【実施例】
【0026】
[実施例1]パンの製造
配合表1に記載された配合に基づいて、実施例1のパンを製造した。
つまり、攪拌機に、強力粉、清水、グラニュー糖、生卵黄、マルトオリゴ糖の混合物(平均重合度3、マルトース8%、マルトトリオース75%、マルトテトラオース15%、マルトペンタオース2%)、ホスホリパーゼA2(微生物由来、酵素活性:100,000−120,000U/g、ナガセケムテックス(株)製)、脱脂粉乳、水で溶いた生イースト、食塩を投入して、26℃で、低速3分、中速5分、高速4分混捏した。
ついで、マーガリンを投入して、低速3分、中速5分、高速2分混捏し、パン生地を得た。得られたパン生地を28℃、湿度85%で90分間一次発酵を行った。ベンチタイムを20分間とった後、成形し、パウンド型に入れて、35℃、湿度75%で60分間二次発酵を行った。
最後にオーブンに入れ、上火170℃、下火210℃で20分間焼成し、室温にてあら熱をとり、実施例1のパンを得た。
ホスホリパーゼA2の添加量は、生卵黄換算で1gの卵黄液に対し、12単位である。
【0027】
[配合表1]
(強力粉100gに対する質量(g))
強力粉 100g
清水 57g
マルトオリゴ糖の混合物 16g
マーガリン 8g
生卵黄 3.4g(固形分換算で1.5g)
脱脂粉乳 2g
生イースト 2g
食塩 1.5g
ホスホリパーゼA2 40単位
【0028】
[実施例2]
実施例1において、マルトオリゴ糖の混合物の組成は変更せずに、添加量を35g、ホスホリパーゼA2の添加量を13単位にそれぞれ変更し、実施例1と同様の製造方法により実施例2のパンを製造した。
ホスホリパーゼA2の添加量は、生卵黄換算で1gの卵黄液に対し、4単位である。
【0029】
[実施例3]
実施例1において、マルトオリゴ糖の混合物の組成は変更せずに、添加量を0.3g、ホスホリパーゼA2の添加量を167単位にそれぞれ変更し、実施例1と同様の製造方法により実施例3のパンを製造した。
ホスホリパーゼA2の添加量は、生卵黄換算で1gの卵黄液に対し、50単位である。
【0030】
[実施例4]
実施例1において、微生物由来のホスホリパーゼA2を豚膵臓由来のホスホリパーゼA2に変更し、実施例1と同様の製造方法により実施例4のパンを製造した。
【0031】
[比較例1]
実施例1において、マルトオリゴ糖の混合物及びホスホリパーゼA2を添加せず、実施例1と同様の製造方法により比較例1のパンを製造した。
【0032】
[比較例2]
実施例1において、マルトオリゴ糖の混合物を添加せず、実施例1と同様の製造方法により比較例2のパンを製造した。
【0033】
[比較例3]
実施例1において、ホスホリパーゼA2を添加せず、実施例1と同様の製造方法により比較例3のパンを製造した。
【0034】
[試験例1]
マルトオリゴ糖及びホスホリパーゼA2添加の有無及び添加量、ならびにホスホリパーゼA2の種類の違いによる、パンのボリュームに与える影響について調べた。
つまり、実施例1乃至4、及び比較例1乃至3で製したそれぞれのパンを喫食して比較例1で製したパンを基準に滑らかさについて評価した。
【0035】
評価は、下記の評価基準に従ったものである。
◎:比較例1で製したパンよりも、非常にふっくらとしたボリュームを有している。
○:比較例1で製したパンよりも、ふっくらとしたボリュームを有している。
△:比較例1で製したパンよりも、若干ふっくらとしたボリュームを有している。
×:比較例1で製したパンと同程度である。
【0036】
【表1】
【0037】
表1より、マルトオリゴ糖及びホスホリパーゼA2を添加しないと、ふっくらとしたボリュームを有するパンが得られないことが理解でき、
