(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レンズとしての機能を有し、回転中心軸が前記レンズの光軸より変位した位置に設定されて、前記回転中心軸を回転中心とした回転により入射光の出射方向を順次変化させる回転スクリーンと、
前記回転スクリーンの前記回転中心軸よりオフセットして配置されて、前記回転スクリーンに映像光を出射する複数のプロジェクタとを有し、
前記回転スクリーンの回転により、前記回転中心軸の周囲に視点を順次形成する
立体表示装置。
【背景技術】
【0002】
従来、表示対象を全周から観察することが可能な立体表示装置が種々に提案されている。このような立体表示装置は、全周から垂直表示面を観察する形式の立体表示装置と、全周から水平表示面を観察する方式の立体表示装置とに、大きく分類することができる。
【0003】
図18は、この2種類の方式のうちの前者の方式による立体表示装置の1例を示す図である。この立体表示装置1は、上方より入射する映像光を水平方向に反射するミラー2が設けられ、このミラー2を高速度で回転させる。立体表示装置1は、ミラー2の回転に同期した映像光を上方に配置したプロジェクタ3より送出し、この映像光をミラー2により周囲に振り分けて出射する。これによりこの立体表示装置1は、ミラー2からの出射光を周囲から見て取ることができるようにして所望の立体画像を表示する(A. Jones, I. McDowall, H. Yamada, M. Bolas, and P. Debevec, "Rendering for an Interactive 360° Light Field Display," ACM SIGGRAPH 2007.)。
【0004】
また
図19は、この前者の方式に分類される立体表示装置の他の例を示す図である。この立体表示装置6は、スクリーン7を回転させ、このスクリーン7の回転により周囲に配置した複数のプロジェクタ8A、8B、…、8N、…から送出される映像光を選択的に反射する。これによりこの立体表示装置6は、スクリーン7に表示された画像を各方向より見て取ることができるようにして所望の立体画像を表示する(R. Otsuka, T. Hoshino, and Y. Horry, "Transpost: A novel approach to the display and transmission of 360 degrees viewable 3D solid images," IEEE Trans. Vis. Comput. Graph. 12, 178-185 (2006).)。
【0005】
また
図20は、この前者の方式による立体表示装置の他の例を示す図である。この立体表示装置11は、垂直方向にLEDを順次配置して形成されたLEDアレイ12が、円筒形状による内筒回転体13の外周に所定ピッチで配置され、この内筒回転体13を所定の回転速度で回転駆動する。またこの内筒回転体13と同軸状に、この内筒回転体13を囲む外筒回転体14が配置され、この外筒回転体14を、内筒回転体13とは逆方向に回転駆動する。立体表示装置11は、この外筒回転体14にスリット15が設けられ、これにより内筒回転体13、外筒回転体14の回転に同期して、LEDアレイ12を駆動することにより、スリット15を介して立体画像を表示する(T. Endo, Y. Kajiki, T. Honda, and M. Sato, "Cylindrical 3D video display observable from all directions," 8th Pacific Conference on Computer Graphics and Applications, 300-306.)
【0006】
また
図21は、後者の方式による立体表示装置の1例を示す図である。この立体表示装置16は、円盤形状による平板スクリーン17が、その中心を回転軸にして回転駆動される。ここで平板スクリーン17は、下方から入射した光の光路を斜めに折り曲げて所望の方向に出射するホログラムにより構成される。立体表示装置16は、この平板スクリーン17の下方にプロジェクタ18が配置される。これによりこの立体表示装置16は、平板スクリーン17の回転に同期してプロジェクタ18より映像光を出射して、所望の立体画像を表示する。(H. Horimai, D. Horimai, T. Kouketsu, P. B. Lim, and M. Inoue, "Full-Color 3D Display System with 360 Degree Horizontal Viewing Angle," The International Symposium of 3D and Contents 2010.)
【0007】
また
図22は、後者の方式による立体表示装置の他の例を示す図である。この立体表示装置19は、上方が開いた形状による円錐スクリーン20の周囲に、プロジェクタ21A、21B、…、21N、…が順次配置される。この立体表示装置19は、プロジェクタ21A、21B、…、21N、…から送出される映像光を、各方向から円錐スクリーン20を介して見て取ることにより、立体画像を表示する(吉田俊介, 矢野澄男, 安藤広志,"全周囲より観察可能なテーブル型裸眼立体ディスプレイ−表示原理と初期実装に関する検討−",日本バーチャルリアリティ学会論文誌, 15, 121-124 (2010).)
