(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下記のプロピレン重合体(A−1)またはプロピレン重合体(A−2)と、下記のプロピレン重合体(B)と、下記の造核剤(C)とを含有し、
プロピレン重合体(A−1)またはプロピレン重合体(A−2)と、プロピレン重合体(B)との合計量を100重量部として、
プロピレン重合体(A−1)の含有量が99.95重量部〜55重量部であり、
プロピレン重合体(B)の含有量が0.05重量部〜45重量部であり、
造核剤(C)の含有量が0.001重量部〜5重量部である、または
プロピレン重合体(A−2)の含有量が99.95重量部〜30重量部であり、
プロピレン重合体(B)の含有量が0.05重量部〜70重量部であり、
造核剤(C)の含有量が0.001重量部〜5重量部である
プロピレン重合体組成物であって、
該プロピレン重合体組成物からなる厚み2mmの試験片に対して、ASTM7027−
05に準拠し、直径1mmの金属製の芯により、100mm/sの速度で長さ60mmの傷を付けた場合に、試験片の表面が白化しはじめたときの荷重(白化荷重)が9.6N以上であるプロピレン重合体組成物。
[プロピレン重合体(A−1)]
プロピレンに由来する単量体単位を90重量%以上含有する重合体(該重合体全体の量を100重量%とする)であって、135℃のテトラリン中で測定される極限粘度が1.2dl/g以上1.7dl/g未満である重合体。
[プロピレン重合体(A−2)]
プロピレンに由来する単量体単位を90重量%以上含有する重合体(該重合体全体の量を100重量%とする)であって、135℃のテトラリン中で測定される極限粘度が1.7dl/g以上2.9dl/g以下である重合体。
[プロピレン重合体(B)]
プロピレンに由来する単量体単位を90重量%以上含有する重合体(該重合体全体の量を100重量%とする)であって、135℃のテトラリン中で測定される極限粘度が0.5dl/g以上1.1dl/g未満である重合体。
[造核剤(C)]
フタロシアニン類、キナクリドン類、有機二塩基酸の金属塩、芳香族スルホン酸化合物、ジカルボン酸のジエステル類、トリカルボン酸のトリエステル類、テトラオキサスピロ化合物類
、有機二塩基酸と周期律表第IIA族金属の酸化物、水酸化物又は塩とからなる二成分系混合物、下記一般式(1)で示されるアミド系化合物からなる群より選ばれる一種以上の造核剤。
(1) R
2−NHCO−R
1−CONH−R
3
[式中、R
1は、炭素原子数1〜24の飽和若しくは不飽和の脂肪族ジカルボン酸残基、炭素原子数4〜28の飽和若しくは不飽和の脂環族ジカルボン酸残基又は炭素原子数6〜28の芳香族ジカルボン酸残基を表す。R
2及びR
3は、同一又は異なって、炭素原子数3〜18のシクロアルキル基、一般式(a)、一般式(b)、一般式(c)又は一般式(d)で示される基を表わし、
上記各式中、R
4は、水素原子、炭素原子数1〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数6〜10のシクロアルキル基又はフェニル基を表す。R
5は、炭素原子数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す。R
6は、炭素原子数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表す。R
7は、炭素原子数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表す。]
【発明を実施するための形態】
【0011】
[プロピレン重合体組成物]
本発明に係るプロピレン重合体組成物は、以下に示す構成の組成物である。
【0012】
下記のプロピレン重合体(A−1)またはプロピレン重合体(A−2)と、下記のプロピレン重合体(B)と、造核剤(C)とを含有し、
プロピレン重合体(A−1)またはプロピレン重合体(A−2)と、プロピレン重合体(B)との合計量を100重量部として、
プロピレン重合体(A−1)の含有量が99.95重量部〜55重量部であり、
プロピレン重合体(B)の含有量が0.05重量部〜45重量部であり、
造核剤(C)の含有量が0.001重量部〜5重量部である、または
プロピレン重合体(A−2)の含有量が99.95重量部〜30重量部であり、
プロピレン重合体(B)の含有量が0.05重量部〜70重量部であり、
造核剤(C)の含有量が0.001重量部〜5重量部である
プロピレン重合体組成物。
[プロピレン重合体(A−1)]
プロピレンに由来する単量体単位を90重量%以上含有する重合体(該重合体全体の量を100重量%とする)であって、135℃のテトラリン中で測定される極限粘度が1.2dl/g以上1.7dl/g未満である重合体。
[プロピレン重合体(A−2)]
プロピレンに由来する単量体単位を90重量%以上含有する重合体(該重合体全体の量を100重量%とする)であって、135℃のテトラリン中で測定される極限粘度が1.7dl/g以上2.9dl/g以下である重合体。
[プロピレン重合体(B)]
プロピレンに由来する単量体単位を90重量%以上含有する重合体(該重合体全体の量を100重量%とする)であって、135℃のテトラリン中で測定される極限粘度が0.5dl/g以上1.2dl/g未満である重合体。
【0014】
[プロピレン重合体(A−1)]
