特許第6202962号(P6202962)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ディスコの特許一覧

<>
  • 特許6202962-切削装置 図000002
  • 特許6202962-切削装置 図000003
  • 特許6202962-切削装置 図000004
  • 特許6202962-切削装置 図000005
  • 特許6202962-切削装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202962
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】切削装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20170914BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20170914BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   H01L21/68 G
   H01L21/78 F
   H01L21/78 N
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-195029(P2013-195029)
(22)【出願日】2013年9月20日
(65)【公開番号】特開2015-61012(P2015-61012A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(72)【発明者】
【氏名】中西 優爾
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−011917(JP,A)
【文献】 特開2005−191464(JP,A)
【文献】 特開2012−040621(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/027828(WO,A1)
【文献】 特開2011−091246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/301
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に結晶方位を示すマークが形成されたウェーハを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウェーハを切削する切削手段と、ウェーハを複数枚収容するカセットと、該カセットからウェーハを搬出入するための搬出入手段と、該搬出入手段によりカセットから搬出されたウェーハをチャックテーブルに搬送する搬送手段と、を備えた切削装置であって、
カセットから搬出されたウェーハの該マークを検出する検出手段を備え、
該搬送手段は、ウェーハを保持する保持本体と、該保持本体に配設され噴射空気により負圧を生成しウェーハを非接触状態で吸着する1つ以上の吸着パッドと、該ウェーハの外周を把持する少なくとも3つの回転可能なクランプ爪と、該クランプ爪を回転させることにより該クランプ爪で外周が把持されたウェーハを回転させる回転駆動部と、該保持本体と該クランプ爪と該回転駆動部とを一体的に上下及び水平方向に移動させる移動部と、該搬送手段によるチャックテーブルへの搬送位置を制御する制御手段と、を備え、
全ての該クランプ爪は、側面に溝を有する滑車状に形成されており、
該制御手段は、該搬送手段に保持されたウェーハの外周を該検出手段の検出視野に位置付け該回転駆動部によりウェーハを回転させて該検出手段により該マークを検出させ、該検出手段が検出した該マークの位置に基づき該チャックテーブルに所定の向きでウェーハを載置するように制御することを特徴とする切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハを切削する切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表面にIC等のデバイスが形成されたウェーハは、ストリート(分割予定ライン)に沿って切削されることで、複数のチップへと分割される。近年では、小型軽量なチップを実現するために、ウェーハを薄く加工することが求められており、ウェーハを切削した後に研削する先ダイシング等の方法が実施されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
