特許第6202233号(P6202233)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202233
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】液晶表示素子及び液晶ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/139 20060101AFI20170914BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20170914BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20170914BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   G02F1/139
   G02F1/13 500
   G02F1/1368
   G02F1/1337
【請求項の数】4
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2017-526721(P2017-526721)
(86)(22)【出願日】2016年10月20日
(86)【国際出願番号】JP2016081065
(87)【国際公開番号】WO2017069187
(87)【国際公開日】20170427
【審査請求日】2017年5月17日
(31)【優先権主張番号】特願2015-207881(P2015-207881)
(32)【優先日】2015年10月22日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124970
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 通洋
(74)【代理人】
【識別番号】100159293
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 真
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 剛
(72)【発明者】
【氏名】秋山 英也
(72)【発明者】
【氏名】梅津 安男
(72)【発明者】
【氏名】丸山 和則
(72)【発明者】
【氏名】大石 晴己
(72)【発明者】
【氏名】小川 真治
(72)【発明者】
【氏名】岩下 芳典
【審査官】 佐藤 洋允
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−193324(JP,A)
【文献】 特開平08−178883(JP,A)
【文献】 特開2000−162574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/139
G02F1/13
G02F1/136−1/1368
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電率異方性(Δε)が−1.5より小さい液晶組成物について、閾値電圧(Vth)、ベンドの弾性定数(K33)、真空の誘電率(ε)、セルギャップ(d)及びらせんピッチ(P)の測定値を使用して、下記式(1)により求めたツイストの弾性定数(K22)の値と、
前記液晶組成物のスプレイの弾性定数(K11)及びベンドの弾性定数(K33)の測定値と、を使用して、下記式(2)により求めたΓの値が0.3以下である液晶組成物を使用したことを特徴とするFFS型液晶表示素子。
【数1】
【請求項2】
前記Γの値が0.01以上である液晶組成物を使用した請求項1に記載のFFS型液晶表示素子。
【請求項3】
対向配置された第1の透明絶縁基板と第2の透明絶縁基板とを備え、
前記第1の透明絶縁基板と前記第2の透明絶縁基板との間に、前記液晶組成物を含有する液晶層を挟持し、
前記第1の透明絶縁基板上に、透明導電性材料からなる共通電極と、マトリクス状に配置された複数個のゲート配線及びデータ配線と、前記ゲート配線とデータ配線との交差部の近傍に設けられた薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタにより駆動される、透明導電性材料からなる画素電極と、を各画素ごとに有し、
前記液晶層と前記第1の透明絶縁基板との間、及び前記液晶層と前記第2の透明絶縁基板との間のそれぞれに、ホモジニアス配向を誘起する配向膜を備え、前記配向膜の配向方向はいずれも前記第1の透明絶縁基板又は第2の透明絶縁基板の表面に対して略平行な方向であり、
前記画素電極と前記共通電極との間に電界を形成するために、前記画素電極と前記共通電極との間の電極間距離が、前記第1の透明絶縁基板と前記第2の透明絶縁基板との間の基板間距離より小さいか、又は前記共通電極が前記画素電極よりも前記第1の透明絶縁基板の近くに配置され、かつ前記共通電極が前記第1の透明絶縁基板上の略全面に設けられている、請求項1又は2に記載のFFS型液晶表示素子。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶表示素子を備えたことを特徴とするFFS型液晶ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示素子、及び前記液晶表示素子を備えた液晶ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子は、一対の基板間に液晶層が挟持され、前記液晶層に液晶組成物を備えて構成される。このような液晶表示素子は、液晶テレビ、コンピュータ用モニター、携帯電話機、情報端末機、ゲーム機等の画像表示装置において広く利用されている。
液晶表示素子の代表的な表示方式としては、例えば、TN(ツイステッド・ネマチック)型、STN(スーパー・ツイステッド・ネマチック)型、ECB(電界効果複屈折)型等がある。また、TFT(薄膜トランジスタ)を用いたアクティブマトリクス型の液晶表示素子では、液晶分子を垂直配向させるVA型があり、液晶分子を水平配向させるIPS(インプレーンスイッチング)型やその一種であるFFS(フリンジフィールドスイッチング)型等がある。
これら液晶表示素子には、ネマチック液晶が使用されるが、素子の種類に応じて、誘電率異方性(Δε)が正又は負の液晶組成物が使用される。
【0003】
一方で、目的とする表示モードにおける液晶組成物の特性を、液晶組成物に特有の弾性定数を用いてシミュレーションすることにより、液晶組成物を最適化することが検討されている。そして、このような手法を採用することで、n型液晶組成物を効率よく開発することが期待されている。液晶分子の挙動は、外部電界に応じたスプレイ(広がり)、ツイスト(ねじれ)及びベンド(曲がり)の3つのモードによって説明される。上記の弾性定数とは、これらのモードに対応したスプレイの弾性定数(以下、「K11」と称することがある)、ツイストの弾性定数(以下、「K22」と称することがある)、及びベンドの弾性定数(以下、「K33」と称することがある)のことである。
【0004】
これらK11、K22及びK33を用いて、液晶組成物の特性を最適化する方法としては、例えば、IPS型やFFS型の液晶表示素子で用いる液晶組成物として、K33/K11≧1.5かつ1.7≦(K33/K22−K33/K11)≦2.7なる関係式を満たし、平均透過率が0.6以上であるものを選択することで、画素電極の中央部や画素電極間における液晶分子の配列の乱れ(ディスクリネーション)を防止して、液晶表示素子において高精細な表示を可能とする方法が開示されている(特許文献1参照)。この方法では、ディスクリネーションの防止によって、液晶組成物の光の平均透過率が向上するとされている。
【0005】
しかしながら、特許文献1には、n型液晶組成物については何も記載されておらず、特許文献1に記載の方法は、n型液晶組成物を対象としたものとはいえない。さらに、特許文献1には、光の透過率を向上させることに対しての記載はなく、そもそも特許文献1には、n型液晶組成物のK11、K22及びK33の測定方法が開示されておらず、その測定値の妥当性が検証できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4556341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、弾性定数を用いて光の透過率が向上する様に設計されている、誘電率異方性(Δε)の値が負である液晶組成物を使用した液晶表示素子、及び前記液晶表示素子を備えた液晶ディスプレイを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、誘電率異方性(Δε)が−1.5より小さい液晶組成物について、閾値電圧(Vth)、ベンドの弾性定数(K33)、真空の誘電率(ε)、セルギャップ(d)及びらせんピッチ(P)の測定値を使用して、下記式(1)により求めたツイストの弾性定数(K22)の値と、前記液晶組成物のスプレイの弾性定数(K11)及びベンドの弾性定数(K33)の測定値と、を使用して、下記式(2)により求めたΓの値が0.3以下である液晶組成物を使用したことを特徴とする液晶表示素子を提供する。
【0009】
【数1】
【0010】
また、本発明は、前記液晶表示素子を備えたことを特徴とする液晶ディスプレイを提供
する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、弾性定数を用いて光の透過率が向上する様に設計されている、誘電率異方性(Δε)の値が負である液晶組成物を使用した液晶表示素子、及び前記液晶表示素子を備えた液晶ディスプレイが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明で使用されるセルの一実施形態の要部を模式的に示す断面図である。
図2】本発明における弾性定数測定装置の一実施形態を示す概略図である。
