特許第6203380号(P6203380)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203380
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】封止組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20170914BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20170914BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20170914BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20170914BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20170914BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20170914BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   C08L101/00
   H01L21/56 J
   H01L23/30 F
   H05B33/14 A
   H05B33/04
   H05B33/10
【請求項の数】14
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-511693(P2016-511693)
(86)(22)【出願日】2014年7月21日
(65)【公表番号】特表2016-520138(P2016-520138A)
(43)【公表日】2016年7月11日
(86)【国際出願番号】KR2014006605
(87)【国際公開番号】WO2015009129
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2015年10月28日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0085591
(32)【優先日】2013年7月19日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0085663
(32)【優先日】2013年7月19日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】スン・ミン・イ
(72)【発明者】
【氏名】スク・キ・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ス・パク
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン・ジ・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・スプ・シム
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ギュン・チョ
(72)【発明者】
【氏名】キュン・ユル・ペ
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン・スク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・オク・ムーン
【審査官】 三原 健治
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−511605(JP,A)
【文献】 特開2006−008819(JP,A)
【文献】 特表2015−528023(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/062167(WO,A1)
【文献】 特開2008−248055(JP,A)
【文献】 特表2011−513502(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/073902(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
H01L
H05B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソブチレン樹脂である第1樹脂;
アルキル(メト)アクリレートおよび少なくとも一つの反応性官能基を持つ単量体を含む混合物の重合体である第2樹脂;及び
イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、アジリジン架橋剤および金属キレート架橋剤からなる群から選択された一つ以上の多官能性架橋剤を含む、封止組成物であって、
前記封止組成物はエポキシ樹脂を含まず、
前記反応性官能基を持つ前記単量体は、ヒドロキシ基含有単量体、カルボキシル基含有単量体、エポキシ基含有単量体または窒素含有単量体を含み、
前記アルキル(メト)アクリレートは下記の化学式1を満足し、
前記第2樹脂は前記第1樹脂とともに準−相互浸透重合体ネットワーク(Semi−IPN)を形成する、封止組成物:
【化1】
前記化学式1で、Rは水素または炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは炭素数3〜30の直鎖、分枝鎖または環状アルキル基を表す。
【請求項2】
第1樹脂は脱イオン水に対する接触角が80°以上である、請求項1に記載の封止組成物。
【請求項3】
第1樹脂はガラス転移温度が0℃以下である、請求項1に記載の封止組成物。
【請求項4】
