(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも、長尺細線状の第1選別対象物と長尺太線状の第2選別対象物と長尺飛散性の第3選別対象物とが分離された状態で含まれる混合材から前記各選別対象物を選別する選別装置であって、
上方に向かって逆V字状に突出する形状のグリッドバーが前記第1選別対象物を落下させる間隔を空けて一方向に複数並設された状態で支持される格子板状のスクリーン部及び前記スクリーン部に振動を加える加振部を有し、前記第2選別対象物が前記グリッドバーの延在方向に沿って搬送されるように前記スクリーン部が水平方向から前記グリッドバーの延在方向を傾斜させた状態で配される振動スクリーンと、
前記振動スクリーンに対して前記第3選別対象物を飛散させる風を送風する送風部と、
前記スクリーン部上の一部に立設され、該一部を前記混合材の導入部、前記第2選別対象物の搬送路、前記送風部から送風される風の供給口及びその排出口が開口された状態で覆い、前記供給口及び前記排出口を前記グリッドバーの延在方向における前記スクリーン部の一端側と他端側とに形成して前記風を洞内で前記グリッドバーの延在方向に沿って通過させる風洞部とを有し、
前記送風部が前記風を前記グリッドバーの延在方向に対して上面視で傾斜する方向から前記風洞部内に供給するように配設され、前記風を旋回流として前記風洞部内を通過させることを特徴とする選別装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の選別装置は、少なくとも、長尺細線状の第1選別対象物と長尺太線状の第2選別対象物と長尺飛散性の第3選別対象物とが分離された状態で含まれる混合材から前記各選別対象物を選別する選別装置であって、振動スクリーンと、送風部とを有し、必要に応じて、風洞部、磁選機、回転掻取部等の他の部材を有する。
【0012】
前記振動スクリーンは、スクリーン部と、加振部とを有する。
前記スクリーン部は、上方に向かって逆V字状に突出する形状のグリッドバーが前記第1選別対象物を落下させる間隔を空けて一方向に複数並設された状態で支持される格子板状の部材とされる。このようなスクリーン部としては、グリズリスクリーンと呼ばれる公知のスクリーンから構成することができる。
また、選別処理の高効率化を目的として、前記スクリーン部に導入される前記混合物の時間当たりの導入量を増やす場合には、前記混合物中の前記第3選別対象物が前記送風部から送風される気流に乗らず、前記スクリーン部上に滞留することがある。このような目的で選別を実施する場合、前記グリッドバーが、逆V字状の壁面に前記グリッドバー間に滞留する前記第3選別対象物を噴き上げる送風孔が穿設されたパイプ材で形成されることが好ましい。この場合、前記パイプ材内に風を導入することで、前記送風孔から噴出する前記風を利用して、前記グリッドバー間に滞留する前記第3選別対象物を噴き上げ、前記送風部から送風される気流に乗せて飛散させることができ、選別処理の高効率化を図ることができる。なお、前記パイプ材としては、上方に向かって逆V字状に突出する形状であれば特に制限はなく、三角柱状、四角柱状等の柱状パイプを好適に用いることができる。また、前記送風孔から噴出させる前記風の風速としては、特に制限はないが、1.0m/s〜3.0m/sが好ましい。前記風速が1.0m/s未満であると、前記グリッドバー間に滞留する前記第3選別対象物が十分に噴き上がらないことがあり、前記風速が3.0m/sを超えると、前記送風部から送風される気流の妨げとなって目的とする方向に前記第3選別対象物を飛散させることができないことがある。
【0013】
前記加振部は、前記スクリーン部に振動を加える部材とされる。前記加振部としては、前記スクリーン部に振動を加えることができる部材であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の振動モータを用いて構成することができる。
