(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
互いに交差する縦方向と横方向とを有した吸収性物品であって、
長手方向が前記縦方向に沿った吸収性本体を有し、
前記吸収性本体における前記長手方向の各端部のうちの少なくとも一方の端部には、前記吸収性本体の肌側面を覆って疎水性シートが固定されており、
前記疎水性シートにおける前記横方向の各端部には、前記肌側面に固定されない非固定部分が存在し、前記非固定部分は、前記肌側面から起立可能であることを特徴とする吸収性物品である。
【0014】
このような吸収性物品によれば、吸収性本体で吸収しきれずに横方向の外側を通って同外側から内側へと回り込んで疎水性シートの肌側面に流入しようとする排泄液を、当該疎水性シートにおける横方向の端部の上記非固定部分が起立することで横方向の外側に堰き止める。そして、これにより、疎水性シートの肌側面への排泄液の流入を抑制することができて、その結果、同シートの肌側面は、排泄液で濡れない状態に維持され易くなる。よって、着用者の身体のうちで上記端部が対向する部分に、さらっとした感触(以下、さらっと感とも言う)を感じさせることができて、これにより、同端部が濡れている場合に感じ得る不快感を軽減可能となる。
また、同疎水性シートによって肌側へのリウエットが防止される。すなわち、吸収性本体に吸収された排泄液が肌側に戻って染み出すことが、同シートの疎水性に基づいて防止される。そして、このことも、上記のさらっと感を感じさせることに有効に寄与する。
更に、疎水性シートによって吸収性本体の上記端部の剛性を補うことができるので、同端部を平らに維持可能であり、これにより、臀部や腹部などの着用者の身体の部分にフィットすることができる。そして、その結果、同端部での縦方向に沿った皺の発生を抑制して、当該皺を伝って吸収性本体の排泄液が上記端部から漏出することを防ぐことができる。
【0015】
かかる吸収性物品であって、
前記吸収性本体は、排泄液を吸収する吸収体と、前記吸収体よりも肌側に配された液透過性の肌側シートと、前記吸収体よりも非肌側に配された液不透過性の非肌側シートと、を有し、
前記吸収性本体の前記一方の端部において、前記肌側シートは、前記疎水性シートよりも前記横方向の外側に突出しているのが望ましい。
【0016】
このような吸収性物品によれば、疎水性シートよりも肌側シートは横方向の外側に突出している。よって、疎水性シートの非固定部分が起立することで横方向の外側に堰き止められた排泄液を、当該肌側シートの液透過性で吸収して、これを吸収体へと速やかに導くことができる。よって、非固定部分の外側に堰き止められた排泄液が、当該非固定部分を横方向の内側に乗り越えて横方向から疎水性シートの肌側面に流入してしまうことを抑制できて、これにより、排泄液が同シートの肌側面を濡らしてしまうことを確実に防ぐことができる。そして、その結果、着用者に、上記のさらっと感をより確実に感じさせることができる。
【0017】
かかる吸収性物品であって、
前記吸収性本体の前記一方の端部において、前記吸収体は、前記疎水性シートよりも前記横方向の外側に突出しているのが望ましい。
【0018】
このような吸収性物品によれば、疎水性シートよりも吸収体は横方向の外側に突出している。よって、疎水性シートの非固定部分が起立することで横方向の外側に堰き止められた排泄液を、当該肌側シートだけでなく吸収体でも速やかに吸収できる。そして、これにより、非固定部分の外側に堰き止められた排泄液が当該非固定部分を横方向の内側に乗り越えて横方向から疎水性シートの肌側面に流入してしまうことを有効に抑制できて、その結果、排泄液が同シートの肌側面を濡らしてしまうことを確実に防ぐことができる。
【0019】
かかる吸収性物品であって、
前記吸収性本体は、排泄液を吸収する吸収体と、前記吸収体よりも肌側に配された液透過性の肌側シートと、前記吸収体よりも非肌側に配された液不透過性の非肌側シートと、を有し、
前記肌側から見た場合に、前記疎水性シートは、前記吸収体と重なる部分を有しているのが望ましい。
【0020】
このような吸収性物品によれば、肌側から見た場合に、疎水性シートは、吸収体と重なる部分を有している。よって、吸収体の存在に起因してより起き易い排泄液のリウエットを、当該疎水性シートで効果的に抑制可能である。
【0021】
かかる吸収性物品であって、
前記疎水性シートは、前記吸収性本体における前記長手方向の近い方の端まで設けられているのが望ましい。
【0022】
このような吸収性物品によれば、疎水性シートは吸収性本体の端まで設けられているので、当該端まで、吸収性本体の剛性を補う効果を発揮し得る。よって、吸収性本体の端部での皺の発生をより一層抑制可能となって、その結果、当該皺起因で排泄液が上記端部から外部へ漏出してしまうことを確実に防ぐことができる。
【0023】
かかる吸収性物品であって、
前記疎水性シートにおける前記長手方向の内側の端部には、前記吸収性本体の前記肌側面に固定されない第2非固定部分が存在し、前記第2非固定部分は、前記肌側面から起立可能であるのが望ましい。
【0024】
このような吸収性物品によれば、吸収性本体で吸収しきれずに長手方向に沿って上記端部の疎水性シートの肌側面に流入しようとする排泄液を、当該疎水性シートの上記長手方向の内側の端部の上記第2非固定部分が起立することで堰き止める。よって、疎水性シートの肌側面への排泄液の流入を抑制することができて、その結果、同シートの肌側面が排泄液で濡れてしまうことを防ぐことができる。
【0025】
かかる吸収性物品であって、
前記吸収性本体は、排泄液を吸収する吸収体と、前記吸収体よりも肌側に配された液透過性の肌側シートと、前記吸収体よりも非肌側に配された液不透過性の非肌側シートと、を有し、
前記吸収体は、前記非肌側シートに固定されており、
前記吸収体における前記横方向の端部は、当該端部の非肌側に位置するシートに固定されない非固定部分を有し、前記非固定部分は、前記シートから起立可能であるのが望ましい。
【0026】
このような吸収性物品によれば、吸収体の横方向の端部の非固定部分も起立可能である。よって、当該非固定部分も排泄液を横方向の外側に堰き止める堰として機能し得て、これにより、横方向の外側からの排泄液の疎水性シートの肌側面への流入を確実に防ぐことができる。
【0027】
かかる吸収性物品であって、
前記横方向の両側にそれぞれ配されて、前記吸収性本体における前記長手方向の各端部同士を連結する各ベルト部を有し、
前記疎水性シートは、接着剤によって前記吸収性本体の前記肌側面に固定されており、
前記吸収性本体における前記長手方向の前記各端部には、それぞれ、前記ベルト部を溶着で接合する接合部が設けられており、
前記接合部では、前記疎水性シートが、前記吸収性本体の前記肌側面に溶着でも固定されているのが望ましい。
【0028】
このような吸収性物品によれば、疎水性シートは接着剤で吸収性本体の肌側面に固定されるだけでなく上記接合部においては溶着でも同肌側面に固定されている。よって、疎水性シートを吸収性本体にしっかりと固定することができて、これにより、疎水性シートに上述の機能を確実に発揮させることができる。
【0029】
かかる吸収性物品であって、
前記吸収性本体は、排泄液を吸収する吸収体と、前記吸収体よりも肌側に配された液透過性の肌側シートと、前記吸収体よりも非肌側に配された液不透過性の非肌側シートと、を有し、
前記肌側シートは不織布であり、
前記疎水性シートは不織布であり、
前記疎水性シートの密度(g/cm
3)は、前記肌側シートの密度(g/cm
3)よりも大きいのが望ましい。
【0030】