前記反応性官能基を持つ前記単量体は、ヒドロキシ基含有単量体、カルボキシル基含有単量体または窒素含有単量体を含む、請求項1に記載の封止組成物。
【請求項5】
前記反応性官能基を持つ前記単量体は、ヒドロキシ基含有単量体である、請求項1に記載の封止組成物。
【請求項6】
第2樹脂は第1樹脂100重量部に対して1〜50重量部で含まれる、請求項1に記載の封止組成物。
【請求項7】
第2樹脂の溶解度パラメーターと第1樹脂の溶解度パラメーターとの差は1(cal/cm1/2以下である、請求項1に記載の封止組成物。
【請求項8】
前記多官能性架橋剤が、イソシアネート架橋剤、アジリジン架橋剤および金属キレート架橋剤からなる群から選択される、請求項1に記載の封止組成物。
【請求項9】
前記多官能性架橋剤がイソシアネート架橋剤である、請求項1に記載の封止組成物。
【請求項10】
フィルム形態で製造された状態で、分光光度計によって測定した波長380nm〜780nmの可視光線領域に対する光透過率が80%以上である、請求項1に記載の封止組成物。
【請求項11】
水分吸着剤をさらに含む、請求項1に記載の封止組成物。
【請求項12】
請求項1に記載された封止組成物から形成された封止層を含む、封止フィルム。
【請求項13】
基板;前記基板上に形成された有機電子装置;および前記有機電子装置を封止する請求項12に記載された封止フィルムを含む、有機電子装置封止製品。
【請求項14】
上部に有機電子装置が形成された基板に請求項12に記載された封止フィルムの封止層が前記有機電子装置をカバーするように適用することを含む、有機電子装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は封止組成物、これを含む封止フィルム、有機電子装置封止製品および有機電子装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機電子装置(OED;organic electronic device)は、正孔及び電子を利用して電荷の交流を発生させる有機材料層を含む装置を意味し、その例としては、光電池装置(photovoltaic device)、整流器(rectifier)、トランスミッタ(transmitter)及び有機発光ダイオード(OLED;organic light emitting diode)などが挙げられる。
【0003】
前記有機電子装置のうち有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)は、既存の光源に比べて、電力消耗量が少なく、応答速度が速く、表示装置または照明の薄型化に有利である。また、OLEDは、空間活用性に優れていて、各種携帯用機器、モニタ、ノートパソコン及びテレビをはじめとする多様な分野において適用されるものと期待されている。
【0004】
OLEDの商用化及び用途の拡大において、最も主要な問題点は、耐久性の問題である。OLEDに含まれた有機材料及び金属電極などは、水分などの外的要因によって非常に容易に酸化される。したがって、OLEDを含む製品は、環境的要因にごく敏感である。このため、OLEDなどのような有機電子装置に対する外部からの酸素または水分などの浸透を効果的に遮断するための多様な方法が提案されている。
【0005】
特許文献1は、接着性カプセル化組成物フィルム及び有機電界発光素子であって、PIB(polyisobutylene)を基盤とした粘着剤であり、加工性および高温高湿の条件での信頼性に欠けている。
【0006】
したがって、有機電子装置の要求寿命を確保し、水分の浸透を効果的に遮断しながら、高温高湿の条件における信頼性を維持でき、光学特性も優れている封止材の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第2008−0088606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は封止組成物、これを含む封止フィルム、有機電子装置封止製品および有機電子装置の製造方法を提供する。具体的には、本発明は有機電子装置の要求寿命を確保し、水分の浸透を効果的に遮断しながら、高温高湿の条件における信頼性を維持でき、光学特性も優れている封止組成物及びこれを含む封止フィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明の各具現例をより具体的に説明する。また、本発明を説明するにあたって、関連した公知の汎用的な機能または構成に対する詳細な説明は省略する。また、添付された図面は本発明の理解を助けるためのものであり、本発明をより明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、図面において複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示しており、本発明の範囲は図面に表示された厚さ、大きさ、比率などによって制限されるものではない。
【0010】
本発明は封止組成物に関するものである。本発明の具体例において、封止組成物は透湿度が50g/m・day以下である第1樹脂および反応性官能基を持つ第2樹脂を含むことができる。また、前記第2樹脂は第1樹脂とともに準−相互浸透重合体ネットワーク(semi−IPN、Semi−Interpenetrating Polymer Network)を形成することができる。前記透湿度は第1樹脂を100μm厚さのフィルムに製造して100゜Fおよび100%の相対湿度下で厚さ方向で測定された透湿度であり得る。
【0011】
前記封止組成物は例えば、OLEDなどのような有機電子装置を封止またはカプセル化することに適用することができる。一実施例において、前記封止組成物は有機電子装置を封止することに用いることができる単層あるいは多層構造の封止層を構成することができる。多層構造で形成される場合、前述した封止組成物を含む封止層を少なくとも一つ含むことができ、追加的に粘着剤層または接着剤層を含むことができる。追加的に含まれる粘着剤層または接着剤層を構成する素材は特に限定されず、水分吸着剤を含むか含まないこともある。
