(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。本実施形態では、コンテンツ提供者は、提供するコンテンツを構成する映像や音声といったメディアコンポーネントを複数の伝送路を用いて伝送を行う。また、コンテンツを構成するメディアコンポーネントに関する情報を記載した制御情報も該伝送路を用いて伝送する。
【0016】
図1は、本実施形態によるコンテンツ配信システムの構成を示す概略ブロック図である。
図1に示すように、本実施形態におけるコンテンツ配信システムは、コンテンツサーバ11、12、伝送路21、22、受信装置30、メディア出力装置40を含んで構成される。コンテンツサーバ11は、映像のメディアコンポーネントV1、音声のメディアコンポーネントA1、制御情報Cを、マルチキャスト伝送を用いて配信する。また、コンテンツサーバ12は、映像のメディアコンポーネントV2、音声のメディアコンポーネントA2、制御情報Cを、マルチキャスト伝送を用いて配信する。
【0017】
これら、映像のメディアコンポーネントV1、V2、音声のメディアコンポーネントA1、A2は、同じコンテンツの映像と音声である。すなわち、メディアコンポーネントV1、V2は、同一内容の映像であり、メディアコンポーネントA1、A2は、同一内容の音声である。本実施形態では、メディアコンポーネントV1と、V2とでは、例えば、符号化方式や解像度などのデータ形式が異なる。また、制御情報Cは、該コンテンツを構成するメディアコンポーネントに関する情報を含む情報である。
【0018】
伝送路21は、コンテンツサーバ11と受信装置30とを接続するIPネットワークであり、コンテンツサーバ11が送信した各メディアコンポーネントと制御情報Cとを、受信装置30にマルチキャスト伝送する。伝送路22は、コンテンツサーバ12と受信装置30とを接続するIPネットワークであり、コンテンツサーバ12が送信した各メディアコンポーネントと制御情報Cとを、受信装置30にマルチキャスト伝送する。
【0019】
受信装置30は、伝送路21、22にて伝送された各メディアコンポーネント、制御情報Cを取得し、制御情報Cを参照して、メディアコンポーネントを組み合わせることでコンテンツを構成し、再生する。なお、受信装置30は、通常のマルチキャストで使用されているIGMP/MLDのプロトコルに従いコンテンツの受信を開始する。また、受信装置30は、再生したコンテンツの映像信号Vsおよび音声信号Asをメディア出力装置40に入力する。メディア出力装置40は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスと、スピーカなどの音声出力デバイスとを有しており、入力されたコンテンツの映像信号Vsおよび音声信号Asに従い、映像の表示と音声の出力とを行う。
【0020】
なお、本実施形態では、コンテンツを構成するメディアコンポーネントとして、映像と音声とを挙げたが、文字、静止画像など、その他のものであってもよい。また、伝送路21、22として、IPネットワークを挙げたが、地上デジタル放送、衛星放送、CDN(Contents Delivery Network)、インターネットなど、その他の伝送路であってもよい。また、インターネットプロトコルのバージョンは、4(いわゆるIPv4)であってもよいし、6(いわゆるIPv6)であってもよい。ただし、IPパケットをベースとした伝送方式を、伝送路21、22において共通に用いている。すなわち、各メディアコンポーネントは、その映像データや音声データが符号化され、それをIPパケット化されて伝送路21、22で伝送されている。
【0021】
図2は、本実施形態における受信装置30の構成を示す概略ブロック図である。受信装置30は、IPデータフロー受信部301、302、IPパケット分離部303、制御情報処理部304、コンポーネント選択部305、デバイスプロファイル管理部306、IPパケット整序部307、コンポーネント復号部308、ビデオバッファー部309、ビデオデコーダー部310、オーディオバッファー部311、オーディオデコーダー部312、IPパケット監視部313を含んで構成される。
【0022】
IPデータフロー受信部301は、メディアコンポーネントV1、A1、制御情報Cを含む各IPデータフローを、伝送路21から受信する。IPデータフロー受信部302は、メディアコンポーネントV2、A2、制御情報Cを含む各IPデータフローを、伝送路22から受信する。IPパケット分離部303は、IPデータフロー受信部301、302が受信したIPデータフローから、そのIPアドレスとポート番号に基づき、IPパケットを分離する。IPパケット分離部303は、分離したIPパケットのうち、制御情報Cを格納するIPパケットを、制御情報処理部304に入力し、後述するようにコンポーネント選択部305により選択されたメディアコンポーネントを格納するIPパケットを、IPパケット整序部307に入力する。
