、フッ素含有ガス、これらの混合物からなる群より選択された化合物からなり得る。
【0017】
本発明の他の様態によれば、下記の段階を含むことを特徴とするリチウム二次電池用リチウムニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質の製造方法が提供される。
(a)ニッケル化合物、マンガン化合物及びコバルト化合物を均一に混合する段階;
(b)リチウム化合物を添加し、焼成処理して層状のリチウムニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質を得る段階;及び
(c)層状のリチウムニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質の表面をフッ素コーティングして、フッ素コーティングされた表面がスピネル類似相を有するようにする段階。
前記フッ素コーティングは、熱処理固相方法、噴霧乾燥法または気相反応法によって行うことができる。
【0018】
本発明の他の様態によれば、上述したリチウム二次電池用リチウムニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質を含む正極合剤用スラリーから製造されたリチウム二次電池用正極が提供される。
【0019】
本発明の更に他の様態によれば、正極、負極、前記正極と前記負極との間に介在された分離膜(separator)及び電解質を含むリチウム二次電池において、前記正極が上述したリチウム二次電池用正極であることを特徴とするリチウム二次電池が提供される。
本発明の更に他の様態によれば、上述したリチウム二次電池を単位電池として含むことを特徴とする電池モジュールが提供される。
本発明の更に他の様態によれば、上述した電池モジュールを中大型デバイスの電源として含むことを特徴とする電池パックが提供される。
【0020】
前記中大型デバイスは、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグイン電気自動車(Plug‐in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)、または電力貯蔵装置であり得る。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、従来に比べて短時間で満充電に近い容量を充電することができ、レート特性が向上されたリチウム二次電池が提供される。前記リチウム二次電池は大容量化に適した、中大型デバイスの電源として相応しい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1a図1aは、実施例1及び比較例1による正極活物質のSEM写真である。
図1b図1bは、実施例1及び比較例1による正極活物質のSEM写真である。
図2a図2aは、実施例2及び比較例2によるリチウム二次電池のサイクル回数による放電容量を示したグラフである。
図2b図2bは、実施例2及び比較例2によるリチウム二次電池のサイクル回数による放電容量を示したグラフである。
図3】実施例2及び比較例2のそれぞれによるリチウム二次電池のC‐レート(rate)によるレート容量比(rate capability)を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0024】
本発明の層状リチウムニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質は、フッ素で表面がコーティングされている。
層状リチウムニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質は、ニッケル、マンガン、コバルトのうちMnが50重量%以上の組成を有する任意の正極活物質であり得、その非制限的な例が下記の一般化学式(1)で表され得るが、これに限定されることはない。
【0025】
LixNiyMnzCo1-y-z2 (化1)

一般化学式(1)において、z>yであり、z>1−y−z≧0であり、x≧1である。
【0026】
一般化学式(1)において、Mn/Niの原子比率を表すz/yの値は1<z/y≦20であることが望ましい。z/yの値が前記上限値より大きい場合には、安全性が大きく低下し得、下限値より小さな場合には高い容量を期待し難い。
【0027】
または、本発明の一態様による層状リチウムニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質の非制限的な例が下記の一般化学式(2)で表され得る。
LixNiyMnzCo1-y-zα2 (2)
一般化学式(2)において、z>yであり、z>1−y−z≧0であり、x≧1であり、0≦α≦1であり、MはB、Li、Mg、Al、Ca、Sr、Cr、V、Ti、Fe、Co、Ni、Zr、Zn、Si、Y、Nb、Ga、Sn、Mo、W、及びこれらの組み合せからなる群より選択された1種以上の金属である。
また、Mn/Niの原子比率を表すz/yの値は1<z/y≦20であることが望ましい。
また、一般化学式(1)及び一般化学式(2)において、z≧0.5であることが望ましい。
