(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書では、特に断りのない限り、炭素数を適宜選択しながら、以下の置換基の例示は、同様の置換基を有するいずれの化学構造式においても適用される。脂肪族炭化水素基のうち、アルキル基のように直鎖状又は分岐状をとることができるものは、そのいずれをも含む。立体異性体が存在する場合は、全ての立体異性体を包含する。以下の置換基の例示において、「C」に付して記載した数値は、各々の基の炭素数を示すものである。
さらに、本明細書において、「(メタ)アクリル系モノマー」とは、「CH
2=CH−CO−」又は「CH
2=C(CH
3)−CO−」の構造を有するモノマーの少なくとも1種を意味する。同様に「(メタ)アクリレート」及び「(メタ)アクリル酸」とは、それぞれ「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも1種」並びに「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種」を意味する。
【0013】
炭化水素基とは、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を包含する。
炭化水素基は、その一部に炭素−炭素二重結合を含んでいてもよいが、飽和の基(飽和炭化水素基)が好ましい。
脂肪族炭化水素基のうち1価のものとしては、典型的にはアルキル基が挙げられる。
アルキル基としては、メチル基(C
1)、エチル基(C
2)、プロピル基(C
3)、ブチル基(C
4)、ペンチル基(C
5)、ヘキシル基(C
6)、ヘプチル基(C
7)、オクチル基(C
8)、デシル基(C
10)、ドデシル基(C
12)、テトラデシル基(C
14)、ペンタデシル基(C
15)、ヘキサデシル基(C
16)、ヘプタデシル基(C
17)及びオクタデシル基(C
18)などが挙げられる。
脂肪族炭化水素基のうち2価のものとしては、アルキル基から水素原子を1個取り去ったアルカンジイル基が挙げられる。
【0014】
アルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基等が挙げられる。
【0015】
脂環式炭化水素基は、以下に示す単環式及び多環式のいずれも包含する。
1価の脂環式炭化水素基のうち、単環式の脂肪族炭化水素基は、例えば、式(KA−1)〜式(KA−7)で表されるシクロアルカンから水素原子を1個取り去った基等が挙げられる。
【化12】
【0016】
1価の多環式の脂肪族炭化水素基は、例えば、式(KA−8)〜式(KA−22)で表される脂環式炭化水素から水素原子を1個取り去った基等が挙げられる。
【化13】
【0017】
2価の脂環式炭化水素基としては、式(KA−1)〜式(KA−22)の脂環式炭化水素から水素原子を2個取り去った基が挙げられる。
【0018】
脂肪族炭化水素基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、特に限定されない限り、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アリール基、アラルキル基及びアリールオキシ基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基(C
1)、エトキシ基(C
2)、プロポキシ基(C
3)、ブトキシ基(C
4)、ペンチルオキシ基(C
5)、ヘキシルオキシ基(C
6)、ヘプチルオキシ基(C
7)、オクチルオキシ基(C
8)、デシルオキシ基(C
10)及びドデシルオキシ基(C
12)などが挙げられる。
【0019】
アシル基としては、アセチル基(C
2)、プロピオニル基(C
3)、ブチリル基(C
4)、バレイル基(C
5)、ヘキサノイル基(C
6)、ヘプタノイル基(C
7)、オクタノイル基(C
8)、デカノイル基(C
10)及びドデカノイル基(C
12)などのアルキル基とカルボニル基とが結合したもの並びにベンゾイル基(C
7)などのアリール基とカルボニル基とが結合したものが挙げられる。
アシルオキシ基としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基等が挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル基(C
7)、フェネチル基(C
8)、フェニルプロピル基(C
9)、ナフチルメチル基(C
11)及びナフチルエチル基(C
12)などが挙げられる。
アリールオキシ基としては、フェニルオキシ基(C
6)、ナフチルオキシ基(C
10)、アントニルオキシ基(C
14)、ビフェニルオキシ基(C
12)、フェナントリルオキシ基(C
14)及びフルオレニルオキシ基(C
13)などのアリール基と酸素原子とが結合したものが挙げられる。
【0020】
芳香族炭化水素基としては、典型的には、アリール基が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基(C
6)、ナフチル基(C
10)、アントリル基(C
14)、ビフェニル基(C
12)、フェナントリル基(C
14)及びフルオレニル基(C
13)などが挙げられる。
【0021】
芳香族炭化水素基は置換基を有することがある。該置換基としては、上述のハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基、アルキル基及びアリールオキシ基が挙げられる。
【0022】
本発明の重合性化合物は、酸に不安定な基及びアルカリ現像液の作用により開裂する基を有する。
本発明の樹脂は、酸に不安定な基及びアルカリ現像液の作用により開裂する基を有する重合性化合物に由来する構造単位を有する樹脂(以下「樹脂(A)」という場合がある)である。
本発明のレジスト組成物は、本発明の樹脂及び酸発生剤(B)を含む。
さらに、本発明のレジスト組成物は、塩基性化合物(C)及び溶剤(D)を含むことが好ましい。
本明細書において、各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で又は複数種を組合せて使用することができる。
【0023】
<重合性化合物>
本発明の重合性化合物は、酸に不安定な基及びアルカリ現像液の作用により開裂する基を有する。なお、本願でいう「開裂」とは、結合が切断されて複数の分子に分かれることを意味し、開環反応は含まれない。
【0024】
酸に不安定な基としては、式(Aa)で表される基又は式(Ab)で表される基であるであることが好ましい。
【化14】
[式(Aa)中、
R
A1、R
A2及びR
A3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基又はこれらを組み合わせた基を表すか、R
A1及びR
A2は互いに結合して置換基を有していてもよい炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成する。該アルキル基、該脂環式炭化水素基及び該2価の炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わってもよい。]
【化15】
[式(Ab)中、
R
A1’及びR
A2’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表し、R
A3’は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基を表すか、R
A2’及びR
A3’は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成する。該1価の炭化水素基及び該2価の炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子に置き換わってもよい。]
【0025】
R
A1、R
A2及びR
A3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基であることが好ましい。
【0026】
酸不安定基(1)のR
A1〜R
A3のアルキル基及び脂環式炭化水素基は、各々の炭素数の範囲において、すでに例示したものを含む。ただし、該脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは3〜16の範囲である。
【0027】
式(Aa)で表される基としては、式(Aa−1)で表される基であるであることが好ましい。
【化16】
[式(Aa−1)中、
R
A3は、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を表す。該アルキル基又は該脂環式炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わってもよい。
環W
1は、置換基を有していてもよい炭素数3〜18の脂肪族環を表す。該脂肪族環を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わってもよい。]
【0028】
式(Aa−1)中の炭化水素環W
1としては、以下の環が挙げられる。
【化17】
【0029】
式(Aa)で表される基としては、例えば、1,1−ジアルキルアルコキシカルボニル基(式(Aa)中、R
A1〜R
A3がアルキル基である基、好ましくはtert−ブチルオキシカルボニル基)、2−アルキルアダマンタン−2−イルオキシカルボニル基(式(Aa)中、R
A1及びR
A2が結合することで、アダマンチル環を形成し、R
A3がアルキル基である基)及び1−(アダマンタン−1−イル)−1−アルキルアルコキシカルボニル基(式(Aa)中、R
A1及びR
A2がアルキル基であり、R
A3がアダマンチル基である基)などが挙げられる。
【0030】
式(Ab)で表される基のR
A1’及びR
A2’の炭化水素基は、例えば、アルキル基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基などである。これらの基もすでに例示したもののうち、炭素数20以下の範囲で同じものを含む。ただし、R
A1’及びR
A2’のうち少なくとも1つは水素原子であると好ましい。
【0031】
式(Ab)で表される基としては、以下の基が挙げられる。
【化18】
【0032】
アルカリ現像液の作用により開裂する基は、式(Ba)で表される基又は式(Bb)で表される基であることが好ましい。
【化19】
[式(Ba)中、R
B1は、フッ素原子を有する炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
【化20】
[式(Bb)中、R
B2は、フッ素原子を有する炭素数1〜6のアルキル基を表す。
R
B3及びR
B4は、それぞれ独立に、水素原子又はフッ素原子を表す。]
【0033】
式(Ba)及び式(Bb)においては、フッ素原子を有するアルキル基は、上述したフッ化アルキル基と同様のものが挙げられ、例えば、1,1,1−トリフルオロエチル基、ペルフルオロエチル基、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロピル基、ペルフルオロプロピル基、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロブチル基、ペルフルオロブチル基、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロペンチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基等が好ましい。
【0034】
例えば、式(Ba)で表される基は、アルカリの作用により開裂してヒドロキシ基を発生する。また、式(Bb)で表される基は、アルカリの作用により開裂してカルボキシ基を発生する。
【化21】
このような構造(塩基解離性基)を有する式(I)で表される重合性化合物は、以下の方法で、開裂したことを確認できる。
例えば、式(I)で表される重合性化合物を、溶剤に溶解し、アルカリ溶液を添加し、10〜80℃で攪拌する。これによって、塩基解離性基を、ヒドロキシ基又はカルボキシ基に変換させることができる。ヒドロキシ基又はカルボキシ基の確認方法としては、生成した化合物の酸性度測定、NMR測定及びMS測定などが挙げられる。
溶剤としては、ジメチルホルムアミドが好ましい。
アルカリとしては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドが好ましい。
【0035】
本発明の重合性化合物は、式(I)で表される重合性化合物(以下、場合により「化合物(I)」という。)であることが好ましい。
【化22】
[式(I)中、
R
1は、水素原子又はメチル基を表す。
L
1及びL
2は、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
R
Bは、上記式(Ba)で表される基又は上記式(Bb)で表される基を表す。
環W
1及びR
A3は、上記と同じ意味を表す。]
【0036】
L
1は、好ましくは、単結合、−Ar−、*−CO−O−X
1−、*−CO−O−Ar−、*−Ar−O−X
2−、*−CO−O−Ar−又は*−CO−O−Ar−O−X
3−を表し、より好ましくは、単結合又は*−CO−O−X
1−を表し、更に好ましくは、単結合を表す。(*は、二重結合炭素原子との結合手を表し、*記載ないものは左右どちらが二重結合炭素原子と結合してもよい。)
L
2は、単結合、*−O−X
4−又は*−CO−O−X
5−(*は、環W
1との結合手を表す。)を表し、より好ましくは、単結合又は*−O−X
4−を表し、より好ましくは、単結合を表す。
X
1、X
2、X
3、X
4及びX
5は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
Arは、2価の芳香族炭化水素基を表す。
【0037】
L
1及びL
2に含まれる2価の炭素数1〜6のアルカンジイル基としては、直鎖状アルカンジイル基又は分岐状アルカンジイル基が挙げられる。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基;及び、該直鎖状アルキレン基に、アルキル基(好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)の側鎖を有したもの、例えば、ブタン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基等の分岐状アルカンジイル基が挙げられる。
