(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記色素(D1)はシアニン系化合物、クロコニウム系化合物、フタロシアニン系化合物、スクアリリウム系化合物およびジケトピロロピロール系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項4記載の光学フィルタ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本明細書において、光学フィルタを「NIRフィルタ」、近赤外線吸収色素を「NIR吸収色素」または「NIR色素」、紫外線吸収色素を「UV吸収色素」または「UV色素」と略記する。
【0015】
<NIRフィルタ>
本発明の一実施形態のNIRフィルタ(以下、「本フィルタ」という)は、吸収層および反射層を有し、吸収層は、本フィルタの中に1層有してもよく、2層以上有してもよい。2層以上有する場合、各層は同じ構成であっても異なってもよい。一例を挙げれば、一方の層を、NIR色素と透明樹脂を含む近赤外線吸収層とし、もう一方の層を、UV色素と透明樹脂を含む紫外線吸収層としてもよい。また、吸収層は、それそのものが基板(樹脂基板)として機能するものでもよい。
【0016】
反射層は、本フィルタの中に1層有してもよく、2層以上有してもよい。2層以上有する場合、各層は同じ構成であっても異なってもよい。一例を挙げれば、一方の層を、少なくとも近赤外光を反射する近赤外線反射層とし、もう一方の層を、少なくとも紫外光を反射する紫外線反射層としてもよい。
【0017】
また、本フィルタは、少なくとも可視光に対して高透過性を示す透明基材をさらに有してもよい。この場合、吸収層と反射層は、透明基材の同一主面上に有してもよく、異なる主面上に有してもよい。吸収層と反射層を透明基材の同一主面上に有する場合、これらの積層順は特に限定されない。本フィルタは、さらに、可視光の透過率損失を抑制する反射防止層等の他の機能層を有してもよい。
【0018】
図1Aは、吸収層11の一方の主面に反射層12を備えたNIRフィルタ10の構成例である。なお、「吸収層11の一方の主面(上)に、反射層12を備える」とは、吸収層11に接触して反射層12が備わる場合に限らず、吸収層11と反射層12との間に、別の機能層が備わる場合も含み、以下の構成も同様である。
図1Bは、透明基材13の一方の主面に吸収層11を備え、透明基材13の他方の主面に反射層12を備えたNIRフィルタ10の構成例である。
【0019】
図1Cは、透明基材13の一方の主面に吸収層11を備え、透明基材13の他方の主面上および吸収層11の主面上に、反射層12aおよび12bを備えたNIRフィルタ10の構成例である。
図1Dは、透明基材13の両主面に吸収層11aおよび11bを備え、さらに吸収層11aおよび11bの主面上に、反射層12aおよび12bを備えたNIRフィルタ10の構成例である。
【0020】
図1Cおよび
図1Dにおいて、組み合わせる2層の反射層12a、12bは、同一でも異なってもよい。例えば、反射層12a、12bは、紫外光および近赤外光を反射し、可視光を透過する特性を有し、反射層12aが、紫外光と第1の近赤外域の光を反射し、反射層12bが、紫外光と第2の近赤外域の光を反射する構成でもよい。
【0021】
また、
図1Dにおいて、2層の吸収層11aと11bは、同一でも異なってもよい。吸収層11aと11bが異なる場合、例えば、吸収層11aと11bが、各々、近赤外線吸収層と紫外線吸収層の組合せでもよく、紫外線吸収層と近赤外線吸収層の組合せでもよい。
【0022】
図1Eは、
図1Bに示すNIRフィルタ10の吸収層11の主面上に反射防止層14を備えた構成例である。反射層が設けられず、吸収層が最表面の構成をとる場合には、吸収層上に反射防止層を設けるとよい。なお、反射防止層は、吸収層の最表面だけでなく、吸収層の側面全体も覆う構成でもよい。その場合、吸収層の防湿の効果を高められる。
【0023】
本フィルタは、下記(i−1)〜(i−3)の要件を満たす。
(i−1)入射角0°の分光透過率曲線において、波長430〜620nmの光の平均透過率が65%以上であり、かつ、波長600〜700nmに透過率50%を示す波長を有する。
(i−2)波長615〜725nmにおいて、入射角0°および入射角30°の分光透過率曲線における透過率の差分の絶対値を平均した値(以下、「波長615〜725nmの透過率平均シフト量」という)が8%/nm以下である。
(i−3)入射角60°の分光透過率曲線において、波長730〜1000nmの光の最大透過率が15%以下である。
【0024】
要件(i−1)を満たすと、波長430〜620nmの光の透過率を高められ、青色系の色再現性が高められる。さらに、固体撮像素子に不要な700nm以上の光をカットしつつ、人間の視感度に関与する波長600〜700nmの光を効率よく透過できる。
要件(i−2)を満たすと、波長615〜725nmにおける光の入射角依存性を小さくでき、該波長域における固体撮像素子の分光感度の入射角依存性を小さくできる。
要件(i−3)を満たすと、高入射角でも波長730〜1000nmの光を十分に遮蔽し、固体撮像素子に対する迷光を大幅に低減できるので、高精度の色再現性が得られる。
【0025】
本フィルタは、(i−1)の、入射角0°の分光透過率曲線において、波長430〜620nmの光の平均透過率は70%以上が好ましく、75%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。光学フィルタの波長430〜620nmの光の平均透過率が高いほど、可視光を効果的に取り込むことができる。
【0026】
本フィルタは、(i−2)の、波長615〜725nmの透過率平均シフト量が6%/nm以下が好ましく、3%/nm以下がより好ましい。波長615〜725nmの透過率平均シフト量は、この値が小さいほど本フィルタの入射角依存性が低いことを示す。
【0027】
本フィルタは、(i−3)の、入射角60°の分光透過率曲線において波長730〜1000nmの光の最大透過率は10%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。この値が小さいほど、高入射角でも、波長730〜1000nmの光を十分に遮蔽できる。
【0028】
本フィルタは、さらに下記(i−4)の要件を満たすことが好ましい。
(i−4)波長380〜425nmにおいて、入射角0°および入射角30°の分光透過率曲線おける透過率の差分の絶対値を平均した値(以下、「波長380〜425nmの透過率平均シフト量」という)が8%/nm以下である。
【0029】
本フィルタは、(i−4)の、波長380〜425nmの透過率平均シフト量が6%/nm以下がより好ましく、5%/nm以下がさらに好ましい。波長380〜425nmの透過率平均シフト量が小さいほど本フィルタの入射角依存性が低いことを示す。
【0030】
本フィルタは、さらに、下記(i−5)〜(i−7)のいずれかの要件を満たせばよく、2つ以上の要件を満たすことがより好ましく、全ての要件を満たすことが特に好ましい。
(i−5)入射角0°の分光透過率曲線において、波長400〜425nmに透過率が50%となる波長を有する。
(i−6)入射角0°の分光透過率曲線において、波長350〜395nmの光の平均透過率が2%以下である。
(i−7)入射角0°の分光透過率曲線において、波長710〜1100nmの光の平均透過率が2%以下である。
【0031】
本フィルタは、(i−6)の、入射角0°の分光透過率曲線において、波長350〜395nmの光の平均透過率は1.5%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましく、0.5%以下が特に好ましい。この波長の光の平均透過率が低いほど、固体撮像素子として不必要な波長の光をカットできる。
【0032】
本フィルタは、(i−7)の、入射角0°の分光透過率曲線において、波長710〜1100nmの光の平均透過率は1%以下がより好ましく、0.5%以下がさらに好ましく、0.3%以下が特に好ましい。この波長の光の平均透過率が低いほど、固体撮像素子として不必要な波長の光をカットできる。
【0033】
次に、本フィルタの透明基材、吸収層、反射層および反射防止層について説明する。
[透明基材]
透明基材は、可視光を透過するものであれば、材料は特に制限されず、その形状は、ブロック状、板状、フィルム状のいずれでもよい。透明基材の厚さは、0.03〜5mmが好ましく、薄型化の点から、0.05〜1mmがより好ましい。
【0034】
透明基材に使用できる樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン樹脂、ノルボルネン樹脂、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。
【0035】
透明基材に使用できるガラスとしては、フツリン酸塩系ガラスやリン酸塩系ガラス等にCuO等を添加した吸収型のガラス(近赤外線吸収ガラス)、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等が挙げられる。なお、「リン酸塩系ガラス」は、ガラスの骨格の一部がSiO
2で構成されるケイリン酸塩ガラスも含む。本フィルタは、透明基材が近赤外線吸収ガラスの場合、透明基材を吸収層としてもよい。
【0036】
また、透明基材に使用できる結晶材料としては、水晶、ニオブ酸リチウム、サファイア等の複屈折性結晶が挙げられる。透明基材の光学特性は、以下に説明する吸収層、反射層等と積層して得られるNIRフィルタとして、前述した光学特性を有するとよい。
【0037】
透明基材は、その主面上に吸収層を積層させるにあたり、その積層面にシランカップリング剤による表面処理を施してもよい。シランカップリング剤による表面処理が施された透明基材を用いることで、吸収層との密着性を高められる。
【0038】
[吸収層]
吸収層は、近赤外線吸収色素(A)(以下、「色素(A)」ともいう)と、透明樹脂(B)とを含有する層、または、波長750〜900nmに最小透過率が80%以下となる波長を有するガラス層を有する。吸収層は、色素(A)を含有する層と上記吸収特性をもつガラス層の両方を有してもよい。吸収層は、典型的には、透明樹脂(B)中に色素(A)が均一に溶解または分散した層または基板である。吸収層は、さらに紫外線吸収色素(U)(以下、「色素(U)」ともいう)を含有することが好ましい。
