特許第6201223号(P6201223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6201223
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】偏光分離素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20170914BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   G02B5/30
   G02F1/1335 510
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-528408(P2015-528408)
(86)(22)【出願日】2013年8月29日
(65)【公表番号】特表2015-527616(P2015-527616A)
(43)【公表日】2015年9月17日
(86)【国際出願番号】KR2013007795
(87)【国際公開番号】WO2014035173
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2015年2月18日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0095099
(32)【優先日】2012年8月29日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0103455
(32)【優先日】2013年8月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ジン ミ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジョン ビュン
(72)【発明者】
【氏名】シン、ブ ゴン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジャエ ジン
【審査官】 小西 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−121507(JP,A)
【文献】 特開2005−181979(JP,A)
【文献】 特開2009−109636(JP,A)
【文献】 特開2006−220921(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/063991(WO,A1)
【文献】 特表2013−527880(JP,A)
【文献】 特開2002−328222(JP,A)
【文献】 特開2009−223222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属の前駆体としてHAlO(Cを含む溶液の層が一面に形成されている第1基板と一面に凹凸層が形成されている第2基板を、前記金属の前駆体を含む前記溶液の層と前記凹凸層が対向するように積層した状態で、前記金属の前駆体を金属へ転換させて、ストライプ形状を有し且つ互いに平行に配置されている2個以上の金属凸部を前記第2基板上に形成することを含む偏光分離素子の製造方法。
【請求項2】
前記金属の前駆体を含む溶液は、エーテルまたはアルコールを含む、 請求項1に記載の偏光分離素子の製造方法。
【請求項3】
前記金属凸部は、平行に配置されている金属凸部のピッチが80nm〜400nmとなるように形成する、 請求項1に記載の偏光分離素子の製造方法。
【請求項4】
前記金属凸部は、その高さHとピッチPの比率H/Pが0.2〜1.5となるように形成する、請求項3に記載の偏光分離素子の製造方法。
【請求項5】
前記金属の前駆体の金属への転換は、前記金属の前駆体を熱処理して行う、請求項に記載の偏光分離素子の製造方法。
【請求項6】
前記凹凸層の凹部には、触媒がコーティングされている、請求項に記載の偏光分離素子の製造方法。
【請求項7】
前記触媒が、チタンアルコキシド、チタンハライド、チタンハライドのキレート化合物、鉄アルコキシド、ケイ素ハライド、バナジウムオキシハライド、チタンホウ素水素化物またはチタンホウ素水素化物のキレート化合物である、請求項に記載の偏光分離素子の製造方法。
【請求項8】
前記触媒は、金属または金属複合物である、請求項に記載の偏光分離素子の製造方法。
【請求項9】
前記金属または金属複合物は、Ti、Pd、Pt、Al、Cu、Si、Au及びFeから選択された1つ以上の金属を含む、請求項に記載の偏光分離素子の製造方法。
【請求項10】
前記金属凸部の形成後に前記凹凸層を除去することをさらに行う、請求項に記載の偏光分離素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶液工程を利用した偏光分離素子の製造方法及びそれによって製造された偏光分離素子に関する。
【背景技術】
【0002】
偏光分離素子、すなわち上記素子に入射する光のうちいずれか1つの偏光を透過させ、他の偏光は吸収するかあるいは反射する素子は多様な用途に使用されることができる。
【0003】
例えば、偏光分離素子は、液晶配向膜の形成に使用されることができる。すなわち、液晶配向膜としては、光の照射によって処理された表面であって、隣接する液晶分子を配列させることができる光配向膜があり、通常、光配向膜は、光感応性物質(photosensitive material)の層に光、例えば、直線偏光された光を照射することによって、上記光感応性物質を一定方向に整列(orientationally ordering)させて製造することができ、上記直線偏光された光の形成に上記偏光分離素子が使用されることができる。例えば、特許文献1は、上記のような偏光分離素子の例としてアルミニウムを利用して製造した素子を開示している。
【0004】
