(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ペースト状の成分と、目開き710μmの篩を通過しない固形具材とを含み、水分含量が84.2重量%以上であり、前記固形具材の含有量が12.8〜21.3重量%であり、前記ペースト状の成分と前記固形具材とが絡み合った形態で流動性を有し、Bostwick粘度測定器により測定された粘度が15.0cm/分であることを特徴とするペットフード。
ペースト状の成分と、目開き710μmの篩を通過しない固形具材とを含み、水分含量が84.2重量%以上であり、前記固形具材の含有量が12.7〜20.4重量%であり、前記ペースト状の成分と前記固形具材とが絡み合った形態で流動性を有し、Bostwick粘度測定器により測定された粘度が11.5cm/分であることを特徴とするペットフード。
ペースト状の成分と、目開き710μmの篩を通過しない固形具材とを含み、水分含量が84.2重量%以上であり、前記固形具材の含有量が14.0重量%または21.9重量%であり、前記ペースト状の成分と前記固形具材とが絡み合った形態で流動性を有し、Bostwick粘度測定器により測定された粘度が9.0cm/分であることを特徴とするペットフード。
ペースト状の成分と、目開き710μmの篩を通過しない固形具材とを含み、水分含量が84.2重量%以上であり、前記固形具材の含有量が12.8〜21.3重量%であり、固体成分の充填量が11.1〜15.8重量%であり、前記ペースト状の成分と前記固形具材とが絡み合った形態で流動性を有し、Bostwick粘度測定器により測定された粘度が15.0cm/分であることを特徴とするペットフード。
ペースト状の成分と、目開き710μmの篩を通過しない固形具材とを含み、水分含量が84.2重量%以上であり、前記固形具材の含有量が12.7〜20.4重量%であり、固体成分の充填量が10.8〜15.5重量%であり、前記ペースト状の成分と前記固形具材とが絡み合った形態で流動性を有し、Bostwick粘度測定器により測定された粘度が11.5cm/分であることを特徴とするペットフード。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、特許文献1に開示されたように油中でフライ処理することにより、ペットフードの風味を調整したり、特許文献2に開示されたように、ペットフード粒の形状を工夫する技術が知られている。しかし、フライ処理ではペットフードが高カロリーになってしまう問題があり、粒の形状を工夫した場合には食べ残す問題があった。
近年ではペットフードにおいても健康志向が高まっており、ペットの健康に良く、且つペットの嗜好性に優れたペットフードが望まれている。また、ペットの健康を維持するうえで、ペットに充分な栄養と水分を摂取させることも望まれている。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、栄養バランスのよい原材料を配合し、ペットの健康に配慮し、ペットの食いつきが優れたペットフードの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)ペースト状の成分と、目開き710μmの篩を通過しない固形具材とを含み、水分含量が84.2重量%以上であり、前記固形具材の含有量が12.8〜21.3重量%であり、前記ペースト状の成分と前記固形具材とが絡み合った形態で流動性を有し、Bostwick粘度測定器により測定された粘度が
15.0cm/分であることを特徴とするペットフード。
(2)ペースト状の成分と、目開き710μmの篩を通過しない固形具材とを含み、水分含量が84.2重量%以上であり、前記固形具材の含有量が12.7〜20.4重量%であり、前記ペースト状の成分と前記固形具材とが絡み合った形態で流動性を有し、Bostwick粘度測定器により測定された粘度が
11.5cm/分であることを特徴とするペットフード。
(3)ペースト状の成分と、目開き710μmの篩を通過しない固形具材とを含み、水分含量が84.2重量%以上であり、前記固形具材の含有量が14.0重量%または21.9重量%であり、前記ペースト状の成分と前記固形具材とが絡み合った形態で流動性を有し、Bostwick粘度測定器により測定された粘度が
9.0cm/分であることを特徴とするペットフード。