本フィルタにおいて、吸収層は、例えば、色素(A)を含む層と、色素(U)を含む層を別の層として複数の層からなる吸収層としてもよい。
【0039】
吸収層は、反射層と組み合わせて本フィルタとした場合に、上記(i−1)〜(i−3)の要件を満たせばよい。また、吸収層単体では、入射角0°における分光透過率曲線が下記(iv−1)〜(iv−3)を満たすとよい。
(iv−1)波長700nmの光の透過率が5%以下である。
(iv−2)波長780〜860nmの光に対する最小透過率が50%以下である。
(iv−3)波長430〜460nmの光の平均透過率が60%以上である。
【0040】
吸収層が要件(iv−1)および(iv−2)を満たすことで、反射層と組み合わせて本フィルタとした場合に、所定の近赤外光の遮蔽性を有するとともに、入射角度依存性を十分に抑制できる。吸収層において入射角0°における、波長700nmの光の透過率(iv−1)は3%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましい。波長780〜860nmの光に対する最小透過率(iv−2)は45%以下がより好ましく、40%以下がさらに好ましい。
【0041】
吸収層における要件(iv−3)は、一部の可視光の透過性に関する。また、本フィルタは上記(i−1)の要件を満たすために、吸収層は、入射角0°において波長430〜620nmの光の平均透過率が65%以上の光学特性を有する。さらに、吸収層が要件(iv−3)を満たすことで、本フィルタの波長430〜460nmの光の透過率を高められる。吸収層において、入射角0°における波長430〜460nmの光の平均透過率(iv−3)は65%以上がより好ましく、68%以上がさらに好ましい。
【0042】
また、吸収層の厚さは、0.1〜100μmが好ましく、吸収層が複数層からなる場合、各層の合計の厚さが0.1〜100μmであればよい。厚さが0.1μm未満では、所望の光学特性を十分に発現できないおそれがあり、厚さが100μm超では層の平坦性が低下し、吸収率に面内のバラツキが生じるおそれがある。吸収層の厚さは、0.3〜50μmがより好ましい。また、反射防止層等の他の機能層を備えた場合、その材質によっては、吸収層が厚すぎると割れ等が生じるおそれがある。このような観点から、吸収層の厚さは、0.3〜10μmが好ましい。
【0043】
(近赤外線吸収色素(A))
本フィルタの吸収層に含有させる色素(A)は、ジクロロメタンに溶解して測定される光吸収スペクトルが、下記(ii−1)および(ii−2)の要件を満たす色素(D1)を含むことが好ましい。色素(D1)は1種単独でもよく、2種以上からなってもよい。
(ii−1)波長760〜875nmに少なくとも一つの吸収極大波長を有する。
(ii−2)波長760〜875nmにおける最大吸収波長の透過率を10%としたとき、波長650〜800nmに透過率80%を示す波長を有する。
【0044】
吸収層は、(ii−1)および(ii−2)の要件を満たす色素(D1)の使用により、組み合わせる反射層が高い入射角の近赤外光を部分的に透過する場合でも、その透過光を十分に吸収でき、反射層によって透過帯が顕在化するいわゆる光抜け、を抑制できる。より具体的には、(ii−1)の要件を満たすと、より少ない添加量で効果的に光抜けを抑制できる。(ii−2)の要件を満たすと、固体撮像素子として必要な波長590〜630nmの光の透過率の損失を防げる。
【0045】
このように、吸収層が(ii−1)および(ii−2)の要件を満たす色素(D1)の使用により、本フィルタにおいて特に(i−3)の要件を満足できる。吸収層は、色素(D1)を含有することで、反射層と組み合わせて本フィルタとした際、要件(i−1)〜(i−3)の全てを満たせば、色素(A)は色素(D1)のみで構成されてもよい。
【0046】
また、色素(A)は、(i−1)〜(i−3)の要件が効果的に得られる色素として、色素(D1)と組み合わせて、下記(iii−1)の要件を満たす色素(D2)を含有することが好ましい。
(iii−1)ジクロロメタンに溶解して測定される波長350〜800nmの光吸収スペクトルにおいて、波長600〜750nmに最大吸収波長を有する。
以下、色素(D1)および色素(D2)について説明する。
【0047】
色素(D1)としては、(ii−1)および(ii−2)の要件を満たす限り、分子構造は特に制限されない。具体的には、シアニン系化合物、クロコニウム系化合物、フタロシアニン系化合物、スクアリリウム系化合物およびジケトピロロピロール系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の色素が挙げられる。
【0048】
色素(D1)は、式(D1−1)または式(D1−2)で表されるシアニン系化合物等が挙げられる。本明細書において、式(D1−1)で示される色素を、化合物(D1−1)または色素(D1−1)ともいい、他の色素についても同様である。また、例えば、式(A1)で表される基を基(A1)とし、他式の基も同様に記す。色素(D1)としては、波長430〜460nmの可視透過率を低下させない点および吸収層への少ない添加量で高入射角における光抜けを効率よく抑制する点から色素(D1−1)が好ましい。
【0051】
ただし、式(D1−1)、式(D1−2)中の記号は以下のとおりである。
R
1〜R
12はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜15のアルキル基、または、炭素数5〜20のアリール基を示す。
R
1とR
2は互いに連結して5員環、6員環、または7員環を形成していてもよく、環を形成しているのが好ましい。その場合、炭素環に結合する水素は炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基で置換されていてもよい。
X
−は一価のアニオンを示し、nはX
−の個数を示し、0または1である。
【0052】
nが0の場合、A
1は式(A1)〜(A6)のいずれかで示されるアニオン性基を示す。
nが1の場合、A
1はハロゲン原子、または、−X−A
2(Xは単結合、エーテル結合(−O−)、スルホニル結合(−SO
2−)、エステル結合(−C(=O)−O−または−O−C(=O)−)またはウレイド結合(−NH−C(=O)−NH−)であり、A
2は炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基である。)を示す。
【0053】
【化3】
式(A1)〜(A6)中、R
101〜R
114はそれぞれ独立に水素原子、炭素数5〜20のアリール基、または、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を示す。
【0054】
上記において、アルキル基は直鎖であってもよく、分岐構造や飽和環構造を含んでもよい。アリール基は芳香族化合物が有する芳香環、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル、フラン環、チオフェン環、ピロール環等を構成する炭素原子を介して結合する基をいう。
【0055】
式(D1−1)、式(D1−2)において、R
3、R
7〜R
12は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数5〜20のアリール基が好ましく、高い可視光透過率が得られる観点から水素原子がより好ましい。
【0056】
R
4、R
5は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜15のアルキル基(環状、分岐状であってもよく、環状構造を含んでいてもよい)、炭素数5〜20のアリール基(鎖状、環状、分岐状のアルキル基を含んでもよい)が好ましく、水素原子、炭素数1〜15のアルキル基がより好ましい。また、R
4、R
5は、同じ基が好ましい。R
6は、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数5〜20のアリール基が好ましく、透明樹脂(B)中で溶液中と同様に高い可視光透過率を維持する観点から分岐を有する炭素数1〜15のアルキル基がより好ましい。
【0057】
X
−としては、I
−、PF
6−、ClO
4−、式(X1)、(X2)で示されるアニオン等が挙げられ、好ましくは、I
−、PF
6−である。X
−を有する色素(D1−1)、色素(D1−2)を、以下、外部塩型の色素(D1−1)、外部塩型の色素(D1−2)という。
【0059】
式(D1−1)、式(D1−2)においては、X
−を有さず、その代わりにA
1が式(A1)〜(A6)のいずれかで示されるアニオン性基であるのが好ましい。以下、X
−を有さず、その代わりにA
1がアニオン性基である色素(D1−1)、色素(D1−2)を、内部塩型の色素(D1−1)、内部塩型の色素(D1−2)という。
【0060】
A
1は、耐光性、耐熱性、さらに溶解性の観点で基(A1)が好ましい。基(A1)において、特に好ましいR
101およびR
102は、いずれも、炭素数1〜6のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。また、R
101とR
102は、同一であるとよい。
【0061】
内部塩型の色素(D1−1)、内部塩型の色素(D1−2)は、X
−を有する色素(D1−1)、色素(D1−2)に比べ耐光性の点で有利である。内部塩型の色素(D1−1)のうち式(D1−11)で示される色素(D1−11)が、分光特性の点で特に好ましい。
【0063】
ただし、式(D1−11)中の記号は以下のとおりである。
R
3〜R
12はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を示す。R
3、R
7〜R
12は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、高い可視光透過率が得られる観点から水素原子がより好ましい。R
4、R