図3】本発明の液晶表示素子で使用されるセルの一実施形態の要部を模式的に示す断面図である。
図4】本発明の液晶表示素子で使用されるセルの他の実施形態の要部を模式的に示す断面図である。
図5】本発明の液晶表示素子の一実施形態を模式的に示す図である。
図6図5に示す液晶表示素子を拡大して示す平面図である。
図7図6に示す液晶表示素子を切断したときの断面図である。
図8】実施例1において、液晶表示素子の光の透過率の最大値とΓの値とをプロットしたグラフである。
図9】実施例1において、液晶表示素子の応答時間とΓの値とをプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<<液晶表示素子>>
本発明の液晶表示素子は、誘電率異方性(Δε)が−1.5より小さい液晶組成物について、閾値電圧(Vth)、ベンドの弾性定数(K33)、真空の誘電率(ε)、セルギャップ(d)及びらせんピッチ(P)の測定値を使用して、下記式(1)により求めたツイストの弾性定数(K22)の値と、前記液晶組成物のスプレイの弾性定数(K11)及びベンドの弾性定数(K33)の測定値と、を使用して、下記式(2)により求めたΓの値が0.3以下である液晶組成物を使用したことを特徴とする。
【0014】
【数2】
【0015】
前記式(2)により求めたΓの値が、0.3以下という特定の条件を満たす液晶組成物は、例えば、これを挟持する基板の表面に対して平行な方向の成分を有する電界(横電界)によって駆動するタイプの液晶表示素子では、高い光の透過性(以下、単に「透過性」と称することある)を示す。そして、このような液晶組成物を使用した液晶表示素子は、優れた特性を有する。本発明の液晶表示素子は、このようにスプレイの弾性定数(K11)、ツイストの弾性定数(K22)、及びベンドの弾性定数(K33)を使用して、優れた透過性を有する様に設計されている液晶組成物を使用したものである。
【0016】
前記式(2)において、K22は、誘電率異方性(Δε)が−1.5より小さい液晶組成物について、閾値電圧(Vth)、ベンドの弾性定数(K33)、セルギャップ(d)及びらせんピッチ(P)の測定値を使用して、前記式(1)により求めたものである。
本発明において使用する液晶組成物は、n型液晶組成物である。
【0017】
前記式(1)によりn型液晶組成物のK22を求める方法(K22の測定方法)は、従来知られていない新規なものである。p型液晶組成物のK22の測定方法は、これまでに「米国特許第8168083号明細書」で開示されているが、この方法はn型液晶組成物にそのまま適用できない。一方、n型液晶組成物のK22の測定方法は、これまでに「特開平8−178883号公報」で開示されているが、本発明における上記のK22の測定方法は、これよりも高精度にK22を測定できる点で、極めて優れたものである。まず、本発明におけるK22の測定方法について、以下、説明する。
【0018】
ツイストの弾性定数(K22)は、例えば、電極及び相対する2枚(一対)の基板を有するセルにおいて、K22の測定対象である液晶組成物を挟持し、前記電極間に電圧が印加された状態で、前記液晶組成物が充填された前記セルの静電容量(C)を測定し、前記静電容量(C)から閾値電圧(Vth)を測定し、前記閾値電圧(Vth)、前記液晶組成物のらせんピッチ(P)、ベンドの弾性定数(K33)、真空の誘電率(ε)及び誘電率異方性(Δε)、並びに前記セルのセルギャップ(d)から、前記式(1)により求められる。
【0019】
前記式(1)中のパラメータのうち、誘電率異方性(Δε)は、公知の方法で測定できる。すなわち、垂直配向処理されたセルに測定対象の液晶組成物を封入して、液晶分子の長軸方向の比誘電率εを測定し、水平配向処理されたセルに測定対象の液晶組成物を封入して、液晶分子の短軸方向の比誘電率εを測定し、これら測定値の差により、誘電率異方性(Δε)を求めることができる(Δε=|ε−ε|)。前記式(1)中のパラメータのうち、εは真空の誘電率を示している。
【0020】
前記式(1)中の誘電率異方性(Δε)以外のパラメータは、特定のセルギャップ(d)を有するセルを用いて求める。ここで、これらパラメータを求めるために使用するセルは、目的とする液晶表示素子が備えるセルと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0021】
前記式(1)を用いてK22を求める際に用いる前記セルについて説明する。
前記セルの2枚の基板には、ガラス又はプラスチック等の柔軟性を有する透明な絶縁性材料からなるものを用いることができ、一方は、シリコン等の不透明な絶縁性材料からなるものであってもよい。透明電極を有する透明基板は、例えば、ガラス板等の透明基板上にインジウムスズオキシド(ITO)をスパッタリングすることにより得られる。
【0022】
前記基板は、透明電極が内側となるように対向させる。その際、スペーサーを介して、基板の間隔を調節してもよい。このときは、得られる調光層(液晶組成物を含む液晶層)の厚さが1〜100μmとなるように調節するのが好ましく、1.5〜10μmとなるように調節するのがより好ましく、偏光板を使用する場合は、コントラストが最大になるように液晶の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積を調節することが好ましい。スペーサーとしては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子、フォトレジスト材料等からなる柱状スペーサー等が挙げられる。その後、エポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を、液晶注入口を設けた形で前記基板にスクリーン印刷し、前記基板同士を貼り合わせ、加熱しシール剤を熱硬化させる。
【0023】
図1は、前記セルの一実施形態の要部を模式的に示す断面図である。
ここに示すセル2Cは、第1基板23及び第2基板24の一対の基板を備える。第1基板23の第2基板24に対向(相対)する面には、第2基板24に向かって第1電極231及び第1配向膜232がこの順に積層されている。また、第2基板24の第1基板23に対向(相対)する面には、第1基板23に向かって第2電極241及び第2配向膜242がこの順に積層されている。セル2Cは、第1基板23と第2基板24との間に、液晶組成物を挟持できるようになっている。そして、第1配向膜232及び第2配向膜242は、この挟持された液晶組成物の配向状態を制御する。
図1中、符号dは、セル2Cにおけるセルギャップを表す。
セル2Cは、VA型の液晶表示素子で使用されるセルであり、本発明における弾性定数測定方法では、このようなセルが好適に使用できる。
【0024】
なお、図1で示すセルは、本発明において使用できるセルの一部の例に過ぎず、本発明において使用できるセルはこれらに限定されない。例えば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、これらセルに種々の変更を加えたものも、本発明においては使用可能である。
【0025】
前記式(1)中のパラメータのうち、閾値電圧(Vth)は、以下の方法により測定できる。
すなわち、前記セルを用い、その中に測定対象の液晶組成物を封入して、電極間に液晶組成物を挟持し、電極間に任意の電圧を印加した状態で、液晶組成物が充填された前記セルの静電容量(C)を測定する。このとき、印加する電圧を変化させて、そのときの静電容量(C)をそれぞれ測定することで、電圧と静電容量(C)との関係を確認できるが、電圧を大きくしていく過程で、ほぼ又は完全に一定であった静電容量(C)が急激に大きくなるタイミングがある。このタイミングの電圧が閾値電圧(Vth)となる。閾値電圧(Vth)の測定方法は以上のとおりである。
【0026】
前記式(1)中のパラメータのうち、K33は、Pを無限大(∞)、すなわち、測定対象である液晶組成物としてキラル化合物を含有しないものを用意し、この液晶組成物について、前記式(1)を適用して求めればよい。このときのK33を求める液晶組成物としては、キラル化合物を含有しない点以外は、K22の測定対象である液晶組成物と同じ組成のものを用いればよい。Pが無限大の場合、前記式(1)は、d/Pが0となるため、Vth=π(K33/Δε)1/2と表される。そして、Vth及びΔεは、いずれも上記のように実験的に算出できるため、その値を前記式(1)の近似式に代入することで、K33が求められる。
このように、本発明においてK33を求める方法は、「特開平8−178883号公報」に記載の、2元連立方程式を解いてK33を求める方法とは全く相違し、前記文献に記載の方法で求める場合よりも、高精度にK33を求められる。
【0027】
前記式(1)中のパラメータのうち、らせんピッチ(P)及びセルギャップ(d)は、既知の値である。例えば、図1におけるdは、セルギャップ(d)の一例である。
【0028】
本発明においては、前記液晶組成物の誘電率異方性(Δε)は、上述のように−1.5より小さく、−10以上−1.5未満であることが好ましく、−8以上−1.5未満であることがより好ましく、−6〜−1.8であることがさらに好ましく、−5〜−2であることが特に好ましい。前記液晶組成物の誘電率異方性(Δε)が前記下限値より小さいと、液晶組成物を駆動するための印加電圧の変化に液晶組成物が極めて鋭敏に応答することになり、階調表示が困難になる。また、前記液晶組成物の誘電率異方性(Δε)が前記上限値より大きいと、駆動電圧が上昇し、省電力化の要求に対応することができなくなる。一般的に、液晶表示素子の駆動電圧は、上述の階調表示と省電力化の要求により、5Vから6Vの範囲が好適とされるが、これらの駆動電圧に限定されるものではない。
【0029】
本発明においては、測定対象である前記液晶組成物を、特定のらせんピッチ(P)を有する様に、ツイスト配向させる必要がある。そのためには、例えば、前記液晶組成物へのキラル化合物の添加と、前記電極間への電圧の印加により、前記液晶組成物をツイスト配向させることが好ましい。キラル化合物については、後ほど詳細に説明する。