(4)ペースト状の成分と、目開き710μmの篩を通過しない固形具材とを含み、水分含量が84.2重量%以上であり、前記固形具材の含有量が12.8〜21.3重量%であり、固体成分の充填量が11.1〜15.8重量%であり、前記ペースト状の成分と前記固形具材とが絡み合った形態で流動性を有し、Bostwick粘度測定器により測定された粘度が
15.0cm/分であることを特徴とするペットフード。
(5)ペースト状の成分と、目開き710μmの篩を通過しない固形具材とを含み、水分含量が84.2重量%以上であり、前記固形具材の含有量が12.7〜20.4重量%であり、固体成分の充填量が10.8〜15.5重量%であり、前記ペースト状の成分と前記固形具材とが絡み合った形態で流動性を有し、Bostwick粘度測定器により測定された粘度が
11.5cm/分であることを特徴とするペットフード。
(6)前記固形具材が目開き10mmの篩を通過する大きさであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか一つに記載のペットフード。
(7)増粘剤を含有することを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載のペットフード。
(8)前記固形具材の50重量%以上が魚類由来であることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれか一つに記載のペットフード。
(9)固体成分の50重量%以上が魚類由来であることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれか一つに記載のペットフード。
(10)ネコ用の飼料であることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれか一つに記載のペットフード。
(11)パウチ容器に詰められていることを特徴とする前記(1)〜(10)のいずれか一つに記載のペットフード。
【発明の効果】
【0007】
本発明のペットフードによれば、栄養バランスのよい材料が食べ易い状態に調整されているため、ペットの嗜好性が向上する。また、ペットフードの原材料中に少なからず水分を含有するため、ペットフードとともに水分を摂取することができ、ペットの健康維持に資する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
《ペットフード》<第一実施形態>
本発明の第一実施形態のペットフードは、目開き710μmの篩を通過しない固形具材を含み、水分含量が80.0重量%以上であり、流動性を有する。
【0010】
ここで、「流動性を有する」とは、不定形である、容器の形状に合わせて形状を変える又は後述するBostwick粘度測定器の前記測定条件において流れる性質を有することを意味する。
【0011】
前記固形具材の大きさは、目開き710μmの篩、すなわち一辺が710μmの開口を有するメッシュ状のフィルターを通過しない大きさであれば特に制限されない。前記固形具材と、ペットフード中の液体状又はペースト状の成分との絡み具合を高めて、嗜好性及び完食率(残さずに全て食される割合)を向上させる観点から、前記固形具材の大きさは、目開き10mmの篩を通過して目開き710μmの篩を通過しない大きさが好ましく、目開き5mmの篩を通過して目開き710μmの篩を通過しない大きさがより好ましく、目開き1mmの篩を通過して目開き710μmの篩を通過しない大きさがさらに好ましい。
【0012】
目開き10mmの篩を通過する前記固形具材はペットフードの液状(スープ状)又はペースト状の成分と充分に絡まり、固形具材同士も絡み合うため、当該ペットフードの嗜好性及び完食率を向上させることができる。前記絡まり具合は、固形具材の大きさが小さくなるほど高まり、嗜好性及び完食率が一層向上する傾向がある。目開きの下限値である710μmは、680μm〜740μmの範囲で変更しても構わない。固形具材が前記下限値以上の大きさであることにより、単なる液状のスープ(ペットフード)からは得ることができない固形感のある食感が得られるため、嗜好性及び完食率が向上すると考えられる。
【0013】
ここで、前記固形具材が「目開き710μmの篩を通過しない大きさである」場合、当該固形具材は710μmよりも長い直径又は辺を有する。同様に、前記固形具材が「目開き10mmの篩を通過する大きさである」場合、当該固形具材が有する最も長い直径(差し渡しの長さ)は10mmよりも短い。
【0014】