一方、入射光のうちいずれか1つの偏光は透過させ、他の偏光は反射させる類型の偏光分離素子は、例えば、輝度向上のためのフィルムとして使用されることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国特許公開第2002−0035587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、偏光分離素子の製造方法及び偏光分離素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、偏光分離素子の製造方法に関する。本明細書で用語「偏光分離素子」は、上記素子に入射する光のうち偏光された状態の光を抽出することができるすべての種類の素子を意味することができる。上記で偏光された状態の光は、直線偏光、円偏光または楕円偏光された光であることができ、1つの例示では、直線偏光された光であることができる。上記で偏光された状態の光は、また、紫外線または可視光線であることができる。本明細書で、用語「紫外線」は、例えば、約250nm〜約350nm、約270nm〜約330nm、約290nm〜約310nmの波長領域の電磁波を意味することができ、用語「可視光線」は、約360nm〜700nmまたは約400nm〜700nmの波長領域の電磁波を意味することができる。
【0008】
例示的な分離素子は、基材層と上記基材層上に形成された凸部とを含むことができる。上記凸部は、金属凸部であることができる。本明細書で用語「金属凸部」は、金属のみで形成されるか、あるいは金属を主成分として形成された凸部を意味し、上記で「金属を主成分として含む」というのは、凸部の70重量%、75重量%、80重量%、85重量%または90重量%以上が金属である場合を意味することができる。上記凸部は、ストライプ形状を有することができ、少なくとも2個以上基材層上に形成されていてもよい。ストライプ形状に形成された凸部は、実質的に互いに平行に基材層上に配置されていてもよい。基材層上でストライプ形状に形成された凸部の数は、特に制限されず、例えば、分離しようとする光の強さなどを考慮して選択されることができる。通常、上記凸部は、基材層上に1m当たり約200万〜1,000万程度に存在することができる。
【0009】
上記分離素子は、広い波長領域の光、例えば広い波長領域の紫外線または可視光線に対して優れた分離効率を示すことができる。分離素子の分離効率は、偏光消滅比によって規定されることができる。本明細書で、用語「偏光消滅比」は、上記分離素子を透過する光のうち上記ストライプ形状の凸部に垂直な偏光の強さと上記凸部に水平である偏光の強さの比率を意味することができる。すなわち、上記分離素子は、上記凸部と直交するベクトルを有する光(いわゆるP偏光)は透過させ、上記凸部に水平であるベクトルを有する光(いわゆるS偏光)は反射させて分離特性を示すことができ、このようなP及びS偏光の比率を通じて効率が規定されることができる。
【0010】
例えば、上記分離素子は、下記数式1によって計算されるRが15以上、20以上、25以上、30以上、35以上、40以上または45以上であることができる。上記数式1で計算されるRの上限は、特に制限されない。すなわち上記Rが大きいほど優れた効率を示すことを意味する。実用性を考慮して、上記Rは、例えば、2,000以下、1,500以下、1,000以下、900以下、800以下、700以下、600以下、500以下、400以下、300以下、200以下または150以下であることができる。
【0011】
【数1】
【0012】
数式1で、Tcは、上記ストライプ形状の凸部と直交する方向に偏光された250nm〜350nmの波長範囲または360nm〜700nmの波長範囲のうちいずれか1つの波長の光の上記偏光分離素子に対する透過度であり、Tpは、上記凸部と平行な方向に偏光された250nm〜350nmの波長範囲または360nm〜700nmの波長範囲のうちいずれか1つの波長の光の上記偏光分離素子に対する透過度である。上記数式1に適用される光の波長は、他の例示で、約270nm〜約330nm、約290nm〜約310nm程度であってもよい。
【0013】
図1は、例示的な偏光分離素子の断面を模式的に示す図であり、図2は、例示的な偏光分離素子の上面を模式的に示す図である。図1及び図2のように、上記偏光分離素子は、基材層1及び上記基材層上に形成された凹凸2を含むことができる。
【0014】
凹凸2を形成する凸部2aは、図2のように、ストライプ形状を有し、且つ互いに平行に配列されていてもよい。この場合、上記凸部2aの間には、上記凸部2aによって凹部2bが形成され、上記凸部2aのピッチ、幅及び高さは、分離しようとする光の種類が紫外線または可視光線のうちいずれかであるかと分離性能、例えば、上記数式1によるRなどを考慮して調節されることができる。本明細書で、用語「ピッチP」は、上記凸部2aの幅Wと凹部2bの幅を加算した距離を意味し(図2を参照)、用語「高さH」は、上記凸部の高さHを意味する(図1)。凸部の高さが凸部別に差異がある場合には、上記高さは、最も高い凸部の高さであるか、あるいは凸部の高さの平均値であることができる。
【0015】
例えば、分離しようとする光が紫外線である場合に、上記凸部のピッチPは、例えば、約80nm〜400nm、約100nm〜300nmまたは約150nm〜250nm程度であることができる。また、上記凸部の幅Wと上記ピッチPの比率W/Pは、約0.1〜0.9または約0.15〜0.8程度であることができる。また、上記凸部の高さHと上記ピッチPの比率H/Pは、約0.3〜1.5、0.5〜1.4または約0.6〜1.3程度であることができる。上記高さは、例えば、約20nm〜450nm、約20nm〜400nmまたは約50nm〜350nm程度であることができる。このようなピッチ及び高さの範囲で分離素子が適切な紫外線及び可視光線分離能を示すことができる。
【0016】