本発明におけるプロピレン重合体(A−1)とは、プロピレンに由来する単量体単位を90重量%以上含有する重合体(該重合体全体の量を100重量%とする)であり、具体的には、プロピレン単独重合体、プロピレンと少なくとも1種のコモノマーとのランダム共重合体(以下、プロピレンランダム共重合体と記す)が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、組み合せて使用してもよい。
【0015】
プロピレンランダム共重合体としては、プロピレンに由来する単量体単位とエチレン及び炭素数4以上のα−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のコモノマーに由来する単量体単位とからなるランダム共重合体が例として挙げられ、より具体的には、プロピレンに由来する単量体単位とエチレンに由来する単量体単位とからなるランダム共重合体;プロピレンに由来する単量体単位と炭素原子数4以上の少なくとも1種のα−オレフィンに由来する単量体単位とからなるランダム共重合体;プロピレンに由来する単量体単位と、エチレンに由来する単量体単位と、炭素原子数4以上の少なくとも1種のα−オレフィンに由来する単量体単位とからなるランダム共重合体が挙げられる。
【0016】
上記プロピレンランダム共重合体を構成する炭素原子数4以上のα−オレフィンとしては、炭素原子数4〜10個のα−オレフィンであることが好ましく、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられ、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
【0017】
プロピレンに由来する単量体単位と炭素原子数4以上の少なくとも1種のα−オレフィンに由来する単量体単位とからなるランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−1−オクテンランダム共重合体、プロピレン−1−デセンランダム共重合体等が挙げられる。
プロピレンに由来する単量体単位とエチレンに由来する単量体単位と、炭素原子数4以上の少なくとも1種のα−オレフィンに由来する単量体単位とからなるランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−デセン共重合体等が挙げられる。
【0018】
プロピレンランダム共重合体中のエチレン及び炭素原子数4以上のα−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のコモノマーに由来する単量体単位の含有量は、0.1重量%以上であることが好ましく、2重量%以上であることがさらに好ましく、10重量%以下であることが好ましく、8重量%以下であることがより好ましく、6重量%以下であることがさらに好ましく、例えば0.1〜10重量%の範囲内に、または0.1〜8重量%の範囲内に、または2〜6重量%の範囲内にある。そして、プロピレンに由来する単量体単位の含有量は99.9重量%以下であることが好ましく、98重量%以下であることがさらに好ましく、一方、90重量%以上であることが好ましく、92重量%以上であることがより好ましく、94重量%以上であることがさらに好ましく、例えば99.9〜90重量%の範囲内に、または99.9〜92重量%の範囲内に、または98〜94重量%の範囲内にある。当該単量体単位の含有量は、赤外線吸収スペクトル法により求めることができる。
【0019】
プロピレン重合体(A−1)の135℃のテトラリン中で測定される極限粘度は1.2dl/g以上1.7dl/g未満であり、該極限粘度は好ましくは1.4dl/g以上であり、より好ましくは1.5dl/g以上であり、さらに好ましくは1.7dl/g未満であり、また好ましくは1.6dl/g以下であり、例えば1.4dl/g以上1.7dl/g未満の範囲内に、または1.5dl/g以上1.7dl/g未満の範囲内にある。
【0020】
[プロピレン重合体(A−2)]
本発明におけるプロピレン重合体(A−2)とは、プロピレンに由来する単量体単位を90重量%以上含有する重合体(該重合体全体の量を100重量%とする)であり、具体的には、プロピレン単独重合体、プロピレンと少なくとも1種のコモノマーとのランダム共重合体(以下、プロピレンランダム共重合体と記す)が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、組み合せて使用してもよい。
【0021】
プロピレンランダム共重合体としては、プロピレンに由来する単量体単位とエチレン及び炭素数4以上のα−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のコモノマーに由来する単量体単位とからなるランダム共重合体が例として挙げられ、より具体的には、プロピレンに由来する単量体単位とエチレンに由来する単量体単位とからなるランダム共重合体;プロピレンに由来する単量体単位と炭素原子数4以上の少なくとも1種のα−オレフィンに由来する単量体単位とからなるランダム共重合体;プロピレンに由来する単量体単位と、エチレンに由来する単量体単位と、炭素原子数4以上の少なくとも1種のα−オレフィンに由来する単量体単位とからなるランダム共重合体が挙げられる。
【0022】
上記プロピレンランダム共重合体を構成する炭素原子数4以上のα−オレフィンとしては、炭素原子数4〜10個のα−オレフィンであることが好ましく、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられ、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