このような吸収性物品によれば、肌側シートでも阻止不能な吸収体から肌側への排泄液の戻り染み出しを、疎水性シートは、その構成繊維の高い密集度に基づいて、しっかりブロックすることができて、これにより、疎水性シートの肌側面への排泄液の染み出しを効果的に阻止し得る。そして、このことは、前述の肌側へのリウエットの防止に有効に寄与する。
【0031】
かかる吸収性物品であって、
前記吸収性本体は、排泄液を吸収する吸収体を有し、
前記横方向の両側にそれぞれ配されて、前記吸収性本体における前記長手方向の各端部同士を連結する各ベルト部を有し、
前記吸収性本体を前記長手方向に伸長させ、前記長手方向の中央で2つ折りにした状態で、前記縦方向における前記吸収性本体の一方側の端と他方側の端との間の距離は、250mm以上350mm以下であり、
前記吸収体を前記横方向に伸長させた状態で、前記横方向における前記吸収体の一方側の端と他方側の端との間の距離は、50mm以上120mm以下であり、
前記縦方向における前記ベルト部の一方側の端と他方側の端との間の距離の最小値は、50mm以上100mm以下であるのが望ましい。
【0032】
このような吸収性物品によれば、おむつ(吸収性物品)を着用し、さらにその上から下着を着用する際に、おむつの各部が下着の外にはみ出しにくく目立ちにくい。また、おむつの着用時に吸収体やベルト部について良好なフィット性を実現しやすくなる。これにより、着用者は、おむつを着用した状態で違和感なく日常生活を送ることができる。
【0033】
かかる吸収性物品であって、
前記吸収性本体における前記長手方向の前記各端部には、それぞれ、前記ベルト部を接合する接合部が設けられており、
前記縦方向における前記接合部の一方側の端と他方側の端との間の距離は、90mm以上130mm以下であるのが望ましい。
【0034】
このような吸収性物品によれば、着用時における脚回り開口部のフィット性を向上させることができる。また、ベルト部が下着からはみ出すことを抑制することができる。
【0035】
かかる吸収性物品であって、
前記ベルト部及び前記吸収性本体の一部によって形成される胴回り開口部を有し、
前記胴回り開口部の周の長さは、300mm以上800mm以下であるのが望ましい。
【0036】
このような吸収性物品によれば、着用時における胴回り部の良好なフィット性を確保しやすくなる。また、胴回り開口を開いた状態で脚回り開口の位置を視認しやすいため、着用する際に脚回り開口に脚が引っかかりにくく、着用しやすさが向上する。
【0037】
===本実施形態===
図1は、本実施形態の吸収性物品の一例としてのパンツ型使い捨ておむつ1の概略斜視図である。
このおむつ1は、着用前の時点で既に
図1のようなパンツ型状態となっている。そして、このパンツ型状態において、同おむつ1は、互いに直交する縦方向と横方向と前後方向とを有している。なお、同おむつ1の着用時には、上記の縦方向は、上下方向を向いていることが多い。そのため、以下では、縦方向のことを「上下方向」とも言う。また、この上下方向については、上側が、着用者の胴回り側に対応し、下側が、着用者の股下側に対応している。他方、前後方向については、前側が、着用者の腹側に対応し、後側が、着用者の背側に対応している。
【0038】
また、同パンツ型状態においては、おむつ1は、上下方向に長手方向を沿わせつつ同長手方向の略中央位置CLL10(
図2A)で2つ折りされた帯状の吸収性本体10と、横方向の両側にそれぞれ配されて、上記吸収性本体10における長手方向の各端部10eLf,10eLb同士を連結する各ベルト部32,32と、吸収性本体10の横方向の両側にそれぞれ位置して脚回り開口部LHを形成する各レッグギャザー部37,37と、を有している。
【0039】
すなわち、吸収性本体10の各端部10eLf,10eLbのうちの一方の端部10eLfは、上方且つ前側に位置し、他方の端部10eLbは、上方且つ後側に位置している。また、おむつ1の前側には、上から下に向かって横方向の外側へ傾斜した前側接合部jf,jf(接合部に相当)が、横方向に並んで一対設けられており、同様に、おむつ1の後側にも、上から下に向かって横方向の外側へ傾斜した後側接合部jb,jb(接合部に相当)が、横方向に並んで一対設けられている。そして、前者の一対の前側接合部jf,jfによって、前側に位置する吸収性本体10の端部10eLfと各ベルト部32,32の横方向の端部32eLf,32eLfとが接合されているとともに、前側に位置する各レッグギャザー部37,37の端部37eLf,37eLfと各ベルト部32,32の横方向の端部32eLf,32eLfとが接合されている。また、同様に、後者の一対の後側接合部jb,jbによって、後側に位置する吸収性本体10の端部10eLbと各ベルト部32,32の横方向の端部32eLb,32eLbとが接合されているとともに、後側に位置する各レッグギャザー部37,37の端部37eLb,37eLbと各ベルト部32の横方向の端部32eLb,32eLbとが接合されている。
【0040】
そして、これにより、同パンツ型状態においては、吸収性本体10の上記各端部10eLf,10eLbと各ベルト部32,32の上端部とが共同することで、おむつ1の上部に胴回り開口部BHが形成されており、また、各レッグギャザー部37,37における横方向の外側の端部と各ベルト部32,32の下端部とが共同することで、横方向の両側に脚回り開口部LH,LHが1つずつ形成されている。
【0041】
また、各ベルト部32には、それぞれ、横方向に沿った糸ゴム33,33…が上下方向に複数並んで配置されていて、これにより、各ベルト部32には、横方向の伸縮性が付与されている。他方、各レッグギャザー部37にも、それぞれ、吸収性本体10の長手方向に沿った糸ゴム38,38が横方向に複数並んで配置されていて、これにより、各レッグギャザー部37には、上下方向の伸縮性が付与されている。そして、これらの伸縮性に基づいて、おむつ1の胴回り開口部BH及び脚回り開口部LHは、それぞれ、着用者の胴回りや脚回りにフィットするようになっている。
【0042】
このようなおむつ1は、その製造過程の最終段階で、
図2A及び
図2Bのような延板状態となっている。なお、
図2Aは、当該延板状態のおむつ1をベルト部32側から見た概略平面図であり、
図2Bは、
図2A中のB−B断面図である。また、
図3Aは、
図2Aの延板状態のおむつ1において前側接合部jf,jf及び後側接合部jb,jbの各接合をそれぞれ解いて吸収性本体10の肌側面が見えるように各ベルト部32,32を横方向の外側に開いた状態の概略平面図であり、
図3Bは、
図3A中のB−B断面図である。また、
図2B及び
図3B中に示す波形線は、接着剤を模式的に示したものであり、更に、左斜め下線のハッチング模様で示す部分は、溶着部を模式的に示したものである。そして、このことは,以下で現れる
図5、
図6、及び
図8についても同様である。
【0043】
図2Aの延板状態のおむつ1は、
図1のパンツ型状態のおむつ1において吸収性本体10の2つ折りが解除されるように同吸収性本体10をその長手方向と平行な前後方向の両側に引っ張って伸ばした状態に相当している。そして、この延板状態においては、
図2Bに示すように、吸収性本体10及びレッグギャザー部37,37の各肌側面には、各ベルト部32,32が重なった状態になっている。
ちなみに、逆に言えば、この延板状態のおむつ1における一対のベルト部32,32の横方向の内側の各端部32ew1,32ew1をそれぞれ横方向の外側に引っ張りながら、吸収性本体10を長手方向の略中央位置CLL10で二つ折りすれば、おむつ1は、
図1のようなパンツ型状態になる。
【0044】