さらに、穀粉100gに対し、マルトオリゴ糖が0.1g以上になるように添加し、生卵黄換算で1gの卵黄液に対し、ホスホリパーゼA2を3単位以上になるように添加した方が、ふっくらとしたボリュームを有するパンが得られ易いことが理解できる(実施例1乃至4)。
特に、穀粉100gに対し、マルトオリゴ糖が0.5g以上になるように添加し、生卵黄換算で1gの卵黄液に対し、ホスホリパーゼA2が6単位以上になるように添加すると、本発明の効果が顕著に現れた(実施例1)。
また、微生物由来のホスホリパーゼA2を添加した方が、ふっくらとしたボリュームを有するパンが得られ易いことが理解でき、さらに、風味の点で優れたパンが得られ易かった(実施例1)。
【0038】
[比較例4]
実施例1において、マルトオリゴ糖の混合物を4’-ガラクトシルラクトース(商品名:オリゴメイト55N、ヤクルト薬品工業(株)製)に変更し、実施例1と同様の製造方法により比較例4のパンを製造した。
【0039】
[比較例5]
実施例1において、マルトオリゴ糖の混合物をα―シクロデキストリン((株)シクロケム製)に変更し、実施例1と同様の製造方法により比較例5のパンを製造した。
【0040】
[比較例6]
実施例1において、マルトオリゴ糖の混合物をイソマルトトリオース(商品名:日食パノッチ、日本食品化工(株)製)に変更し、実施例1と同様の製造方法により比較例6のパンを製造した。
【0041】
[試験例2]
糖の種類の違いによる、パンのボリュームに与える影響について調べた。
つまり、実施例1、及び比較例4乃至6で製したそれぞれのパンを喫食して比較例1で製したパンを基準に滑らかさについて評価した。
【0042】
【表2】
【0043】
[実施例5]
実施例1において、マルトオリゴ糖の混合物の添加量は変更せずに、組成を、グルコース10%、マルトヘキサオース40%、マルトヘプタオース50%に変更し、実施例1と同様の製造方法により実施例5のパンを製造した。
得られたマルトオリゴ糖の混合物は、平均重合度6である。
【0044】
[実施例6]
実施例1において、マルトオリゴ糖の混合物の添加量は変更せずに、組成を、マルトース3%、マルトトリオース85%、マルトテトラオース3%、マルトペンタオース9%に変更し、実施例1と同様の製造方法により実施例6のパンを製造した。
得られたマルトオリゴ糖の混合物は、平均重合度3である。
【0045】
[実施例7]
実施例1において、マルトオリゴ糖の混合物の添加量は変更せずに、組成を、マルトース3%、マルトトリオース46%、マルトテトラオース3%、マルトペンタオース48%に変更し、実施例1と同様の製造方法により実施例7のパンを製造した。
得られたマルトオリゴ糖の混合物は、平均重合度4である。
【0046】
[実施例8]
実施例1において、マルトオリゴ糖の混合物の添加量は変更せずに、組成を、マルトース3%、マルトトリオース45%、マルトテトラオース28%、マルトペンタオース24%に変更し、実施例1と同様の製造方法により実施例8のパンを製造した。
得られたマルトオリゴ糖の混合物は、平均重合度4である。
【0047】
[実施例9]
実施例1において、マルトオリゴ糖の混合物の添加量は変更せずに、組成を、マルトース28%、マルトトリオース44%、マルトテトラオース28%に変更し、実施例1と同様の製造方法により実施例9のパンを製造した。
得られたマルトオリゴ糖の混合物は、平均重合度3である。
【0048】
[実施例10]
実施例1において、マルトオリゴ糖の混合物の添加量は変更せずに、組成を、マルトース28%、マルトトリオース45%、マルトテトラオース3%、マルトヘプタオース24%に変更し、実施例1と同様の製造方法により実施例10のパンを製造した。
得られたマルトオリゴ糖の混合物は、平均重合度3である。
【0049】
[試験例3]