【0023】
制御情報処理部304(情報取得部)は、入力されたIPパケットから制御情報Cを抽出する。デバイスプロファイル管理部306は、受信装置30の能力を示す情報(デバイスプロファイル)を予め記憶する。この能力を示す情報は、受信装置30が再生可能なデータ形式、受信装置30が受信可能な伝送路を含む。具体的には、デバイスプロファイル管理部306は、再生可能なデータ形式を示す情報として、後述するメディアコンポーネントの種類(stream_type)と、メディアコンポーネントの種類の詳細(component_type)との組み合わせのうち、受信装置30が再生可能な組み合わせを記憶する。同様に、デバイスプロファイル管理部306は、受信可能な伝送路を示す情報として、後述する伝送路の識別(reference_flow_flag)を記憶する。なお、デバイスプロファイル管理部306は、再生可能なデータ形式を示す情報として、上述した情報に加えて、処理可能な最大解像度、最大ビットレート、最大フレームレート、最大チャンネル数など、よりメディアコンポーネントの内容を詳細に表せる情報を保持していてもよい。
【0024】
コンポーネント選択部305は、制御情報Cと、デバイスプロファイルとを参照して、受信装置30の能力に応じたメディアコンポーネントを選択し、IPパケット分離部303に通知する。例えば、コンポーネント選択部305は、映像のメディアコンポーネントとして、メディアコンポーネントV2を選択し、音声のメディアコンポーネントとして、メディアコンポーネントA1を選択する。なお、コンポーネント選択部305は、コンポーネント選択後も、IPパケット監視部313から通知されるIPパケットの受信状況に応じて、メディアコンポーネントを適応的に選択し直す。
【0025】
IPパケット整序部307は、入力された各メディアコンポーネントのIPパケットを整序する。コンポーネント復号部308は、IPパケット整序部307により整序されたIPパケットから、各メディアコンポーネントを復号する。コンポーネント復号部308は、復号したメディアコンポーネントのうち、映像のメディアコンポーネントをビデオバッファー部309に入力し、音声のメディアコンポーネントをオーディオバッファー部3311に入力する。
【0026】
ビデオバッファー部309は、コンポーネント復号部308に入力された映像のメディアコンポーネントを格納するバッファーであり、伝送路によるジッターなどを吸収する。ビデオデコーダー部310(再生部)は、ビデオバッファー部309が格納している映像のメディアコンポーネントを復号して、映像信号Vsを生成する。ビデオデコーダー部310は、映像信号Vsをメディア出力装置40に入力する。
【0027】
オーディオバッファー部311は、コンポーネント復号部308に入力された音声のメディアコンポーネントを格納するバッファーであり、伝送路によるジッターなどを吸収する。オーディオデコーダー部312(再生部)は、オーディオバッファー部311が格納している音声のメディアコンポーネントを復号して、音声信号Asを生成する。オーディオデコーダー部312は、音声信号Asをメディア出力装置40に入力する。
【0028】
IPパケット監視部313は、IPパケット整序部307が整序したIPパケット、すなわち、再生するメディアコンポーネントのIPパケットの受信を監視する。IPパケット監視部313は、所定の時間に亘って、監視しているメディアコンポーネントのIPパケットが受信されないときは、該メディアコンポーネントの受信断と判定し、該メディアコンポーネントのデータフローが異常であることをコンポーネント選択部305に通知する。あるいは、IPパケット監視部313は、メディアコンポーネント毎にパケットロス率を算出し、パケットロス率を予め定めた閾値と比較し、閾値を超えたときは、そのメディアコンポーネントのデータフローが異常であることをコンポーネント選択部305に通知する。
【0029】
図3は、本実施形態における制御情報Cのフォーマットを示す図である。
図3において、Syntaxは、構文を示す欄であり、No.of bitsは、該構文のビット数であり、Mnemonicは、該ビット数のビットのデータ形式を示す。Mnemonicのuimsbfは、unsigned integer most significant bit firstの略であり、符号無し整数、最上位ビットが先頭を意味する。また、bslbfは、bit string left bit firstの略であり、ビット列、左ビットが先頭を意味する。
【0030】