本発明の例示的な上記偏光分離素子の製造方法は、金属の前駆体を含む溶液を使用して上記金属凸部を形成することを含むことができる。このように、金属前駆体を含む溶液を使用する溶液工程を通じて金属凸部を形成することによって、高価の装備を使用することなく、相対的に穏やかな条件での単純な工程で偏光分離素子を製造することができ、特に偏光分離素子を大面積で形成しなければならない場合にも、容易に偏光分離素子を製造することができる。
【0017】
溶液工程、すなわち上記金属前駆体を含む溶液を使用して上記金属凸部を形成する方法は、特に制限されない。
【0018】
例えば、上記方法は、凹凸層の凹部に充填された上記金属の前駆体を含む溶液(以下、単純に「金属前駆体溶液」と称することができる。)の上記金属の前駆体を金属に転換させることを含むことができる。このような工程は、例えば、一面に凹凸層が形成された基板の上記凹凸層の凹部に上記金属前駆体溶液を充填した後に、上記溶液に含まれた金属前駆体を金属に転換させることを含むことができる。
【0019】
図3または図4は、上記のような方式を例示的に示す図である。すなわち、図3または図4のように、一面に凹凸層が形成された基板100を使用して上記方法が進行されることができる。上記で基板100としては、特別な制限なしに公知された光透過性の基板を使用することができる。例えば、紫外線または可視光線の波長帯域に属するいずれの波長範囲の光に対しても透過度が70%以上の基板を上記に適用することができる。
【0020】
例えば、基板100としては、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate、PET)、ポリカーボネート(Polycarbonate、PC)、ポリメチルメタクリレート(Poly(methyl methacrylate)、PmmA)、ポリビニルアルコール(Polyvinyl alcohol、PVA)、ポリエステルスルホン(polyether sulfone、PES)またはエチレンビニルアセテート(Ethylene vinyl acetate、EVA)などのプラスチック基板;またはガラス基板;または石英(Quartz)基板などが使用されることができる。例えば、可視光線及び紫外線波長領域の光に対して高い透過度を示し、紫外線と熱などに対する耐性が良い石英基板が適用されることができる。
【0021】
基板100は、一面には凹凸層が形成されていてもよい。上記凹凸層は、金属凸部25を形成するためのマスターの役目をするものであることができる。したがって、上記凹凸層のピッチ(pitch)、凹部と凸部の高さの差などは、目的する金属凸部のピッチ及び高さなどを考慮して調節することができる。例えば、前述したように、分離素子を紫外線に対して適用する場合に、金属凸部は、そのピッチが80nm〜400nmとなるように形成し、また、その高さは、ピッチの0.2倍〜1.5倍となるように形成することができ、このために上記凹凸層のピッチは、約80nm〜400nm、100nm〜300nmまたは150nm〜250nm程度に形成されることができ、上記金属凸部の高さに対応する上記凹凸層の凹部と凸部の高さの差は、上記ピッチの0.3倍〜1.5倍、0.5倍〜1.4倍または0.7倍〜1.3倍程度であることができる。このような調節を通じて、紫外線に対して優れた分離効率を示しながら光透過度などが優秀に維持される偏光分離素子を形成することができる。
【0022】
凹凸層は、公知の方式で基板の一面をエッチングする方法などで形成することができ、他の方式としては、基板上に高分子材料などを使用して形成することができる。すなわち、例えば、上記凹凸層が形成された基板100は、光透過性基板10と;上記光透過性基板上に形成された凹凸層である樹脂層15とを含むことができる。上記凹凸層である樹脂層15は、例えば、eビームリソグラフィ、インターフェアレンスリソグラフィまたはナノインプリント工程などのよう公知の凹凸形状の形成方式で形成することができる。樹脂層15の材料は、特に制限されず、公知の材料、例えば、光硬化性のポリオレフィン、(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂またはイミド樹脂などを使用して形成されることができる。
【0023】
凹凸層の凹部への金属前駆体溶液20の充填方式は、特に制限されない。例えば、上記充填は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、スプレイコーティング法またはバーコーティング法などを適用して行うことができる。または、ディップコーティング法と同様に、前駆体溶液に基板を浸漬した状態で反応させる方式で金属を充填させることができる。
【0024】
金属前駆体溶液の充填後に溶液内の金属前駆体の金属への転換は、使用した金属前駆体の種類を考慮して適切な方式で行うことができる。例えば、上記金属前駆体を熱処理することによって、金属に転換することができる。溶液が溶媒などを含む場合に、上記熱処理を通じて溶液内の溶媒などの成分が除去されると同時に、金属前駆体の金属への転換が起き、この過程で金属の結合度などが増加し、金属凸部が形成されることができる。
【0025】
熱処理の条件は、金属前駆体溶液20の組成、例えば、前駆体の含量や、溶媒の種類などを考慮して調節することができる。例えば、上記金属前駆体がアルミニウムの前駆体などである場合に、上記熱処理は、20℃〜300℃、60℃〜300℃または80℃〜250℃などの温度で行われることができる。このような範囲で金属前駆体の金属への転換及び焼結を充分に誘導しながら、金属凸部内の気孔などの発生を防止することができる。熱処理の時間は、特に制限されず、金属前駆体の転換効率などを考慮して熱処理温度によって調節されることができる。
【0026】