前記固形具材が前記目開きの篩を通過するか又は篩の上に残るかを調べる方法は、第一実施形態のペットフードを当該篩に載せて、所定時間経過後に篩を通過したか又は篩の上に残ったかを調べればよい。残った分量が前記固形具材の含有量に相当する。通常、前記固形具材は水分を含有する。
前記所定時間とは、さらに時間が経過しても自然落下により篩を通過する材料が生じない程度の時間を意味し、通常0.5〜24時間で足りる。前記篩の面積は特に制限されないが、極端に小面積の篩を用いると目詰まりが発生する可能性がある。目詰まりを避けられる程度の面積を有する篩を用いればよい。篩の上に当該ペットフードを載せる場合、通常0.5cm〜5.0cm程度の厚みになるように載せることが適当である。
【0015】
第一実施形態のペットフードにおける前記固形具材の含有量(シュレッド残量)は特に制限されないが、嗜好性及び完食率を向上させる観点から、12.0〜23.0重量%が好ましく、12.5〜21.0重量%がより好ましく、13.0〜20.0重量%がさらに好ましく、13.5〜19.0重量%が特に好ましい。
【0016】
第一実施形態のペットフードの原材料は、前記固形具材の大きさ及び水分含量を実現できる原材料であれば特に制限されず、ペットフードの完全な栄養食として一般的に使用されるものが適用できる。前記原材料として、タンパク質成分の他に、炭水化物成分、ビタミン類、ミネラル類、塩類、脂肪、油、動物食材のエキス(抽出物)等を添加しても構わない。
【0017】
第一実施形態のペットフードの原材料に含まれるタンパク質成分として、マグロ、イワシ、カツオ等の魚類、又はウシ、ブタ、ニワトリ等の家畜を使用する場合、これらの原材料は予め公知方法によって、加熱若しくは調理されていても構わない。
【0018】
第一実施形態のペットフードに含まれる固体成分の充填量(フィルウェイト(Fill Weight))(以下、単に「FW」と呼ぶ。)は特に制限されないが、ペットフードに充分な栄養を含有させ、ペットの嗜好性を向上させる観点から、10.0〜18.0重量%が好ましく、10.5〜16.0重量%がより好ましく、11.0〜15.0重量%がさらに好ましく、12.0〜14.0重量%が特に好ましい。
【0019】
本発明において、FW(フィルウェイト)とは、ペットフードの単位重量あたりに含まれる固体成分の含有率(単位:重量%)を意味する。前記固体成分とは、特定の形状を有する固形の成分(固形具材)を意味するのではなく、ペットフードから水分を蒸発させて残留した固体成分を意味する。つまり、FWとは、ペットフードの全重量のうち、水分を除く全固体成分の重量が占める割合である。よって、前記固体成分の重量は、ペットフード中に固形物として含まれる具材(固形具材)に限らず、液状に溶解した具材又はペースト状に潰された具材の重量も含む重量である。
【0020】
第一実施形態のペットフードの粘度は特に制限されないが、Bostwick粘度測定器により測定された粘度が9.0〜16.0cm/分であることが好ましい。この条件を満たすペットフードはとても食べ易いため、ペットの嗜好性及び完食率を向上させることができる。
【0021】
Bostwick粘度測定器(Bostwick Consistmeter)は、食品の粘度(consistency)を測定するための機器として食品業界において周知である。外観を
図1に示す。測定方法は次の通りである。まず、ゲート1を下ろした状態(
図1(a))において、所定量の試料を上流部2に注ぐ。次に、レバー3を回してゲート1を上げると同時に時間計測を開始する。ゲート1を上げることにより、上流部2から開口部6を通過して下流部4へ向かって試料2が流れ出す(
図1(b))。所定時間経過時において、流れた試料の先端が到達した距離を測定する。
【0022】
本発明においては、以下の条件で測定した値を示している。
前記測定器を水平な台の上に設置し、高さ調節ネジ5を調整することにより、滑り台である下流部4を水平に対して1度傾いた状態に設定した。下流部4及び上流部2の幅は5cmである。測定は、試料温度25℃、室温25℃の条件で行った。試料92.5mlを上流部2に注ぎ、ゲート1の開門後、1分経過時の試料の先端部が到達した距離を測定した。ゲート1の位置が基準(0.0cm)であり、0.5cm刻みで測定した。
【0023】
前記粘度は、9.0〜16.0cm/分の範囲であれば特に制限されないが、ペットの嗜好性を向上させる観点から、9.5〜15.5cm/分が好ましく、10.0〜15.5cm/分がより好ましく、10.5〜15.5cm/分がさらに好ましく、11.0〜15.5cm/分が特に好ましく、11.5〜15.0cm/分が最も好ましい。