前記リチウムニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質は、最長直径20nm〜200μmの粒子を有し得るが、これらに制限されることはない。
【0028】
フッ素コーティングは、被コーティング物質である層状のリチウムニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質の表面に適用されて、正極活物質の表面がスピネル類似相を形成するように焼成のときに還元雰囲気を形成する。これに関し、図1a及び図1bを参照すれば、図1aは本発明の一態様によってフッ素コーティングされた正極活物質のSEM写真であり、図1bは前記正極活物質がフッ素コーティングされる前のSEM写真であり、前記SEM写真におけるリチウムニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質は、フレーク(flake)形態を有する。一般に、フッ素コーティング後に正極活物質の表面に点(dot)形態或いは他の形態の表面構造が見える場合があるが、本発明の一態様によるリチウムニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質では、フッ素コーティングが正極活物質粒子を均一に或いはほぼ均一にコーティングしながら保護被膜を形成するため、電解質からの攻撃を少なく受けるという長所を有する。
【0029】
一般化学式(1)の層状正極活物質の表面にフッ素が適用されてスピネル類似相を形成する原理については未だに明かになっていないが、実験結果によって確認された。のみならず、正極活物質のフッ素コーティングによって、正極活物質付近で生成される酸の影響力が減少するか、または正極活物質と電解質との反応性が抑制されることで、電池の容量が急減する現象が改善されて充放電特性、寿命特性、高電圧、高いレート特性、及び熱安定性が向上される。特に、スピネル類似相構造の表面を有する本発明の一態様による正極活物質は、表面構造の変形なしにフッ素コーティングが行われる正極活物質に比べて、レート特性の向上に有利である。
【0030】
フッ素コーティングに使用されるフッ素含有化合物の例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、AlF3、NH4F、CsF、KF、LiF、NaF、RbF、TiF、AgF、AgF2、BaF2、CaF2、CuF2、CdF2、FeF2、HgF2、Hg22、MnF2、MgF2、NiF2、PbF2、SnF2、SrF2、XeF2、ZnF2、AlF2、BF3、BiF3、CeF3、CrF3、DyF3、EuF3、GaF3、GdF3、FeF3、HoF3、InF3、LaF3、LuF3、MnF3、NdF3、VOF3、PrF3、SbF3、ScF3、SmF3、TbF3、TiF3、TmF3、YF3、YbF3、TIF3、CeF4、GeF4、HfF4、SiF4、SnF4、TiF4、VF4、ZrF4、NbF5、SbF5、TaF5、BiF5、MoF6、ReF6、SF6、WF6、フッ素含有ガスなどが挙げられるが、これらに制限されない。
【0031】
前記フッ素コーティングされた表面は、厚さ2nm〜20μmまたは2nm〜5μmを有し得るが、これらに制限されない。フッ素コーティングされた表面が前記下限値より薄い場合には、スピネル類似相が適切に形成されないこともあり、前記上限値より厚い場合には、Liイオンが移動し難く、電解質との副反応が多く起きる。
【0032】
また、正極活物質の重量基準でフッ素コーティングは、0.01〜8重量%または0.01〜5重量%の含量で含まれ得る。フッ素コーティングの含量が前記下限値未満で使用されれば、正極活物質の表面で層状構造のスピネル類似相構造への変形が行われず、前記上限値より過量使用されれば、正極活物質の相対的な比率が減少して容量やエネルギー密度が減少するようになる。
【0033】
本発明のリチウム二次電池用リチウムニッケル‐マンガン‐コバルト系複合酸化物の製造方法は、下記の段階を含み得るが、これらに限定されることはない。
(a)ニッケル化合物、マンガン化合物及びコバルト化合物を均一に混合する段階;
(b)リチウム化合物を添加し、焼成処理して層状のリチウムニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質を得る段階;及び
(c)層状のリチウムニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質の表面をフッ素コーティングして、フッ素コーティングされた表面がスピネル類似相を有するようにする段階。
【0034】
前記ニッケル化合物の例としては、Ni(OH)2、NiO、NiOOH、NiCO3・2Ni(OH)2・4H2O、NiC24・2H2O、Ni(NO32・6H2O、NiSO4、NiSO4・6H2O、脂肪酸ニッケル塩、ニッケルハロゲン化物が挙げられる。これらのうち、焼成工程のときにNOX及びSOXなどの有害物質を発生させないという観点から、Ni(OH)2、NiO、NiOOH、NiCO3・2Ni(OH)2・4H2O、及びNiC24・2H2Oのように、焼成処理のときに窒素原子や硫黄原子を含まないものが望ましい。このようなニッケル化合物は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0035】