この過程によって金属凸部25は、基板100の一面に形成された凹凸層の凹部に対応する形状に形成されることができる。例えば、上記金属凸部25は、80nm〜400nm、100nm〜300nmまたは150nm〜250nm程度のピッチを有し、20nm〜450nm、20nm〜400nmまたは50nm〜350nmの高さを有するように形成されることができる。
【0027】
必要な場合、図4に示されたように、金属凸部の形成後に上記凹凸層を基板から除去する工程をさらに行うことができる。上記凹凸層は、上記熱処理過程で金属前駆体の金属への転換とともに除去されてもよく、必要な場合に熱処理後に追加的な処理を通じて残存する凹凸層を除去することができる。また、必要に応じて、図3のように、凹凸層を除去することなく、その状態で偏光分離素子として適用することも可能である。
【0028】
凹凸層15の除去は、熱処理または乾式または湿式エッチングなどのエッチング方式で除去することができる。熱処理を用いた樹脂層15の除去の場合、熱処理温度は、樹脂層15の材料、形成された金属凸部25の物性、例えば、結晶相などを考慮して決定されることができる。例えば、上記熱処理は、約250℃〜900℃または約300℃〜800℃の温度で行われることができる。また、熱処理の進行時間は、熱処理温度や樹脂層の除去効率などを考慮して適切な範囲で調節されることができる。
【0029】
他の例示で、上記方法で金属凸部の形成過程は、一面に金属の前駆体を含む溶液の層が形成されている第1基板と一面に凹凸層が形成されている第2基板を上記金属の前駆体を含む溶液の層と上記凹凸層が対向するように積層した状態で上記金属の前駆体を金属に転換させることを含むことができる。
【0030】
このような工程は、例えば、図5に示されたように一面に金属前駆体溶液の層20が形成された第1基板11及び一面に凹凸層が形成された第2基板200を準備し、上記第1基板の層20と第2基板の凹凸層が対向するように両基板11、200を積層した後に、上記積層された基板で上記溶液の層の金属前駆体を金属へ転換させて、上記金属凸部25を形成することを含むことができる。上記工程は、上記過程に引き続いて、上記第1基板11を第2基板200から除去する段階をさらに行うことができる。
【0031】
上記方式で、上記第1または第2基板としては、特別な制限なしに公知の素材が使用されることができ、例えば、図3及び図4に示された具現例で、基板10に適用されたものと同じ種類の基板が選択されることができる。但し、第1基板11は、臨時的用途の基板であって、必ず透光性基板である必要はない。
【0032】
一面に金属前駆体溶液の層20が形成された第1基板11は、金属前駆体溶液を第1基板11上に塗布して形成することができる。上記塗布方法は、特に制限されず、スピンコーティング法、ディップコーティング法、スプレイコーティング法またはバーコーティング法などが適用されることができる。第1基板11上の層20の厚さは、特に制限されず、第2基板200の凹部上に適切な金属凸部を転移及び成長させることができる程度に調節されることができる。
【0033】
一面に凹凸層が形成された第2基板200は、例えば、図3または図4の具現例で、基板100上に凹凸層を形成するものと記述したものと同等な方式で形成することができる。すなわち、1つの例示で上記第2基板200は、光透過性基板12と;上記光透過性基板上に形成された凹凸層である樹脂層15とを含むものであることができる。上記で凹凸層である樹脂層15を形成する方式やその材料、そしてピッチなどの数値は、前述した内容が同一に適用されることができる。
【0034】
第1基板11と第2基板200を形成し、第1基板の層20と第2基板の凹凸層が対向するように、上記第1基板11を第2基板200上に積層することができる。この場合、積層方式は、特に制限されないが、上記溶液として後述するゾルゲル溶液などが使用されれば、上記過程で第1基板11上に形成された層20が空気中の水分と水和及び縮合反応によって固くなることができるので、上記積層は、水分が最小化された条件でなるべく迅速に行われることができる。
【0035】
上記積層状態で金属前駆体を金属へ転換させて、第2基板200上に金属凸部25を形成することができる。上記転換は、例えば、既に記述した熱処理によって行われることができる。このように基板が積層された状態で熱処理することによって、第2基板200に形成された凹凸層の凹部に金属凸部25を形成することができる。上記熱処理を行う条件は、特に制限されず、例えば、図3及び/または図4の具現例で記述した事項が同等に適用されることができ、これにより、第2基板200の凹凸層の凹部に対応する形状に上記金属凸部が形成されることができる。
【0036】
図5に示されたように、第2基板200上に金属凸部25を形成し、第1基板11を第2基板200から除去することができる。必要な場合、図4の具現例で説明したものと同じ方式で金属凸部の形成後に第2基板に形成されている凹凸層である樹脂層を熱処理、乾式または湿式エッチングなどのエッチング方式で除去する過程をさらに行うことができる。
【0037】
以上記述した具現例で、凹凸層、例えば、図3または図4の具現例で金属前駆体溶液が充填される凹凸層の凹部または図5の具現例の第2基板上の凹凸層の凹部には、触媒がコーティングされていてもよい。このような触媒によって金属凸部が効率的に形成されることができる。図3図5は、凹部に触媒30がコーティングされていることを示す。
【0038】