図3に示すように制御情報Cの先頭には、コンテンツを一意に識別するための16ビットのプログラム番号(program_number)の領域が配置されている。続いて、4ビットの将来予約の領域(Reserved)と、12ビットの記述子1長(descriptor1_length)の領域と、該記述子1長分の記述子1(descriptor1)の領域が配置されている。この記述子1の領域には、コンテンツに対する任意の記述子を配置できるが、ここでは説明を省略する。
【0031】
続いて、以降に情報が記載されているメディアコンポーネントの数(number_of_components)の領域と、各メディアコンポーネントに関する情報の領域が配置されている。本実施形態では、制御情報Cには、コンテンツを構成する全てのメディアコンポーネントに関する情報が格納されているので、このメディアコンポーネントの数は、コンテンツを構成するメディアコンポーネントの数でもある。
【0032】
各メディアコンポーネントに関する情報には、先頭から順に、グループID(group_identification)、選択優先順位(selection_level)、メディアコンポーネントの種類(stream_type)、メディアコンポーネントの種類の詳細(component_type)、伝送路の識別(reference_flow_flag)、該伝送路に応じた参照情報、メディアコンポーネントの識別情報(component_identification)、将来予約(Reserved)、記述子2長(descriptor2_length)、該記述子2長分の記述子2(descriptor2)の領域が配置されている。
【0033】
グループID(group_identification)は、当該メディアコンポーネントが属するグループの識別情報である。グループは、そのコンテンツを構成するメディアコンポーネントのうち、同じ映像、同じ音声など、内容が同一で同等とみなせるメディアコンポーネントの集合である。なお、ここで、内容が同一で同等とは、符号化方式や解像度などは一致していなくてよい。選択優先順位(selection_level)は、例えば、「0」はデフォルトコンポーネント、「1」は代替コンポーネントというように、そのグループ内での当該メディアコンポーネントの選択優先順位を示す。
【0034】
メディアコンポーネントの種類(stream_type)は、MPEG(Moving Picture Experts Group)−2ビデオ、MPEG−4ビデオ、MPEG−2オーディオなど、当該メディアコンポーネントのメディアの種別と、データ形式とを示す情報である。メディアコンポーネントの種類の詳細(component_type)は、メディアコンポーネントの種類の詳細を示す情報である。メディアコンポーネントの種類の詳細(component_type)については、後述する。
【0035】
伝送路の識別(reference_flow_flag)は、当該メディアコンポーネントが、どのフロー(伝送路)で伝送されているかを識別するフラグである。本実施形態では、伝送路の識別が「0」のときは、伝送路が制御情報Cと同一であることを示す。この場合、伝送路に応じた参照情報は制御情報Cと同一になるので、配置されない。伝送路の識別が「1」のときは、伝送路がIPv4(Internet Protocol version4)のマルチキャスト伝送であることを示す。伝送路がIPv4のマルチキャスト伝送のときは、伝送路に応じた参照情報には、送信元のIPアドレスと、宛先のIPアドレスと、宛先のポート番号とが含まれる。
【0036】
伝送路の識別が「2」のときは、伝送路がIPv6(Internet Protocol version6)のマルチキャスト伝送であることを示す。伝送路がIPv6のマルチキャスト伝送のときは、伝送路に応じた参照情報には、送信元のIPv6アドレスと、宛先のIPv6アドレスと、宛先のポート番号とが含まれる。伝送路の識別が「3」のときは、伝送路がMPEG−2 TS(Transport Stream)であることを示す。伝送路がMPEG−2 TSのときは、伝送路に応じた参照情報には、ネットワークID(network_id)、トランスポートストリームのID(TS_id)、サービスのID(service_id)、エレメンタリーストリーム(Elementary Stream)のパケットID(ES_PID)を含む。
【0037】
伝送路の識別が「4」のときは、伝送路がIPネットワークのユニキャスト伝送であることを示す。伝送路がIPネットワークのユニキャスト伝送のときは、伝送路に応じた参照情報には、当該メディアコンポーネントを要求するためのURL(Uniform Resource Locator)を含む。
なお、制御情報Cには、メディアコンポーネントのデータ形式として、ビットレート(bit_rate)、フレームレート(frame_rate)などを含むようにしてもよい。
【0038】
図4は、本実施形態におけるメディアコンポーネントの種類の詳細(component_type)の各値の割り当てを示す図である。