【0014】
前記振動スクリーンは、前記第2選別対象物が前記グリッドバーの延在方向に沿って搬送されるように前記スクリーン部が水平方向から前記グリッドバーの延在方向を傾斜させた状態で配される。即ち、前記振動スクリーンは、前記スクリーン部上に導入される前記第2選別対象物に対し、前記加振部からの振動により前記スクリーン部を振動させることで、前記傾斜に沿って搬送させることとする。
前記水平方向に対するグリッドバーの延在方向の傾斜角としては、特に制限はないが、0°を超え30°以下が好ましく、14°〜20°がより好ましい。前記傾斜角が0°であると、前記スクリーン部上の前記第2選別対象物が目的とする搬送方向と反対の方向に移動することがあり、前記傾斜角が30°を超えると、前記第1選別対象物と前記第3選別対象物との選別が不十分となることがある。
【0015】
前記振動スクリーンの構成例を図面を用いて説明する。
図1は、前記振動スクリーンの構成を説明する説明図である。前記振動スクリーンは、スクリーン部1と加振部2とで構成される。スクリーン部1は、前記グリッドバーを間隔を空けて一方向に複数並設し、この状態で前記グリッドバーを連結部材ないし支持枠で支持する格子板状の部材として構成される。また、スクリーン部1は、その長手方向の一端側を加振部2で支持させることで、水平方向に対する前記グリッドバーの延在方向が傾斜角θ
1で傾斜された状態で支持される。なお、スクリーン部1の長手方向の最外部は、前記グリッドバーの突出高さよりも高い柵状とされ、スクリーン部1上で搬送される前記第2選別対象物の落下防止柵とされる。
【0016】
次に、前記グリッドバーの構成を
図2(a)を用いて説明する。
図2(a)は、前記スクリーン部の短手方向で切断した前記グリッドバーの断面図である。該図に示すように、各グリッドバー1a〜1eは、上方に向かって逆V字状に突出する形状とされ、各グリッドバー1a〜1eは、所定の間隔を空けて隣接するように配される。これにより、前記間隔よりも細径の前記第1選別対象物をスクリーン部1から落下させるとともに、前記間隔よりも太径の前記第2選別対象物をスクリーン部1上で搬送させることができる。
【0017】
また、前記送風孔が穿設された前記グリッドバーの構成を
図2(b)を用いて説明する。
図2(b)は、前記スクリーン部の短手方向で切断した前記送風孔付きの前記グリッドバーの断面図である。該図に示すように、各グリッドバー1a’〜1e’は、逆V字状の壁面に前記送風孔が穿設された三角柱状のパイプ材として構成される。このパイプ材の一端側から送風して前記送風孔から噴出される風により、各グリッドバー1a’〜1e’間に滞留する前記第3選別対象物を噴き上げ、前記第3選別対象物を前記送風部から送風される気流に乗せて飛散させることができる。
【0018】
前記送風部は、前記振動スクリーンに対して前記第3選別対象物を飛散させる風を送風する部材とされる。前記送風部としては、前記風を送風可能であれば、特に制限はなく、例えば、公知の送風機と、前記送風機−前記振動スクリーン間に配され、前記風の送風方向を規制するダクトにより構成することができる。
前記送風部が前記振動スクリーンに供給する前記風の風速としては、選別対象物の飛散性により、適宜選択することができるが、2.5m/s〜5.0m/sが好ましい。前記風速が2.5m/s未満であると、前記第3選別対象物が十分に飛散しないことがあり、5.0m/sを超えると、前記振動スクリーンから落下させる前記第1選別対象物を飛散させることがある。
【0019】