【0024】
前記水分含量は、80.0重量%以上であれば特に制限されないが、ペットの嗜好性を向上させ、ペットの水分摂取量を増大させる観点から、84.0〜90.0重量%が好ましく、85.0〜89.5重量%がより好ましく、86.0〜89.0重量%がさらに好ましい。
【0025】
《ペットフードの製造方法》
本発明の第一実施形態のペットフードを製造する方法は特に制限されず、例えば、粘度を調整するために、原材料として増粘剤を添加してもよい。
前記増粘剤としては、例えば、グアーガム、澱粉、カラギーナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム等の多糖類が挙げられる。
【0026】
第一実施形態のペットフードの栄養価を高める観点から、ペットフードの水分を除いた固体成分の重量(FW)のうち、例えば50重量%以上又は50〜99重量%がタンパク質成分である構成を採用することができる。また、FWのうち、例えば50重量%以上又は50〜99重量%が魚類由来の成分である構成を採用することもできる。これらの構成であると、ネコに対する嗜好性を向上させることができる。
【0027】
第一実施形態のペットフードがネコに与えることに適したペットフードであることをペットの飼い主に伝えるために、第一実施形態のペットフードを包装して販売する際に、ネコに適したペットフードである旨を前記包装に表示して販売することができる。
【0028】
第一実施形態のペットフードは、例えば、タンパク質成分及び水を混合し、必要に応じて増粘剤を添加することにより製造することができる。混合の方法は特に制限されず、ミキサー又はミンサーを用いた公知方法が適用可能であり、均一に混合できる方法を採用することが好ましい。タンパク質成分は、予めミンチ状にミキシング(加工)してから他の原材料と混合することにより、各原材料をより均一に混合できる。混合後に、ペットフードの一部がペースト状になっていても構わない。ペースト状のペットフード中に、前記固形具材が分散していてもよい。ペットフード中の原材料が均一に混合されていること又はペットフードの一部がペースト状であることにより、ペットが当該ペットフードの一部分だけ又は一部の原材料のみを食する事を抑制し、完食率を向上させることができる。
【0029】
ここで、「ペースト状である」とは、少なくとも、流動性を有し、且つ、水よりも高い粘度(粘性)を有する状態であることを意味する。当該粘度としては、前述のBostwick粘度測定器で測定した場合に、例えば9.0〜16.0cm/分である状態が挙げられる。第一実施形態のペットフードの一部がペースト状である場合、当該ペースト状の部分(成分)には、710μmの篩を通過する極微小の固形具材が含有されていてもよい。
【0030】
原材料を混合する時間及び温度は適宜設定することが可能である。混合時間を調整することにより、前記固形具材の大きさ及びペットフードの粘度を調整することができる。また、混合する水の量を調整することにより、ペットフードの粘度及び水分含量を調整することができる。ペットフードの粘度は、増粘剤の配合量によっても調整することができる。また、ペットフードを構成する全材料の重量に対する、固体成分を含有する材料の重量を調整することにより、FWを調整することができる。
【0031】
第一実施形態のペットフードは、固形具材と液体状のスープとが分離した形態ではなく、前述した水分含量を有するペースト状の成分と固形具材とが絡み合った形態であることが好ましい。仮に、スープと固形具材とが分離した形態であると、スープだけが食されて固形具材が残されてしまう可能性が高い。さらに、スープにゼラチンを含ませて固化させたゼリー状(ゲル状)のスープと固形具材とからなるペットフードにおいても、同様の問題がある。すなわち、ゼリー状スープと固形具材とが実質的には分離しているため、ゼリー状スープだけが食されて固形具材が残されてしまう可能性が高い。
このような問題を踏まえ、第一実施形態のペットフードは、スープ成分と固形具材とが分離した形態ではなく、前述した水分含量を有するペースト状の形態(成分)を少なくとも一部に有することが好ましい。さらに、前記ペースト状の形態を含むペットフードの粘度が前述した特定の粘度であることがより好ましい。これらのペースト状の成分を有することにより、固形具材がペースト状の成分と絡み合う形態となるため、ペースト状の成分と合わせて固形具材がペットの口中に運ばれる。この結果、第一実施形態のペットフードの完食率を一層向上させることができる。前記ペースト状の成分には、原材料の一部が潰されたり溶解された成分が含まれていてもよい。