【0030】
上記の手順によって、前記式(1)中のパラメータ、Vth、Δε及びK33が求まり、さらに、P及びdは既知の値であるため、前記式(1)中のパラメータで確定できていないのはK22のみとなる。したがって、これら5種のパラメータを前記式(1)に代入することで、K22が求まる。
このように、本発明においてK22を求める方法は、「特開平8−178883号公報」に記載の、2元連立方程式を解いてK22を求める方法とは全く相違し、前記文献に記載の方法で求める場合よりも、高精度にK22を求められる。
【0031】
本発明においては、例えば、上述の方法で、d/Pの値が異なる条件で閾値電圧(Vth)を測定し、得られた複数の閾値電圧(Vth)の測定値と、対応する複数のd/Pの値とから、回帰計算によって、Vth及びd/Pを変数とする関数を導出できる。
このとき、d/Pの値が異なるようにするためには、d及びPのいずれか一方を変化させればよいが、実施例で後述するように、Pを一定としてdを変化させて閾値電圧(Vth)を測定した場合よりも、dを一定としてPを変化させて閾値電圧(Vth)を測定した場合の方が、関数の精度が高くなる。すなわち、dを一定としてPを変化させて導出した関数から算出される閾値電圧(Vth)は、閾値電圧(Vth)の実測値との誤差が極めて小さい。したがって、上述の方法で閾値電圧(Vth)からK33を求めた後に、目的とする液晶組成物のK22を求めるときには、このK33を求めたときとdを同じとして、Pを変化させてK22を求めることにより、高精度にK22を求められる。
【0032】
なお、本発明において、「セルギャップ(d)が一定である」とは、セルギャップ(d)が互いに全く同じであるか、又はセルギャップ(d)の差が無視し得るほどに十分に小さいことを意味し、例えば、セルギャップ(d)の差が0〜1.2μmであることを意味する。
また、本発明において、「らせんピッチ(P)が一定である」とは、らせんピッチ(P)が互いに全く同じであるか、又はらせんピッチ(P)の差が無視し得るほどに十分に小さいことを意味し、例えば、らせんピッチ(P)の差が0〜0.6μmであることを意味する。
【0033】
を変化させて、閾値電圧(Vth)を測定するためには、Pが異なる複数種類の液晶組成物を用いる必要がある。このようにPが異なる複数種類の液晶組成物としては、1種類又は2種類以上のキラル化合物を含有し、かつ前記キラル化合物の総含有量が互いに異なる2種類以上の液晶組成物、又は、含有するキラル化合物の前記ヘリカルツイスティングパワーが互いに異なる2種類以上の液晶組成物を用いることが好ましく、含有するキラル化合物の前記ヘリカルツイスティングパワーが互いに異なり、かつこれらキラル化合物の含有量が互いに同じである2種類以上の液晶組成物を用いることがより好ましい。このような複数種類の液晶組成物を用いることで、K22の測定精度がより向上する。なお、キラル化合物として前記ヘリカルツイスティングパワーが互いに異なるものを用いる場合には、通常、キラル化合物として異なる種類のものを用いればよい。ヘリカルツイスティングパワーについては、後ほど詳細に説明する。
【0034】
本発明においては、前記セルのセルギャップ(d)を好ましくは3〜200μm、より好ましくは3〜150μm、さらに好ましくは3.1〜120μm、さらに好ましくは3.2〜100μm、さらに好ましくは3.3〜90μm、さらに好ましくは3.4〜80μm、さらに好ましくは3.5〜70μmとして、K22及びK33を測定する。セルギャップ(d)を前記下限値以上とすることで、一対の基板間で挟持されている液晶分子のうち、基板からの距離が遠いものの比率がより高くなり、配向処理された基板の影響を受けて、基板表面に対して垂直な方向に配向させようとする力を強く受ける液晶分子の比率がより低くなって、例えば、閾値電圧(Vth)をより高精度で測定できるなど、K22の測定精度がより向上する。また、セルギャップ(d)を前記上限値以下とすることで、セルギャップ(d)を規定している前記基板のすべての領域において、セルギャップ(d)のばらつきを抑制する効果が高くなることにより、前記セルのセルギャップ(d)の均一性がより高くなる。
なお、本発明において「セルギャップ(d)」とは、後述する方法で求められたものである。
【0035】
前記セルにおいて、セルギャップ(d)の大きさは、所望の値に調節可能とされていることが好ましい。このようなセルを用いて、セルギャップ(d)を目的とする大きさに調節して測定を行うことで、複数種類のセルを用意する必要がなくなる。また、K22、K33等の弾性定数の測定や、それに必要なVth等の他のパラメータの測定を、セルを交換することなく連続的に行うことができ、本発明における弾性定数測定方法を簡略化できる。
【0036】
セルギャップ(d)の大きさが調節可能とされている前記セルとしては、例えば、前記一対(2枚)の基板のうち、一方の基板のみが、セルギャップ(d)の大きさを変えられるように調節可能とされていてもよいし、両方の基板がともに、セルギャップ(d)の大きさを変えられるように調節可能とされていてもよい。
【0037】
セルギャップ(d)の大きさを変えられるように、基板を調節する方法としては、例えば、一対の基板のいずれか一方又は両方について、これら基板の表面に対して直交する方向における、セル中での配置位置を変える方法等が挙げられ、一の方法を単独で適用してもよいし、二以上の方法を併用してもよい。
セル中での基板の配置位置を変えるためには、例えば、セルとして、ピエゾ素子等を備えたアクチュエータが基板に設けられたものを用い、このアクチュエータを駆動することで、セル中において基板を移動させればよい。
【0038】
セルギャップ(d)を求める方法は、特に限定されないが、簡便かつ高精度に求められる点から、以下に示すように、液晶組成物が充填された前記セルを空気中に置いたときの前記セルの静電容量(C)を測定することにより求める方法、液晶組成物が充填された前記セルに光を入射させたときに発生する干渉光を観測することにより前記セルギャップ(d)を求める方法等が挙げられる。
【0039】
静電容量(C)を測定することによりセルギャップ(d)を求める方法は、以下のとおりである。
静電容量(C)は、液晶組成物が充填された前記セルを空気中に置いたときに、閾値電圧よりも十分に低い電圧を印加した場合の前記セルの静電容量である。ここで、「閾値電圧よりも十分に低い電圧」とは、例えば、閾値電圧に0.1を乗じた電圧(V)以上、閾値電圧に0.9を乗じた電圧(V)以下、程度の電圧である。周知のように、セルギャップ(d)は、静電容量(C)、前記セル中の液晶組成物の比誘電率(ε)、真空の誘電率(ε)、及び前記セルの電極面積(S)との間に、下記式で表される関係を有する。ここで、ε、ε及びSは既知であるため、Cを測定することにより、セルギャップ(d)が求められる。
=ε・ε・S/d
【0040】
一方、前記干渉光を観測することにより前記セルギャップ(d)を求める方法としては、「T.J.Scheffer et.al.,J.Appl.Phys.vol48, p1783(1977)」、及び「F.Nakano,et.al.,JPN.J.Appl.Phys.vol.19,p2013(1980)」に記載の方法に準拠して、He−Neレーザー光を用いる回転検光子法で測定する場合と同様の方法が挙げられる。
【0041】
本発明における上述の弾性定数測定方法によれば、従来、n型液晶組成物について精度のよい測定方法がなかったツイストの弾性定数(K22)も高精度に測定でき、その測定の過程において、ベンドの弾性定数(K33)及び閾値電圧(Vth)も高精度に測定できる。
【0042】
上述の液晶組成物の弾性定数の測定時に使用する、液晶組成物の弾性定数測定装置(以下、単に「測定装置」と略記することがある)としては、例えば、ツイストの弾性定数(K22)の測定対象である液晶組成物を挟持するための、電極及び相対する2枚の基板を有するセルと、前記電極間に、任意の電圧を印加するための電圧印加手段と、前記電極間に電圧が印加された状態で、前記液晶組成物が充填された前記セルの静電容量(C)を測定するための実測手段と、前記実測手段によって測定された静電容量(C)から閾値電圧(Vth)を測定する手段と、前記液晶組成物のらせんピッチ(P)、ベンドの弾性定数(K33)、真空の誘電率(ε)及び誘電率異方性(Δε)、並びに前記セルのセルギャップ(d)を入力することで、前記式(1)により、前記液晶組成物のツイストの弾性定数(K22)を決定する弾性定数決定手段と、を備えるものが挙げられる。
【0043】
前記弾性定数測定装置における前記セルは、上述の弾性定数測定方法で説明したセルと同じものである。
【0044】
前記電圧印加手段は、液晶表示素子においてセル中の電極間に電圧を印加する公知のものでよい。
前記実測手段は、電極間に電圧を印加したときの静電容量を測定できる公知のものでよい。
前記電圧印加手段及び実測手段は、通常、セルと電気的に接続される。
【0045】
前記実測手段によって測定された静電容量(C)から閾値電圧(Vth)を測定する手段(以下、「閾値電圧測定手段」と略記することがある)としては、例えば、前記電圧印加手段で電極間に印加する電圧を変化させたときの、静電容量(C)の変化を検出できるものが挙げられ、一定値以上の静電容量(C)の変化量を自動で検出できるものが好ましい。前記閾値電圧測定手段は、前記実測手段を兼ねるものであってもよい。
【0046】
前記弾性定数決定手段は、入力された前記液晶組成物のらせんピッチ(P)、ベンドの弾性定数(K33)、真空の誘電率(ε)及び誘電率異方性(Δε)、並びに前記セルのセルギャップ(d)の値に基づいて、前記式(1)により、前記液晶組成物のK22を決定するものであり、このようなものとして、例えば、コンピュータの演算装置等を用いることができる。
【0047】