触媒としては、使用される金属前駆体の種類を考慮してその金属前駆体の金属への転換を効果的に補助することができるものならいずれも使用することができる。代表的には、チタンアルコキシド、チタンハライドまたはそのキレート化合物、鉄アルコキシド、ケイ素ハライド、バナジウムオキシハライド、チタンホウ素水素化物またはそのキレート化合物、金属または金属複合物などが例示されることができ、このような触媒は、例えば、アルミニウム前駆体の使用時に適合する。上記でチタンアルコキシド、チタンハライドまたはそのキレート化合物またはチタンホウ素水素化物またはそのキレート化合物などのようなチタン系の触媒としては、Ti{OCH(CH、TiCl、TiCl、Ti(O−n−C、TiBr、Ti(O−C、TiCl・2(O(C)、TiCl・(O(C、TiCl・(OC、またはTi(BH・2(O(C)などが例示されることができ、鉄アルコキシドとしては、Fe(OCなどが例示されることができ、ケイ素ハライドとしては、SiClなどが例示されることができ、バナジウムオキシハライドとしては、VOClまたはVOClなどが例示されることができる。また、上記金属または金属複合物としては、Ti、Pd、Pt、Al、Cu、Si、AuまたはFeなどの転移金属になる金属膜または粒子などや、AlTiなどのように上記金属のうち2個以上よりなる複合金属膜または粒子などが例示されることができるが、これに制限されるものではない。
【0039】
このような触媒層は、例えば、熱処理によって凹凸層の凹部に金属前駆体が充分に転移され、成長され得るようにすることができる。触媒層を形成する方式は、特に制限されず、公知されたコーティング技法を使用して行うことができる。
【0040】
以上に説明した方式で適用される金属前駆体溶液に含まれる金属前駆体の種類は、特に制限されない。例えば、上記金属前駆体は、Al前駆体、Pt前駆体、Ag前駆体、Cu前駆体、Au前駆体、Ni前駆体、Pb前駆体、W前駆体、Ir前駆体、Mo前駆体、Fe前駆体、Ti前駆体、Cr前駆体またはCo前駆体であることができ、例えば、Al前駆体、Pt前駆体またはAg前駆体またはAl前駆体であることができる。また、上記前駆体の2種以上が混合されたものであることができる。また、上記金属前駆体としては、例えば、前述した熱処理などによって金属に転換されることができるものなら、特別な制限なしに公知の素材が使用されることができる。
【0041】
1つの例示で、上記金属前駆体は、例えば、金属水素化物であることができる。すなわち、上記言及した各金属の水素化物が上記工程の金属前駆体として使用されることができる。
【0042】
例えば、上記金属水素化物は、下記化学式1で表示されるものであることができる。
【0043】
【化1】
【0044】
化学式1で、Rは、水素またはアルキル基であり、Qは、Al、PtまたはAgであり、Xは、第15族または第16族元素であるか、存在せず、Aは、ハロゲン原子、アルキル基または窒素原子と炭素原子を環構成原子として有するヘテロ環残基であり、nは、1〜4の数であり、mは、1〜8の数であり、pは、1〜2である。
【0045】
化学式1で、Rが1個存在する場合に、Rは、水素であり、Rが複数個存在する場合に、それぞれのRは、互いに同一であるかまたは異なっていてもよいが、少なくとも1つのRは、水素である。
【0046】
また、化学式1で[X(A)]が複数個存在する場合に、それぞれの[X(A)]は、同一であるかまたは異なっていてもよい。
【0047】
また、化学式1で、Xが存在しない場合は、アルキル基、ハロゲン原子またはヘテロ環残基であることができるAが直接アルミニウムに連結されていることを意味することができる。
【0048】
また、化学式1で、ヘテロ環残基は、窒素及び炭素原子を環構成原子として有し、且つ1つの窒素原子のみを含む3個〜6個の環構成原子を有するヘテロ環残基であることができる。
【0049】
また、化学式1で、Xとしては、窒素原子または酸素原子などが例示されることができるが、これに制限されるものではない。
【0050】
また、化学式1で、アルキル基は、例えば、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4の直鎖状、分岐鎖状または環状アルキル基であることができる。
【0051】
上記金属前駆体としては、HAlO(C、C14NAl(Methylpyrrolidinealane)、HAlCN(CHまたはHPtCl(hexachloroplatinic acid)などが例示されることができるが、これに制限されない。
【0052】
上記のような金属水素化物は、例えば、塩化アルミニウムのような金属ハライドと過水素化アルミニウムリチウムのような金属水素化物などを反応させて製造することができる。
【0053】
上記金属前駆体の金属前駆体溶液内での比率は、特に制限されず、目的する工程効率を考慮して適正範囲に選択されることができる。例えば、上記金属水素化物は、溶液内に0.1〜30重量%、0.5〜25重量%または1〜20重量%程度の濃度で存在することができる。
【0054】
金属前駆体溶液の溶媒としては、例えば、エーテルまたはアルコールを使用することができ、上記エーテルは、ジメチルエーテル(dimethylether)、ジエチルエーテル(diethylether)、ジプロピルエーテル(diprophylether)、ジブチルエーテル(dibutylether)、ジペンチルエーテル(dipantylether)などが例示されることができる。また、上記アルコールは、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルコールであって、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールまたはブタノールなどを使用することができる。
【0055】
必要な場合に、金属前駆体溶液は、触媒をさらに含むことができる。触媒としては、例えば酸触媒または金属粒子などが例示されることができ、上記酸触媒としては、具体的には、塩酸、硝酸、酢酸、アンモニア、水酸化カリウムまたはアミン系化合物などが使用されることができる。また、上記金属粒子としては、白金粒子または銀粒子などが使用されることができる。
【0056】
触媒の量は、特に制限されず、適正範囲に調節すれば良い。
また、上記触媒は、溶液内で反応を促進させ、且つ塗布されたサイトで金属結晶が成長することができるようにする単結晶の断片、すなわちシード(seed)に変化することができる。本明細書で用語「シード(seed)」というのは、溶液内で結晶を成長させる場合、核となる小さい単結晶の断片を意味することができ、本発明では、具体的にアルミニウムシード、白金シード、銀シードなどの物質であることができる。