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】A. Jones, I. McDowall, H. Yamada, M. Bolas, and P. Debevec, "Rendering for an Interactive 360° Light Field Display," ACM SIGGRAPH 2007.
【非特許文献2】R. Otsuka, T. Hoshino, and Y. Horry, "Transpost: A novel approach to the display and transmission of 360 degrees viewable 3D solid images," IEEE Trans. Vis. Comput. Graph. 12, 178-185 (2006).
【非特許文献3】T. Endo, Y. Kajiki, T. Honda, and M. Sato, "Cylindrical 3D video display observable from all directions," 8th Pacific Conference on Computer Graphics and Applications, 300-306.
【非特許文献4】吉田俊介, 矢野澄男, 安藤広志,"全周囲より観察可能なテーブル型裸眼立体ディスプレイ−表示原理と初期実装に関する検討−",日本バーチャルリアリティ学会論文誌, 15, 121-124 (2010).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところでこれら従来方式の立体表示装置は、実用上未だ不十分な問題がある。すなわち
図18及び
図21の方式による立体表示装置1、16(以下、高速プロジェクタ型と呼ぶ)は、プロジェクタ3、18のフレームレートに限界があり、さらにミラー2、平板スクリーン17の回転数に限界があるため、充分に高品位に立体画像を表示できない問題がある。具体的に、これらの立体表示装置1、16では、以上の制限により、全周に表示可能な画像数を多くできない問題があり、また各画像の階調数を多くできない問題もある。またさらに立体表示を構成する各画像のフレームレートを高くすることが困難であり、その結果、フリッカが発生する問題もある。また
図18に示す立体表示装置11では、ミラー2の付近に立体像が形成されることにより、立体像と指先のインタラクションが困難な問題もある。
【0010】
これに対して
図19及び
図22に示す立体表示装置6、19(以下、プロジェクタアレイ型と呼ぶ)では、多数のプロジェクタが必要であることから、全体形状が大型化、複雑化し、スペース、コスト、信頼性、保守性の面で問題が発生する。また
図19の立体表示装置6では、スクリーン7を高速回転しなければならない問題もあり、さらにスクリーン7の付近に立体像が形成されることにより、立体像と指先のインタラクションが困難な問題もある。
【0011】
また
図20に示す立体表示装置11では、外筒回転体14の内側に立体像が形成されることにより、立体像と指先のインタラクションが困難な問題もある。また回転体13、14を高速度で回転させることが必要であることにより、機械的な安定性に欠ける問題もある。
【0012】
そこで本発明は、これらの問題点を一挙に解決し、簡易な構成により高品位の立体画像を表示することができる立体表示装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1) 回転中心軸が光軸より変位した位置に設定されて、前記回転中心軸を回転中心とした回転により入射光の出射方向を順次変化させる回転スクリーンと、
前記回転スクリーンの回転中心軸よりオフセットして配置されて、前記回転スクリーンに映像光を出射する複数のプロジェクタとを有する立体表示装置。
【0014】
(1)によれば、各プロジェクタの出射光は、回転スクリーンからの出射方向が回転スクリーンの回転に応じて変化することになり、これにより各出射方向に視点を設定して立体画像を表示することができる。また回転中心軸よりオフセットさせてプロジェクタを配置することにより、充分なスペースを確保して複数のプロジェクタを配置することができる。従ってこれら複数のプロジェクタで立体画像の表示を分担することができ、これにより簡易な構成で高品位の立体画像を表示することができる。
【0015】
(2) 前記回転スクリーンが、
レンズとしての機能に加えて、前記回転中心と光軸を結ぶ方向に光を拡散させる機能を有する