また、この延板状態においては、おむつ1は、互いに直交する長手方向と横方向と厚さ方向とを有している。そして、この長手方向は、パンツ型状態の縦方向と平行である。また、同長手方向の一方側及び他方側は、それぞれ、着用者の腹側たる前側及び背側たる後側に対応することから、以下では、一方側及び他方側のことを、それぞれ「前側」及び「後側」とも言う。更に、当該延板状態においては、同おむつ1の長手方向は、吸収性本体10、ベルト部32、及びレッグギャザー部37の各長手方向とも揃っている。そのため、以下では、これらを区別せずに単に「長手方向」と言う。一方、横方向については、パンツ型状態の横方向と同じであり、以下では、単に「横方向」と言う。また、厚さ方向については、着用者の身体に接触する側のことを「肌側」ともいい、その逆側のことを「非肌側」とも言う。
【0045】
更に、この延板状態では、おむつ1を長手方向に伸長した状態にしているが、この「伸長した状態」と言うのは、おむつ1に配置された各弾性部材(例えばベルト部32の糸ゴム33やレッグギャザー部37の糸ゴム38等)による収縮力に抗しておむつ1を長手方向に伸長した場合に、各弾性部材が配置されている部分において実質的に皺やギャザーが視認できなくなる程度まで伸長させた状態のことをいう。従って、長手方向に伸長した状態におけるおむつ1の形状は、各弾性部材による収縮力が発現していない状態において平坦に延びているおむつ1の形状と同じである。
【0046】
以下、この延板状態のおむつ1を適宜参照しながら、同おむつ1の構成について説明する。
図2A及び
図2Bの延板状態においては、吸収性本体10の横方向の両側にそれぞれレッグギャザー部37,37が位置しており、また、吸収性本体10の肌側面及び各レッグギャザー部37,37の肌側面に重なるように一対のベルト部32,32が横方向に並んで位置している。
【0047】
かかるベルト部32及びレッグギャザー部37は、同一のシート部材30で形成されている。すなわち、
図3A及び
図3Bに示すように、吸収性本体10の横方向の両側には、それぞれ、シート部材30,30が1つずつ配置されていて、各シート部材30,30の横方向の内側の端部30eW,30eWは、それぞれ、吸収性本体10の横方向の各端部10eW,10eWに接合されている。詳しくは、当該内側の端部30eWが、吸収性本体10を構成する後述のトップシート12とバックシート14又は外装シート16との間に介挿されつつ、これらのシート12,14,16に接着剤又は溶着で接合されている。また、
図3Bに示すように、シート部材30のうちでベルト部32となる部分とレッグギャザー部37となる部分との間には、長手方向に沿った折り返し線FLが設定されている。そして、各シート部材30には、それぞれ、当該折り返し線FLを横方向に跨ぐように脚回り開口部LHが厚さ方向に貫通形成されている。よって、当該折り返し線FLでシート部材30を横方向の内側に折り返すことにより、上記のベルト部32とレッグギャザー部37とが形成される。そして、
図2Aに示す前述の前側接合部jf,jf及び後側接合部jb,jbで、吸収性本体10及びレッグギャザー部37,37と各ベルト部32,32とを接合して上記の折り返し状態に固定することにより、上記の延板状態のおむつ1が形成される。
【0048】
なお、前側接合部jf及び後側接合部jbの形成は、例えばヒートシールや超音波シール等による溶着処理や接着剤による接着処理でなされ、ここでは、溶着処理でなされている。
【0049】
また、
図3Bに示すように、かかるシート部材30の形成は、例えば不織布等の柔軟なシート30a,30aを厚さ方向に二枚重ねにしてなされ、そして、これら二枚重ねのシート30a,30a同士の間には前述の糸ゴム33,38、すなわち、ベルト部32の糸ゴム33,33…及びレッグギャザー部37の糸ゴム38,38が長手方向に伸長された状態で固定されている。
【0050】
更に、この例では、
図2Bに示すように、ベルト部32において胴回り開口部BHとなる部分には、肌ストレス軽減用に端部仕舞い構造が付与されている。すなわち、この延板状態のおむつ1においては、ベルト部32における横方向の内側の端部32eW1,32eW1が、胴回り開口部BHとなる部分であるが、当該端部32ew1,32ew1は、横方向に複数回折り返されて接着剤等で当該折り返し状態に固定されていて、これにより、着用者の肌への負荷軽減が図られている。但し、何等これに限らない。すなわち、端部32ew1を折り返さず当該端部仕舞い構造を省略しても良い。
【0051】
図3Aに示すように、吸収性本体10は、長手方向の各端部10eLf,10eLbがそれぞれ平面視略V字形に先細った形状のシート状部材である。すなわち、吸収性本体10は、長手方向の各端部10eLf,10eLbに、前述の一対の前側接合部jf,jf及び一対の後側接合部jb,jbに対応した形状を有している。また、
図3Bに示すように、同吸収性本体10は、尿等の排泄液を吸収する吸収体11と、同吸収体11よりも肌側に配された液透過性のトップシート12(肌側シートに相当)と、同吸収体11よりも非肌側に配された液不透過性のバックシート14(非肌側シートに相当)と、バックシート14よりも非肌側に配された外装シート16と、を有する。
そして、これら各部材11,12,14,16は、それぞれ、厚さ方向に隣接する部材と、ホットメルト接着剤又は溶着等で接合されている。なお、同接着剤の塗布パターンとしては、Ωパターンやスパイラルパターン、ストライプパターン等を例示できて、このことは、この後に出てくる他の接着剤についてだけでなく、既述の接着剤についても同様である。また、吸収性本体10の長手方向の寸法たる製品長は、450〜750mmが好ましい。すなわち、450mm未満であると、お尻を覆うことができずに不安感を助長し、750mmを超えると、腰周りを超えてしまうため、装着時に違和感を引き起こすが、上記範囲にしていれば、これらを防ぐことができる。
【0052】
吸収体11は、液体吸収性の吸収性コア(不図示)と、同コアの外周面を被覆する不図示のコアラップシートと、を有する。吸収性コアは、所定の液体吸収性素材を所定形状に成形したものであり、
図3Aの例では、前端と後端とに円弧状部分を有した平面視略矩形状の成形体である。但し、何等これに限らない。また、液体吸収性素材としては、パルプ繊維等の液体吸収性繊維や、高吸収性ポリマー(所謂SAP)等の液体吸収性粒状物を例示できるが、何等これに限らない。また、コアラップシートには、ティッシュペーパーや不織布等の液透過性シートを使用可能であるが、場合によっては、コアラップシートを省略しても良い。なお、吸収体11の長手方向の寸法は、上記の製品長の35〜85%にあることが好ましい。この理由は、35%以上でないと、吸収体11で股間部を覆うことができずに漏れてしまう一方、85%を超えると、装着時に違和感を引き起こすためである。
【0053】
トップシート12は、不織布等の液透過性シートで形成され、ここでは、エアスルー不織布が使用されている。また、その平面サイズは、
図3Aに示すように、吸収体11の長手方向の両側及び横方向の両側から突出するようなサイズである。そして、横方向に突出する部分12eW,12eWは、
図3Bに示すように、非肌側且つ横方向の内側に曲げられていて、これにより、当該突出する部分12eW,12eWは、吸収体11の横方向の端部11eWを非肌側からも覆っている。よって、トップシート12の横方向の端部12eW,12eWが肌と擦れないため、装着時の違和感が低減する。
【0054】
バックシート14は、ポリエチレンフィルム又はポリプロピレンフィルム等の液不透過性シートで形成されている。また、