【0038】
L
1に含まれる*−CO−O−X
1−(*は、二重結合炭素原子との結合手を表す。以下、L
1の例示については同じ意味を表す。)としては、例えば、*−CO−O−CH
2−等が挙げられる。
L
1に含まれる*−Ar−O−X
2−としては、例えば、*−Ar−O−CH
2−等が挙げられる。
L
1に含まれる*−CO−O−Ar−O−X
3−としては、例えば、*−CO−O−Ar−O−CH
2−等が挙げられる。
L
1は、単結合又は*−CO−O−CH
2−であることが好ましく、単結合であることがより好ましい。
【0039】
L
2に含まれる*−O−X
4−としては、例えば、*−O−CH
2−等が挙げられる。(*は、環W
1との結合手を表す。以下、L
2の例示については同じ意味を表す。)
L
2に含まれる*−CO−O−X
5−としては、例えば、*−CO−O−CH
2−等が挙げられる。
L
2は、単結合又は*−O−CH
2−であることが好ましく、単結合であることがさらに好ましい。
【0040】
環W
1で表される炭素数3〜18の炭化水素環としては、シクロヘキサン環、アダマンタン環、芳香族環等が好ましく、アダマンタン環がより好ましい。
【0041】
式(I)において、下記式(I−A)
【化23】
[式(I−A)中、R
A3及び環W
1は、それぞれ上記と同じ意味を表す。*は結合手を表す。]
で表される基としては、例えば、下記の基等が挙げられる。
【0043】
酸に不安定な基及びアルカリ現像液の作用により開裂する基を有する重合性化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
【化25】
【0047】
ここに示す式(I−1)〜式(I−33)で表される化合物(I)において、以下に示す部分構造Aを以下に示す部分構造Mに置き換えたもの、及び以下に示す部分構造Mを以下に示す部分構造Aに置き換えたものも化合物(I)として挙げることができる。
【化29】
【0048】
次に、化合物(I)の製造方法について説明する。例えば、式(I)において、L
1が単結合、L
2が単結合、かつ、R
Bが式(Ba)で表される基である式(IA)で表される化合物の製造方法を下記に示す。
【化30】
(式中、環W
1、R
1、R
A3及びR
B1は、それぞれ上記と同じ意味を表す。)
【0049】
まず、式(IA−a)で表される化合物と式(IA−b)で表される化合物とを、塩基性触媒下で反応させることにより、式(IA)で表される塩を製造することができる。溶媒としては、テトラヒドロフラン等が挙げられる。塩基触媒としては、N−メチルピロリジン等が挙げられる。
【化31】
式(IA−a)で表される化合物としては、以下で表される化合物などが挙げられ、下記で表される化合物は、特開2010−256876号公報記載の方法で製造できる。
【化32】
式(IA−b)で表される化合物としては、ヘプタフルオロブチリルクロリドなどが挙げられる。
【0050】
例えば、式(I)において、L
1が単結合、L
2が単結合、かつ、R
Bが式(Bb)で表される基である式(IB)で表される化合物の製造方法を下記に示す。
【化33】
(式中、環W
1、R
1、R
A3、R
B2、R
B3及びR
B4は、それぞれ上記と同じ意味を表す。)
【0051】
式(IB−a)で表される化合物と式(IB−b)で表される化合物とを反応させることにより、式(IB−c)で表される化合物を得ることができる。
【化34】
溶媒としては、アセトニトリル等が挙げられる。
式(IB−a)で表される化合物としては、以下で表される化合物などが挙げられる。
【化35】
【0052】
式(IB−c)で表される化合物と、式(IB−d)で表される化合物とを反応させることにより、式(IB−e)で表される化合物を製造することができる。
【化36】
溶媒としては、アセトニトリル等が挙げられる。
式(IB−d)で表される化合物としては、以下で表される化合物などが挙げられる。
【化37】
【0053】
式(IB−e)で表される化合物を、R
A3−MgCl等を用いて、グリニャール反応させることにより、式(IB−f)で表される化合物を製造することができる。
【化38】
【0054】
式(IB−g)で表される化合物と式(IB−b)で表される化合物とを反応させることにより、式(IB−h)で表される化合物を得ることができる。
【化39】
【0055】
式(IB−h)で表される化合物と、式(IB−f)で表される化合物とを反応させることにより、式(IB)で表される化合物を製造することができる。
溶媒としては、アセトニトリル等が挙げられる。
【化40】
【0056】
<樹脂>
樹脂(A)は、化合物(I)に由来する構造単位に加えて、他の構造単位を有していてもよい。樹脂(A)において、化合物(I)に由来する構造単位の含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、1〜50モル%が好ましく、3〜45モル%がより好ましく、5〜40モル%がさらに好ましい。
【0057】
他の構造単位としては、酸に不安定な基を有するモノマーに由来する構造単位を含有していることが好ましい。ただし、化合物(I)は、上述したように、酸に不安定な基を有するため、酸不安定モノマーに相当するが、酸に不安定な基をゆするモノマーとしては、化合物(I)とは異なるモノマーであることが好ましい。以下、「酸に不安定な基を有するモノマー(但し、化合物(I)とは異なる)」を「酸不安定モノマー(a1)」という場合がある。
また、樹脂(A)は、酸に不安定な基を有さないモノマー(以下、「酸に不安定な基を有さないモノマー」を「酸安定モノマー」という場合がある。)を含有していてもよい。
また、本発明のレジスト組成物は、化合物(I)に由来する構造単位及び前記特性をともに有さない樹脂(以下「樹脂(Z)」という場合がある)を含んでもよい。
【0058】
<酸不安定モノマー(a1)>
「酸に不安定な基」とは、脱離基を有し、該脱離基が酸との接触により脱離して、親水性基(例えば、ヒドロキシ基又はカルボキシ基)を生成する基を意味する。酸に不安定な基としては、例えば、式(1)で表される基が挙げられる。
【化41】
[式(1)中、R
a1〜R
a3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基又はこれらを組み合わせた基を表すか、R
a1及びR
a2は互いに結合して炭素数3〜20の2価の脂肪族炭化水素基を形成する。*は結合手を表す。]
【0059】
R
a1〜R
a3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基及びオクチル基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基;デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、メチルノルボルニル基及び下記の式で表される基等の多環の脂環式炭化水素基が挙げられる。
【化42】
式(1)における脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは3〜16である。
【0060】
R
a1及びR
a2が互いに結合して2価の脂肪族炭化水素基を形成する場合の−C(R
a1)(R
a2)(R
a3)としては、下記の基が挙げられる。
【化43】
R
a1及びR
a2が互いに結合して形成される2価の脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは3〜12である。
【0061】
式(1)で表される基としては、例えば、式(1−1)、式(1−2)、式(1−3)及び式(1−4)のいずれかで表される基などが挙げられる。
【化44】
[式(1−1)、式(1−2)、式(1−3)中、R
a11〜R
a17は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基を表す。]
好ましくは、tert−ブトキシカルボニル基、2−エチルアダマンタン−2−イルオキシカルボニル基、2−メチルアダマンタン−2−イルオキシカルボニル基、2−イソプロピルアダマンタン−2−イルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0062】
また、酸に不安定な基としては、例えば、式(2)で表される基が挙げられる。
【化45】
[式(2)中、R
a1’及びR
a2’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表し、R
a3’は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基を表すか、R
a2’及びR
a3’は互いに結合して炭素数3〜20の2価の炭化水素基を形成し、該1価の炭化水素基及び該2価の炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子で置き換わっていてもよい。*は結合手を表す。]
【0063】
R
a1’〜R
a3’の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。
アルキル基及び脂環式炭化水素基は、上記R
a1〜R
a3と同様のものが挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等のアリール基等が挙げられる。
【0064】
R
a2’及びR
a3’が結合して形成する環は、上述したR
a1及びR
a2が互いに結合して形成する環の1つの炭素原子が1つの酸素原子と置き換わったものが挙げられる。
好ましくは、R
a1’及びR
a2’のうち少なくとも1つが水素原子である。
式(2)で表される基の具体例としては、以下の基が挙げられる。
【化46】
【0065】
酸不安定モノマー(a1)は、好ましくは、炭素数5〜20の脂環式炭化水素基を有するものが挙げられる。樹脂(A)が、脂環式炭化水素基のような嵩高い構造を有するモノマー(a1)を重合して得られる樹脂であれば、レジストの解像度を向上させることができる。
【0066】
酸不安定モノマー(a1)は、好ましくは、式(1)で表される基とエチレン性炭素−炭素二重結合とを有するモノマーであり、より好ましくは式(1)で表される基と(メタ)アクリル基とを有するモノマーである。
【0067】
酸不安定モノマー(a1)として、好ましくは式(a1−1)で表されるモノマー及び式(a1−2)で表されるモノマーである。
【化47】
[式(a1−1)及び式(a1−2)中、
L
a1及びL
a2は、それぞれ独立に、−O−又は*−O−(CH
2)
k1−CO−O−を表す。ここで、k1は1〜7の整数を表し、*は−CO−との結合手を表す。
R
a4及びR
a5は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
R
a6及びR
a7は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜10の脂環式炭化水素基を表す。
m1は0〜14の整数を表す。
n1は0〜10の整数を表す。
n1’は0〜3の整数を表す。]
【0068】
L
a1及びL
a2は、好ましくは、−O−又は*−O−(CH
2)
k1−CO−O−であり、より好ましくは−O−である。k1は、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1である。
R
a4及びR
a5は、好ましくはメチル基である。
R
a6及びR
a7のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。R
a6及びR
a7のアルキル基は、好ましくは炭素数6以下である。
【0069】
R
a6及びR
a7の脂環式炭化水素基としては、単環式又は多環式のいずれでもよく、単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、メチルノルボルニル基及び下記のような基等が挙げられる。
【化48】
脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数8以下、より好ましくは6以下である。
m1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1’は、好ましくは0又は1である。
【0070】
式(a1−1)で表されるモノマーとしては、例えば、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。式(a1−1−1)〜式(a1−1−8)のいずれかで表されるモノマーが好ましく、式(a1−1−1)〜式(a1−1−4)のいずれかで表されるモノマーがより好ましい。
【化49】
【0071】
式(a1−2)で表されるモノマーとしては、例えば、式(a1−2−1)〜式(a1−2−12)のいずれかで表されるモノマーがより好ましく、式(a1−2−3)、式(a1−2−4)及び式(a1−2−9)、式(a1−2−10)のいずれかで表されるモノマーがさらに好ましい。
【化50】
【0072】
樹脂(A)が式(a1−1)で表されるモノマー及び/又は式(a1−2)で表されるモノマーに由来する構造単位を含む場合、これらの合計含有率は、樹脂(A)の全構造単位において、通常10〜95モル%であり、好ましくは15〜90モル%であり、より好ましくは20〜85モル%であり、さらに好ましくは30〜60モル%である。
中でも、式(a1−1)で表されるモノマーに由来する構造単位の含有率は、酸不安定モノマー(a1)に由来する構造単位に対して、15モル%以上であることが好ましい。アダマンチル基を有するモノマーの比率が増えると、レジストパターンのドライエッチング耐性が向上する。
【0073】
さらに、酸不安定モノマー(a1)として例えば、式(a1−3)で表されるノルボルネン環を有するモノマー(以下「モノマー(a1−3)」という場合がある)が挙げられる。
【化51】
[式(a1−3)中、
R
a9は、水素原子、ヒドロキシ基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキル基、カルボキシ基、シアノ基又は−COOR
a13を表す。
R
a13は、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
R
a10、R
a11及びR
a12は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表すか、或いは、R