先ダイシングでは、ウェーハの表面側を切削することでチップの仕上げ厚さに相当する深さの溝をストリートに沿って形成した後、ウェーハを裏面側から研削する。この研削によってウェーハを仕上げ厚さまで薄くすることで、裏面側に溝を表出させて、ウェーハをストリートに沿って複数のチップへと分割できる。
【0004】
ところで、先ダイシングでは、切削によってウェーハが直ちに分割されるわけではないので、ウェーハを支持する環状のフレームを使用しない。一方、切削装置は、フレームの形状等に基づいてウェーハの大まかな向き(結晶方位やストリートの向き等)をチャックテーブルに合わせるので、フレームを使用しない先ダイシングでは、チャックテーブルに対するウェーハの向きを合わせることができない。
【0005】
チャックテーブルに対するウェーハの向きを合わせることができないと、アライメントに多大な時間を要し、加工効率が低下してしまう。そこで、先ダイシングでは、仮置きステージ上で結晶方位や中心位置を検出してからウェーハをチャックテーブルに搬送することで、チャックテーブルに対するウェーハの向きを合わせている(例えば、特許文献2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−40520号公報
【特許文献2】特開2003−163184号公報
【特許文献3】特開2005−11917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の構成では、ウェーハが大口径化すると仮置きステージ等に必要なスペースも増大し、切削装置は著しく大型化してしまう。また、大口径化によってウェーハの重量やたわみが増大し、仮置きステージへの搬入や、仮置きステージからの搬出の際に、ウェーハを破損させる可能性も高くなる。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ウェーハの大口径化に伴う切削装置の大型化を抑制すると共に、ウェーハが破損する可能性を低く抑えた切削装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、外周に結晶方位を示すマークが形成されたウェーハを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウェーハを切削する切削手段と、ウェーハを複数枚収容するカセットと、該カセットからウェーハを搬出入するための搬出入手段と、該搬出入手段によりカセットから搬出されたウェーハをチャックテーブルに搬送する搬送手段と、を備えた切削装置であって、カセットから搬出されたウェーハの該マークを検出する検出手段を備え、該搬送手段は、ウェーハを保持する保持本体と、該保持本体に配設され噴射空気により負圧を生成しウェーハを非接触状態で吸着する1つ以上の吸着パッドと、該ウェーハの外周を把持する少なくとも3つの回転可能なクランプ爪と、該クランプ爪を回転させることにより該クランプ爪で外周が把持されたウェーハを回転させる回転駆動部と、該保持本体と該クランプ爪と該回転駆動部とを一体的に上下及び水平方向に移動させる移動部と、該搬送手段によるチャックテーブルへの搬送位置を制御する制御手段と、を備え、全ての該クランプ爪は、側面に溝を有する滑車状に形成されており、該制御手段は、該搬送手段に保持されたウェーハの外周を該検出手段の検出視野に位置付け該回転駆動部によりウェーハを回転させて該検出手段により該マークを検出させ、該検出手段が検出した該マークの位置に基づき該チャックテーブルに所定の向きでウェーハを載置するように制御することを特徴とする切削装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の切削装置は、ウェーハをチャックテーブルに搬送する搬送手段と、ウェーハのマークを検出する検出手段と、搬送手段によるチャックテーブルへの搬送位置を制御する制御手段とを備え、搬送手段に保持されたウェーハの外周を検出手段の検出視野に位置付け搬送手段の回転駆動部によってウェーハを回転させることでマークを検出手段で検出すると共に、検出したマークの位置に基づいてウェーハを所定の向きとなるようにチャックテーブルに載置するので、ウェーハの結晶方位や中心位置を検出するための仮置きステージを用いることなく、ウェーハの向きをチャックテーブルに合わせることができる。
【0011】
