(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記乳酸の炭素数1〜5の低級アルキルエステルと接触処理し、さらに、水若しくは沸点50〜105℃を有する水溶性有機溶剤と接触処理する請求項1〜3のいずれかに記載の液晶配向膜の製造方法。
前記沸点50〜105℃を有する水溶性有機溶剤が、メタノール、エタノール、2−プロパノール、及びアセトンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項4に記載の液晶配向膜の製造方法。
前記式(1)で表される構造単位を、全重合体1モルに対して、60モル%以上含有するポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体のイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の液晶配向膜の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<特定構造のポリイミド前駆体及びそのイミド化重合体>
本発明におけるポリイミド前駆体及びそのイミド化重合体は、下記式(1)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体及びそのイミド化重合体である。
【化3】
式(1)において、X
1は下記式(X1−1)及び(X1−2)で表される構造からなる群から選ばれる少なくとも1種類であり、R
1は、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基である。
【化4】
式(1)において、R
1は、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基である。加熱によるイミド化のしやすさの観点から、水素原子、又はメチル基が特に好ましい。
【0011】
上記ポリイミド前駆体及びそのイミド化重合体は、上記式(1)で表される構造単位以外に下記式(2)で表される構造単位を含有してもよい。
【化5】
式(2)において、R
1は上記式(1)のR
1と同様の定義である。
X
2は4価の有機基であり、その構造は特に限定されない。具体的例を挙げるならば、上記式(XA−1)、(XA−2)、下記式(X−1)〜(X−42)等の構造が挙げられる。
化合物の入手性の観点から、Xの構造は、XA−1、XA−2、X−1〜X−9、X−17、X−25、X−26,X−27、X−28、X−32、X−39等が挙げられる。
また、直流電圧により蓄積した残留電荷の緩和が早い液晶配向膜を得られるという観点から、芳香族環構造を有するテトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましく、Xの構造としては、X−26,X−27、X−28、X−32、X−35、X−37等がより好ましい。
【0017】
上記式(2)において、Y
2は2価の有機基であり、その構造は特に限定されない。Y
2の具体例を挙げるならば、下記式(Y−1)〜(Y−85)の構造が挙げられる。
【化11】
【0026】
液晶配向性の向上が期待できるため、Y
2の構造としては、直線性の高い構造が好ましい。具体的な例としては、Y−74、Y−75、Y−76、Y−77、Y−78がより好ましい。
また、ポリイミド前駆体及びポリイミドの有機溶媒に対する溶解性の向上が期待できるため、Y
2の構造としては、Y−8、Y−20、Y−21、Y−22、Y−28、Y−29、Y−30、Y−71,Y−72、Y−73、Y−85がより好ましい。
本発明に記載のポリイミド前駆体及びそのイミド化重合体において、上記式(1)で表される構造単位の比率が低い場合、液晶配向膜の液晶配向性を低下するため、上記式(1)で表される構造単位の比率は、全構造単位1モルに対して100〜60モル%が好ましく、100〜80モル%がさらに好ましい。
【0027】
<ポリアミック酸エステルの製造方法>
本発明に用いられるポリイミド前駆体であるポリアミック酸エステルは、以下に示す(1)〜(3)の方法で合成することができる。
(1)ポリアミック酸から合成する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンから得られるポリアミック酸をエステル化することによって合成することができる。
具体的には、ポリアミック酸とエステル化剤を有機溶媒の存在下で−20〜150℃、好ましくは0〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜4時間反応させることによって合成することができる。
【0028】
エステル化剤としては、精製によって容易に除去できるものが好ましく、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジプロピルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジネオペンチルブチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジ−t−ブチルアセタール、1−メチル−3−p−トリルトリアゼン、1−エチル−3−p−トリルトリアゼン、1−プロピル−3−p−トリルトリアゼン、4−(4,6−ジメトキシー1,3,5−トリアジンー2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリドなどが挙げられる。エステル化剤の添加量は、ポリアミック酸の繰り返し単位1モルに対して、2〜6モル当量が好ましく、2〜4モル当量がより好ましい。
上記の反応に用いる有機溶媒は、重合体の溶解性からN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンなどが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