a10及びR
a11が結合して、これらが結合している炭素原子とともに、炭素数3〜20の環を形成し、該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子は、ヒドロキシ基などで置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。]
【0074】
R
a9のヒドロキシ基を有するアルキル基としては例えば、ヒドロキシメチル基及び2−ヒドロキシエチル基などが挙げられる。
R
a10〜R
a12の脂肪族炭化水素基としては、鎖式炭化水素基(例えば、アルキル基)及び脂環式炭化水素基が挙げられる。
R
a10及びR
a11が結合して形成される環は脂肪族環が好ましく、具体的には、シクロへキサン環及びアダマンタン環がより好ましい。
【0075】
R
a9の−COOR
a13としては例えば、メトキシカルボニル基(C
2)及びエトキシカルボニル基(C
3)など、アルコキシ基とカルボニル基とが結合した基が挙げられる。
【0076】
モノマー(a1−3)としては例えば、5−ノルボルネン−2−カルボン酸−tert−ブチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−シクロヘキシル−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−メチルシクロヘキシル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−メチル−2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−エチル−2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(4−メチルシクロヘキシル)−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−メチル−1−(4−オキソシクロヘキシル)エチル及び5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチルなどが挙げられる。
【0077】
モノマー(a1−3)のように立体的に嵩高い酸不安定モノマー(a1)に由来する構造単位を有する樹脂を含有するレジスト組成物は、高解像度でレジストパターンを得ることができる。さらにモノマー(a1−3)を用いて製造された樹脂は、主鎖に剛直なノルボルナン環を有するため、該樹脂を含有するレジスト組成物から製造されたレジストパターンは、ドライエッチング耐性に優れる傾向がある。
このような点から、樹脂がモノマー(a1−3)に由来する構造単位を含む場合、その含有率は、樹脂の全構造単位に対して、10〜95モル%が好ましく、15〜90モル%がより好ましく、20〜85モル%がさらに好ましい。
【0078】
式(2)で表される基を有する酸不安定モノマー(a1)としては、例えば、以下の式(a1−4)で表されるモノマー(以下、「モノマー(a1−4)」という場合がある。)が挙げられる。
【化52】
[式(a1−4)中、
R
a32は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
R
a33は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を表す。
laは0〜4の整数を表す。laが2以上である場合、複数のR
a33は互いに同一でも異なってもよい。
R
a34及びR
a35はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表す。
X
a2は、単結合又は炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基及び炭素数2〜4のアシルオキシ基で置換されていてもよい。X
a2の脂肪族炭化水素基は、鎖式炭化水素基が好ましく、アルカンジイル基がより好ましい。なお、該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又は−N(R
d)−で表される基に置き換わっていてもよい。ここで、R
dは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
Y
a3は、炭素数1〜18の炭化水素基であり、好ましくは、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基であり、該炭化水素基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基を有していてもよい。]
【0079】
R
a32のハロゲン原子を有するアルキル基は、アルキル基を構成する水素原子が、ハロゲン原子に置換されたものである。具体的には、例えば、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基及びトリヨードメチル基などが挙げられる。
【0080】
R
a34及びR
a35の炭化水素基は、鎖式炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれであってもよい。これらのうち、鎖式炭化水素基としては、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基が好ましい。脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、アダマンチル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、1−(アダマンタン−1−イル)アルカン−1−イル基及びイソボルニル基が好ましい。芳香族炭化水素基は、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基及び2−メチル−6−エチルフェニルが好ましい。
【0081】
R
a32及びR
a33のアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
R
a33のアルコキシ基としては、メトキシ基及びエトキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。
X
a2及びY
a3の置換基は、好ましくはヒドロキシ基である。
【0082】
モノマー(a1−4)としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【化53】
【0084】
【化55】
これらのモノマー(a1−4)の具体例において、部分構造V’を部分構造P’に置き換えたものもモノマー(a1−4)の具体例として挙げられる。
【化56】
【0085】
樹脂が、モノマー(a1−4)に由来する構造単位を有する場合、その含有率は、樹脂の全構造単位に対して、10〜95モル%が好ましく、15〜90モル%がより好ましく、20〜85モル%がさらに好ましい。
【0086】
酸不安定基(2)を有するモノマー(a1)として、例えば、式(a1−5)で表されるモノマー(以下、「モノマー(a1−5)」という場合がある。)も用いることができる。
【化57】
[式(a1−5)中、
R
31は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
L
1、L
2及びL
3は、それぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子を表す。
Z
1は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
S1及びS1’は、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。]
【0087】
式(a1−5)中、
R
31は、水素原子及びメチル基が好ましい。
L
1は、酸素原子が好ましい。
L
2及びL
3は、一方が酸素原子であり、かつ他方が硫黄原子であることが好ましい。
s1は、1が好ましい。
s1’は、0〜2の整数が好ましい。
Z
1は、単結合又は*−CH
2−CO−O−(*はL
1との結合手を表す)が好ましい。
【0088】
モノマー(a1−5)としては、例えば、以下のモノマーが挙げられる。これらの例示のうち、R
31のメチル基を水素原子に置き換えたものも、モノマー(a1−5)の具体例である。
【化58】
【0090】
樹脂が、モノマー(a1−5)に由来する構造単位(a1)を有する場合、その含有率は、樹脂の全構造単位に対して、1〜95モル%が好ましく、3〜90モル%がより好ましく、5〜85モル%がさらに好ましく、5〜70モル%が特に好ましい。
【0091】
<酸に不安定な基を有さないモノマー>
樹脂(A)は、さらに、式(I)で表される化合物に由来する構造単位に加えて、酸に不安定な基を有さないモノマー(以下「酸安定モノマー」という場合がある)に由来する構造単位を含有していることが好ましい。
【0092】
酸安定モノマーとしては、好ましくは、ヒドロキシ基又はラクトン環を有するモノマーが挙げられる。樹脂(A)が、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(以下「酸安定モノマー(a2)」という場合がある)に由来する構造単位及び/又はラクトン環を含有する酸安定モノマー(以下「酸安定モノマー(a3)」という場合がある)に由来する構造単位を有することにより、レジストパターンの解像度及びレジストパターンと基板との密着性を向上させることができる。
【0093】
<ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)>
樹脂(A)を含むレジスト組成物が、KrFエキシマレーザ露光(248nm)あるいは電子線又はEUV光などの高エネルギー線照射に用いられる場合、酸安定モノマー(a2)は、フェノール性ヒドロキシ基を有する酸安定モノマーが好ましい。ArFエキシマレーザ露光(193nm)などに用いられる場合は、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)は、アルコール性ヒドロキシ基を有する酸安定モノマーが好ましい。酸安定モノマー(a2)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0094】
フェノール性ヒドロキシ基を有するモノマーとしては、式(a2−0)で表されるモノマーが好ましい。
【化60】
[式(a2−0)中、
R
a30は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
R
a31は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表す。
maは0〜4の整数を表す。maが2以上の整数である場合、複数のR
a31は同一であっても異なってもよい。]
【0095】
R
a30及びR
a31のハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子が挙げられる。
R
a30及びR
a31のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基が挙げられ、好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは、炭素数1又は2のアルキル基であり、特に好ましくは、メチル基である。
R
a31のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキトキシ基等が挙げられ、好ましくは、炭素数1〜4のアルコキシ基であり、より好ましくは、炭素数1又は2のアルコキシ基であり、特に好ましくは、メトキシ基である。
【0096】
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基及びブチリル基などが挙げられる。
アシルオキシ基としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基等が挙げられる。
maは、好ましくは、0〜2であり、より好ましくは、0又は1であり、特に好ましくは、0である。
【0097】
フェノール性ヒドロキシ基を有するモノマー(a2−0)に由来する構造単位を有する共重合体は、フェノール性ヒドロキシ基を保護基で保護したモノマー及び共重合させるモノマーをラジカル重合した後、酸又は塩基で脱保護することによって製造することができる。式(a2−0)で表されるモノマーに由来する構造単位を有する樹脂(A)を製造する場合、保護基で保護されたフェノール性ヒドロキシ基を脱保護する際には、塩基との接触により、脱保護することが好ましい。このことにより、化合物(I)に由来する構造単位の分解を抑制することができる。保護基としては、例えば、アセチル基等が好ましい。塩基としては、例えば、4−ジメチルアミノビリジン、トリエチルアミン等が挙げられる。
【0098】
フェノール性ヒドロキシ基を有するモノマーとしては、例えば、特開2010−204634号公報に記載されたモノマーが挙げられる。下式(a2−0−1)及び(a2−0−2)で表されるモノマーが好ましい。
【化61】
【0099】
樹脂(A)が式(a2−0)で表されるモノマーに由来する構造単位を含む場合、その含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、通常5〜90モル%であり、好ましくは10〜85モル%であり、より好ましくは15〜80モル%である。
【0100】
アルコール性ヒドロキシ基を有する酸安定モノマーとしては、式(a2−1)で表されるモノマーが好ましい。
【化62】
[式(a2−1)中、
L
a3は、−O−又は*−O−(CH
2)
k2−CO−O−を表す。ここで、k2は1〜7の整数を表し、*は−CO−との結合手を表す。
R
a14は、水素原子又はメチル基を表す。
R
a15及びR
a16は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はヒドロキシ基を表す。
o1は、0〜10の整数を表す。]
【0101】
式(a2−1)では、L
a3は、好ましくは、−O−、*−O−(CH
2)
f1−CO−O−であり(前記f1は、1〜4の整数である)(*は−CO−との結合手を表す)、より好ましくは−O−である。
R
a14は、好ましくはメチル基である。
R
a15は、好ましくは水素原子である。
R
a16は、好ましくは水素原子又はヒドロキシ基である。