5は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基(環状、分岐状であってもよく、環状構造を含んでいてもよい)が好ましく、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましい。また、R
4、R
5は、同じ基が好ましい。R
6は、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、透明樹脂(B)中で溶液中と同様に高い可視光透過率を維持する観点から分岐を有する炭素数1〜10のアルキル基がより好ましい。
【0064】
式中、mは0〜2の整数を示し、−(CH
2)
m−を含む炭素環は、mが0の場合5員環、mが1の場合6員環、mが2の場合7員環である。−(CH
2)
m−を含む炭素環は、合成が容易であり、溶解性、耐熱性、さらには、高い可視光透過率と(ii−1)および(ii−2)の要件の制御性の観点から5員環または6員環が好ましい。−(CH
2)
m−を含む炭素環に結合する水素原子は、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基で置換されていてもよい。
【0065】
A
1は、基(A1)〜基(A6)のいずれかであり、好ましい態様は、式(D1−1)、式(D1−2)の場合と同様である。色素(D1−1)として、より具体的には表1に示す構造の色素が挙げられる。表1において色素(D1−11−1)〜(D1−11−9)は、内部塩型の式(D1−11)に示される色素であり、特に好ましい。色素(D1−12−1)〜(D1−12−5)は外部塩型の色素(D1−1)である。
【0066】
色素(D1−2)として、より具体的には表2に示す構造の色素が挙げられる。表2において色素(D1−21−1)は、内部塩型の色素(D1−2)であり、色素(D1−22−1)〜(D1−22−6)は外部塩型の色素(D1−2)である。
【0067】
なお、表1、表2において「Me」はメチル基を、「Et」はエチル基を、「iPro」はイソプロピル基を、「nBu」はn−ブチル基を、「tBu」はtert−ブチル基を、「Ph」はフェニル基をそれぞれ示す。以下、本明細書において上記略号を用いた場合は同様の意味を示す。また、「(A11)」は、基(A1)においてR
101およびR
102がともにメチル基である基を、「(A12)」は、基(A1)においてR
101およびR
102がともにn−プロピル基である基を示す。
【0070】
色素(D1)であるシアニン系化合物として、色素(D1−1)、(D1−2)の他に、SD−AG01(商品名、住友精化社製)等が挙げられる。なお、色素(D1−1)、(D1−2)は、例えば、Dyes and pigments 73(2007) 344-352に記載された方法で製造可能である。また、色素(D1−11−4)、色素(D1−21−1)および色素(D1−22−6)は、それぞれ市販品であるS2265、S0322およびS2138(いずれもFEW Chemicals社製の商品名)を使用できる。
【0071】
色素(D1)としては、上記シアニン系化合物以外に、クロコニウム系化合物として下記式で示される化合物(以下、「CroPy1」という。)、フタロシアニン系化合物として、FDN−002、FDN−015(いずれも山田化学工業社製の商品名)等が挙げられる。CroPy1は、従来公知の方法で製造可能である。
【0073】
色素(D1)に分類される各色素について、表3に、ジクロロメタンに溶解して測定される波長350〜1200nmの光吸収スペクトルにおける最大吸収波長(λ
max)を示す。なお、表3に示す各色素においては、(ii−1)の要件における少なくとも一つの吸収極大波長と上記光吸収スペクトルにおけるλ
maxが一致している。表3に、該λ
maxの透過率を10%としたときの透過率80%を示すλ
maxより短波長側の波長(λ
80)、λ
maxとλ
80の差、および波長430〜460nmにおける平均透過率(%)を併せて示す。表3においてシアニン系を「Cy系」、クロコニウム系を「Co系」、フタロシアニン系を「Pc系」と示す。なお、光吸収スペクトルの測定には、表3において商品名(製造元)に記載がある色素は該市販品を使用し、商品名(製造元)に記載がない色素は合成した色素を使用した。
【0074】
なお、光吸収スペクトルの測定は、例えば、紫外可視分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ社製、U−4100形)を用いて実施できる。本明細書において色素の光吸収スペクトルの測定は特に断りのない限り入射角0°で行う。吸収層についても同様である。
【0076】
表3に示す色素は、上記(ii−1)および(ii−2)の要件を満たす色素(D1)であって、(ii−1)の要件に対応する、少なくとも一つの吸収極大波長、すなわち、表3におけるλ
maxは、波長780〜850nmにあれば好ましく、波長790〜850nmにあればより好ましい。また、(ii−2)の要件に対応する、λ
80は、波長680〜800nmにあれば好ましく、波長700〜800nmにあればより好ましく、波長720〜800nmにあればさらに好ましい。λ
80がこの範囲にあると光抜けを抑制でき、人の視感度に影響する630nmより短波長の領域の透過率を損なわずに近赤外領域を効率よくカットできる。可視域のうち、特に、波長430〜460nmにおける平均透過率(%)は、92%以上が好ましく、93%以上がより好ましい。
【0077】
光学特性(高い可視光透過率と(ii−1)および(ii−2)の要件の制御性)や耐光性等の耐久性を総合的に判断すると、色素(D1)は、上記色素の中でも、色素(D1−11−1)〜(D1−11−9)が好ましく、色素(D1−11−6)〜色素(D1−11−9)が特に好ましい。
【0078】
上記(ii−1)および(ii−2)の要件を満たす色素(D1)の一例として、表3に示す色素(D1−11−2)の、ジクロロメタンに溶解して測定される光吸収スペクトルにおいて、波長760〜875nmにおける最大吸収波長の透過率を10%としたときの分光透過率曲線を
図2に実線で示す。
図2に示すとおり、色素(D1−11−2)は、λ
maxが785nm、λ
80が688nmと測定される。他の色素においても同様である。
【0079】
色素(A)に用いる色素(D2)は、上記(iii−1)の要件を満たす限り、分子構造は特に制限されない。上記(iii−1)の要件における光吸収スペクトルにおいて色素(D2)のλ
maxは、波長680〜725nmにあるのがより好ましい。また、色素(D2)の光吸収スペクトルにおいて、λ
maxに吸収の頂点を有する吸収ピーク(以下、「λ
maxの吸収ピーク」という)は、可視光側の傾きが急峻であるとよい。さらに、λ
maxの吸収ピークは長波長側では傾きは緩やかであるとよい。
【0080】
色素(D2)としては、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ジチオール金属錯体系化合物、ジイモニウム系化合物、ポリメチン系化合物、フタリド系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、インドフェノール系化合物、スクアリリウム系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の色素であって(iii−1)の要件を満たせばよい。
【0081】
これらの中では(iii−1)の要件を満たすスクアリリウム系化合物、シアニン系化合物およびフタロシアニン系化合物がより好ましく、スクアリリウム系化合物が特に好ましい。スクアリリウム系化合物からなる色素(D2)は、上記吸収スペクトルにおいて、可視光の吸収が少なく、λ
maxの吸収ピークが可視光側で急峻な傾きを有するとともに、保存安定性および光に対する安定性が高い。シアニン系化合物からなる色素(D2)は、上記吸収スペクトルにおいて、可視光の吸収が少なく、λ
max近傍において長波長側で光の吸収率が高い。また、シアニン系化合物は安価で、塩形成することにより長期の安定性も確保できる。フタロシアニン系化合物からなる色素(D2)は、耐熱性や耐候性に優れる。
【0082】
スクアリリウム系化合物である色素(D2)として、具体的には、式(D2−1)で表されるスクアリリウム系化合物(D2−1)が挙げられる。
【0083】
化合物(D2−1)は、スクアリリウム骨格の左右にベンゼン環が結合し、さらにベンゼン環の4位に窒素原子が結合するとともに該窒素原子を含む飽和複素環が形成された構造を有し、上記色素(D2)としての吸光特性を有する。化合物(D2−1)においては、近赤外線吸収層を形成する際に用いる溶媒(以下、「ホスト溶媒」ということもある。)や透明樹脂(B)への溶解性を高める等のその他の要求特性に応じて、以下の範囲でベンゼン環の置換基を適宜調整できる。
【0085】
ただし、式(D2−1)中の記号は以下のとおりである。
R
24およびR
26は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、−NR
27R
28(R
27およびR
28は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、−C(=O)−R
29(R
29は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくは炭素数6〜11のアリール基または、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を有していてもよい炭素数7〜18のアルアリール基)、−NHR
30、または、−SO
2−R
30(R
30は、それぞれ1つ以上の水素原子がハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、またはシアノ基で置換されていてもよく、炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでよい炭素数1〜25の炭化水素基)を示す。)、または、式(S)で示される基(R
41、R