(1)に記載の立体表示装置。
【0016】
(2)によれば、光を拡散させる方向に視点を拡大することができる。
【0017】
(3) 前記回転スクリーンが、
反射型レンズである、
(1)、又は(2)に記載の立体表示装置。
【0018】
(3)によれば、回転スクリーンのプロジェクタを配置した側に立体画像を表示することができる。従ってこれとは逆側の構成を簡略化することができ、回転ミラーを簡易な構成により駆動することができる。
【0019】
(4) 前記回転スクリーンが、
レンズとしての機能に加えて、前記回転中心と光軸を結ぶ方向に光を拡散させる機能を有する
(3)に記載の立体表示装置。
【0020】
(4)では、(3)の構成において、光を拡散させる方向に視点を拡大することができる。
【0021】
(5) 前記複数のプロジェクタは、
カラー画像を構成する各色信号の画像データによりそれぞれ駆動される(1)、(2)、(3)、又は(4)に記載の立体表示装置。
【0022】
(5)によれば、立体画像の表示を、複数のプロジェクタによるカラー画像を構成する色信号の分担により実行することができる。
【0023】
(6) 前記複数のプロジェクタは、
順次段階的に出射光量が立ち上がるように設定されて、1つの立体表示用の画像データを構成するビットが、前記出射光量の設定に対応して割り当てられ、該割り当てられたビットのデータにより駆動される(1)、(2)、(3)、又は(4)に記載の立体表示装置。
【0024】
(6)によれば、立体画像の表示を、複数のプロジェクタによる画像データのビットの分担により実行することができる。
【0025】
(7) 前記複数のプロジェクタは、
前記回転スクリーンの回転により順次循環的に映像光を出射する(1)、(2)、(3)、又は(4)に記載の立体表示装置。
【0026】
(7)によれば、立体画像の表示を、複数のプロジェクタによる視点の分担により実行することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、簡易な構成により高品位の立体画像を表示することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0030】
〔動作原理〕
図1は、本発明に係る立体表示装置の原理の説明に供する断面図である。この
図1に示す光学系は、回転スクリーン22を回転中心により回転駆動する。またこの回転スクリーン22の回転軸上にプロジェクタ23を配置し、このプロジェクタ23より回転スクリーン22に所望の画像を投影する。ここで回転スクリーン22は、破線により示すように、凸レンズ24の一部を円形形状に切り取ったスクリーンであり、この円形形状の中心が回転中心に設定されて、凸レンズ24の光軸に対して回転中心が偏心した位置に設定される。
【0031】
この光学系において、プロジェクタ23からの出射光は、破線により示すように、レンズ中心(光学中心である光軸の位置である)とプロジェクタ23とを結ぶ直線上に集光され、この集光位置に視点が形成されることになる。なおプロジェクタ23は、回転スクリーン22の焦点位置より遠い位置にあるものとする。この光学系では、レンズ中心に対して回転スクリーン22の回転中心がオフセットしていることにより、
図2に示すように、回転スクリーン22の回転に伴い、この回転スクリーン22の回転中心を回転中心にして、回転スクリーン22のレンズ中心Oが回転することになり、その結果、視点の位置も回転スクリーン22の回転中心を中心にして変化することになる。すなわち回転スクリーン22が半回転すると、
図1において、レンズ中心は符号O1により示す位置から符号O2により示す位置に変化することになり、これに伴い視点の位置も変化することになる。これによりこの
図1の光学系では、この視点の移動に同期してプロジェクタ23より投影する画像を順次切り換えれば、立体画像を表示することができる。
【0032】
なおこのようなレンズとしての機能(レンズ機能)に加えて、出射光を一方向に拡散する機能(一方向拡散機能)を回転スクリーン22に設けるようにしてもよい。なおこの出射光を拡散する方向は、レンズ中心と回転中心を結ぶ方向とする。この場合、
図1に示す集光位置である視点が垂直方向に広がり、
図2に示す水平方向の視点位置は変化を受けないことになる。その結果、視点が垂直方向にのみ広がり、さまざまな高さから立体像を観察することが可能になる。
【0033】
この
図1の構成に対して、