図4に示すように、メディアコンポーネントの種類の詳細は、メディアコンポーネントが、映像であるか音声であるかと、映像であればプログレッシブ方式であるかインターレース方式であるかとライン数、音声であればチャネル構成を示す情報である。
【0039】
図4において、例えば、映像480iは、480ラインのインターレースの映像であることを示し、映像720pは、720ラインのプログレッシブの映像であることを示す。また、例えば、音声 1/0モードは、フロントに1チャネルの音声、すなわち、モノラルの音声であることを示し、音声 2/0/0−2/0/2−0.1モードは、上層のフロントに2チャネル、中層のフロントに2チャネル、中層のバックに2チャネル、低音1チャネルの音声であることを示す。
【0040】
図5は、本実施形態におけるコンポーネント選択部305の動作を説明するフローチャートである。視聴するコンテンツが決定されると、コンポーネント選択部305は、まず、制御情報処理部304から、該コンテンツの制御情報Cに格納されていたメディアコンポーネントに関する情報を取得する(Sa1)。なお、本実施形態では、コンテンツ提供者は、コンテンツサーバ11、12を用いて、該コンテンツの制御情報Cを特定の送信元のIPアドレスと宛先のIPアドレスと宛先のポート番号とを指定したデータフローとして伝送している。受信装置30は、この特定の送信元のIPアドレスと宛先のIPアドレスと宛先のポート番号とを把握しており、その制御情報Cを取得する。
【0041】
次に、コンポーネント選択部305は、取得した全てのメディアコンポーネントに関する情報からグループIDを抽出し、抽出したグループIDのうち、未選択のものを一つ選択する(Sa2)。なお、選択の基準は、例えば、グループIDの値の順など、どのような基準であってもよい。
【0042】
次に、コンポーネント選択部305は、選択したグループの再生処理を起動する(Sa3)。再生処理は、該グループに属するメディアコンポーネントから一つを選択して、再生させる処理であるが、詳細は後述する。次に、コンポーネント選択部305は、抽出したグループIDに未選択のものがあるか否かを判定する(Sa4)。未選択のものがあるときは(Sa4−Yes)、ステップSa2に戻る。未選択のものがないときは(Sa4−No)、当該処理を終了する。なお、当該処理が終了しても、ステップSa3にて起動した各グループの再生処理については、コンポーネント選択部305は、並行して処理を継続する。
【0043】
図6は、コンポーネント選択部305による再生処理を説明するフローチャートである。
図5のステップSa3により、あるグループの再生処理が起動されると、コンポーネント選択部305は、該グループに属するメディアコンポーネントで未選択のもののうち、選択優先順位(selection_level)の最も高いものを選択する(Sb1)。次に、コンポーネント選択部305は、選択したメディアコンポーネントの受信と再生を指示する(Sb2)。
【0044】
具体的には、コンポーネント選択部305は、IPパケット分離部303に選択したメディアコンポーネントの伝送路に応じた参照情報を通知することで、受信と再生を指示する。本実施形態における受信装置30は、マルチキャスト伝送のメディアコンポーネントのみを受信可能なので、コンポーネント選択部305は、該参照情報として、送信元のIPアドレスと、宛先のIPアドレスと、宛先のポート番号、または、送信元のIPv6アドレスと、宛先のIPv6アドレスと、宛先のポート番号を、通知する。該通知を受けると、IPパケット分離部303は、該参照情報に適合するIPパケットを、IPパケット整序部307に入力する。このとき、IPパケット分離部303は、該参照情報に適合するIPパケットの受信を、IPデータフロー受信部301、302に指示するようにしてもよい。
【0045】
次に、コンポーネント選択部305は、選択したメディアコンポーネントのデータフローが正常であるか否かを判定する(Sb3)。この判定は、IPパケット監視部313から該メディアコンポーネントのデータフローが異常であることが通知されたか否かに基づき行う。ステップSb3で、正常と判定したときは(Sb3−Yes)、コンポーネント選択部305は、該メディアコンポーネントの受信および再生を終了するか否かを判定する(Sb4)。例えば、当該コンテンツの末尾に達したとき、当該コンテンツの再生停止をユーザに指示されたとき、他のコンテンツの再生をユーザに指示されたときなどに、受信および再生を終了すると判定する。
【0046】