マンガン化合物の例としては、Mn23、MnO2及びMn34などのマンガン酸化物、MnCO3、Mn(NO32、MnSO4、酢酸マンガン、ジカルボン酸マンガン塩、クエン酸マンガン、及び脂肪酸マンガン塩のようなマンガン塩、オキシ水酸化物、そして塩化マンガンのようなハロゲン化物が挙げられる。このうち、MnO2、Mn23、及びMn34が望ましいが、これは、焼成処理時にNox、SOx及びCO2のようなガスを発生させず、工業原料として低コストで入手できるためである。このようなマンガン化合物は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0036】
コバルト化合物の例としては、Co(OH)2、CoOOH、CoO、Co23、Co34、Co(OCOCH32・4H2O、CoCl2、Co(NO32・6H2O、及びCo(SO42・7H2Oが挙げられる。これらのうち、焼成処理時にNOx及びSOxなどの有害物質を発生させないという点で、Co(OH)2、CoOOH、CoO、Co23、及びCo34が望ましい。Co(OH)2及びCoOOHは、工業的に低コストであり、反応性が高いという観点でより望ましい。このようなコバルト化合物は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0037】
原料の混合方法は特に限定されず、原料は湿式または乾式工程によって混合され得る。例えば、ボールミル(ball mill)、振動ミル(vibratory mill)、ビーズミル(bead mill)などの装置を用いる方法が挙げられる。湿式混合はより均一な混合が可能であり、また、焼成工程で混合物の反応性を高めることができるため望ましい。
【0038】
混合時間は、混合方法によって変わり得る。しかし、原料が粒子レベルで均一に混合される限り、混合時間は任意に設定できる。例えば、ボールミル(湿式または乾式混合)で混合する場合の混合時間は、通常約1時間〜2日程度であり、ビーズミル(湿式連続法)で混合する場合の滞留時間は、通常約0.1時間〜6時間程度である。
【0039】
湿式粉砕の後、粒子を通常の方法で乾燥させる。乾燥方法は、特に制限されない。しかし、生成する粒子材料の均一性、粉末の流動性及び粉末処理の性能、そして、球状の二次粒子を効率的に形成することができるという観点で噴霧乾燥が望ましい。
【0040】
噴霧乾燥によって得られた粉末をLi2CO3、LiNO3、LiNO2、LiOH、LiOH・H2O、LiH、LiF、LiCl、LiBr、LiI、CH3OOLi、Li2O、Li2SO4、ジカルボン酸リチウム塩、クエン酸リチウム、脂肪酸リチウム塩、アルキルリチウムのようなリチウム化合物と十分混合する。
【0041】
このようにして得られた粉末混合物は、焼成処理される。この焼成条件は、組成及び使用されるリチウム化合物原料に合わせて決定される。焼成温度は、通常800℃以上、望ましくは900℃以上、より望ましくは950℃以上であり、また、通常1100℃以下、望ましくは1075℃以下、より望ましくは1050℃以下である。
【0042】
次いで、前記リチウムニッケル‐マンガン‐コバルト正極活物質の表面に、フッ素含有化合物をコーティングする。コーティング方法の例としては、フッ素含有化合物と正極活物質とを混合して適正温度で熱処理する固相反応、フッ素含有化合物を溶媒に溶解させて分散/噴霧させる噴霧乾燥法、または気体を使用する気相反応法などが挙げられるが、これらに制限されることはない。固相反応は、工程やコストの面で有利であり、300〜600℃で5〜10時間熱処理する工程を含み得る。
このようにして製造された本発明の正極活物質は、当業界で通常使用されるバインダー及び導電材と共に正極合剤を構成することができる。
【0043】
バインダーは、正極活物質と導電材などの結合と集電体に対する結合に寄与する成分であって、例えば、正極活物質100重量部を基準に1〜30重量部の量で添加され得るが、その含量は本発明で特に制限されない。このようなバインダーの具体的な例としては、特に限定されないが、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene:PTFE)、フッ素ゴム(fluororubber)、スチレンブタジエンゴム(styrene‐butadiene rubber:SBR)、セルロース系樹脂(cellulose‐based resin)などが挙げられる。
【0044】
導電材は、正極活物質100重量部を基準に1〜50重量部の量で添加され得るが、その含量は本発明で特に制限されない。このような導電材の具体的な例としては、電池に化学的変化を起こさず、導電性を有するものであれば特に制限されず、黒鉛やアセチレンブラックのようなカーボンブラック系導電材を使用することができる。
【0045】