前記風洞部は、前記スクリーン部上の一部に立設され、該部を前記混合材の導入部、前記第2選別対象物の搬送路、前記送風部から送風される前記風の供給口及びその排出口が開口された状態で覆い、前記供給口及び前記排出口を前記グリッドバーの延在方向における前記スクリーン部の一端側と他端側とに形成して前記風を洞内で前記グリッドバーの延在方向に沿って通過させる部材とされる。前記風洞部を形成する場合、前記送風部が前記風を前記グリッドバーの延在方向に対して上面視で傾斜する方向から前記風洞部内に供給するように配設され、前記風を旋回流として前記風洞部内を通過させることが好ましい。このように前記風洞部及び前記送風部を構成することで、前記第1選別対象物と前記第2選別対象物の選別効率、選別精度を向上させることができる。
なお、前記送風部から送風する前記風の前記供給口及び前記排出口としては、前記風、即ち、前記旋回流に前記第3選別対象物を乗せて搬送させるため、前記第2選別対象物の搬送方向と反対方向に前記排出口を配し、前記第2選別対象物と前記第3選別対象物とを選別させることが好ましい。即ち、傾斜支持される前記スクリーン部の高さ位置が低い側に前記供給口を配し、高い側に前記排出口を配することが好ましい。
【0020】
前記風洞部を形成する場合、前記送風部が前記風洞部内に前記風を供給する方向と前記グリッドバーの延在方向との間の傾斜角としては、特に制限はないが、上面視で15°〜90°が好ましく、45°〜90°がより好ましい。前記傾斜角が15°未満であると、前記第1選別対象物と前記第3選別対象物の選別が不十分となることがあり、前記傾斜角が90°を超えると、前記風洞部内に供給される前記風が前記第2選別対象物の搬送方向に抜けて前記第2選別対象物と前記第3選別対象物の選別が不十分となることがある。
【0021】
また、前記風洞部を形成する場合、前記混合材の前記導入部が、前記風洞部内に対する前記混合材の導入方向を規制する筒状の案内路を有し、前記案内路の形成方向が前記グリッドバーの延在方向に対し、側面視で順方向とされることが好ましい。このように前記案内路を形成すると前記案内路に前記旋回流が逆流することを抑制することができる。なお、「順方向」とは、前記案内路の形成方向と前記グリッドバーの延在方向との間の角度が側面視で0°を超え90°未満であることを示す。
【0022】
前記送風部及び前記風洞部の構成例を図面を用いて説明する。
図3(a)〜
図3(d)は、前記振動スクリーンに対する前記送風部の送風状況を説明する説明図(1)〜(4)である。前記スクリーン上に導入される前記第3選別対象物を飛散させる方法としては、先ず、
図3(a)に示すように、前記振動スクリーンに対して前記グリッドバーの延在方向と直交する方向からスクリーン部1上に前記風を供給する構成が考えられる。この構成では、前記グリッドバーの前記逆V字状の壁面に前記風が衝突して噴き上がり、前記第3選別対象物をスクリーン部1上からスクリーン部1外に飛散させることができる。しかしながら、この構成では、供給される前記風が、同時に前記第3選別対象物をスクリーン部1上に抑えつけるようにも作用し、前記第3選別対象物を十分に飛散させることができないことも想定される。
そのため、
図3(b)に示すように、前記第3選別対象物の飛散性を確保するために、スクリーン部1の底面側から前記第3選別対象物の上方への飛散を補助する補助流を供給する構成が考えられる。この構成では、前記補助流が、前記グリッドバーの延在方向と直交する方向から供給される前記風の前記第3選別対象物をスクリーン部1上に抑えつける作用に抗して前記第3選別対象物をスクリーン部1の上方へ飛散させるように作用し、前記第3選別対象物をスクリーン部1上からスクリーン部1外に飛散させることができる。しかしながら、前記補助流は、前記グリッドバー間の間隔に前記第1選別対象物が落下することの妨げとなることも想定される。
また、上述の
図3(a)、(b)に示す構成のように、開放空間で送風を行う場合、拡散により前記第3選別対象物の飛散に関与しない風が生じてエネルギーロスとなり、非効率となることも想定される。
こうしたことから、