このように、本発明によれば、仮置きステージを省略できるので、ウェーハの大口径化に伴う切削装置の大型化を抑制できる。また、仮置きステージへのウェーハの搬入や、仮置きステージからのウェーハの搬出の必要もないので、ウェーハが破損する可能性を低く抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態に係る切削装置の構成例を模式的に示す図である。
図2】本実施の形態に係る切削装置が備える搬送機構の構成例を模式的に示す斜視図である。
図3図3(A)は、本実施の形態に係る切削装置において実施される位置合わせ工程を模式的に示す側面図であり、図3(B)は、位置合わせ工程を模式的に示す平面図である。
図4図4(A)は、本実施の形態に係る切削装置において実施される受け渡し工程を模式的に示す側面図であり、図4(B)は、受け渡し工程を模式的に示す平面図である。
図5図5(A)は、本実施の形態に係る切削装置において実施される検出工程を模式的に示す側面図であり、図5(B)は、検出工程を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る切削装置の構成例を模式的に示す図である。図1に示すように、切削装置2は、各構成を支持する基台4を備えている。基台4の上方には、基台4の後部を覆う直方体状の筐体6が設けられている。
【0014】
筐体6の内部には、空間が形成されており、切削ブレード(不図示)を備える切削ユニット(切削手段)(不図示)が収容されている。基台4の前方の角部には、カセットエレベータ8が設けられている。このカセットエレベータ8には、複数枚のウェーハ11(図3等参照)を収容するカセット10が載置される。なお、図1では、説明の便宜上、カセット10の輪郭のみを破線で示している。
【0015】
カセットエレベータ8は、昇降可能に構成されており、カセット10に収容される円盤状のウェーハ11の位置を上下方向(Z軸方向)において調整する。ウェーハ11は、代表的には半導体ウェーハであり、外周には、結晶方位を示すノッチ(マーク)13が形成されている(図5(B)参照)。
【0016】
基台4の上面において、カセットエレベータ8と隣接する位置には、前後方向(X軸方向)に長い矩形状の開口4aが形成されている。この開口4a内には、筐体6の内部と外部との間を前後方向に移動する移動テーブル12が配置されている。開口4aの他の領域は、防水カバー14で覆われている。
【0017】
移動テーブル12の上方には、ウェーハ11を吸引保持するチャックテーブル16が設けられている。チャックテーブル16は、モータ等の回転機構(不図示)と連結されており、鉛直軸の周りに回転する。また、チャックテーブル16は、移動テーブル12と共にX軸方向に移動する。
【0018】
チャックテーブル16の上面は、被加工物11を吸引保持する保持面16aとなっている。この保持面16aは、チャックテーブル16の内部に形成された流路(不図示)を通じて吸引源(不図示)と接続される。なお、図1では、移動テーブル12及びチャックテーブル16が、筐体6の外部に位置付けられた状態を示している。
【0019】
開口4aに対してカセットエレベータ8と反対側の位置には、円形状の開口4bが形成されている。開口4b内には、洗浄機構を構成するスピンナテーブル18が配置されている。また、スピンナテーブル18の周囲には、洗浄液噴射機構(不図示)及び気体噴射機構(不図示)が設けられている。
【0020】
筐体6の前面6aには、ウェーハ11を搬出入する搬出入機構(搬出入手段)20が第1の移動機構22を介して設けられている。第1の移動機構22は、筐体6の前面6aに配置されY軸方向に平行な一対のガイドレール24を備えている。ガイドレール24には、第1のスライドテーブル26がスライド可能に設置されている。
【0021】
第1のスライドテーブル26には、Y軸方向に貫通するネジ穴が形成されており、このネジ穴には、ガイドレール24と平行なボールネジ28が螺合されている。ボールネジ28の一端部には、パルスモータ30が連結されている。パルスモータ30でボールネジ28を回転させることで、第1のスライドテーブル26は、ガイドレール24に沿ってY軸方向に移動する。
【0022】
第1のスライドテーブル26の下端には、第1の昇降機構32を介して支持アーム34が連結されている。支持アーム34の先端部には、吸着パッド36が設けられている。搬出入機構20は、この吸着パッド36でウェーハ11を吸引保持し、第1の移動機構22及び第1の昇降機構32によって、水平方向(Y軸方向)及び上下方向(Z軸方向)に移動する。なお、吸着パッド36の外径は、ウェーハ11の外形より小さくなっており、吸着パッド36でウェーハ11を吸引保持すると、ウェーハ11の外周は吸着パット36からはみ出る。