42は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜10のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。kは2または3である。)を示す。
【0087】
R
21とR
22、R
22とR
25、およびR
21とR
23のうち少なくとも一組は、互いに連結して窒素原子と共に員数が5または6のそれぞれ複素環A、複素環B、および複素環Cを形成する。複素環Aが形成される場合のR
21とR
22は、これらが結合した2価の基−Q−として、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアシルオキシ基で置換されてもよいアルキレン基、またはアルキレンオキシ基を示す。
【0088】
複素環Bが形成される場合のR
22とR
25、および複素環Cが形成される場合のR
21とR
23は、これらが結合したそれぞれ2価の基−X
1−Y
1−および−X
2−Y
2−(窒素に結合する側がX
1およびX
2)として、X
1およびX
2がそれぞれ下記式(1x)または(2x)で示される基であり、Y
1およびY
2がそれぞれ下記式(1y)〜(5y)から選ばれるいずれかで示される基である。X
1およびX
2が、それぞれ下記式(2x)で示される基の場合、Y
1およびY
2はそれぞれ単結合であってもよく、その場合、炭素原子間に酸素原子を有してもよい。
【0090】
式(1x)中、4個のZは、それぞれ独立して水素原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルコキシ基、または−NR
38R
39(R
38およびR
39は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を示す)を示す。R
31〜R
36はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を、R
37は炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示す。
【0091】
R
27、R
28、R
29、R
24、R
26、R
31〜R
37、複素環を形成していない場合のR
21〜R
23、およびR
25は、これらのうちの他のいずれかと互いに結合して5員環または6員環を形成してもよい。R
31とR
36、R
31とR
37は直接結合してもよい。
複素環を形成していない場合の、R
21およびR
22は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基もしくはアリル基、または炭素数6〜11のアリール基もしくはアルアリール基を示す。複素環を形成していない場合の、R
23およびR
25は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または、炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。
【0092】
以下、複素環Aは単に環Aということもある。複素環B、複素環Cについても同様である。また、化合物(D2−1)において、スクアリリウム骨格の左右に結合するベンゼン環が有する基R
21〜R
26は、左右で異なってもよいが、左右で同一が好ましい。
【0093】
なお、化合物(D2−1)は、式(D2−1’)の構造をとる場合がある。化合物(D2−1’)と化合物(D2−1)は互いに共鳴する構造であり、本明細書においては、化合物(D2−1’)も化合物(D2−1)として扱う。
【化10】
ただし、式(D2−1’)中の記号は、式(D2−1)における規定と同じである。
【0094】
化合物(D2−1)において、R
24およびR
26は、それぞれ独立して、上記の原子または基を示す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。R
24およびR
26は、いずれか一方が水素原子であって、他方が−NR
27R
28である組合せが好ましい。
【0095】
化合物(D2−1)が、環A〜環Cのうち、環Aのみ、環Bと環Cのみ、環A〜環Cをそれぞれ有する場合、−NR
27R
28は、R
24とR
26のいずれに導入されてもよい。化合物(D2−1)が、環Bのみ、環Aと環Bのみをそれぞれ有する場合、−NR
27R
28は、R
24に導入されるのが好ましい。同様に、環Cのみ、環Aと環Cのみをそれぞれ有する場合、−NR
27R
28は、R
26に導入されるのが好ましい。
【0096】
−NR
27R
28としては、ホスト溶媒や透明樹脂(B)への溶解性の観点から、−NH−C(=O)−R
29が好ましい。R
29としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基、または置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を有していてもよい炭素数7〜18のアルアリール基が好ましい。置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフロロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアシルオキシ基等が挙げられる。
【0097】
R
29としては、これらのうちでも、フッ素原子で置換されてもよい直鎖状、分岐鎖状、環状の炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜6のフロロアルキル基および/または炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されてもよいフェニル基、および炭素原子間に酸素原子を有していてもよい炭素数7〜18の、末端に炭素数1〜6のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基および/または炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されてもよいフェニル基を有するアルアリール基から選ばれる基が好ましい。
【0098】
R
29としては、独立して1つ以上の水素原子がハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、またはシアノ基で置換されていてもよく、炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでよい、少なくとも1以上の分岐を有する炭素数5〜25の炭化水素基である基も好ましく使用できる。このようなR
29としては、例えば、下記式(1a)、(1b)、(2a)〜(2e)、(3a)〜(3e)で示される基が挙げられる。
【0101】
また、可視光の透過率、特に波長430〜550nmの光の透過率を高める観点から、−NR
27R
28は−NH−SO
2−R
30が好ましい。R
30は耐光性の点から、独立して、分岐を有してもよい炭素数1〜12のアルキル基もしくはアルコキシ基、または不飽和の環構造を有する炭素数6〜16の炭化水素基が好ましい。不飽和の環構造としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、フラン、ベンゾフラン等が挙げられる。R
30は、独立して、分岐を有してもよい炭素数1〜12のアルキル基もしくはアルコキシ基がより好ましい。なお、R
30を示す各基において、水素原子の一部または全部がハロゲン原子、特にはフッ素原子に置換されていてもよい。なお、水素原子のフッ素原子へ置換は、色素(D2−1)を含有する吸収層と透明基材との密着性が落ちない程度とする。
【0102】
不飽和の環構造を有するR
30として具体的には、下記式(P1)〜(P8)で示される基が挙げられる。
【0104】
同様に、可視光の透過率、特に波長430〜550nmの光の透過率を高める観点から、色素(D2−1)においてR
24およびR
26は、いずれか一方が水素原子であって、他方が、式(S)で示される基が好ましい。
【0105】
式(S)中、R
41、R
42は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜10のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。kは2または3である。R
41およびR
42は、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜5のアルキル基が、分子量を大きく増大させず、添加量、スクアリリウムへの反応性、樹脂への溶解性等の観点からより好ましい。
【0106】
化合物(D2−1)として、より具体的には、環Bのみを環構造として有する下記式(D2−11)で示される化合物、環Aのみを環構造として有する式(D2−12)で示される化合物、環Bおよび環Cの2個を環構造として有する式(D2−13)で示される化合物が挙げられる。なお、式(D2−11)で示される化合物は、化合物(D2−1)において環Cのみを環構造として有する化合物と同じである。
【0107】
【化14】
ただし、式(D2−11)〜(D2−13)中の記号は、式(D2−1)における規定と同じであり、好ましい態様も同様である。
【0108】
化合物(D2−11)において、X
1としては、基(2x)が好ましく、Y
1としては、単結合または基(1y)が好ましい。この場合、R
31〜R
36としては、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましい。なお、−Y
1−X
1−として、具体的には、式(11−1)〜(12−3)で示される2価の有機基が挙げられる。
【0109】
−C(CH
3)
2−CH(CH
3)− …(11−1)
−C(CH
3)
2−CH
2− …(11−2)
−C(CH
3)
2−CH(C
2H
5)− …(11−3)
−C(CH
3)
2−CH
2−CH
2− …(12−1)
−C(CH
3)
2−CH
2−CH(CH
3)− …(12−2)
−C(CH
3)
2−CH(CH
3)−CH
2− …(12−3)
この中でも、−Y
1−X
1−としては、基(11−1)〜(11−3)のいずれかが好ましく、基(11−1)がより好ましい。
【0110】