前記弾性定数測定装置は、液晶組成物の誘電率異方性(Δε)を測定する手段として、液晶組成物の比誘電率εを測定する手段と、液晶組成物の比誘電率εを測定する手段と、比誘電率ε及び比誘電率εに基づいて、誘電率異方性(Δε)を算出する手段と、を有するものを備えていてもよい。
比誘電率εを測定する手段としては、例えば、垂直配向処理されたセルと、このセルと電気的に接続されたLCRメータと、を有するものが挙げられる。
比誘電率εを測定する手段としては、例えば、水平配向処理されたセルと、このセルと電気的に接続されたLCRメータと、を有するものが挙げられる。
誘電率異方性(Δε)を算出する手段は、例えば、入力された比誘電率ε及び比誘電率εの値に基づいて、式「Δε=|ε−ε|」により、前記液晶組成物のΔεを算出するものであり、このようなものとして、例えば、コンピュータの演算装置等を用いることができる。なお、前記式(1)中のパラメータのうち、εは真空の誘電率を示している。
【0048】
前記弾性定数測定装置は、セルギャップ(d)を測定する手段を備えていてもよい。
セルギャップ(d)を測定する手段としては、例えば、セルに光を入射させる光源と、干渉光の干渉縞のピッチを測定する測定器と、入力された干渉縞のピッチの測定値に基づいて、液晶組成物の屈折率の波長分散を考慮したセルギャップ(d)を算出する手段と、有するものも挙げられる。
また、セルギャップ(d)を測定する手段としては、例えば、セルの静電容量(C)を測定する手段と、入力された液晶組成物の比誘電率(ε)、真空の誘電率(ε)、セルの電極面積(S)、及びセルの静電容量(C)の値に基づいて、式「C=ε・ε・S/d」によりセルギャップ(d)を算出する手段と、を有するものも挙げられる。
上述の、入力された干渉縞のピッチの測定値に基づいて、セルギャップ(d)を算出する手段と、入力された液晶組成物の比誘電率(ε)、真空の誘電率(ε)、セルの電極面積(S)、及びセルの静電容量(C)の値に基づいて、セルギャップ(d)を算出する手段としては、例えば、コンピュータの演算装置等を用いることができる。
【0049】
前記弾性定数測定装置の一実施形態を図2に概略的に示す。ここに示す測定装置1は、セル2、電圧印加手段3、実測手段4、閾値電圧測定手段5及び弾性定数決定手段6を備える。なお、図2中、符号9は配線を示している。
【0050】
測定装置1において、セル2としては、例えば、図1に示すセル2C等を用いることができる。
【0051】
測定装置1において、電圧印加手段3及び実測手段4は、セル2と電気的に接続されており、閾値電圧測定手段5は実測手段4及び弾性定数決定手段6と電気的に接続されている。これにより、例えば、実測手段4により測定された静電容量(C)の情報が、閾値電圧測定手段5に自動で送信され、閾値電圧測定手段5において、閾値電圧(Vth)が自動的に求められるように設定できる。
【0052】
測定装置1がセルギャップ(d)を測定する手段71を備えている場合、セルギャップ(d)を測定する手段71は、セル2と電気的に接続され、セルギャップ(d)を自動で測定できるよう設定されていることが好ましく、さらに、セルギャップ(d)を測定する手段71は、弾性定数決定手段6と電気的に接続され、セルギャップ(d)の測定値を弾性定数決定手段6に自動で入力できるよう設定されていることが好ましい。
【0053】
また、測定装置1が誘電率異方性(Δε)を算出する手段72を備えている場合、誘電率異方性(Δε)を算出する手段72は、弾性定数決定手段6と電気的に接続され、誘電率異方性(Δε)の測定(算出)値を弾性定数決定手段6に自動で入力できるよう設定されていることが好ましい。
【0054】
ただし、測定装置1は、本発明で使用可能なものの一例に過ぎず、本発明で使用する弾性定数測定装置は、これに限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられたものでもよい。
【0055】
なお、K11は、従来より知られている測定方法で求められる。
例えば、電極間に高電圧(V)を印加した場合における、液晶組成物が充填されたセルの静電容量(C)から求められる。電極間に電圧を印加していない状態での液晶セルでは、液晶分子は垂直配向する。垂直配向した液晶分子の基板に対するダイレクタの傾き角(φ)を0とすれば、電極間に高電圧(V)を印加した場合、セルの厚さ方向の中央における液晶分子のダイレクタの傾き角(φm)がπ/2ラジアンに近似されることを考慮し、Cを特に閾値電圧(Vth)よりも十分に低い電圧を印加したときの、液晶組成物が充填されたセルの静電容量とした場合、下記式(3)が成り立つことが知られている。ただし、式(3)中のa、γはそれぞれ下記式(31)、(33)で表され、式(31)中のκは、下記式(32)で表される。なお、ここで「閾値電圧よりも十分に低い電圧」とは、先に説明したとおりである。
【0056】
【数3】
【0057】
ここで、a及びγは定数であり、前記式(3)から明らかなように、「(C−C)/C」を縦軸にとり、「Vth/V」を横軸にとってグラフにプロットすると、これら変数の間には直線関係が成り立つ。そこで、印加電圧(V)を変化させて静電容量(C)を測定し、実際に「(C−C)/C」及び「Vth/V」をグラフにプロットして、得られた直線の傾き(すなわち、「Vth/V」の変化量に対する「(C−C)/C」の変化量の割合)を求めることができる。このとき得られる傾きの値は、前記式(3)より「a・γ」に等しくなるので、aが求められ、さらに前記式(31)によりκが求められ、前記式(32)によりK11が求められる。
【0058】
<キラル化合物>
前記キラル化合物は、公知のものでよく、例えば、不斉原子を有する化合物、軸不斉を有する化合物、面不斉を有する化合物、及びアトロプ異性体のいずれでもよいが、不斉原子を有する化合物又は軸不斉を有する化合物が好ましい。不斉原子を有する化合物において、不斉原子は不斉炭素原子であると、立体反転が起こりにくく好ましいが、ヘテロ原子が不斉原子となっていてもよい。不斉原子は鎖状構造の一部に導入されていても、環状構造の一部に導入されていてもよい。螺旋誘起力が強いことを特に要求される場合には、軸不斉を有する化合物が好ましい。
また、前記キラル化合物は重合性基を有するものでも、重合性基を有しないものでもよい。
前記キラル化合物は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0059】
不斉原子を有する化合物としては、側鎖部分に不斉炭素を有する化合物、環構造部分に不斉炭素を有する化合物及びその両方を満たす化合物が挙げられる。具体的には下記一般式(Ch−I)で表される化合物が挙げられる。
【0060】
【化1】
一般式(Ch−I)中、R100及びR101は互いに独立して、水素原子、シアノ基、NO、ハロゲン、OCN、SCN、SF、炭素原子数1〜30個のキラル又はアキラルなアルキル基、重合性基又は環構造を含むキラルな基を表すが、該アルキル基中の1個又は2個以上の隣接していないCH基は互いに独立して、−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−、−CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−又はC≡C−により置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は互いに独立して、ハロゲン又はシアノ基によって置換されていてもよく、該アルキル基は直鎖状であっても、分岐していても又は環構造を含んでいてもよい。
CH基が置換されているキラルなアルキル基としては、以下の式(Ra)〜(Rk)が好ましい。
【0061】
【化2】
【0062】
【化3】
【0063】
式中、R及びRは、各々独立に炭素原子数1〜10の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は水素原子を表し、該アルキル基の1つ又は2つ以上の−CH−基は酸素原子又は硫黄原子が相互に直接結合しないものとして−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−O−SO−、−SO−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH−で置き換えられてもよく、さらにアルキル基の1つ又はそれ以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子あるいはシアノ基で置き換えられていてもよく、重合性基を有していてもよい。重合性基としては、下記の式(R−1)〜(R−15)で表される構造が好ましい。
【0064】
【化4】
【0065】
また、X及びXは、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、シアノ基、フェニル基(該フェニル基の1つ又は2つ以上の任意の水素原子はハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、メチル基、メトキシ基、−CF、−OCFで置換されていてもよい。)、メチル基、メトキシ基、−CF、又は−OCFであることが好ましい。ただし、一般式(Rc)及び(Rh)において、アステリスク*を付した位置が不斉原子となるためには、XはXと異なる基が選択される。
【0066】
また、nは0〜20の整数であり、nは0又は1であり、
一般式(Rd)及び(Ri)におけるRは、水素原子又はメチル基が好ましく、
一般式(Re)及び(Rj)におけるQは、メチレン基、イソプロピリデン基、シクロヘキシリデン基などの二価の炭化水素基が挙げられ、
一般式(Rk)におけるkは、0〜5の整数であり、
より好ましくは、R=C、C13、C17などの炭素原子数4〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。また、Xとしては、F、CF、CHが好ましい。
中でも特に、CH基が置換されているキラルなアルキル基としては、