【0057】
本発明は、また、偏光分離素子に関する。例示的な偏光分離素子は、基材層と;上記基材層上に形成されている金属凸部とを含むことができる。このような偏光分離素子の具体的な構造は、前述した内容が同一に適用されることができる。例えば、上記偏光分離素子の金属凸部は、2個以上存在し、それぞれストライプ形状を有し、且つ互いに平行に配置されていてもよい。上記金属凸部のピッチ及び高さなどに対しても、既に記述した事項が同一に適用されることができる。
【0058】
上記偏光分離素子は、優れた偏光度を示すことができ、例えば、下記数式2による偏光度Dが0.8以上、0.82以上、0.85以上、0.87以上または0.9以上であることができる。上記偏光度Dの上限は、特に制限されず、例えば、1未満であることができる。
【0059】
【数2】
【0060】
数式2で、Tは、上記ストライプ形状の金属凸部と平行に偏光された400nm、550nmまたは800nmの波長の光の上記偏光分離素子に対する透過度であり、Tは、上記ストライプ形状の金属凸部と直交する方向に偏光された400nm、550nmまたは800nm波長の光の上記偏光分離素子に対する透過度である。
【0061】
上記偏光分離素子において金属凸部は、金属の前駆体、例えば上記記述した金属前駆体から形成されたものであることができる。
【0062】
上記のように優れた偏光分離能を有する偏光分離素子は、金属の前駆体を含む溶液を使用した溶液工程、例えば、上記記述した偏光分離素子の製造方法によって製造されたものであることができる。
【0063】
上記のような偏光分離素子は、例えば、液晶用光配向膜の配向工程に適用されるか、または輝度向上フィルムなどとして適用されることができる。
【0064】
本発明は、また、上記偏光分離素子を含む装置、例えば、光照射装置に関する。例示的な装置は、上記偏光分離素子及び被照射体が保持される装備を含むことができる。
【0065】
上記偏光分離素子は、偏光板として機能することができる。上記素子は、例えば、光源から照射された光から直線に偏光された光を生成するために使用されることができる。
【0066】
上記装置は、被照射体が保持される装備と偏光分離素子との間に光配向マスクをさらに含むことができる。
【0067】
上記でマスクは、例えば、装備に保持された被照射体の表面との距離が約50mm以下となるように設置されることができる。上記距離は、例えば、0mmを超過するか、0.001mm以上、0.01mm以上、0.1mm以上または1mm以上であることができる。また、上記距離は、40mm以下、30mm以下、20mm以下または10mm以下であることができる。被照射体の表面とマスクの距離は、前記上限及び下限の多様な組合で設計されることができる。
【0068】
被照射体が保持される装備の種類は、特に制限されず、光が照射される間に、被照射体が安定的に維持されるように設計されているすべての種類の装備が含まれることができる。
【0069】
また、上記装置は、マスクまたは上記偏光分離素子に光、例えば、紫外線を照射することができる光源をさらに含むことができる。光源としては、マスクまたは上記素子の方向に光を照射することができるものなら、目的によって特別な制限なしに使用することができる。例えば、光源としては、紫外線の照射が可能な光源であって、高圧水銀紫外線ランプ、メタルハライドランプまたはガリウム紫外線ランプなどが使用されることができる。
【0070】
装置は、また、光源から照射される光の光量の調節のために、1つ以上の集光板をさらに含むことができる。集光板は、例えば、光源から照射された光が集光板に入射して集光された後に、集光された光が偏光分離素子及びマスクに照射され得るように装置内に含まれることができる。集光板としては、光源から照射された光を集光することができるように形成されていたら、この分野で通常使用される構成を使用することができる。集光板としては、レンチキュラーレンズ層などが例示されることができる。
【0071】
例えば、光照射装置は、順に配置された光源、集光板、偏光分離素子、マスク及び被照射体を保持する装備を含んでいる。光源で照射された光がまず集光板に入射して集光され、さらに偏光板に入射する。偏光板に入射した光は、直線に偏光された光として生成され、さらにマスクに入射し、開口部によってガイドされ、被照射体の表面に照射されることができる。
【0072】
本発明は、光照射方法に関する。例示的な上記方法は、上記記述した光照射装置を使用して行うことができる。例えば、上記方法は、上記被照射体が保持され得る装備に被照射体を保持し、上記偏光分離素子及びマスクを媒介で上記被照射体に光を照射することを含むことができる。
【0073】
1つの例示で、上記被照射体は、光配向膜である。このような場合、上記光照射方法は、整列された光配向膜を製造する方法であることができる。例えば、光配向膜が装備に固定された状態で偏光分離素子及びマスクを介して直線偏光された光などを照射し、光配向膜に含まれている光感応性物質を所定方向に整列させて、配向性が発現された光配向膜を製造することができる。
【0074】