図3(c)に示すように、スクリーン部1上の一部に風洞部3を立設し、風洞部3内で前記風を前記グリッドバーの延在方向に沿って通過させる構成が考えられる。しかしながら、前記風を前記グリッドバーの延在方向に沿って通過するストレートな気流とする場合、風洞部3内に供給される前記風が、前記第3選別対象物をスクリーン部1上に抑えつけるようにも作用することから、依然として前記第3選別対象物を十分に飛散させることができないことも想定される。
したがって、風洞部3を形成する場合、
図3(d)に示すように、送風部4を前記風を前記グリッドバーの延在方向に対して上面視で傾斜する方向から風洞部3内に供給するように配して、前記風を旋回流として風洞部3内を通過させることが好ましい。前記旋回流を発生させる場合、前記第3選別対象物をスクリーン部1上に抑えつけることがなく、前記第3選別対象物を十分に飛散させることができ、延いては、前記第3選別対象物を前記旋回流に乗せて目的の方向に搬送させることができる。
【0023】
図3(d)に示す、風洞部3及び送風部4の構成において、更に、前記混合材のスクリーン部1上への導入状況に注目して説明をする。
図4(a)、(b)は、前記混合材のスクリーン部1上への導入状況を説明する説明図(1)、(2)である。
図4(a)に示す構成では、風洞部3の上面に、風洞部3内に対する前記混合材の導入方向を規制する筒状の案内路が形成された前記混合材の導入部5aを有し、前記案内路の形成方向が前記グリッドバーの延在方向に対し、側面視で逆方向とされる。ここで、「逆方向」とは、前記案内路の形成方向と前記グリッドバーの延在方向との間の角度が側面視で90°以上180°未満であることを示す。この構成では、
図4(a)に示すように、前記旋回流の一部が前記案内路の形成方向に沿って導入部5aから抜け、前記第3選別対象物が逆流することも想定される。
そのため、
図4(b)に示すように、風洞部3を形成する場合、前記案内路の形成方向が前記グリッドバーの延在方向に対し、側面視で順方向とされるように配される導入部5bを有することが好ましい。この構成では、前記案内路に前記旋回流が逆流することを抑制することができる。
【0024】
なお、前記送風部が前記風洞部内に前記風を供給する方向と前記グリッドバーの延在方向との間の傾斜角を図面を用いて説明する。
図5は、前記送風部が前記風洞部内に前記風を供給する方向と前記グリッドバーの延在方向との間の傾斜角を説明する上面図である。
該
図5に示すように、送風部4は、そのダクトを前記グリッドバーの延在方向に対して傾斜させて風洞部3に接続され、上面視において送風部4が風洞部3内に前記風を供給する方向と前記グリッドバーの延在方向との間の傾斜角をθ
2とする。
【0025】
前記磁選機は、前記第2選別対象物中の磁着物を磁着させる部材として、前記スクリーン部上に吊設される。前記磁選機の磁選により、前記第2選別対象物中の磁着物と非磁着物とを選別することができる。
前記磁選機としては、前記磁着物を磁着可能であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、磁石と、磁着した前記磁着物を前記グリッドバーの延在方向と直交する方向に回動させて搬送するコンベア部と、前記コンベア部上で搬送される前記磁着物と接触して前記磁着物を前記スクリーン部外に落下させるストッパ部とを有するものが挙げられる。
前記磁選機の前記スクリーン部上の吊設位置としては、前記スクリーン部への前記混合材の導入位置に対して、傾斜する前記スクリーン部の高さ位置が低い側の位置とすることができ、更に、前記風洞部を形成する場合には、前記風洞部の形成位置に対して、傾斜する前記スクリーン部の高さ位置が低い側の位置とすることができる(
図1、
図5中の磁選機20参照)。こうした位置に前記磁選機を吊設することで、前記スクリーン部の傾斜に沿って搬送される前記第2選別対象物に含まれる前記磁着物を選別することができる。
【0026】