ステップSb4にて、終了すると判定したときは(Sb4−Yes)、コンポーネント選択部305は、受信と再生の停止を、IPパケット分離部303に指示し(Sb5)、再生処理を終了する。一方、ステップSb4にて終了しないと判定したときは、ステップSb3に戻る。また、ステップSb3にてデータフローが正常でないと判定したときは(Sb3−No)、コンポーネント選択部305は、当該グループに属するメディアコンポーネントの中に、ステップSb1における選択に関して未選択のメディアコンポーネントがあるか否かを判定する(Sb6)。未選択のメディアコンポーネントがあると判定したときは(Sb6−Yes)、ステップSb1に戻る。ないと判定したときは(Sb6−No)、ステップSb5に遷移する。
【0047】
なお、IPパケット監視部313は、異常をコンポーネント選択部305に通知したメディアコンポーネントについて、その後も監視を続け、データフローが正常に復帰したときには、その旨をコンポーネント選択部305に通知するようにしてもよい。コンポーネント選択部305は、該通知を受けて、再生するメディアコンポーネントをデータフローが正常に復帰したものに戻すことが出来る。また、別の方法として、IPパケット監視部313は、現在のメディアコンポーネントよりも、選択優先順位が1つ高いメディアコンポーネントのIPパケットを常に監視し、そのデータフローが正常になったら、コンポーネント選択部305に通知して、該メディアコンポーネントの再生を再開させるようにしてもよい。
【0048】
また、コンテンツサーバ11、12が受信確認用のパケットを一定間隔で送信し、IPパケット監視部313は、受信確認用のパケットが一定時間届かないことで受信が断であると判断するようにしてもよい。
また、制御情報Cは、例えば、XML(Extensible Markup Language)形式など、その他のフォーマットを用いるようにしてもよい。
また、制御情報Cは、コンテンツサーバ11、12の双方が送信しているとして説明したが、いずれか一方のみが送信していてもよいし、他の装置が送信していてもよい。
【0049】
本実施形態における受信装置30は、コンテンツに関する情報を参照して、一のグループに属しているメディアコンポーネントの中から、自装置の能力に応じた一つのメディアコンポーネントを、再生するメディアコンポーネントとして選択する。このため、様々な能力を有している受信装置が混在している環境を対象とするコンテンツ配信システムにおいても、自装置に適したメディアコンポーネントを選択してコンテンツを構成し、再生することができる。
【0050】
[第2の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、全てのメディアコンポーネントがマルチキャスト伝送される場合を説明したが、第2の実施形態では、一部のメディアコンポーネントがユニキャスト伝送される場合を説明する。
【0051】
図7は、本実施形態におけるコンテンツ配信システムの構成を示す概略ブロック図である。
図7に示すように、本実施形態におけるコンテンツ配信システムは、コンテンツサーバ11、12a、伝送路21、22a、受信装置30a、メディア出力装置40を含んで構成される。同図において、
図1の各部に対応する部分には同一の符号(11、21、40)を付し、説明を省略する。
【0052】
コンテンツサーバ12aは、受信装置30aからの要求に従い、映像のメディアコンポーネントV2、音声のメディアコンポーネントA2、制御情報Cdを、ユニキャスト伝送で受信装置30に送信する。受信装置30aからの制御情報Cdの要求には、コンテンツIDと、受信装置30aのデバイスプロファイルとが含まれており、コンテンツサーバ12aは、指定されたコンテンツIDのコンテンツを構成するメディアコンポーネントのうち、該デバイスプロファイルに応じた、受信装置30aが受信可能かつ再生可能なメディアコンポーネントに関する情報のみを含む制御情報Cdを生成して送信する。
【0053】
伝送路22aは、コンテンツサーバ12aと受信装置30aとを接続するIPネットワークであり、受信装置30aから要求を受信装置30aに伝送するとともに、該要求に応じてコンテンツサーバ12aが送信した各メディアコンポーネントと制御情報Cdとを、受信装置30aにユニキャスト伝送する。なお、伝送路22aは、伝送路の識別(reference_flow_flag)の値では、「4」に対応する伝送路である。受信装置30aは、
図1の受信装置30と同様であるが、映像のメディアコンポーネントV2、音声のメディアコンポーネントA2、制御情報Cdについては、ユニキャスト伝送されたものを受信する点が異なる。
【0054】
図8は、本実施形態における受信装置30aの構成を示す概略ブロック図である。
図8に示すように受信装置30aは、IPデータフロー受信部301、302a、IPパケット分離部303、制御情報処理部304、コンポーネント選択部305、デバイスプロファイル管理部306、IPパケット整序部307、コンポーネント復号部308、ビデオバッファー部309、ビデオデコーダー部310、オーディオバッファー部311、オーディオデコーダー部312、IPパケット監視部313、制御情報リクエスト部314、コンポーネントリクエスト部315を含んで構成される。