合成時における有機溶媒中の重合体の濃度は、重合体の析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという観点から、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
【0029】
(2)テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンとの反応により合成する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンから合成することができる。
具体的には、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンとを、塩基と有機溶媒の存在下で−20〜150℃、好ましくは0〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜4時間反応させることによって合成することができる。
【0030】
前記塩基には、ピリジン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンなどが使用できるが、反応が穏和に進行するためにピリジンが好ましい。塩基の添加量は、除去が容易な量で、かつ高分子量体が得やすいという観点から、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドに対して、2〜4倍モルであることが好ましく、2〜3倍モルがより好ましい。
上記の反応に用いる有機溶媒は、モノマーおよび重合体の溶解性からN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンなどが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
合成時における有機溶媒中の重合体濃度は、重合体の析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという観点から、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。また、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドの加水分解を防ぐため、ポリアミック酸エステルの合成に用いる有機溶媒は、できるだけ脱水されていることが好ましく、反応は窒素雰囲気中で行い、外気の混入を防ぐのが好ましい。
【0031】
(3)テトラカルボン酸ジエステルとジアミンからポリアミック酸を合成する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンを重縮合することにより合成することができる。
具体的には、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンを縮合剤、塩基、及び有機溶媒の存在下で0〜150℃、好ましくは0〜100℃において、30分〜24時間、好ましくは3〜15時間反応させることによって合成することができる。
【0032】
前記縮合剤には、トリフェニルホスファイト、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメトキシ−1,3,5−トリアジニルメチルモルホリニウム、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、(2,3−ジヒドロ−2−チオキソ−3−ベンゾオキサゾリル)ホスホン酸ジフェニルなどが使用できる。縮合剤の添加量は、テトラカルボン酸ジエステルに対して2〜3倍モルであることが好ましく、2〜2.5倍モルがより好ましい。
【0033】
前記塩基には、ピリジン、トリエチルアミンなどの3級アミンが使用できる。塩基の添加量は、除去が容易な量で、かつ高分子量体が得やすいという観点から、ジアミン成分に対して2〜4倍モルが好ましく、2〜3倍モルがより好ましい。
前記有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
また、上記反応において、ルイス酸を添加剤として加えることで反応が効率的に進行する。ルイス酸としては、塩化リチウム、臭化リチウムなどのハロゲン化リチウムが好ましい。ルイス酸の添加量はジアミン成分に対して0〜1.0倍モルが好ましく、2.0〜3.0倍モルがより好ましい。
【0034】
上記3つのポリアミック酸エステルの合成方法の中でも、高分子量のポリアミック酸エステルが得られるため、上記(1)又は上記(2)の合成法が特に好ましい。
上記のようにして得られるポリアミック酸エステルの溶液は、よく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、重合体を析出させることができる。析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥して精製されたポリアミック酸エステルの粉末を得ることができる。
貧溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ヘキサン、ブチルセロソルブ、アセトン、トルエン等が挙げられ、水、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどが好ましい。
【0035】
<ポリアミック酸の製造方法>
本発明に用いられるポリイミド前駆体であるポリアミック酸は、以下に示す方法により合成することができる。