【0012】
本明細書において、用語「封止層」とは、封止組成物から形成された接着層、粘着層または粘接着層を意味する。したがって、封止組成物は封止層を構成する成分を意味することもある。前記粘接着層は常温では固相(solid)または半固相(semi−solid)を維持して、熱を加えると流れ性が発生して気泡なしに被着体を付着させることができ、固化した後には接着剤で対象物を強固に固定させることができる形態の接着層を意味する。
【0013】
本明細書において、用語「有機電子装置」とは、互いに対向する一対の電極間に正孔及び電子を利用して電荷の交流を発生させる有機材料層を含む構造を持つ物品または装置を意味し、その例としては、光電池装置、整流器、トランスミッタ及び有機発光ダイオード(OLED)などが挙げられるが、これに制限されるものではない。本発明の一実施例において前記有機電子装置はOLEDであり得る。
【0014】
一実施例において、前述した通り、封止組成物の透湿度が50g/m・day以下である第1樹脂および反応性官能基を持つ第2樹脂は準−相互浸透高分子ネットワーク(Semi−Interpenetrating Polymer Network、以下、Semi−IPN)を形成することができる。本明細書において、用語「Semi−IPN」は、一つ以上の高分子架橋構造(polymer network)及び一つ以上の線型または分枝型高分子を含み、前記線型または分枝型高分子の少なくとも一部は前記高分子架橋構造に浸透している構造を持つ。Semi−IPNは、化学的結合の損失無しで前記線型または分枝型高分子を理論的には前記高分子架橋構造から分離することができるという点でIPN構造と区別することができる。一実施例において、反応性官能基を持つ第2樹脂は架橋構造を形成し、第1樹脂が前記第2樹脂の架橋構造に浸透して、準−相互浸透高分子ネットワークを形成することができる。
【0015】
一具体例において、前記架橋構造は熱の印加により形成された架橋構造、活性エネルギー線の照射により形成された架橋構造または常温でエージング(aging)により形成された架橋構造であり得る。前記において、「活性エネルギー線」の範疇には、マイクロ波(microwaves)、赤外線(IR)、紫外線(UV)、X線及びガンマ線はもちろん、アルファ(α)−粒子線(alpha−particle beam)、プロトンビーム(proton beam)、ニュートロンビーム(neutron beam)または電子線(electron beam)のような粒子ビームなどを含むことができ、通例的には紫外線または電子線などであり得る。前記のようなSemi−IPN構造を導入することによって、封止組成物の加工性能のような機械的物性を高め、耐湿接着性能を改善し、透明性を実現して、これまで得ることのできなかった、高い水分遮断性能および優秀なパネル寿命を実現することができる。
【0016】
本発明の具体例において、封止組成物は前述した通り、透湿度(WVTR;Water Vapor Transmission Rate)が50g/m・day以下、45g/m・day、40g/m・day、35g/m・dayまたは30g/m・day以下である第1樹脂を含むことができる。前記透湿度は前記第1樹脂を100μm厚さのフィルム形態で製造して、100゜Fおよび100%の相対湿度下で前記フィルムの厚さ方向で測定した透湿度であり得る。第1樹脂を含む封止組成物で形成されたフィルムの透湿度を前記の通りに制御することによって、本発明の封止組成物は優秀な水分遮断性を表すフィルムを提供することができる。第1樹脂の透湿度は低いほど優秀な水分遮断性を示し得るものであるため、その下限は特に限定されない。例えば、封止層の透湿度の下限は、0g/m・dayまたは1g/m・dayであり得る。
【0017】
一実施例において、前記第1樹脂は脱イオン水に対する接触角が80°以上、85°以上、90°以上または95°以上であり得る。前記接触角は、前記第1樹脂を適宜の溶剤に溶解させて製造した、固形分が約15wt%程度の溶液をガラスにコーティングした後、乾燥して膜を形成して、約25℃程度で前記コーティング膜に脱イオン水を滴下させて測定した接触角であり、前記過程を10回繰り返して測定した接触角の平均であり得る。接触角の測定と関連した細部事項は実施例を参照することができる。封止組成物を形成する樹脂の接触角を前記の通りに調節することによって、水分遮断性および耐久性の優秀なフィルムを提供することができる。前記成分の接触角の上限は特に制限されず、例えば、150°以下または120°以下であり得る。
【0018】
第1樹脂は前述した接触角および透湿度の範囲を満足することによって、水分遮断性、撥水性などが優秀なフィルムを形成することができる。封止組成物を形成する第1樹脂としては、前述した接触角または透湿度を満足させるものであれば、特に制限はなく、当業界に知られた樹脂を用いることも可能である。また、前記接触角および透湿度を満足しないものであっても組合によって前記接触角および透湿度を満足させるのであれば、封止組成物として用いることができる。
【0019】
一実施例に係る封止組成物で、第1樹脂はガラス転移温度が0℃以下、5℃未満、−10℃未満、−30℃未満、−50℃未満または−60℃未満であり得る。前記ガラス転移温度とは、照射量約1J/cm以上の紫外線を照射した後のガラス転移温度;または紫外線の照射後、さらに熱硬化を進行した後のガラス転移温度を意味することもある。
