(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)ゴム変性エポキシ樹脂100質量部、(B)エポキシ樹脂硬化剤50〜150質量部及び(C)硬化促進剤0.1〜5質量部を含有するエポキシ樹脂組成物が、強化繊維に含浸されてなり、
(A)ゴム変性エポキシ樹脂が、(a)室温で液状の芳香族エポキシ樹脂と(b)室温で液状の末端カルボキシル基含有ニトリルブタジエンゴムとを反応させて得られる反応物100質量部に対し、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂20〜300質量部及び/又は3級カルボン酸グリシジルエステル30〜150質量部を混合して得られたゴム変性エポキシ樹脂であり、
(B)エポキシ樹脂硬化剤が酸無水物型硬化剤であることを特徴とする繊維強化複合材料。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の繊維強化複合材料について詳細に説明する。
本発明の繊維強化複合材料に用いられる(A)ゴム変性エポキシ樹脂は、(a)室温で液状の芳香族エポキシ樹脂と(b)室温で液状の末端カルボキシル基含有ニトリルブタジエンゴムとを反応させて得られる反応物を主成分としてなるものである。
上記反応物からなる主成分の含有量は、(A)ゴム変性エポキシ樹脂中、好ましくは5〜70質量%、さらに好ましくは10〜50質量%である。(A)ゴム変性エポキシ樹脂は、上記主成分以外に、任意成分として、後述する通り、反応性基を有する希釈剤を含有することが好ましい。上記反応物からなる主成分に対する任意成分の含有量は、後述の通りである。
【0012】
本発明に使用される(a)成分である室温で液状の芳香族エポキシ樹脂としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルクシノール等の単核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホビスフェノール、オキシビスフェノール、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、エチルフェノールノボラック、ブチルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、レゾルシンノボラック、テルペンフェノール等の多核多価フェノール化合物のポリグリジルエーテル化合物等が挙げられる。尚、ここで言う室温で液状とは、より具体的には23℃で液状ということである。
(a)成分としては、これらの中でも、低温反応性、強度、耐薬品性の観点から、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)のポリグリジルエーテル化合物、即ちビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
【0013】
本発明に使用される(b)成分である室温で液状の末端カルボキシル基含有ニトリルブタジエンゴムとしては、市販品を用いることができ、市販品の例としては、CVC Thermoset Specialities製CTBNシリーズが挙げられる。(b)成分である室温で液状の末端カルボキシル基含有ニトリルブタジエンゴムとしては、ニトリル含有量10〜30%のもの;カルボキシル基当量1000〜2000のもの;数平均分子量が2500〜4000のものが、(a)成分である室温で液状の芳香族エポキシ樹脂との相溶性が良好であり、特に高い柔軟性性能を付与でき有効である。尚、ここで言う室温で液状とは、より具体的には23℃で液状ということである。
【0014】
本発明に使用される(A)成分であるゴム変性エポキシ樹脂を構成する(a)成分と(b)成分との反応物は、例えば、(a)室温で液状の芳香族エポキシ樹脂と(b)室温で液状の末端カルボキシル基含有ニトリルブタジエンゴムとを、トリフェニルホスフィン等の触媒の存在下、100〜160℃で3〜6時間反応させることにより容易に得られものである。反応は、(a)成分100質量部に対し(b)成分5〜100質量部の反応比率で行うことが好ましい。
【0015】
本発明に使用される(A)成分を構成するゴム変性エポキシ樹脂には、さらに反応性基を有する希釈剤を使用することができる。該希釈剤を使用すると、作業性向上の効果が得られる。該希釈剤の使用量は、(a)成分と(b)成分との反応物100質量部に対し、20〜500質量部が好ましい。
【0016】