【0032】
第一実施形態のペットフードは、密閉容器中で真空保存されても構わない。この際、従来公知のレトルト食品等に適用されるパウチ加工(ラミネート加工)されたパウチ容器中に保存されてもよい。容器中に保存するペットフードの量は、例えば一食分程度を小分けにして個々の容器に保存してもよいし、多食分(例えば3食分)をまとめて大容量の容器に保存しても構わない。また、長期保存を可能にする観点から、パウチ容器にペットフードを充填後、従来公知の加熱処理又は加圧処理によって殺菌処理を施してもよい。
【0033】
第一実施形態のペットフードを金属製の缶又はプラスチック製のカップ容器に入れて保存しても構わないが、前記パウチ容器に入れて真空保存することが好ましい。パウチ容器は柔軟な容器であるため、第一実施形態のペットフードを容易に容器外に取り出すことができる。この際、パウチ容器を扱いて(絞って)ペットフードを容器外に取り出すことにより、第一実施形態のペットフードを構成する固形具材が容器内に残留することを避けることができる。当該固形具材は比較的微小な形状であるため、缶やカップ容器内に残留した場合、これを取り出す際に手数(手間)がかかってしまう。パウチ容器を用いることによりこの問題を解決することができる。一般に、缶やカップ容器内に入ったままのペットフードをペットに与えても、容器の口が狭いために食べ難く、ペットフードが食べ残されてしまうことが多い。このため、ペットフードを容器から取り出し易いことは重要である。また、ペットフードを取り出した後の容器が廃棄し易いことも重要であるが、パウチ容器は嵩張らないため廃棄し易い。
【0034】
第一実施形態のペットフードは、植物以外の動物であれば好んで食するものであり、猫及び犬が好むものであり、特に猫に好まれる。
【0035】
本明細書および特許請求の範囲において、「ペット」とは人に飼育されている動物をいう。より狭義の意味では、ペットは飼い主に愛玩される動物である。また、「ペットフード」とは、ペット用の飼料をいう。本発明にかかるペットフードを「動物用飼料」又は「動物の餌」として販売することが可能である。
【実施例】
【0036】
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下、「%」は「重量%」を意味する。
【0037】
[ペットフードの製造]
表1に示す配合率で、マグロと、グアーガムを含む増粘剤と、動物性エキス及び水とを粉砕機で粉砕し、ミキサーで均一に混合することにより、各試験例のペットフードを製造した。各ペットフードの固形具材1の含有量、粘度、FW、水分含量を表1に示す。
【0038】
表1中、固形具材1は、目開き1mmのフィルターを通過し目開き710μmのフィルターを通過しない固形具材の含有量(単位:重量%)を意味する。各固形具材の大きさは、ペットフード中に含まれる状態における大きさである。
【0039】
表1中、粘度はBostwick粘度測定器(型番:CSC 24925-000,シーエスシー・サイエンティフィック社製)を用いて、前述した条件により測定した値(単位:cm/分)である。FWは、下記式(1)で表される量である。
FW=(ペットフードから水分を蒸発させて得られる固体成分の重量)/(元のペットフードの重量)×100(%) ・・・(1)
また、ペットフードの水分含量は、100−FW(%)である。
水分含量及びFWの測定には、定温乾燥器(型番:DS400,ヤマト科学株式会社製)を用いた。
【0040】
[比較例の製造]
比較例1のペットフードを次のように製造した。比較例1は流動性のないゼリー状(固形状)であるため、粘度は0cm/分であった。
まず、マグロを5〜10mmのフレーク状となるようにサイズを調整し、増粘剤と混合して具材を得た。次に、水、増粘剤、動物性エキス及びコーンスターチを混合してゼリー用増粘剤を得た。続いて、パウチ容器に具材とゼリー用増粘剤を充填して、シールし、加熱・加圧・殺菌処理をした。
比較例1の配合率、固形具材1の含有量、粘度、FW、水分含量を表1に示す。比較例1のFW及び水分含量は未測定であるため記載していない。
【0041】
【表1】
【0042】
[嗜好性の評価]
製造した各ペットフードの猫に対する嗜好性を以下の方法により評価した。