【0023】
プロピレンに由来する単量体単位と炭素原子数4以上の少なくとも1種のα−オレフィンに由来する単量体単位とからなるランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−1−オクテンランダム共重合体、プロピレン−1−デセンランダム共重合体等が挙げられる。
プロピレンに由来する単量体単位とエチレンに由来する単量体単位と、炭素原子数4以上の少なくとも1種のα−オレフィンに由来する単量体単位とからなるランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−デセン共重合体等が挙げられる。
【0024】
プロピレンランダム共重合体中のエチレン及び炭素原子数4以上のα−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のコモノマーに由来する単量体単位の含有量は、0.1重量%以上であることが好ましく、2重量%以上であることがさらに好ましく、10重量%以下であることが好ましく、8重量%以下であることがより好ましく、6重量%以下であることがさらに好ましく、例えば0.1〜10重量%の範囲内に、または0.1〜8重量%の範囲内に、または2〜6重量%の範囲内にある。そして、プロピレンに由来する単量体単位の含有量は99.9重量%以下であることが好ましく、98重量%以下であることがさらに好ましく、一方、90重量%以上であることが好ましく、92重量%以上であることがより好ましく、94重量%以上であることがさらに好ましく、例えば99.9〜90重量%の範囲内に、または99.9〜92重量%の範囲内に、または98〜94重量%の範囲内にある。当該単量体単位の含有量は、赤外線吸収スペクトル法により求めることができる。
【0025】
プロピレン重合体(A−2)の135℃のテトラリン中で測定される極限粘度は1.7dl/g以上2.9dl/g以下であり、該極限粘度は好ましくは1.9dl/g以上であり、また好ましくは2.7dl/g以下であり、より好ましくは2.5dl/g以下であり、さらにより好ましくは2.4dl/g以下であり、例えば1.7dl/g以上2.7dl/g以下の範囲内に、または1.9dl/g以上2.4dl/g以下の範囲内にある。
【0026】
[プロピレン重合体(B)]
本発明におけるプロピレン重合体(B)とは、プロピレンに由来する単量体単位を90重量%以上含有する重合体(該重合体全体の量を100重量%とする)であり、具体的には、プロピレン単独重合体、プロピレンと少なくとも1種のコモノマーとのランダム共重合体(以下、プロピレンランダム共重合体と記す)が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、組み合せて使用してもよい。
【0027】
プロピレンランダム共重合体としては、プロピレンに由来する単量体単位とエチレン及び炭素数4以上のα−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のコモノマーに由来する単量体単位とからなるランダム共重合体が例として挙げられ、より具体的には、プロピレンに由来する単量体単位とエチレンに由来する単量体単位とからなるランダム共重合体;プロピレンに由来する単量体単位と炭素原子数4以上の少なくとも1種のα−オレフィンに由来する単量体単位とからなるランダム共重合体;プロピレンに由来する単量体単位と、エチレンに由来する単量体単位と、炭素原子数4以上の少なくとも1種のα−オレフィンに由来する単量体単位とからなるランダム共重合体が挙げられる。
【0028】
上記プロピレンランダム共重合体を構成する炭素原子数4以上のα−オレフィンとしては、炭素原子数4〜10個のα−オレフィンであることが好ましく、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられ、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
【0029】
プロピレンに由来する単量体単位と炭素原子数4以上の少なくとも1種のα−オレフィンに由来する単量体単位とからなるランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−1−オクテンランダム共重合体、プロピレン−1−デセンランダム共重合体等が挙げられる。
プロピレンに由来する単量体単位とエチレンに由来する単量体単位と、炭素原子数4以上の少なくとも1種のα−オレフィンに由来する単量体単位とからなるランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−デセン共重合体等が挙げられる。
【0030】
プロピレンランダム共重合体中のエチレン及び炭素原子数4以上のα−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のコモノマーに由来する単量体単位の含有量は、0.1重量%以上であることが好ましく、2重量%以上であることがさらに好ましく、一方、10重量%以下であることが好ましく、8重量%以下であることがより好ましく、6重量%以下であることがさらに好ましく、例えば0.1〜10重量%の範囲内に、または0.1〜8重量%の範囲内に、または2〜6重量%の範囲内にある。そして、プロピレンに由来する単量体単位の含有量は99.9重量%以下であることが好ましく、98重量%以下であることがさらに好ましく、一方、90重量%以上であることが好ましく、92重量%以上であることがより好ましく、94重量%以上であることがさらに好ましく、例えば99.9〜90重量%の範囲内に、または99.9〜92重量%の範囲内に、または98〜94重量%の範囲内にある。当該単量体単位の含有量は、赤外線吸収スペクトル法により求めることができる。