図3Aに示すように、当該バックシート14も、吸収体11の長手方向の両側及び横方向の両側から突出するような平面サイズのシートである。そして、このバックシート14の長手方向の各端部14eLf,14eLbは、それぞれ吸収性本体10の各端部10eLf,10eLbの一部を構成することから、その形状は、前述の一対の前側接合部jf,jf及び一対の後側接合部jb,jbに対応した形状をしている。すなわち、各端部14eLf,14eLbは、それぞれ長手方向の前側又は後側に進むに従って横方向の寸法が小さくなった前述の略V字形の先細り形状をなしている。
【0055】
外装シート16は、不織布等の柔軟なシートで形成される。そして、同外装シート16の平面サイズは、バックシート14の長手方向の両側及び横方向の両側から突出するようなサイズである。また、長手方向の各端部16eLf,16eLbは、それぞれ吸収性本体10の各端部10eLf,10eLbを構成する。よって、これら各端部16eLf,16eLbの形状は、前述の一対の前側接合部jf,jf及び一対の後側接合部jb,jbに対応した形状をしている。すなわち、各端部16eLf,16eLbは、それぞれ長手方向の前側又は後側に進むに従っての寸法が小さくなった前述の略V字形の先細り形状をなしている。
【0056】
ちなみに、以下の説明では、「吸収性本体10の肌側面」という用語が現れるが、この吸収性本体10の肌側面を形成するシートは、同本体10の平面位置に応じて変化する。すなわち、トップシート12が存在している位置では、トップシート12の肌側面が吸収性本体10の肌側面を形成する。しかし、トップシート12が存在しておらずバックシート14が存在している位置では、バックシート14の肌側面が吸収性本体10の肌側面を形成し、また、トップシート12及びバックシート14の両者が存在していない位置では、外装シート16の肌側面が吸収性本体10の肌側面を形成する。
【0057】
ところで、上述のようにトップシート12とバックシート14と外装シート16とは、それぞれ、長手方向に関して吸収体11よりも外方に突出する部分10eLfN,10eLbNを有している。すなわち、
図3Aに示すように、吸収性本体10は、長手方向の各端部10eLf,10eLbに、吸収体11が設けられていない部分10eLfN,10eLbNを有している。そして、当該部分10eLfN,10eLbNの剛性は低いことから、おむつ1の着用時に当該部分10eLfN,10eLbNに、長手方向に沿った皺が生じ易く、その結果、当該皺を伝って吸収性本体10の各端部10eLf,10eLbから外部へと排泄液が漏れ出る恐れがある。
【0058】
また、当該各端部10eLf,10eLbは、着用者の腹部又は臀部に対向し得るが、これら各端部10eLf,10eLbの肌側が排泄液で濡れていると、着用者は不快感を感じ得る。
【0059】
そこで、本実施形態では、吸収性本体10における長手方向の各端部10eLf,10eLbに対して、それぞれ、所定の工夫をしている。以下、この工夫について説明する。
【0060】
図4及び
図5は、当該工夫の説明図である。
図4は、
図3Aと同じ様式の概略平面図であり、
図5は、
図4中のA−A断面図及びB−B断面図である。
【0061】
本実施形態では、上記の工夫として、吸収性本体10における長手方向の各端部10eLf,10eLbに、それぞれ、同吸収性本体10の肌側面を覆うように疎水性シート50,50(
図4中では、ドット模様の部分を参照)を固定している。より詳しくは、当該疎水性シート50は、少なくとも吸収性本体10において吸収体11が設けられていない部分10eLfN,10eLbNを覆うように設けられている。
【0062】
そして、このようになっていれば、当該疎水性シート50,50によって、同シート50分の剛性を付与できるため、吸収性本体10の各端部10eLf,10eLbの剛性を補うことができる。特に、低剛性の上記部分10eLfN,10eLbNの剛性を効果的に高めることができる。
【0063】
よって、これら低剛性の上記部分10eLfN,10eLbNを含め、吸収性本体10の端部10eLf,10eLbを概ね平らに維持可能であり、これにより、全体として当該端部10eLf,10eLbは、着用者の腹部又は臀部にフィットし得る。そして、その結果、これら端部10eLf,10eLbでの長手方向に沿った皺の発生を抑制して、当該皺起因で排泄液がこれら端部10eLf,10eLbから外部へと漏出することを防ぐことができる。
【0064】
また、同疎水性シート50,50の疎水性に基づいて、肌側へのリウエットも防止される。すなわち、吸収性本体10に吸収された排泄液が肌側に戻って染み出すことも、同シート50,50の疎水性に基づいて防止される。
【0065】
よって、着用者の身体のうちで上記端部10eLf,10eLbが対向する腹部や臀部に、さらっと感を感じさせることができて、これにより、同端部10eLf,10eLbが濡れている場合の不快感を軽減可能となる。
【0066】
更に、
図4及び
図5に示すように、疎水性シート50における横方向の各端部50eW,50eWには、吸収性本体10の肌側面に固定されない非固定部分50eWN,50eWNが、長手方向に沿った帯状に存在している。そして、当該非固定部分50eWN,50eWNは、同肌側面から起立可能である。
【0067】
よって、吸収性本体10で一時的に吸収しきれない排泄液が存在する場合でも、疎水性シート50の肌側面を排泄液で濡れない状態に維持可能である。詳しくは次の通りである。先ず、
図4に示すように、吸収性本体10で一時的に吸収しきれない排泄液は、吸収性本体10よりも横方向の外側の位置のレッグギャザー部37で外部への漏出が食い止められる。そのため、かかる排泄液は、レッグギャザー部37の位置に滞留し得て、これにより、
図4中の太線矢印で示すように、当該位置で長手方向の前側又は後側へと流れる。そして、前側の端部10eLf及び後側の端部10eLbに至った排泄液は、そこから横方向の内側へと回り込んで、疎水性シート50の肌側面に流入する恐れがある。しかし、この点につき、
図5に示すように、疎水性シート50における横方向の各端部50eWの非固定部分50eWNは、起立可能である(
図5中に二点鎖線で示す状態を参照)。よって、当該非固定部分50eWNが起立することにより、横方向の外側から疎水性シート50の肌側面に流入しようとする排泄液を横方向の外側に堰き止める。そして、これにより、疎水性シート50の肌側面への排泄液の流入を抑制することができて、その結果、同シート50の肌側面は、排泄液で濡れない状態に維持され易くなる。そして、このことも、上記のさらっと感を感じさせることに有効に寄与する。
【0068】
なお、
図4に示すように、吸収性本体10の前側の端部10eLfに設けられた疎水性シート50と、後側の端部10eLbに設けられた疎水性シート50とは、概ね同じものであり、また、その設けられる周辺の状況も基本的に同じである。よって、以下では、両方の疎水性シート50,50について同時に説明する。
【0069】
かかる疎水性シート50は、不織布等の柔軟な素材シートを材料とすることができて、ここでは、当該素材シートとしてスパンボンド不織布が使用されている。但し、何等これに限らない。例えば、SMS不織布等の他の不織布や織布、フィルム等を用いても良い。
【0070】
また、この疎水性シート50は疎水性を有しているが、ここで言う「疎水性シート50が疎水性を有する」とは、同シート50の疎水性が、吸収性本体10の肌側面の疎水性よりも大きいことを意味する。例えば、狭義には、吸収性本体10の肌側面を構成するトップシート12、バックシート14、及び外装シート16の何れよりも疎水性が大きいことを意味し、広義には、トップシート12、バックシート14、及び外装シート16の何れか一つよりも疎水性が大きいことを意味する。なお、かかる疎水性の大小比較については、例えば、JISK6768に基づいて測定される「ぬれ張力」の大小比較でなすことができる。また、このように疎水性シート50の疎水性を相対的に高くすることの実現は、吸収性本体10の肌側面を構成する各シート12,14,16の全て又は少なくとも何れか一つに対して油剤で親水化処理を施すことでなすことができるし、或いは、疎水性シート50の上記素材シートに対して適宜な疎水化処理を施すことでなすことができる。