具体的には、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを有機溶媒の存在下で−20〜150℃、好ましくは0〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜12時間反応させることによって合成できる。
上記の反応に用いる有機溶媒は、モノマーおよび重合体の溶解性からN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンなどが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0036】
重合体の濃度は、重合体の析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという観点から、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
上記のようにして得られたポリアミック酸は、反応溶液をよく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、重合体を析出させて回収することができる。また、析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥することで精製されたポリアミック酸の粉末を得ることができる。貧溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ヘキサン、ブチルセロソルブ、アセトン、トルエン等が挙げられ、水、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどが好ましい。
【0037】
<ポリイミドの製造方法>
本発明に用いられるポリイミドは、前記ポリアミック酸エステル又はポリアミック酸をイミド化することにより製造することができる。
ポリアミック酸エステルからポリイミドを製造する場合、前記ポリアミック酸エステル溶液、又はポリアミック酸エステル樹脂粉末を有機溶媒に溶解させて得られるポリアミック酸溶液に塩基性触媒を添加する化学的イミド化が簡便である。化学的イミド化は、比較的低温でイミド化反応が進行し、イミド化の過程で重合体の分子量低下が起こりにくいので好ましい。
【0038】
化学的イミド化は、イミド化させたいポリアミック酸エステルを、有機溶媒中において塩基性触媒存在下で撹拌することにより行うことができる。有機溶媒としては前述した重合反応時に用いる溶媒を使用することができる。塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン等を挙げることができる。中でもトリエチルアミンは反応を進行させるのに充分な塩基性を持つので好ましい。
【0039】
イミド化反応を行うときの温度は、−20〜140℃、好ましくは0〜100℃であり、反応時間は1〜100時間で行うことができる。
塩基性触媒の量はアミック酸エステル基の0.5〜30倍モル、好ましくは2〜20倍モルである。
得られる重合体のイミド化率は、触媒量、温度、反応時間を調節することで制御することができる。
ポリアミック酸からポリイミドを製造する場合、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応で得られた前記ポリアミック酸の溶液に触媒を添加する化学的イミド化が簡便である。化学的イミド化は、比較的低温でイミド化反応が進行し、イミド化の課程で重合体の分子量低下が起こりにくいので好ましい。
【0040】
化学的イミド化は、イミド化させたい重合体を、有機溶媒中において塩基性触媒と酸無水物の存在下で攪拌することにより行うことができる。有機溶媒としては前述した重合反応時に用いる溶媒を使用することができる。塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン等を挙げることができる。中でもピリジンは反応を進行させるのに適度な塩基性を持つので好ましい。また、酸無水物としては無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等を挙げることができ、中でも無水酢酸を用いると反応終了後の精製が容易となるので好ましい。
【0041】
イミド化反応を行うときの温度は、−20〜140℃、好ましくは0〜100℃であり、反応時間は1〜100時間で行うことができる。
塩基性触媒の量はポリアミック酸基の0.5〜30倍モル、好ましくは2〜20倍モルであり、酸無水物の量はポリアミック酸基の1〜50倍モル、好ましくは3〜30倍モルである。
得られる重合体のイミド化率は、触媒量、温度、反応時間を調節することで制御することができる。
【0042】
ポリアミック酸エステル又はポリアミック酸のイミド化反応後の溶液には、添加した触媒等が残存しているので、以下に述べる手段により、得られたイミド化重合体を回収し、有機溶媒で再溶解して、本発明の液晶配向剤とすることが好ましい。
上記のようにして得られるポリイミドの溶液は、よく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、重合体を析出させることができる。析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥して精製された重合体の粉末を得ることができる。
前記貧溶媒は、特に限定されないが、メタノール、2−プロパノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられ、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトンなどが好ましい。
【0043】
<液晶配向剤>