o1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
【0102】
ヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマー(a2−1)としては、例えば、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。式(a2−1−1)〜式(a2−1−6)のいずれかで表されるモノマーが好ましく、式(a2−1−1)〜式(a2−1−4)のいずれかで表されるモノマーがより好ましく、式(a2−1−1)又は式(a2−1−3)で表されるモノマーがさらに好ましい。
【化63】
【0103】
樹脂(A)が式(a2−1)で表されるモノマーに由来する構造単位を含む場合、その含有量は、樹脂(A)の全構造単位に対して、通常3〜45モル%であり、好ましくは5〜40モル%であり、より好ましくは5〜35モル%である。
【0104】
<ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)>
酸安定モノマー(a3)が有するラクトン環は、例えば、β−プロピオラクトン環、γ−ブチロラクトン環、δ−バレロラクトン環のような単環でもよく、単環式のラクトン環と他の環との縮合環でもよい。これらラクトン環の中で、好ましくは、γ−ブチロラクトン環、又は、γ−ブチロラクトン環と他の環との縮合環が挙げられる。
【0105】
ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)は、好ましくは、式(a3−1)、式(a3−2)又は式(a3−3)で表される。これらの1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【化64】
[式(a3−1)〜式(a3−3)中、
L
a4〜L
a6は、それぞれ独立に、−O−又は*−O−(CH
2)
k3−CO−O−を表す。ここで、k3は1〜7の整数を表し、*は−CO−との結合手を表す。
R
a18〜R
a20は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
R
a21は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
p1は0〜5の整数を表す。
R
a22及びR
a23は、それぞれ独立に、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
q1及びr1は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。
p1が2以上のとき、複数のR
a21は、互いに同一であっても異なっていてもよく、q1が2以上のとき、複数のR
a22は互いに同一であっても異なっていてもよく、r1が2以上のとき、複数のR
a23は互いに同一であっても異なっていてもよい。]
【0106】
式(a3−1)〜式(a3−3)では、L
a4〜L
a6は、それぞれ独立に、−O−又は*−O−(CH
2)
k3−CO−O−であることが好ましく、より好ましくは−O−である。k3は、好ましくは1〜4の整数であり、より好ましくは1である。
R
a18〜R
a21は、好ましくはメチル基である。
R
a22及びR
a23は、それぞれ独立に、好ましくはカルボキシ基、シアノ基又はメチル基である。
p1〜r1は、それぞれ独立に、好ましくは0〜2、より好ましくは0又は1である。
【0107】
ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)としては、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。式(a3−1−1)〜式(a3−1−4)、式(a3−2−1)〜式(a3−2−4)、式(a3−3−1)〜式(a3−3−4)のいずれかで表されるモノマーが好ましく、式(a3−1−1)、式(a3−1−2)、式(a3−2−3)、式(a3−2−4)のいずれかで表されるモノマーがより好ましく、式(a3−1−1)又は式(a3−2−3)で表されるモノマーがさらに好ましい。
【化65】
【0108】
樹脂(A)がラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)に由来する構造単位を含む場合、その含有量は、樹脂(A)の全構造単位に対して、通常5〜70モル%であり、好ましくは10〜65モル%であり、より好ましくは10〜60モル%である。
【0109】
<その他のモノマー(a4)>
上記のモノマー以外のその他のモノマー(a4)としては、例えば、フッ素原子を有する式(a4−1)で表されるモノマー等が挙げられる。
【化66】
[式(a4−1)中、
R
41は、水素原子又はメチル基を表す。
A
40及びA
41は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
X
40は、−O−、−CO−又は−CO−O−を表す。
ssは、0〜2の整数を表す。ssが2のとき、複数存在するX
40及びA
40は、互いに同一であるか相異なる。
R
42は、フッ素原子を有していてもよい炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を表す。
R
43は、フッ素原子を有していてもよい炭素数1〜17の1価の脂肪族炭化水素基を表す。
ただし、R
42の脂肪族炭化水素基及びR
43の脂肪族炭化水素基の少なくとも1つは、フッ素原子を有する。
X
41は、−CO−O−を表す。
stは、0〜3の整数を表す。stが2以上のとき、複数存在するX
41、A
43及びR
43は、互いに同一であるか相異なる。
X
40及びX
41の−CO−O−は、どちらの向きで結合していてもよい。]
【0110】
A
41としては、炭素数1〜6のアルカンジイル基が好ましく、炭素数1〜4のアルカンジイル基がより好ましく、エチレン基がさらに好ましい。
【0111】
−(A
40−X
40)
ss−A
41−としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。式中、*は結合手を表し、左側の*で−O−CO−C(=CH
2)−R
41と結合する。
X
40が−O−である−(A
40−X
40)
ss−A
41−としては、例えば、下記の基が挙げられる。
【化67】
【0112】
X
40が−CO−である−(A
40−X
40)
ss−A
41−としては、例えば、下記の基が挙げられる。
【化68】
【0113】
X
40が−CO−O−である−(A
40−X
40)
ss−A
41−としては、例えば、下記の基が挙げられる。
【化69】
【0114】
R
42及びR
43の脂肪族炭化水素基は、炭素−炭素不飽和結合を有していてもよいが、飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましい。脂肪族飽和炭化水素基としては、アルキル基及び脂環式炭化水素基並びにアルキル基及び脂環式炭化水素基を組み合わせた脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基及びオクチル基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基は、単環式及び多環式のいずれでもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、メチルノルボルニル基及び下記に示す基等が挙げられる。
【化70】
【0115】
R
42の脂肪族炭化水素基及びR
43の脂肪族炭化水素基は、両方がフッ素原子を有する脂肪族炭化水素基でもよいが、いずれか一方がフッ素原子を有する脂肪族炭化水素基であることが好ましい。stが0である場合、R
42の脂肪族炭化水素基がフッ素原子を有する。
R
42及びR
43のフッ素原子を有する脂肪族炭化水素基とは、フッ素原子を有するアルキル基及びフッ素原子を有する脂環式炭化水素基(好ましくは、フッ素原子を有するシクロアルキル基)が挙げられる。フッ素原子を有するアルキル基は、アルキル基に含まれる水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたものであり、フッ素原子を有する脂環式炭化水素基とは、脂環式炭化水素基に含まれる水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたものである。
R
42及びR
43がフッ素原子を有する脂肪族炭化水素基であるとき、該脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子の全部がフッ素原子で置換されていることが好ましい。
【0116】
R
42の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜6のペルフルオロアルキル基又は炭素数が3〜6のペルフルオロシクロアルキル基が好ましく、炭素数が1〜6のペルフルオロアルキル基がより好ましく、炭素数1〜3のペルフルオロアルキル基がさらに好ましい。
ペルフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルフルオロヘプチル基及びペルフルオロオクチル基等が挙げられる。ペルフルオロシクロアルキル基としては、ペルフルオロシクロヘキシル基等が挙げられる。
R
42は、上記のペルフルオロアルキル基からフッ素原子をst個取り去った基が好ましい。
ssは、好ましくは0である。
stは、好ましくは0又は1である。
【0117】
式(a4−1)で表されるモノマーは、式(a4−1’)で表されるモノマーであることが好ましい。
【化71】
[式(a4−1’)中、
R
45は、水素原子又はメチル基を表す。
A
45は、炭素数1〜6の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
R
46は、フッ素原子を有していてもよい炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を表す。
R
47は、フッ素原子を有していてもよい炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基を表す。
ただし、R
46の脂肪族炭化水素基及びR
47の脂肪族炭化水素基の少なくとも1つは、フッ素原子を有する。
X
45は、−CO−O−基を表す。
suは、0又は1を表す。]
【0118】
R
46の脂肪族炭化水素基及びR
47の脂肪族炭化水素基は、両方がフッ素原子を有する脂肪族炭化水素基でもよいが、いずれか一方がフッ素原子を有する脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
suが1である場合、R
46がフッ素原子を有する脂肪族炭化水素基であり、かつR
47がフッ素原子を有さない脂肪族炭化水素基であることが好ましい。このときのR
46の脂肪族炭化水素基は、ペルフルオロアルカンジイル基であるものがより好ましい。
R
46及びR
47の合計炭素数は、2〜17が好ましい。
R
46の炭素数は1〜6が好ましく、1〜3がより好ましい。
R
47は、炭素数4〜15の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数5〜12の脂肪族炭化水素基がより好ましく、炭素数6〜12の脂環式炭化水素基がさらに好ましく、シクロヘキシル基及びアダマンチル基がとりわけ好ましい。
特に好ましくは、R
46がフッ素原子を有する炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であり、かつ、R
47がメチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基又はアダマンチル基である。
A
45は、エチレン基が好ましい。
【0119】
*−R
46−X
45−R
47(*はカルボニル基との結合手である)としては、好ましくは、以下式で表される基が挙げられる。
【化72】
【0120】
stが0である式(a4−1)で表されるモノマーとしては、以下の式(a4−1−1)〜式(a4−1−22)で表されるモノマーが挙げられる。
【化73】
【0122】
上記のモノマーのうち、R
42がペルフルオロアルキル基又はペルフルオロシクロアルキル基である式(a4−1)で表されるモノマーは、式(a4−1−3)、式(a4−1−4)、式(a4−1−7)、式(a4−1−8)、式(a4−1−11)、式(a4−1−12)、式(a4−1−15)、式(a4−1−16)、式(a4−1−19)、式(a4−1−20)、式(a4−1−21)又は式(a4−1−22)で表されるモノマーである。
【0123】
stが1である式(a4−1)で表されるモノマーとしては、以下の式(a4−1’−1)〜式(a4−1’−22)のいずれかで表されるモノマーが挙げられる。好ましくは、式(a4−1’−9)〜式(a4−1’−20)のいずれかで表されるモノマーである。
【化75】
【0125】
樹脂(A)が式(a4−1)で表されるモノマーに由来する構造単位を含む場合、その含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、1〜20モル%が好ましく、2〜15モル%がより好ましく、3〜10モル%がさらに好ましい。
樹脂(Z)が式(a4−1)で表されるモノマーに由来する構造単位を含む場合、その含有率は、樹脂(Z)の全構造単位に対して、50〜100モル%が好ましく、60〜100モル%がより好ましく、70〜100モル%がさらに好ましい。
【0126】
<その他の構造単位>
樹脂(A)は、本発明の目的を著しく損なわない範囲で、上述したような構造単位以外のものを有していてもよい。
【0127】
樹脂(A)は、好ましくは、式(I)で表される化合物、式(I)で表される化合物とは異なる酸不安定モノマー(a1)、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)及び/又はラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)を重合させた共重合体である。該共重合体において、酸不安定モノマー(a1)は、好ましくはアダマンチル基を有するモノマー(a1−1)、シクロへキシル基等を有するモノマー(a1−2)及びモノマー(a1−5)の少なくとも1種であり、より好ましくはアダマンチル基を有するモノマー(a1−1)である。さらに、式(a1−1)で表されるモノマーと、式(a1−2)で表される及びモノマー(a1−5)モノマーの少なくとも1種とを組合わせることが好ましい。酸不安定モノマー(a1)がこれらのモノマーであると、レジストパターンのマスクエラーファクターが向上する傾向がある。
ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)は、好ましくはヒドロキシスチレンを有する酸安定モノマー(a2−0)又はヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマー(a2−1)である。ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)は、より好ましくはγ−ブチロラクトン環を有する酸安定モノマー(a3−1)及びγ−ブチロラクトン環とノルボルナン環との縮合環を有する酸安定モノマー(a3−2)の少なくとも1種である。
【0128】
樹脂(A)において、式(I)で表される化合物に由来する構造単位の含有割合は、樹脂(A)の全構成単位に対して、通常、1〜50モル%であり、好ましくは3〜45モル%であり、より好ましくは5〜40モル%である。
樹脂(A)が他の構造単位を含有している場合、樹脂(A)の構造単位の構成比(モル比)としては、式(I)で表される化合物に由来する構造単位:式(I)で表される化合物とは異なる酸不安定モノマー(a1):ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)及び/又はラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)=1〜50:20〜60:40〜85が挙げられ、好ましくは、3〜45:25〜55:40〜80、より好ましくは、5〜40:25〜50:40〜75である。
樹脂(A)の構造単位の好ましい構成比としては、式(I)で表される化合物に由来する構造単位:式(I)で表される化合物とは異なる酸不安定モノマー(a1):ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)及び/又はラクトン環を有する酸安定モノマー(a3):その他のモノマー(a4)=1〜50:20〜60:40〜85:1〜20(好ましくは、3〜45:25〜55:40〜80:2〜15、より好ましくは、5〜40:25〜50:40〜75:3〜10)である。
【0129】
樹脂(A)のより好ましい具体例としては、下記(A−1)〜(A−28)の樹脂が挙げられる。
【化77】
【0141】
樹脂(A)は、公知の重合法(例えばラジカル重合法)によって製造できる。
樹脂(A)の重量平均分子量は、好ましくは、2,500以上(より好ましくは3,000以上)、50,000以下(より好ましくは30,000以下)である。
【0142】
<レジスト組成物>
樹脂(A)の含有率は、好ましくは、組成物の固形分中80質量%以上99質量%以下である。なお「組成物中の固形分」とは、後述する溶剤(E)を除いたレジスト組成物成分の合計を意味する。組成物中の固形分及びこれに対する樹脂(A)の含有率は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定することができる。
【0143】
<酸発生剤(B)>
酸発生剤(B)は、非イオン系とイオン系とに分類される。非イオン系酸発生剤としては、有機ハロゲン化物、スルホネートエステル類(例えば2−ニトロベンジルエステル、芳香族スルホネート、オキシムスルホネート、N−スルホニルオキシイミド、N−スルホニルオキシイミド、スルホニルオキシケトン、ジアゾナフトキノン4−スルホネート)、スルホン類(例えばジスルホン、ケトスルホン、スルホニルジアゾメタン)等が挙げられる。イオン系酸発生剤としては、オニウムカチオンを含むオニウム塩(例えばジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩)等が挙げられる。オニウム塩のアニオンとしては、スルホン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、スルホニルメチドアニオン等が挙げられる。
【0144】
酸発生剤(B)としては、レジスト分野で使用される酸発生剤(特に光酸発生剤)だけでなく、光カチオン重合の光開始剤、色素類の光消色剤又は光変色剤等の放射線(光)によって酸を発生する公知化合物及びそれらの混合物も、適宜、使用できる。例えば特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号、米国特許第3,779,778号、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、欧州特許第126,712号等に記載の放射線によって酸を発生する化合物を使用できる。
また、酸発生剤(B)は、公知の方法によって製造したものを用いることができる。
【0145】
酸発生剤(B)は、好ましくはフッ素含有酸発生剤であり、より好ましくは式(B1)で表されるスルホン酸塩である。
【化89】
[式(B1)中、Q
1及びQ
2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
L
b1は、単結合又は炭素数1〜17の2価の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、オキシ基又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
Yは、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、スルホニル基又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
Z
+は、有機カチオンを表す。]
【0146】
Q
1及びQ
2のペルフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基などが挙げられる。
式(B1)では、Q
1及びQ
2は、それぞれ独立に、好ましくはトリフルオロメチル基又はフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。
【0147】
L
b1の2価の飽和炭化水素基としては、直鎖状アルカンジイル基、分岐状アルカンジイル基、単環式又は多環式の2価の脂環式炭化水素基が挙げられ、これらの基のうち2種以上を組み合わせたものでもよい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基;
直鎖状アルカンジイルに、アルキル基(特に、炭素数1〜4のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等)の側鎖を有したもの、例えば、ブタン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基等の分岐状アルカンジイル基;
シクロブタン−1,3−ジイル基、1,3−シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基シレン基、シクロオクタン−1,5−ジイル基、等の単環式の2価の脂環式炭化水素基;
ノルボルナン−1,4−ジイル基、ノルボルナン−2,5−ジイル基、1,5−アダマンタン−1,5−ジイル基、アダマンタン−2,6−ジイル基等の多環式の2価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。
【0148】
L
b1における前記2価の飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わった基としては、例えば、以下の式(b1−1)〜式(b1−7)のいずれかで示される基が挙げられる。L
b1は、好ましくは式(b1−1)〜式(b1−4)のいずれかで示される基であり、さらに好ましくは式(b1−1)又は式(b1−3)で示される基である。なお、式(b1−1)〜式(b1−7)において*は結合手を表し、各式の左側の*で、C(Q
1)(Q
2)の炭素原子と結合している。以下の式(b1−1)〜式(b1−7)の具体例も同様である。
【0149】
【化90】
[式(b1−1)〜式(b1−7)中、
L
b2は、単結合又は炭素数1〜15の2価の飽和炭化水素基を表す。
L
b3は、単結合又は炭素数1〜12の2価の飽和炭化水素基を表す。
L
b4は、炭素数1〜13の2価の飽和炭化水素基を表す。但しL
b3及びL
b4の合計炭素数の上限は13である。
L
b5は、単結合又は炭素数1〜14の2価の飽和炭化水素基を表す。
L
b6は、炭素数1〜15の2価の飽和炭化水素基を表す。但しL
b5及びL
b6の合計炭素数の上限は15である。
L
b7は、単結合又は炭素数1〜15の2価の飽和炭化水素基を表す。
L
b8は、炭素数1〜15の2価の飽和炭化水素基を表す。但しL
b7及びL
b8の合計炭素数の上限は16である。
L
b9は、単結合又は炭素数1〜13の2価の飽和炭化水素基を表す。
L
b10は、炭素数1〜14の2価の飽和炭化水素基を表す。但しL
b9及びL
b10の合計炭素数の上限は14である。
L
b11及びL
b12は、単結合又は炭素数1〜11の2価の飽和炭化水素基を表す。
L
b13は、炭素数1〜12の2価の飽和炭化水素基を表す。但しL
b11、L
b12及びL
b13の合計炭素数の上限は12である。
L
b14及びL
b15は、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1〜13の2価の飽和炭化水素基を表す。
L
b16は、炭素数1〜14の2価の飽和炭化水素基を表す。但しL
b14、L
b15及びL
b16の合計炭素数の上限は14である。]
【0150】
式(b1−1)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【化91】
【0151】
式(b1−2)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【化92】
【0152】
式(b1−3)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【化93】
【0153】
式(b1−4)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【化94】
【0154】
式(b1−5)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【化95】
【0155】
式(b1−6)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【化96】
【0156】
式(b1−7)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
【化97】
【0157】
これらの中でも、L
b1は、式(b1−1)で表される基が好ましく、L
b2が単結合又は炭素数1〜6の飽和炭化水素基である式(b1−1)で表される2価の基であることがより好ましい。
【0158】
Yの炭化水素基としては、アルキル基及び脂環式炭化水素が挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、2,2−ジメチルエチル基、プロピル基、1−メチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、ブチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−プロピルブチル基、ペンチル基、1−メチルペンチル基、ヘキシル基、1,4−ジメチルヘキシル基、ヘプチル基、1−メチルヘプチル基、オクチル基、メチルオクチル基、メチルノニル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられる。
【0159】
脂環式炭化水素基としては、以下の式(Y1)〜式(Y11)で表される基等が挙げられる。
Yの脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基が、酸素原子、スルホニル基又はカルボニル基に置き換わった基としては、例えば、アルキル基に含まれるメチレン基が酸素原子又はカルボニル基に置き換わった基、環状エーテル基(脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基の1つ又は2つが酸素原子に置き換わった基)、環状ケトン基(脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基の1つ又は2つがカルボニル基に置き換わった基)、スルトン環基(脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基のうち隣り合う2つのメチレン基が、それぞれ、酸素原子及びスルホニル基に置き換わった基)及びラクトン環基(脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基のうち隣り合う2つのメチレン基が、それぞれ、酸素原子及びカルボニル基に置き換わった基)などが挙げられる。
【0160】
具体的には、以下の式(Y12)〜式(Y26)で表される基等が挙げられる。*は結合手を表す。
【化98】
【0161】
Yの好ましい基は、以下に示す式(Y11)、式(Y14)、式(Y15)、式(Y16)及び式(Y19)のいずれか、より好ましくは、式(Y11)、式(Y14)、式(Y15)及び式(Y19)のいずれか、さらに好ましくは、式(Y11)及び式(Y14)のいずれかで表される基である。
【0162】
Yにおける脂肪族炭化水素基の置換基は、例えば、ハロゲン原子(但し、フッ素原子を除く)、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数7〜21のアラルキル基、炭素数2〜4のアシル基、グリシジルオキシ基又は−(CH
2)
j2−O−CO−R
b1で表される基(式中、R
b1は、炭素数1〜16の炭化水素基を表す。j2は、0〜4の整数を表す。)などが挙げられる。Yの置換基である芳香族炭化水素基及びアラルキル基は、例えば、アルキル基、ハロゲン原子又はヒドロキシ基をさらに有していてもよい。
【0163】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