【0071】
また、疎水性シート50の長手方向及び横方向の各寸法の一例としては、それぞれ、50mm〜200mm及び40mm〜190mmを例示できる。そして、このような寸法であれば、上述の作用効果をより確実に奏することができる。
【0072】
更に、疎水性シート50における上記の非固定部分50eWNの横方向の寸法の一例としては、同疎水性シート50の横方向の寸法の最大値の3%〜25%の値を例示できる。そして、このような寸法にしていれば、上記の排泄液の横方向の堰き止め効果をより確実に奏することができる。
【0073】
また、この例では、上述のように疎水性シート50にスパンボンド不織布を使用し、他方で、トップシート12にはエアスルー不織布を使用している。そのため、疎水性シート50の密度(g/cm
3)は、トップシート12の密度(g/cm
3)よりも大きくなっている。
【0074】
よって、
図5のトップシート12でも阻止不能な吸収体11から肌側への排泄液の戻り染み出しを、前側及び後側の各疎水性シート50,50は、それぞれ、その構成繊維の高い密集度に基づきしっかりブロックすることができて、これにより、各疎水性シート50,50の肌側面への排泄液の染み出しを効果的に阻止し得る。そして、このことも、上記の肌側へのリウエットの防止に有効に寄与する。
【0075】
但し、何等これに限らない。すなわち、上記の染み出し防止効果が多少低下しても問題無い場合には、疎水性シート50の密度(g/cm
3)を、トップシート12の密度(g/cm
3)より小さくしても良い。
【0076】
更に、
図4に示すように厚さ方向の肌側から見た場合に、前側及び後側の各疎水性シート50,50は、それぞれ、吸収体11と厚さ方向に重ならない部分50P1を長手方向の外側の位置に有するだけでなく、吸収体11と厚さ方向に重なる部分50P2も長手方向の内側の位置に有している。
【0077】
よって、当該重なる部分50P2では、吸収体11の存在に起因してより起こり易い排泄液のリウエットを、当該疎水性シート50で効果的に抑制可能である。
【0078】
ちなみに、この重なる部分50P2の長手方向の寸法については、望ましくは、1mm〜100mmであると良い。そして、特に1mm以上であることに基づけば、上記の吸収体11の位置でのリウエット防止効果をより確実に奏することができる。また、100mm以下にする理由は、それを超えてしまうとトップシート12からの吸収を阻害しすぎてしまうとともに、疎水性シート50の上面に液がのってしまって、伝え漏れが発生しやすくなるためである。
但し、何等これに限らない。すなわち、上記の吸収体11の位置でのリウエット防止効果が多少低下しても問題無い場合には、疎水性シート50が、吸収体11と重なる部分50P2を有していなくても良い。
【0079】
また、
図4及び
図5に示すように、吸収性本体10における長手方向の各端部10eLf,10eLbにおいて、トップシート12は、各疎水性シート50よりも横方向の外側に突出している。より詳しくは、疎水性シート50の非固定部分50eWNがトップシート12から起立した状態(
図5中に二点鎖線で示す状態)だけでなく、同非固定部分50eWNがトップシート12に当接した状態(
図5中に実線で示す状態)においても、トップシート12は、当該非固定部分50eWNよりも横方向の外側に突出している。
【0080】
よって、
図5に示すように、疎水性シート50の非固定部分50eWNが起立することで横方向の外側に堰き止められた排泄液を、当該トップシート12の液透過性でもって即座に吸収して、これを吸収体11へと速やかに導くことができる。そして、これにより、非固定部分50eWNの外側に堰き止められた排泄液が、当該非固定部分50eWNを横方向の内側に乗り越えて横方向から疎水性シート50の肌側面に流入してしまうことを抑制できて、これにより、排泄液が疎水性シート50の肌側面を濡らしてしまうことを確実に防ぐことができる。そして、その結果、着用者に、上記のさらっと感をより確実に感じさせることができる。
【0081】
ちなみに、このトップシート12の横方向の外側への突出量については、望ましくは、片側で5mm〜20mmであると良い。そして、特に5mm以上であることに基づけば、上記の堰き止められた排泄液の吸収体11への誘導性をより高くすることができる。また、20mm以下にする理由は、濡れているトップシート12が身体に当たり易くなり、さらっと感の低下を防ぐためである。
但し、何等これに限らない。すなわち、上記の誘導性が多少低下しても問題無い場合には、吸収性本体10における長手方向の各端部10eLf,10eLbにおいて、トップシート12は、各疎水性シート50,50よりも横方向の外側に突出していなくても良い。
【0082】
更に、
図4及び
図5に示すように、この例では、吸収性本体10の長手方向の各端部10eLf,10eLbにおいて、それぞれ、吸収体11は、各疎水性シート50,50よりも横方向の外側に突出している。より詳しくは、疎水性シート50の非固定部分50eWNがトップシート12から起立した状態(
図5中に二点鎖線で示す状態)だけでなく、同非固定部分50eWNがトップシート12に当接した状態(
図5中に実線で示す状態)においても、吸収体11は、当該非固定部分50eWNよりも横方向の外側に突出している。
【0083】
よって、疎水性シート50の非固定部分50eWNが起立することで横方向の外側に堰き止められた排泄液を、当該トップシート12だけでなく吸収体11でも速やかに吸収できる。そして、これにより、非固定部分50eWNの外側に堰き止められた排泄液が当該非固定部分50eWNを横方向の内側に乗り越えて横方向から疎水性シート50の肌側面に流入してしまうことを有効に抑制できて、その結果、排泄液が疎水性シート50の肌側面を濡らしてしまうことを確実に防ぐことができる。
【0084】
ちなみに、この吸収体11の横方向の外側への突出量については、望ましくは、片側で5mm〜20mmであると良い。そして、特に5mm以上であることに基づけば、上記の堰き止められた排泄液を吸収体11はより高い即時吸収性で吸収可能となる。
【0085】
但し、何等これに限らない。すなわち、上記の吸収体11の即時吸収性が多少低下しても問題無い場合には、吸収性本体10における長手方向の各端部10eLf,10eLbにおいて、吸収体11は、各疎水性シート50よりも横方向の外側に突出していなくても良い。
【0086】
また、この
図4の例では、各疎水性シート50,50は、それぞれ、吸収性本体10における長手方向の近い方の端10eLfe,10eLbeまで設けられている。すなわち、前側の端部10eLfの疎水性シート50は、吸収性本体10の前端10eLfeまで達しており、後側の端部10eLbの疎水性シート50は、吸収性本体10の後端10eLbeまで達している。
【0087】
よって、当該端10eLfe,10eLbeまで、吸収性本体10の剛性を補う効果を発揮し得て、これにより、吸収性本体10の各端部10eLf,10eLbでの皺の発生をより一層抑制可能となる。そして、その結果、当該皺起因で排泄液が上記端部10eLf,10eLbから外部へ漏出してしまうことを確実に防ぐことができる。
【0088】
