(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第一切削ブレードと該第一切削ブレードが装着される第一スピンドルとを含む第一切削手段と、該第一切削ブレードに対面する第二切削ブレードと該第二切削ブレードが装着されるとともに該第一スピンドルの軸心と同一線上の軸心を有した第二スピンドルとを含む第二切削手段と、で複数の切削予定ラインが設定された円形被加工物の互いに異なる該切削予定ラインを同時に切削する切削方法であって、
該第一切削ブレードと該第二切削ブレードとが最も近接しうる距離をブレード間最短距離とし、
該切削予定ラインの伸長方向に直交する方向において円形被加工物の中心からそれぞれ該ブレード間最短距離離反した領域を含み、隣接する該切削予定ラインの間隔を2以上の整数で整数倍した広さの領域を中央領域とし、
該中央領域を挟む両側の領域を外側領域として、
該外側領域に含まれる全ての切削予定ラインを、該第一切削ブレードと該第二切削ブレードとを用いて第一の速度で切削する外側領域切削ステップと、
該外側領域切削ステップを実施する前または後に、該第一切削ブレードと該第二切削ブレードとを用いて該中央領域に含まれる全ての切削予定ラインを切削する中央領域切削ステップと、を備え、
該外側領域切削ステップでは、該第一切削ブレードと該第二切削ブレードとを互いに近接または離反する方向に割り出し送りしつつ切削を遂行し、
該中央領域切削ステップでは、該第一切削ブレードと該第二切削ブレードとを該中央領域の一端と中央とにそれぞれ位置付けた状態から互いに同一方向に割り出し送りしつつ切削を遂行するとともに、該第一切削ブレードと該第二切削ブレードとを用いて最初に切削する切削予定ラインのみを、該第一の速度より低速の第二の速度で切削し、他の切削予定ラインを、該第一の速度で切削することを特徴とする切削方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態の切削方法は、外側領域切削ステップ(例えば、
図3(C)、
図3(D)等参照)と、中央領域切削ステップ(例えば、
図3(A)、
図3(B)等参照)とを含む。
【0016】
外側領域切削ステップでは、被加工物(円形被加工物)の外側領域に含まれる全てのストリート(切削予定ライン)を、2個の切削ブレードで同時に切削する。この切削は、所定の加工送り速度(第一の速度)で行う。
【0017】
中央領域切削ステップでは、被加工物の中央領域に含まれる全ての切削予定ラインを、2個の切削ブレードで同時に切削する。このとき、最初に切削する切削予定ラインについては、外側領域切削ステップの加工送り速度より低速の加工送り速度(第二の速度)で切削する。以下、本実施の形態に係る切削方法の各ステップ等について詳述する。
【0018】
はじめに、本実施の形態に係る切削方法で使用される切削装置について説明する。
図1は、切削装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、切削装置2は、各構成を支持する基台4を備えている。
【0019】
基台4の上面には、半導体ウェーハ等の被加工物(円形被加工物)11(
図3参照)を保持するチャックテーブル6が配置されている。チャックテーブル6の下方には、チャックテーブル6をX軸方向(加工送り方向)に移動させるX軸移動機構8が設けられている。
【0020】
基台4の上面後方には、2組の切削ユニット10(第1切削ユニット(第一切削手段)10a、第2切削ユニット(第二切削手段)10b)を支持する門型の支持部12が、X軸移動機構8を跨ぐように配置されている。
【0021】
支持部12の前面上部には、各切削ユニット10をY軸方向(割り出し送り方向)及びZ軸方向(鉛直方向)に移動させる2組の切削ユニット移動機構14(第1切削ユニット移動機構14a、第2切削ユニット移動機構14b)が設けられている。
【0022】
上述のX軸移動機構8は、基台4の上面に固定されX軸方向に平行な一対のX軸ガイドレール16を備える。X軸ガイドレール16には、X軸移動テーブル18がスライド可能に設置されている。