前記第1樹脂は前述した接触角または透湿度を満足するものであれば、特に制限なく公知の素材を用いることができる。例えば、第1樹脂はスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、熱可塑性エラストマー、ポリオキシアルキレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ふっ素樹脂またはこれらの混合物を含むことができる。
【0020】
前記スチレン系樹脂としては、例えば、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(ABS)、アクリロニトリル−スチレン−アクリレートブロック共重合体(ASA)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン系単独重合体またはこれらの混合物が例示できる。
【0021】
前記オレフィン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン系樹脂、低密度ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、またはこれらの混合物が例示できる。
【0022】
前記熱可塑性エラストマーとしては、例えば、エステル系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、またはこれらの混合物などを用いることができる。その中のオレフィン系熱可塑性エラストマーとして、ポリブタジエン樹脂、またはポリイソブチレン樹脂などが挙げられる。
【0023】
前記ポリオキシアルキレン系樹脂としては、例えば、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリオキシエチレン系樹脂、またはこれらの混合物などが挙げられる。前記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、またはこれらの混合物などが挙げられる。前記ポリ塩化ビニル系樹脂としては、例えば、ポリビニリデンクロライドなどが挙げられる。前記炭化水素の混合物としては、例えば、ヘキサトリアコタン(hexatriacotane)またはパラフィンなどが挙げられる。
【0024】
前記ポリアミド系樹脂としては、例えば、ナイロンなどが挙げられる。前記アクリレート系樹脂としては、例えば、ポリブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。前記エポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型及びこれらの水添加物などのビスフェノール型;フェノールノボラック型やクレゾールノボラック型などのノボラック型;トリグリシジルイソシアヌレート型やヒダントイン型などの含窒素環型;脂環式型;脂肪族型;ナフタレン型、ビフェニル型などの芳香族型;グリシジルエーテル型、グリシジルアミン型、グリシジルエステル型などのグリシジル型;ジシクロペンタジエン型などのジシクロ型;エステル型;エーテルエステル型またはこれらの混合物などが挙げられる。
【0025】
前記シリコン系樹脂としては、例えば、ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。また、前記フッ素系樹脂には、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、ポリフルオリン化ビニリデン、ポリフルオリン化ビニル、ポリフルオリン化エチレンプロピレンまたはこれらの混合物などが挙げられる。
【0026】
前記で羅列した樹脂は、例えば、マレイン酸無水物などとグラフトさせて使用することもでき、羅列された他の樹脂乃至は樹脂を製造するための単量体と共重合されて使用することもでき、その他、他の化合物によって変性させて使用することもできる。前記他の化合物の例にはカルボキシル−末端ブタジエン−アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。
【0027】
一つの具体例において、第1樹脂はポリイソブチレン樹脂を含むことができる。ポリイソブチレン樹脂は疏水性を持つため、低い透湿度および低い表面エネルギーを示すことができる。また、本発明の具体例において、第1樹脂はジエン及び一つの炭素−炭素二重結合を含むオレフィン系化合物の共重合体であり得る。ここで、オレフィン系化合物はイソブチレン、プロピレンまたはエチレンなどを含むことができ、ジエンは前記オレフィン系化合物と重合可能な単量体であってもよく、例えば、1−ブテン、2−ブテン、イソプレンまたはブタジエンなどを含むことができる。すなわち、本発明の第1樹脂は、例えば、イソブチレン単量体の単独重合体;イソブチレン単量体と重合可能な他の単量体を共重合した共重合体;またはこれらの混合物などを使用することができる。一実施例において、一つの炭素−炭素二重結合を含むオレフィン系化合物及びジエンの共重合体はブチルゴムであり得る。本発明は既存のポリイソブチレン重合体が、水分透過度は低い反面、工程性、耐湿性、接着性および耐熱性が低いのでこれを補完するために多様な架橋構造を導入することによって、前記ポリイソブチレン重合体の耐湿性および耐熱性などを改善させる。
【0028】
前記第1樹脂はフィルム状に成形できる程度の重量平均分子量(Mw:Weight Average Molecular Weight)を持つベース樹脂を用いることができる。一実施例において、フィルム状に成形できる程度の重量平均分子量の範囲は約3万〜200万、10万〜150万または50万〜100万であり得る。本明細書において、用語「重量平均分子量」は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)で測定した標準ポリスチレンに対する換算数値を意味する。
【0029】