図3に示すように、回転スクリーン22の回転中心からプロジェクタ23を一定距離だけオフセットさせて配置する。ここでレンズ中心O(O1、O2)から回転中心までの距離をRとし、プロジェクタ23のオフセット量(回転スクリーン22の回転中心からプロジェクタ23の光軸までの距離)をrとする。この場合、回転スクリーン22に係る結像式より、回転スクリーン22の回転に伴う視点の動きを計算することができる。
図4は、この視点の動きを示す図である。この
図4に示すように、プロジェクタ23をオフセットさせて配置しても、プロジェクタ23を回転スクリーン22の回転中心軸上に配置する場合と同様に、回転中心の周囲に順次視点が形成されるものの、この視点の形成位置は、回転中心から偏ったものとなる。なお
図4においては、回転中心を原点とした直交座標系によりこの視点の軌跡を示す。
【0034】
しかしながらこの
図3の例では、プロジェクタ23を回転中心軸よりオフセットさせて配置できることにより、複数のプロジェクタを配置することができる。しかして
図5は、回転中心軸を間に挟んで対称に第1及び第2のプロジェクタA及びBを配置した場合の視点の軌跡を示す図である。この場合、回転中心軸に対する2つのプロジェクタのオフセット量の分だけ、2つのプロジェクタによる視点の軌跡が異なる位置に作成されるものの、この2つの軌跡上の視点から見た画像を合成して対応するプロジェクタで表示することで、この2つのプロジェクタで分担して立体画像を表示することができる。従ってこの2つのプロジェクタの駆動の設定により、従来構成に係る各種の問題点を一挙に解決して、従来に比して高品位の画像を簡易な構成により表示することができる。またプロジェクタの配置に係る各種の問題点も有効に回避することができる。
【0035】
またさらにこの光学系の構成では、回転スクリーン22に係る構成を変更することにより、画像表示に供する光線状態を種々に変更することができる。すなわち
図6(A)に示すように、回転スクリーン22の焦点より遠ざかった位置にプロジェクタ23を配置すれば、上述のように回転スクリーン22によりプロジェクタ23の出射光を視点に集光することができる。またこれより回転スクリーン22の焦点位置にプロジェクタ23を配置すれば、
図6(B)に示すように、各視点に対して平行光線によりプロジェクタ23の出射光を導くことができる。また回転スクリーン22の焦点位置より内側にプロジェクタ23を配置すれば、
図6(C)に示すように、発散光によりプロジェクタ23の出射光を出射することができる。これにより必要に応じてプロジェクタ23の配置位置を選定して、視点の位置におけるプロジェクタからの光の広がりを種々に変更することができる。またこれまでは回転スクリーンを凸レンズで代表される正のレンズとしたが、負のレンズとすることもできる。この場合は、
図6(C)と同様に発散光を出射することができる。
【0036】
図7は、従来方式の立体表示装置と本方式との対比を示す図表である。プロジェクタアレイ型の場合、視点数Vを確保するためには、V個のプロジェクタが必要であり、また各画像の階調数は、各プロジェクタの階調数Lとなる。また高速プロジェクタ型では、プロジェクタが1台で済むものの、視点数は、fp/fとなる。なおここでfpは、プロジェクタのフレームレートであり、fは立体表示に係る各画像のフレームレートである。なおこの場合、ミラー、スクリーンの回転数は60fであり、階調数はプロジェクタの階調数Lとなる。
【0037】
これに対して上述した原理による構成によれば、プロジェクタ数の増大を、立体表示に係る各画像のフレームレートの増大、階調数の増大、視点数の増大に割り当てることができる。すなわちこの構成によれば、プロジェクタ数をNとすると、abc=Nの拘束条件の下で、視点数を(fp/f)a、回転スクリーンの回転数を60f/b、階調数をLのc乗に設定することができる。
【0038】
またこのように構成する場合には、全周から回転スクリーン上に形成された立体画像を観察することができ、さらには何らスクリーン等が配置されていない空間上に立体画像を表示することができ、これにより立体画像と指先とのインタラクションを可能とすることができる。
【0039】
〔第1実施形態〕
図8は、本発明の第1実施形態の立体表示装置を示す図である。この立体表示装置31は、円盤形状による回転スクリーン32が設けられ、この回転スクリーン32が、その中心軸を回転軸にして回転駆動される。立体表示装置31は、回転スクリーン32の上方、回転中心軸より所定距離されオフセットした位置に、回転中心軸を基準にして180度対向するように第1及び第2のプロジェクタ33A及び33Bが配置される。
【0040】
ここで
