特許第6201414号(P6201414)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6201414
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】レジストパターンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20170914BHJP
   G03F 7/32 20060101ALI20170914BHJP
   G03F 7/038 20060101ALI20170914BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   G03F7/004 503A
   G03F7/32
   G03F7/038 601
   G03F7/039 601
【請求項の数】3
【全頁数】49
(21)【出願番号】特願2013-103782(P2013-103782)
(22)【出願日】2013年5月16日
(65)【公開番号】特開2014-2368(P2014-2368A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2016年4月5日
(31)【優先権主張番号】特願2012-117248(P2012-117248)
(32)【優先日】2012年5月23日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】市川 幸司
(72)【発明者】
【氏名】向井 優一
(72)【発明者】
【氏名】藤田 真吾
【審査官】 倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/046607(WO,A1)
【文献】 特開2012−073401(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/056901(WO,A1)
【文献】 特開2013−160813(JP,A)
【文献】 特開2011−090284(JP,A)
【文献】 特開2010−191015(JP,A)
【文献】 特開2010−018573(JP,A)
【文献】 特開2008−007410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004−7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)酸不安定基を有する構造単位を含む樹脂及び式(IIA)で表される塩を含有するレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後のレジスト組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程及び
(5)加熱後の組成物層を、ケトン溶剤、エステル溶剤及びエーテル溶剤からなる群より選択される有機溶剤により現像する工程
を含むレジストパターンの製造方法。
[式(IIA)中、
2は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基又は−OR5で置換されていてもよく、該アルカンジイル基を構成する−CH2−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
6は、炭素数1〜17の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子又はヒドロキシ基で置換されていてもよく、該炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
7は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
8は、炭素数1〜6のフッ素化アルキル基を表す。
ただし、R6、R7及びR8の合計炭素数は、20以下である。
+は式(b2−1)〜式(b2−4)のいずれかで表されるカチオンを表す。
[式(b2−1)〜式(b2−4)において、
b4〜Rb6は、それぞれ独立に、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜36の芳香族炭化水素基を表すか、あるいは、Rb4とRb5とは、一緒になってそれらが結合するイオウ原子とともに環を形成してもよい。前記脂肪族炭化水素基は、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基で置換されていてもよく、前記脂環式炭化水素基は、ハロゲン原子、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基で置換されていてもよく、前記芳香族炭化水素基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又は炭素数1〜12のアルコキシ基で置換されていてもよい。
b7及びRb8は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
m2及びn2は、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。m2が2以上のとき、複数のRb7は同一又は相異なり、n2が2以上のとき、複数のRb8は同一又は相異なる。
b9及びRb10は、それぞれ独立に、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜36の脂環式炭化水素基を表すか、あるいは、Rb9とRb10とは、一緒になってそれらが結合する硫黄原子とともに互いに結合して3員環〜12員環を形成していてもよい。
b11は、水素原子、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜36の芳香族炭化水素基を表す。
b12は、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜36の芳香族炭化水素基を表す。前記芳香族炭化水素基は、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルキルカルボニルオキシ基で置換されていてもよい。
b11とRb12とが一緒になってそれらが結合する−CH−CO−とともに3員環〜12員環を形成していてもよい。
b13〜Rb18は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
b11は、−S−又は−O−を表す。
o2、p2、s2、及びt2は、それぞれ独立に、0〜5の整数を表す。
q2及びr2は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
u2は0又は1を表す。
o2が2以上のとき、複数のRb13は同一でも異なってもよく、p2が2以上のとき、複数のRb14は同一でも異なってもよく、q2が2以上のとき、複数のRb15は同一でも異なってもよく、r2が2以上のとき、複数のRb16は同一でも異なってもよく、s2が2以上のとき、複数のRb17は同一でも異なってもよく、t2が2以上のとき、複数のRb18は同一でも異なってもよい。]]
【請求項2】
ケトン溶剤、エステル溶剤及びエーテル溶剤からなる群より選択される有機溶剤が、酢酸ブチル及び2−ヘプタノンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記工程(5)が、ダイナミックディスペンス法により現像する工程である請求項1又は2記載のレジストパターンの製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジストパターンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高集積化が進む半導体の製造には、ArFエキシマレーザ等を露光源とする遠紫外線リソグラフィー技術の開発が活発に行われている。このような遠紫外線リソグラフィー技術におけるレジストパターンの製造方法としては、例えば、
(ア)酸の作用により極性が増大する樹脂を含有し、活性光線又は放射線の照射により、ポジ型現像液に対する溶解度が増大し、ネガ型現像液に対する溶解度が減少する、ネガ型現像用レジスト組成物を塗布し、水に対する後退接触角が70度以上のレジスト膜を形成する工程、
(イ)液浸媒体を介して露光する工程、及び
(ウ)ネガ型現像液を用いて現像を行う工程、
を含むパターン形成方法
が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−309879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から知られる上記のレジストパターンの製造方法では、フォーカスマージン(DOF)が必ずしも十分に満足できるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の発明を含む。
〔1〕 (1)酸不安定基を有する構造単位を含む樹脂及び式(II)で表される塩を含有するレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後のレジスト組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程及び
(5)加熱後の組成物層を、ネガ型現像液により現像する工程
を含むレジストパターンの製造方法。
[式(II)中、
は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基又は−ORで置換されていてもよく、該アルカンジイル基を構成する−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜24の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子又はヒドロキシ基で置換されていてもよく、該炭化水素基に含まれるに含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
は、有機カチオンを表す。]
〔2〕 ネガ型現像液は、酢酸ブチル及び2−ヘプタノンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む〔1〕記載の製造方法。
〔3〕 前記工程(5)が、ダイナミックディスペンス法により現像する工程である〔1〕又は〔2〕記載のレジストパターンの製造方法。
〔4〕 式(II)で表される塩が式(IIA)で表される塩である〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のレジストパターンの製造方法。
[式(IIA)中、X及びZは、上記と同じ意味を表す。
は、炭素数1〜17の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子又はヒドロキシ基で置換されていてもよく、該炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
は、炭素数1〜6のフッ素化アルキル基を表す。
ただし、R、R及びRの合計炭素数は、20以下である。]
〔5〕酸不安定基を有する構造単位を含む樹脂及び式(II)で表される塩を含有する、ネガ型現象用レジスト組成物。
[式(II)中、