本発明に用いられる液晶配向剤は、重合体成分が有機溶媒中に溶解された溶液の形態を有する。重合体の分子量は、重量平均分子量で2,000〜500,000が好ましく、より好ましくは5,000〜300,000であり、さらに好ましくは、10,000〜100,000である。また、数平均分子量は、好ましくは、1,000〜250,000であり、より好ましくは、2,500〜150,000であり、さらに好ましくは、5,000〜50,000である。
【0044】
本発明に用いられる液晶配向剤の重合体の濃度は、形成させようとする塗膜の厚みの設定によって適宜変更することができるが、均一で欠陥のない塗膜を形成させるという点から1質量%以上であることが好ましく、溶液の保存安定性の点からは10質量%以下とすることが好ましい。特に好ましい重合体の濃度は、2〜8質量%である。
本発明に用いられる液晶配向剤に含有される有機溶媒は、重合体成分が均一に溶解するものであれば特に限定されない。その具体例を挙げるならば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。また、単独では重合体成分を均一に溶解できない溶媒であっても、重合体が析出しない範囲であれば、上記の有機溶媒に混合してもよい。
【0045】
本発明に用いられる液晶配向剤は、重合体成分を溶解させるための有機溶媒の他に、液晶配向剤を基板へ塗布する際の塗膜均一性を向上させるための溶媒を含有してもよい。かかる溶媒は、一般的に上記有機溶媒よりも低表面張力の溶媒が用いられる。その具体例としては、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ブチルセロソルブアセテート、ジプロピレングリコール、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステル等が挙げられる。これらの溶媒は2種上を併用してもよい。
【0046】
本発明の液晶配向剤には、上記の他、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、重合体以外の重合体、液晶配向膜の誘電率や導電性などの電気特性を変化させる目的の誘電体若しくは導電物質、液晶配向膜と基板との密着性を向上させる目的のシランカップリング剤、液晶配向膜にした際の膜の硬度や緻密度を高める目的の架橋性化合物、さらには塗膜を焼成する際にポリアミック酸のイミド化を効率よく進行させる目的のイミド化促進剤等を添加しても良い。
【0047】
<液晶配向膜の製造方法>
本発明の液晶配向膜の製造方法は、液晶配向剤を基板に塗布し、焼成する工程、得られた膜に偏光された放射線を照射する工程、放射線を照射した膜を乳酸の炭素数1〜5の低級アルキルエステルで接触処理し、好ましくは、次いで、水若しくは沸点50〜105℃を有する水溶性有機溶剤と接触処理する工程を有する。
【0048】
(1)液晶配向剤を基板に塗布し、焼成する工程
上記のようにして得られた液晶配向剤を基板に塗布し、乾燥し、焼成することによりポリイミド膜、又はポリイミド前駆体がイミド化した膜が得られる。
本発明に用いられる液晶配向剤を塗布する基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、窒化珪素基板、アクリル基板やポリカーボネート基板等のプラスチック基板等を用いることができ、液晶駆動のためのITO(Indium Tin Oxide)電極等が形成された基板を用いることがプロセスの簡素化の点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならばシリコンウエハー等の不透明な物でも使用でき、この場合の電極はアルミ等の光を反射する材料も使用できる。
本発明に用いられる液晶配向剤の塗布方法としては、スピンコート法、印刷法、インクジェット法などが挙げられる。
【0049】
液晶配向剤を塗布した後の乾燥、焼成工程は、任意の温度と時間を選択することができる。通常は、含有される有機溶媒を十分に除去するために、50〜120℃、好ましくは60〜100℃で1〜10分乾燥させ、その後150〜300℃、好ましくは200〜250で5〜120分焼成される。焼成後の塗膜の厚みは、特に限定されないが、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、5〜300nm、好ましくは10〜200nmである。
【0050】
(2)得られた膜に偏光された放射線を照射する工程
上記(1)の方法で得られた膜に、偏光された放射線を照射する(以下、光配向処理とも言う。)ことにより、偏光方向に対して垂直方向に異方性が付与される。
光配向処理の具体例としては、前記塗膜表面に、一定方向に偏光した放射線を照射し、液晶配向能を付与する方法が挙げられる。放射線の波長としては、100〜800nmの波長を有する紫外線又は可視光線を用いることができる。このうち、100〜400nmの波長を有する紫外線が好ましく、200〜400nmの波長を有する紫外線が特に好ましい。前記放射線の照射量は、1〜10,000mJ/cm
2の範囲にあることが好ましく、100〜5,000mJ/cm
2の範囲にあることが特に好ましい。膜に偏光された放射線を照射する温度は、好ましくは10〜100℃で行われ、20〜50℃がより好ましい。
【0051】
(3)乳酸エステルで接触処理する工程
上記(2)の工程で偏光された放射線を照射した膜は、次いで、乳酸の炭素数1〜5の低級アルキルエステルで接触処理し、好ましくは、次いで、水若しくは沸点50〜105℃を有する水溶性有機溶剤と接触処理される。
【0052】