また、化合物(D2−11)において、R
21は、溶解性、耐熱性、さらに分光透過率曲線における可視域と近赤外域の境界付近の変化の急峻性の観点から、独立して、式(4−1)または(4−2)で示される基がより好ましい。
【化15】
式(4−1)および式(4−2)中、R
51、R
52、R
53、R
54およびR
55は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜4のアルキル基を示す。
【0111】
化合物(D2−11)において、R
24は−NR
27R
28または基(S)が好ましく、より好ましい態様は上記と同様である。化合物(D2−11)における、R
23およびR
26は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルコキシ基が好ましく、いずれも水素原子がより好ましい。
【0112】
(D2−11)として、具体的には、式(D2−11a)および表4で表わされる化合物(D2−11a−1)〜(D2−11a−19)、式(D2−11b)および表5で表わされる化合物(D2−11b−1)〜(D2−11b−22)、式(D2−11c)および表6で表わされる化合物(D2−11c−1)が挙げられる。
【0114】
ただし、式(D2−11a)中の記号は、化合物毎に以下の表4のとおりであり、式(D2−11b)中の記号は、化合物毎に以下の表5のとおりであり、(D2−11c)中の記号は、以下の表6のとおりである。なお、表4、表5において基(11−1)を(11−1)と示す。他の基についても同様である。
【0118】
化合物(D2−12)において、Qは、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアシルオキシ基に置換されてもよい炭素数4または5のアルキレン基、炭素数3または4のアルキレンオキシ基である。アルキレンオキシ基の場合の酸素の位置はNの隣以外が好ましい。なお、Qとしては、炭素数1〜3のアルキル基、特にはメチル基に置換されてもよいブチレン基が好ましい。
【0119】
化合物(D2−12)において、R
24およびR
26は、いずれか一方が水素原子であって、他方が−NR
27R
28である組合せが好ましい。−NR
27R
28は、−NH−C(=O)−(CH
2)
m−CH
3(mは、0〜19)、−NH−C(=O)−Ph−R
50(−Ph−はフェニレン基を、R
50は、水素原子、水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基、または炭素数1〜3のアルコキシ基をそれぞれ示す。)等が好ましい。
【0120】
ここで、化合物(D2−12)は、そのλ
maxが上記波長領域のなかでも比較的長波長側にあることから、化合物(D2−12)を用いれば可視域の透過領域を広げることが可能となる。化合物(D2−12)として、例えば、式(D2−12−1)〜(D2−12−3)で示される化合物が挙げられる。
【0122】
化合物(D2−13)において、X
1およびX
2としては、独立して上記(2x)で示される水素原子が炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基で置換されてもよいエチレン基が好ましい。この場合、置換基としては炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。X
1およびX
2として、具体的には、−(CH
2)
2−、−CH
2−C(CH
3)
2−、−CH(CH
3)−C(CH
3)
2−、−C(CH
3)
2−C(CH
3)
2−等が挙げられる。Y
1およびY
2としては、独立して−CH
2−、−C(CH
3)
2−、−CH(C
6H
5)−、−CH((CH
2)
mCH
3)−(mは0〜5)等が挙げられる。
【0123】
化合物(D2−13)において、R
24およびR
26は、いずれか一方が水素原子であって、他方が−NR
27R
28である組合せが好ましい。−NR
27R
28は、−NH−C(=O)−C
mH
2m+1(mは1〜20であり、C
mH
2m+1は直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。)、−NH−C(=O)−Ph−R
50(−Ph−はフェニレン基を、R
50は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、または炭素数1〜3のパーフロロアルキル基をそれぞれ示す。)等が好ましい。
化合物(D2−13)として、例えば、式(D2−13−1)、(D2−13−2)でそれぞれ示される化合物が挙げられる。
【0125】
また、色素(D2)として、下記式(F6)で示されるスクアリリウム系化合物も使用できる。式(F6)は、式(D2−1)において環A、環B、環Cのいずれも形成されていない化合物(ただし、R
21〜R
26は以下のとおりである。)を示す。
【0127】
式(F6)中の記号は以下のとおりである。
R
21およびR
22は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基もしくはアリル基、または炭素数6〜11のアリール基もしくはアルアリール基を示す。R
23およびR
25は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または、炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。R
24およびR
26は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、または−NR
27R
28(R
27およびR
28は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または−C(=O)−R
29(R
29は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくは炭素数6〜11のアリール基または、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を有していてもよい炭素数7〜18のアルアリール基))を示す。
化合物(F6)として、例えば、式(F6−1)、(F6−2)で示される化合物等が挙げられる。
【0129】
さらに、色素(D2)として、下記式(F7)で示されるスクアリリウム系化合物も使用できる。
【0131】
化合物(D2−11)〜(D2−13)等の化合物(D2−1)や、化合物(F6)、化合物(F7)は、従来公知の方法で製造可能である。化合物(D2−11a)は、例えば、米国特許第5,543,086号明細書に記載された方法で製造できる。化合物(D2−11b)、(D2−11c)は、例えば、米国特許出願公開第2014/0061505号明細書、国際公開第2014/088063号明細書に記載された方法で製造可能である。また、化合物(D2−12)は、例えば、J.Org.Chem.2005,70(13),5164-5173に記載の方法で製造できる。
【0132】
本実施形態においては、色素(A)として、色素(D1)の1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。色素(A)は、色素(D1)と組み合わせて色素(D2)の1種または2種以上を含有することが好ましい。さらに、色素(A)には、色素(D1)、色素(D2)以外のNIR色素を含有してもよいが、色素(D1)と色素(D2)のみを使用することが好ましい。
【0133】
吸収層中における色素(D1)の含有量は、色素(D1)を含む色素(A)として吸収層に用いた際に、反射層とともに機能して、本フィルタにおける上記(i−1)〜(i−3)の要件を満足すれば特に制限されない。上記含有量は、具体的には、透明樹脂(B)100質量部に対して、0.01〜30質量部が好ましい。0.01質量部以上とすることで所望の近赤外線吸収能が得られ、30質量部以下とすることで、近赤外線吸収能の低下やヘイズ値の上昇等が抑制される。色素(D1)の含有量は0.5〜25質量部がより好ましく、1〜20質量部がより一層好ましい。
【0134】
吸収層中における色素(D2)の含有量は、色素(D1)および色素(D2)を含む色素(A)として吸収層に用いた際に、反射層とともに機能して、本フィルタにおける上記(i−1)〜(i−3)の要件を満足すれば特に制限されない。色素(D2)の含有量は、具体的には、透明樹脂(B)100質量部に対して、0.01〜30質量部が好ましい。ただし、色素(D1)との合計量として透明樹脂(B)100質量部に対して30質量部以下が好ましい。色素(D2)の含有量を0.01質量部以上とすることで色素(D1)と合わせて所望の近赤外線吸収能が得られる。色素(D2)の含有量を色素(D1)との合計量として、30質量部以下とすることで、近赤外線吸収能の低下やヘイズ値の上昇等が抑制される。色素(D2)の含有量は、0.5〜25質量部がより好ましく、1〜20質量部がより一層好ましい。
【0135】
吸収層中における色素(A)の含有量は、上記同様に、近赤外線吸収能の低下やヘイズ値の上昇等を抑制する観点から、透明樹脂(B)100質量部に対して、30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
【0136】
(紫外線吸収色素(U))
紫外線吸収色素(U)としては、下記(v−1)の要件を満たすものが好ましい。
(v−1)ジクロロメタンに溶解して測定される波長350〜800nmの吸収スペクトル(以下、「色素(U)の吸収スペクトル」という)において、波長360〜415nmに最大吸収波長を有する。
【0137】
(v−1)の要件を満たす色素(U)を使用すれば、最大吸収波長が適切かつ急峻な吸収スペクトルの立ち上がりをもつので430nm以降の透過率を低下させずに良好な紫外線遮蔽特性が得られる。色素(U)の吸収スペクトルにおいて、色素(U)の最大吸収波長は、波長370〜415nmにあるとより好ましく、波長390〜410nmにあるとさらに好ましい。
【0138】