【0023】
X軸移動テーブル18の裏面側(下面側)には、ナット部(不図示)が固定されており、このナット部には、X軸ガイドレール16と平行なX軸ボールネジ20が螺合されている。X軸ボールネジ20の一端部には、X軸パルスモータ22が連結されている。X軸パルスモータ22でX軸ボールネジ20を回転させれば、X軸移動テーブル18は、X軸ガイドレール16に沿ってX軸方向に移動する。
【0024】
X軸移動テーブル18の表面側(上面側)には、支持台24が設けられている。支持台24の上部には、チャックテーブル6が配置されている。チャックテーブル6は、支持台24の下方に設けられた回転機構(不図示)と連結されており、Z軸の周りに回転する。
【0025】
チャックテーブル6の表面は、被加工物11を吸引保持する保持面6aとなっている。この保持面6aには、チャックテーブル6の内部に形成された流路(不図示)を通じて吸引源(不図示)の負圧が作用し、被加工物11を吸引する吸引力が発生する。
【0026】
切削ユニット移動機構14は、支持部12の前面に配置されY軸方向に平行な一対のY軸ガイドレール26を備える。Y軸ガイドレール26には、各切削ユニット移動機構14を構成するY軸移動テーブル28(第1Y軸移動テーブル28a、第2Y軸移動テーブル28b)がスライド可能に設置されている。
【0027】
各Y軸移動テーブル28の裏面側(後面側)には、ナット部(不図示)が固定されており、このナット部には、Y軸ガイドレール26と平行なY軸ボールネジ30(第1Y軸ボールネジ30a、第2Y軸ボールネジ30b)がそれぞれ螺合されている。
【0028】
各Y軸ボールネジ30の一端部には、Y軸パルスモータ32(第1Y軸パルスモータ32a、第2Y軸パルスモータ32b)が連結されている。Y軸パルスモータ32でY軸ボールネジ30を回転させれば、Y軸移動テーブル28は、Y軸ガイドレール26に沿ってY軸方向に移動する。
【0029】
各Y軸移動テーブル28の表面側(前面側)には、Z軸方向にスライド可能なZ軸移動テーブル34(第1Z軸移動テーブル34a、第2Z軸移動テーブル34b)が設けられている。各Z軸移動テーブル34は、各Y軸移動テーブル28の上部に設けられたZ軸パルスモータ36(第1Z軸パルスモータ36a、第2Z軸パルスモータ36b)でZ軸方向に移動する。
【0030】
支持部12の上面には、各Y軸移動テーブル28のY軸方向における位置を測定可能なY軸リニアスケール38が設けられている。また、各Y軸移動テーブル28には、各Z軸移動テーブル34のZ軸方向における位置を測定可能なZ軸リニアスケール(不図示)が設けられている。
【0031】
各Z軸移動テーブル34の下部には、被加工物11を切削する切削ユニット10(第1切削ユニット(第一切削手段)10a、第2切削ユニット(第二切削手段)10b)が設けられている。また、各切削ユニット10と隣接する位置には、被加工物11を撮像するカメラ40(第1カメラ40a、第2カメラ40b)が設置されている。上述のようにY軸移動テーブル28及びZ軸移動テーブル34を移動させることで、各切削ユニット10及び各カメラ40は、Y軸方向及びZ軸方向に移動する。
【0032】
図2は、各切削ユニット10の構成例を模式的に示す側面図である。
図2に示すように、各切削ユニット10は、円環状の切削ブレード42(第一切削ブレード42a、第二切削ブレード42b)を備えている。各切削ブレード42は、Y軸の周りに回転するスピンドル44(第一スピンドル44a、第二スピンドル44b)の一端側に装着されている。
【0033】
各スピンドル44の他端側にはモータ(不図示)が連結されており、スピンドル44に装着された切削ブレード42を回転させる。この切削ブレード42を回転させて被加工物11に切り込ませることで、被加工物11は切削される。
【0034】
本実施の形態の切削方法では、上述した2組の切削ユニット10を用いて被加工物11を同時に切削する。被加工物11の切削時には、