接触処理に使用する乳酸の炭素数1〜5の低級アルキルエステルとしては、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチルなどが挙げられるが、特に、炭素数1〜3のアルキルエステル、なかでも、乳酸エチルが好ましい。乳酸アルキルエステルは、それ単独でもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で、乳酸アルキルエステル以外の他の溶媒又は溶剤を含んでもよい。これらの他の溶媒としては、特に限定されるものではないが、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、1−メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。特に、汎用性及び安全性の観点から水がより好ましい。
上記の他の溶媒を含有する場合、乳酸アルキルエステルの含有量は、接触処理に使用される溶液の全量に対して、50〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%が特に好ましい。
【0053】
本発明において、偏光された放射線を照射した膜と乳酸アルキルエステルとの接触処理は、浸漬処理、噴霧(スプレー)処理などの、膜と液とが十分に接触するような処理が好ましい。なかでも、乳酸アルキルエステル中に膜を、好ましくは10秒〜1時間、より好ましくは1〜30分浸漬処理する方法が好ましい。接触処理は常温でも加温してもよいが、好ましくは10〜80℃、より好ましくは20〜50℃で実施される。また、必要に応じて超音波などの接触を高める手段を施すことができる。
本発明では、上記乳酸アルキルエステルとの接触処理の後に、水若しくは沸点50〜105℃、好ましくは50〜80℃を有する水溶性有機溶剤と接触処理することが好ましい。かかる沸点50〜105℃を有する水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトンなどが好ましい。
上記乳酸アルキルエステルとの接触処理、次いで行われる水若しくは沸点50〜105℃を有する水溶性有機溶剤との接触処理は、連続的に行ってもよいし、又は時間をおいて行ってもよい。後者の場合には、過度の時間を置き過ぎると好ましくはないので、連続的に行うのが好ましい。
上記の乳酸アルキルエステルとの接触処理、好ましくは、次いで行われる水若しくは沸点50〜105℃を有する水溶性有機溶剤との接触処理の後は、好ましくは乾燥処理を行うのが好ましい。乾燥処理の温度としては、80〜250℃が好ましく、80〜150℃がより好ましく、乾燥時間は好ましくは10秒〜30分、より好ましくは30秒〜10分である。
【0054】
<液晶表示素子>
本発明の液晶表示素子は、本発明の製造方法によって得られ液晶配向剤から得られる液晶配向膜付きの基板を得た後、既知の方法で液晶セルを作製し、該液晶セルを使用して液晶表示素子としたものである。
液晶セルの作製方法の一例として、パッシブマトリクス構造の液晶表示素子を例にとり説明する。尚、画像表示を構成する各画素部分にTFT(Thin Film Transistor)などのスイッチング素子が設けられたアクティブマトリクス構造の液晶表示素子であってもよい。
【0055】
まず、透明なガラス製の基板を準備し、一方の基板の上にコモン(Common)電極を、他方の基板の上にセグメント(Segment)電極を設ける。これらの電極は、例えばITO電極とすることができ、所望の画像表示ができるようパターニングされる。次いで、各基板の上に、コモン電極とセグメント電極を被覆するようにして絶縁膜を設ける。絶縁膜は、例えば、ゾル−ゲル法によって形成されたSiO
2−TiO
2からなる膜とすることができる。
次に、各基板の上に、本発明の液晶配向膜を形成する。
次に、一方の基板に他方の基板を互いの配向膜面が対向するようにして重ね合わせ、周辺をシール材で接着する。シール材には、基板間隙を制御するために、通常、スペーサを混入しておく。また、シール材を設けない面内部分にも、基板間隙制御用のスペーサを散布しておくことが好ましい。シール材の一部には、外部から液晶を充填可能な開口部を設けておく。
【0056】
次に、シール材に設けた開口部を通じて、2枚の基板とシール材で包囲された空間内に液晶材料を注入する。その後、この開口部を接着剤で封止する。注入には、真空注入法を用いてもよいし、大気中で毛細管現象を利用した方法を用いてもよい。次に、偏光板の設置を行う。具体的には、2枚の基板の液晶層とは反対側の面に一対の偏光板を貼り付ける。以上の工程を経ることにより、本発明の液晶表示素子が得られる。
この液晶表示素子は、液晶配向膜として本発明の液晶配向膜の製造方法により得られた液晶配向膜を使用していることから、残像特性に優れたものとなり、大画面で高精細の液晶テレビなどに好適に利用可能である。
【実施例】
【0057】
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例及び比較例で使用した化合物の略号、及び各特性の測定方法は、以下のとおりである。
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
GBL:γ−ブチロラクトン
BCS:ブチルセロソルブ
IPA:2−プロパノール
DE−1:下記式(DE−1)
DA−1:下記式(DA−1)
DA−2:下記式(DA−2)
(Boc基はt−ブトキシカルボニル基を表す。)
添加剤A:N−α―(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−N−τ−t−ブトキシカルボニル−L−ヒスチジン
【化20】
【0058】
以下に、粘度、分子量、イミド化率、液晶セル作製、及び長期交流駆動による残像評価の方法を示す。
[粘度]
合成例において、ポリアミック酸エステル及びポリアミック酸溶液の粘度は、E型粘度計TVE−22H(東機産業社製)を用い、サンプル量1.1mL、コーンロータTE−1(1°34’、R24)、温度25℃で測定した。
[分子量]
ポリアミック酸エステルの分子量はGPC(常温ゲル浸透クロマトグラフィー)装置によって測定し、ポリエチレングリコール、及びポリエチレンオキシド換算値として数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)を算出した。