上記要件(v−1)を満たしている色素(以下、色素(U1)という)の具体例としては、オキサゾール系、メロシアニン系、シアニン系、ナフタルイミド系、オキサジアゾール系、オキサジン系、オキサゾリジン系、ナフタル酸系、スチリル系、アントラセン系、環状カルボニル系、トリアゾール系等の色素が挙げられ、メロシアニン系が好ましい。
【0139】
本実施形態は、色素(U1)として、上記色素(U1)としての吸収特性を有する複数の化合物から選ばれる1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。色素(U)は、好ましくは色素(U1)の1種または2種以上を含有する。色素(U)は、色素(U1)以外に、その他の紫外線吸収色素を含有してもよい。しかし、その場合、色素(U1)による効果を損なわない範囲が好ましい。
【0140】
吸収層中における色素(U)の含有量は、本フィルタの要件(i−5)を満たすように定める。色素(U)は、吸収層中において、透明樹脂の100質量部に対して、0.01〜30質量部含有するのが好ましく、0.05〜25質量部がより好ましく、0.1〜20質量部がさらに好ましい。
【0141】
(透明樹脂(B))
透明樹脂(B)は、具体的には、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリパラフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルフォスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、およびポリエステル樹脂が挙げられる。透明樹脂(B)としては、これらの樹脂から1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0142】
上記の中でも、透明性、色素(A)や色素(U)の透明樹脂(B)に対する溶解性および耐熱性の観点から、透明樹脂は、ガラス転移温度(Tg)の高い樹脂が好ましい。透明樹脂(B)のTgは具体的には140℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。
【0143】
Tgが高い樹脂として、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、およびエポキシ樹脂から選ばれる1種以上が好ましい。さらに、透明樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂から選ばれる1種以上がより好ましく、ポリイミド樹脂が特に好ましい。ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等が好ましい。
【0144】
透明樹脂(B)としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、アクリル樹脂として、オグソール(登録商標)EA−F5003(大阪ガスケミカル(株)製、商品名)、ポリメチルメタクリレート、ポリイソブチルメタクリレート(以上、いずれも東京化成工業(株)製、商品名)、BR50(三菱レイヨン(株)製、商品名)等が挙げられる。
【0145】
また、ポリエステル樹脂として、OKP4HT、OKP4、B−OKP2、OKP−850(以上、いずれも大坂ガスケミカル(株)製、商品名)、バイロン(登録商標)103(東洋紡(株)製、商品名)等が挙げられる。
【0146】
ポリカーボネート樹脂として、LeXan(登録商標)ML9103(sabic社製、商品名)、EP5000(三菱ガス化学(株)社製、商品名)、SP3810(帝人化成(株)製、商品名)、SP1516(帝人化成(株)製、商品名)、TS2020(帝人化成(株)製、商品名)、xylex(登録商標)7507(sabic社製、商品名)等が挙げられる。環状オレフィン樹脂として、ARTON(登録商標)(JSR(株)製、商品名)、ZEONEX(登録商標)(日本ゼオン(株)製、商品名)等が挙げられる。
【0147】
ポリイミド樹脂として、ネオプリム(登録商標)C3650(三菱ガス化学(株)製、商品名)、同C3G30(三菱ガス化学(株)製、商品名)、同C3450(三菱ガス化学(株)製、商品名)、JL−20(新日本理化製、商品名)(これらのポリイミド樹脂には、シリカが含まれていてもよい)等が挙げられる。
【0148】
(その他の成分)
吸収層には、上述の色素(A)、色素(U)の他にさらに、本発明の効果を損なわない範囲で、この種の吸収層が通常含有する各種任意成分を含有してもよい。任意成分としては、例えば、色調補正色素、レベリング剤、帯電防止剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、分散剤、難燃剤、滑剤、可塑剤、1重項酸素クエンチャー等が挙げられる。
【0149】
(吸収層の製造方法)
吸収層は、例えば、色素(A)と、透明樹脂(B)または透明樹脂(B)の原料成分とを、または、色素(A)と、色素(U)と、透明樹脂(B)または透明樹脂(B)の原料成分とを、溶媒に溶解または分散させて塗工液を調製し、これを基材に塗工し乾燥・硬化させて形成できる。基材は、本フィルタの構成部材として適用可能な透明基材であってもよく、吸収層を形成する際にのみ使用する、例えば剥離性の基材でもよい。なお、本フィルタが構成部材として透明基材を含む場合でも、剥離性の支持基材を使用でき、ガラス板や、離型処理されたプラスチックフィルム、ステンレス鋼板等が使用できる。
【0150】
溶媒としては、特に限定されず、例えば、アルコール類、グリコール類、ケトン類、アミド類、スルホキシド類、エーテル類、エステル類、クロロホルム、脂肪族ハロゲン化炭化水素類、脂肪族炭化水素類、フッ素系溶剤等が挙げられる。これらの溶媒は1種を単独で、または2種以上を混合して使用できる。なお、本明細書において「溶媒」の用語は、分散媒および溶媒の両方を含む概念で用いられる。
【0151】
また、塗工液は、界面活性剤を含有させることにより、外観、特に、微小な泡によるボイド、異物等の付着による凹み、乾燥工程でのはじきを改善できる。界面活性剤は、特に限定されず、カチオン系、アニオン系、ノニオン系等の公知のものを任意に使用できる。
【0152】
塗工液の塗工には、例えば、浸漬コーティング法、キャストコーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、カーテンコーティング法、スリットダイコーター法、グラビアコーター法、スリットリバースコーター法、マイクログラビア法、インクジェット法、またはコンマコーター法等のコーティング法を使用できる。その他、バーコーター法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法等も使用できる。
【0153】
また、吸収層は、押出成形によりフィルム状に製造することも可能であり、さらに、複数のフィルムを積層し熱圧着等により一体化させてもよい。本フィルタが構成部材として透明基材を含む場合、吸収層を透明基材上に貼着してもよい。
【0154】
[反射層]
反射層は、可視光を透過し、少なくとも吸収層の遮光域以外の近赤外光を含む光を反射により遮蔽する波長選択特性を有する。本フィルタは、吸収層と反射層が相補的に機能することにより、近赤外域における高い遮光特性を有する。
【0155】
本フィルタにおける反射層は、波長730〜900nmの光の最小反射率が、入射角0°の場合に比べて入射角60°の場合に低い特性(以下、「入射角依存性(1)」という)を有する。このような反射層の特性は、例えば、以下の誘電体多層膜から構成される反射層において、合計積層数が少ない場合や膜厚が薄い場合に顕著に発現する。本フィルタは、典型的には、軽量化、小型化が求められるNIRフィルタにおいて、特に反射層の合計積層数を少なく、膜厚を薄くすることで、応力による反り等を小さく抑えられる一方で、反射層に発現しやすい入射角依存性(1)を、吸収層が有する近赤外波長領域における遮光特性で補うように設計されたものである。
【0156】
反射層における入射角依存性(1)の程度は、例えば、波長730〜900nmの光の入射角0°の最小反射率から入射角60°の最小反射率を引いた値が、3%以上、とくに、3〜50%の範囲であれば、上記吸収層と組み合わせた本フィルタにおいて、小型化および、要件(i−1)〜(i−3)を満足する光学特性との両立が達成しやすい。
【0157】
反射層は、代表的には、低屈折率の誘電体膜(低屈折率膜)と高屈折率の誘電体膜(高屈折率膜)とを交互に積層した誘電体多層膜から構成される。高屈折率膜は、好ましくは、屈折率が1.6以上であり、より好ましくは2.2〜2.5である。高屈折率膜の材料としては、例えばTa
2O
5、TiO
2、Nb
2O
5が挙げられる。これらのうち、成膜性、屈折率等における再現性、安定性等の点から、TiO
2が好ましい。
【0158】
一方、低屈折率膜は、好ましくは、屈折率1.6未満であり、より好ましくは1.45以上1.55未満である。低屈折率膜の材料としては、例えばSiO
2、SiO
xN
y等が挙げられる。成膜性における再現性、安定性、経済性等の点から、SiO
2が好ましい。
【0159】
本実施形態において、反射層を構成する誘電体多層膜は、下記(vi−1)および(vi−2)の要件を満たすとよい。
(vi−1)入射角0°および30°の各分光透過率曲線において、波長420〜600nmの光の透過率が85%以上である。
(vi−2)入射角0°および30°の各分光透過率曲線において、λ
bnm〜1100nmの波長領域の透過率が1%以下である(ここで、λ
bは、吸収層の波長650〜800nmの光の透過率が1%となる最大波長である)。
【0160】
上記(vi−1)において、透過率は87%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。また、上記(vi−2)において、透過率は0.5%以下がより好ましい。反射層が、上記(vi−1)および(vi−2)の要件を満たせば、本フィルタは、(i−1)〜(i−7)の要件を満たす分光透過率特性が容易に得られる。
【0161】
さらに、反射層は、透過域と遮光域の境界波長領域で透過率が急峻に変化することが好ましい。この目的のためには、反射層を構成する誘電体多層膜の合計積層数は、15層以上が好ましく、25層以上がより好ましく、30層以上がさらに好ましい。ただし、合計積層数が多くなると、反り等が発生したり、膜厚が増加したりするため、合計積層数は100層以下が好ましく、75層以下がより好ましく、60層以下がより一層好ましい。また、誘電体多層膜の膜厚は、2〜10μmが好ましい。