分散媒としては、N‐メチル‐2‐ピロリドン(N‐methyl‐2‐pyrrolidone)、ジアセトンアルコール(diacetone alcohol)、ジメチルホルムアルデヒド(dimethylformaldehyde)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(propyleneglycol monomethylether)、メチルセロソルブ(methyl cellosolve)、エチルセロソルブ(ethyl cellosolve)、ブチルセロソルブ(butyl cellosolve)、イソプロピルセロソルブ(isopropyl cellosolve)、アセチルアセトン(acetylacetone)、メチルイソブチルケトン(methyl isobutyl ketone)、n‐ブチルアセテート(n‐butyl Acetate)、セロソルブアセテート(cellosolve acetate)、トルエン(toluene)、キシレン(xylene)、及びこれらの混合物からなる群より選択された分散媒を使用することができるが、これらに制限されることはない。
上述した正極合剤スラリーは、正極集電体の上に塗布し、乾燥させてリチウム二次電池用正極を形成することができる。
【0046】
正極集電体は、一般に10〜500μmの厚さを有する。このような正極集電体としては、電池に化学的変化を起こさず、高い導電性を有するものであれば特に制限されず、例えばステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、もしくはアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタンまたは銀などで表面処理したものなどを使用することができる。
正極集電体上の正極合剤スラリーの厚さは特に制限されないが、例えば10〜300μmであり得、活物質のローディング量は5〜50mg/cm2であり得る。
【0047】
本発明の他の様態では、正極、負極、前記正極と前記負極との間に介在された分離膜、及び電解質を含むリチウム二次電池において、前記正極として上述した正極が使用されたリチウム二次電池が提供される。
また、当技術分野で知られた通常の方法によって負極、分離膜、電解質を製造し、組立てて前記正極とともにリチウム二次電池を製作することができる。
【0048】
負極活物質の非制限的な例としては、従来リチウム二次電池の負極として使用され得る通常の負極活物質が使用可能であり、特にリチウム金属またはリチウム合金、炭素、石油コーク(petroleum coke)、活性化炭素(activated carbon)、グラファイト(graphite)またはその他の炭素類などのようなリチウム吸着物質などが望ましい。負極電流集電体の非制限的な例としては、銅、金、ニッケル、銅合金またはこれらの組み合せによって製造されるホイルなどが挙げられる。
【0049】
分離膜としては、多孔質ポリエチレン、多孔質ポリプロピレンなどのポリオレフィン系フィルム、多孔性コーティング層が多孔性基材上に形成されている有機/無機複合分離膜、不織布フィルム、エンジニアリングプラスチック(engineering plastic)などを使用することができるが、これらに制限されることはない。分離膜を電池に適用する工程としては、一般の工程である巻き取り(winding)の外にも、分離膜と電極との積層(lamination、stack)、及び折り畳み(folding)工程が可能である。
【0050】
本発明の一実施例で使用することができる電解質は、A+-のような構造の塩であって、A+はLi+、Na+、K+のようなアルカリ金属陽イオンまたはこれらの組み合せからなるイオンを含み、B-はPF6-、BF4-、Cl-、Br-、I-、ClO4-、AsF6-、CH3CO2-、CF3SO3-、N(CF3SO22-、C(CF2SO23-のような陰イオンまたはこれらの組み合せからなるイオンを含む塩を、プロピレンカーボネート(propylene carbonate:PC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate:EC)、ジエチルカーボネート(diethyl carbonate:DEC)、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate:DMC)、ジプロピルカーボネート(dipropyl carbonate:DPC)、ジメチルスルホキサイド(dimethylsulfoxide)、アセトニトリル(acetonitrile)、ジメトキシエタン(dimethoxyethane)、ジエトキシエタン(diethoxyethane)、テトラハイドロフラン(tetrahydrofuran)、N‐メチル‐2‐ピロリドン(NMP)、エチルメチルカーボネート(ethylmethylcarbonate :EMC)、γ‐ブチロラクトン(gamma butyrolactone)、またはこれらの混合物からなる有機溶媒に溶解または解離したものであるが、特にこれらに限定されることはない。
【0051】