上記方法に適用され得る光配向膜の種類は、特に制限されない。当該分野では、光感応性残基を含む化合物であって、光配向膜の形成に使用することができる多様な種類の光配向性化合物が公知されていて、このような公知の物質は、いずれも光配向膜の形成に使用されることができる。光配向性化合物としては、例えば、トランス−シス光異性化(trans−cis photoisomerization)によって整列される化合物、鎖切断(chain scission)または光酸化(photo−oxidation)などのような光分解(photo−destruction)によって整列される化合物;[2+2]添加環化([2+2]cycloaddition)、[4+4]添加環化または光二量化(photodimerization)などのような光架橋または光重合によって整列される化合物;光フリース再配列(photo−Fries rearrangement)によって整列される化合物または開環/閉環(ring opening/closure)反応によって整列される化合物などを使用することができる。トランス−シス光異性化によって整列される化合物としては、例えば、スルホ化ジアゾ染料(sulfonated diazo dye)またはアゾ高分子(azo polymer)などのアゾ化合物やスチルベン化合物(stilbenes)などが例示されることができ、光分解によって整列される化合物としては、シクロブタンテトラカルボキシル酸二無水物(cyclobutane−1、2、3、4−tetracarboxylic dianhydride)、芳香族ポリシランまたはポリエステル、ポリスチレンまたはポリイミドなどが例示されることができる。また、光架橋または光重合によって整列される化合物としては、シンナメート(cinnamate)化合物、クマリン(coumarin)化合物、シンナムアミド(cinnamamide)化合物、テトラヒドロフタルイミド(tetrahydrophthalimide)化合物、マレイミド(maleimide)化合物、ベンゾフェノン化合物またはジフェニルアセチレン(diphenylacetylene)化合物や光感応性残基としてカルコニル(chalconyl)残基を有する化合物(以下、カルコン化合物)またはアントラセニル(anthracenyl)残基を有する化合物(以下、アントラセニル化合物)などが例示されることができ、光フリース再配列によって整列される化合物としては、ベンゾエート(benzoate)化合物、ベンゾアミド(benzoamide)化合物、メタアクリルアミドアリール(メタ)アクリレート(methacrylamidoaryl methacrylate)化合物などの芳香族化合物が例示されることができ、開環/閉環反応によって整列する化合物としては、スピロピラン化合物などのように[4+2]π−電子システム([4+2]π−electronic system)の開環/閉環反応によって整列する化合物などが例示されることができるが、これに制限されるものではない。このような光配向性化合物を使用した公知の方式を通じて上記光配向膜を形成することができる。例えば、光配向膜は、上記化合物を使用して適切な支持基材上に形成されることができ、このような光配向膜は、被照射体を保持することができる装備、例えば、ロールによって移送されながら上記方法に適用されることができる。
【0075】
上記方法で偏光分離素子及びマスクを介して光が照射される光配向膜は、1次配向処理された光配向膜であることができる。1次配向処理は、例えば、偏光分離素子を通じて一定方向に直線偏光された紫外線をマスクを介して光を照射する前に、光配向膜、例えば、光配向膜の全面に照射することによって行うことができる。1次配向処理された光配向膜にマスクを介して光を照射し、且つ上記1次配向処理時とは異なる方向に偏光された光を照射すれば、開口部に対応する光配向膜の領域にのみ光が照射され、光配向性化合物が再整列され、これにより、光配向性化合物の整列方向がパターン化されている光配向膜を製造することができる。
【0076】
光配向膜の配向のために、例えば、直線偏光された紫外線を1回以上照射すると、配向層の配向は、最終的に照射される光の偏光方向によって決定される。したがって、光配向膜に偏光紫外線分離素子を介して一定方向に直線偏光された紫外線を照射し、1次配向させた後に、マスクを介して所定部位にのみ1次配向処理時に使用したものとは異なる方向に直線偏光された光に露出させれば、光が照射される所定部位だけで配向層の方向が1次配向処理時の方向とは異なる方向に変更されることができる。これにより、第1配向方向を有する第1配向領域と第1配向方向とは異なる第2配向方向を有する第2配向領域を少なくとも含むパターンまたは配向方向が互いに異なる2種類以上の配向領域が光配向膜に形成されることができる。
【0077】
1つの例示で、1次配向時に照射される直線偏光された紫外線の偏光軸と1次配向後にマスクを介して行われる2次配向時に照射される直線偏光された紫外線の偏光軸とが成す角度は、垂直であることができる。上記で、垂直は、実質的な垂直を意味することができる。このような方式で1次及び2次配向時に照射される光の偏光軸を制御して製造された光配向膜は、例えば、立体映像を具現することができる光学フィルタに使用されることができる。
【0078】
例えば、上記のように形成された光配向膜上に液晶層を形成し、光学フィルタを製造することができる。液晶層を形成する方法は、特に制限されず、例えば、光配向膜上に光による架橋または重合が可能な液晶化合物を塗布及び配向した後に、液晶化合物の層に光を照射し、架橋または重合させて形成することができる。このような段階を進行することによって、液晶化合物の層は、光配向膜の配向によって配向及び固定され、配向方向が異なる2種類以上の領域を含む液晶フィルムが製造されることができる。
【0079】
光配向膜に塗布される液晶化合物の種類は、特に制限されず、光学フィルタの用途によって適切に選択されることができる。例えば、光学フィルタが立体映像の具現のためのフィルタである場合には、液晶化合物は、下部に存在する配向層の配向パターンによって配向することができ、光架橋または光重合によってλ/4の位相差特性を示す液晶高分子層を形成することができる液晶化合物であることができる。用語「λ/4の位相差特性」は、入射する光をその波長の1/4倍だけ位相遅延させることができる特性を意味することができる。このような液晶化合物を使用する場合、例えば、入射光を左円偏光された光及び右円偏光された光に分割することができる光学フィルタを製造することができる。
【0080】