【0162】
誘電体多層膜の合計積層数や膜厚が上記範囲内であれば、反射層は小型化の要件を満たし、高い生産性を維持しながら入射角依存性(1)の程度を上記範囲内にできる。また、誘電体多層膜の形成には、例えば、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法等の真空成膜プロセスや、スプレー法、ディップ法等の湿式成膜プロセス等を使用できる。
【0163】
反射層は、単層(1群の誘電体多層膜)で所定の光学特性を与えたり、複数層で所定の光学特性を与えたりしてもよい。複数層設ける場合、例えば、透明基材の一方の主面側に設けてもよく、透明基材を挟んでその両主面側に設けてもよい。
【0164】
なお、本明細書において、特定の波長域について、透過率が例えば90%以上とは、その全波長領域において透過率が90%を下回らないことをいい、同様に透過率が例えば1%以下とは、その全波長領域において透過率が1%を超えないことをいう。
【0165】
[反射防止層]
反射防止層としては、誘電体多層膜や中間屈折率媒体、屈折率が漸次的に変化するモスアイ構造などが挙げられる。中でも光学的効率、生産性の観点から誘電体多層膜が好ましい。反射防止層は、反射層と同様に誘電体膜を交互に積層して得られる。
【0166】
本フィルタは、他の構成要素として、例えば、特定の波長域の光の透過と吸収を制御する無機微粒子等による吸収を与える構成要素(層)などを備えてもよい。無機微粒子の具体例としては、ITO(Indium Tin Oxides)、ATO(Antimony-doped Tin Oxides)、タングステン酸セシウム、ホウ化ランタン等が挙げられる。ITO微粒子、タングステン酸セシウム微粒子は、可視光の透過率が高く、かつ1200nmを超える赤外波長領域の広範囲に光吸収性を有するため、かかる赤外光の遮蔽性を必要とする場合に使用できる。
【0167】
本フィルタは、デジタルスチルカメラ等の撮像装置に使用できる。また、本フィルタは、例えば、撮像レンズと固体撮像素子との間に配置されたり、撮像装置の固体撮像素子、撮像レンズ等に粘着剤層を介して直接貼着されたりして使用できる。
【実施例】
【0168】
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
例1〜6が実施例であり、例7、8が比較例である。
【0169】
<色素の合成・準備>
実施例で使用する色素(D1)として、色素(D1−11−1)〜(D1−11−3)、色素(D1−11−6)、色素(D1−12−1)、色素(D1−12−2)、色素(D1−22−4)を以下の方法で、色素(CroPy1)を常法により合成した。これらの色素は、表1、表2に記載の色素である。また、SD−AG01(商品名、住友精化社製)、を準備した。これらの色素は、いずれも表3に光学特性を示す色素(D1)である。
【0170】
また、色素(D2)として色素(D2−11a−7)および色素(D2−11b−1)を合成した。さらにUV色素として式(M−2)で示されるメロシアニン系色素(M−2)を常法により合成し準備した。なお、これらの色素の光学特性の評価には、紫外可視分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ社製、U−4100形)を用い、以下の光学特性(分光透過率曲線)の評価にも同様に、U−4100を用いた。
【0171】
【化22】
【0172】
(1)色素(D1)の製造
(1−1)色素(D1−12−1)の製造
以下に示す反応経路にしたがい、色素(D1−12−1)を合成した。
【化23】
【0173】
(化合物(a)の合成)
1,1,2−トリメチル−1H−ベンゾ[e]インドールの50g(0.14モル)とテトラヒドロフランの200cc、ヨウ化メチルの84.7g(0.36モル)をナスフラスコに仕込み、60℃で16時間還流撹拌した。その後、析出した固体を濾別し、固体をTHFで洗浄した結果、化合物(a)を76g(収率91%、0.21モル)得た。
【0174】
(化合物(b)の合成)
ナスフラスコにジメチルホルムアミドの86.9g(1.19モル)を仕込み、オキシ塩化リンの41.9g(0.27モル)を氷冷下で少量ずつ添加した後、65℃で1時間撹拌した。撹拌後、シクロペンタノンの10g(0.12モル)を少量ずつ添加し、添加終了後65℃で1時間撹拌した。反応後、800ccの水を張ったビーカーに少量ずつ反応粗液を加え、一晩撹拌した。析出した固体を濾別し、得られた固体を水で洗浄した。その結果、化合物(b)を6.4g(収率34%、0.04モル)得た。
【0175】
(色素(D1−12−1)の合成)
ナスフラスコに化合物(b)の3.0g(0.019モル)と化合物(a)の13.3g(0.038モル)、エタノールの65cc、トリエチルアミンの7.7g(0.076モル)、無水酢酸の7.7g(0.076モル)を仕込み、50℃で1時間撹拌した。その後、溶媒をエバポレーターで留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー法で精製した結果、色素(D1−12−1)を2.6g(収率20%、0.0038モル)得た。
【0176】
(1−2)色素(D1−12−2)の製造
以下に示す反応経路にしたがい、色素(D1−12−2)を合成した。
【化24】
【0177】
(化合物(c)の合成)
ナスフラスコにジメチルホルムアミドの74.5g(1.01モル)を仕込み、オキシ塩化リンの35.9g(0.23モル)を氷冷下で少量ずつ添加した後、65℃で1時間撹拌した。撹拌後、シクロヘキサノンの10g(0.10モル)を少量ずつ添加し、添加終了後65℃で1時間撹拌した。反応後、800ccの水を張ったビーカーに少量ずつ反応粗液を加え、一晩撹拌した。析出した固体を濾別し、得られた固体を水で洗浄した。その結果、化合物(c)を9.7g(収率55%、0.06モル)得た。
【0178】
(色素(D1−12−2)の合成)
ナスフラスコに化合物(c)の3.0g(0.017モル)と化合物(a)の12.2g(0.035モル)、エタノールの58cc、トリエチルアミンの7.0g(0.070モル)、無水酢酸の7.1g(0.071モル)を仕込み、50℃で1時間撹拌した。その後、溶媒をエバポレーターで留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー法で精製した結果、色素(D1−12−2)を2.1g(収率17%、0.0030モル)得た。
【0179】
(1−3)色素(D1−11−1)の製造
以下に示す反応経路にしたがい、色素(D1−11−1)を合成した。
【化25】
【0180】
(色素(D1−11−1)の合成)
ナスフラスコに色素(D1−12−1)の2.5g(0.0036モル)と1,3−ジメチルバルビツール酸の0.95g(0.0061モル)、トリエチルアミンの0.45g(0.0045モル)、ジクロロメタンの40cc、メタノールの40ccを仕込み、65℃で1時間還流撹拌した。その後、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー法で精製した結果、色素(D1−11−1)の1.5g(収率59%、0.0022モル)を得た。
【0181】
(1−4)色素(D1−11−2)の製造
以下に示す反応経路にしたがい、色素(D1−11−2)を合成した。
【化26】
【0182】
(色素(D1−11−2)の合成)
ナスフラスコに色素(D1−12−2)の2.0g(0.0028モル)と1,3−ジメチルバルビツール酸の0.75g(0.0048モル)、トリエチルアミンの0.36g(0.0035モル)、ジクロロメタンの30cc、メタノールの30ccを仕込み、65℃で1時間還流撹拌した。その後、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー法で精製した結果、色素(D1−11−2)の1.0g(収率52%、0.0015モル)を得た。
【0183】
(1−5)色素(D1−11−3)の製造
以下に示す反応経路にしたがい、色素(D1−11−3)を合成した。
【化27】
【0184】
(色素(D1−11−3)の合成)
ナスフラスコに色素(D1−12−2)の2.0g(0.0028モル)と1,3−ジプロピルバルビツール酸の1.01g(0.0048モル)、トリエチルアミンの0.36g(0.0035モル)、ジクロロメタンの30cc、メタノールの30ccを仕込み、65℃で1時間還流撹拌した。その後、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー法で精製した結果、色素(D1−11−3)の1.5g(収率70%、0.0020モル)を得た。
【0185】
(1−6)色素(D1−11−6)の製造
以下に示す反応経路にしたがい、色素(D1−11−6)を合成した。
【化28】
【0186】
(化合物(d)の合成)
1,1,2−トリメチル−1H−ベンゾ[e]インドールの50g(0.24モル)と、ヨウ化イソプロピルの203g(1.2モル)をナスフラスコに仕込み、110℃で120時間還流撹拌した。その後、析出した固体を濾別し、固体をTHFで洗浄した結果、化合物(d)を43.5g(収率48%、0.11モル)得た。
【0187】
(色素(D1−12−4)の合成)
ナスフラスコに化合物(c)の3.0g(0.017モル)と化合物(d)の13.2g(0.035モル)、エタノールの60cc、トリエチルアミンの7.0g(0.070モル)、無水酢酸の7.1g(0.070モル)を仕込み、50℃で1時間撹拌した。その後、溶媒をエバポレーターで留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー法で精製した結果、色素(D1−12−4)を4.0g(収率30%、0.0052モル)得た。
【0188】
(色素(D1−11−6)の合成)