選別処理の高効率化を目的として、前記スクリーン部に導入される前記混合物の時間当たりの導入量を増やす場合に、先に導入された前記第1選別対象物が前記グリッドバー間の隙間から落下する前に後続の前記第1選別対象物が前記スクリーン部上に導入され、結果として、目的の回収位置において前記第1選別対象物の一部が前記スクリーン部上に滞留することがある。このような目的で選別を実施する場合、前記選別装置としては、更に、隣接する前記グリッドバー間に滞留する前記第1選別対象物を掻取る掻取爪を先端に有する回転子が回転軸の胴部に立設された前記回転掻取部を有することが好ましい。
なお、前記回転掻取部の前記スクリーン部に対する配設位置としては、前記スクリーン部への前記混合材の導入位置に対して、傾斜する前記スクリーン部の高さ位置が低い側の位置とすることができ、更に、前記風洞部を形成する場合には、前記風洞部の形成位置に対して、傾斜する前記スクリーン部の高さ位置が低い側の位置とすることができる。また、前記回転子の回転速度としては、特に制限はないが、前記第1選別対象物を効率よく掻取り、前記第3選別対象物の掻取りを抑制する観点から、60rpm〜1,000rpm程度が好ましい。
【0027】
前記回転掻取部の構成例を図面を用いて説明する。
図6(a)は、前記回転掻取部の概略構成を示す側面図であり、
図6(b)は、前記回転掻取部の概略構成を示す正面図である。これらの図に示すように、回転掻取部10は、掻取爪を先端に有する回転子10a〜10dが回転軸10eの胴部に立設されて構成され、回転軸10eの回転に伴い、回転子10a〜10dが、グリッドバー1a〜1e間の各隙間から前記掻取爪が前記スクリーン部上に立ち上がるように回転し、前記スクリーン部の下側に潜り込む際に、前記掻取爪が前記第1選別対象物を掻取る状態で前記スクリーン部の下側に落下させる。これにより、前記スクリーン部上に滞留する前記第1選別対象物をグリッドバー1a〜1e間の各隙間から確実に落下させて選別することができる。
なお、前記選別装置としては、本発明の効果を妨げない限り、必要に応じて、その他の任意部材を更に有していてもよい。
【0028】
以上に説明した前記選別装置の一実施形態を
図7を用いて説明する。
図7は、選別装置の一実施形態の概略構成を示す斜視図である。
該
図7に示すように、選別装置100は、スクリーン部101、加振部102、風洞部103、送風部104、導入部105、磁選機120を有し、更に、選別された前記第1選別対象物〜前記第3選別対象物を回収するための細線回収BOX130、飛散物回収BOX131、非磁着物回収BOX132及び磁着物回収BOX133を有する。
【0029】
スクリーン部101は、前記グリッドバーが間隔を空けて一方向に複数並設された状態で支持される格子板状の部材とされ、加振部102は、スクリーン部101の長手方向の一端側と当接して、スクリーン部101が水平方向から前記グリッドバーの延在方向を傾斜させた状態で支持するように配される(傾斜角θ
1)。なお、本例では、スクリーン部101全体が加振部102に支持されるように構成される。
【0030】
風洞部103は、スクリーン部101上の一部に立設され、該部を前記混合材の導入部105、前記第2選別対象物の搬送路、送風部104から送風される風の供給口及びその排出口が開口された状態で覆い、前記風を洞内で前記グリッドバーの延在方向に沿って通過させるように構成される。
送風部104は、前記風を前記グリッドバーの延在方向に対して上面視で傾斜する方向から風洞部103内に供給するように配設され(
図5参照)、前記風を旋回流として風洞部103内を通過させることとしている。
また、風洞部103は、傾斜支持されるスクリーン部101の高さ位置が低い側の開口を前記供給口として前記供給口が送風部104と接続され、高い側の開口を前記排出口として飛散物回収BOX131に向けて前記第3選別対象物を前記旋回流とともに排出するように構成されている。