【0067】
【化5】
(式中、oは0又は1であり、nは2〜12、好ましくは3〜8、より好ましくは4、5又は6の整数であり、アステリスク*は、キラルな炭素原子を表す。)が好ましい。
【0068】
一般式(Ch−I)中、Z100及びZ101は互いに独立して、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−N(R)−、−N(R)−CO−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−又は単結合を表し、−CO−N(R)−又は−N(R)−CO−におけるRは水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表すが、−CFO−、−OCF−、−CFCF−、−CF=CF−、−COO−、−OCO−、−CH−CH−、−C≡C−又は単結合であるのが好ましい。
【0069】
一般式(Ch−I)中、A100及びA101は互いに独立して、(a) トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は互いに独立して−O−又は−S−に置き換えられてもよい。)、(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は窒素原子に置き換えられてもよい。)又は(c) 1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、インダン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(これら(c)群の基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は互いに独立して−O−又は−S−に置き換えられてもよく、これら(c)群の基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は窒素原子に置き換えられてもよい。)からなる群より選ばれる基を表すが、これらの全ての基は、非置換であるか、ハロゲン、シアノ基、NO又は、1個若しくは2個以上の水素原子がF若しくはClにより置換されていてもよい炭素原子数1〜7個のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル若しくはアルコキシカルボニル基で一置換若しくは多置換されていてよい。
【0070】
100及びA101は、1,4−フェニレン又はトランス−1,4−シクロヘキシレンが好ましいが、これらの環が、非置換であるか、あるいは1〜4位において、F、Cl、CNあるいは、1〜4個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル又はアルコキシカルボニルで置換されているのが好ましい。
【0071】
一般式(Ch−I)中、n11は0又は1を表し、n11が0のとき、m12は0であり、かつm11は0、1、2、3、4又は5であり、n11が1のとき、m11とm12は各々独立に0、1、2、3、4又は5であり、n11が0のとき、R100及びR101の少なくとも1つは、キラルなアルキル基、重合性基又は環構造を含むキラルな基である。
11及びm12が0のとき、m11は1、2又は3であるのが好ましく、n11が1のとき、m11及びm12は各々独立に1、2又は3であるのが好ましい。
【0072】
一般式(Ch−I)中、Dは、下記式(D1)〜(D3)
【0073】
【化6】
(式中、ベンゼン環の任意の1つ又は2つ以上の任意の水素原子はハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、炭素原子数1〜20のアルキル基又はアルコキシ基で置換されていてもよく、該アルキル基又はアルコキシ基の水素原子は任意にフッ素原子に置換されていてもよく、また該アルキル基又はアルコキシ基中のメチレン基は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−又はC≡C−により、酸素原子又は硫黄原子が互いに直接結合しないように置換されていてもよい。)で表される。)で表される置換基である。
【0074】
一般式(Ch−I)における部分構造、−(A100−Z100)m11−(D)n11−(Z101−A101)m12−においてn11が0である場合には、該部分構造は以下の構造が好ましい。
【0075】
【化7】
【0076】
【化8】
【0077】
(但し、これらの式においてベンゼン環の任意の1つ又は2つ以上の任意の水素原子はハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、メチル基、メトキシ基、−CF、−OCFで置換されていてもよく、ベンゼン環の任意の1つ又は2つ以上の炭素原子は、窒素原子に置換されていてもよく、これらの置換基及び窒素原子の導入は結晶性の低下及び誘電率異方性の向きや大きさを制御するのに好ましい。Zの定義は式(Ch−I)におけるZ100及びZ101と同じである。)が挙げられる。信頼性の面では、ピリジン環、ピリミジン環等の複素環よりもベンゼン環やシクロヘキサン環の方が好ましい。誘電率異方性を大きくするという面では、ピリジン環、ピリミジン環等の複素環を有する化合物を使うことがよいが、その場合には化合物が有する分極性が比較的大きく、結晶性を低下させ液晶性を安定化するために好ましく、ベンゼン環やシクロヘキサン環等の炭化水素環である場合には、化合物が有する分極性が低い。このため、キラル化合物の分極性に応じて、適切な含有量を選択することが好ましい。
【0078】
11及びm12が0のとき、一般式(Ch−I)で表される化合物の好ましい形態は、以下のとおりである。
【0079】
【化9】
【0080】
【化10】
【0081】
【化11】
【0082】
【化12】
【0083】
【化13】
式中、R100、R101及びZ100は、一般式(Ch−I)におけるR100、R101及びZ100と同じ意味を表し、R100及びR101の少なくとも一つはキラルな基を表し、L100〜L105は各々独立に水素原子又はフッ素原子を表す。
中でも、一般式(Ch−I)で表される化合物は、下記式で表される化合物が好ましい。
【0084】
【化14】
【0085】
11が1を表すとき、一般式(Ch−I)で表される化合物は環構造部分に不斉炭素を有する構造となるが、キラルな構造Dは式(D2)が好ましい。
Dが式(D2)を表す場合の一般式(Ch−I)で表される化合物は、具体的には以下の式(D2−1)〜(D2−8)
【0086】
【化15】
【0087】
【化16】
【0088】
軸不斉化合物としては、下記一般式(IV−d4)、(IV−d5)、(IV−c1)及び(IV−c2)で表される化合物が好ましい。ここで軸不斉の軸は、一般式(IV−d4)、(IV−d5)、(IV−c2)の場合、2つのナフタレン環のα位を結ぶ結合であり、一般式(IV−c1)の場合、2つのベンゼン環を結ぶ単結合である。
【0089】
【化17】
【0090】
【化18】
【0091】
一般式(IV−d4)及び(IV−d5)中、R71及びR72は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ(CN)基、イソシアネート(NCO)基、イソチオシナネート(NCS)基又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表すが、このアルキル基中の任意の1つ又は2つ以上の−CH−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、又は−C≡C−で置き換えられてもよく、このアルキル中の任意の水素はハロゲン原子で置き換えられてもよい。
【0092】
一般式(IV−d4)及び(IV−d5)中、A71及びA72は各々独立に、芳香族性あるいは非芳香族性の3、6ないし8員環、又は、炭素原子数9以上の縮合環を表すが、これらの環の任意の水素原子がハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基又はハロアルキル基で置き換えられてもよく、環の1つ又は2つ以上の−CH−は−O−、−S−、又は−NH−で置き換えられてもよく、環の1つ又は2つ以上の−CH=は−N=で置き換えられてもよい。
【0093】
一般式(IV−d4)及び(IV−d5)中、Z71及びZ72は各々独立に、単結合又は炭素原子数1〜8のアルキレン基を表すが、任意の−CH−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CSO−、−OCS−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−N(O)=N−、−N=N(O)−、−CH=CH−、−CF=CF−、又は−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素原子はハロゲン原子で置き換えられてもよい。
【0094】
一般式(IV−d4)及び(IV−d5)中、X71及びX72は各々独立に単結合、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、又は−CHCH−を表す。
【0095】
一般式(IV−d4)及び(IV−d5)中、m71及びm72は各々独立に1〜4の整数を表す。ただし、一般式(IV−d5)におけるm71及びm72のいずれか一方は0でもよい。
は、水素原子、ハロゲン原子、又はX71−(A71−Z71)−R71と同じ意味を表す。
【0096】
一般式(IV−c1)及び(IV−c2)中、X61とY61、X62とY62は、それぞれ、いずれか少なくとも一方が存在し、X61、X62、Y61、Y62は、各々独立にCH、C=O、O、N、S、P、B、Siのいずれかを表す。また、N、P、B、Siである場合は、所要の原子価を満足するように、アルキル基、アルコキシ基、アシル基等の置換基と結合されていてもよい。