また、封止組成物の第1樹脂としては、前述した構成中の1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合には種類の異なる2種以上の樹脂を用いるか、重量平均分子量が異なる2種以上の樹脂を用い、または種類および重量平均分子量の両方とも異なる2種以上の樹脂を用いることもできる。
【0030】
本発明に係る封止組成物は前述したSemi−IPNを形成するための、架橋構造を持つ第2樹脂を含むことができる。
【0031】
前記第2樹脂は、例えば、前記第1樹脂100重量部に対して1〜50重量部、3〜50重量部、5〜50重量部、5〜50重量部、5〜40重量部、7〜35重量部、10〜30重量部または10〜25重量部で含むことがある。
【0032】
一実施例において、前記第2樹脂の溶解度パラメーターと第1樹脂の溶解度パラメーターとの差は1(cal/cm1/2以下であり得る。この場合、前記第1樹脂および第2樹脂とは、互いに相溶性が確保されてSemi−IPNを効率的に形成することができる。溶解度パラメーターの差は小さいほど優秀な相溶性を示すことができるものであるので、その下限は特に限定されない。例えば、溶解度パラメーターの差の下限は0(cal/cm1/2または0.01(cal/cm1/2であり得る。
【0033】
一実施例において、前記第2樹脂はガラス転移温度が−40℃以上、−30℃以上、−20℃以上、−10℃以上、0℃以上、10℃以上、20℃以上、30℃以上、40℃以上または50℃以上であり得る。前記のようなガラス転移温度を持つ樹脂を用いて第1樹脂の低い機械的物性を補完することができる。
【0034】
一部の実施形態において、前記第2樹脂は重合体を含むことができる。一実施例において、第2樹脂の架橋構造は適切な熱を印加してアクリル重合体および架橋剤を互いに反応させて実現することができ、または光照射による多官能性アクリレートの重合反応を通して架橋構造を実現することもできる。
【0035】
一具体例において、前記重合体は少なくとも一つのアルキル(メト)アクリレートと、重合体の骨格に沿って官能基を提供する少なくとも一つの反応性官能基を持つ単量体を含む混合物の重合体である。一実施例において、前記アルキル(メト)アクリレートは下記の化学式1を満足することができる。
【化1】
【0036】
前記化学式1において、Rは水素または炭素数1〜4、1〜3または1〜2のアルキル基であり得る。また、Rは炭素数3〜30、4〜28、5〜26、6〜24、7〜22、8〜20、9〜20または10〜20の直鎖または分枝鎖型アルキル基であり得る。前記の通りに炭素数を制御することによって、第2樹脂が架橋構造をよく形成して第1樹脂とのSemi−IPNを効率的に実現することができる。また、一実施例において、Rは炭素数3〜30、4〜28、5〜26、6〜24、6〜22または6〜20の環状アルキル基であり得る。前記の通り、第2樹脂に含まれるアルキル(メト)アクリレートを特定炭素数を持つ環状アルキル基に制御することによって、第2樹脂が架橋構造をよく形成して第1樹脂とのSemi−IPNを効率的に実現することができる。
【0037】
一部の実施形態において、アルキル(メト)アクリレートはシクロヘキシル(メト)アクリレート、2−オクチルアクリレート、アイソボルニルアクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレートまたはその組合であり得る。
【0038】
本明細書において、用語「アルキル基」とは、特に規定しない限り、炭素数1〜30、炭素数1〜25、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキル基を意味することがある。前記アルキル基は直鎖型、分枝鎖型または環状構造を持つことができ、任意的に一つ以上の置換基によって置換されていることもある。
【0039】
前記重合体はまた、反応性官能基を持つ単量体を重合単位で含むことができる。前記反応性官能基を持つ単量体はヒドロキシ基、カルボキシル基、エポキシ基含有単量体または窒素含有官能基を持つ共重合成単量体から誘導された重合単位であり得る。
【0040】
前記において、ヒドロキシ基を持つ共重合成単量体としては、前記重合体を形成する他の単量体等と共重合可能な部位とヒドロキシ基を同時に含んで、重合後、重合体にヒドロキシ基を提供できる単量体を用いることができる。このような単量体では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートまたは8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキルレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0041】
前記カルボキシル基を持つ共重合成単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル酸、アクリル酸二重体、イタコン酸、マレイン酸またはマレイン酸無水物などのようなカルボキシル基含有化合物またはその無水物などを用いることができるが、これに制限されるものではない。
【0042】
前記窒素含有共重合成単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドンおよびN−ビニルカプロラクタムなどを使用することができるが、これに制限されるものではない。
【0043】
前記重合体で前記反応性官能基を含む単量体は、アルキル(メト)アクリレート100重量部に対して0.5〜50重量部、0.5〜40重量部、1〜30重量部、2〜20重量部、3〜15重量部、または5〜10重量部を含むことができるが、これに制限されるものではない。前記の通りに含量を制御することによって、適正架橋構造を実現することができる。