結果を表2に併記する。表2中、「数値A:数値B」の表記は、数値Aが各試験例に対する嗜好性の高さ(程度)を示し、数値Bが比較例に対する嗜好性の高さ(程度)を表す。数値A+数値B=100である。数値Aが61以上である場合は当該試験例に対する嗜好性が高い(○)と評価した。数値Aが50〜61未満である場合は当該試験例に対する嗜好性は従来と同程度(△)であると評価した。数値Aが50未満である場合は当該試験例に対する嗜好性は従来よりも劣る(×)と評価した。
【0043】
嗜好性の評価方法は次の通りである。
まず、各試験例1〜16と比較例とを組み合わせた、合計16組のペットフードを準備した。各組について、20頭の猫をモニターとして2日間でテストした。
第1日は、各組のペットフードのうち、一方を左から、他方を右から、猫1頭に対して40gずつ同時に給与し、猫が食べた量を1時間後に測定した。
当該猫1頭が第1日に食べた合計のペットフードの重量のうち、試験例のペットフードの摂食量と比較例のペットフードの摂食量を百分率で求めた。モニターである20頭の猫から得られた百分率を平均して、第1日の結果とした。
第2日は、各組のペットフードのうち、一方を右から、他方を左から、猫1頭に対して40gずつ同時に給与し、猫が食べた量を1時間後に測定した。
当該猫1頭が第2日に食べた合計のペットフードの重量のうち、試験例のペットフードの摂食量と比較例のペットフードの摂食量を百分率で求めた。モニターである20頭の猫から得られた百分率を平均して、第2日の結果とした。
最後に、第1日と第2日の結果を平均して、最終結果である摂食量の比(嗜好性)を求めた。この嗜好性の数値が高い程、モニターである猫が好んで摂食したことを示す。
【0044】
[完食率の評価]
嗜好性の評価と合わせて、完食率についても評価した。上記テストにおいて、下記式(2)により、完食率を評価した。
完食率=(各ペットフードが完食された回数)/(各ペットフードが提供された回数)×100 ・・・(2)
この結果、嗜好性の高い試験例の完食率は比較例1よりも完食率が高い傾向が見られた。
【0045】
以上の結果から、試験例1,3〜7,9〜14,16は、比較例と同等以上の嗜好性を有し、完食率が向上していたことから、従来のペットフード(比較例)よりも優れていることが理解される。
【0046】
また、粘度が9.0cm/分であり、且つFWが15.8重量%である試験例3において、特に嗜好性が向上していた。この結果から、粘度が9.0〜9.5cm/分であり、且つ固体成分の充填量が15.0〜16.5重量%である場合に嗜好性が一層向上することが理解される。
また、粘度が11.5cm/分であり、且つFWが12.0〜13.7重量%である試験例5,6において、特に嗜好性が向上していた。この結果から、粘度が11.0〜12.0cm/分であり、且つ固体成分の充填量が12.0〜14.0重量%である場合に嗜好性が一層向上することが理解される。
また、粘度が15.0cm/分であり、且つFWが11.1〜12.7重量%である試験例9〜11において、特に嗜好性が向上していた。この結果から、粘度が14.5〜15.5cm/分であり、且つ固体成分の充填量が10.8〜13.0重量%である場合に嗜好性が一層向上することが理解される。
【0047】
また、表1から、以下のことが理解される。
粘度が9.0cm/分であり、且つ固形具材1の含有量が21.9重量%である試験例3において、特に嗜好性が向上していた。この結果から、粘度が9.0〜9.5cm/分であり、且つ固形具材1の含有量が21.0〜23.0重量%である場合に嗜好性が一層向上することが理解される。
また、粘度が11.5cm/分であり、且つ固形具材1の含有量が13.6又は18.6重量%である試験例5,6において、特に嗜好性が向上していた。この結果から、粘度が11.0〜12.0cm/分であり、且つ固形具材1の含有量が13.0〜19.0重量%である場合に嗜好性が一層向上することが理解される。
また、粘度が15.0cm/分であり、且つ固形具材1の含有量が12.8、13.7、又は18.0重量%である試験例9〜11において、特に嗜好性が向上していた。この結果から、粘度が14.5〜15.5cm/分であり、且つ固形具材1の含有量が12.0〜20.0重量%である場合に嗜好性が一層向上することが理解される。
【0048】
以上で説明した各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は各実施形態によって限定されることはなく、請求項(クレーム)の範囲によってのみ限定される。