図2に示すように、各スピンドル44の軸心を同一直線上に配置する。また、各切削ブレード42は、互いに対面した状態でY軸方向に割り出し送りされる。
【0035】
各切削ユニット10は、Y軸方向おいて互いに干渉しないように制御される。すなわち、第一切削ブレード42a及び第二切削ブレード42bは、所定の距離を保ちながらY軸方向に移動する。本実施の形態では、最も近接した状態にある第一切削ブレード42aと第二切削ブレード42bとの距離を、ブレード間最短距離d1とする。
【0036】
図3は、被加工物11の構成例を模式的に示す平面図である。
図3に示すように、被加工物11は、例えば、円盤状の半導体ウェーハであり、裏面側に貼着されたダイシングテープ13を介して環状のフレーム15に支持されている。
【0037】
被加工物11の表面は、格子状に配列されたストリート(切削予定ライン)17で複数の領域に区画されており、各領域にはIC等のデバイス19が設けられている。なお、
図3では、第1方向D1に伸長するストリート17の一部のみを例示している。
【0038】
本実施の形態の切削方法では、
図3に示すように、被加工物11を、中央領域Aと、外側領域B,Cとに分けて切削を行う。中央領域Aは、ストリート17の伸長方向(例えば、第1方向D1)と直交する方向(例えば、第2方向D2)において、被加工物11の中心からそれぞれブレード間最短距離d1離れた領域を含む。また、中央領域Aは、隣接するストリートの距離(間隔)d2を2以上の整数で整数倍した広さの領域に相当する。
【0039】
中央領域Aをこのように規定するのは、第一切削ブレード42aと第二切削ブレード42bとを用いて同時に2本のストリート17を切削できるようにするためである。この中央領域Aには、2n本(nは自然数)のストリート17(ストリート17
A1〜ストリート17
A2n)が含まれている。
【0040】
一方、外側領域B,Cは、中央領域Aを両側から挟む領域である。外側領域B,Cの広さは、中央領域Aの広さに応じて決定される。この外側領域B,Cには、それぞれ、m本(mは自然数)のストリート17(ストリート17
B1〜ストリート17
Bm、ストリート17
C1〜ストリート17
Cm)が含まれている。
【0041】
図4は、切削方法の第1態様を模式的に示す側面図であり、
図5は、切削方法の第2態様を模式的に示す側面図であり、
図6は、切削方法の第3態様を模式的に示す側面図である。なお、
図4から
図6においては、被加工物11の第1方向D1を切削装置2のX軸方向と平行に位置付け、被加工物11の第2方向D2を切削装置2のY軸方向と平行に位置付けた状態を示している。
【0042】
本実施の形態に係る切削方法の第1態様では、まず、第一切削ブレード42aと第二切削ブレード42bとを同時に用いて、中央領域Aに含まれる全てのストリート17を切削する中央領域切削ステップを実施する。
【0043】
第1の態様に係る中央領域切削ステップでは、まず、第一切削ブレード42a及び第二切削ブレード42bの一方を、中央領域Aの一端に位置するストリート17に位置合わせする。また、第一切削ブレード42a及び第二切削ブレード42bの他方を、中央領域Aの中央に位置するストリート17に位置合わせする。
【0044】
本態様では、
図4(A)に示すように、第一切削ブレード42aを、中央領域Aのストリート17
A(n+1)(
図3)に位置合わせするとともに、第二切削ブレード42bを、中央領域Aのストリート17
A1(
図3)に位置合わせしている。すなわち、第二切削ブレード42bを、中央領域Aの一端に位置するストリート17に位置合わせし、第一切削ブレード42aを、中央領域Aの中央に位置するストリート17に位置合わせしている。
【0045】
ただし、本発明はこれに限定されず、第一切削ブレード42aを、中央領域Aの一端に位置するストリート17(ストリート17
A2n)に位置合わせし、第二切削ブレード42bを、中央領域Aの中央に位置するストリート17(ストリート17
An)に位置合わせしても良い。
【0046】