図9に示すように、回転スクリーン32は、プロジェクタ33A、33B側より回転スクリーン本体32A、レンチキュラレンズ32B、ミラー32Cが順次配置されて形成される。ここで回転スクリーン本体32Aは、
図1等について上述したと同様の、光軸に対して中心が偏心した凸レンズであり、この実施の形態ではフレネルレンズにより構成される。レンチキュラレンズ32Bは、一次元レンズの一次元アレイであり、一方向拡散機能を発揮する一方向拡散板として機能し、一次元レンズの配列方向が回転スクリーンのレンズ中心と回転中心を結ぶ方向に配置される。これによりこの立体表示装置31は、上方に配置したプロジェクタ33A、33Bの出射光を、ミラー32Cにより反射し、プロジェクタ33A、33Bが配置されている側に、立体表示用の視点を生成する。この立体表示装置31では、このようにプロジェクタ33A、33Bが配置されている側に、立体表示用の視点を生成することにより、回転スクリーン32の駆動に供する構成を簡略化することができる。
【0041】
以上の構成によれば、光軸に対して回転中心が偏った位置に設定されている凸レンズによる回転スクリーンに対して、回転中心軸よりオフセットさせて複数のプロジェクタを配置することにより、従来方式による問題点を一挙に解決し、簡易な構成により高品位の立体画像を表示することができる。
【0042】
また凸レンズによるフレネルレンズと、ミラーと、フレネルレンズとミラーとの間に配置されて、回転中心軸とフレネルレンズ中心を結ぶ方向に透過光の光束を拡散させるレンチキュラレンズとにより回転スクリーンを構成することにより、回転スクリーンの駆動に供する構成を簡略化することができる。
【0043】
〔第2実施形態〕
図10は、本発明の第2実施形態の立体表示装置を示す図である。この立体表示装置41は、回転スクリーン32の回転中心軸よりそれぞれオフセットして、ほぼ120度の角間隔により3つのプロジェクタ33R、33G、33Bが配置される。この立体表示装置41は、このプロジェクタ33R、33G、33Bに関する構成が異なる点を除いて、
図8の立体表示装置31と同一に構成される。
【0044】
ここでこの立体表示装置41は、カラー画像を構成する色信号の画像データDR、DG、DBにより各プロジェクタ33R、33G、33Bをそれぞれ駆動し、これにより立体画像の表示を、複数のプロジェクタ33R、33G、33Bによる色信号の分担により実行する。また各プロジェクタ33R、33G、33Bは、それぞれ対応する色信号に係る画像のみを表示可能に構成される。これにより
図11に示すように、この立体表示装置41では、回転スクリーン32の回転中心を中心にして、各プロジェクタ33R、33G、33Bによる3種類の視点R、G、Bの軌跡が作成される。
【0045】
この実施の形態では、光軸に対して回転中心が偏った位置に設定されている凸レンズによる回転スクリーンに対して、回転中心軸よりオフセットさせて複数のプロジェクタを配置するようにして、この複数のプロジェクタによりカラー画像を構成する色信号を分担してカラー画像を表示することにより、色再現性の高いカラー画像による立体画像を簡易な構成により高品位に表示することができる。
【0046】
〔第3実施形態〕
図12は、本発明の第3実施形態の立体表示装置を示す図である。この立体表示装置51は、回転スクリーン32の回転中心軸よりそれぞれオフセットして、ほぼ120度の角間隔により3つのプロジェクタ33A、33B、33Cが配置される。この立体表示装置51は、このプロジェクタ33A、33B、33Cに関する構成が異なる点を除いて、
図8の立体表示装置31と同一に構成される。
【0047】
ここでプロジェクタ33A、33B、33Cは、順次、最大の出射光量が2のべき乗により増大するように設定される。具体的に、プロジェクタ33Aの最大の出射光量に対して、プロジェクタ33Bは最大の出射光量が2倍に設定される。またプロジェクタ33Bの最大の出射光量に対して、プロジェクタ33Cは最大の出射光量が2倍に設定される。
【0048】
この立体表示装置51は、3ビットによる画像データD1により立体画像を表示し、この3ビットによる画像データの最下位ビットd0により最大の出射光量が最も小さいプロジェクタ23Aを駆動する。また続くビットd1により続く出射光量のプロジェクタ33Bを駆動し、最上位ビットd2により最も出射光量の大きなプロジェクタ33Cを駆動する。これによりこの実施の形態では、立体画像の表示を、複数のプロジェクタ33A、33B、33Cによる画像データD1のビットの分担により実行する。
【0049】