但し、何等これに限らない。すなわち、上記の漏出防止効果が多少低下しても問題無い場合には、疎水性シート50を、それぞれ、吸収性本体10における長手方向の近い方の端10eLfe,10eLbeまで設けなくても良い。
【0089】
更に、上述のように各疎水性シート50,50が、それぞれ、対応する端10eLfe,10eLbeまで設けられている場合には、同
図4に示すように、基本的に前側の疎水性シート50は、前側接合部jfの位置まで達した状態となっており、同様に、後側の疎水性シート50も、後側接合部jbの位置まで達した状態となっている。そして、これにより、各疎水性シート50,50は、接着剤で吸収性本体10の肌側面に固定されるだけでなく上記の各接合部jf,jbの溶着でも同肌側面に固定されている。
【0090】
よって、各疎水性シート50,50を吸収性本体10にしっかりと固定することができて、その結果、各疎水性シート50,50に上述の機能を確実に発揮させることができる。
【0091】
但し、何等これに限らない。すなわち、上記の接着剤のみで十分な固定強度を確保できる場合には、各疎水性シート50,50は、上記の各接合部jf,jbの位置まで達していなくても良い。
【0092】
図6は、第1変形例のおむつ1aの説明図である。なお、同
図6は、
図5の断面図と同様に、
図4中のA−A断面図及びB−B断面図に相当する図である。
【0093】
上述の実施形態では、
図5に示すように、基本的に吸収体11はバックシート14の肌側面に接着剤で固定されていた。すなわち、吸収体11における横方向の各端部11eW,11eWを除く大半の部分は、バックシート14の肌側面に接着剤で固定されていた。しかし、各端部11eW,11eWについては、非肌側からもトップシート12(12eW,12eW)で覆われているとともに、更に、その非肌側には、バックシート14ではなく前述のシート部材30が隣接していた。そのため、当該各端部11eW,11eWについては、トップシート12(12eW,12eW)を介してシート部材30に接着剤で固定されていた。
【0094】
これに対して、
図6の第1変形例では、トップシート12のうちで非肌側から吸収体11の端部11eWを覆う部分12eWが、横方向の外側の位置に、シート部材30の肌側面に接着剤で固定されない非固定部分12eWNを有していて、この点で、
図5に示す上述の実施形態と相違する。詳しくは、この第1変形例では、同
図6に示すように、当該非固定部分12eWNが、長手方向(
図6では紙面を貫通する方向)に沿った帯状に存在している。
【0095】
そして、このようになっていれば、吸収体11の端部11eWにおける横方向の外側の部分11eWeも、トップシート12の非固定部分12eWNと同様にシート部材30(シートに相当)の肌側面に固定されない非固定部分11eWNとして機能し得て、これにより、
図6中の右上の図に示すようにシート部材30の肌側面から起立可能である。
【0096】
よって、当該吸収体11の端部11eWの非固定部分11eWNも、排泄液を横方向の外側に堰き止める堰として有効に機能し得て、これにより、横方向の外側からの排泄液の疎水性シート50の肌側面への流入をより確実に防ぐことができる。
【0097】
ちなみに、吸収体11における上記の非固定部分11eWNの横方向の寸法の一例としては、同吸収体11の横方向の寸法の最大値の3%〜30%の値を例示できる。そして、このような寸法にしていれば、上記の排泄液の横方向の流入防止効果をより効果的に奏することができる。
【0098】
但し、何等これに限らない。すなわち、上記の流入防止効果が多少低下しても問題無い場合には、吸収体11における横方向の各端部11eWに上記の非固定部分11eWNが存在していなくても良い。
【0099】
図7及び
図8は、第2変形例のおむつ1bの説明図である。なお、
図7は、
図4と同じ様式で示す概略平面図あり、
図8は、
図7中のA−A断面図及びB−B断面図である。
【0100】
上述の実施形態では、各疎水性シート50は、
図4に示す長手方向の内側の端部50eLまで接着剤で吸収性本体10のトップシート12の肌側面に固定されていた。
【0101】
これに対して、この第2変形例では、
図7及び
図8に示すように、各疎水性シート50における長手方向の内側の端部50eLには、吸収性本体10のトップシート12の肌側面に固定されない第2非固定部分50eLNが、横方向に沿った帯状に存在していて、これにより、当該第2非固定部分50eLNは、トップシート12の肌側面から起立可能なっている。
【0102】
そして、このようになっていれば、吸収性本体10で吸収しきれずに長手方向に沿って上記端部10eLbの疎水性シート50の肌側面に流入しようとする排泄液(
図7中の太線矢印を参照)を、疎水性シート50の上記第2非固定部分50eLNが起立することで堰き止める。よって、当該疎水性シート50の肌側面への排泄液の流入を抑制することができて、その結果、同シート50の肌側面が排泄液で濡れてしまうことを防ぐことができる。
【0103】
ちなみに、疎水性シート50における上記の第2非固定部分50eLNの長手方向の寸法の一例としては、3mm〜20mmを例示できる。そして、このような寸法にしていれば、上記の排泄液の長手方向の流入防止効果をより確実に発揮することができる。
【0104】
但し、何等これに限らない。すなわち、上記の流入防止効果が多少低下しても問題無い場合には、疎水性シート50における長手方向の内側の端部50eLに、上記の第2非固定部分50eLNが存在していなくても良い。
【0105】
===おむつ1着用時における特徴===
このようなパンツ型おむつでは、着用者が着用した状態で違和感なく日常生活を送ることができることが望ましい。特に、大人用のパンツ型おむつでは、下着の代わりにおむつを着用するという使用態様が一般的であるが、本実施形態では、おむつ1を下着と共に着用するという使用態様を可能としている。具体的に、本実施形態のおむつ1は、各部の寸法(サイズ)を所定範囲内に規定することにより、下着の下に着用することが可能であり、その際、おむつ1が下着の下に隠れて目立ちにくい構成となっている。すなわち、おむつ1を下着とともに着用するという従来とは異なる使用態様において、おむつ1を着用していることを他人に知られたくないという着用者の要望を叶えることが可能な構成を有している。以下、おむつ1の各部の寸法について説明する。
【0106】
図10は、おむつ1の各部の寸法について説明する図である。同
図10では、パンツ型形状のおむつ1(
図1に相当)を縦方向及び横方向に伸長させた状態の概略平面図を表している。「伸長させた状態」は、上述した「伸長した状態」と同義である。
図11は、着用者がおむつ1を着用した状態を正面(腹側)から見た場合について示す概略図である。
図12は、着用者がおむつ1を着用し、さらにその上から下着を着用した状態を正面(腹側)から見た場合について示す概略図である。同
図12では、下着を実線で表し、おむつ1を破線で表している。
【0107】
先ず、
図10の状態で、縦方向における吸収性本体10の上端(胴回り側の端)と下端(股下側の端)との間の長さをL10とする。つまりL10は、吸収性本体10を長手方向に伸長させ、長手方向の中央位置CLL10で2つ折りにした状態で、縦方向における吸収性本体10の一方側の端と他方側の端との間の距離である。おむつ1では、この距離L10が250mm以上350mm以下、望ましくは290mmとなるように規定されている(350mm≧L10≧250mm)。なお、
図11や
図12のように着用者がおむつ1を着用した状態では、おむつ1が股下部5において前後に広がることから、縦方向における吸収性本体10の着用時の長さは距離L10よりも50〜70mm程度短くなり、280mm〜200mm程度となる。