液晶化合物を塗布し、また、配向処理、すなわち下部の配向層の配向パターンによって整列させる方式や、整列された液晶化合物を架橋または重合させる方式は、特に制限されない。例えば、配向は、液晶化合物の種類によって化合物が液晶性を示すことができる適切な温度で液晶層を維持する方式などに進行されることができる。また、架橋または重合は、液晶化合物の種類によって適切な架橋または重合が誘導されることができる水準の光を液晶層に照射して行うことができる。
【0081】
本発明は、また、上記偏光分離素子を含むディスプレイ装置に関する。このような装置で上記分離素子は、例えば、輝度向上のための反射型偏光板に適用されることができる。例えば、液晶ディスプレイ装置において輝度向上のために反射型偏光板を適用する構造は、公知されていて、このような公知の構造において上記偏光分離素子は、上記反射型偏光板に適用されることができる。したがって、例えば、上記ディスプレイ装置は、上部及び下部に吸収型偏光板が配置されている液晶パネル及び上記下部に配置された吸収型偏光板の下部に配置されたバックライトなどのような光源を含むことができ、上記偏光分離素子は、上記下部に配置された吸収型偏光板と上記光源との間に配置されることができる。
【発明の効果】
【0082】
本発明では、簡単で且つ効率的な工程で優れた偏光分離能と光透過能を有する偏光分離素子を製造することができる方法と優れた偏光分離能と光透過能を有する偏光分離素子が提供されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1-2】例示的な偏光分離素子を示す図である。
図3-5】例示的な偏光分離素子の製造過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0084】
以下、本発明による実施例などを通じて本発明の内容をさらに説明するが、本発明の範囲が下記提示された実施例などによって制限されるものではない。
【0085】
<製造例1>
金属前駆体溶液の製造
金属前駆体としてアルミニウム前駆体であるHAlO(Cを含む溶液を製造した。塩化アルミニウム(AlCl)0.266g及び過水素化アルミニウムリチウム(LiAlH)0.224gをフラスコに入れ、ジブチルエーテル(dibutyl ether)100mlを溶媒として使用し、アルゴンの存在下で1時間70℃の温度で加熱すると同時に撹拌して反応させ、反応後に沈澱されたLiClを濾過除去し、アルミニウム前駆体として、HAlO(Cを含む透明な溶液を製造した。
【0086】
<実施例1>
偏光分離素子Aの製造
5mm厚さの石英基板上にアクリルレジスト(製造社:Microresist社、製品名:MR8010R)を塗布し、約100nm厚さのレジスト層を形成した。上記レジスト層上にあらかじめ製作された所定のパターンが形成されたステンパーを接触させた状態で約20分間160℃の温度で加熱しながら40barの圧力で加圧し、上記レジスト層にステンパーのパターンを転移した。その後、インプリントされたパターンの凹部に存在するレジスト層の残膜を除去した。このように製造された樹脂層は、図1及び図2に示された凸部2の形状が転写された凹部を有する凹凸形状を有し、そのピッチ(図2のPに対応)は、約150nm、凹部の幅(図2のWに対応)は、約75nm、凹部の深さ(図1のHに対応)は、約150nm程度であった。
【0087】
引き続いて、上記凹凸層にチタン−イソプロポキサイド(Ti−isopropoxide)をエタノールで約0.001重量%に希釈した溶液を約2,000rpmでスピンコーティングし、60℃の温度で約3分間乾燥させる。その後、上記基板を80℃に加熱されたアルミニウム前駆体溶液に約1分間浸漬し、アルミニウムが触媒層に沿って均一に成長するようにした。上記過程を通じて幅が約75nmであり、ピッチが約150nmであり、高さが約150nmであるアルミニウム凸部が形成されている偏光分離素子Aを製造した。
【0088】
<実施例2>
偏光分離素子Bの製造
製造されたアルミニウム前駆体溶液をバーコーター(bar coater)を利用して約3〜4μmの厚さで第1基板にコーティングした後、溶媒を乾燥させる。その後、実施例1と同一の方式で凹凸層を形成した第2基板にチタン−イソプロポキサイド(Ti−isopropoxide)をエタノールで約0.001重量%に希釈した溶液を約2,000rpmでスピンコーティングし、60℃の温度で約3分間乾燥させる。その後、アルミニウム前駆体溶液がコーティングされた第1基板をあらかじめ100℃に加熱された触媒コーティングされた上記第2基板と対向するように載置し、3分間反応させて、アルミニウムが触媒層に沿って均一に成長するようにして、偏光分離素子Bを製造した。
【0089】
<比較例>
平均直径60nmのサイズを有するアルミニウムナノ粒子を3重量%の含量で溶媒エタノールに分散させ、コーティング向上剤であるGlide 410を0.05重量%添加し、アルミニウムナノ粒子が分散したコーティング溶液を製造した。この溶液を凹凸層が形成された基板に1,000rpmでコーティングし、常温で乾燥した。凹凸層の上部に突出したナノ粒子は、ラビング(rubbing)工程を通じて除去した後、アルミニウムナノ粒子が満たされた偏光分離素子を製造した。
【0090】
<実験例:実施例及び比較例の偏光分離素子の性能測定>
Axo−scan偏光透過反射スペクトル測定装置を利用して、400nm、550nm及び800nmの波長の光に対して実施例及び比較例の偏光分離素子のTp(s偏光の透過度)及びTc(p偏光の透過度)を測定し、その結果を上記数式2に代入して偏光度Dを測定した後、その結果を下記表1に記載した。
【0091】
【表1】
【符号の説明】
【0092】
2、2a 金属凸部
2b 凹部
1、10、11、12、100、200 基板、基材層
15 樹脂層
20 金属前駆体溶液の層
25 金属凸部
30 触媒層
図1
図2
図3
図4
図5