【実施例】
【0075】
以下、実施例(合成例)を挙げて本発明の化合物の合成法を具体的に説明するが、本発明の化合物これらに限定されるものではない。
【0076】
実施例1
(1)3−クロロ−
1−プロペニルトリメトキシシランの製造
撹拌機、温度計、還流冷却機、滴下装置を備えた1Lセパラブルフラスコにプロパルギルクロライド80%トルエン溶液を250mL(2.3mol)、0.5wt%塩化白金酸トルエン溶液を5.0g仕込み、窒素雰囲気化で70℃まで加温した。滴下装置にトリメトキシシランを337.0g(2.76mol)仕込み、溶液温度が70〜80℃になるよう滴下量を調整しながら滴下した。滴下終了後、反応溶液の温度を2時間80℃に保った。80℃、15mmHgで蒸留し、最終生成物269g(収率 58%)を複数の異性体の混合物として得た。これらの異性体を
1H−NMRスペクトル測定で分析し、2つの異性体を1:0.08のモル比で有する3−クロロプロパ−1−エニルトリメトキシシランであることを確認した。
図1に合成した3−クロロプロパ−1−エニルトリメトキシシランの
1H−NMRスペクトルチャートを示す。
【0077】
(2)N−2−(アミノエチル)−3−アミノ−
1−プロペニルトリメトキシシランの製造
撹拌機、温度計、還流冷却機、滴下装置を備えた500mL三口フラスコにエチレンジアミンを121.6g(2.0mol)を仕込み、窒素雰囲気下で100℃まで加温した。滴下装置に3−クロロプロパ−1−エニルトリメトキシシラン100g(0.5mol)仕込み、溶液温度が100〜105℃の範囲になるよう滴下速度を調整しながら滴下した。
滴下終了後、2時間反応溶液の温度を100℃に保ち、冷却した。反応溶液を分液漏斗に移し、下層のトリエチルアミン塩酸塩を除去したのち、150℃、15mmHgで蒸留することで最終生成物78g(収率 60%)を複数の異性体の混合物として得た。これらの異性体を
1H−NMRスペクトル測定で分析し、2つの異性体を1:0.08のモル比で有するN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロパ−1−エニル
トリメトキシシランであることを確認した。
図2に合成したN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロパ−1−エニル
トリメトキシシランの
1H−NMRスペクトルチャートを示す。
【0078】
実施例2
N−[m−(アミノメチルフェニル)メチル)]−γ−アミノ−
1−プロペニル
トリメトキシシランの製造
撹拌機、温度計、還流冷却機、滴下装置を備えた1L三口フラスコにm−キシレンジアミンを272.4g(2.0mol)とキシレン200mLを仕込み、窒素雰囲気下で100℃まで加温した。滴下装置に3−クロロプロパ−1−エニルトリメトキシシラン100g(0.5mol)仕込み、溶液温度が110〜120℃の範囲になるよう滴下速度を調整しながら滴下した。滴下終了後、5時間反応溶液の温度を120℃に保ち、60℃まで冷却した。次にナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液91.6g(0.48mol)を滴下し、1時間溶液温度を60℃に保ったまま撹拌を続けた。撹拌終了後、溶液を冷却し、濾過を行い副生した塩化ナトリウムを分離した。濾液を150℃/3mmHgにて減圧濃縮したところ、134.4g(収率 80%)の黄色透明な液体が得られた。この化合物を
1H−NMRスペクトル測定で分析すると、2つの異性体を1:0.08のモル比で有するN−[m−(アミノメチルフェニル)メチル)]−γ−アミノプロパ−1−エニル
トリメトキシシランであることを確認した。
図3に合成したN−[m−(アミノメチルフェニル)メチル)]−γ−アミノプロパ−1−エニル
トリメトキシシランの
1H−NMRスペクトルチャートを示す。
【0079】
実施例3
(1)プロパルギルグリシジルエーテルの製造
撹拌機、温度計、還流冷却機、滴下装置を備えた1L三口フラスコにプロパルギルアルコールを166.2g(3.0mol)と塩化錫0.7g(0.01mol)を仕込み、窒素雰囲気下で100℃まで加温した。滴下装置にエピクロロヒドリン92.5g(1.0mol)仕込み、溶液温度が95〜105℃の範囲になるよう滴下速度を調整しながら滴下した。滴下終了後、溶液温度を100℃に保ち、20時間反応させた。次に反応溶液を90℃まで冷却したのち、16wt%水酸化ナトリウム水溶液325g(3mol)を加え、6時間反応させた。反応終了後、溶液を冷却し、分液漏斗に移した。100mLの純水で3回水洗を行ったのち、無水硫酸ナトリウムを用いて脱水した。濾過にて無水硫酸ナトリウムを除去し、110℃、15mmHgで蒸留し、45g(収率 40%)の透明な液体が得られた。この化合物を