また、第一切削ブレード42aと第二切削ブレード42bとは、ブレード間最短距離d1以上に離して配置される。なお、本実施の形態では、第一切削ブレード42aと第二切削ブレード42bとの距離をブレード間最短距離d1としている。
【0047】
この状態で、第一切削ブレード42a及び第二切削ブレード42bを回転させて、被加工物11に切り込ませるとともに、チャックテーブル6をX軸方向に加工送りさせることで、被加工物11は、ストリート17
A1、及びストリート17
A(n+1)に沿って切削される。
【0048】
ところで、中央領域Aのストリート17
A1、及びストリート17
A(n+1)を切削する際には、ストリート17
A1、及びストリート17
A(n+1)の周辺に未切削の領域が広く存在している。すなわち、中央領域切削ステップの初期において、被加工物11は、比較的大きな板状物に分割される。
【0049】
そのため、この中央領域切削ステップの初期の段階では、切削時の被加工物11の動きが小さくなって、被加工物11にかかる負荷は逃げ難くなる。その結果、ストリート17
A1、及びストリート17
A(n+1)の近傍に負荷が集中して、被加工物11にチッピング(欠け)が生じ易くなる。
【0050】
そこで、本実施の形態の切削方法では、中央領域切削ステップにおいて少なくとも最初に切削するストリート17(第1の態様では、ストリート17
A1、及びストリート17
A(n+1))を、後述する外側領域切削ステップの加工送り速度(第一の速度)より低速の加工送り速度(第二の速度)で切削する。
【0051】
これにより、中央領域切削ステップの初期の段階において被加工物11にかかる負荷を低減して、チッピングを抑制できる。なお、中央領域Aの他のストリート17については、外側領域切削ステップの加工送り速度(第一の速度)と同じ加工送り速度で加工すれば良い。
【0052】
中央領域Aにおいて、最初のストリート17(ストリート17
A1、及びストリート17
A(n+1))を切削した後には、第一切削ブレード42a及び第二切削ブレード42bを上昇させて、同じY軸方向に割り出し送りさせる。具体的には、第一切削ブレード42a及び第二切削ブレード42bを、隣接するストリート17(ストリート17
A2、及びストリート17
A(n+2))に位置合わせする。
【0053】
その後、さらに加工送りと割り出し送りとを繰り返し、中央領域Aに含まれる第1方向D1に伸びる全てのストリート17に沿って被加工物11を切削する。
図4(B)に示すように、第1方向D1に伸びる最後のストリート17(ストリート17
An、及びストリート17
A2n)に沿って被加工物11が切削されると、中央領域切削ステップは終了する。
【0054】
中央領域切削ステップの後には、第一切削ブレード42aと第二切削ブレード42bとを同時に用いて外側領域B,Cに含まれる全てのストリート17を切削する外側領域切削ステップを実施する。
【0055】
外側領域切削ステップでは、まず、第一切削ブレード42a及び第二切削ブレード42bを、外側領域B,Cの一端に位置するストリート17に位置合わせする。本態様では、
図4(C)に示すように、第一切削ブレード42aを、外側領域Cの一端に位置するストリート17
C1(
図3)に位置合わせするとともに、第二切削ブレード42bを、外側領域Bの一端に位置するストリート17
B1(
図3)に位置合わせしている。
【0056】
ただし、本発明はこれに限定されず、第一切削ブレード42aを、外側領域Cの一端に位置するストリート17
Cm(
図3)に位置合わせするとともに、第二切削ブレード42bを、外側領域Bの一端に位置するストリート17
Bm(
図3)に位置合わせしても良い。
【0057】
この状態で、第一切削ブレード42a及び第二切削ブレード42bを回転させて、被加工物11に切り込ませるとともに、チャックテーブル6をX軸方向に加工送りさせることで、被加工物11は、ストリート17
B1、及びストリート17
C1に沿って切削される。なお、この外側領域切削ステップでは、効率的な切削を実現できる加工送り速度(第一の速度)でチャックテーブル6を加工送りさせる。