【0031】
風洞部103の上部には、前記混合材を導入する導入部105が形成され、該導入部105は、長尺状の前記各選別対象物が長手方向一端側から風洞部103内に導入されるように、風洞部103内に対する前記混合材の導入方向を規制する前記案内路を有し、前記案内路の形成方向が前記グリッドバーの延在方向に対し、側面視で順方向とされるように構成される。なお、前記案内路には、前記各選別対象物の路内における幅方向の移動を規制するための仕切りが複数形成されている。
【0032】
磁選機120は、前記第2選別対象物中の前記磁着物を磁着させるよう、図示しない支持部に吊設される。また、磁選機120の吊設位置は、傾斜するスクリーン部101の高さ位置が低い側の位置上とされる。この磁選機120は、磁石と、前記磁着物を磁着した状態でスクリーン部101の短手方向に回動可能なコンベア部と、前記コンベア部上で搬送される前記磁着物と接触して前記磁着物を前記スクリーン部101外に落下させるストッパ部(不図示)とで構成される。
【0033】
函状の細線回収BOX130は、スクリーン部101の下側に配される。また、函状の飛散物回収BOX131は、傾斜するスクリーン部101の高さ位置が高い端部側に配される。また、函状の非磁着物回収BOX132は、傾斜するスクリーン部101の高さ位置が低い端部側に配される。また、函状の磁着物回収BOX133は、磁選機120に磁着され、スクリーン部101外に落下する前記磁着物の落下位置に配される。
【0034】
このように構成される選別装置100では、次のように、前記混合材を選別する。
先ず、導入部105に対し、前記混合材を長尺状の前記各選別対象物の長手方向一端側を先端として導入する。導入部105に導入される前記混合材は、姿勢を変えないまま前記案内路で案内されて風洞部103に導入される。
【0035】
風洞部103内に導入された前記第1選別対象物は、先端がスクリーン部101に接触すると、終端側が非磁着物回収BOX132側に倒れ込み、前記グリッドバーと略平行した状態でスクリーン部101上に導入される。スクリーン部101上に導入された前記第1選別対象物は、隣接する前記グリッドバー間の隙間から落下して細線回収BOX130内に回収される。なお、先に導入された前記第1選別対象物が落下する前に導入される後続の前記第1選別対象物は、一時、スクリーン部101上に滞留するが、スクリーン部101の振動に基づき、徐々に先に導入された前記第1選別対象物が落下し、後続の前記第1選別対象物も前記グリッドバー間の隙間から落下する。
【0036】
風洞部103内に導入された前記第2選別対象物は、前記第1選別対象物と同様に、先端がスクリーン部101に接触すると、終端側が非磁着物回収BOX132側に倒れ込み、前記グリッドバーと略平行した状態でスクリーン部101上に導入される。スクリーン部101上に導入された前記第2選別対象物は、太線状であるため、前記グリッドバー間の隙間から落下せず、スクリーン部101の振動に基づき、揺り動きながらスクリーン部101の傾斜に沿ってスクリーン部101の高さ位置が高い側から低い側に搬送される。スクリーン部101上を傾斜に沿って搬送される前記第2選別対象物は、更に、磁着性のものが磁選機120に磁着されて磁着物回収BOX133に回収され、非磁着性のものが非磁着物回収BOX132に回収される。
【0037】
風洞部103内に導入された前記第3選別対象物は、スクリーン部101への落下中ないしスクリーン部101上に落下後、前記旋回流により風洞部103内を前記排出口に向けて舞うように搬送され、前記排出口から排出後、飛散物回収BOX131内に回収される。
以上により、選別装置100は、長尺細線状の前記第1選別対象物と長尺太線状の前記第2選別対象物と長尺飛散性の前記第3選別対象物とを含む前記混合材から前記各選別対象物を効果的に選別することができる。また、前記第2選別対象物中の前記磁着物と前記非磁着物とを効果的に選別することができる。