【0023】
搬出入機構20の上方には、ウェーハ11を搬送する搬送機構(搬送手段)38が配置されている。この搬送機構38は、第2の移動機構(移動部)40を介して筐体6の前面6aに設けられている。第2の移動機構40は、筐体6の前面6aに配置されY軸方向に平行な一対のガイドレール42を備えている。ガイドレール42には、第2のスライドテーブル44がスライド可能に設置されている。
【0024】
第2のスライドテーブル44には、Y軸方向に貫通するネジ穴が形成されており、このネジ穴には、ガイドレール42と平行なボールネジ46が螺合されている。ボールネジ46の一端部には、パルスモータ48が連結されている。パルスモータ48でボールネジ46を回転させることで、第2のスライドテーブル44は、ガイドレール42に沿ってY軸方向に移動する。
【0025】
図2は、本実施の形態に係る切削装置2が備える搬送機構38の構成例を模式的に示す斜視図である。第2のスライドテーブル44の下端には、第2の昇降機構(移動部)50を介して、搬送機構38の本体(保持本体)52が連結されている。
【0026】
第2の昇降機構50は、いわゆるエアシリンダであり、角柱状のシリンダケース50aと、シリンダケース50aに挿通されたピストンロッド50bとを備えている。搬送機構38は、この第2の昇降機構50によって上下方向(Z軸方向)に移動すると共に、上述した第2の移動機構40によって水平方向(Y軸方向)に移動する。
【0027】
シリンダケース50aの下端には、平板状の連結部材50cが設けられている。この連結部材50cの下面には、本体52を構成する円盤状の第1の基部52aが固定されている。第1の基部52aの第2の昇降機構50側には、直方体状の第2の基部52bが固定されている。
【0028】
第1の基部52aの上面において第2の基部52bと反対側の位置には、Y軸方向に伸縮可能なエアシリンダ52dの一端部が固定されている。エアシリンダ52dの他端部には、円弧状の第3の基部52cが固定されている。すなわち、第1の基部52aと第3の基部52cとは、エアシリンダ52dを介して連結されている。第3の基部52cは、このエアシリンダ52dによって、第2の基部52bから遠い開放位置と、第2の基部52bに近い把持位置とに位置付けられる。
【0029】
第1の基部52aの下面には、ウェーハ11を非接触で吸着する4個の吸着パッド54が設けられている。この吸着パッド54は、いわゆるベルヌーイチャックであり、下方のウェーハ11に向けて空気を噴射しウェーハ11との間に空気の流れを形成することで、ウェーハ11を吸引するための負圧を発生させる。
【0030】
第2の基部52b及び第3の基部52cの下面には、それぞれ2個(計4個)のクランプ爪56が回転可能に支持されている(図3等参照)。クランプ爪56は、滑車状に形成されており、側面には溝56aを有している。ウェーハ11をクランプ爪56の溝56aと同程度の高さに位置付け、第3の基部52cを開放位置から把持位置に移動させることで、4個のクランプ爪56の溝56aに外周を係合させてウェーハ11を把持できる。
【0031】
第2の基部52bの上面には、下面のクランプ爪56と連結されたモータ(回転駆動部)58が配置されている。ウェーハ11を吸着パッド54に吸引させると共に、4個のクランプ爪56にウェーハ11の外周を係合させ、回転駆動機構58と連結するクランプ爪56を回転させることで、搬送機構38に保持されたウェーハ11を鉛直軸の周りに回転させることができる。
【0032】
図1に示すように、開口4bと隣接する位置には、搬送機構38によって上方に位置付けられたウェーハ11のノッチ13を検出する光センサ(検出手段)60が設けられている。筐体6の側面6bには、切削装置2に各種の条件を設定するためのタッチパネル式のモニタ62が配置されている。
【0033】
モニタ62は、制御装置(制御手段)64と接続されており、作業者によってモニタ62に入力された加工条件等が制御装置64に設定される。制御装置64は、設定された加工条件等に従って、切削ユニット、搬出入機構20、搬送機構38、光センサ60等の動作を制御する。
【0034】
この切削装置2において、搬出入機構20は、カセットエレベータ8の昇降によって高さの調節されたウェーハ11をカセット10から搬出し、搬送機構38に受け渡す。搬送機構38は、搬出入機構20からウェーハ11を受け取ると、ウェーハ11を光センサ60の上方に位置付ける。光センサ60は、ウェーハ11の外周において反射された反射光、又はウェーハ11の外周を透過した透過光に基づいて、ノッチ13を検出する。