は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基又は−ORで置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜24の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子又はヒドロキシ基で置換されていてもよく、該炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
は、有機カチオンを表す。]
【発明の効果】
【0006】
本発明の製造方法によれば、優れたフォーカスマージン(DOF)で、レジストパターンを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
また、本明細書において「(メタ)アクリル系モノマー」とは、分子内に「CH2=CH−CO−」を有するモノマー及び「CH2=C(CH3)−CO−」を有するモノマーの少なくとも一種を意味する。同様に「(メタ)アクリレート」及び「(メタ)アクリル酸」とは、それぞれ「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一種」及び「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一種」を意味する。
【0008】
本発明のレジストパターンの製造方法は、
(1)レジスト組成物を基板上に塗布する工程(以下「工程(1)」という場合がある。);
(2)塗布後のレジスト組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程(以下「工程(2)」という場合がある。);
(3)組成物層に露光する工程(以下「工程(3)」という場合がある。);
(4)露光後の組成物層を加熱する工程(以下「工程(4)」という場合がある。);
(5)加熱後の組成物層をネガ型現像液により現像する工程(以下「工程(5)」という場合がある。);
を含む。
工程(1)において、基板は特に限定されるものではなく、半導体の製造に通常用いられる無機基板、例えば、シリコン、SiN、SiO2、SOG等を挙げることができる。これらの基板は、洗浄されたのものでもよく、また、無機基板上に反射防止膜等が形成されたものでもよい。反射防止膜は、例えば、市販の有機反射防止膜用組成物から形成できる。
レジスト組成物の基板上への塗布は、スピンコーター等、レジスト分野で広く用いられている塗布装置によって行うことができる。
工程(1)で用いるレジスト組成物については後述する。
【0009】
工程(2)では、例えば、ホットプレート等の加熱装置を用いた加熱手段(いわゆるプリベーク)、又は減圧装置を用いた減圧手段により、或いはこれらの手段を組み合わせて、基板上に塗布されたレジスト組成物を乾燥させることにより溶剤を除去して、組成物層が形成される。好ましくは、加熱手段による乾燥である。加熱手段や減圧手段の条件は、レジスト組成物に含まれる溶剤(D)の種類等に応じて選択できる。
加熱手段の場合、乾燥温度は、50〜200℃が好ましく、60〜150℃がより好ましい。また、乾燥時間は、10〜180秒間が好ましく、30〜120秒間がより好ましい。
減圧手段の場合、減圧乾燥機の中に、基板上に塗布されたレジスト組成物を封入した後、内部圧力を1〜1.0×10Paにして乾燥を行う。
このようにして形成された組成物層の膜厚は、一般に20〜1000nmであり、好ましくは50〜400nmである。前記塗布装置の条件を種々調節することにより該膜厚は調整可能である。
【0010】
工程(3)では、好ましくは露光機を用いて該組成物層を露光する。露光は、所望のパターンが形成されたマスク(フォトマスク)を介して行われる。露光機の露光光源としては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2エキシマレーザ(波長157nm)等の紫外域のレーザ光を放射するもの、電子線、超紫外光(EUV)を照射するもの、固体レーザ光源(YAG又は半導体レーザ等)からのレーザ光を波長変換して遠紫外域又は真空紫外域の高調波レーザ光を放射するもの等、種々のものを用いることができる。露光光源として電子線を用いる場合には、マスクを用いることなく、組成物層に直接照射して描画してもよい。本発明の製造方法に用いる露光光源としては、ArFエキシマレーザが好ましい。
マスクを介して露光した結果、露光部の組成物層では該組成物層に含まれる酸発生剤(B)から酸が発生する。この酸の作用により樹脂(A1)が有する酸不安定基から親水性基が形成される。
【0011】
露光は、組成物層に液浸媒体を載せた状態で行う方法、いわゆる液浸露光で行うことが好ましい。液浸露光を行う場合、露光前及び/又は露光後の組成物層の表面を水系の薬液で洗浄する工程を行ってもよい。
液浸露光に用いる液浸媒体は、ArFエキシマレーザの露光波長に対して透明であり、かつ組成物層上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう、屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましく、入手の容易さ、取り扱いのし易さから、水、特に超純水が好ましい。液浸媒体として水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させる添加剤を水にわずかな割合で添加してもよい。この添加剤は組成物層を溶解させず、且つレンズ素子の下面の光学コートに対する影響が無視できるものが好ましい。
露光量は、用いるレジスト組成物、製造するレジストパターンの種類及び露光光源の種類に応じて適宜設定でき、好ましくは5〜50mJ/cmである。
工程(3)は、複数回繰り返して行ってもよい。複数回の露光を行う場合の露光光源及び露光方法は、同じでも互いに異なってもよい。
【0012】
工程(4)における加熱は、ホットプレート等の加熱装置を用いた加熱手段が挙げられる。加熱温度は、50〜200℃が好ましく、70〜150℃がより好ましい。また、加熱時間は、10〜180秒間が好ましく、30〜120秒間がより好ましい。
工程(4)により、上記の酸不安定基の反応が促進される。
【0013】
工程(5)は、加熱後の組成物層をネガ型現像液で現像する工程である。つまり、工程(5)において加熱後の組成物層のネガ型現像を行う。
工程(5)では、好ましくは、現像装置を用いて現像する。
【0014】
ネガ型現像液とは、露光されていない組成物層を溶解し、かつ露光された組成物層が不溶又は難溶である有機溶剤を意味する。
該有機溶剤としては、ケトン溶剤、エステル溶剤、アミド溶剤、エーテル溶剤等の極性溶剤や、炭化水素溶剤等が挙げられる。
ケトン溶剤としては、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
エステル溶剤としては、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等が挙げられる。
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
アミド溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
炭化水素溶剤としては、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族炭化水素系溶剤、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素溶剤が挙げられる。
また、これらの有機溶剤は2種類以上を組み合わせてもよく、わずかであれば水を含んでいてもよい。
ネガ型現像液として、ケトン溶剤、エステル溶剤及びエーテル溶剤からなる群より選択される有機溶剤を含むことが好ましく、ケトン溶剤及びエステル溶剤からなる群より選択される有機溶剤を含むことがより好ましく、酢酸ブチルまたは2−ヘプタノンを含むことが更に好ましい。
ネガ型現像液は、酢酸ブチル及び2−ヘプタノンからなる群より選ばれる少なくとも一種含むことが好ましく、酢酸ブチル及び2−ヘプタノンを含む場合は、酢酸ブチル及び2−ヘプタノンの合計含有率は、ネガ型現像液の総量に対して、50質量%以上が好ましく、実質的に酢酸ブチル及び2−ヘプタノンからなる群から選ばれる少なくとも一種のみであることがより好ましい。また、ネガ型現像液は、実質的に酢酸ブチルのみ、又は実質的に2−ヘプタノンのみであることがさらに好ましい。
これらの現像液としては、溶剤として市販されているものをそのままを用いてもよい。
【0015】
ネガ型現像液は、必要に応じて界面活性剤を含有していてよい。当該界面活性剤としては限定されず、イオン性界面活性剤でも非イオン性界面活性剤でもよく、フッ素系界面活性剤でもシリコン系界面活性剤等を用いてもよい。
【0016】
現像方法としては、現像液が満たされた槽中に、工程(4)後の組成物層を、基板ごと一定時間浸漬する方法(ディップ法)、工程(4)後の組成物層に、現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、工程(4)後の組成物層表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、工程(4)後の組成物層が形成された基板を一定速度で回転させ、ここに一定速度で塗出ノズルをスキャンしながら、現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
中でも、現像方法は、パドル法又はダイナミックディスペンス法が好ましく、ダイナミックディスペンス法がより好ましい。
現像温度は、5〜60℃が好ましく、10〜40℃がより好ましい。また、現像時間は、5〜300秒間が好ましく、5〜90秒間がより好ましい。ダイナミックディスペンス法で現像を行う場合、現像時間は5〜20秒が特に好ましく、パドル法で現像を行う場合、現像時間は20〜60秒が特に好ましい。
上記の酸不安定基の反応により、組成物層の露光部は現像液に不溶又は難溶となるため、組成物層を現像液と接触させると、組成物層の未露光部が現像液により除去されてネガ型レジストパターンが製造される。
【0017】
上記の現像時間を経た後、組成物層と接触している現像液を、現像液とは異なる種類の溶剤に置換しながら、現像を停止してもよい。また、レジストパターン上に残存している前記現像液を除去するために、リンス液を用いて、現像後のレジストパターンを洗浄することが好ましい。リンス液としては、製造されたレジストパターンを溶解しないものであれば特に制限はなく、一般的な有機溶剤を使用することができるが、アルコール溶剤又はエステル溶剤等を用いることが好ましく、ヘキサノール、ペンタノール、ブタノール等の炭素数1〜8の1価アルコールがより好ましい。
【0018】
〈レジスト組成物〉
工程(1)で用いるレジスト組成物(以下、単に「レジスト組成物」という。)は、酸不安定基を有する構造単位を含む樹脂(以下「樹脂(A)」という場合がある)、並びに、式(II)で表される塩(以下「塩(II)」という場合がある)を含有する。
レジスト組成物は、さらに溶剤(E)を含有することが好ましい。
また、レジスト組成物は、さらに、塩基性化合物(C)を含有することが好ましい。
【0019】
<樹脂(A)>
樹脂(A)は、酸不安定基を有する構造単位(以下「構造単位(a)」という場合がある)を含む樹脂であり、酸の作用により分解し、酢酸ブチル又は2−ヘプタノンへの溶解性が減少する特性を有することが好ましい。
【0020】
<構造単位(a)>
「酸不安定基」とは、酸と接触すると脱離基が脱離して、親水性基(例えば、ヒドロキシ基又はカルボキシ基)を形成する基を意味する。酸不安定基としては、例えば、式(1)で表される基、式(2)で表される基等が挙げられる。