【0097】
一般式(IV−c1)及び(IV−c2)中、E61及びE62は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリル基、ベンジル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルエーテル基、アルキルエステル基、アルキルケトン基、複素環基又はこれらの誘導体のいずれかを表す。
また、一般式(IV−c1)及び(IV−c2)中、R61及びR62は、各々独立に、アルキル基、アルコキシル基もしくはハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基、シクロペンチル基、又はシクロヘキシル基を表す。
【0098】
一般式(IV−c1)中、 R63、R64、R65、R66、R67及びR68は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、又はジアルキルアミノ基を示し、R63、R64及びR65のうちの2つが、置換基を有していてもよいメチレン鎖、又は置換基を有していてもよい、モノ又はポリメチレンジオキシ基を形成していてもよく、R66、R67及びR68のうちの2つが、置換基を有していてもよいメチレン鎖、又は置換基を有していてもよい、モノ又はポリメチレンジオキシ基を形成していてもよい。ただし、R65とR66が共に水素原子の場合は除く。
【0099】
らせん誘起力が強いことを特に要求される場合には、一般式(IV−d4)及び(IV−d5)で表される化合物が特に好ましい。
【0100】
前記液晶組成物のらせんピッチ(P)は、前記液晶組成物中のキラル化合物の濃度が高くなると小さくなるが、前記液晶組成物中のキラル化合物の濃度が低い場合には、キラル化合物の濃度(c(質量%))とらせんピッチ(P(μm))の積は一定となることが知られており、その逆数を用いて、下記式(4)で表されるヘリカルツイスティングパワー(HTP(μm−1))が定義されている。ヘリカルツイスティングパワー(HTP)は、キラル化合物の液晶組成物をツイスト配向させる能力(らせん誘起力)の大きさを示す。
HTP=1/(P×0.01c) ・・・(4)
【0101】
本発明においては、前記キラル化合物のヘリカルツイスティングパワー(HTP)は、1.0〜100.0μm−1であることが好ましく、2.0〜70.0μm−1であることがより好ましく、3.0〜20.0μm−1であることが特に好ましい。
キラル化合物のヘリカルツイスティングパワー(HTP)が前記下限値以上であることで、液晶組成物は、キラル化合物の含有量によって物性値が影響を受けることなく、十分なツイスト配向能が得られる。また、キラル化合物のヘリカルツイスティングパワー(HTP)が前記上限値以下であることで、液晶組成物は、キラル化合物の含有量が少なくても、十分なツイスト配向能が得られる。
【0102】
通常、測定対象である前記液晶組成物の前記キラル化合物の含有量が多いほど、閾値電圧(Vth)は小さくなる。このような効果も考慮し、測定対象である前記液晶組成物の前記キラル化合物の含有量は、例えば、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.0005質量%以上、さらに好ましくは0.001質量%以上、さらに好ましくは0.0025質量%以上、さらに好ましくは0.005質量%以上、さらに好ましくは0.0075質量%以上、さらに好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.025質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.075質量%以上である。また、測定対象である前記液晶組成物の前記キラル化合物の含有量は、例えば、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7.5質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3.5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.8質量%以下、さらに好ましくは0.6質量%以下、さらに好ましくは0.4質量%以下である。
【0103】
本発明におけるK22の測定対象である液晶組成物は、誘電率異方性(Δε)が−1.5より小さいn型液晶組成物であり、通常は、重合性化合物を含有しないものである。
本発明の液晶表示素子で使用する液晶組成物も、誘電率異方性(Δε)が−1.5より小さいn型液晶組成物であり、上述の液晶組成物の弾性定数測定方法及び弾性定数測定装置を利用して、設計を行ったものが好ましい。
本発明の液晶表示素子で使用する液晶組成物としては、例えば、上述の液晶組成物の弾性定数測定方法を適用するn型液晶組成物と同じものが挙げられる。
本発明の液晶表示素子で使用する液晶組成物は、前記弾性定数測定方法の適用対象であるn型液晶組成物が、さらに重合性化合物を含有したものでもよい。
【0104】
本発明の液晶表示素子で使用する液晶組成物において、上述のK11、K22及びK33を使用して定義される、前記式(2)により求めたΓの値は、0.3以下となる。これは、液晶組成物の光の透過率を向上させるためには、単にK22の値(絶対値)を小さくするだけではなく、K11及びK33の値にして、K22の値を相対的に小さくすればよいことを意味する。そして、0.3以下というΓの値は、後述する実施例により特定されたものである。
【0105】
前記液晶組成物は、通常、前記Γの値が小さくなるほど、光の透過率が向上し、駆動電圧(V100電圧)が低下する傾向となる。これとは逆に、前記Γの値が大きくなるほど、光の透過率が低下し、駆動電圧(V100電圧)が増大する傾向となる。
従って、本発明の液晶表示素子で使用する液晶組成物において、前記Γの値は0.01以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましく、0.1以上であることがさらに好ましく、0.2以上であることが特に好ましい。Γの値が前記下限値以上であることで、液晶表示素子の駆動電圧が大きく低下することなく、光の透過率がより向上する。
【0106】
また、本発明の液晶表示素子で使用する液晶組成物は、前記Γの値が大きくなるほど、応答時間の向上も可能である。このように応答時間を向上させるという観点でも、上述の透過率の場合と同様に、前記Γの値は0.01以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましく、0.1以上であることがさらに好ましく、0.2以上であることが特に好ましい。
【0107】
一方、本発明の液晶表示素子で使用する液晶組成物は、前記Γの値が0.3以下であればよく、例えば、0.27以下及び0.25以下等のいずれかとすることが可能である。
【0108】
液晶組成物は、これに特有の弾性定数(K11、K22、K33)を使用してシミュレーションすることにより、目的とする特性を有しているか否かを推測することが可能であり、このような手法は、液晶組成物の設計に極めて有用である。
しかし、n型液晶組成物を駆動するときに、液晶分子は、そのセル中での存在箇所によって加えられる力の大きさ及び方向が異なり、さらに近傍に存在する液晶分子との間で及ぼし合う相互作用の大きさ及び方向も異なる。したがって、弾性定数(K11、K22、K33)のうち一部のものしか考慮しなかったり、誤差の大きい弾性定数(特にK22)を使用したりすると、液晶組成物の特性を精度よく推測することができず、この点で従来法は、不十分なものであった。
これに対して、本発明の液晶表示素子で使用する液晶組成物は、K22も含めて高精度な弾性定数に基づいて設計されており、推測される特性は高精度であり、設計精度が極めて高い。したがって、このような液晶組成物を使用した本発明の液晶表示素子も、設計精度が極めて高い。
以下、本発明の液晶表示素子の好ましい実施形態について、より具体的に説明する。
【0109】
本発明の液晶表示素子は、上述のような液晶組成物を使用したものであり、例えば、図1で示したものと同様のセルを備えたVA型の液晶表示素子が挙げられる。
また、本発明の液晶表示素子としては、これ以外にも、図3若しくは4に示すセルを備えた、IPS(インプレーンスイッチング)型又はFFS(フリンジフィールドスイッチング)型の液晶表示素子が挙げられる。
本発明の液晶表示素子は、液晶組成物として、上述のものを有する点以外は、公知の液晶表示素子と同様の構成とすることができる。
まず、図3及び4に示すセルについて、詳細に説明する。
【0110】
図3は、本発明の液晶表示素子で使用されるセルの一実施形態の要部を模式的に示す断面図である。
ここに示すセル2Aは、第1基板21及び第2基板22の一対の基板を備える。第1基板21の第2基板22に対向(相対)する面には、第1電極211A及び第2電極212Aが交互に配置されている。ここでは、第1電極211Aが+極、第2電極212Aが−極に相当する場合を示している。セル2Aは、第1基板21と第2基板22との間に、液晶組成物を挟持できるようになっている。
【0111】
セル2Aは、セルギャップd、第1電極211A及び第2電極212Aの電極幅W、第1電極211A及び第2電極212Aの電極間距離Lが、L/d>1かつL/W>1という条件を満たしており、電極間距離Lがセルギャップd及び電極幅Wよりも大きく、第1電極211A及び第2電極212Aが互いに接近した構造を有しないものであって、IPS型液晶表示素子で使用される電極構成を有する。
【0112】
図4は、本発明の液晶表示素子で使用されるセルの他の実施形態の要部を模式的に示す断面図である。なお、図4に示す構成要素のうち、図3に示す構成要素と同じものには、図3の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0113】