また、電解質には、充放電特性、難燃性などの改善を目的として、例えば、ピリジン(pyridine)、亜りん酸トリエチル(triethylphosphite)、トリエタノールアミン(triethanolamine)、環状エーテル(cyclic ether)、エチレンジアミン(ethylene diamine)、n‐グリム(n‐glyme)、ヘキサリン酸トリアミド(hexaphosphoric triamide)、ニトロベンゼン誘導体(nitrobenzene derivatives)、硫黄、キノンイミン染料(quinone imine dyes)、N‐置換オキサゾリジノン(N‐substituted oxazolidinone)、N,N‐置換イミダゾリジン(N,N‐substituted imidazolidine)、エチレングリコールジアルキルエーテル(ethylene glycol dialkyl ether)、アンモニウム塩(ammonium salt)、ピロール(pyrrole)、2‐メトキシエタノール(2‐methoxy ethanol)、三塩化アルミニウム(aluminum trichloride)などを添加することもできる。必要に応じて、不燃性を与えるために四塩化炭素(carbon tetrachloride)、三フッ化エチレン(trifluoroethylene)などのハロゲン含有溶媒を更に含ませることもでき、高温保存特性を向上させるために、二酸化炭酸ガスを更に含ませることもでき、FEC(Fluoro‐Ethylene carbonate)、PRS(Propene sultone)、FPC(Fluoro‐Propylene carbonate)などを更に含ませることもできる。
【0052】
前記電解質の注入は、最終製品の製造工程及び求められる物性に応じて、電池の製造工程のうち適宜な段階において行えば良い。すなわち、電池組み立ての前または電池組み立て最終段階などにおいて注入すれば良い。
【0053】
本発明による二次電池は、小型デバイスの電源として使用される電池セルに使用できるだけでなく、多数の電池セルを含む中大型電池モジュールに単位電池としても望ましく使用することができる。
【0054】
また、本発明は、前記電池モジュールを中大型デバイスの電源として含む電池パックを提供し、前記中大型デバイスは、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車などを含む電気自動車、及び電力貯蔵装置などであり得るが、これらに限定されることはない。
【実施例】
【0055】
以下、本発明を具体的な実施例を挙げて詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態に変形され得、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0056】
実施例1:正極の製造
層状のリチウムニッケル‐マンガン‐コバルト複合酸化物であるLiaNi0.4Mn0.62(1≦a<1.5)100gと、フッ素含有化合物であるPVdF 0.3gとを混合して、500℃で5〜10時間熱処理した。フッ素コーティングされたリチウムニッケル‐マンガン‐コバルト複合酸化物を得た。
【0057】
次いで、前記リチウムニッケル‐マンガン‐コバルト複合酸化物を導電材及びバインダーと共に分散媒に溶解させてスラリーを得て、このスラリーをアルミニウム集電体に塗布し、100〜130℃の温度で2時間乾燥させて正極を製造した。
【0058】
実施例2:リチウム二次電池の製造
実施例1で得た正極をリチウム二次電池の正極として使用した。
負極としては、一般に市販されるLi金属を使用した。
分離膜としては、ポリエチレンフィルムを使用して前記正極と前記負極との間に分離膜を介在させ、電解質としてEC/DMC/EMC=3/4/3混合溶媒に1molのLiPF6溶液を使用し、通常の製造方法によって電池を製造した。
【0059】
比較例1:正極の製造
層状のリチウムニッケル‐マンガン‐コバルト複合酸化物をフッ素コーティングせず使用したことを除き、実施例1と同じ方式で正極を製造した。
【0060】
比較例2:リチウム二次電池の製造
比較例1で得た正極を使用したことを除き、実施例2と同じ方法でリチウム二次電池を製造した。
【0061】
評価例1:リチウム二次電池の容量及びレート測定
実施例2及び比較例2で製造されたリチウム二次電池を4.65Vまで電流=0.1Cの条件で充電し、その容量を測定した。次いで、2.75Vまで電流=0.1Cで放電し、その容量を測定した。これらの結果を下記の表1に示した。
【0062】
【表1】
【0063】
また、2.75〜4.45Vの作動電圧で、0.1C、0.5C、1.0C、及び2.0C‐レートにおける放電容量を測定した。0.5Cにおける放電容量を図2a及び図2bに示した。
【0064】
図2bは、bare正極活物質を同じ方法で製造し、これらを使用して同じ方法で製造したセルの3回実験グラフであり、同じ種類の正極活物質を使用したセルであるにもかかわらず、放電容量の偏差が大きいことが分かる。これは、正極活物質の表面がフッ素コーティングされていないbareサンプルの場合、電解質に表面がよく露出し、副反応が起きて退化を加速化させ、特に、正極活物質の一部の特定区域で電解質の副反応がより深化するため、大きな偏差が発生したと考えられる。
【0065】
これに反して、図2aのフッ素コーティングされた正極活物質を使用して製作されたセルの3回実験グラフでは、セル間の偏差なしに、約50サイクル後にも92%以上の容量維持率を示すことが分かる。これは、SEM写真から確認したように、表面に均一な被膜が形成され、正極活物質が電解質からよく保護されて数十サイクル後にもゆっくり退化することを意味する。
また、比較例2で最も優れた放電容量を示した電池セルと、実施例2の電池セルのレート容量比を図3に示した。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3