図8において、
図2の各部に対応する部分には同一の符号(301、303〜313)を付し、説明を省略する。
【0055】
IPデータフロー受信部302aは、ユニキャスト伝送された映像のメディアコンポーネントV2、音声のメディアコンポーネントA2、制御情報Cdのデータフローを受信し、IPパケット分離部303に入力する。ここで、制御情報Cdは、コンテンツを構成するメディアコンポーネントのうち、受信装置30aが受信可能かつ再生可能なものに関する情報のみを格納する制御情報である。
【0056】
制御情報リクエスト部314は、伝送路22aを介して、コンテンツサーバ12aに対して制御情報Cdを要求する。この要求は、コンテンツを指定するコンテンツIDと、デバイスプロファイル管理部306が記憶するデバイスプロファイルとを含む。コンポーネントリクエスト部315は、コンポーネント選択部305が選択したメディアコンポーネントのうち、伝送路の識別が「4」であるものについて、コンテンツサーバ12aに要求する。この要求は、そのメディアコンポーネントに関する情報から抽出した、伝送路に応じた参照情報であるURLを含む。
【0057】
このように、本実施形態における受信装置30aも、第1の実施形態と同様、様々な能力を有している受信装置が混在している環境を対象とするコンテンツ配信システムにおいても、自装置に適したメディアコンポーネントを選択してコンテンツを構成し、再生することができる。
【0058】
[第3の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態では、一部がデジタル放送のトランスポートストリームで伝送され、その他の一部がマルチキャスト伝送される場合を説明する。
【0059】
図9は、本実施形態におけるコンテンツ配信システムの構成を示す概略ブロック図である。
図9に示すように、本実施形態におけるコンテンツ配信システムは、放送局装置13、コンテンツサーバ12、伝送路22、受信装置30b、メディア出力装置40を含んで構成される。同図において、
図1の各部に対応する部分には同一の符号(12、22、40)を付し、説明を省略する。
【0060】
放送局装置13は、映像のメディアコンポーネントV1、音声のメディアコンポーネントA1、制御情報C’を、デジタル放送のトランスポートストリーム(MPEG2−TS)を用いて配信する。このデジタル放送のトランスポートストリームによる配信は、伝送路の識別(reference_flow_flag)の値では、「3」に対応する伝送路である。なお、制御情報C’は、第1および第2の実施形態における制御情報Cと同様に、コンテンツを構成するメディアコンポーネントに関する情報を格納しているが、そのフォーマットが異なる。制御情報C’のフォーマットは、トランスポートストリームにて伝送されるセクションテーブル形式である。
【0061】
受信装置30bは、
図1の受信装置30と同様であるが、映像のメディアコンポーネントV1、音声のメディアコンポーネントA1、制御情報C’については、デジタル放送のトランスポートストリームにより配信されたものを受信する点が異なる。
【0062】
図10は、本実施形態における受信装置30bの構成を示す概略ブロック図である。
図10に示すように受信装置30bは、IPデータフロー受信部302、IPパケット分離部303、制御情報処理部304b、コンポーネント選択部305b、デバイスプロファイル管理部306、IPパケット整序部307、コンポーネント復号部308、ビデオバッファー部309、ビデオデコーダー部310、オーディオバッファー部311、オーディオデコーダー部312、IPパケット監視部313、放送復調部316、多重分離部317、コポーネント復号部318、TSパケット監視部319を含んで構成される。
図10において、
図2の各部に対応する部分には同一の符号(302、303、306〜313)を付し、説明を省略する。
【0063】
放送復調部316は、放送局装置13からの放送波を受信、復調して、放送局装置13が送信したトランスポートストリームを復元する。多重分離部317は、トランスポートストリームを構成するTSパケットのうち、制御情報C’を含むものを分離し、制御情報処理部304bに入力する。なお、多重分離部317は、トランスポートストリームの分離を、各TSパケットに付されたパケットID(PID;packet_id)を参照して行う。本実施形態では、放送局装置13は、制御情報C’を、特定のパケットIDのTSパケットに含めて送信しており、受信装置30bは、このパケットIDを把握している。また、多重分離部317は、コンポーネント選択部305bから指定されたパケットIDのTSパケットを分離して、コンポーネント復号部318に入力する。