【0031】
プロピレン重合体(B)の135℃のテトラリン中で測定される極限粘度は0.5dl/g以上1.1dl/g未満であり、該極限粘度は好ましくは0.7dl/g以上であり、より好ましくは0.8dl/g以上であり、また、好ましくは1.0dl/g以下であり、例えば0.7dl/g以上1.1dl/g未満の範囲内に、または0.8dl/g以上1.0dl/g以下の範囲内にある。
【0032】
[プロピレン重合体の極限粘度]
本発明における極限粘度(単位:dl/g)は、以下の方法によって、テトラリンを溶媒として用いて、温度135℃で測定される値である。
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1g/dl、0.2g/dl及び0.5g/dlの3点について還元粘度を測定する。極限粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法、すなわち還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求められる。
【0033】
[プロピレン重合体の製造方法]
プロピレン重合体は、重合触媒を用いて下記の方法により製造することができる。
重合触媒としては、例えば、チーグラー型触媒系、チーグラー・ナッタ型触媒系、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、又はシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物及び有機アルミニウム化合物からなる触媒系、シリカ、粘土鉱物等の無機粒子にシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物、イオン性の錯体を形成する化合物及び有機アルミニウム化合物等の触媒成分を担持し変性させた触媒系等が挙げられ、また、上記の触媒系の存在下でエチレンやα−オレフィンを予備重合させて調製される予備重合触媒を用いてもよい。
上記の触媒系としては、例えば、特開昭61−218606号公報、特開平5−194685号公報、特開平7−216017号公報、特開平9−316147号公報、特開平10−212319号公報、特開2004−182981号公報に記載の触媒系が挙げられる。
【0034】
重合方法としては、例えば、バルク重合、溶液重合、スラリー重合又は気相重合が挙げられる。ここでバルク重合とは、重合温度において液状のオレフィンを媒体として重合を行う方法をいい、溶液重合又はスラリー重合とは、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の不活性炭化水素溶媒中で重合を行う方法をいう。また気相重合とは、気体状態の単量体を媒体として、その媒体中で気体状態の単量体を重合する方法をいう。
これらの重合方法は、バッチ式、複数の重合反応槽を直列に連結させた多段式のいずれでもよく、また、これらの重合方法を任意に組み合わせてもよい。工業的かつ経済的な観点から、連続式の気相重合法又はバルク重合法と気相重合法を連続的に行うバルク−気相重合法による方法が好ましい。
なお、重合工程における各種条件(重合温度、重合圧力、モノマー濃度、触媒投入量、重合時間等)は、目的とするプロピレン重合体に応じて、適宜決定すればよい。
【0035】
プロピレン重合体の極限粘度の調整は、例えば、重合を行う際の水素濃度を調節することにより行うことができる。
【0036】
プロピレン重合体の製造において、プロピレン重合体中に含まれる残留溶媒や、製造時に副生する超低分子量のオリゴマー等を除去するために、必要に応じてプロピレン重合体をそのプロピレン重合体が融解する温度よりも低い温度で乾燥してもよい。乾燥方法としては、例えば、特開昭55−75410号公報、特許第2565753号公報に記載の方法等が挙げられる。
【0037】
[プロピレン重合体のアイソタクチック・ペンタッド分率]
プロピレン重合体は、ポリプロピレン射出成形体の剛性と耐衝撃性のバランスの観点から、
13C−NMRで測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率([mmmm]分率と表記されることもある)が0.97以上であることが好ましく、0.98以上であることがより好ましい。
アイソタクチック・ペンタッド分率は、A.ZambelliらによってMacromolecules,6,925(1973)に記載されている方法(すなわち
13C−NMRを用いる方法)によって測定されるプロピレン重合体分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖(換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖)の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である(ただし、NMR吸収ピークの帰属は、Macromolecules,8,687(1975)に基づいて行う。)。プロピレン重合体のアイソタクチック・ペンタッド分率が1に近いほどそのプロピレン重合体は高い立体規則性を示す分子構造を有する高結晶性の重合体であることを表す指標である。