1H−NMRスペクトル測定で分析し、プロパルギルグリシジルエーテルであることを確認した。
図4に合成したプロパルギルグリシジルエーテルの
1H−NMRスペクトルチャートを示す。
【0080】
(2)3−グリシドキシ−
1−プロペニルトリメトキシシランの製造
撹拌機、温度計、還流冷却機、滴下装置を備えた200mL三口フラスコにプロパルギルグリシジルエーテルを45g(0.4mol)、0.5wt%塩化白金酸トルエン溶液を0.1g仕込み、窒素雰囲気化で70℃まで加温した。滴下装置にトリメトキシシランを58g(0.48mol)仕込み、溶液温度が70〜80℃になるよう滴下量を調整しながら滴下した。滴下終了後、反応溶液の温度を5時間80℃に保った。150℃、15mmHgで蒸留し、最終生成物56.2g(収率 60%)を複数の異性体の混合物として得た。これらの異性体を
1H−NMRスペクトル測定で分析し、2つの異性体を1:0.22のモル比で有する3−グリシドキシプロパ−1−エニルトリメトキシシランであることを確認した。
図5に合成した3−グリシドキシプロパ−1−エニルトリメトキシシランの
1H−NMRスペクトルチャートを示す。
【0081】
参考例
以下、本発明に係る有機ケイ素化合物を接着助剤として使用した参考例を挙げて説明する。
なお、部は質量部を意味する。
【0082】
参考例1
粘度20,000mPa・s(25℃)の分子鎖両末端がシラノール基(又はヒドロキシジメチルシロキシ基)封鎖のジメチルポリシロキサン100部と、表面をジメチルジクロロシランで処理した噴霧質シリカ15部を均一に混合し、これにテトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン0.6部、2−(メチルジメトキシシリル)プロピオン酸エチルヘキシル5部、ジブチル錫ジラウレート0.6部、N−2−(アミノエチル)−3−アミノ−
1−プロペニルトリメトキシシラン0.5部(実施例1(2))を加え、湿気遮断下で均一になるまで混合して組成物を調製した。
【0083】
参考例2
参考例1において、N−2−(アミノエチル)−3−アミノ−
1−プロペニルトリメトキシシランの代わりに、N−[m−(アミノメチルフェニル)メチル)]−γ−アミノ−
1−プロペニルトリメトキシシラン0.5部(実施例2)を用いた以外は参考例1と同様にして組成物を調製した。
【0084】
比較参考例1
参考例1において、N−2−(アミノエチル)−3−アミノ−
1−プロペニルトリメトキシシランの代わりに、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン0.5部を用いた以外は参考例1と同様にして組成物を調製した。
【0085】
比較参考例2
参考例1において、N−2−(アミノエチル)−3−アミノ−
1−プロペニルトリメトキシシランの代わりに、N−[m−(アミノメチルフェニル)メチル)]−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.5部を用いた以外は参考例1と同様にして組成物を調製した。
【0086】
次に、上記参考例及び比較参考例で調製された調製直後の各組成物を各被着体上に、10mm幅、50mm長さ、2mm厚の形状にヘラで成型し、試験片とした。この試験片を以下の条件で養生して試験片の組成物を硬化させた後、該硬化物をナイフでカットし該カット部を手で剥離して(手で摘んで引張り)、その剥離状態を観察(ナイフカットによる手剥離試験)することで、被着体と硬化物との接着界面の状態を評価した。
初期接着性は、温度23℃,相対湿度50%の環境下48時間養生して試験片の組成物を硬化させた後に評価した。
評価は、硬化物の凝集破壊した面積の割合が100%であったものを「◎」、同80%以上100%未満であったものを「○」、同50%以上80%未満であったものを「△」、同50%未満であったものを「×」とした。結果を表1に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
上記簡易接着試験結果から、本発明のアルコキシシリル‐ビニレン基含有ケイ素化合物を室温硬化性オルガノポリシロキサンに配合することで、短時間で基材との接着性、密着性が発現されるのは明らかとなり、本発明のアルコキシシリル‐ビニレン基含有ケイ素化合物は、室温硬化性オルガノポリシロキサンの接着助剤として非常に有用であること分かる。