【0064】
コンポーネント復号部318は、多重分離部317から入力されたTSパケットから、各メディアコンポーネントを復号する。コンポーネント復号部318は、復号したメディアコンポーネントのうち、映像のメディアコンポーネントをビデオバッファー部309に入力し、音声のメディアコンポーネントをオーディオバッファー部311に入力する。
【0065】
TSパケット監視部319は、多重分離部317がコンポーネント復号部318に入力する各メディアコンポーネントのTSパケットの受信を監視する。TSパケット監視部319は、所定の時間に亘って、いずれかのメディアコンポーネントのTSパケットが受信されないときは、該メディアコンポーネントの受信断と判定し、該メディアコンポーネントのデータフローが異常であることをコンポーネント選択部305bに通知する。なお、IPパケット監視部313と同様、パケットロス率に基づき、異常を通知するようにしてもよい。
【0066】
制御情報処理部304bは、
図2の制御情報処理部304と同様であるが、多重分離部317から入力される制御情報C’については、そのフォーマットがセクションテーブル形式である点が異なる。また、コンポーネント選択部305bは、
図2のコンポーネント選択部305と同様であるが、多重分離部317に対しては、選択したメディアコンポーネントの参照情報として、ネットワークID(network_id)、トランスポートストリームのID(TS_id)、サービスのID(service_id)、パケットID(ES_PID)を通知する点が異なる。
【0067】
図11は、本実施形態における制御情報C’のフォーマットを示す図である。
図11においても、
図3と同様に、Syntaxは、構文を示す欄であり、No.of bitsは、該構文のビット数であり、Mnemonicは、該ビット数のビットのデータ形式を示す。また、Mnemonicのuimsbfは、unsigned integer most significant bit firstの略であり、符号無し整数、最上位ビットが先頭を意味する。また、bslbfは、bit string left bit firstの略であり、ビット列、左ビットが先頭を意味する。
【0068】
図11に示すように制御情報C’の先頭には、セクションテーブルの種類を識別するためのテーブルID(table_id)の領域が配置されている。テーブルIDは、制御情報C’のテーブルIDとして予め割り当てられている値である。続いて、当該セクションが長形式(long-form)であるか短形式(short-form)であるかを指定するセクション書式指示(section_syntax_indicator)の領域が配置されている。制御情報C’は長形式であるので、セクション書式指示は「1」である。
【0069】
続いて、「0」が1ビット、2ビットの将来予約の領域が配置されている。続いて、当該セクション長(section_length)の領域と、コンテンツを一意に識別するための16ビットのプログラム番号(program_number)の領域、2ビットの将来予約の領域が配置されている。以降、バージョン番号(version_number)、現行次期指示(current_next_indicator)、セクション番号(section_number)、最終セクション番号(last_section_number)、4ビットの将来予約の領域が配置されているが、これらはMPEG−2システムにて規定されているので、ここでは説明を省略する。
【0070】
その後に続く、12ビットの記述子1長(descriptor1_length)の領域以降は、
図3の制御情報Cのフォーマットと同様であるので説明を省略する。ただし、末尾に32ビットの巡回冗長検査(CRC_32)が付されている。
【0071】
このように、本実施形態における受信装置30bも、第1、第2の実施形態と同様、様々な能力を有している受信装置が混在している環境を対象とするコンテンツ配信システムにおいても、自装置に適したメディアコンポーネントを選択してコンテンツを構成し、再生することができる。
【0072】
[第4の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態では、一部がデジタル放送のトランスポートストリームで伝送され、その他の一部がユニキャスト伝送される場合を説明する。
【0073】
図12は、本実施形態におけるコンテンツ配信システムの構成を示す概略ブロック図である。
図12に示すように、本実施形態におけるコンテンツ配信システムは、放送局装置13、コンテンツサーバ12a、伝送路22a、受信装置30c、メディア出力装置40を含んで構成される。同図において、
図7、