上記希釈剤が有する反応性基としては、グリシジル基、水酸基等が挙げられる。上記希釈剤としては、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂、3級カルボン酸グリシジルエステル、高級二塩基酸ジグリシジルエステルであるIPU−22G(岡村製油株式会社製)やSB−20G(岡村製油株式会社製)、ダイマー酸ジグリシジルエステル、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、P−t−ブチルフェノールグリシジルエーテル等のグリシジルエステル類や芳香族型グリシジルエーテル類等が挙げられる。これらの中でも、反応性、希釈効率の観点から、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂及び/又は3級カルボン酸グリシジルエステルを使用することが好ましく、特に、(a)成分と(b)成分との反応物100質量部に対し、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂20〜300質量部(特に40〜250質量部)及び/又は3級カルボン酸グリシジルエステル30〜150質量部(特に50〜100質量部)を使用することが好ましい。尚、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、室温(23℃)にて液状であることが好ましい。
【0017】
反応性基を有する希釈剤を使用する場合は、(a)成分と(b)成分とを反応させて反応物を得た後、そこへ該希釈剤を加えて混合し、得られた混合物を(A)ゴム変性エポキシ樹脂として用いればよい。(a)成分と(b)成分の反応物へ該希釈剤を加えて混合する際には、70〜130℃にて0.5〜10時間混合することが好ましい。
【0018】
本発明に使用される(B)成分であるエポキシ樹脂用硬化剤としては、酸無水物型硬化剤、ポリアミン型硬化剤等が挙げられる。
酸無水物型硬化剤としては、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、4−メチル−テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物、コハク酸無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物等の酸無水物が挙げられる。
ポリアミン型硬化剤としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等の脂環族ポリアミン;m−キシレンジアミン等の芳香環を有する脂肪族アミン、m−フェニレンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、α,α−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等の芳香族ポリアミン;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2'−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2'−ウンデシルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2'−エチル,4−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2'−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾールの各種イミダゾール類、及び、それらイミダゾール類とフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、マレイン酸、蓚酸等の多価カルボン酸との塩類等のイミダゾール化合物;2−フェニル−4−ヒドロキシ−5−メチルトリアゾール等のトリアゾール化合物等のポリアミン化合物が挙げられる。
(B)成分としては、これらのエポキシ樹脂用硬化剤の中でも、ロングポットライフ、耐薬品性の観点から、酸無水物型硬化剤が好ましい。
【0019】
本発明の繊維強化複合材料に使用されるエポキシ樹脂組成物において、(B)エポキシ樹脂硬化剤の含有量は、(A)ゴム変性エポキシ樹脂100質量部に対して50〜150質量部であり、好ましくは70〜100質量部である。50質量部未満であると、硬化が不十分になり、150質量部超であると、強度不足になる。
【0020】