[式(1)中、Ra1、Ra2及びRa3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基又はこれらを組み合わせた基を表すか、Ra1及びRa2は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成する。*は結合手を表す。]
[式(2)中、Ra1’及びRa2’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表し、Ra3’は、炭素数1〜20の炭化水素基を表すか、Ra2’及びRa3’は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成する。該1価の炭化水素基及び該2価の炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子に置き換わってもよい。*は結合手を表す。]
【0021】
a1、Ra2及びRa3で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。
a1、Ra2及びRa3で表される脂環式炭化水素基としては、単環式又は多環式のいずれでもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基及び下記の基(*は結合手を表す。)等が挙げられる。Ra1、Ra2及びRa3で表される脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜16である。
アルキル基と脂環式炭化水素基とを組合わせた基としては、例えば、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、メチルノルボルニル基等が挙げられる。
【0022】
a1及びRa2が互いに結合して2価の炭化水素基を形成する場合の−C(Ra1)(Ra2)(Ra3)としては、例えば、下記の基が挙げられる。2価の炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜12である。各式中、Ra3は上記と同じ意味であり、*は−O−との結合手を表す。

【0023】
式(1)で表される基としては、例えば、1,1−ジアルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中においてRa1、Ra2及びRa3がアルキル基である基、好ましくはtert−ブトキシカルボニル基)、2−アルキルアダマンタン−2−イルオキシカルボニル基(式(1)中、Ra1、Ra2及びこれらが結合する炭素原子がアダマンチル基を形成し、Ra3がアルキル基である基)及び1−(アダマンタン−1−イル)−1−アルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1及びRa2がアルキル基であり、Ra3がアダマンチル基である基)等が挙げられる。
【0024】
a1’ 、Ra2'及びRa3’で表される炭化水素基としては、例えば、アルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。
アルキル基及び脂環式炭化水素基は、上記と同様のものが挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等のアリール基等が挙げられる。
a2’及びRa3’が互いに結合して形成する2価の炭化水素基としては、例えば、Ra1’〜Ra3’の炭化水素基から水素原子を1個取り去った基が挙げられる。
a1’及びRa2’のうち、少なくとも1つは水素原子であることが好ましい。
【0025】
式(2)で表される基の具体例としては、例えば、以下の基が挙げられる。*は結合手を表す。
【0026】
構造単位(a)を導くモノマーは、好ましくは、酸不安定基とエチレン性不飽和結合とを有するモノマー、より好ましくは酸不安定基を有する(メタ)アクリル系モノマーである。
【0027】
酸不安定基を有する(メタ)アクリル系モノマーのうち、好ましくは、炭素数5〜20の脂環式炭化水素基を有するものが挙げられる。脂環式炭化水素基のような嵩高い構造を有する構造単位(a)を有する樹脂(A)をレジスト組成物に使用すれば、レジストパターンの解像度を向上させることができる。
【0028】
式(1)で表される基を有する(メタ)アクリル系モノマーに由来する構造単位として、好ましくは式(a1−1)で表される構造単位又は式(a1−2)で表される構造単位が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本明細書では、式(a1−1)で表される構造単位及び式(a1−2)で表される構造単位を、それぞれ構造単位(a1−1)及び構造単位(a1−2)と、構造単位(a1−1)を誘導するモノマー及び構造単位(a1−2)を誘導するモノマーを、それぞれモノマー(a1−1)及びモノマー(a1−2)という場合がある。
【0029】
[式(a1−1)及び式(a1−2)中、
a1及びLa2は、それぞれ独立に、−O−又は−O−(CH2k1−CO−O−を表し、k1は1〜7の整数を表し、*は−CO−との結合手を表す。
a4及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
a6及びRa7は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又はこれらを組合わせた基を表す。
m1は0〜14の整数を表す。
n1は0〜10の整数を表す。
n1’は0〜3の整数を表す。]
【0030】
a1及びLa2は、好ましくは、−O−又は−O−(CH2k1−CO−O−であり、より好ましくは−O−である。k1は、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1である。
a4及びRa5は、好ましくはメチル基である。
a6及びRa7のアルキル基、脂環式炭化水素基及びこれらを組合わせた基としては、式(1)のRa1、Ra2及びRa3で表される基と同様の基が挙げられる。
a6及びRa7のアルキル基は、好ましくは炭素数6以下である。
a6及びRa7の脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数8以下、より好ましくは6以下である。
m1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1’は好ましくは0又は1である。
【0031】
モノマー(a1−1)としては、例えば、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。中でも、式(a1−1−1)〜式(a1−1−8)のいずれかで表されるモノマーが好ましく、式(a1−1−1)〜式(a1−1−4)のいずれかで表されるモノマーがより好ましい。
【0032】
モノマー(a1−2)としては、例えば、1−エチルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキサン−1−イル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘプタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロヘキサン−1−イル(メタ)アクリレート、1−イソプロピルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−イソプロピルシクロヘキサン−1−イル(メタ)アクリレート等が挙げられる。式(a1−2−1)〜式(a1−2−12)で表されるモノマーが好ましく、式(a1−2−3)〜式(a1−2−4)又は式(a1−2−9)〜式(a1−2−10)で表されるモノマーがより好ましく、式(a1−2−3)又は式(a1−2−9)で表されるモノマーがさらに好ましい。



【0033】
樹脂(A)が式(a1−1)で表される構造単位及び/又は式(a1−2)で表される構造単位を含む場合、これらの合計含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、通常10〜95モル%であり、好ましくは15〜90モル%であり、より好ましくは20〜85モル%である。
【0034】
酸不安定基(2)を有する(メタ)アクリル系モノマーに由来する構造単位としては、式(a1−5)で表される構造単位(以下「構造単位(a1−5)」という場合がある)が挙げられる。
[式(a1−5)中、
31は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
a1は、単結合又は*−[CH2k1−CO−La4−基を表す。ここで、k1は1〜4の整数を表す。*は、La1との結合手を表す。
a1、La2、La3及びLa4は、それぞれ独立に、−O−又は−S−を表す。
s1は、1〜3の整数を表す。
s1’は、0〜3の整数を表す。]
【0035】
式(a1−5)においては、R31は、水素原子、メチル基及びトリフルオロメチル基が好ましい。
a1は、酸素原子が好ましい。
a2及びLa3は、一方が酸素原子、他方が硫黄原子が好ましい。
s1は、1が好ましい。
s1’は、0〜2の整数が好ましい。
a1は、単結合又は*−CH−CO−O−が好ましい。
【0036】

構造単位(a1−5)を導くモノマーとしては、以下のモノマーが挙げられる。
【0037】
樹脂(A)が、構造単位(a1−5)を有する場合、その含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、1〜50モル%が好ましく、3〜45モル%がより好ましく、5〜40モル%がさらに好ましい。
【0038】
樹脂(A)において、構造単位(a)の含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、好ましくは30〜98モル%であり、より好ましくは35〜90モル%であり、さらに好ましくは40〜80モル%である。
【0039】
〈酸不安定基を有さない構造単位〉
酸不安定基を有さない構造単位(以下「構造単位(s)」という場合がある)を導くモノマーは、酸不安定基を有さないモノマーであれば特に限定されず、レジスト分野で公知のモノマーを使用できる。
構造単位(s)としては、ヒドロキシ基又はラクトン環を有し、かつ酸不安定基を有さない構造単位が好ましい。ヒドロキシ基を有し、かつ酸不安定基を有さない構造単位(以下「構造単位(a2)」という場合がある)及び/又はラクトン環し、かつ酸不安定基を有さない構造単位(以下「構造単位(a3)」という場合がある)を有する樹脂をレジスト組成物に使用すれば、レジストパターンの解像度及び基板との密着性を向上させることができる。
【0040】
〈構造単位(a2)〉
構造単位(a2)が有するヒドロキシ基は、アルコール性ヒドロキシ基でも、フェノール性ヒドロキシ基でもよい。有する例えば、式(a2−1)で表される構造単位(以下、場合により「構造単位(a2−1)」という。)及び式(a2−0)で表される構造単位(以下、場合により「構造単位(a2−0)」という。)が挙げられる。
【0041】
アルコール性ヒドロキシ基を有する構造単位(a2)としては、式(a2−1)で表される構造単位(以下、場合により「構造単位(a2−1)」という。)が挙げられる。
[式(a2−1)中、
a3は、−O−又は−O−(CH2k2−CO−O−を表し、
k2は1〜7の整数を表す。*は−CO−との結合手を表す。