【0035】
ノッチ13が検出されると、搬送機構38は、ウェーハ11をチャックテーブル16に載置する。このとき、制御装置64は、検出されたノッチ13の位置に基づいてウェーハ11を所定の向きで載置できるように搬送機構38を制御する。
【0036】
チャックテーブル16にウェーハ11が載置されると、移動テーブル12は筐体6の内部に移動し、ウェーハ11は切削ユニットで切削される。ウェーハ11は、例えば、切削ブレードでハーフカットされ、分割の起点となる溝を形成される。ウェーハ11の切削が終了すると、移動テーブル12は筐体6の外部に移動する。
【0037】
搬送機構38は、チャックテーブル16に載置された加工後のウェーハ11を搬送し、スピンナテーブル18に保持させる。スピンナテーブル18にウェーハ11が保持されると、開口4b内においてスピンナテーブル18は回転し、洗浄液噴射機構から洗浄液が噴射される。これによってウェーハ11は洗浄される。洗浄後のウェーハ11は、気体噴射機構から噴射される乾燥エアーで乾燥される。
【0038】
洗浄、乾燥後のウェーハ11は、搬送機構38で搬送されて、搬出入機構20に受け渡される。搬出入機構20は、搬送機構38からウェーハ11を受け取ると、ウェーハ11をカセット10へと搬入する。
【0039】
次に、上述した切削装置2において、カセット10から搬出されたウェーハ11がチャックテーブル16に載置されるまでの工程を詳細に説明する。なお、以下の工程において、切削装置2の各部の動作は制御装置64で制御される。
【0040】
まず、搬出入機構20と搬送機構38とを位置合わせする位置合わせ工程を実施する。図3(A)は、位置合わせ工程を模式的に示す側面図であり、図3(B)は、位置合わせ工程を模式的に示す平面図である。なお、図3では、切削装置2の一部の構成のみを示している。
【0041】
図3に示すように、搬出入機構20によってカセット10からウェーハ11が搬出された後には、第1の移動機構22又は第2の移動機構40によって、搬出入機構20と搬送機構38とをY軸方向に相対移動させる。また、第1の昇降機構32又は第2の昇降機構50によって、搬出入機構20と搬送機構38とをZ軸方向に相対移動させる。
【0042】
具体的には、搬出入機構20の吸着パッド36の上方に搬送機構38の吸着パッド54を位置付けると共に、搬出入機構20のクランプ爪56と同等の高さにウェーハ11を位置付ける。これにより、搬出入機構20と搬送機構38との間において、ウェーハ11の受け渡しが可能となる。
【0043】
なお、この位置合わせ工程では、あらかじめ、第3の基部52cを第2の基部52bから遠い開放位置に位置付けて、ウェーハ11とクランプ爪56とが干渉しないようにしておく。
【0044】
次に、搬出入機構20が保持するウェーハ11を搬送機構38に受け渡す受け渡し工程を実施する。図4(A)は、受け渡し工程を模式的に示す側面図であり、図4(B)は、受け渡し工程を模式的に示す平面図である。なお、図4では、切削装置2の一部の構成のみを示している。
【0045】
受け渡し工程では、図4に示すように、エアシリンダ52dによって、第3の基部52cを把持位置に位置付けると共に、搬送機構38の吸着パッド54にウェーハ11を吸引させる。上述のように、搬入搬出機構20の吸着パッド36の外径は、ウェーハ11の外形より小さくなっており、ウェーハ11の外周は吸着パット36からはみ出ている。そのため、吸着パット36からはみ出たウェーハ11の外周縁は、クランプ爪56で把持される。
【0046】
この状態で、搬出入機構20の吸着パッド36による吸引を停止させると、ウェーハ11は、搬出入機構20から搬送機構38へと受け渡される。この受け渡し工程が終了すると、ウェーハ11は、搬送機構38の吸着パッド54で吸引されると共に、4個のクランプ爪56で把持された状態となる。
【0047】
受け渡し工程の後には、ウェーハ11の外周に形成されたノッチ13の位置を検出する検出工程を実施する。図5(A)は、検出工程を模式的に示す側面図であり、図5(B)は、検出工程を模式的に示す平面図である。なお、図5では、切削装置2の一部の構成のみを示している。
【0048】
検出工程では、図5に示すように、第2の移動機構40によって搬送機構38をY軸方向に移動させ、光センサ60の上方にウェーハ11の外周を位置付ける。すなわち、ウェーハ11の外周を光センサ60の検出範囲(検出視野)に位置付ける。
【0049】