また、プロピレン重合体が上記プロピレンランダム共重合体の場合には、共重合体中のプロピレン単位の連鎖について測定される値を用いる。
【0038】
[造核剤]
本発明で用いられる造核剤は、具体的には、フタロシアニンブルー等のフタロシアニン類、キナクリドン、キナクリドンキノン等のキナクリドン類、有機二塩基酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩(例えばピメリン酸カルシウム、テレフタル酸カルシウムなど)、12−ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、フタル酸マグネシウム等の金属塩、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタリンスルホン酸ナトリウム等の芳香族スルホン酸化合物、ジ又はトリカルボン酸のジ又はトリエステル類、テトラオキサスピロ化合物類、イミドカルボン酸誘導体、有機二塩基酸と周期律表第IIA族金属の酸化物、水酸化物又は塩とからなる二成分系混合物、下記一般式(1)で示されるアミド系化合物などが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。
(1) R
2−NHCO−R
1−CONH−R
3
[式中、R
1は、炭素原子数1〜24の飽和若しくは不飽和の脂肪族ジカルボン酸残基、炭素原子数4〜28の飽和若しくは不飽和の脂環族ジカルボン酸残基又は炭素原子数6〜28の芳香族ジカルボン酸残基を表す。R
2及びR
3は、同一又は異なって、炭素原子数3〜18のシクロアルキル基、一般式(a)、一般式(b)、一般式(c)又は一般式(d)で示される基を表わし、
上記各式中、R
4は、水素原子、炭素原子数1〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数6〜10のシクロアルキル基又はフェニル基を表す。R
5は、炭素原子数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す。R
6は、炭素原子数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表す。R
7は、炭素原子数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表す。]
【0039】
上記一般式(1)において、脂肪族ジカルボン酸残基は、脂肪族ジカルボン酸から二つのカルボキシル基を除いて得られる残基である。かかる脂肪族ジカルボン酸としては、炭素原子数3〜26、好ましくは3〜14の飽和又は不飽和の脂肪族ジカルボン酸が例示され、より具体的には、マロン酸、ジフェニルマロン酸、コハク酸、フェニルコハク酸、ジフェニルコハク酸、グルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、1,18−オクタデカン二酸が例示される。
上記一般式(1)において、脂環族ジカルボン酸残基は、脂環族ジカルボン酸から二つのカルボキシル基を除いて得られる残基である。かかる脂環族ジカルボン酸としては、炭素原子数6〜30、好ましくは8〜12の脂環族ジカルボン酸が例示され、より具体的には、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジ酢酸が例示される。
上記一般式(1)において、芳香族ジカルボン酸残基は、芳香族ジカルボン酸から二つのカルボキシル基を除いて得られる残基である。かかる芳香族ジカルボン酸としては、炭素原子数8〜30、好ましくは8〜22の芳香族ジカルボン酸が例示され、より具体的には、p−フェニレンジ酢酸、p−フェニレンジエタン酸、フタル酸、4−tert− ブチルフタル酸、イソフタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸、テレフタル酸、1,8−ナフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、3,3’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビナフチルジカルボン酸、ビス(3−カルボキシフェニル)メタン、ビス(4−カルボキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3−カルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)プロパン、3,3’−スルホニルジ安息香酸、4,4’−スルホニルジ安息香酸、3,3’−オキシジ安息香酸、4,4’−オキシジ安息香酸、3,3’−カルボニルジ安息香酸、4,4’−カルボニルジ安息香酸、3,3’−チオジ安息香酸、4,4’−チオジ安息香酸、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジ安息香酸、4,4’−イソフタロイルジ安息香酸、4,4’−テレフタロイルジ安息香酸、ジチオサリチル酸などの芳香族二塩基酸が例示される。
上記一般式(1)のアミド系化合物は、上記ジカルボン酸と脂環族モノアミン及び/又は芳香族モノアミンとを公知の方法、例えば、特開平7−309821号公報に記載の方法に従ってアミド化反応させて得られるものである。
【0040】