a14は、水素原子又はメチル基を表す。
a15及びRa16は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はヒドロキシ基を表す。
o1は、0〜10の整数を表す。]
【0042】
式(a2−1)では、La3は、好ましくは、−O−、−O−(CH2f1−CO−O−であり(前記f1は、1〜4の整数である)、より好ましくは−O−である。
a14は、好ましくはメチル基である。
a15は、好ましくは水素原子である。
a16は、好ましくは水素原子又はヒドロキシ基である。
o1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
【0043】
構造単位(a2−1)を導くモノマーとしては、例えば、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。式(a2−1−1)〜式(a2−1−6)のいずれかで表されるモノマーが好ましく、式(a2−1−1)〜式(a2−1−4)のいずれかで表されるモノマーがより好ましく、式(a2−1−1)又は式(a2−1−3)で表されるモノマーがさらに好ましい。
【0044】
樹脂(A)が構造単位(a2−1)を含む場合、その含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、通常3〜45モル%であり、好ましくは1〜40モル%であり、より好ましくは1〜35モル%であり、さらに好ましくは2〜20モル%である。
【0045】
レジスト組成物をKrFエキシマレーザ露光(248nm)、電子線又はEUV(超紫外光)等の高エネルギー線露光に用いる場合、構造単位(a2)として、好ましくは、フェノール性ヒドロキシ基を有する構造単位(a2)を用いることが好ましい。また、ArFエキシマレーザ露光(193nm)等に用いる場合は、構造単位(a2)として、好ましくはアルコール性ヒドロキシ基を有する構造単位(a2)、より好ましくは構造単位(a2−1)を用いることが好まし。構造単位(a2)の1種を単独で含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
【0046】
〈構造単位(a3)〉
構造単位(a3)が有するラクトン環は、例えば、β−プロピオラクトン環、γ−ブチロラクトン環、δ−バレロラクトン環等の単環でもよく、これら単環式のラクトン環構造を含む橋かけ環でもよい。これらラクトン環の中で、好ましくは、γ−ブチロラクトン環、又は、γ−ブチロラクトン環構造を含む橋かけ環が挙げられる。
【0047】
構造単位(a3)は、好ましくは、式(a3−1)、式(a3−2)又は式(a3−3)で表される構造単位である。これらの1種を単独で含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
【0048】
[式(a3−1)中、
a4は、酸素原子又は−O−(CH2k3−CO−O−(k3は1〜7の整数を表す。)で表される基を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
a18は、水素原子又はメチル基を表す。
a21は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
p1は0〜5の整数を表す。p1が2以上のとき、複数のRa21は互いに同一又は相異なる。
式(a3−2)中、
a5は、酸素原子又は−O−(CH2k3−CO−O−(k3は1〜7の整数を表す。)で表される基を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
a22は、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
q1は、0〜3の整数を表す。q1が2以上のとき、複数のRa22は互いに同一又は相異なる。
式(a3−3)中、
a6は、酸素原子又は−O−(CH2k3−CO−O−(k3は1〜7の整数を表す。)で表される基を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
a20は、水素原子又はメチル基を表す。
a23は、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
r1は、0〜3の整数を表す。r1が2以上のとき、複数のRa23は互いに同一又は相異なる。]
【0049】
式(a3−1)〜式(a3−3)において、La4〜La6は、式(a2−1)のLa3で説明したものと同じものが挙げられる。
a4、La5及びLa6は、それぞれ独立に、酸素原子又は、k3が1〜4の整数である*−O−(CH2k3−CO−O−で表される基が好ましく、酸素原子及び、*−O−CH2−CO−O−がより好ましく、さらに好ましくは酸素原子である。
a18、Ra19、Ra20及びRa21は、好ましくはメチル基である。
a22及びRa23は、それぞれ独立に、好ましくはカルボキシ基、シアノ基又はメチル基である。
p1、q1及びr1は、それぞれ独立に、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0又は1である。
【0050】
構造単位(a3)を導くモノマーとしては、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。式(a3−1−1)〜式(a3−1−4)、式(a3−2−1)〜式(a3−2−4)及び式(a3−3−1)〜式(a3−3−4)のいずれかで表されるモノマーが好ましく、式(a3−1−1)〜式(a3−1−2)及び式(a3−2−3)〜式(a3−2−4)のいずれかで表されるモノマーがより好ましく、式(a3−1−1)又は式(a3−2−3)で表されるモノマーがさらに好ましい。
【0051】
【0052】
【0053】
樹脂(A)が構造単位(a3)を含む場合、その含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、通常5〜70モル%であり、好ましくは10〜65モル%であり、より好ましくは10〜60モル%である。
【0054】
樹脂(A)は、好ましくは、構造単位(a)と構造単位(s)とからなる樹脂である。
構造単位(a)は、好ましくは構造単位(a1−1)及び構造単位(a1−2)(好ましくはシクロヘキシル基、シクロペンチル基を有する該構造単位)の少なくとも一種、より好ましくは構造単位(a1−1)である。
構造単位(s)は、好ましくは構造単位(a2)及び構造単位(a3)の少なくとも一種である。構造単位(a2)は、好ましくは構造単位(a2−1)である。構造単位(a3)は、好ましくは構造単位(a3−1)及び構造単位(a3−2)の少なくとも一種である。
【0055】
樹脂(A)は、アダマンチル基を有するモノマーに由来する構造単位(特に、構造単位(a1−1))を、構造単位(a)の含有量に対して15モル%以上含有していることが好ましい。アダマンチル基を有する構造単位の含有量が多いと、レジストパターンのドライエッチング耐性が向上する。
【0056】
樹脂(A)を構成する各構造単位は、1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、これら構造単位を誘導するモノマーを用いて、公知の重合法(例えばラジカル重合法)によって製造することができる。
樹脂(A)の重量平均分子量は、好ましくは、2,500以上(より好ましくは3,000以上、さらに好ましくは4,000以上)、50,000以下(より好ましくは30,000以下、さらに好ましくは15,000以下)である。
【0057】
〈樹脂(A)以外の樹脂〉
レジスト組成物は、樹脂(A)以外の樹脂を含有してもよい。
樹脂(A)以外の樹脂としては、特に限定されず、例えば、当該分野で用いられる公知のモノマーに由来する構造単位からなる樹脂が挙げられる。
レジスト組成物が、樹脂(A)以外の樹脂を含む場合、これらの含有率は、樹脂の総量に対して、通常0.1〜50質量%であり、好ましくは0.5〜30質量%であり、より好ましくは1〜20質量%である。
【0058】
樹脂の含有率は、好ましくは、レジスト組成物の固形分中、80質量%以上99質量%以下である。本明細書において「レジスト組成物の固形分」とは、本発明のレジスト組成物の総量から溶剤(E)を除いた成分の合計量を意味する。レジスト組成物の固形分及びこれに対する樹脂(A)の含有率は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー等の公知の分析手段で測定することができる。
【0059】
<塩(II)>
塩(II)は、式(II)で表される。
[式(II)中、
は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基又は−ORで置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
及びRは、炭素数1〜24の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子又はヒドロキシ基で置換されていてもよく、該炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
は、有機カチオンを表す。]
【0060】
及びRの炭化水素基としては、飽和及び不飽和のいずれでもよく、例えば、直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基、単環式又は多環式の脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられ、これらの基のうち2種以上を組み合わせたものでもよい。
直鎖状アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
分岐状アルキル基としては、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
直鎖状又は分岐状のアルケニル基としては、ビニル基、α−メチルビニル基等が挙げられる。
単環式の脂環式炭化水素基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
多環式の脂環式炭化水素基としては、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等が挙げられる。
【0061】
のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基等が挙げられる。
中でも、メチレン基が好ましい。
【0062】
アルカンジイル基に含まれる1以上のメチレン基が酸素原子又はカルボニル基で置き換わった基としては、例えば、以下に示す2価の基が挙げられる。*はCFとの結合手を表す。
【0063】
アルカンジイル基に含まれる水素原子が、ヒドロキシ基又は−ORで置換され、かつアルカンジイル基に含まれる1以上のメチレン基が酸素原子に置き換わった基としては、例えば、以下の基が挙げられる。*はCFとの結合手を表す。
【0064】
塩(II)は、式(IIA)で表される塩であることが好ましい。
[式(IIA)中、X及びZは、上記と同じ意味を表す。
は、炭素数1〜17の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子又はヒドロキシ基で置換されていてもよく、該炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
は、炭素数1〜6のフッ素化アルキル基を表す。