【0108】
図11に示されるように、縦方向において人間(着用者)の腸骨の上端(骨盤)から大転子までの平均的な距離は約200mmであり、へそから大転子までの平均的な距離は約300mmである。そして、
図11や
図12に示されるように、一般的な下着は、腸骨の上端とへそとの間に胴回り開口部(下着の上端部)が配置されるようにサイズ設計されている。したがって、仮に距離L10が350mmよりも大きい場合、おむつ1の着用時において吸収性本体10の上端位置が高くなり、下着の上端からはみ出してしまうおそれがある。また、吸収性本体10の上端位置が高くなると必然的にベルト部32の位置も高くなるため、ベルト部32が下着の上端からはみ出してしまうとともに、腸骨よりも上側で着用者の胴回り(ウェスト部)が締め付けられることにより、おむつ1着用時におけるフィット性が大きく悪化する。これに対して、距離L10が350mm以下であれば、吸収性本体10やベルト部32が下着の上端部よりも下側に隠れやすくなり、また、ベルト部32が腸骨の横の位置に配置されるため、着用者は、ベルト部32による締め付けを腸骨部分に受けることから、良好なフィット感を得やすくなる(
図11,
図12参照)。
【0109】
また、仮に距離L10が250mmよりも小さい場合、おむつ1着用時において、吸収性本体10及びベルト部32が腸骨(骨盤)の上端よりも下側に位置しやすくなる。ベルト部32が腸骨の上端部にかからない場合、ベルト部32に作用する収縮力によってベルト部32が骨盤の傾斜にしたがって下側にずり落ちやすくなり、フィット性が悪化する。これに対して、距離L10が250mm以上であれば、おむつ1の着用時において、少なくともベルト部32の一部は腸骨の上端部にかかりやすくなるため、ベルト部32がずり落ちにくくなり、フィット性が悪化することを抑制できる。なお、距離L10を290mmとすれば、着用時における縦方向の実際の長さが220〜240mm程度となり、ずり落ちを抑制しつつ、ローライズやミディサイズ等、多くの種類の下着の中に収まりやすくなる。
【0110】
次に、横方向における吸収体11の幅をW11とする。つまりW11は、吸収体11を横方向に伸長させた状態で、横方向における吸収体11の一方側の端と他方側の端との間の距離である。おむつ1では、この距離W11が50mm以上120mm以下、望ましくは100mmとなるように規定されている(120mm≧W11≧50mm)。
【0111】
距離W11は、おむつ1の着用時において排泄物を吸収できる空間を十分に確保すること、及び食い込みやもたつきが生じにくいことを前提としつつ、下着の股下部(クロッチ)に収まりやすい寸法となっている。おむつ1では、下着の下に重ねて着用するという使用態様を想定しているため、着用時において吸収体11が下着よりも体に近い位置に配置され、身体の凹凸形状にフィットすることで吸収体11が変形して横方向における見立て幅が小さくなりやすい。しかし、仮に、距離W11が120mmよりも大きい場合、横方向における見立て幅が下着を超えてしまうため、一般的な下着の股間幅である50〜80mmの範囲に吸収体11が収まらず、下着からはみ出してしまうおそれがある。また、吸収体11を下着の股下部にはみ出しなく収めようとすると、股間部にもたつきが生じて着用者に不快感を与えたり、排泄物の横漏れを生じたりするおそれがある。これに対して、距離W11が120mm以下であれば、股間部において吸収体11をもたつきなく下着の中に収めることができる。
【0112】
また、仮に距離W11が50mmよりも小さい場合、排泄物を吸収可能な領域が狭くなり、吸収体11が十分な吸収性能を発揮できなくなる。さらに、吸収体11の幅が狭いことから、着用時において吸収体11の横方向両端(エッジ)が着用者の鼠蹊部に食い込んだり、臀部が大きく露出したりする等の問題が生じてフィット性が悪化するおそれがある。これに対して、距離W11が50mm以上であれば、十分な吸収性を確保しつつ、着用時における食い込み等を抑制して良好なフィット性を実現できる。なお、距離W11を100mmとすれば、吸収性を確保しつつ、もたつきや食い込みを抑制したうえで、一般的な下着の股下幅に近づけることで、股下部において吸収体11を下着の中にスムーズに収めやすくすることができる。
【0113】
次に、縦方向におけるベルト部32の幅の最小値をh32とする。つまりh32は、縦方向におけるベルト部32の一方側の端と他方側の端との間の距離の最小値である。おむつ1では、この距離h32が50mm以上100mm以下、望ましくは70mmとなるように規定されている(100mm≧h32≧50mm)。
【0114】
仮に距離h32が100mmよりも大きい場合、ベルト部32が下着のサイド部分に収まらず、上下にはみ出しやすくなる。また、上下方向における幅が広くなることから、おむつ1の着用時において、着用者の身体のうち腸骨(骨盤)の上端よりも下側の領域がベルト部32によって広く覆われるようになる。この場合、ベルト部32に設けられた糸ゴム33による収縮力が腸骨の下側の領域に作用することにより、ベルト部32が腸骨(骨盤)の傾斜に沿って下方に引きずられやすくなる。すなわち、ベルト部32が下方にずれ落ちやすくなり、下着のサイド部分から下側にはみ出したり、フィット性が悪化したりするおそれがある。これに対して、距離h32が100mm以下であれば、下着のサイド部分に収まりやすく、骨盤の傾斜に沿ってずれ落ちる等の問題を抑制できる。
【0115】
また、仮に距離h32が50mmよりも小さい場合、着用者の肌との接触面積が小さいため摩擦力が弱く、ベルト部32が腸骨(骨盤)の傾斜に沿って上方または下方に滑りやすくなる。この場合、ベルト部32が丸まって細くなることによって、着用者の肌に食い込みやすくなったり、より滑りやすくなったりしてフィット性が悪化しやすい。これに対して、距離h32が50mm以上であれば、ベルト部32が滑りにくく、フィット性の悪化を抑制しやすい。なお、距離h32を70mmとすれば、腸骨の頂点位置を中心として上下の領域に均等にベルト部32の収縮力が作用しやすくなり、ベルト部32が腸骨(骨盤)の傾斜に沿って滑ることを抑制しやすくなる。また、成人がものを掴むときに人差し指と親指を広げた時の長さが100mm程度であることから、このような寸法であれば、成人が片手でベルト部32を掴みやすく、おむつ1を着用する際にベルト部32を引き上げる動作を安定して行うことが可能となる。さらに、おむつ1の着用後はベルト部32が下着のサイド部分に収まりやすくなる。
【0116】
また、前側接合部jfの上端(一方側の端)をjft、下端(他方側の端)をjfbとしたとき、縦方向における上端jftと下端jfbとの間の距離hjfは、90mm以上130mm以下、望ましくは100mmとなるように規定されている。なお、後側接合部jbについても同様のことが言えるが、ここでは前側接合部jfについて説明する。
【0117】
おむつ1において、前側接合部jfは吸収性本体10とベルト部32とを接合している部位であり、この前側接合部jfの長さ(縦方向における距離hjf)によって脚回り開口部LHの大きさが決定される。したがって、距離hjfが大きいほど、脚回り開口部LHが小さくなり周長が短くなる。特に、距離hjfが130mmよりも大きい場合、おむつ1の着用時に脚回り開口部LHの周縁部が着用者の脚に引っかかりやすくなり、着用動作が妨げられやすくなる。また、おむつ1の着用時に着用者がベルト部32をつかんでおむつ1を引き上げる動作を行う際に、距離hjfが小さいほど、ベルト部32が前側接合部jfを基点として斜め上方に曲がりやすくなる。すなわち、吸収性本体10に対して左右のベルト部32がV字型に変形しやすくなる。特に、距離hjfが90mmよりも小さい場合、ベルト部32が斜め上方側に大きく変形してしまい、おむつ1を引き上げる際に、引き上げたベルト部32が下着の上端から上側にはみ出しやすくなる。これに対して、距離hjfを90mm以上130mm以下とすることで、脚回り開口部LHにおけるフィット性を向上させるとともにベルト部32が下着からはみ出すことを抑制することができる。なお、距離hjfを100mmとすれば、ベルト部32が斜め上方に過度に曲がることが抑制され、より下着らしいT字型のフォルムを形成しやすくなり、下着の下におむつ1を着用した場合でもおむつ1が目立ちにくくなる。