GPC装置:Shodex社製(GPC−101)
カラム:Shodex社製(KD803、KD805の直列)
カラム温度:50℃
溶離液:N,N−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H
2O)が30mmol/L(リットル)、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(重量平均分子量(Mw) 約900,000、150,000、100,000、30,000)、及び、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(ピークトップ分子量(Mp) 約12,000、4,000、1,000)。測定は、ピークが重なるのを避けるため、900,000、100,000、12,000、1,000の4種類を混合したサンプル、および150,000、30,000、4,000の3種類を混合したサンプルの2サンプルについて別々に行った。
【0059】
[イミド化率の測定]
合成例におけるポリイミドのイミド化率は次のようにして測定した。ポリイミド粉末20mgをNMRサンプル管(NMRサンプリングチューブスタンダード,φ5(草野科学社製))に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6,0.05%TMS(テトラメチルシラン)混合品)(0.53ml)を添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液をNMR測定機(JNW−ECA500)(日本電子データム社製)にて500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5ppm〜10.0ppm付近に現れるアミド酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い以下の式によって求めた。
イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100
上記式において、xはアミド酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミド酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミド酸のNH基プロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。
【0060】
[液晶セルの作製]
フリンジフィールドスィッチング(Fringe Field Switching:以下、FFSという)モード液晶表示素子の構成を備えた液晶セルを作製する。
初めに電極付きの基板を準備した。基板は、30mm×50mmの大きさで、厚さが0.7mmのガラス基板である。基板上には第1層目として対向電極を構成する、ベタ状のパターンを備えたITO電極が形成されている。第1層目の対向電極の上には第2層目として、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により成膜されたSiN(窒化珪素)膜が形成されている。第2層目のSiN膜の膜厚は500nmであり、層間絶縁膜として機能する。第2層目のSiN膜の上には、第3層目としてITO膜をパターニングして形成された櫛歯状の画素電極が配置され、第1画素および第2画素の2つの画素を形成している。各画素のサイズは、縦10mmで横約5mmである。このとき、第1層目の対向電極と第3層目の画素電極とは、第2層目のSiN膜の作用により電気的に絶縁されている。
【0061】
第3層目の画素電極は、中央部分が屈曲したくの字形状の電極要素を複数配列して構成された櫛歯状の形状を有する。各電極要素の短手方向の幅は3μmであり、電極要素間の間隔は6μmである。各画素を形成する画素電極が、中央部分の屈曲したくの字形状の電極要素を複数配列して構成されているため、各画素の形状は長方形状ではなく、電極要素と同様に中央部分で屈曲する、太字のくの字に似た形状を備える。そして、各画素は、その中央の屈曲部分を境にして上下に分割され、屈曲部分の上側の第1領域と下側の第2領域を有する。
【0062】
各画素の第1領域と第2領域とを比較すると、それらを構成する画素電極の電極要素の形成方向が異なるものとなっている。すなわち、後述する液晶配向膜のラビング方向を基準とした場合、画素の第1領域では画素電極の電極要素が+10°の角度(時計回り)をなすように形成され、画素の第2領域では画素電極の電極要素が−10°の角度(時計回り)をなすように形成されている。すなわち、各画素の第1領域と第2領域とでは、画素電極と対向電極との間の電圧印加によって誘起される液晶の、基板面内での回転動作(インプレーン・スイッチング)の方向が互いに逆方向となるように構成されている。
【0063】
次に、得られた液晶配向剤を1.0μmのフィルターで濾過した後、準備された上記電極付き基板と裏面にITO膜が成膜されている高さ4μmの柱状スペーサーを有するガラス基板に、スピンコート塗布にて塗布した。80℃のホットプレート上で5分間乾燥させた後、230℃の熱風循環式オーブンで20分間焼成を行い、膜厚100nmの塗膜を形成させた。この塗膜面に偏光板を介して消光比10:1以上の直線偏光した波長254nmの紫外線を照射した。この基板を、エチルラクテートを含む溶液に3分間浸漬させ、次いで純水に1分間浸漬させ、80℃のホットプレート上で5分間乾燥させて、液晶配向膜付き基板を得た。上記、2枚の基板を一組とし、基板上にシール剤を印刷し、もう1枚の基板を、液晶配向膜面が向き合い配向方向が0°になるようにして張り合わせた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、液晶MLC−2041(メルク社製)を注入し、注入口を封止して、FFS駆動液晶セルを得た。その後、得られた液晶セルを110℃で1時間加熱し、一晩放置してから各評価に使用した。