ただし、R、R及びRの合計炭素数は、20以下である。]
【0065】
の炭化水素基は、Rにおけるものと同様の基が挙げられ、好ましくは脂環式炭化水素基である。
炭化水素基に含まれるメチレン基が酸素原子又はカルボニル基で置き換わった基としては、例えば、以下のものが挙げられる。*は結合手を表す。
のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
のフッ素化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブチル基等が挙げられ、好ましくはトリフルオロメチル基である。
【0066】
塩(II)としては、例えば以下の塩が挙げられる。
【0067】
【0068】
は、例えば、有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、有機アンモニウムカチオン、ベンゾチアゾリウムカチオン、有機ホスホニウムカチオン等の有機オニウムカチオンが挙げられる。これらの中でも、有機スルホニウムカチオン及び有機ヨードニウムカチオンが好ましく、アリールスルホニウムカチオンがより好ましく、式(b2−1)〜式(b2−4)のいずれかで表されるカチオン〔以下、式番号に応じて「カチオン(b2−1)」等という場合がある。〕がさらに好ましい。
【0069】
【0070】
式(b2−1)〜式(b2−4)において、
b4〜Rb6は、それぞれ独立に、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜36の芳香族炭化水素基を表すか、あるいは、Rb4とRb5とは、一緒になってそれらが結合するイオウ原子とともに環を形成してもよい。前記脂肪族炭化水素基は、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基で置換されていてもよく、前記脂環式炭化水素基は、ハロゲン原子、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基で置換されていてもよく、前記芳香族炭化水素基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又は炭素数1〜12のアルコキシ基で置換されていてもよい。
【0071】
b7及びRb8は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
m2及びn2は、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。m2が2以上のとき、複数のRb7は同一又は相異なり、n2が2以上のとき、複数のRb8は同一又は相異なる。
b9及びRb10は、それぞれ独立に、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜36の脂環式炭化水素基を表すか、あるいは、Rb9とRb10とは、一緒になってそれらが結合する硫黄原子とともに互いに結合して3員環〜12員環(好ましくは3員環〜7員環)を形成していてもよい。
b11は、水素原子、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜36の芳香族炭化水素基を表す。
b12は、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜36の芳香族炭化水素基を表す。前記芳香族炭化水素基は、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルキルカルボニルオキシ基で置換されていてもよい。
b11とRb12とが一緒になってそれらが結合する−CH−CO−とともに3員環〜12員環(好ましくは3員環〜7員環)を形成していてもよい。
b13〜Rb18は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
b11は、−S−又は−O−を表す。
o2、p2、s2、及びt2は、それぞれ独立に、0〜5の整数を表す。
q2及びr2は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
u2は0又は1を表す。
o2が2以上のとき、複数のRb13は同一でも異なってもよく、p2が2以上のとき、複数のRb14は同一でも異なってもよく、q2が2以上のとき、複数のRb15は同一でも異なってもよく、r2が2以上のとき、複数のRb16は同一でも異なってもよく、s2が2以上のとき、複数のRb17は同一でも異なってもよく、t2が2以上のとき、複数のRb18は同一でも異なってもよい。
【0072】
脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基が挙げられる。特に、Rb9〜Rb12のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜12である。
水素原子が脂環式炭化水素基で置換された脂肪族炭化水素基としては、例えば、1−(アダマンタン−1−イル)アルカン−1−イル基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、単環式又は多環式のいずれでもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、アルキル基で置換されていてもよい。この場合、該脂環式炭化水素基の炭素数は、アルキル基の炭素数も含めて20以下である。単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基等のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基及び下記の基等が挙げられる。
特に、Rb9〜Rb11の脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数4〜12である。
【0073】
水素原子がアルキル基で置換された脂環式炭化水素基としては、例えば、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、メチルノルボルニル基、イソボルニル基等が挙げられる。
【0074】
芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、4−エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−シクロへキシルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル基等の置換又は無置換のフェニル基;ビフェニリル基、ナフチル基、フェナントリル基等が挙げられる。
水素原子がアルコキシ基で置換された芳香族炭化水素基としては、例えば、p−メトキシフェニル基等が挙げられる。
水素原子が芳香族炭化水素基で置換されたアルキル基、すなわちアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、トリチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
【0075】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基及びドデシルオキシ基等が挙げられる。
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基及びブチリル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
アルキルカルボニルオキシ基としては、例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、ペンチルカルボニルオキシ基、ヘキシルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基及び2−エチルヘキシルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0076】
b4とRb5とが一緒になってそれらが結合している硫黄原子とともに形成してもよい環としては、単環式、多環式、芳香族性、非芳香族性、飽和及び不飽和のいずれの環であってもよく、硫黄原子を1以上含むものであれば、さらに、1以上の硫黄原子及び/又は1以上の酸素原子を含んでいてもよい。該環としては、炭素数3〜18の環が好ましく、炭素数4〜18の環がより好ましい。
【0077】
b9とRb10とが結合する硫黄原子とともに形成する環としては、例えば、チオラン−1−イウム環(テトラヒドロチオフェニウム環)、チアン−1−イウム環、1,4−オキサチアン−4−イウム環等が挙げられる。
b11とRb12とが結合する−CH−CO−とともに形成する環としては、例えば、オキソシクロヘプタン環、オキソシクロヘキサン環、オキソノルボルナン環、オキソアダマンタン環等が挙げられる。
【0078】
カチオン(b2−1)〜カチオン(b2−4)の中でも、好ましくは、カチオン(b2−1)であり、より好ましくは、式(b2−1−1)で表されるカチオン(以下「カチオン(b2−1−1)」という場合がある。)であり、さらに好ましくは、トリフェニルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=0)、ジフェニルトリルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=0、x2=1であり、Rb21がメチル基である。)又はトリトリルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=1であり、Rb19、Rb20及びRb21がいずれもメチル基である。)である。
【0079】
式(b2−1−1)中、
b19、Rb20及びRb21は、それぞれ独立に、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表す。また、Rb19〜Rb21から選ばれる2つが一緒になって硫黄原子を含む環を形成してもよい。
v2、w2及びx2は、それぞれ独立に0〜5の整数(好ましくは0又は1)を表す。
v2が2以上のとき、複数のRb19は同一又は相異なり、w2が2以上のとき、複数のRb20は同一又は相異なり、x2が2以上のとき、複数のRb21は同一又は相異なる。
【0080】
なかでも、Rb19、Rb20及びRb21は、それぞれ独立に、好ましくは、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基である。
【0081】
式(b2−1−1)で表されるカチオンとしては、具体的には、特開2010−204646号公報に記載されたカチオンが挙げられる。
【0082】
塩(II)は、上述のアニオン及び上述のカチオンの組合せである。これらは任意に組み合わせることができ、中でも、以下で表される塩が好ましい。
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
塩(II)は、例えば、式(II−0−1)で表される塩と式(II−0−2)で表される化合物とを溶剤中で反応させることにより得ることができる。溶剤としては、クロロホルム等が挙げられる。
[式中、X、R及びZは、上記と同じ意味を表す。]
【0088】
式(II−0−1)で表される塩は、例えば、以下で表される塩等が挙げられる。
【0089】
式(II−0−2)で表される化合物は、式(II−0−3)で表される塩と式(II−0−4)で表される化合物とを、溶剤中で反応させることにより得ることができる。