ヒドロキシ基含有アルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基などが挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等のアリール基等が挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、トリチル、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。
【0164】
Yとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【化99】
【0165】
なお、Yがアルキル基であり、かつL
b1が炭素数1〜17の2価の脂肪族炭化水素基である場合、Yと結合する該2価の脂肪族炭化水素基のメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていることが好ましい。この場合、Yのアルキル基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わらない。
【0166】
なかでも、Yは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜12の脂環式炭化水素基が好ましく、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基がより好ましく、置換基を有していてもよいアダマンチル基がさらに好ましく、アダマンチル基、オキソアダマンチル基又はヒドロキシアダマンチル基が特に好ましい。
【0167】
式(B1)で表される塩におけるスルホン酸アニオンとしては、好ましくは、式(b1−1−1)〜式(b1−1−9)で表されるアニオンが挙げられる。以下の式において、符号の定義は上記と同じ意味であり、R
b2及びR
b3は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基(好ましくは、メチル基)を表す。
式(B1)で表される塩におけるスルホン酸アニオンとしては、具体的には、特開2010−204646号公報に記載されたアニオンが挙げられる。
【化100】
【0168】
Yが無置換の脂環式炭化水素基であるスルホン酸アニオンとしては、以下の式(b1−s−0)〜式(b1−s−9)のいずれかで表されるものが挙げられる。
【化101】
【0169】
Yがヒドロキシ基を有する脂環式炭化水素基であるスルホン酸アニオンとしては、以下の式(b1−s−10)〜式(b1−s−18)のいずれかで表されるものが挙げられる。
【化102】
【0170】
Yが環状ケトン基であるスルホン酸アニオンとしては、以下の式(b1−s−19)〜式(b1−s−29)のいずれかで表されるものが挙げられる。
【化103】
【0171】
Yが芳香族基を有する脂環式炭化水素基であるスルホン酸アニオンとしては、以下の式(b1−s−30)〜式(b1−s−35)のいずれかで表されるものが挙げられる。
【化104】
【0172】
Yが、ラクトン環基又はスルトン環基であるスルホン酸アニオンとしては、以下の式(b1−s−36)〜式(b1−s−41)のいずれかで表されるものが挙げられる。
【化105】
【0173】
式(B1)で表される塩に含まれるカチオンとしては、有機オニウムカチオン、有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、有機アンモニウムカチオン、有機ベンゾチアゾリウムカチオン及び有機ホスホニウムカチオンなどが挙げられる。これらの中でも、有機スルホニウムカチオン及び有機ヨードニウムカチオンが好ましく、有機スルホニウムカチオン及び有機ヨードニウムカチオンが好ましく、さらに好ましくは、以下の式(b2−1)〜式(b2−4)のいずれかで表される有機カチオン〔以下、各式の番号に応じて、「カチオン(b2−1)」、「カチオン(b2−2)」、「カチオン(b2−3)」及び「カチオン(b2−4)」ということがある。〕である。
【0175】
[式(b2−1)〜式(b2−4)において、
R
b4〜R
b6は、互いに独立に、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。該脂肪族炭化水素基は、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を有していてもよく、該脂環式炭化水素基は、ハロゲン原子、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基を有していてもよく、該芳香族炭化水素基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を有していてもよい。R
b4、R
b5及びR
b6から選ばれる2つが一緒になって、硫黄原子を含む環を形成してもよい。
R
b4、R
b5及びR
b6から選ばれる2つが一緒になって形成してもよい環としては、単環式、多環式、芳香族性、非芳香族性、飽和及び不飽和のいずれの環であってもよく、硫黄原子を1以上含むものであれば、さらに、1以上の硫黄原子及び/又は1以上の酸素原子を含んでいてもよい。該環としては、炭素数3〜18の環が好ましく、炭素数4〜13の環がより好ましい。
【0176】
R
b7及びR
b8は、互いに独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
m2及びn2は、互いに独立に0〜5の整数を表す。m2が2以上である場合、複数のR
b7は互いに同一であっても異なってもよく、n2が2以上である場合、複数のR
b8は互いに同一であっても異なってもよい。
【0177】
R
b9及びR
b10は、互いに独立に、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表す。
R
b11は、水素原子、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。
R
b9〜R
b11は、互いに独立に、脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜12)又は脂環式炭化水素基(好ましくは炭素数3〜18、より好ましくは炭素数4〜12)である。
R
b12は、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表し、該芳香族炭化水素基は、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数2〜12のアルキルカルボニルオキシ基を有していてもよい。
R
b9とR
b10及びR
b11とR
b12は、互いに独立に、互いに結合してそれらが結合している原子と共に3員〜12員(好ましくは3員〜7員)環を形成していてもよく、該環に含まれるメチレン基が、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
【0178】
R
b13〜R
b18は、互いに独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
L
b11は、酸素原子又は硫黄原子を表す。
o2、p2、s2及びt2は、互いに独立に、0〜5の整数を表す。
q2及びr2は、互いに独立に、0〜4の整数を表す。
u2は0又は1を表す。
o2が2以上であるとき、複数のR
b13は互いに同一であっても異なってもよく、p2が2以上であるとき、複数のR
b14は互いに同一であっても異なってもよく、q2が2以上であるとき、複数のR
b15は互いに同一であっても異なってもよく、r2が2以上であるとき、複数のR
b16は互いに同一であっても異なってもよく、s2が2以上であるとき、複数のR
b17は互いに同一であっても異なってもよく、t2が2以上であるとき、複数のR
b18は互いに同一であっても異なってもよい。]
【0179】
脂肪族炭化水素基としては、アルキル基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子が挙げられる。
アシル基としては、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル等が挙げられる。
アルキルカルボニルオキシ基としては、例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、ペンチルカルボニルオキシ基、ヘキシルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基及び2−エチルヘキシルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0180】
R
b9〜R
b12の脂肪族炭化水素基のうち好ましい基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基である。
R
b9〜R
b11の脂環式炭化水素基のうち好ましい基は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、1−(アダマンタン−1−イル)アルカン−1−イル基及びイソボルニル基である。
R
b12の芳香族炭化水素基のうち好ましい基は、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−シクロへキシルフェニル基、4−メトキシフェニル基、ビフェニリル基及びナフチル基である。
R
b12の脂肪族炭化水素基を有する芳香族炭化水素基は、典型的にはアラルキル基であり、具体的にはベンジル基等が挙げられる。
R
b9とR
b10とが結合してそれらが結合している硫黄原子と共に形成する環としては、例えば、チオラン−1−イウム環(テトラヒドロチオフェニウム環)、チアン−1−イウム環及び1,4−オキサチアン−4−イウム環等が挙げられる。
R
b11とR
b12とが結合してそれらが結合している炭素原子と共に形成する環としては、例えば、オキソシクロヘプタン環、オキソシクロヘキサン環、オキソノルボルナン環及びオキソアダマンタン環等が挙げられる。
【0181】
上述の有機カチオンの中でも、カチオン(b2−1)が好ましく、以下の式(b2−1−1)で表される有機カチオン〔以下、「カチオン(b2−1−1)」という場合がある。〕がより好ましく、トリフェニルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2、w2及びx2が共に0である。)又はトリトリルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2、w2及びx2が共に1であり、R
b19、R
b20及びR
b21がいずれもメチル基である。)がさらに好ましい。
【化107】
[式(b2−1−1)中、
R
b19、R
b20及びR
b21は、互いに独立に、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表し、R
b19、R
b20及びR
b21から選ばれる2つが一緒になって単結合、−O−又は炭素数1〜4の2価の脂肪族炭化水素基を表し、硫黄原子を含む環を形成してもよい。]
【0182】
脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数は1〜12であり、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基であり、置換基として、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を有していてもよい。
脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数は4〜18であり、置換基として、ハロゲン原子、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基を有していてもよい。
v2、w2及びx2は、互いに独立に0〜5の整数(好ましくは0又は1)を表す。
v2が2以上のとき、複数のR
b19は互いに同一でも異なってもよく、w2が2以上のとき、複数のR
b20は互いに同一でも異なってもよく、x2が2以上のとき、複数のR
b21は互いに同一でも異なってもよい。
なかでも、R
b19、R
b20及びR
b21は、互いに独立に、好ましくは、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基である。
【0183】
カチオン(b2−1−1)としては、以下のカチオンが挙げられる。
【化108】
【0187】
カチオン(b2−2)としては、以下のカチオンが挙げられる。
【化113】
【0188】
カチオン(b2−3)としては、以下のカチオンが挙げられる。
【化114】
【0189】
式(B1)で表される塩は、上述のスルホン酸アニオン及び有機カチオンの組合せである。上述のアニオンとカチオンとは任意に組み合わせることができ、好ましくは、アニオン(b1−1−1)〜アニオン(b1−1−9)のいずれかとカチオン(b2−1−1)との組合せ、並びにアニオン(b1−1−1)〜(b1−1−9)のいずれかとカチオン(b2−3)との組合せが挙げられる。
【0190】
式(B1)で表される塩としては、好ましくは、式(B1−1)〜式(B1−24)でそれぞれ表される塩が挙げられ、より好ましくは、トリアリールスルホニウムカチオンを含む式(B1−1)、式(B1−2)、式(B1−3)、式(B1−6)、式(B1−7)、式(B1−11)、式(B1−12)、式(B1−13)、式(B1−14)、式(B1−18)、式(B1−19)、式(B1−20)、式(B1−21)、式(B1−22)、式(B1−23)及び式(B1−24)でそれぞれ表される塩が挙げられる。
【0196】
酸発生剤(B)は、上述したように、式(B1)で表される塩とは異なる酸発生剤を含んでいてもよく、この場合は、酸発生剤(B)の総量における式(B1)で表される塩の含有割合は、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。ただし、本発明のレジスト組成物における酸発生剤(B)は、実質的に式(B1)で表される塩のみからなることがさらに好ましい。
酸発生剤(B)の含有率は、樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1質量%以上(より好ましくは3質量%以上)、好ましくは40質量%以下(より好ましくは35質量%以下)である。