図9の各部に対応する部分には同一の符号(12a、13、22a、40)を付し、説明を省略する。
【0074】
受信装置30cは、
図1の受信装置30と同様であるが、映像のメディアコンポーネントV1、音声のメディアコンポーネントA1、制御情報C’については、デジタル放送のトランスポートストリームにより配信されたものを受信する点が異なる。
【0075】
図13は、本実施形態における受信装置30cの構成を示す概略ブロック図である。
図13に示すように受信装置30cは、IPデータフロー受信部302a、IPパケット分離部303、制御情報処理部304b、コンポーネント選択部305b、デバイスプロファイル管理部306、IPパケット整序部307、コンポーネント復号部308、ビデオバッファー部309、ビデオデコーダー部310、オーディオバッファー部311、オーディオデコーダー部312、IPパケット監視部313、制御情報リクエスト部314、コンポーネントリクエスト部315、放送復調部316、多重分離部317、コポーネント復号部318、TSパケット監視部319を含んで構成される。これらの各部は、いずれも、
図2、
図8、
図10の各部のいずれかに対応するので、対応する部分と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0076】
このように、本実施形態における受信装置30cも、第1から第3の実施形態と同様、様々な能力を有している受信装置が混在している環境を対象とするコンテンツ配信システムにおいても、自装置に適したメディアコンポーネントを選択してコンテンツを構成し、再生することができる。
【0077】
なお、上述の各実施形態における制御情報Cを、MPT(MMT Package Table) Messageに格納されて伝送されるMP(MMT Package) Tableとしてもよい。MPT MessageおよびMP Tableは、ISO/IEC 23008にて規格化中である(Study of ISO CD 23008−1 MPEG Media Transport(N13089)参照)。ただし、MP TableのMMT_general_location_infoに続くasset_descriptors_byteに、
図14に示すアセットグループ記述子(Asset_group_descriptor)を、
図3のグループID(group_identification)や選択優先順位(selection_level)に相当する情報として挿入する。MP Tableにおけるアセット(asset)は、上述の各実施形態におけるメディアコンポーネントに相当する。
【0078】
図14は、アセットグループ記述子の構成を示すテーブルである。
図14において、Syntax、No.of bits、Mnemonicは、
図3と同様である。Valueは、該構文が固定値の場合に、その値を示す欄である。
図14に示すように、アセットグループ記述子(Asset_group_descriptor)の先頭には、当該記述子がアセットグループ記述子であることを示す16ビットの固定値0x0012を格納する記述子タグ(descriptor_tag)が配置されている。続いて、当該記述子の長さを示す16ビットの固定値0x0002を格納する記述子長(descriptor_length)が配置されている。
【0079】
続いて、当該アセットが属するグループを識別する8ビットのグループID(group_identification)が配置されている。なお、このグループIDは、
図3のグループID(group_identification)に相当する情報であるが、映像コンポーネントの場合は0x00、音声コンポーネントの場合は0x01というように予めメディアコンポーネントの種類毎に値を割り当てておき、
図3のメディアコンポーネントの種類(stream_type)に相当する情報も兼ねるようにしてもよい。続いて、当該アセットのグループ内での優先度を示す8ビットの優先度レベル(selection_level)が配置されている。この優先度レベルは、
図3の選択優先順位(selection_level)に相当する情報である。
【0080】
また、
図1における受信装置30、
図8における受信装置30a、
図10における受信装置30b、
図13における受信装置30cの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各装置を実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0081】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0082】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。