【0058】
外側領域B,Cにおいて、最初のストリート17(ストリート17
B1、及びストリート17
C1)を切削した後には、第一切削ブレード42a及び第二切削ブレード42bを上昇させて、互いに離反する方向に割り出し送りさせる。具体的には、第一切削ブレード42a及び第二切削ブレード42bを、隣接するストリート17に位置合わせする。
【0059】
なお、外側領域切削ステップの開始時に、第一切削ブレード42a及び第二切削ブレード42bを、ストリート17
Bm及びストリート17
Cmに位置合わせしている場合には、互いに近接する方向に割り出し送りさせて、隣接するストリート17に位置合わせすれば良い。
【0060】
その後、さらに加工送りと割り出し送りとを繰り返し、外側領域B,Cに含まれる第1方向D1に伸びる全てのストリート17に沿って被加工物11を切削する。
図4(D)に示すように、第1方向D1に伸びる最後のストリート17(ストリート17
Bm、及びストリート17
Cm)に沿って被加工物11が切削されると、外側領域切削ステップは終了する。
【0061】
なお、上述した第1の態様に代えて、第2の態様又は第3の態様を実施しても良い。第2の態様は、外側領域切削ステップを実施した後に中央領域切削ステップを実施する点で第1の態様と相違している。
【0062】
第2の態様に係る外側領域切削ステップでは、まず、
図5(A)に示すように、第一切削ブレード42aを、外側領域Cの一端に位置するストリート17
Cm(
図3)に位置合わせするとともに、第二切削ブレード42bを、外側領域Bの一端に位置するストリート17
Bm(
図3)に位置合わせする。
【0063】
そして、加工送りと割り出し送りとを繰り返し、外側領域B,Cに含まれる第1方向D1に伸びる全てのストリート17に沿って被加工物11を切削する。この加工送りは、効率的な切削を実現できる加工送り速度(第一の速度)で行う。また、加工送りの方向は、互いに近接する方向とする。
【0064】
図5(B)に示すように、第1方向D1に伸びる最後のストリート17(ストリート17
B1、及びストリート17
C1)に沿って被加工物11が切削されると、外側領域切削ステップは終了する。
【0065】
外側領域切削ステップの後には、中央領域切削ステップを実施する。具体的には、
図5(C)に示すように、第一切削ブレード42aを、中央領域Aのストリート17
A(n+1)(
図3)に位置合わせするとともに、第二切削ブレード42bを、中央領域Aのストリート17
A1(
図3)に位置合わせする。
【0066】
もちろん、第一切削ブレード42aを、中央領域Aのストリート17
A2nに位置合わせし、第二切削ブレード42bを、中央領域Aのストリート17
Anに位置合わせしても良い。
【0067】
そして、加工送りと割り出し送りとを繰り返し、中央領域Aに含まれる第1方向D1に伸びる全てのストリート17に沿って被加工物11を切削する。加工送りの方向は、同じY軸方向とする。
【0068】
図5(D)に示すように、第1方向D1に伸びる最後のストリート17(ストリート17
An、及びストリート17
A2n)に沿って被加工物11が切削されると、中央領域切削ステップは終了する。
【0069】
なお、本態様では、中央領域切削ステップにおいて最初に切削されるストリート17
A1と隣接する外側領域Bのストリート17
B1は、外側領域切削ステップで既に切削されており、ストリート17
A1の近傍でチッピングは発生し難い。しかしながら、ストリート17
A(n+1)の周辺には未切削の領域が広く存在するので、ストリート17
A(n+1)の近傍でチッピングが発生する可能性は依然として高くなっている。
【0070】
そこで、本態様においても、中央領域切削ステップにおいて少なくとも最初に切削するストリート17(第2の態様では、ストリート17
A1、及びストリート17
A(n+1))を、外側領域切削ステップの加工送り速度(第一の速度)より低速の加工送り速度(第二の速度)で切削する。
【0071】