【0197】
<塩基性化合物(C)>
塩基性化合物(C)は、好ましくは塩基性の含窒素有機化合物であり、例えばアミン及びアンモニウム塩が挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン及び芳香族アミンが挙げられる。脂肪族アミンとしては、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンが挙げられる。塩基性化合物(C)として、好ましくは、式(C1)で表される化合物〜式(C8)で表される化合物及び式(C1−1)で表される化合物が挙げられ、より好ましくは式(C1−1)で表される化合物が挙げられる。
【0198】
【化120】
[式(C1)中、R
c1、R
c2及びR
c3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、該アルキル基及び該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、アミノ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよく、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基で置換されていてもよい。]
【0199】
【化121】
[式(C1−1)中、R
c2及びR
c3は、上記と同じ意味を表す。
R
c4は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。
m3は0〜3の整数を表し、m3が2以上のとき、複数のR
c4は、互いに同一であるか相異なる。]
【0200】
【化122】
[式(C2)、式(C3)及び式(C4)中、R
c5、R
c6、R
c7及びR
c8は、それぞれ独立に、R
c1と同じ意味を表す。
R
c9は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基又は炭素数2〜6のアルカノイル基を表す。
n3は0〜8の整数を表し、n3が2以上のとき、複数のR
c9は、互いに同一でも異なってもよい。]
【0201】
【化123】
[式(C5)及び式(C6)中、R
c10、R
c11、R
c12、R
c13及びR
c16は、それぞれ独立に、R
c1と同じ意味を表す。
R
c14、R
c15及びR
c17は、それぞれ独立に、R
c4と同じ意味を表す。
o3及びp3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、o3が2以上のとき、複数のR
c14は互いに同一でも異なってもよく、p3が2以上のとき、複数のR
c15は互いに同一でも異なってもよい。
L
c1は、炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0202】
【化124】
[式(C7)及び式(C8)中、R
c18、R
c19及びR
c20は、それぞれ独立に、R
c4と同じ意味を表す。
q3、r3及びs3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、q3が2以上のとき、複数のR
c18は互いに同一でも異なってもよく、r3が2以上のとき、複数のR
c19は互いに同一でも異なってもよく、s3が2以上のとき、複数のR
c20は互いに同一でも異なってもよい。
L
c2は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0203】
式(C1)〜式(C8)において、アルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、アルコキシ基、アルカンジイル基は、上述したものと同様のものが挙げられる。
アルカノイル基としては、アセチル基、2−メチルアセチル基、2,2−ジメチルアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロピオニル基等が挙げられる。
【0204】
式(C1)で表される化合物としては、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、アニリン、ジイソプロピルアニリン、2−,3−又は4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン等が挙げられ、好ましくはジイソプロピルアニリンが挙げられ、特に好ましくは2,6−ジイソプロピルアニリンが挙げられる。
【0205】
式(C2)で表される化合物としては、ピペラジン等が挙げられる。
式(C3)で表される化合物としては、モルホリン等が挙げられる。
式(C4)で表される化合物としては、ピペリジン及び特開平11−52575号公報に記載されているピペリジン骨格を有するヒンダードアミン化合物等が挙げられる。
式(C5)で表される化合物としては、2,2’−メチレンビスアニリン等が挙げられる。
式(C6)で表される化合物としては、イミダゾール、4−メチルイミダゾール等が挙げられる。
式(C7)で表される化合物としては、ピリジン、4−メチルピリジン等が挙げられる。
式(C8)で表される化合物としては、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(2−ピリジル)エテン、1,2−ジ(4−ピリジル)エテン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ジ(4−ピリジルオキシ)エタン、ジ(2−ピリジル)ケトン、4,4’−ジピリジルスルフィド、4,4’−ジピリジルジスルフィド、2,2’−ジピリジルアミン、2,2’−ジピコリルアミン、ビピリジン等が挙げられる。
【0206】
アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムサリチラート及びコリン等が挙げられる。
【0207】
塩基性化合物(C)の含有率は、レジスト組成物の固形分量を基準に、好ましくは、0.01〜5質量%程度であり、より好ましく0.01〜3質量%程度であり、特に好ましく0.01〜1質量%程度である。
【0208】
<溶剤(D)>
溶剤(D)の含有率は、例えばレジスト組成物中90質量%以上、好ましくは92質量%以上、より好ましくは94質量%以上であり、例えば99.9質量%以下、好ましくは99質量%以下である。
溶剤(D)の含有率は、例えば液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー等の公知の分析手段で測定できる。
【0209】
溶剤(D)としては、例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル;プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル;乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチルのようなエステル;アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンのようなケトン;γ−ブチロラクトンのような環状エステル等を挙げることができる。溶剤(D)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0210】
<その他の成分>
本発明のレジスト組成物は、必要に応じて、上記以外の成分(以下「成分(F)」という場合がある)を含有していてもよい。成分(F)としては、特に限定はなく、本技術分野で公知の添加剤、例えば、増感剤、溶解抑止剤、界面活性剤、安定剤及び染料などが挙げられる。
【0211】
<本発明のレジスト組成物の調製方法>
本発明のレジスト組成物は、樹脂(A)及び酸発生剤(B)、並びに必要に応じて用いられる塩基性化合物(C)、溶剤(D)及び/又は成分(F)を混合することで調製することができる。混合順は任意であり、特に限定されない。混合する際の温度は、10〜40℃の範囲が好ましく、樹脂などの種類や各成分の溶剤(D)に対する溶解度等に応じて適切な温度範囲を選べばよく、混合時間は、混合温度に応じて、0.5〜24時間が好ましい。なお、混合手段は特に限定されず、攪拌混合などを用いることができる。
このように、各成分を混合した後は、孔径0.003〜0.2μm程度のフィルタを用いてろ過等することにより、本発明のレジスト組成物は調製できる。
【0212】
<レジストパターンの製造方法>
本発明のレジストパターンの製造方法は、
(1)本発明のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程
を含む方法を挙げることができる。以下、ここに示す工程の各々を、「工程(1)」〜「工程(5)」のようにいう。
【0213】
工程(1)における本レジスト組成物の基板上への塗布は、スピンコーター等、半導体の微細加工のレジスト材料塗布用として広く用いられている塗布装置によって行うことができる。かくして基板上にレジスト組成物からなる塗布膜が形成される。当該塗布装置の条件(塗布条件)を種々調節することで、該塗布膜の膜厚は調整可能であり、適切な予備実験等を行うことにより、所望の膜厚の塗布膜になるように塗布条件を選ぶことができる。本レジスト組成物を塗布する前の基板は、微細加工を実施しようとする種々のものを選ぶことができる。なお、本レジスト組成物を塗布する前に、基板を洗浄したり、反射防止膜を形成してもよい。この反射防止膜の形成には例えば、市販の有機反射防止膜用組成物を用いることができる。
【0214】
工程(2)においては、基板上に塗布された本レジスト組成物、すなわち塗布膜から溶剤(D)を除去する。このような溶剤除去は、例えば、ホットプレート等の加熱装置を用いた加熱手段(いわゆるプリベーク)、又は減圧装置を用いた減圧手段により、或いはこれらの手段を組み合わせて、該塗布膜から溶剤を蒸発させることにより行われる。加熱手段や減圧手段の条件は、本レジスト組成物に含まれる溶剤(D)の種類等に応じて選択でき、例えばホットプレートの場合、該ホットプレートの表面温度を50〜200℃程度の範囲にすることが好ましい。また、減圧手段では、適当な減圧機の中に、塗布膜が形成された基板を封入した後、該減圧機の内部圧力を1〜1.0×10
5Pa程度にすればよい。かくして塗布膜から溶剤を除去することにより、該基板上には組成物層が形成される。
【0215】
工程(3)は該組成物層を露光する工程であり、好ましくは、露光機を用いて該組成物層を露光するものである。この際には、微細加工を実施しようとする所望のパターンが形成されたマスク(フォトマスク)を介して露光が行われる。露光機の露光光源としては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F
2エキシマレーザ(波長157nm)のような紫外域のレーザ光を放射するもの、固体レーザ光源(YAG又は半導体レーザ等)からのレーザ光を波長変換して遠紫外域または真空紫外域の高調波レーザ光を放射するもの等、種々のものを用いることができる。また、該露光機は液浸露光機であってもよい。また、露光機は、電子線、超紫外光(EUV)を照射するものであってもよい。本明細書において、これらの放射線を照射することを総称して「露光」という場合がある。露光光源が電子線の場合は、フォトマスクを使用せずに、所望のパターンを直接描画してもよい。
【0216】
上述のとおり、マスクを介して露光することにより、該組成物層には露光された部分(露光部)及び露光されていない部分(未露光部)が生じる。露光部の組成物層では該組成物層に含まれる塩(I)及び酸発生剤(B)が露光エネルギーを受けて酸を発生し、さらに発生した酸との作用により、「アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる樹脂」が有する樹脂(A)にある酸不安定基が脱保護反応により親水性基を生じ、結果として露光部の組成物層にある上記樹脂(A)はアルカリ水溶液に可溶なものとなる。一方、未露光部では露光エネルギーを受けていないため、上記樹脂(A)はアルカリ水溶液に対して不溶又は難溶のままとなる。かくして、露光部にある組成物層と未露光部にある組成物層とは、アルカリ水溶液に対する溶解性が著しく相違するため、アルカリ水溶液による現像によりレジストパターンを形成することができる。
【0217】
工程(4)においては、露光部で生じうる脱保護基反応を、さらにその進行を促進するための加熱処理(いわゆるポストエキスポジャーベーク)が行われる。かかる加熱処理は前記工程(2)で示したホットプレートを用いる加熱手段等が好ましい。なお、工程(4)におけるホットプレート加熱を行う場合、該ホットプレートの表面温度は50〜200℃程度が好ましく、70〜150℃程度がより好ましい。加熱処理により、上記脱保護反応が促進される。
【0218】
工程(5)は加熱後の組成物層を、通常、現像装置を用いて、現像液を利用して現像する工程である。現像方法としては、ディップ法、パドル法、スプレー法、ダイナミックディスペンス法等が挙げられる。現像温度は、例えば、5〜60℃が好ましく、現像時間は、例えば、5〜300秒間が好ましい。
【0219】
現像液の種類を選択することにより、ポジ型レジストパターン又はネガ型レジストパターンを製造できる。
本発明のレジスト組成物からポジ型レジストパターンを製造する場合は、現像液としてアルカリ現像液を用いる。アルカリ現像液は、この分野で用いられる各種のアルカリ性水溶液であればよい。例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液等が挙げられる。アルカリ現像液には、界面活性剤が含まれていてもよい。
現像後レジストパターンを超純水で洗浄し、次いで、基板及びパターン上に残った水を除去することが好ましい。
【0220】
本発明のレジスト組成物からネガ型レジストパターンを製造する場合は、現像液として有機溶剤を含む現像液(以下「有機系現像液」という場合がある)を用いる。
有機系現像液に含まれる有機溶剤としては、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン等のケトン溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル溶剤;酢酸ブチル等のエステル溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル溶剤;N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド溶剤;アニソール等の芳香族炭化水素溶剤等が挙げられる。