ここに示すセル2Bは、第1基板21及び第2基板22の一対の基板を備える。第1基板21の第2基板22に対向する面には、第2基板22側に向かって、第2電極212B及び絶縁層213がこの順に積層され、さらに絶縁層213の第2基板22に対向する面には、複数個の第1電極211Bが所定の間隔を空けて配置されている。ここでは、第1電極211Bが+極、第2電極212Bが−極に相当する場合を示している。セル2Bは、第1基板21と第2基板22との間に、液晶組成物を挟持できるようになっている。
セル2Bにおいて、セルギャップd、第1電極211Bの電極幅Wは、例えば、それぞれセル2Aにおけるd、Wと同様とすることができる。セル2Bは、いわばセル2Aにおいて電極間距離Lを0(ゼロ)とするために、絶縁層213を介して第1電極211B及び第2電極212Bを積層した構造を有し、FFS型液晶表示素子で使用される電極構成を有する。
【0114】
特にFFS型であるセル2Bでは、第1基板21及び第2基板22の表面に平行な方向(横方向)に加えて、さらに第1基板21及び第2基板22の表面に対して垂直な方向(縦方向)にも電界を発生する。特に、第1電極211Bの側面の近傍領域においては、縦方向に強い電界を発生する。この場合、IPS型液晶表示素子で使用されるセルとは異なり、電極間(第1電極211B及び第2電極212B間)に位置する液晶分子だけでなく、電極上(第1電極211B上、第2電極212B上)に位置する液晶分子も、より強く駆動される。したがって、このようなセル2Bは第1電極211B及び第2電極212Bを、それぞれ透明電極とすることで、これら電極部分でも表示機能を発現させることができ、このようなセルを備えた液晶表示素子は、開口率を大きくすることができる。
【0115】
なお、図1、3及び4で示すセルは、本発明の液晶表示素子において使用できるセルの一部の例に過ぎず、前記液晶表示素子において使用できるセルはこれらに限定されない。例えば、図1、3及び4で示すセルに種々の変更を加えたものも使用可能である。
【0116】
図5は本発明の液晶表示素子の一実施形態を模式的に示す図である。なお、図5では、説明のために便宜上各構成要素を離間して記載している。ここに示す液晶表示素子10は、配向膜14が表面に形成された第1の透明絶縁基板(以下、「第1基板」と略記することがある)12と、前記第1基板から離間して設けられ、かつ配向膜14が表面に形成された第2の透明絶縁基板(以下、「第2基板」と略記することがある)17と、第1基板12及び第2基板17間に充填され、かつ前記一対の配向膜と当接する液晶層15と、を備え、前記配向膜14と前記第1基板12との間にアクティブ素子として薄膜トランジスタ、共通電極122及び画素電極121を備えた電極層13を有している。
【0117】
液晶表示素子10は、図5に示すように、対向配置された第1基板12と、第2基板17とを備え、これらの間に前記液晶組成物を含有する液晶層15を挟持する、横電界方式(ここでは、一例としてIPS型の一形態であるFFS型)の液晶表示素子である。第1基板12は、液晶層15側の面に電極層13が形成されている。また、液晶層15と第1基板12の間、及び液晶層15と第2基板17との間のそれぞれに、液晶層15を構成する前記液晶組成物と直接当接してホモジニアス配向を誘起する一対の配向膜14,14を備えており、これら配向膜14の配向方向は、いずれも第1基板12又は第2基板17の表面に対して略平行な方向である。すなわち、前記液晶組成物中の液晶分子は、電圧無印加時に、第1基板12又は第2基板17の表面に対して略平行になるように配向される。図5及び7に示すように、第1基板12及び第2基板17は、一対の偏光板11,18により挟持されていてもよい。さらに、図5及び7に示すように、第2基板17と配向膜14との間にはカラーフィルター16が設けられている。なお、本発明の液晶表示素子は、いわゆるカラーフィルターオンアレイ(COA)であってもよいし、薄膜トランジスタを含む電極層と液晶層との間にカラーフィルターを設けてもよいし、前記薄膜トランジスタを含む電極層と第2基板との間にカラーフィルターを設けてもよい。
ここに示す液晶表示素子10は、第1偏光板11と、第1基板12と、薄膜トランジスタを含む電極層13と、配向膜14と、前記液晶組成物を含む液晶層15と、配向膜14と、カラーフィルター16と、第2基板17と、第2偏光板18と、が順次積層された構成である。
【0118】
第1基板12及び第2基板17は、ガラス又はプラスチック等の柔軟性を有する透明な絶縁性材料からなるものを用いることができ、一方は、シリコン等の不透明な絶縁性材料からなるものであってもよい。第1基板12及び第2基板17は、例えば、周辺領域に配置されたエポキシ系熱硬化性組成物等のシール材及び封止材によって貼り合わされていて、その間には、基板間距離を保持するために、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子等の粒状スペーサー又はフォトリソグラフィ法により形成された樹脂からなるスペーサー柱が配置されていてもよい。
【0119】
図6は、図5における第1基板12上に形成された電極層13のII線で囲まれた領域を拡大して示す平面図である。そして、図7は、図6のIII−III線方向に図3に示す液晶表示素子を切断したときの断面図である。図6に示すように、第1基板12の表面に形成されている薄膜トランジスタを含む電極層13は、走査信号を供給するための複数のゲート配線124と表示信号を供給するための複数のデータ配線125とが、互いに交差してマトリクス状に配置されている。なお、図6には、一対のゲート配線124及び一対のデータ配線125のみを示している。
複数のゲート配線124と複数のデータ配線125とによって囲まれた領域により、液晶表示装置の単位画素が形成され、前記単位画素内には、画素電極121及び共通電極122が形成されている。ゲート配線124とデータ配線125との交差部の近傍には、ソース電極127、ドレイン電極126及びゲート電極128を含む薄膜トランジスタが設けられている。この薄膜トランジスタは、画素電極121に表示信号を供給するスイッチ素子として、画素電極121と連結しており、画素電極121を駆動する。また、ゲート配線124と並行して、共通ライン129が設けられている。この共通ライン129は、共通電極122に共通信号を供給するために、共通電極122と連結している。
【0120】
薄膜トランジスタの構造の好適な一態様は、例えば、図7で示すように、第1基板12の表面に形成されたゲート電極111と、前記ゲート電極111を覆い、且つ第1基板12の略全面を覆うように設けられたゲート絶縁層112と、ゲート電極111と対向するようゲート絶縁層112の表面に形成された半導体層113と、半導体層113の表面の一部を覆うように設けられた保護層114と、保護層114及び半導体層113の一方の側端部を覆い、かつ第1基板12の表面に形成されたゲート絶縁層112と接触するように設けられたドレイン電極116と、保護層114及び半導体層113の他方の側端部を覆い、かつ第1基板12の表面に形成されたゲート絶縁層112と接触するように設けられたソース電極117と、ドレイン電極116及びソース電極117を覆うように設けられた絶縁保護層118と、を有している。薄膜トランジスタにおいては、ゲート電極111の表面にゲート電極との段差を無くす等の理由により、陽極酸化被膜(図示せず)を形成してもよい。
【0121】
半導体層113には、アモルファスシリコン、多結晶ポリシリコン等を用いることができるが、ZnO、IGZO(In−Ga−Zn−O)、ITO等の透明半導体膜を用いると、光吸収に起因する光キャリアの弊害を抑制でき、素子の開口率を増大する観点からも好ましい。
さらに、ショットキー障壁の幅や高さを低減する目的で半導体層113とドレイン電極116又はソース電極117との間に、オーミック接触層115を設けてもよい。オーミック接触層115には、n型アモルファスシリコンやn型多結晶ポリシリコン等のリン等の不純物を高濃度に添加した材料を用いることができる。
【0122】
ゲート配線126、データ配線125、共通ライン129は、金属であることが好ましく、Al、Cu、Au、Ag、Cr、Ta、Ti、Mo、W、Ni又はその合金であることがより好ましく、Al又はその合金であることが特に好ましい。また、絶縁保護層118は、絶縁機能を有する層であり、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、ケイ素酸窒化膜等で形成される。
【0123】
図6及び7に示す実施形態では、共通電極122はゲート絶縁層112(すなわち、第1基板12)上の略全面に形成された平板状の電極であり、一方、画素電極121は共通電極122を覆う絶縁保護層118上に形成された櫛形の電極である。すなわち、共通電極122は画素電極121よりも第1基板12の近くに配置され、これらの電極は絶縁保護層118を介して互いに重なりあって配置される。画素電極121と共通電極122は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IZTO(Indium Zinc Tin Oxide)等の透明導電性材料により形成される。画素電極121と共通電極122が透明導電性材料により形成されるため、単位画素面積で開口される面積が大きくなり、開口率及び透過率が増加する。
【0124】