【0044】
封止組成物は、多官能性架橋剤をさらに含むことができる。例えば、熱の印加を通して前記架橋剤は前記重合体と反応して架橋構造を実現することができる。
【0045】
多官能性架橋剤としては、例えばイソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、アジリジン架橋剤および金属キレート架橋剤などの架橋剤を用いることができるが、これに制限されるものではない。イソシアネート架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソボロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートまたはナフタレンジイソシアネートなどの多官能性イソシアネート化合物、あるいは前記多官能性イソシアネート化合物をトリメチロールプロパンなどのようなポリオール化合物と反応させた化合物などが挙げられる。
【0046】
エポキシ架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N、N、N’、N’−テトラグリシジルエチレンジアミンおよびグリセリンジグリシジルエーテルからなる群から選択された一つ以上が挙げられる。アジリジン架橋剤としては、N、N’−トルエン−2、4−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、N、N’−ジフェニルメタン−4、4’−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソプロタロイル−1−(2−メチルアジリジン)およびトリ−1−アジリジニルホスフィンオキシドからなる群から選択された一つ以上が例示されるが、これに制限されるものではない。
【0047】
また、金属キレート系架橋剤としては、アルミニウム、鉄、亜鉛、錫、チタン、アンチモン、マグネシウムおよび/またはバナジウムのような多価金属がアセチルアセトンまたはアセト酢酸エチルなどに配位されている化合物などが例示されるが、これに制限されるものではない。
【0048】
多官能性架橋剤は、例えば、重合体100重量部に対して0.01重量部〜10重量部または0.01重量部〜5重量部の割合で粘着剤組成物に含まれていることもある。このような範囲で封止組成物の凝集力や耐久性を優秀に維持することができる。
【0049】
他の具体例において、第2樹脂は、例えば、活性エネルギー線の照射によって重合できる多官能性の活性エネルギー線重合性化合物の重合体を含むことができる。前記化合物は、例えば、活性エネルギー線の照射による重合反応に参加できる官能基、例えば、アクリルロイル基またはメタクリロイル基などのようなエチレン性不飽和二重結合を含む官能基、エポキシ基またはオキセタン基などの官能基を2つ以上含む化合物を意味することになる。
【0050】
多官能性の活性エネルギー線重合性化合物では、例えば、多官能性アクリレート(MFA;Multifunctional acrylate)を用いることができる。
【0051】
多官能性アクリレートとしては、分子の中に2つ以上の(メタ)アクリルロイル基を持つ化合物であれば、制限なく用いることができ、例えば、1、4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペート(neopentylglycoladipate)ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバル酸(hydroxyl puivalic acid)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロフェンタニル(dicyclopentanyl)ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変成ジシクロフェンタニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変成ジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート、アリル(allyl)化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変成ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変成トリメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、アダマンタン(adamantane)ジ(メタ)アクリレートまたは9、9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(fluorine)等のような2官能性アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変成ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変成トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、3官能型ウレタン(メタ)アクリレートまたはトリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレートなどの3官能型アクリレート;ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレートまたはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能型アクリレート;プロピオン酸変成ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの5官能型アクリレート;およびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変成ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートまたはウレタン(メタ)アクリレート(ex.