【実施例】
【0038】
本発明の前記選別装置の性能を確認するため、以下に述べる各種性能試験を行った。
ここで、各種性能試験において用いた混合材は、光ケーブルとし、剥選機により剥線された状態として選別を行った。剥線前後の前記光ケーブルを
図8(a)、
図8(b)に示す。なお、
図8(a)は、剥線前の光ケーブルを示す参考図であり、
図8(b)は、剥線後の光ケーブルを示す写真である。これらの図に示すように、本性能試験に用いた光ケーブルは、樹脂被覆鉄心201、被覆樹脂202、光ファイバ203、不織布204及び樹脂テープ205で構成される。これら選別対象物の一般的な特徴を下記表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
上掲表1において、※1は、剥線機による切断長を示し、材料固有の寸法がないことを示す。ここでは、※1の長さを0.1m〜0.5m程度としている。
また、※2は、光ケーブル中、螺旋状に巻かれているため、剥線機による切断長よりも長いことを示す。ここでは、※2の長さを0.1m〜0.7m程度としている。
また、樹脂被覆鉄心は、円柱状の部材からなり、その「厚さ」は、「幅」と同じである。
また、不織布の寸法を2つに分けて表記しているのは、長尺のもの(表1中の上側欄)と、短尺のもの(表1中の下側欄)の2つがあるためである。
なお、本性能試験で用いた選別対象物の他の寸法は、表1中の数値の範囲内である。
【0041】
(スクリーン部の傾斜角)
前記スクリーン部の傾斜角の影響を確認するため、
図7に示す選別装置100の構成に準じて、実施例に係る選別装置を作製し、剥線後の前記光ファイバの選別試験を行った。
具体的には、前記送風部が前記風洞部内に供給する風の風速を4m/sとし、前記風洞部内に前記風を供給する方向と前記グリッドバーの延在方向との間の傾斜角(
図5参照)を45°とし、隣接する前記グリッドバー間の間隔を3mm弱とし、水平方向に対する前記グリッドバーの延在方向の傾斜角(
図1等参照)、即ち、前記スクリーン部の傾斜角を変更しながら前記選別試験を行い、前記スクリーン部の傾斜角が選別性能に与える影響を確認した。
【0042】
先ず、前記スクリーン部の傾斜角と樹脂被覆鉄心及び被覆樹脂の搬送速度との関係を
図9に示す。該
図9に示すように、前記樹脂被覆鉄心及び前記被覆樹脂の搬送速度は、前記傾斜角が大きくなるにつれて上昇し、前記傾斜角が大きい方が前記樹脂被覆鉄心及び前記被覆樹脂の選別を効率的に行うことができることが確認される。
次に、前記スクリーン部の前記傾斜角と、光ファイバ−不織布間の分離効率との関係を
図10に示す。該
図10に示すように、前記分離効率は、前記傾斜角が大きくなるにつれて下降し、前記傾斜角が30°を超えると前記光ファイバ及び前記不織布(飛散物)の選別が不十分となる。なお、前記分離効率は、飛散物回収BOXに対する前記不織布の回収率から前記飛散物回収BOXに対する前記光ファイバの回収率を減算して算出される値である。
したがって、前記傾斜角(水平方向に対する前記グリッドバーの延在方向の傾斜角)としては、0°を超え30°以下が好ましく、14°〜20°がより好ましい。
【0043】
(送風条件)
前記送風部の送風条件による影響を確認するため、
図7に示す選別装置100の構成に準じて、実施例に係る選別装置を作製し、剥線後の前記光ファイバの選別試験を行った。なお、隣接する前記グリッドバー間の間隔は、3mm弱とし、水平方向に対する前記グリッドバーの延在方向の傾斜角(
図1等参照)、即ち、前記スクリーン部の傾斜角は、16°とした。また、本選別試験においては、前記風洞部内に旋回流を発生させる場合と発生させない場合との2通りとし、前記風洞部内に旋回流を発生させない場合は、前記風洞部内に前記風を供給する方向とグリッドバーの延在方向との間の傾斜角(