また、画素電極121と共通電極122との間にフリンジ電界を形成するために、画素電極121と共通電極122との間の電極間距離(最小離間距離)Rが、第1基板12と第2基板17との間の基板間距離Gより小さくなっている。ここで、電極間距離Rは、基板の表面に対して平行な方向の各電極間の距離を表す。図7では、平板状の共通電極122と櫛形の画素電極121とが重なり合っているため、電極間距離Rが0である例を示しており、電極間距離(最小離間距離)Rが第1基板12と第2基板17との間の基板間距離(すなわち、セルギャップ)Gよりも小さくなるため、フリンジの電界Eが形成される。したがって、FFS型の液晶表示素子では、画素電極121の櫛形を形成するラインに対して垂直な方向に形成される水平方向の電界と、放物線状の電界とを利用できる。画素電極121の櫛状部分の電極幅l、及び画素電極121の櫛状部分の間隙mは、発生する電界により液晶層15内の液晶分子が全て駆動され得る程度の幅に形成することが好ましい。また、画素電極121と共通電極122との間の電極間距離(最小離間距離)Rは、ゲート絶縁層112の(平均)膜厚として調整することができる。また、本発明の液晶表示素子は、図7とは異なり、画素電極121と共通電極122との間の電極間距離(最小離間距離)Rが、第1基板12と第2基板17との間の基板間距離Gより大きくなるように形成されてもよい(IPS型に相当する)。このような液晶表示素子では、例えば、櫛状の画素電極及び櫛状の共通電極が、略同一面内に交互になるように設けられた構成等を有する。
【0125】
本発明の液晶表示素子は、フリンジ電界を利用するFFS型の液晶表示素子であることが好ましく、隣接する共通電極122と画素電極121との最短離間距離が、配向膜14同士(基板間距離)の最短離間距離より短いと、共通電極と画素電極との間にフリンジ電界が形成され、液晶分子の水平方向及び垂直方向の配向を効率的に利用することができる。本発明のFFS型の液晶表示素子の場合、長軸方向が、配向膜の配向方向と平行になるように配置している液晶分子に電圧を印加すると、画素電極121と共通電極122との間に放物線形の電界の電気力線が画素電極121と共通電極122の上部にまで形成され、液晶層15内の液晶分子の長軸が形成された電界に直交して配列する。したがって、低い誘電異方性でも液晶分子を駆動できる。
【0126】
カラーフィルター16は、光の漏れを防止する観点で、薄膜トランジスタ及びストレイジキャパシタ123に対応する部分にブラックマトリックス(図示略)を形成することが好ましい。また、カラーフィルター16は、通常、R(赤)、G(緑)、B(青)の3つのフィルターで形成され、映像や画像の1ドットを構成し、例えば、これら3つのフィルターはゲート配線の延びる方向に並んでいる。カラーフィルター16は、例えば、顔料分散法、印刷法、電着法又は染色法等によって作製できる。例えば、顔料分散法によるカラーフィルターの作製方法について説明すると、カラーフィルター用の硬化性着色組成物を、透明基板上に塗布し、パターニング処理を施し、加熱又は光照射によって硬化させる。この工程を、赤、緑、青の3色についてそれぞれ行うことで、カラーフィルター用の画素部を作製できる。その他、前記基板上に、TFT、薄膜ダイオード等の能動素子を設けた画素電極を設置したいわゆるカラーフィルターオンアレイを採用してもよい。
電極層13及びカラーフィルター16上には、液晶層15を構成する前記液晶組成物と直接当接して、ホモジニアス配向を誘起する一対の配向膜14が設けられている。
また、偏光板11及び偏光板18は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラストが良好となるように調整でき、それらの透過軸がノーマリブラックモードで作動するように、互いに直行する透過軸を有することが好ましい。特に、偏光板11及び偏光板18のいずれか一方は、液晶分子の配向方向と平行な透過軸を有するように配置することが好ましい。また、コントラストが最大になるように液晶の屈折率異方性とセルギャップとの積を調整することが好ましい。さらに、視野角を広げるための位相差フィルムを使用してもよい。
【0127】
本発明の液晶表示素子の他の実施形態としては、IPS型であれば、近接する共通電極と画素電極との間の最短離間距離が、液晶配向膜間の最短離間距離より長くなっており、例えば、共通電極と画素電極とが同一基板上に形成され、かつ共通電極と画素電極とが交互に配置されている場合であって、近接する共通電極と画素電極との間の最短離間距離が、液晶配向膜間の最短離間距離より長くなっている構造を有するもの等が挙げられる。
【0128】
本発明の液晶表示素子は、例えば、電極層を有する基板及び/又は基板の表面に被膜を形成した後、前記被膜が内側となるように一対の基板を離間して対向させた後、前記液晶組成物を基板間に充填して、製造することが好ましい。その際、スペーサーを介して、基板の間隔を調整することが好ましい。
前記基板間の距離(得られる液晶層の平均厚さであり、被膜間の離間距離とも称する)は、1〜100μmとなるように調整するのが好ましい。そして、前記被膜間の平均離間距離は、1.5〜10μmであることが好ましい。
本発明において、基板間の距離を調整するために使用するスペーサーとしては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子、フォトレジスト材料等からなる柱状スペーサー等が挙げられる。
【0129】
図5〜7を用いて説明したFFS型の液晶表示素子は、本発明の液晶表示素子の一例であって、これら液晶表示素子は、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることが可能である。
【0130】
<<液晶ディスプレイ>>
本発明の液晶ディスプレイは、上述の本発明の液晶表示素子を備えたことを特徴とし、本発明の液晶表示素子を備えた点以外は、公知の液晶ディスプレイと同様の構成とすることができる。
本発明の液晶ディスプレイは、例えば、液晶テレビ、コンピュータ用モニター、携帯電話機、情報端末機、ゲーム機等の画像表示装置における液晶ディスプレイとして使用できる。
【実施例】
【0131】
以下、実施例により、本発明についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0132】
[実施例1、比較例1]
誘電率異方性(Δε)が−3.39である液晶組成物を調製し、これにキラル化合物を添加して、このキラル化合物の濃度が異なる11種類の測定対象となる液晶組成物(実施例1−1〜1−9、比較例1)を調製した。なお、このキラル化合物のヘリカルツイスティングパワー(HTP)は、11.1μm−1である。
次いで、図1に示す構成の液晶表示素子用セルを用いて、上述の説明どおりにこの液晶組成物について、前記式(1)によりK22及びK33を求め、別途K11を求めて、前記式(2)によりΓの値を求めた。これらの値を表1に示す。
次いで、液晶組成物ごとに光の透過率をシミュレーションした。シミュレーションは、シンテック株式会社製のシミュレーションソフトウェア「LCD master(二次元)」を使用して行った。このとき、液晶パネル(電極間)に電圧を印加した際の液晶分子(ダイレクタ)の挙動を有限差分法(FDM)によって計算し、静解析によって与えられた電圧条件下でのダイレクタの平衡状態を計算した。セルの条件については、画素電極の幅を3μm、画素電極の間隔を4μm、画素電極と共通電極との間の絶縁膜の厚さを400nm、絶縁膜の誘電率を7.0、セルギャップを2.8μmとした。得られた光の透過率の最大値(光の最大透過率)を表1に示す。なお、表1中、「V100」は、シミュレーションを行うときに設定した駆動電圧を意味する。また、このときの光の透過率の最大値とΓの値とをプロットしたグラフを図8に示す。
【0133】
【表1】
【0134】
表1及び図8から明らかなように、液晶組成物は、Γの値が0.182〜0.346の範囲内において、最大透過率が26.68〜28.61%となっており、Γの値が小さな方が高い透過率を示すことが確認された。ただし、駆動電圧(V100)の範囲が5〜6Vの範囲に限定される場合には、Γの値が0.208〜0.293の範囲内において、最大透過率が27.30〜28.32%の値を示すことが確認された。
この液晶組成物を使用することにより、駆動電圧の許容される範囲内において、表示特性に優れた液晶表示素子を構成可能であると判断できる。
【0135】
さらに、実施例1−1、1−6及び1−7の液晶組成物を用いた場合については、応答時間をシミュレーションした。このとき、駆動電圧はすべて、実施例1−7の液晶組成物を用いて光の透過率をシミュレーションしたときと同じ4.5Vに統一した。得られた応答時間を表2に示す。なお、表2中、「Tr」は光の透過率が10%から90%まで変化する時間を意味し、「Td」は光の透過率が90%から10%まで変化する時間を意味し、応答時間はTr及びTdの和に相当する(応答時間=Tr+Td)。得られた応答時間とΓの値とをプロットしたグラフを図9に示す。
【0136】
【表2】
【0137】
表2及び図9から明らかなように、液晶組成物は、Γの値が0.182〜0.250の範囲内において、応答時間が31.6〜37.2msとなっており、Γの値が大きい方が、応答時間が短かった。
従って、液晶表示素子に要求される特性によってΓの値が制御された液晶組成物を使用することにより、表示特性に優れた液晶表示素子を構成可能であると判断できる。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明は、表示特性に優れた液晶ディスプレイの製造に利用可能である。
【符号の説明】
【0139】
2,2A,2B,2C・・・セル、21,23・・・第1基板、22,24・・・第2基板、211A,211B,231・・・第1電極、212A,212B,241・・・第2電極、213・・・絶縁層、232・・・第1配向膜、242・・・第2配向膜、d,d,d・・・セルギャプ、W,W・・・電極幅、L・・・電極間距離
10・・・液晶表示素子、12・・・第1の透明絶縁基板、121・・・画素電極、122・・・共通電極、124・・・ゲート配線、125・・・データ配線、14・・・配向膜、15・・・液晶層、17・・・第2の透明絶縁基板、R・・・電極間距離、G・・・基板間距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9