イソシアネート単量体およびトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの反応物などの6官能型アクリレートなどを用いることができ、場合によっては、この分野で光硬化型オリゴマーとして知られているものとして、各種のウレタンアクリレート、ポリカーボネートアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエテルアクリレートまたはエポキシアクリレートなども用いることができる。
【0052】
多官能性の活性エネルギー線重合性化合物としては、例えば、分子量が1、000未満であり、官能基を3個以上含む化合物を用いることができる。この場合、分子量は重量平均分子量または通常の分子量を意味することになる。多官能性アクリレートとして、骨格構造のうち環構造を含むものを用いることができ、これを通して本発明で封止組成物の耐熱性、耐湿性改善効果を向上させることができる。多官能性アクリレートに含まれる環構造は炭素還式構造または複素環式構造;または単環式または多環式構造のいずれであってもよい。環構造を含む多官能性アクリレートの例としては、トリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレートなどのイソシアヌレート構造を持つ単量体およびイソシアネート変成ウレタン(メタ)アクリレート(ex.イソシアネート単量体およびトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの反応物など)等の6官能型アクリレートなどが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0053】
封止組成物は、活性エネルギー線重合性化合物の重合反応を誘導できるようにするラジカル開始剤をさらに含むことができる。ラジカル開始剤は光開始剤または熱開始剤であり得る。光開始剤の具体的な種類は硬化速度及び黄変可能性などを考慮して適宜選択することができる。例えば、ベンゾイン系、ヒドロキシケトン系、アミノケトン系またはホスフィンオキシド系光開始剤などを使用することができ、具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアニノアセトフェノン、2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2、2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4、4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン(thioxanthone)、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2、4−ジメチルチオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸エステル、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパンノン]及び2、4、6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシドなどを使用することができる。
【0054】
ラジカル開始剤は、活性エネルギー線重合性化合物100重量部に対して0.2重量部〜20重量部の割合で含むことができる。これを通して活性エネルギー線重合性化合物の反応を効果的に誘導して、また架橋後に残存成分により粘着剤組成物の物性が悪化するのを防止できる。
【0055】
前記重合体は、公知された重合方法を通して製造することができる。例えば、アルキル(メト)アクリレート、反応性官能基を含む単量体および/またはその他共単量体などを、目的とする重量比率により適切に配合した単量体混合物を溶液重合(solution polymerization)、光重合(photo polymerization)、塊状重合(bulk polymerization)、懸濁重合(suspension polymerization)または乳化重合(emulsion polymerization)のような通常の重合方式に適用して重合体を製造することができる。重合過程において、必要な場合には重合開始剤または鎖移動剤などをともに用いることもできる。
【0056】
一実施例において、封止組成物はフィルム形態で製造された状態で、波長380nm〜780nmの光に対する光透過率を分光光度計によって測定した結果、80%以上、81%以上、82%以上、83%以上、84%以上、85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上または91%以上の光透過率を示すことができる。前記の通り、本発明に係る封止組成物は、フィルム形態で製造される場合、優秀な光透過率を持つことによって、後述する前面発光型OLEDに適用されて優秀な光学特性を実現することができる。
【0057】
本発明の具体例において、封止組成物は粘着付与剤を含むことができる。粘着付与剤としては、例えば、石油樹脂を水素化して得られる水素化された石油樹脂を使用することができる。水素化された石油樹脂は部分的にまたは完全に水素化することができ、そのような樹脂等の混合物であることもある。このような粘着付与剤は粘着剤組成物と相溶性が良くかつ水分遮断性に優れたものを選択できる。水素化された石油樹脂の具体的な例としては、水素化されたテルペン系樹脂、水素化されたエステル系樹脂または水素化されたジシクロペンタジエン系樹脂などが挙げられる。前記粘着付与剤の重量平均分子量は約200〜5、000であり得る。前記粘着付与剤の含量は必要によって適宜調節できる。例えば、粘着付与剤は、封止組成物100重量部対比5重量部〜100重量部の割合で封止層に含むことができる。