マルトオリゴ糖の組成の違いによる、パンのボリュームに与える影響について調べた。
つまり、実施例1、及び5乃至10で製したそれぞれのパンを喫食して比較例1で製したパンを基準にボリュームについて評価した。
【0050】
【表3】
【0051】
表3より、マルトオリゴ糖が、平均重合度2以上5以下のマルトオリゴ糖の混合物である方が、ふっくらとしたボリュームを有するパンが得られ易いことが理解できる(実施例1、及び6乃至10)
また、マルトオリゴ糖の組成が、マルトース30%以下、マルトトリオース40%以上、マルトテトラオース30%以下になるように含有した方が、ふっくらとしたボリュームを有するパンが得られ易いことが理解できる(実施例1、及び6乃至10)
特に、マルトオリゴ糖の組成が、マルトース5%以上25%以下、マルトトリオース50%以上80%以下、マルトテトラオース5%以上25%以下になるように含有した方が、本発明の効果が顕著に現れた(実施例1)
【0052】
[調製例1]
乾燥卵黄15.3g(固形分95%、キユーピー(株)製)、マルトオリゴ糖の混合物160g(平均重合度3、マルトース8%、マルトトリオース75%、マルトテトラオース15%、マルトペンタオース2%)、及びホスホリパーゼA2(微生物由来、酵素活性:100,000−120,000U/g、ナガセケムテックス(株)製)400単位を混合し、175gの乾燥卵黄調整品1を調整した。
得られた乾燥卵黄調整品1における、乾燥卵黄のリゾ化率は2%であった。
【0053】
[調製例2]
卵黄液34g(固形分45%、キユーピー(株)製)、マルトオリゴ糖の混合物160g(平均重合度3、マルトース8%、マルトトリオース75%、マルトテトラオース15%、マルトペンタオース2%)、及びホスホリパーゼA2(微生物由来、酵素活性:100,000−120,000U/g、ナガセケムテックス(株)製)400単位を混合した後、速やかにスプレードライによって乾燥させ、175gの乾燥卵黄調整品2を調整した。
得られた乾燥卵黄調整品2における、乾燥卵黄のリゾ化率は9%であった。
【0054】
[実施例11]
実施例1において、生卵黄、マルトオリゴ糖の混合物、及びホスホリパーゼA2の代わりに、調整例1で得られた乾燥卵黄調整品1を17.5g添加し、実施例1と同様の製造方法により実施例11のパンを製造した。
【0055】
[配合表2]
(強力粉100gに対する質量(g))
強力粉 100g
清水 57g
乾燥卵黄調整品1 17.5g
マーガリン 8g
脱脂粉乳 2g
生イースト 2g
食塩 1.5g
【0056】
[実施例12]
実施例11において、調製例1で得られた乾燥卵黄調整品1を、調整例2で得られた乾燥卵黄調整品2に変更し、実施例11と同様の製造方法により実施例12のパンを製造した。
【0057】
[比較例7]
実施例11において、調整例1で得られた乾燥卵黄調整品1を添加せず、実施例11と同様の製造方法により比較例7のパンを製造した。
【0058】
[試験例4]
乾燥卵黄調整品添加の有無、及び乾燥卵黄のリゾ化率の違いによる、パンのボリュームに与える影響について調べた。
つまり、実施例11及び12、比較例7で製したそれぞれのパンを喫食して比較例1で製したパンを基準にボリュームについて評価した。
【0059】
【表4】
【0060】
表4より、リゾ化率10%以下の乾燥卵黄、マルトオリゴ糖、及び酵素活性を有するホスホリパーゼA2を含有する乾燥卵黄調整品を添加しないと、ふっくらとしたボリュームを有するパンが得られないことが理解できる(実施例11及び12)。
特に、リゾ化率8%以下の乾燥卵黄、マルトオリゴ糖、及び酵素活性を有するホスホリパーゼA2を含有する乾燥卵黄調整品を添加すると、本発明の効果が顕著に現れた(実施例11)。