【0064】
[長期交流駆動による残像評価]
上記した残像評価に使用した液晶セルと同様の構造の液晶セルを準備した。
この液晶セルを用い、60℃の恒温環境下、周波数60Hzで±5Vの交流電圧を120時間印加した。その後、液晶セルの画素電極と対向電極との間をショートさせた状態にし、そのまま室温に一日放置した。
放置の後、液晶セルを偏光軸が直交するように配置された2枚の偏光板の間に設置し、電圧無印加の状態でバックライトを点灯させておき、透過光の輝度が最も小さくなるように液晶セルの配置角度を調整した。そして、第1画素の第2領域が最も暗くなる角度から第1領域が最も暗くなる角度まで液晶セルを回転させたときの回転角度を角度Δとして算出した。第2画素でも同様に、第2領域と第1領域とを比較し、同様の角度Δを算出した。そして、第1画素と第2画素の角度Δ値の平均値を液晶セルの角度Δとして算出した。
【0065】
(合成例1)
撹拌装置付きの3000mLの四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、1,2−ビス(4−アミノフェノキシ)エタンを114.33g(468mmol)入れ、DA−2を12.33g(52.0mmol)入れ、NMPを1810g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を96.87g(494mmol)添加し、更に固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸(PAA−1)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度は159mPa・sであった。また、このポリアミック酸の分子量はMn=13090、Mw=34272であった。
【0066】
(合成例2)
撹拌子を入れた50mLサンプル管に、合成例1で得られたポリアミック酸溶液(PAA−1)を18.0gとり、NMPを6.05g、BCSを6.00g、及び添加剤Aを0.26g加え、マグネチックスターラーで30分間撹拌し液晶配向剤(A−1)を得た。
(合成例3)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの3000mL四つ口フラスコに、1,2−ビス(4−アミノフェノキシ)エタンを124.60g(510mmol)、DA−2を0.95g(90.0mmol)取り、NMPを2236g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を130.06g(580.2mmol)添加し、更に固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸(PAA−2)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度は511mPa・sであった。また、このポリアミック酸の分子量はMn=19100、Mw=46880であった。
【0067】
(合成例4)
撹拌子を入れた50mLサンプル管に、合成例3で得られたポリアミック酸溶液(PAA−2)を18.0gとり、NMPを18.01g、BCSを9.03g、及び添加剤Aを0.25g加え、マグネチックスターラーで30分間撹拌し液晶配向剤(A−2)を得た。
(合成例5)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの500ml四つ口フラスコに得られたポリアミック酸溶液(PAA−2)を200g取り、NMPを85.68g加え、30分撹拌した。得られたポリアミック酸溶液に、無水酢酸を22.22g、ピリジンを6.86g加えて、50℃で3時間加熱し、化学イミド化を行った。得られた反応液を1100gのメタノールに撹拌しながら投入し、析出した沈殿物をろ取し、続いて、1100gのメタノールで3回洗浄し、200gのメタノールで2回洗浄した。得られた樹脂粉末を60℃で12時間乾燥することで、ポリイミド樹脂粉末を得た。
このポリイミド樹脂粉末のイミド化率は、68%、分子量はMn=9155、Mw=21430であった。
さらに、撹拌子を入れた200mlサンプル管に得られたポリイミド樹脂粉末12.53を取り、NMPを91.89g加え、室温で24時間撹拌し溶解させて、ポリイミド溶液(PI−1)を得た。
【0068】
(合成例6)
撹拌子を入れた200mLサンプル管に、合成例5で得られたポリイミド溶液(PI−1)を59.59g取り、0.3質量%3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランのNMP溶液を7.17g、NMPを11.26g、BCSを26.0g、及び添加剤Aを2.08g加え、マグネチックスターラーで30分間撹拌し液晶配向剤(A−3)を得た。
【0069】
(合成例7)
撹拌装置付きの500mLの四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、1,2−ビス(4−アミノフェノキシ)エタンを7.01g(28.7mmol)入れ、DA−2を1.21g (3.19mmol)入れ、NMPを76.0g、GBLを227.9g、及び塩基としてピリジン5.69g(71.9mmol) を加え、撹拌して溶解させた。次に、このジアミン溶液を撹拌しながら、DE−1を29.98g(30.0mmol)添加し、15℃で24時間反応させた。24時間撹拌後、アクリロイルクロライドを0.83g (9.18mmol) 加えて、15℃で4時間反応させた。得られたポリアミック酸エステルの溶液を、983gの2−プロパノールに撹拌しながら投入し、析出した白色沈殿をろ取し、続いて、328gの2−プロパノールで5回洗浄し、乾燥することで白色のポリアミック酸エステル樹脂粉末を得た。また、このポリアミック酸エステルの分子量はMn=15224、Mw=32484であった。