この実施の形態では、光軸に対して回転中心が偏った位置に設定されている凸レンズによる回転スクリーンに対して、回転中心軸よりオフセットさせて複数のプロジェクタを配置するようにして、立体画像の表示を、複数のプロジェクタによる画像データのビットの分担により実行することにより、高階調の立体画像を簡易な構成により表示することができる。
【0050】
〔第4実施形態〕
図13は、本発明の第4実施形態の立体表示装置を示す図である。この立体表示装置61は、回転スクリーン32の回転中心軸よりそれぞれオフセットして、ほぼ120度の角間隔により3つのプロジェクタ33A、33B、33Cが配置される。この立体表示装置61は、このプロジェクタ33A、33B、33Cに関する構成が異なる点を除いて、
図8の立体表示装置31と同一に構成される。
【0051】
この立体表示装置61は、順次循環的に接点を切り換えるセレクタ62を介して、画像データD1が順次循環的にプロジェクタ33A、33B、33Cに供給され、各プロジェクタ33A、33B、33Cは、それぞれこの順次循環的な画像データの供給に対応して、対応する画像データの入力により間欠的に映像光を出射する。これによりこの立体表示装置61は、立体画像の表示を、複数のプロジェクタによる視点の分担により実行する。
【0052】
この実施の形態では、光軸に対して回転中心が偏った位置に設定されている凸レンズによる回転スクリーンに対して、回転中心軸よりオフセットさせて複数のプロジェクタを配置するようにして、立体画像の表示を、複数のプロジェクタによる視点の分担により実行することにより、簡易な構成により立体画像を表示するようにして、立体表示の視点数を増加させて全周に表示可能な画像数を多くすることができる。
【0053】
〔第5実施形態〕
図14は、本発明の第5実施形態の立体表示装置を示す図である。この立体表示装置71は、回転スクリーン32の回転駆動に係る構成が異なる点を除いて、
図13の立体表示装置61と同一に構成される。なおこれにより
図13の立体表示装置61と同一の構成は、対応する符号を付して示し、重複した説明は省略する。
【0054】
この実施形態では、駆動回路73によるモータ72の駆動により、回転スクリーン32を回転駆動する。駆動回路73は、一周分の視点に対応する画像データD1の繰り返し周期Tに対して、この周期Tの1/3の周期でモータ72を回転する。これによりこの実施の形態では、時間軸方向に係る視点形成を3台のプロジェクタで分担して、回転スクリーン32の回転速度を低減する。
【0055】
この実施の形態では、光軸に対して回転中心が偏った位置に設定されている凸レンズによる回転スクリーンに対して、回転中心軸よりオフセットさせて複数のプロジェクタを配置するようにして、立体画像の表示に係る時間軸方向の視点形成を3台のプロジェクタで分担することにより、スクリーンの回転数をプロジェクタの台数分の1に減じて立体画像を表示することができる。
【0056】
〔第6実施形態〕
図15は、本発明に係る他の立体表示装置の原理の説明に供する断面図である。
図15に示す実施形態では、回転スクリーンから異なる距離に配置される複数のプロジェクタを用いる点が
図3の構成とは異なる。
【0057】
図3の構成に対して、
図15に示すように、回転スクリーン22の回転中心からプロジェクタ23a及び23bを一定距離だけオフセットさせて配置する。ここでプロジェクタ23aのオフセット量(回転スクリーン22の回転中心からプロジェクタ23aの光軸までの距離)をr1とし、プロジェクタ23bのオフセット量(回転スクリーン22の回転中心からプロジェクタ23bの光軸までの距離)をr2とする。
【0058】
また、回転スクリーン22からプロジェクタ23aまでの距離をdaとし、回転スクリーン22からプロジェクタ23bまでの距離をdbとする。
図15に示す構成では、距離da>距離dbとなっている。
【0059】
図15に示すように、回転スクリーン22とプロジェクタ23a及び23bとの距離を変化させると、回転スクリーン22と視点との距離が変化する(
図15の視点a及び視点b)。
【0060】
このように、回転スクリーン22から異なる距離にある複数のプロジェクタ23a及び23bを用いることにより、回転スクリーン22から異なる距離にある複数の円周上に多数の視点を形成することができる。
【0061】
図16は、
図15の構成による視点の動きを示す図である。
図16に示すように、回転スクリーン22とプロジェクタ23a及び23bとの距離を変化させると、回転スクリーン22と視点a及びbが形成される円周の距離が変化すると共に、視点a及びbが形成される円周の半径も変化する。