本発明に使用される(C)成分である硬化促進剤としては、例えば、トリメチルアミン、エチルジメチルアミン、プロピルジメチルアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、ピリジン、ピコリン、1,8−ジアザビスシクロ(5,4,0)ウンデセン−1(DBU)、ジメチルベンジルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP−10)、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP−30)等の第三アミン類;フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール等のフェノール類;p−トルエンスルホン酸、チオシアン酸の1−アミノピロリジン塩(大塚化学(株)製;NR−S)、トリフェニルフォスフィン、メチルトリブチルフォスフォニウム ジメチルフォスフェイト(日本化学工業株式会社製;ヒシコーリンPX−4MP)、テトラ−n−ブチルフォスフォニウム ベンゾトリアゾレイト(日本化学工業株式会社製;ヒシコーリンPX−4BT)、テトラ−n−ブチルフォスフォニウム O,O−ジエチルフォスフォロジシオエイト(日本化学工業株式会社製;ヒシコーリンPX−4ET)、テトラ−n−ブチルフォスフォニウム テトラフェニルボレイト(日本化学工業株式会社製;ヒシコーリンPX−4PB)等のフォスフォニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、第三アミン類が好ましく、ジメチルベンジルアミンがさらに好ましい。
【0021】
本発明の繊維強化複合材料に使用されるエポキシ樹脂組成物において、(C)成分である硬化促進剤の含有量は、(A)ゴム変性エポキシ樹脂100質量部に対して0.1〜5質量部であり、好ましくは0.3〜3質量部である。0.1質量部未満であると、硬化速度が遅くなるという問題点が生じ、5質量部超であると、ロングポットライフが得られないという問題点が生じる。
【0022】
ここで、(A)〜(C)成分を含有するエポキシ樹脂組成物は、混合粘度が25℃にて2000mPa・s以下であることが、強化繊維中に含浸しやすいので好ましい。なぜならば、エポキシ樹脂組成物の粘度増加を抑えて強化繊維中に十分含浸させるには、工程の温度を25〜50℃として実施することが好ましく、この温度範囲で実施する場合には前記粘度範囲にあることが強化繊維中に含浸しやすいからである。混合粘度は、25℃にて500〜1000mPa・sであることがさらに好ましい。混合粘度の調整は、例えば、(A)〜(C)成分の種類及び含有量を適宜選択することにより行うことができる。尚、本発明において、混合粘度は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分並びに必要に応じて用いられる上記添加剤の混合物であるエポキシ樹脂組成物を、B型粘度計により測定した値とする。
【0023】
また、(A)〜(C)成分を含有するエポキシ樹脂組成物は、硬化温度が100℃以下であることが、未架橋部分が存在することになって応力緩和作用が働き延性が向上するので好ましい。また、硬化温度は80℃以上であることが好ましい。硬化温度の調整は、例えば、(A)〜(C)成分の種類及び含有量を適宜選択することにより行うことができる。
【0024】
一方、本発明の繊維強化複合材料に使用される強化繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維等が挙げられる。これらの中でも、市場で入手しやすく安価である点からガラス繊維が好ましく、軽量、高強度である点から炭素繊維が好ましい。
【0025】
本発明の繊維強化複合材料は、上記(A)〜(C)成分を含有してなるエポキシ樹脂組成物を強化繊維に含浸して得られるものである。エポキシ樹脂組成物を強化繊維に含浸させる際には、繊維強化複合材料におけるエポキシ樹脂組成物の体積含有率を25%〜45%、特に30%〜40%にすることが望ましい。
【0026】
本発明の繊維強化複合材料は、従来の繊維強化複合材料と同様の方法により製造することができる。本発明の繊維強化複合材料の製造方法としては、優れた強度特性が得られ、生産性に優れた繊維強化複合材料の成形方法としてフィラメントワインディング法が挙げられる。
このフィラメントワインディング法は、回転する型(マンドレル)に、レジンバスで連続的に樹脂を含浸させたロービングを、張力をかけて回転軸に対して一定の角度をつけて、必要な厚さまで巻きつける方法である。
【0027】
本発明の繊維強化複合材料は、圧力容器の補強層の形成に用いるのに好適なものである。本発明の繊維強化複合材料は、その他に、シャフト等の動力部品、エンジンフード等の車体部品等の用途に用いることもできる。
【0028】
次に、本発明の圧力容器について説明する。
本発明の圧力容器は、気密性のあるライナー、及び該ライナーの外側を補強する、繊維強化複合材料により形成された補強層を有するものであり、上記繊維強化複合材料が本発明の繊維強化複合材料であること以外は、従来の圧力容器と同様とすることができる。以下に、本発明の圧力容器の好ましい一例を以下に説明する。