上記脂環族モノアミンとしては、炭素原子数3〜18のシクロアルキルアミン、一般式(2)
[式中、R
8は前記のR
5と同義である。]
又は一般式(3)
[式中、R
9は前記のR
7と同義である。]
で表される化合物が例示され、より具体的には、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミン、3−メチルシクロヘキシルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミン、2−エチルシクロヘキシルアミン、4−エチルシクロヘキシルアミン、2−プロピルシクロヘキシルアミン、2−イソプロピルシクロヘキシルアミン、4−プロピルシクロヘキシルアミン、4−イソプロピルシクロヘキシルアミン、2−tert−ブチルシクロヘキシルアミン、4−n−ブチルシクロヘキシルアミン、4−イソブチルシクロヘキシルアミン、4−sec−ブチルシクロヘキシルアミン、4−tert−ブチルシクロヘキシルアミン、4−n−アミルシクロヘキシルアミン、4−イソアミルシクロヘキシルアミン、4−sec−アミルシクロヘキシルアミン、4−tert−アミルシクロヘキシルアミン、4−ヘキシルシクロヘキシルアミン、4−ヘプチルシクロヘキシルアミン、4−オクチルシクロヘキシルアミン、4−ノニルシクロヘキシルアミン、4−デシルシクロヘキシルアミン、4−ウンデシルシクロヘキシルアミン、4−ドデシルシクロヘキシルアミン、4−シクロヘキシルシクロヘキシルアミン、4−フェニルシクロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、シクロドデシルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、α−シクロヘキシルエチルアミン、β−シクロヘキシルエチルアミン、α−シクロヘキシルプロピルアミン、β−シクロヘキシルプロピルアミン、γ−シクロヘキシルプロピルアミンが例示される。
芳香族モノアミンとしては、一般式(4)
[式中、R
10は前記のR
4と同義である。]
又は一般式(5)
[式中、R
11は前記のR
6と同義である。]
で表される化合物が例示され、より具体的には、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、o−エチルアニリン、p−エチルアニリン、o−プロピルアニリン、m−プロピルアニリン、p−プロピルアニリン、o−クミジン、m−クミジン、p−クミジン、o−tert−ブチルアニリン、p−n−ブチルアニリン、p−イソブチルアニリン、p−sec−ブチルアニリン、p−tert−ブチルアニリン、p−n−アミルアニリン、p−イソアミルアニリン、p−sec−アミルアニリン、p−tert−アミルアニリン、p−ヘキシルアニリン、p−ヘプチルアニリン、p−オクチルアニリン、p−ノニルアニリン、p−デシルアニリン、p−ウンデシルアニリン、p−ドデシルアニリン、p−シクロヘキシルアニリン、o−アミノジフェニル、m−アミノジフェニル、p−アミノジフェニル、ベンジルアミン、α−フェニルエチルアミン、β−フェニルエチルアミン、α−フェニルプロピルアミン、β−フェニルプロピルアミン、γ−フェニルプロピルアミンが例示される。
【0041】
一般式(1)で表されるアミド系化合物のうち、R
1が、炭素原子数4〜28の飽和若しくは不飽和の脂環族ジカルボン酸残基又は炭素原子数6〜28の芳香族ジカルボン酸残基であり、R
2及びR
3が、同一又は異なって、炭素原子数3〜18のシクロアルキル基、一般式(a)、一般式(b)、一般式(c)又は一般式(d)で示される基である一般式(1)で表される化合物が好ましい。
更に、一般式(1)で表されるアミド系化合物のうち、R
1が、炭素原子数6〜10の飽和若しくは不飽和の脂環族ジカルボン酸残基又は炭素原子数6〜20の芳香族ジカルボン酸残基であり、R
2及びR
3が、同一又は異なって、炭素原子数6〜10のシクロアルキル基、一般式(a)、一般式(b)、一般式(c)又は一般式(d)で示される基[各式中、R
4は水素原子、炭素原子数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数6〜8のシクロアルキル基又はフェニル基を表す。R
5は、炭素原子数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す。R
6は、炭素原子数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表す。R
7は、炭素原子数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表す。]である一般式(1)で表される化合物が好ましい。
更に、一般式(1)において、R
1が、炭素原子数6〜28の芳香族ジカルボン酸残基であり、R
2及びR
3が、同一又は異なって、炭素原子数3〜18のシクロアルキル基又は一般式(b)で示される基である化合物がより好ましい。
上記一般式(1)で表されるアミド系化合物のうちでも、融点が200℃ 以上、特に240℃以上であるものを使用するのが有利である。
特に好ましい一般式(1)で表されるアミド系化合物としては、N,N’−ジシクロヘキシル−4,4’−ビフェニルジカルボキシアミド、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N’−ジシクロヘキシルテレフタルアミド等が挙げられ、これらの中でも、特に好ましいものとして、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミドが挙げられる。