その後、モータ58によってクランプ爪56を回転させてウェーハ11に鉛直軸周りの回転力を付与すると共に、ウェーハ11の外周において反射された反射光、又はウェーハ11の外周を透過した透過光を、光センサ60で検出する。モータ58と連結されていないクランプ爪56は、ウェーハ11の回転に従い回転する。このように、ウェーハ11を鉛直軸の周りに回転させることで、光センサ60でウェーハ11の外周の反射特性又は透過特性を検出して、ノッチ13の位置を特定できる。
【0050】
検出工程の後には、ウェーハ11をチャックテーブル16に載置する載置工程を実施する。この載置工程では、光センサ60によって検出されたノッチ13の位置に基づいて、ウェーハ11をチャックテーブル16に対して所定の向きとなるように載置する。これにより、後のアライメントを適切に実施できる。
【0051】
以上のように、本実施の形態に係る切削装置2は、ウェーハ11をチャックテーブル16に搬送する搬送機構(搬送手段)38と、ウェーハ11のノッチ(マーク)13を検出する光センサ(検出手段)60と、搬送機構38によるチャックテーブル16への搬送位置を制御する制御装置(制御手段)64とを備え、搬送機構38に保持されたウェーハ11の外周を光センサ60の検出範囲(検出視野)に位置付け搬送機構38のモータ(回転駆動部)58によってウェーハ11を回転させることでノッチ13を光センサ60で検出すると共に、検出したノッチ13の位置に基づいてウェーハ11を所定の向きとなるようにチャックテーブル16に載置するので、ウェーハ11の結晶方位や中心位置を検出するための仮置きステージを用いることなく、ウェーハ11の向きをチャックテーブル16に合わせることができる。
【0052】
このように、本実施の形態に係る切削装置2によれば、仮置きステージを省略できるので、ウェーハ11の大口径化に伴う切削装置2の大型化を抑制できる。また、仮置きステージへのウェーハ11の搬入や、仮置きステージからのウェーハ11の搬出の必要もないので、ウェーハ11が破損する可能性を低く抑えられる。
【0053】
なお、本発明は上記実施の形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上記実施の形態では、4個の吸着パッド54及び4個のクランプ爪56を備える搬送機構(搬送手段)38を示しているが、吸着パッド54及びクランプ爪56の数はこれに限定されない。搬送機構38は、少なくとも1個以上の吸着パッド54を備えていれば良く、また、少なくとも3個以上のクランプ爪56を備えていれば良い。
【0054】
また、上記実施の形態では、ウェーハ11の外周に形成されたノッチ13を光センサ60で検出する構成について説明しているが、ウェーハ11の結晶方位を示すマークはノッチ13に限定されない。例えば、ウェーハ11の表面又は裏面に、印刷等の方法でマークを形成しても良い。この場合、CCDカメラ等の撮像装置(検出手段)を用いることで、マークの位置を検出できる。
【0055】
また、上記実施の形態では、半導体ウェーハに代表されるウェーハ11を切削する切削装置2について説明しているが、本発明の切削装置で切削される被加工物は、半導体チップをパッケージした樹脂基板、光デバイスウェーハ、セラミックス基板等でも良い。
【0056】
その他、上記実施の形態に係る構成、方法などは、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0057】
2 切削装置
4 基台
4a,4b 開口
6 筐体
6a 前面
6b 側面
8 カセットエレベータ
10 カセット
12 移動テーブル
14 防水カバー
16 チャックテーブル
16a 保持面
18 スピンナテーブル
20 搬出入機構(搬出入手段)
22 第1の移動機構
24 ガイドレール
26 第1のスライドテーブル
28 ボールネジ
30 パルスモータ
32 第1の昇降機構
34 支持アーム
36 吸着パッド
38 搬送機構(搬送手段)
40 第2の移動機構(移動部)
42 ガイドレール
44 第2のスライドテーブル
46 ボールネジ
48 パルスモータ
50 第2の昇降機構(移動部)
50a シリンダケース
50b ピストンロッド
50c 連結部材
52 本体(保持本体)
52a 第1の基部
52b 第2の基部
52c 第3の基部
52d エアシリンダ
54 吸着パッド
56 クランプ爪
56a 溝
58 モータ(回転駆動部)
60 光センサ(検出手段)
62 モニタ
64 制御装置(制御手段)
11 ウェーハ
13 ノッチ(マーク)
図1
図2
図3
図4
図5