ナスフラスコに色素(D1−12−4)の3.0g(0.0039モル)と1,3−ジメチルバルビツール酸の1.04g(0.0066モル)、トリエチルアミンの0.49g(0.0049モル)、ジクロロメタンの40cc、メタノールの40ccを仕込み、65℃で1時間還流撹拌した。その後、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー法で精製した結果、色素(D1−11−6)の1.5g(収率50%、0.0020モル)を得た。
【0189】
(1−7)色素(D1−22−4)の製造
以下に示す反応経路にしたがい、色素(D1−22−4)を合成した。
【化29】
【0190】
(化合物(k)の合成)
2,3,3−トリメチルインドレニンの30g(0.19モル)とヨウ化エチルの117.5g(0.75モル)をナスフラスコに仕込み、90℃で2日間還流撹拌した。その後、析出した固体を濾別し、固体をヘキサンで洗浄した結果、化合物(k)を56.8g(収率96%、0.18モル)得た。
【0191】
(色素(l)の合成)
ナスフラスコに化合物(b)の3.0g(0.019モル)と化合物(k)の11.9g(0.037モル)、エタノールの60cc、トリエチルアミンの7.7g(0.076モル)、無水酢酸の7.7g(0.076モル)を仕込み、50℃で1時間撹拌した。その後、溶媒をエバポレーターで留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー法で精製した結果、化合物(l)を6.0g(収率51%、0.0097モル)得た。
【0192】
(色素(D1−22−4)の合成)
ナスフラスコに化合物(l)の3.0g(0.0048モル)とメタノール40ccを加え撹拌した中にベンゼンスルフィン酸ナトリウム・二水和物の1.01g(0.0050モル)を添加し、窒素雰囲気下2時間撹拌した。その後、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー法で精製した結果、色素(D1−22−4)の1.23g(収率35%、0.0017モル)を得た。
【0193】
(2)色素(D2)の製造
(2−1)色素(D2−11a−7)の製造
色素(D2−11a−7)については、国際公開第2014/088063号に記載された方法により製造した。色素(D2−11a−7)をジクロロメタンに溶解して波長350〜800nmの光吸収スペクトルを測定したところ、λ
maxは、698nmであった。
【0194】
(2−2)色素(D2−11b−1)の製造
反応式(F1)にしたがい公知の方法で色素(D2−11b−1)を製造した。なお、反応式(F1)におけるR
21はメチル基、R
30はn−C
8H
17基であり、R
23およびR
26は水素原子である。色素(D2−11b−1)をジクロロメタンに溶解して波長350〜800nmの光吸収スペクトルを測定したところ、λ
maxは、691nmであった。
【0195】
【化30】
【0196】
[試験例1〜15;吸収層の作製および評価]
上記で合成したまたは準備した各種色素と透明樹脂を用いて吸収層を作製し光学特性を評価した。試験例1〜13が本フィルタに係る試験例であり、試験例14、15が比較試験例である。
【0197】
(吸収層の作製)
ポリイミド樹脂(JL−20)に対して、色素(D1)、色素(D2)、およびUV色素のうち表7に記載の色素を各濃度(樹脂100質量部に対する質量部)に調整し、さらにシクロヘキサノンを加え、室温にて撹拌・溶解することで塗工液を得た。同様にポリイミド樹脂(C3G30)を対して、色素(D1)、色素(D2)、およびUV色素のうち表8に記載の色素を各濃度(樹脂100質量部に対する質量部)に調整し、さらにシクロヘキサノンを加え、室温にて撹拌・溶解することで塗工液を得た。
【0198】
得られた塗工液を、厚さ0.3mmのガラス(SCHOTT社製、商品名:D263)基板上にスピンコート法により塗布し、加熱乾燥させ、厚さ1.1〜1.3μmの吸収層1〜15を形成し、吸収層1〜15のいずれかを有する吸収層付ガラス基板を得た。なお、試験例1で得られた吸収層を吸収層1という。他の試験例で得られた吸収層も同様とする。
【0199】
(光学特性の評価)
得られた吸収層付ガラス基板と吸収層を有しないガラス基板について、入射角0°における分光透過率曲線を測定した。吸収層付ガラス基板の測定結果と吸収層を有しないガラス基板の測定結果から、吸収層1〜15の光学特性として、(a−1)波長700nmの光の透過率、(a−2)波長780〜860nmの光に対する最小透過率、および(a−3)波長430〜460nmの光の平均透過率を算出した。具体的にはガラス基板の吸収、ガラス基板と吸収層界面、ガラス基板と空気界面の反射の影響を差し引いて、吸収層と空気界面での反射を計算した結果を、吸収層の構成とともに表7、表8に示す。
【0200】
また、上記試験例7で得られた吸収層7と試験例14で得られた吸収層14の入射角0°における分光透過率曲線を
図3に示す。
【0201】
【表7】
【0202】
【表8】
【0203】
表7、表8、
図3から明らかなように、試験例1〜13で得られた吸収層1〜13は、色素(D1)を含有し要件(iv−1)〜(iv−3)を満たす。試験例14、15で得られた吸収層14、15は、色素(D1)を含有せず、要件(iv−1)〜(iv−3)のうち、要件(iv−3)を満たさない。
【0204】
[例1〜8;NIRフィルタの製造・評価]
(NIRフィルタの製造)
厚さ0.3mmのガラス(D263)基板に蒸着法により、TiO
2膜とSiO
2膜を交互に積層して、合計積層数が52層の誘電体多層膜からなる反射層Xを形成した。反射層Xの構成は、誘電体多層膜の積層数、TiO
2膜の膜厚およびSiO
2膜の膜厚をパラメータとしてシミュレーションし、入射角0°および30°の各分光透過率曲線において、前述した要件(vi−1)および(vi−2)を満たすように求めた。なお、要件(vi−2)については吸収層6〜12を基準とした。
【0205】
表9に入射角0°〜60°における、反射層Xの所定波長領域における透過率および反射率を示す。また、
図4に、反射層Xの膜表面で測定される、それぞれ入射角0°、60°の場合の波長730〜1000nmの光の分光反射率曲線を示す。表9および
図4から明らかなように、反射層Xは、波長730〜900nmの光の最小反射率が、入射角0°の場合に比べて入射角60°の場合に3%以上低い特性を有する。
【0206】
【表9】
【0207】
次に、反射層を形成した上記ガラス基板の主面とは反対側の主面に、上記試験例と同様にして、それぞれ、吸収層6〜8、10〜12、14または15を形成し、さらに吸収層の表面に、反射層と同様、蒸着法により、TiO
2膜とSiO
2膜を交互に積層して反射防止層を形成して、光学フィルタ1〜8を得た。なお、例1で得られた光学フィルタを光学フィルタ1という。他の例で得られた光学フィルタも同様とする。
【0208】
反射防止層もまた、誘電体多層膜の積層数、TiO
2膜の膜厚およびSiO
2膜の膜厚をパラメータとして、所望の光学特性を有するようにシミュレーションして決定した。
【0209】
(NIRフィルタの評価)
(1)光学特性
作製した光学フィルタ1〜8について、分光透過率曲線(入射角0°、30°および60°)を測定し、その測定結果から算出した結果を、吸収層の種類とともに表10に示す。また、例2、例7で得られた光学フィルタ2および7の分光透過率曲線を
図5A、
図5Bに示す。
図5Aは入射角0°における分光透過率曲線であり、
図5Bは入射角60°における分光透過率曲線である。
【0210】
なお、表10において入射角0°における「平均透過率(430−620nm)」は、波長430〜620nmの光の平均透過率であり、「透過率50%波長」は、波長600〜700nmにおける透過率50%を示す波長である。
【0211】
透過率平均シフト量(380−425nm)は、波長380〜425nmにおいて、入射角0°および入射角30°の分光透過率曲線における透過率の差分の絶対値を平均した値である。同様に、透過率平均シフト量(615−725nm)は、波長615〜725nmにおいて、入射角0°および入射角30°の分光透過率曲線における透過率の差分の絶対値を平均した値である。
【0212】
また、表10において入射角60°における「最大透過率(730−1000nm)」は、波長730〜1000nmの光における最大透過率である。
【0213】
(2)耐光性
作製した光学フィルタ1〜6について、耐光性試験を行い、評価した。
耐光性試験では、スーパーキセノンウエザーメータSX75(スガ試験機(株)製、製品名)を用いて、光学フィルタに対し下記の条件で光を断続的に照射した。
波長:300〜2450nm
積算光量:31.4kJ/cm
2
照射前後に、分光透過率曲線(入射角0°)を測定し、照射前後の波長780〜870nmの光における最小透過率を求め、次式よりその変動量を算出した結果を、表10に併せ示す。
最小透過率変動量=(照射後の波長780〜870nmの光の最小透過率)−(照射前の波長780〜870nmの光の最小透過率)
【0214】
【表10】
【0215】
表10から明らかなように、例1〜6で得られた光学フィルタ1〜6は、いずれも前述した要件(i−1)〜(i−3)を満たしていた。すなわち、可視光の透過性が良好であるとともに、近赤外光の遮蔽性において入射角度依存性が抑制された、特に高い入射角における近赤外光の遮蔽性の低下が抑制された光学フィルタであった。また、耐光性の観点から、色素(D1)においては、色素(D1−11)が好ましく、mが1の色素(D1−11−2)がより好ましいことがわかる。一方、例7、8で得られた光学フィルタ7、8は、高い入射角における近赤外光の遮蔽性が充分でない。
可視光の透過性を良好に維持しながら、特に高い入射角における近赤外光の遮蔽性の低下が抑制された光学フィルタの提供。吸収層および反射層を有し、(i−1)入射角0°の分光透過率曲線において、波長430〜620nmの光の平均透過率が65%以上であり、かつ、波長600〜700nmに透過率50%を示す波長を有する、(i−2)波長615〜725nmにおいて、入射角0°および入射角30°の分光透過率曲線の差分の絶対値を平均した値が8%/nm以下である、および(i−3)入射角60°の分光透過率曲線において波長730〜1000nmの光の最大透過率が15%以下である、の要件を満たす光学フィルタ。