図5参照)を0°とし(前記風洞部の開口端から送風)、前記風洞部内に整流格子を配して旋回流を除去した。また、前記風洞部内に旋回流を発生させる場合には、前記傾斜角を75°とし、それぞれの場合で、前記風洞部内に供給する風の風速を変更しながら前記選別試験を行い、前記送風部の送風条件が選別性能に与える影響を確認した。結果を下記表2に示す。また、前記送風部の送風条件と、光ファイバ−不織布間の分離効率との関係を
図11に示す。なお、本選別試験においては、樹脂被覆鉄心及び被覆樹脂に対する磁選を行わず、これらをまとめて前記非磁着物回収BOXで回収することとしている。
【0044】
【表2】
【0045】
上掲表2及び
図11に示すように、旋回流を発生させた場合、発生させない場合に比べて、前記光ファイバと前記不織布との分離効率が2倍以上向上している。
また、前記風洞部内に供給する風速が遅い場合には、前記不織布が十分に飛散せず、前記飛散物回収BOXでの回収率が低下することが確認される。また、前記風速が速い場合には、前記光ファイバが飛散し、前記不織布との分離効率が低下することが確認される。
【0046】
また、送風部から送風される風の風速について、より詳細に検討した結果を
図12に示す。
図12は、風速と、前記光ファイバ−前記不織布間の分離効率との関係を示す図である。ここでは、前記表1において、※1(切断長)が200mmで、前記不織布の形状が長尺である試料Aと、※1(切断長)が300mmで、前記不織布の形状が短尺である試料Bに対し、選別試験を行うこととしている。なお、試料Aとして用いた前記光ケーブルの剥線前の直径(ケーブル径)は、15mmであり、試料Bとして用いた前記光ケーブルの剥線前の直径(ケーブル径)は、20mmである。また、選別条件としては、風速を変更したこと以外は、
図11で結果を示す、旋回流を発生させた場合の選別試験における選別条件に準じた条件とした。
図12に示すように、前記風速が2.5m/s〜5.0m/sの範囲のときに、この範囲から外れる場合と比べて、有意な前記分離効率であることが想定される。特に、試料Bに対する選別においては、上記風速の範囲で高い前記分離効率が得られることが想定される。
したがって、前記風速としては、2.5m/s〜5.0m/sが好ましい。
【0047】
(旋回流の供給条件)
前述の送風条件に関する選別試験において、更に、旋回流を発生させた場合の前記風洞部内に前記風を供給する方向と前記グリッドバーの延在方向との間の傾斜角(
図5参照)及び風速(旋回流の供給条件)の影響を確認するため、前記傾斜角及び前記風速を変更しながら前記選別試験を行い、前記旋回流の供給条件が選別性能に与える影響を確認した。
図13に、前記傾斜角ごとに風速に対する分離効率を確認した結果を示す。該
図13に示すように、前記傾斜角が75°の場合に前記分離効率が最も高く、前記傾斜角が15°未満になると、前記分離効率が大きく低下することが想定される。なお、前記傾斜角が90°を超えると、前記飛散物回収BOX側と反対側に抜ける前記風が強くなることが想定される。
したがって、前記傾斜角としては、15°〜90°が好ましく、45°〜90°がより好ましい。
【0048】
以上のように、本発明の選別装置は、前記光ファイバ(長尺細線状の第1選別対象物)と、前記被覆樹脂鉄心及び前記被覆樹脂(長尺太線状の第2選別対象物)と、前記不織布及び前記樹脂テープ(長尺飛散性の第3選別対象物)とを含む前記光ケーブル(混合材)から、これらを材料別に選別することができ、更に、磁着性を利用して前記被覆樹脂鉄心と前記被覆樹脂とを材料別に選別することができる。選別に際しては、事前に細かく粉砕・破砕等することなく、前記剥線機で切断された前記光ケーブルをそのまま選別試料とすることができるので、選別処理量を減らして効率的な選別を行うことができる。更に、選別の条件を好適に設定することで、選別精度を高めることができる。