【0042】
[その他の成分]
本発明のプロピレン重合体組成物は、プロピレンブロック共重合体、エラストマー及び/又は無機充填材を含有していてもよい。
【0043】
プロピレンブロック共重合体としては、プロピレンに由来する単量体単位を90重量%以上含有するプロピレン重合体成分(I)(該プロピレン重合体成分(I)全体の量を100重量%とする)と、エチレン及び炭素原子数4〜10個のα−オレフィンからなる群より選ばれる1種類以上のオレフィンとプロピレンとの共重合体成分(II)からなるブロック共重合体が挙げられ、例えば(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ブテン)ブロック共重合体が挙げられ、好ましくは、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体である。
【0044】
エラストマーとしては、例えばエチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体ゴムが挙げられ、これらを単独でまたは組み合せて用いることができる。前記α−オレフィンとしては、炭素原子数4〜10個のα−オレフィンが挙げられ、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
【0045】
無機充填材としては、例えばタルク、炭酸カルシウム、マイカ、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、クレー、炭酸マグネシウム、アルミナ、シリカ及びガラス繊維等が挙げられる。上記無機充填材としては、タルクが好ましい。
【0046】
本発明に係るプロピレン重合体組成物は、添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、中和剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、前記以外の造核剤、滑剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、加工助剤、有機系過酸化物、着色剤(無機顔料、有機顔料、顔料分散剤等)、可塑剤、難燃剤、抗菌剤、光拡散剤等が挙げられる。これらの添加剤は、単独で用いても、組み合せて用いてもよい。
【0047】
[プロピレン重合体組成物]
本発明に係るプロピレン重合体組成物は、上記(A−1)成分または(A−2)成分と、(B)成分と、(C)成分とを含有する。該組成物が(A−1)成分を含有する場合には、(A-1)成分と(B)成分との合計量を100重量部として、(A−1)成分は99.95〜55重量部であり、好ましくは95重量部以下、より好ましくは90重量部以下、さらにより好ましくは80重量部以下であり、また好ましくは60重量部以上、より好ましくは70重量部以上であり、例えば95〜60重量部の範囲内に、または80〜70重量部の範囲内にある。(B)成分は0.05〜45重量部であり、好ましくは5重量部以上、より好ましくは10重量部以上、さらにより好ましくは20重量部以上であり、また好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下であり、例えば5〜40重量部の範囲内に、または20〜30重量部の範囲内にある。(C)成分は0.001〜5重量部であり、好ましくは0.005重量部以上、より好ましくは0.01重量部以上、さらにより好ましくは0.05重量部以上であり、また好ましくは5重量部以下、より好ましくは1重量部以下であり、さらにより好ましくは0.5重量部以下であり、例えば0.01〜1重量部の範囲内に、または0.05〜0.5重量部の範囲内にある。
【0048】
一方、該組成物が(A−2)成分を含有する場合には、(A-2)成分と(B)成分との合計量を100重量部として、(A−2)成分は99.95〜30重量部であり、好ましくは95重量部以下、より好ましくは90重量部以下、さらにより好ましくは80重量部以下であり、また好ましくは30重量部以上、より好ましくは40重量部以上であり、さらにより好ましくは45重量部以上であり、最も好ましくは50重量部以上であり、例えば95〜40重量部の範囲内に、または90〜45重量部の範囲内に、または80〜50重量部の範囲内にある。(B)成分は0.05〜70重量部であり、好ましくは5重量部以上、より好ましくは10重量部以上、さらにより好ましくは20重量部以上であり、また好ましくは70重量部以下であり、より好ましくは60重量部以下であり、さらにより好ましくは55重量部以下であり、最も好ましくは50重量部以下であり、例えば5〜60重量部の範囲内に、または10〜55重量部の範囲内に、または20〜50重量部の範囲内にある。(C)成分は0.001〜5重量部であり、好ましくは0.005重量部以上、より好ましくは0.01重量部以上、さらにより好ましくは0.05重量部以上であり、また好ましくは5重量部以下、より好ましくは1重量部以下であり、さらにより好ましくは0.5重量部以下であり、例えば0.01〜1重量部の範囲内に、または0.05〜0.5重量部の範囲内にある。
【0049】
本発明に係るプロピレン重合体組成物のMFR(230℃、2.16kgf荷重で、JIS−K−7210に準拠して測定)は、好ましくは5〜200g/10分であり、より好ましくは5〜100g/10分であり、さらにより好ましくは5〜50g/10分であり、最も好ましくは5〜30g/10分である。なお、MFRはメルトフローレートの略語である。