これにより、中央領域切削ステップの初期の段階において被加工物11にかかる負荷を低減して、チッピングを抑制できる。なお、中央領域Aの他のストリート17は、外側領域切削ステップの加工送り速度(第一の速度)と同じ加工送り速度で切削すれば良い。
【0072】
第3の態様は、第2の態様の外側領域切削ステップを一部変更した変形例に相当する。すなわち、第3の態様においても、外側領域切削ステップを実施した後に中央領域切削ステップを実施する。
【0073】
第3の態様に係る外側領域切削ステップでは、まず、
図6(A)に示すように、第一切削ブレード42aを、外側領域Cの一端に位置するストリート17
C1(
図3)に位置合わせするとともに、第二切削ブレード42bを、外側領域Bの一端に位置するストリート17
B1(
図3)に位置合わせする。
【0074】
そして、加工送りと割り出し送りとを繰り返し、外側領域B,Cに含まれる第1方向D1に伸びる全てのストリート17に沿って被加工物11を切削する。この加工送りは、効率的な切削を実現できる加工送り速度(第一の速度)で行う。また、加工送りの方向は、互いに離反する方向とする。
【0075】
図6(B)に示すように、第1方向D1に伸びる最後のストリート17(ストリート17
Bm、及びストリート17
Cm)に沿って被加工物11が切削されると、外側領域切削ステップは終了する。
【0076】
ところで、第3の態様において外側領域B,Cのストリート17
B1、及びストリート17
C1を切削する際には、ストリート17
B1、及びストリート17
C1の周辺に未切削の領域が広く存在する。そのため、このストリート17
B1、及びストリート17
C1の近傍においてもチッピングが生じ易い。
【0077】
そこで、第3の態様に係る外周領域切削ステップでは、最初に切削するストリート17(ストリート17
B1、及びストリート17
C1)を、通常の加工送り速度(第一の速度)より低速の加工送り速度(第二の速度)で切削する。
【0078】
これにより、外側領域切削ステップの初期の段階において被加工物11にかかる負荷を低減して、チッピングを抑制できる。なお、外側領域B,Cの他のストリート17については、通常の加工送り速度(第一の速度)で加工すれば良い。
【0079】
外側領域切削ステップの後には、中央領域切削ステップを実施する。第3の態様にかかる中央領域切削ステップは、第2の態様の中央領域切削ステップと同じである。具体的には、まず、
図6(C)に示すように、第一切削ブレード42aを、中央領域Aのストリート17
A(n+1)(
図3)に位置合わせするとともに、第二切削ブレード42bを、中央領域Aのストリート17
A1(
図3)に位置合わせする。
【0080】
そして、加工送りと割り出し送りとを繰り返し、中央領域Aに含まれる第1方向D1に伸びる全てのストリート17に沿って被加工物11を切削する。
図6(D)に示すように、第1方向D1に伸びる最後のストリート17(ストリート17
An、及びストリート17
A2n)に沿って被加工物11が切削されると、中央領域切削ステップは終了する。
【0081】
以上のように、本実施の形態に係る切削方法では、中央領域切削ステップにおいて最初に切削するストリート(切削予定ライン)17を、外側領域切削ステップにおける加工送り速度(第一の速度)より低速の加工送り速度(第二の速度)で切削する。これにより、中央領域切削ステップの初期の段階で被加工物(円形被加工物)11にかかる負荷を低減して、チッピングを抑制できる。
【0082】
なお、本発明は上記実施の形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上記実施の形態では、中央領域Aにおいて最初に切削する1組2本のストリート17のみを低速の加工送り速度(第二の速度)で切削しているが、最初に切削する1組を含む複数組のストリート17を低速の加工送り速度(第二の速度)で切削しても良い。
【0083】
その他、上記実施の形態に係る構成、方法などは、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。