さらに、撹拌子を入れた30mLサンプル管に、得られたポリアミック酸エステル樹脂粉末3.13gを取り、GBLを28.12g加えて、室温で24時間撹拌し溶解させて、ポリアミック酸エステル溶液(PAE−1)を得た。
(合成例8)
撹拌子を入れた30mLサンプル管に、合成例7で得られたポリアミック酸エステル溶液(PAE−1)を7.52g取り、GBLを5.01g、BCSを3.00g、及び添加剤Aを0.14g加え、マグネチックスターラーで30分間撹拌し液晶配向剤(A−4)を得た。
【0070】
<実施例1>
合成例2で得られた液晶配向剤(A−1)を1.0μmのフィルターで濾過した後、準備された上記電極付き基板と、裏面にITO膜が成膜されている高さ4μmの柱状スペーサーを有するガラス基板に、スピンコート塗布にて塗布した。80℃のホットプレート上で5分間乾燥させた後、230℃の熱風循環式オーブンで20分間焼成を行い、膜厚100nmの塗膜を形成させた。この塗膜面に偏光板を介して消光比26:1の直線偏光した波長254nmの紫外線を1.0J/cm
2照射した。この基板を、乳酸エチル中に室温(25℃)3分間浸漬させ、次いで純水に1分間浸漬させ、80℃のホットプレート上で5分間乾燥させて、液晶配向膜付き基板を得た。上記、2枚の基板を一組とし、基板上にシール剤を印刷し、もう1枚の基板を、液晶配向膜面が向き合い配向方向が0°になるようにして張り合わせた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、液晶MLC−2041(メルク社製)を注入し、注入口を封止して、FFS駆動液晶セルを得た。その後、得られた液晶セルを110℃で1時間加熱し、一晩放置して、長期交流駆動による残像評価を実施した。長期交流駆動後におけるこの液晶セルの角度Δの値は、0.44度であった。
<実施例2>
合成例4で得られた液晶配向剤(A−2)を用いて、基板上に塗布、乾燥、焼成したポリイミド膜に、偏光板を介して消光比26:1の直線偏光した波長254nmの紫外線を0.2J/cm
2照射した以外は、実施例1と同様の方法でFFS駆動液晶セルを作製した。このFFS駆動液晶セルについて、長期交流駆動による残像評価を実施した。長期交流駆動後におけるこの液晶セルの角度Δの値は、0.12度であった。
【0071】
<実施例3>
合成例6で得られた液晶配向剤(A−3)を用いて、基板上に塗布、乾燥、焼成したポリイミド膜に、偏光板を介して消光比26:1の直線偏光した波長254nmの紫外線を0.2J/cm
2照射した以外は、実施例1と同様の方法でFFS駆動液晶セルを作製した。このFFS駆動液晶セルについて、長期交流駆動による残像評価を実施した。長期交流駆動後におけるこの液晶セルの角度Δの値は、0.10度であった。
<実施例4>
合成例8で得られた液晶配向剤(A−3)を用いて、基板上に塗布、乾燥、焼成したポリイミド膜に、偏光板を介して消光比26:1の直線偏光した波長254nmの紫外線を0.2J/cm
2照射した以外は、実施例1と同様の方法でFFS駆動液晶セルを作製した。このFFS駆動液晶セルについて、長期交流駆動による残像評価を実施した。長期交流駆動後におけるこの液晶セルの角度Δの値は、0.08度であった。
【0072】
<比較例1>
合成例2で得られた液晶配向剤(A−1)を1.0μmのフィルターで濾過した後、準備された上記電極付き基板と、裏面にITO膜が成膜されている高さ4μmの柱状スペーサーを有するガラス基板に、スピンコート塗布にて塗布した。80℃のホットプレート上で5分間乾燥させた後、230℃の熱風循環式オーブンで20分間焼成を行い、膜厚100nmの塗膜を形成させた。この塗膜面に偏光板を介して消光比26:1の直線偏光した波長254nmの紫外線を1.0J/cm
2照射した。
この基板を、IPAと純水の混合溶液(質量比:IPA/純水=5/5)中に室温で3分間浸漬させ、次いで純水に1分間浸漬させ、80℃のホットプレート上で5分間乾燥させて、液晶配向膜付き基板を得た。上記、2枚の基板を一組とし、基板上にシール剤を印刷し、もう1枚の基板を、液晶配向膜面が向き合い配向方向が0°になるようにして張り合わせた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、液晶MLC−2041(メルク社製)を注入し、注入口を封止して、FFS駆動液晶セルを得た。その後、得られた液晶セルを110℃で1時間加熱し、一晩放置して、長期交流駆動による残像評価を実施した。長期交流駆動後におけるこの液晶セルの角度Δの値は、0.52度であった。
【0073】
<比較例2>
合成例4で得られた液晶配向剤(A−2)を用いて、基板上に塗布、乾燥、焼成したポリイミド膜に、偏光板を介して消光比26:1の直線偏光した波長254nmの紫外線を0.2J/cm
2照射した以外は、比較例1と同様の方法でFFS駆動液晶セルを作製した。このFFS駆動液晶セルについて、長期交流駆動による残像評価を実施した。長期交流駆動後におけるこの液晶セルの角度Δの値は、0.25度であった。
<比較例3>
合成例6で得られた液晶配向剤(A−3)を用いて、基板上に塗布、乾燥、焼成したポリイミド膜に、偏光板を介して消光比26:1の直線偏光した波長254nmの紫外線を0.2J/cm
2照射した以外は、比較例1と同様の方法でFFS駆動液晶セルを作製した。このFFS駆動液晶セルについて、長期交流駆動による残像評価を実施した。長期交流駆動後におけるこの液晶セルの角度Δの値は、0.20度であった。
【0074】
【表1】