【0062】
よって、回転スクリーン22から異なる距離にある複数のプロジェクタ23a及び23bを用いることにより、異なる高さにある異なる半径の円周上に多数の視点を形成することができる。
【0063】
図17は、本発明の第6実施形態の立体表示装置を示す図である。この立体表示装置81は、回転スクリーン32の上方、回転中心軸より所定距離されオフセットした位置に、第1及び第2のプロジェクタ33D及び33Eが配置される。第1のプロジェクタ33Dから回転スクリーン32までの距離は、第2のプロジェクタ33Eから回転スクリーン32までの距離よりも長くなっている。
【0064】
図17に示すように、複数のプロジェクタ(第1及び第2のプロジェクタ33D及び33E)を回転スクリーン32から異なる距離に配置することにより、回転スクリーン32から異なる高さにある異なる円周上に多数の視点を形成することができる。
【0065】
また、視点の高さに応じた視差画像をプロジェクタで表示することにより、観察者の目の垂直位置に応じた視差を有する立体画像を表示することができる。すなわち、垂直視差を有する立体画像を表示することができる。
【0066】
なお、
図17の構成を用いる場合には、回転スクリーン32から垂直方向拡散板を取り除き、垂直方向に光が拡散しないようにする必要がある。
【0067】
以上では、2台のプロジェクタを用いて説明したが、3台以上の複数のプロジェクタを用いることも当然可能であり、プロジェクタ数と等しい数の垂直方向の視点数(垂直視差)が得られる。
【0068】
また、プロジェクタの配置については、プロジェクタをスクリーンから同じ距離に配置する方法(第1から第5の実施形態)と、プロジェクタをスクリーンから異なる距離に配置する方法(第6実施形態)を組み合わせて用いることも可能である。すなわち、スクリーンから同じ距離にも異なる距離にも複数のプロジェクタを配置することも可能である。
この場合、フレームレートの増大、階調数の増大、視点数の増大に加えて、垂直視差の付与も実現できる。
なおこのようにスクリーンに対して種々にプロジェクタを配置する場合に、ハーフミラーを光路上に配置し、複数系統のプロジェクタからの出射光の光軸を重ね合わせるようにしても良いことは言うまでも無い。
【0069】
〔他の実施形態〕
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態の構成を種々に組み合わせることができ、さらには上述の実施形態の構成を種々に変更することができる。
【0070】
すなわち上述の実施形態では、回転スクリーンにミラーを設け、プロジェクタを配置した側に視点を作製する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ミラーを省略して、プロジェクタを配置した側と逆側に視点を作製するようにしてもよい。なおこの場合、回転スクリーンの下にプロジェクタを配置して、立体画像を表示する側の構成をすっきりとしたものにすることができる。
【0071】
また上述の実施形態では、回転スクリーンを構成するフレネルレンズとレンチキュラレンズに関して、フレネルレンズを上にレンチキュラレンズを下にして説明したが、これを上下逆にして用いることもできる。また、フレネルレンズのかわりに、ホログラムなどのレンズ機能を有する光学素子を用いることもでき、上述したように正のレンズを使用しても良く、負のレンズを使用してもよい。また、レンチキュラレンズのかわりに、ホログラムなどの一方向拡散機能を有する光学素子を用いることもできる。これらのかわりに、レンズ機能と一方向拡散機能の両方の機能を有する光学素子を用いることもできる。さらに、ミラー機能も組み合わせ、反射型レンズ、反射型一方向拡散板、およびレンズ機能と一方向拡散機能の両方を有する反射型光学素子を用いることもできる。
【0072】
また上述の実施形態では、複数のプロジェクタを1種類の立体画像に係る画像データにより駆動する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、複数のプロジェクタを異なる立体画像に係る画像データにより駆動する場合にも広く適用することができる。すなわち、視点の位置によって異なる画像を表示することで、観察位置によって異なる立体像を表示することができる。
【0073】
また上述の実施形態では、立体表示の視差は水平視差に限られ、水平視差型の立体表示となるが、観察者の目の垂直位置を検出し、それに応じた垂直視差を有する画像を表示することで、疑似的に垂直視差を実現することができる。