【0029】
ライナーとしては、アルミ等の金属製のものや、あるいは更に軽量化するために口金部分を除いて樹脂製としたものが用いられる。樹脂には、ポリエチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、ABS、ポリカーボネート等が用いられる。このような樹脂製のライナーは、ブロー成形法によって製造でき、ブロー成形の際に口金部を一体的に結合することで気密性を持った内殻を形成できる。
【0030】
補強層は、巻きつけるロービング(繊維の束)の配列構成により、代表的には、フープ層とヘリカル層で構成される。フープ層は容器の軸方向に対して±75°〜±105°程度、ヘリカル層は、±25°〜±75°程度で配列され、フープ層とヘリカル層はそれぞれ複数の層で形成され、形成されたフープ層とヘリカル層は交互に繰り返されて形成される。層の厚みは、圧力容器にかかる圧力に応じて計算された応力に耐えられるように設計される。本発明の繊維強化複合材料は、繊維方向に強度特性が優れることから、フープ層、ヘリカル層それぞれの繊維方向に対して強度設計される。
【0031】
本発明の圧力容器は大部分が樹脂から成るものであるから、金属製のものと比べて軽量であり、これを燃料電池自動車用の水素貯蔵容器や、天然ガス自動車の天然ガス貯蔵容器に用いると、燃費の向上が期待できる。自動車用途以外には、医療用ガス貯蔵容器等にも用いることができる。
【実施例】
【0032】
以下、製造例及び実施例等を示して本発明の繊維強化複合材料及び圧力容器を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0033】
下記製造例1、2及び下記比較製造例1、2は、(A)ゴム変性エポキシ樹脂の製造例及びその比較製造例であり、下記製造例3、4及び下記比較製造例3〜5は、エポキシ樹脂組成物の製造例及びその比較製造例である。
下記実施例1、2及び比較例1、2は、本発明の繊維強化複合材料の実施例及びその比較例である。
【0034】
〔製造例1〕(A)ゴム変性エポキシ樹脂EPR−1の製造
23℃で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量=185、株式会社ADEKA製、アデカレジンEP−4300E)を225質量部、23℃で液状の末端カルボキシル基含有ニトリルブタジエンゴム(1)(カルボキシル当量=1753、ニトリル含有量=26%、CVC Thermoset Specialities製、CTBN(1300X13))を150質量部仕込み、100℃まで加熱した。100℃でトリフェニルホスフィンを0.1質量部添加し、130〜150℃にて4時間反応させた。酸価が1mgKOH/g以下であることを確認した後に、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量=170、株式会社ADEKA製、アデカレジンEP−4901E、23℃にて液状)を625質量部仕込み、90〜100℃にて1時間混合した。得られた混合物を、ゴム変性エポキシ樹脂EPR−1とした。
【0035】
〔製造例2〕(A)ゴム変性エポキシ樹脂EPR−2の製造
23℃で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量=185、株式会社ADEKA製、アデカレジンEP−4300E)を225質量部、23℃で液状の末端カルボキシル基含有ニトリルブタジエンゴム(2)(カルボキシル当量=1935、ニトリル含有量=18%、CVC Thermoset Specialities製、CTBN(1300X8))を150質量部仕込み、100℃まで加熱した。100℃でトリフェニルホスフィンを0.1質量部添加し、130〜150℃にて4時間反応させた。酸価が1mgKOH/g以下であることを確認した後に、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量=170、株式会社ADEKA製、アデカレジンEP−4901E、23℃にて液状)を225質量部と3級カルボン酸グリシジルエステル(エポキシ当量=245、HEXION Specially Chemicals製、カージュラN10)を300質量部仕込み、90〜100℃にて1時間混合した。得られた混合物を、ゴム変性エポキシ樹脂EPR−2とした。
【0036】
〔比較製造例1〕ゴム変性エポキシ樹脂EPR−3の製造(製造例1に対する比較製造例)