溶媒としては、クロロホルム等が挙げられる。
[式中、Rは、上記と同じ意味を表す。]
式(II−0−3)で表される化合物としては、例えば、以下で表される化合物等が挙げられる。
【0090】
式(IIA)で表される塩は、例えば、式(IIA−1)で表される塩と式(IIA−2)で表される化合物とを溶剤中で反応させることにより得ることができる。溶剤としては、クロロホルム等が挙げられる。
[式中、X、R、R、R及びZは、上記と同じ意味を表す。]
【0091】
式(IIA−1)で表される塩は、式(IIA−3)で表される塩と式(IIA−4)で表される化合物とを溶剤中、酸触媒存在下で反応させることにより製造することができる。溶剤としては、ジメチルホルミアミド等が挙げられる。酸触媒としては、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。
[式中、X、R、R及びZは、上記と同じ意味を表す。]
式(IIA−3)で表される塩は、例えば、以下で表される塩等が挙げられる。

式(IIA−4)で表される化合物としては、トリフルオロピルビン酸エチル等が挙げられる。
【0092】
式(IIA−2)で表される化合物は、式(IIA−5)で表される塩と式(IIA−6)で表される化合物とを、溶剤中で反応させることにより得ることができる。
溶媒としては、クロロホルム等が挙げられる。
[式中、Rは、上記と同じ意味を表す。]
式(IIA−5)で表される化合物としては、例えば、以下で表される化合物等が挙げられる。
【0093】
塩(II)は、単独でも複数種を同時に用いてもよい。
【0094】
〈塩(II)以外の酸発生剤〉
レジスト組成物は、上述した塩(II)以外の酸発生剤(以下「酸発生剤(B)」という場合がある)を含有していてもよい。
酸発生剤(B)は、非イオン系とイオン系とのいずれを用いてもよい。非イオン系酸発生剤としては、有機ハロゲン化物、スルホネートエステル類(例えば2−ニトロベンジルエステル、芳香族スルホネート、オキシムスルホネート、N−スルホニルオキシイミド、N−スルホニルオキシイミド、スルホニルオキシケトン、ジアゾナフトキノン 4−スルホネート)、スルホン類(例えばジスルホン、ケトスルホン、スルホニルジアゾメタン)等が挙げられる。イオン系酸発生剤は、オニウムカチオンを含むオニウム塩(例えばジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩)等が挙げられる。オニウム塩のアニオンとしては、スルホン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、スルホニルメチドアニオン等が挙げられる。
【0095】
酸発生剤(B)としては、例えば特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号、米国特許第3,779,778号、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、欧州特許第126,712号等に記載の放射線によって酸を発生する化合物を使用することができる。
【0096】
酸発生剤(B)は、好ましくはフッ素含有酸発生剤であり、より好ましくは式(B1)で表される塩(以下「塩(B1)」という場合がある)である。
【0097】
[式(B1)中、
b1及びQb2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
b1は、炭素数1〜24の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子又はヒドロキシ基に置き換わっていてもよく、該飽和炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
Yは、水素原子、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子、スルホニル基又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
Z1+は、有機カチオンを表す。]
【0098】
b1及びQb2のペルフルオロアルキル基としては、例えばトリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基等が挙げられる。
b1及びQb2は、それぞれ独立に、好ましくはトリフルオロメチル基又はフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。
【0099】
b1の2価の飽和炭化水素基としては、直鎖状アルカンジイル基、分岐状アルカンジイル基、単環式又は多環式の脂環式飽和炭化水素基が挙げられ、これらの基のうち2種以上を組み合わせたものでもよい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基及びプロパン−2,2−ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基;
ブタン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基等の分岐状アルカンジイル基;
シクロブタン−1,3−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基等のシクロアルカンジイル基である単環式の2価の脂環式飽和炭化水素基;
ノルボルナン−1,4−ジイル基、ノルボルナン−2,5−ジイル基、アダマンタン−1,5−ジイル基、アダマンタン−2,6−ジイル基等の多環式の2価の脂環式飽和炭化水素基等が挙げられる。
【0100】
b1により表される、メチレン基が酸素原子又はカルボニル基に置き換わった飽和炭化水素基としては、例えば、式(b1−1)〜式(b1−7)と同様のものが挙げられる。なお、式(b1−1)〜式(b1−7)は、その左右を式(B1)に合わせて記載しており、それぞれ*で表される2つの結合手のうち、左側でC(Qb1)(Qb2)−と結合し、右側で−Yと結合する。以下の式(b1−1)〜式(b1−7)の具体例も同様である。
【0101】

式(b1−1)〜式(b1−7)中、
b2は、単結合又は炭素数1〜22の2価の飽和炭化水素基を表す。
b3は、単結合又は炭素数1〜19の2価の飽和炭化水素基を表す。
b4は、炭素数1〜20の2価の飽和炭化水素基を表す。但しLb3及びLb4の合計炭素数上限は20である。
b5は、単結合又は炭素数1〜21の2価の飽和炭化水素基を表す。
b6は、炭素数1〜22の2価の飽和炭化水素基を表す。但しLb5及びLb6の合計炭素数の上限は22である。
b7は、単結合又は炭素数1〜22の2価の飽和炭化水素基を表す。
b8は、炭素数1〜23の2価の飽和炭化水素基を表す。但しLb7及びLb8の合計炭素数の上限は23である。
b9は、単結合又は炭素数1〜19の2価の飽和炭化水素基を表す。
b10は、炭素数1〜21の2価の飽和炭化水素基を表す。但しLb9及びLb10の合計炭素数の上限は21である。
b11及びLb12は、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1〜18の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。
b13は、炭素数1〜19の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。但しLb11、Lb12及びLb13の合計炭素数上限は19である。
b14及びLb15は、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1〜20の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。
b16は、炭素数1〜21の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。但しLb14、Lb15及びLb16の合計炭素数上限は21である。
【0102】
中でも、Lb1は、好ましくは式(b1−1)〜式(b1−4)のいずれか、より好ましくは式(b1−1)又は式(b1−2)、さらに好ましくは式(b1−1)で表される2価の基であり、特に好ましくは、Lb2が単結合又は−CH−である式(b1−1)で表される2価の基である。
【0103】
式(b1−1)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0104】
式(b1−2)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0105】
式(b1−3)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0106】
式(b1−4)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0107】
式(b1−5)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0108】
式(b1−6)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0109】
式(b1−7)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0110】
b1の脂肪族飽和炭化水素基に含まれる水素原子が、フッ素原子又はヒドロキシ基で置換された場合の具体例は例えば、以下のものが挙げられる。
【0111】
Yにより表される脂環式炭化水素基としては、例えば、式(Y1)〜式(Y26)で表される基が挙げられる。
【0112】
なかでも、好ましくは式(Y1)〜式(Y19)のいずれかで表される基であり、より好ましくは式(Y11)、式(Y14)、式(Y15)又は式(Y19)で表される基であり、さらに好ましくは式(Y11)又は式(Y14)で表される基である。
【0113】
Yにおけるアルキル基及び脂環式炭化水素基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のヒドロキシ基含有アルキル基、炭素数3〜16の脂環式炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数7〜21のアラルキル基、炭素数2〜4のアシル基、グリシジルオキシ基又は−(CH2j2−O−CO−Rb1基(式中、Rb1は、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数3〜16の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。j2は、0〜4の整数を表す)等が挙げられる。
【0114】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子が挙げられる。
ヒドロキシ基含有アルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基及びドデシルオキシ基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基;トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等のアリール基等が挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基及びナフチルエチル基等が挙げられる。