有機系現像液中、有機溶剤の含有率は、90質量%以上100質量%以下が好ましく、95質量%以上100質量%以下がより好ましく、実質的に有機溶剤のみであることがさらに好ましい。
中でも、有機系現像液としては、酢酸ブチル及び/又は2−ヘプタノンを含む現像液が好ましい。有機系現像液中、酢酸ブチル及び2−ヘプタノンの合計含有率は、50質量%以上100質量%以下が好ましく、90質量%以上100質量%以下がより好ましく、実質的に酢酸ブチル及び/又は2−ヘプタノンのみであることがさらに好ましい。
有機系現像液には、界面活性剤が含まれていてもよい。また、有機系現像液には、微量の水分が含まれていてもよい。
現像の際、有機系現像液とは異なる種類の溶剤に置換することにより、現像を停止してもよい。
【0221】
現像後のレジストパターンをリンス液で洗浄することが好ましい。リンス液としては、レジストパターンを溶解しないものであれば特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含む溶液を使用することができ、好ましくはアルコール溶剤又はエステル溶剤である。
洗浄後は、基板及びパターン上に残ったリンス液を除去することが好ましい。
【0222】
以上のような工程(1)〜工程(5)を含むレジストパターン製造方法によれば、本レジスト組成物の効果により、優れたマスクエラーファクター(MEF)でレジストパターンを製造することができる。
【0223】
<用途>
本発明のレジスト組成物は、KrFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、ArFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、電子線(EB)照射用のレジスト組成物又はEUV露光用のレジスト組成物として好適であり、半導体の微細加工に利用できる。
【実施例】
【0224】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。
実施例及び比較例中、含有量及び使用量を表す%及び部は、特記ないかぎり質量基準である。
化合物の構造は、MASS;Agilent製LC/MSD型又はLC/MSD TOF型)で確認した。
重量平均分子量は、ポリスチレンを標準品として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー株式会社製HLC−8120GPC型、カラムは”TSKgel Multipore H
XL−M”3本、溶媒はテトラヒドロフラン)により求めた値である。
流量:1.0mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μl
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー社製)
【0225】
実施例1:式(I−3)で表される化合物の合成
【化125】
式(I−3−a)で表される化合物1.32部、テトラヒドロフラン30部及びN−メチルピロリジン0.85部を仕込み、0℃で30分間攪拌した。その後、ここに、式(I−3−b)で表される化合物1.74部を仕込み、0℃で1時間攪拌した後、30℃に昇温した後、さらに24時間攪拌した。得られた反応物に、酢酸エチル100部及び5%シュウ酸水溶液40部を仕込み、攪拌、分液を行った。回収された有機層に、イオン交換水50部を仕込み、攪拌、分液を行った。この水洗を5回行った。回収された有機層を濃縮した後、以下の条件でカラム(シリカゲル60−200メッシュ;メルク社製 展開溶媒:酢酸エチル)分取することにより、式(I−3)で表される化合物1.29部を得た。
MS:460.2
【0226】
実施例2:式(I−30)で表される化合物の合成
【化126】
式(I−30−a)で表される化合物19.42部及びアセトニトリル50部を仕込み、40℃で30分間攪拌し、式(I−30−b)で表される化合物16.22部を仕込み、50℃で1時間攪拌することにより、式(I−30−c)で表される化合物を含む溶液を得た。得られた式(I−30−c)で表される化合物を含む溶液に、式(I−30−d)で表される化合物20.01部を仕込み、23℃で1時間攪拌した。得られた反応マスに、クロロホルム100部及びイオン交換水50部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を3回行った。得られた有機層を濃縮することにより、式(I−30−e)で表される化合物32.64部を得た。
【0227】
【化127】
テトラヒドロフラン10部、塩化リチウム1.67部及び塩化亜鉛0.41部を添加し、室温で30分間攪拌した。得られた混合物に、エチルマグネシウムクロライド40.76mlを23℃で1時間かけて添加した後、0℃に冷却し、式(I−30−e)で表される化合物10.74部及びテトラヒドロフラン20部の混合溶液を1時間かけて添加し、さらに、0℃で30分間攪拌した。得られた混合物に、酢酸1.60部を添加し、30分間攪拌した。得られた混合物を濃縮した後、酢酸エチル50部及び飽和塩化アンモニウム水溶液20部を添加し、分液を行って有機層を回収した。回収された有機層に、イオン交換水20部を添加し、分液を行って有機層を回収した。水洗操作を3回行った。回収された有機層に、硫酸マグネシウム1.00部を添加し、攪拌した後、ろ過した。回収されたろ液を濃縮し、以下の条件でカラム分取することにより、式(I−30−f)で表される化合物7.81部を得た。
展開媒体;シリカゲル60−200メッシュ;メルク社製
展開溶媒:n−ヘプタン/酢酸エチル=1/1(容量比)
【0228】
【化128】
式(I−30−g)で表される化合物20.00部、ジシクロヘキシルカルボジイミド23.93部及び塩化メチレン40部を仕込み、得られた混合マスに、0℃で、式(I−30−b)で表される化合物18.83部を仕込み、0℃で1時間攪拌した。23℃まで昇温し、更に、30分間攪拌した後、ろ過した。得られた濾液を濃縮して、式(I−30−h)で表される化合物30.56部を得た。
【0229】
【化129】
式(I−30−h)で表される化合物1.36部、式(I−30−f)で表される化合物4.06部及びアセトニトリル20部を仕込み、23℃で5時間攪拌した。得られた混合物を濃縮し、クロロホルム30部及びイオン交換水15部を加えた後、分液操作により、有機層を回収した。回収された有機層をイオン交換水15部で洗浄した後、得られた有機層を濃縮し、カラム(メルク製シリカゲル60−200メッシュ、展開溶媒:酢酸エチル)により分取して、式(I−30)で表される化合物4.28部を得た。
MS:474.2
【0230】
樹脂の合成
樹脂[樹脂(A)など]の合成において使用した化合物(モノマー)を下記に示す。
【化130】
以下、これらのモノマーを、それぞれ「モノマー(a1−1−2)」、「モノマー(a1−2−3)」、「モノマー(a1−5−1)」、「モノマー(a2−1−1)」、「モノマー(a3−1−1)」、「モノマー(a3−2−3)」、「モノマー(a4−1−7)」、「モノマー(I―3)」、「モノマー(I―30)」及び「モノマー(Z)」という。
【0231】
実施例3〔樹脂A1の合成〕
モノマーとして、モノマー(a1−1−2)、モノマー(a1−2−3)、モノマー(a2−1−1)、モノマー(a3−2−3)、モノマー(a3−1−1)及びモノマー(I−3)を用い、そのモル比(モノマー(a1−1−2):モノマー(a1−2−3):モノマー(a2−1−1):モノマー(a3−2−3):モノマー(a3−1−1):モノマー(I−3))が、20:14:6:20:30:10となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.9×10
3の共重合体A1を収率80%で得た。この樹脂A1は、以下の構造単位を有するものである。
【化131】
【0232】
実施例4〔樹脂A2の合成〕
モノマーとして、モノマー(a1−1−2)、モノマー(a1−5−1)、モノマー(a2−1−1)、モノマー(a3−2−3)、モノマー(a3−1−1)及びモノマー(I−3)を用い、そのモル比(モノマー(a1−1−2):モノマー(a1−5−1):モノマー(a2−1−1):モノマー(a3−2−3):モノマー(a3−1−1):モノマー(I−3))が、20:14:6:20:30:10となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量8.1×10
3の共重合体A2を収率82%で得た。この樹脂A2は、以下の構造単位を有するものである。
【化132】
【0233】
実施例5:〔樹脂A3の合成〕
モノマー(1−1−2)、モノマー(a2−1−1)、モノマー(a3−1−1)及びモノマー(I−3)を、そのモル比〔モノマー(1−1−2):モノマー(a2−1−1):モノマー(a3−1−1):モノマー(I−3)〕が、40:25:25:10となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量8.7×10
3の共重合体A3を収率85%で得た。この樹脂A3は、以下の構造単位を有するものである。
【化133】
【0234】
合成例1〔樹脂A4の合成〕
モノマーとして、モノマー(a4−1−7)を用い、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。当該溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.7mol%及び2.1mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。かくして得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量1.8×10
4の樹脂A4(共重合体)を収率77%で得た。この樹脂A4は、以下の構造単位を有するものである。
【化134】
【0235】
合成例2〔樹脂A5の合成〕
モノマー(1−1−2)、モノマー(a2−1−1)、モノマー(a3−1−1)及びモノマー(Z)を、そのモル比〔モノマー(1−1−2):モノマー(a2−1−1):モノマー(a3−1−1):モノマー(Z)〕が、40:25:25:10となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量8.8×10
3の共重合体A5を収率76%で得た。この樹脂A5は、以下の構造単位を有するものである。
【化135】
【0236】
実施例6〔樹脂A6の合成〕
モノマーとして、モノマー(a1−1−2)、モノマー(a1−5−1)、モノマー(a2−1−1)、モノマー(a3−2−3)、モノマー(a3−1−1)及びモノマー(I−30)を用い、そのモル比(モノマー(a1−1−2):モノマー(a1−5−1):モノマー(a2−1−1):モノマー(a3−2−3):モノマー(a3−1−1):モノマー(I−30))が、20:14:6:20:30:10となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.7×10
3の共重合体A6を収率78%で得た。この樹脂A6は、以下の構造単位を有するものである。
【化136】
【0237】
実施例7〜12及び比較例1
<レジスト組成物の調製>
実施例3〜6、合成例1、2で得られた樹脂A1〜樹脂A6;
以下に示す酸発生剤B1;
以下に示す塩基性化合物C1;
の各々を表1に示す質量部で、以下に示す溶剤に溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト組成物を調製した。
【表1】
【0238】
<樹脂>
A1:実施例3で得られた樹脂A1
A2:実施例4で得られた樹脂A2
A3:実施例5で得られた樹脂A3
A4:合成例1で得られた樹脂A4
A5:合成例2で得られた樹脂A5
A6:実施例6で得られた樹脂A6
<酸発生剤>
B1:特開2010−152341号公報の実施例に従って合成
【化137】
<塩基性化合物:クエンチャー>
C1:2,6−ジイソプロピルアニリン(東京化成工業(株)製)
<溶剤>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 265.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0部
2−ヘプタノン 20.0部
γ−ブチロラクトン 3.5部
【0239】
<レジストパターンの製造及びその評価>
12インチのシリコン製ウェハ上に、有機反射防止膜用組成物[ARC−29;日産化学(株)製]を塗布して、205℃、60秒の条件でベークすることによって、厚さ78nmの有機反射防止膜を形成した。
次いで、前記の有機反射防止膜の上に、上記のレジスト組成物を、乾燥(プリベーク)後の膜厚が110nmとなるようにスピンコートした。
得られたシリコンウェハをダイレクトホットプレート上にて、表1の「PB」欄に記載された温度で60秒間プリベーク(PB)した。このようにレジスト組成物膜を形成したウェハに、液浸露光用ArFエキシマステッパー[XT:1900Gi;ASML社製、NA=1.35、2−poles on axis照明(σout=0.97、σin=0.77、Y偏光]を用いて、露光量を段階的に変化させてラインアンドスペースパターンを液浸露光した。なお、液浸媒体としては超純水を使用した。
露光後、ホットプレート上にて、表1の「PEB」欄に記載された温度で60秒間ポストエキスポジャーベーク(PEB)を行った。
さらに、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行い、レジストパターンを得た。
【0240】
得られたレジストパターンにおいて、マスクサイズがピッチ90nm、ライン47nmのマスクを用い、得られたラインパターンが50nmとなる露光量を実効感度とした。ここでマスクサイズとは、露光によって基板に転写されるパターンのサイズを意味し、マスクが有する透光部のサイズを意味しない。
【0241】
マスクエラーファクター評価(MEF):実効感度において、マスクサイズが48nm、50nm、52nmのマスクパターンをそれぞれ形成した。マスクサイズを横軸に、各マスクパターンを用いて形成したラインパターンの線幅を縦軸にプロットした。直線の傾きが、
3.0以下のものを○、
3.0を超えるものを×とした。
その結果を表2に示す。括弧内の数値はMEF値を示す。
【表2】