23℃で固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量=475、株式会社ADEKA製、アデカレジンEP−5100)を225質量部、23℃で液状の末端カルボキシル基含有ニトリルブタジエンゴム(1)(カルボキシル当量=1753、ニトリル含有量=26%、CVC Thermoset Specialities製、CTBN(1300X13))を150質量部仕込み、100℃まで加熱した。100℃でトリフェニルホスフィンを0.1質量部添加し、130〜150℃にて4時間反応させた。酸価が1mgKOH/g以下であることを確認した後に、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量=170、株式会社ADEKA製 アデカレジンEP−4901E、23℃にて液状)を625質量部仕込み、90〜100℃にて1時間混合した。得られた混合物を、ゴム変性エポキシ樹脂EPR−3とした。
【0037】
〔比較製造例2〕ゴム併用エポキシ樹脂EPR−4の製造(製造例1に対する比較製造例)
23℃で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量=185、株式会社ADEKA製、アデカレジンEP−4300E)を225質量部、23℃で粉体のニトリルブタジエンゴム(JSR株式会社製、XER−91P)を150質量部仕込み、100℃まで加熱し、90〜100℃にて4時間混合した。次に、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量=170、株式会社ADEKA製、アデカレジンEP−4901E、23℃にて液状)を625質量部仕込み、90〜100℃にて1時間混合した。得られた混合物を、ゴム併用エポキシ樹脂EPR−4とした。
【0038】
〔製造例3〜4及び比較製造例3〜5〕
下記〔表1〕に示した配合にてエポキシ樹脂組成物を製造した。得られたエポキシ樹脂組成物について、強化繊維に対する含浸性評価、伸び試験及び混合粘度測定をそれぞれ以下の方法により行った。それらの結果を〔表1〕に示す。
【0039】
<伸び試験方法>
JIS K 6251に準拠して、破断点伸度(%)及び最大点応力(MPa)の測定を行った。尚、破断点伸度及び最大点応力とも、試験片はダンベル2号とし、テストスピードは5mm/minとした。また、試験片は、80℃にて2時間加熱後、さらに100℃にて4時間加熱の硬化条件で作製した。
【0040】
<混合粘度測定方法>
25℃にて、B型粘度計により測定を行った。
【0041】
【表1】
【0042】
〔実施例1、2及び比較例1、2〕
製造例3、4及び比較製造例3、4のエポキシ樹脂組成物、及び強化繊維としてのガラス繊維を使用して、繊維強化複合材料を製造した。繊維強化複合材料の製造方法は以下の通りである。尚、エポキシ樹脂組成物の使用量は、体積含有率で38%とした。
(繊維強化複合材料の製造方法)
繊維強化複合材料の製造は、フィラメントワインディング法により行った。繊維強化複合材料は、引張試験等の評価に使用するため、3mmの板状に成形した。フィラメントワインディング法は回転する型にロービングを巻きつけていくため、回転する型は、円筒形の型が好ましいが、本発明では、
図1に示すように、板状に成形するため平面部を備えた型(マンドレル)を使用した。また、繊維を一方向とするため、できるだけ角度をつけないでフープ巻きに成形した。樹脂は型に巻きつける直前に配置されたレジンバスで所定の温度に維持された状態で、繊維を束ねたロービングに含浸させた。ロービングを所定の厚みまで巻きつけた後、80℃にて2時間加熱後、更に100℃にて4時間加熱して硬化させて繊維強化複合材料とした。
【0043】
得られた繊維強化複合材料について、引張試験、繊維強化複合材料に対する含浸性評価、及び引張疲労試験をそれぞれ以下の方法により行った。それらの結果を〔表2〕に示す。
<引張試験方法>
JIS K 7165に準拠して、引張強度(MPa)と破断ひずみ(%)の測定を行った。試験片形状は、JIS K7165に準拠して、繊維方向の引張試験にはA型試験片を使用し、繊維直交方向の引張試験には、B型試験片を使用した。
<繊維強化複合材料に対する含浸性評価方法>
成形された板材を、強化繊維と直交方向に切断して、研磨した切断面を光学顕微鏡により観察し、繊維と樹脂の分布状態を比較した。実施例1、及び比較例1、2の板材の切断面の光学顕微鏡による写真をそれぞれ〔
図2〕及び〔
図3〕に示す。
尚、〔表2〕において、「良好」は、樹脂が繊維と繊維のすきまに均一に分散している状態であったことを意味する。
<引張疲労試験方法>
引張試験に用いたA型試験片を使用して繊維方向に応力を600MPa、周波数を1Hzとして繰り返し応力を与え、破断に至るまでの回数を計測した。
【0044】
【表2】