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。
【0115】
Yとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【0116】
Yは、好ましくは置換基を有していてもよい炭素数3〜18の脂環式炭化水素基であり、より好ましくは置換基(例えば、オキソ基、ヒドロキシ基等)を有していてもよいアダマンチル基であり、さらに好ましくはアダマンチル基、ヒドロキシアダマンチル基又はオキソアダマンチル基である。
【0117】
塩(B1)におけるスルホン酸アニオンとしては、好ましくは、式(b1−1−1)〜式(b1−1−9)で表されるアニオンが挙げられる。以下の式においては、符号の定義は上記と同じ意味であり、Rb2及びRb3は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基(好ましくは、メチル基)を表す。
塩(B1)におけるスルホン酸アニオンとしては、具体的には、特開2010−204646号公報に記載されたアニオンが挙げられる。
【0118】
【0119】
塩(B1)に含まれる有機カチオン(Z1+)は、有機オニウムカチオン、例えば、有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、有機アンモニウムカチオン、ベンゾチアゾリウムカチオン、有機ホスホニウムカチオン等が挙げられ、好ましくは、有機スルホニウムカチオン又は有機ヨードニウムカチオンであり、より好ましくは、アリールスルホニウムカチオンであり、さらに好ましくは、上述した式(b2−1)〜式(b2−4)のいずれかで表されるカチオンと同様のものである。
【0120】
塩(B1)としては、例えば、式(B1−1)〜式(B1−20)でそれぞれ表される塩が挙げられる。中でもアリールスルホニウムカチオンを含むものが好ましく、式(B1−1)、式(B1−2)、式(B1−3)、式(B1−6)、式(B1−7)、式(B1−11)、式(B1−12)、式(B1−13)、式(B1−14)、式(B1−18)、式(B1−19)又は式(B1−20)のいずれかで表される塩がさらに好ましい。
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
レジスト組成物において、酸発生剤として塩(II)のみを含有する場合、塩(II)の含有量は、樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上(より好ましくは3質量部以上)、好ましくは30質量部以下(より好ましくは25質量部以下)である。
レジスト組成物が、塩(II)と酸発生剤(B)とを含有する場合、塩(II)と酸発生剤(B)との合計量は、樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上(より好ましくは3質量部以上)、好ましくは40質量部以下(より好ましくは35質量部以下)である。
また、塩(II)と酸発生剤(B)との含有量の比(質量比)は、例えば、5:95〜95:5、好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは15:85〜85:15である。
【0126】
〈溶剤(E)〉
溶剤(E)の含有率は、例えばレジスト組成物中90質量%以上、好ましくは92質量%以上、より好ましくは94質量%以上であり、例えば99.9質量%以下、好ましくは99質量%以下である。溶剤(E)の含有率は、例えば液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー等の公知の分析手段で測定できる。
【0127】
溶剤(E)としては、例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル類;乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチルのようなエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンのようなケトン類;γ−ブチロラクトンのような環状エステル類;等を挙げることができる。溶剤は、1種を単独で含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
【0128】
〈塩基性化合物(C)〉
塩基性化合物(C)は、好ましくは塩基性の含窒素有機化合物であり、例えばアミン及びアンモニウム塩が挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン及び芳香族アミンが挙げられる。脂肪族アミンとしては、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンが挙げられる。塩基性化合物(C)として、好ましくは、式(C1)〜式(C8)及び式(C1−1)のいずれかで表される化合物が挙げられ、より好ましくは式(C1−1)で表される化合物が挙げられる。
【0129】
[式(C1)中、Rc1、Rc2及びRc3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、該アルキル基及び該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、アミノ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよく、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基で置換されていてもよい。]
【0130】
[式(C1−1)中、Rc2及びRc3は、上記と同じ意味を表す。
c4は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。
m3は0〜3の整数を表し、m3が2以上のとき、複数のRc4は同一又は相異なる。]
【0131】
[式(C2)、式(C3)及び式(C4)中、Rc5、Rc6、Rc7及びRc8は、それぞれ独立に、Rc1と同じ意味を表す。
c9は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基又は炭素数2〜6のアルカノイル基を表す。
n3は0〜8の整数を表し、n3が2以上のとき、複数のRc9は同一又は相異なる。]
【0132】
[式(C5)及び式(C6)中、Rc10、Rc11、Rc12、Rc13及びRc16は、それぞれ独立に、Rc1と同じ意味を表す。
c14、Rc15及びRc17は、それぞれ独立に、Rc4と同じ意味を表す。
o3及びp3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、o3が2以上であるとき、複数のRc14は同一又は相異なり、p3が2以上であるとき、複数のRc15は、同一又は相異なる。
c1は、炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0133】
[式(C7)及び式(C8)中、Rc18、Rc19及びRc20は、それぞれ独立に、Rc4と同じ意味を表す。
q3、r3及びs3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、q3が2以上であるとき、複数のRc18は同一又は相異なり、r3が2以上であるとき、複数のRc19は同一又は相異なり、及びs3が2以上であるとき、複数のRc20は同一又は相異なる。
c2は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0134】
式(C1)〜式(C8)及び式(C1−1)においては、アルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、アルコキシ基、アルカンジイル基は、上述したものと同様のものが挙げられる。
アルカノイル基としては、アセチル基、2−メチルアセチル基、2,2−ジメチルアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロピオニル基等が挙げられる。
【0135】
式(C1)で表される化合物としては、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、アニリン、ジイソプロピルアニリン、2−,3−又は4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン等が挙げられ、好ましくはジイソプロピルアニリンが挙げられ、特に好ましくは2,6−ジイソプロピルアニリンが挙げられる。
【0136】
式(C2)で表される化合物としては、ピペラジン等が挙げられる。
式(C3)で表される化合物としては、モルホリン等が挙げられる。
式(C4)で表される化合物としては、ピペリジン及び特開平11−52575号公報に記載されているピペリジン骨格を有するヒンダードアミン化合物等が挙げられる。
式(C5)で表される化合物としては、2,2’−メチレンビスアニリン等が挙げられる。
式(C6)で表される化合物としては、イミダゾール、4−メチルイミダゾール等が挙げられる。
式(C7)で表される化合物としては、ピリジン、4−メチルピリジン等が挙げられる。
式(C8)で表される化合物としては、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(2−ピリジル)エテン、1,2−ジ(4−ピリジル)エテン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ジ(4−ピリジルオキシ)エタン、ジ(2−ピリジル)ケトン、4,4’−ジピリジルスルフィド、4,4’−ジピリジルジスルフィド、2,2’−ジピリジルアミン、2,2’−ジピコリルアミン、ビピリジン等が挙げられる。
【0137】
アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムサリチラート及びコリン等が挙げられる。
【0138】
塩基性化合物(C)の含有率は、レジスト組成物の固形分中、好ましくは、0.01〜5質量%程度であり、より好ましく0.01〜3質量%程度であり、特に好ましく0.01〜1質量%程度である。
【0139】
〈その他の成分(以下「その他の成分(F)」という場合がある)〉
レジスト組成物は、必要に応じて、その他の成分(F)を含有していてもよい。その他の成分(F)に特に限定はなく、レジスト分野で公知の添加剤、例えば、増感剤、溶解抑止剤、界面活性剤、安定剤、染料等を利用できる。
【0140】
<レジスト組成物の調製>
レジスト組成物は、樹脂(A)及び塩(II)、並びに、必要に応じて用いられる溶剤(E)、酸発生剤(B)、塩基性化合物(C)及びその他の成分(F)を混合することにより調製することができる。混合順は任意であり、特に限定されるものではない。混合する際の温度は、10〜40℃の範囲から、樹脂等の種類や樹脂等の溶剤(E)に対する溶解度等に応じて適切な温度範囲を選ぶことができる。混合時間は、混合温度に応じて、0.5〜24時間の中から適切な時間を選ぶことができる。なお、混合手段も特に制限はなく、攪拌混合等を用いることができる。
各成分を混合した後は、孔径0.003〜0.2μm程度のフィルターを用いてろ過することが好ましい。
【0141】
〈用途〉
本発明のレジストパターンの製造方法は、KrFエキシマレーザ露光、ArFエキシマレーザ露光、電子線(EB)露光又はEUV露光によるレジストパターンの製造方法、また、液浸露光によるレジストパターンの製造方法、特に液浸ArFエキシマレーザ露光用のレジストパターンの製造方法として好適であり、半導体の微細加工に有用である。