【0050】
本発明のプロピレン重合体組成物は、各原料成分を好ましくは180℃以上、より好ましくは180〜300℃、さらに好ましくは220〜280℃で溶融混練することにより得られる。溶融混練には、例えば、バンバリーミキサー、単軸押出機、二軸同方向回転押出機等が使用できる。
【0051】
プロピレン重合体組成物の形状は、ストランド状、シート状、平板状、ストランドを適当な長さに裁断したペレット状等が挙げられる。本発明のプロピレン重合体組成物を成形加工するためには、得られる成形体の生産安定性の観点から、形状として好ましくは、長さが1〜50mmのペレット状である。
【0052】
本発明に係るプロピレン重合体組成物を成形して得られる成形体は、射出成形法により製造した射出成形体であることが好ましい。射出成形法としては、例えば、一般的な射出成形法、射出発泡成形法、超臨界射出発泡成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、ガスアシスト射出成形法、サンドイッチ成形法、サンドイッチ発泡成形法、インサート・アウトサート成形法等の方法が挙げられる。
この成形体は、例えば、自動車材料、家電材料、コンテナー等が挙げられ、なかでも自動車材料として好適である。
【実施例】
【0053】
以下、実施例及び比較例によって本発明を説明する。実施例及び比較例で使用した
プロピレン重合体及び造核剤を下記に示す。
【0054】
(1)プロピレン重合体(A)
(A−1)プロピレン単独重合体
MFR(230℃、2.16kg荷重):20g/10分
極限粘度:1.32dl/g
【0055】
(A−2)プロピレン単独重合体
MFR(230℃、2.16kg荷重):8g/10分
極限粘度:1.65dl/g
【0056】
(A−3)プロピレン単独重合体
MFR(230℃、2.16kg荷重):2g/10分
極限粘度:2.12dl/g
【0057】
(A−4)プロピレン単独重合体
MFR(230℃、2.16kg荷重):0.5g/10分
極限粘度:2.96dl/g
【0058】
(2)プロピレン重合体(B)
(B−1)プロピレン単独重合体
MFR(230℃、2.16kg荷重):120g/10分
極限粘度:0.92dl/g
【0059】
(B−2)プロピレン単独重合体
MFR(230℃、2.16kg荷重):350g/10分
極限粘度:0.75dl/g
【0060】
(3)造核剤(C)
(商品名)エヌジェスターNU−100:新日本理化(株)製
(化学名)N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド
【0061】
原料成分及びプロピレン重合体組成物の物性は下記に示した方法に従って測定した。
(1)メルトフローレート(MFR)
メルトフローレート(単位:g/10分)は、JIS−K−7210に規定された方法に従って測定した。測定温度は230℃で、測定荷重は2.16kgである。
【0062】
(2)極限粘度([η])
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1、0.2及び0.5g/dlの3点について還元粘度を測定した。極限粘度(単位:dl/g)は前述のように還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求めた。
【0063】
(3)引張伸び
東洋機械金属製SI30III型射出成形機を用い、成形温度220℃、金型温度70℃で射出成形を行い、厚さ2mmの引張試験片を得た。該試験片の中央部に該試験片の長手方向に25mmの間隔を空けて、該試験片の幅方向に沿って全幅にわたり2本の平行な標線を付した後、引張試験機により温度23℃、引張速度10mm/分で該試験片が破断するまでその長手方向に引っ張った。該試験片が破断した時の標線間距離の初期の標線間距離(25mm)に対する割合で定義される引張伸び(単位:%)を算出した。
【0064】
(4)耐傷付性
前記引張試験片(厚み:2mm)に対して、Surface Machine System製Scratch4傷付試験機を用いて、ASTM7027−05に準拠し、金属製の芯(直径1mm)に2〜30Nまで連続的に荷重をかけ、100mm/sの速度で長さ60mmの傷を付けた。試験片の表面が白化しはじめたことが目視にて確認された時点での荷重を白化荷重(単位:N)とした。白化荷重が高いほど、耐傷付性に優れている。
【0065】
〔実施例1〜4、比較例1〜6〕
プロピレン重合体(A)、プロピレン重合体(B)及び造核剤(C)の配合割合を、下記の表1及び表2に示す(但し、(A)成分の合計量を100重量部とする)。
これらを均一に予備混合した後、40mm単軸押出機(田辺プラスチック機械製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:100rpm、押出量:約15kg/時間の条件で、加熱溶融混練して、プロピレン重合体組成物を製造した。得られた組成物を東洋機械金属製SI30III型射出成形機を用い、成形温度220℃、金型温
度70℃で射出成形を行い、厚さ2mmのポリプロピレン射出成形品片を得た。
得られたポリプロピレン射出成形体の物性を下記の表1及び表2に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】