【0118】
また、自然状態におけるおむつ1の胴回り開口部BHの周の長さをRBHとすると、RBHの長さは、300mm以上800mm以下、望ましくは540mmである。なお、「自然状態」とは、以下のように定義される。先ず、おむつ1のベルト部32を横方向の両外側に引っ張り、横方向におけるベルト部32及び吸収性本体10の寸法が、部材単体の寸法と一致又はそれに近い長さになるまで伸長させる。この伸長状態を15秒間継続させた後、おむつ1の引っ張り状態を解除して机等の平面に置く。そして、このような平面平置きで5分間経過させた状態がおむつ1の自然状態である。
図10では、便宜上、伸長状態のおむつ1に対して開口部BHの周長RBHを表示している。
【0119】
RBHが800mmよりも大きいと、胴回り開口部BHに沿って作用する収縮力(応力)が低くなり、おむつ1着用時における胴回りのフィット性が悪化するおそれがある。つまり、胴回り(ウェスト部)の締め付けが緩くなり、おむつ1がずり落ちやすくなる。また、RBHが300mmよりも小さいと、おむつ1を着用する際に開口部BHを開いたときに、胴回り開口部BHの間口が狭く、脚回り開口部LHの位置を認識しにくくなる。そのため、脚回り開口部LHに脚を通す動作において、脚回り開口部LHの周縁部に着用者の脚の指が引っかかりやすくなる等の問題が生じるおそれがある。これに対して、RBHを300mm以上800mm以下とすることで、良好なフィット性を維持しつつ、着用しやすさを向上させることができる。なお、RBHを540mmとすれば、Mサイズの下着の自然状態における一般的な胴回り寸法である520mm〜560mmの範囲に含まれるため、下着の中におむつ1がスムーズに収まりやすくなる。
【0120】
また、
図3に示されるように、ベルト部32は、胴回り開口部BHを形成する部分(
図3においてベルト部32の横方向外側端部)がまっすぐに延びているのに対して、脚回り開口部LHを形成する部分(
図3においてベルト部32の横方向内側端部)は、胴回り開口部BH側に凸となるような曲線(R形状)を描いている。これにより、おむつ1をパンツ型に形成した状態で脚回り開口部LHが下着の脚回りのカーブに沿いやすくなり、下着の下に着用した場合であっても、おむつ1が下着からはみ出しにくくなる。また、おむつ1を着用する動作において、脚回り開口部LHのカーブが着用者の太ももの形状や足繰りの形状に合わせて縦方向の上側に凸となっていることで足繰りの形状にフィットしやすく、股間部に詰まることなくおむつ1をスムーズに引き上げることができる。
【0121】
==その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
【0122】
上述の実施形態では、
図3Aに示すように、疎水性シート50を、吸収性本体10の長手方向の各端部10eLf,10eLbにそれぞれ設けていたが、何等これに限らない。すなわち、各端部10eLf,10eLbのうちのどちらか一方の端部10eLf(10eLb)のみに疎水性シート50を設けても良い。
【0123】
上述の実施形態では、吸収性物品として
図1のようなパンツ型の使い捨ておむつ1を例示したが、何等これに限らない。例えば、テープ式の使い捨ておむつに上記の疎水性シート50,50を設けても良い。ちなみに、当該テープ式の使い捨ておむつとは、例えば次のような構成のものである。先ず、同おむつは、平面視砂時計形状の吸収性本体を有する。そして、同吸収性本体における長手方向の一方の端部には、横方向に一対のファスニングテープが設けられており、また、他方の端部には、これら一対のファスニングテープを係止するターゲットテープが設けられている。また、更に言えば、吸収性物品は、何等上記のおむつに限らず、例えば尿取りパットでも良い。なお、ここで言う「尿取りパッド」とは、テープ式又はパンツ型の使い捨ておむつの吸収性本体10の肌側面に載置して使用されるものであり、その一例としては、上記のシート部材30,30を有さず、上記吸収性本体10の平面視の外形形状を略矩形形状にしたものを挙げることができる。
【0124】
上述の実施形態では、
図3Aの展開状態における吸収性本体10の横方向の両側の位置に、横漏れを防ぐための所謂立体ギャザーを設けていなかったが、場合によっては、設けても良い。但し、望ましくは、上述の実施形態のように立体ギャザーを設けない方が良い。詳しくは、次の通りである。
先ず、立体ギャザーを設けるためには、長手方向に沿った糸ゴム等の弾性部材が同方向に伸長された状態で固定された一対の立体ギャザーシートを、吸収性本体10の横方向の両側にそれぞれ固定する。また、同立体ギャザーシートにおいて吸収性本体10に固定された部分よりも横方向の内側の部分については、その長手方向の両端部も吸収性本体10に固定される。そして、これにより、同内側の部分において吸収性本体10に固定されない長手方向の中央部が、上記の弾性部材の収縮力に基づいて起立して、これにより、当該中央部が立体ギャザーとして機能する。しかし、ここで、固定された上記の両端部は、肌側に盛り上がっていることから、着用者の臀部などと擦れ易く、その結果、装着感が失われてしまう。また、見た目にも、おむつらしさが想起されてしまうようになる。そのため、好ましくは、立体ギャザーを設けないようにすると良い。
【0125】
上述の実施形態では、前側接合部jf及びその近傍部分の断面形状について説明していなかった。そのため、ここで
図9Aを参照して説明する。
図9Aは、
図1中のIX−IX断面図である。同
図9Aに示すように、前側接合部jfにも、吸収性本体10の疎水性シート50が存在している。よって、同シート50の剛性に基づいて、吸収性本体10と前側接合部jfとの境界部分の角度θ1が鈍角となり、ベルト部32と前側接合部jfとの境界部分の角度θ2が鋭角となるように、前側接合部jfは、横方向の外側に倒れた状態となる。そして、これにより、
図9Bに示すように疎水性シート50が無い場合に起こり得る事態、すなわち、上記の各角度θ1,θ2がそれぞれ約90°になってしまって前側接合部jfが前側に起立して突出した状態になることを防ぐことができる。その結果、前側接合部jfが目立ち難くなって、下着らしさを出すことができる。また、横方向の外側に倒れるので、吸収性本体10に位置する疎水性シート50の皺の発生も抑制される。なお、このことは、後側接合部jbについても同様である。
【課題】吸収性物品1の吸収性本体10における長手方向の端部10eLf,10eLbからの排泄液の漏出を防ぐとともに、同端部10eLf,10eLbで着用者が感じ得る不快感を軽減する。
【解決手段】互いに交差する縦方向と横方向とを有した吸収性物品1である。長手方向が前記縦方向に沿った吸収性本体10を有する。前記吸収性本体10における前記長手方向の各端部10eLf,10eLbのうちの少なくとも一方の端部10eLbには、前記吸収性本体10の肌側面を覆って疎水性シート50が固定されている。前記疎水性シート50における前記横方向の各端部50eWには、前記肌側面に固定されない非固定部分50eWNが存在し、前記非固定部分50eWNは、前記肌側面から起立可能である。