【実施例】
【0142】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。
実施例及び比較例中、含有量及び使用量を表す「%」及び「部」は、特記ないかぎり質量基準である。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより下記の条件で求めた値である。
装置:HLC−8120GPC型(東ソー社製)
カラム:TSKgel Multipore HXL-M x 3 + guardcolumn(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μl
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー社製)
【0143】
合成例1:[式(II−1)で表される塩の合成]
式(II1−a)で表される塩を、特開2008−7409号公報に記載された方法で合成した。式(II1−a)で表される塩10部、ジメチルホルミアミド50部、式(II1−b)で表される化合物4.18部及びp−トルエンスルホン酸0.7部を仕込み、100℃で2時間攪拌した。得られた反応液に、クロロホルム及びイオン交換水を仕込み、30分間攪拌し、分液した。この水洗操作を3回繰り返した。回収された有機層を濃縮し、濃縮物をカラム(メルク シリカゲル60−200メッシュ 展開溶媒:クロロホルム/メタノール=5/1)分取することにより、式(II1−c)で表される塩2.43部を得た。
【0144】
式(II1−d)で表される化合物0.63部及びクロロホルム10部を仕込み、23℃で30分間攪拌した。得られた混合物に、式(II1−e)で表される化合物0.55部を仕込み、60℃で1時間攪拌した。得られた反応物を23℃まで冷却し、ろ過することにより、式(II1−f)で表される化合物を含む溶液を得た。式(II1−f)で表される化合物を含む溶液に、式(II1−c)で表される塩2.10部を仕込み、60℃で6時間攪拌した。得られた反応物に、クロロホルム及びイオン交換水を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を5回行った。得られた有機層を濃縮し、得られた濃縮物をアセトニトリル20部に溶解し、濃縮した。得られた濃縮物に、tert−ブチルメチルエーテル30部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をアセトニトリルに溶解し、濃縮することにより、式(II−1)で表される塩1.69部を得た。
【0145】
MS(ESI(+)Spectrum):M 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 573.1
【0146】
合成例2:式(B1−5)で表される塩の合成
式(B1−5−a)で表される塩50.49部及びクロロホルム252.44部を反応器に仕込み、23℃で30分間攪拌した。得られた混合物に、式(B1−5−b)で表される化合物16.27部を滴下し、23℃で1時間攪拌することにより、式(B1−5−c)で表される塩を含む溶液を得た。得られた式(B1−5−c)で表される塩を含む溶液に、式(B1−5−d)で表される塩48.8部及びイオン交換水84.15部を添加し、23℃で12時間攪拌した。得られた反応液のクロロホルム層を分液して取り出し、更に、該クロロホルム層にイオン交換水84.15部を添加し、水洗した。この操作を5回繰り返した。得られたクロロホルム層に、活性炭3.88部を添加し、攪拌した後、ろ過した。回収されたろ液を濃縮し、得られた残渣に、アセトニトリル125.87部を添加攪拌後、濃縮した。得られた残渣に、アセトニトリル20.62部及びtert−ブチルメチルエーテル309.3部を加えて23℃で30分間攪拌した。得られた混合物から、上澄み液を除去し、濃縮した。得られた残渣に、n−ヘプタン200部を添加し、23℃で30分間攪拌した。攪拌後、得られた混合物をろ過し、式(B1−5)で表される塩61.54部を得た。
MASS(ESI(+)Spectrum):M 375.2
MASS(ESI(−)Spectrum):M 339.1
【0147】
樹脂の合成
樹脂の合成に使用したモノマーを下記に示す。以下、これらのモノマーをその式番号に応じて、「モノマー(a1−1−3)」等という。
【0148】
以下、これらのモノマーをその式番号に応じて、「モノマー(a1−1−3)」等という。
【0149】
合成例1〔樹脂A1の合成〕
モノマーとして、モノマー(a1−1−3)、モノマー(a1−2−9)、モノマー(a2−1−3)、モノマー(a3−2−3)及びモノマー(a3−1−1)を用い、そのモル比〔モノマー(a1−1−3):モノマー(a1−2−9):モノマー(a2−1−3):モノマー(a3−2−1)):モノマー(a3−1−1)〕が、45:14:2.5:22:16.5となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.95mol%及び2.85mol%添加し、これらを73℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させて得られる溶解液をメタノール溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.9×10の樹脂A1を収率73%で得た。この樹脂A1は、以下の構造単位を有するものである。
【0150】
合成例2〔樹脂A2の合成〕
モノマーとして、モノマー(a1−1−3)、モノマー(a1−5−1)、モノマー(a2−1−3)、モノマー(a3−2−3)及びモノマー(a3−1−1)を用い、そのモル比〔モノマー(a1−1−3):モノマー(a1−5−1):モノマー(a2−1−3):モノマー(a3−2−1)):モノマー(a3−1−1)〕が、45:14:2.5:22:16.5となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.95mol%及び2.85mol%添加し、これらを73℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させて得られる溶解液をメタノール溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.6×10の樹脂A2を収率68%で得た。この樹脂A2は、以下の構造単位を有するものである。
【0151】
合成例3〔樹脂A3の合成〕
モノマーとして、モノマー(a1−z)、モノマー(a2−1−1)、モノマー(a3−2−1)及びモノマー(a5−z)を用い、そのモル比〔モノマー(a1−z):モノマー(a2−1−1):モノマー(a3−2−1):モノマー(a5−z)〕が、30:20:40:10となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させて得られる溶解液をメタノール溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量8.4×10の樹脂A3を収率62%で得た。この樹脂A3は、以下の構造単位を有するものである。
【0152】
合成例4〔樹脂H1の合成〕
モノマーとして、モノマー(a4−z)を用い、全モノマー量の4.0質量倍のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて溶液とした。当該溶液に、開始剤としてV−601(和光純薬製)を全モノマー量に対して、8mol%添加し、これらを80℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。かくして得られた樹脂を再び、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.6×10の樹脂H1を収率70%で得た。この樹脂H1は、以下の構造単位を有するものである。
【0153】
実施例1〜6、比較例1
<レジスト組成物の調製>
表1に示すように、各成分を混合して溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト組成物を調製した。
【0154】
【表1】
【0155】
<酸発生剤>
II−1
II−2:セントラル硝子社製
B1−3:特開2010−152341号公報の実施例に従って合成
B1−5:
Z1:(和光純薬工業(株)製)
【0156】
<樹脂>
A1:樹脂A1
A2:樹脂A2
A3:樹脂A3
H1:樹脂H1
【0157】
<塩基性化合物:クエンチャー>
C1:2,6−ジイソプロピルアニリン(東京化成工業(株)製)
<溶剤>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 265部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20部
2−ヘプタノン 20部
γ−ブチロラクトン 3.5部
【0158】
実施例1〜6及び比較例1
<ネガ型レジストパターンの製造>
12インチのシリコンウェハ上に、有機反射防止膜用組成物[ARC−29;日産化学(株)製]を塗布して、205℃、60秒の条件でベークすることによって、厚さ780Åの有機反射防止膜を形成した。次いで、前記の有機反射防止膜の上に、上記のレジスト組成物を乾燥(プリベーク)後の組成物層の膜厚が85nmとなるようにスピンコートした。塗布後、ダイレクトホットプレート上にて、表1の「PB」欄に記載された温度で60秒間プリベークして、シリコンウェハ上に組成物層を形成した。シリコンウェハ上に形成された組成物層に、液浸露光用ArFエキシマレーザステッパー[XT:1900Gi;ASML社製、NA=1.35、C−quad20照明]で、トレンチパターン(ピッチ120nm/トレンチ幅50nm)を形成するためのマスクを用いて、露光量を段階的に変化させて露光した。なお、液浸媒体としては超純水を使用した。露光後、ホットプレート上にて、表1の「PEB」欄に記載された温度で60秒間ポストエキスポジャーベークを行った。次いで、このシリコンウェハ上の組成物層を、現像液として酢酸ブチル(東京化成工業(株)製)を用いて、23℃で20秒間ダイナミックディスペンス法によって現像を行うことにより、ネガ型レジストパターンを製造した。
【0159】
得られたレジストパターンにおいて、トレンチパターンの幅が50nmとなる露光量を実効感度とした。
【0160】
<フォーカスマージン評価(DOF)>
実効感度において、フォーカスを段階的に変化させて露光する以外は上記と同様の操作を行ってネガ型レジストパターンを製造した。得られたレジストパターンにおいて、トレンチパターンの幅が50nm±5%(47.5〜52.5nm)となるフォーカス範囲をDOFとした。結果を表2に示す。
【0161】
【表2】
【0162】
実施例7〜12及び比較例2
現像液を、2−ヘプタノン(協和醗酵(株)製)に代える以外は、上記と同様の操作を行ってネガ型レジストパターンを製造し、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0163】
【表3】
【0164】
上記の結果から、本発明のレジストパターンの製造方法によれば、広いフォーカスマージンでネガ型のレジストパターンを製造できることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明の製造方法は、優れたDOFでレジストパターンを得ることができる。