【0058】
本発明の具体例において、封止組成物は水分吸着剤をさらに含むことができる。用語「水分吸着剤」とは、物理的または化学的反応等を通して、外部から流入する水分または湿気を吸着または除去できる成分を総称する意味で使うことができる。すなわち、水分反応性吸着剤または物理的吸着剤を意味し、その混合物も使用可能である。本発明の封止組成物が水分吸着剤を含む場合、前述した光透過率を満足させることができない可能性もあるが、その代わり優秀な水分遮断性を実現することができる。
【0059】
一実施例において、前記水分反応性吸着剤は封止層内部に流入した湿気、水分または酸素などと化学的に反応して水分または湿気を吸着する。前記物理的吸着剤は封止構造に浸透する水分または湿気の移動経路を長くしてその浸透を抑制することができ、封止樹脂のマトリックス構造および水分反応性吸着剤などとの相互作用を通して水分および湿気に対する遮断性を極大化することができる。
【0060】
本発明で使用できる水分吸着剤の具体的な種類は特に制限されず、例えば、水分反応性吸着剤の場合、アルミナなどの金属粉末、金属酸化物、金属塩または五酸化燐(P)等の一種または2種以上の混合物が挙げられ、物理的吸着剤の場合、シリカ、ゼオライト、チタニア、ジルコニアまたはモンモリロナイトなどが挙げられる。
【0061】
前記金属酸化物の具体的な例としては、五酸化リン(P)、酸化リチウム(LiO)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化バリウム(BaO)、酸化カルシウム(CaO)または酸化マグネシウム(MgO)などを挙げることができ、金属塩の例としては、硫酸リチウム(LiSO)、硫酸ナトリウム(NaSO)、硫酸カルシウム(CaSO)、硫酸マグネシウム(MgSO)、硫酸コバルト(CoSO)、硫酸ガリウム(Ga(SO)、硫酸チタン(Ti(SO)または硫酸ニッケル(NiSO)などのような硫酸塩、塩化カルシウム(CaCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、塩化ストロンチウム(SrCl)、塩化イットリウム(YCl)、塩化銅(CuCl)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化タンタリウム(TaF)、フッ化ニオビウム(NbF)、ブロム化リチウム(LiBr)、ブロム化カルシウム(CaBr)、ブロム化セシウム(CeBr)、ブロム化セレニウム(SeBr)、ブロム化バナジウム(VBr)、ブロム化マグネシウム(MgBr)、ヨード化バリウム(BaI)またはヨード化マグネシウム(MgI)などのような金属ハロゲン化物;または過塩素酸バリウム(Ba(ClO)または過塩素酸マグネシウム(Mg(ClO)などのような金属塩素酸塩などが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0062】
本発明では前記金属酸化物などのような水分吸着剤を適切に加工した状態で組成物に配合することができる。例えば、封止フィルムを適用しようとする有機電子装置の種類によって封止層の厚さが30μm以下の薄膜であることもあり、この場合、水分吸着剤の粉砕工程が必要となることもある。水分吸着剤の粉砕には、3ロールミル、ビーズミルまたはボールミルなどの工程を利用することができる。また、本発明の封止フィルムが上部発光(top emission)型の有機電子装置などに用いられる場合、封止層自体の透過度が非常に重要となり、したがって水分吸着剤の大きさを小さく制御する必要がある。したがって、このような用途においても粉砕工程は要求されることがある。
【0063】
本発明の封止組成物は、水分吸着剤を、第1樹脂および第2樹脂100重量部に対して、1重量部〜100重量部、好ましくは5重量部〜50重量部の量で含むことができる。水分吸着剤の含量を5重量部以上に制御して、封止組成物から形成された封止層が優秀な水分および湿気遮断性を示すようにすることができる。また、水分吸着剤の含量を50重量部以下に制御して、薄膜の封止構造を形成しながらも、優秀な水分遮断特性を示すようにすることができる。
【0064】
本明細書においては、特に規定しない限り、単位「重量部」とは、各成分間の重量比率を意味する。
【0065】
封止組成物は、紫外線吸収剤をさらに含むことができる。紫外線吸収剤は、厚さ方向に弾性率の勾配が形成された封止層を形成するために使用され得る。
【0066】
封止組成物はシランカップリング剤をさらに含むことができる。シランカップリング剤は封止組成物の密着性および接着安定性を向上させて、耐熱性および耐湿性を改善し、また、苛酷な条件で長期間放置された場合にも接着信頼性を向上させる作用をする。シランカップリング剤としては、例えば、ガンマ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ガンマ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、ガンマ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ガンマ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ガンマ−アセトアセテートプロピルトリメトキシシルラン、ガンマ−アセトアセテートプロピルトリエトキシシラン、ベタ−シアノアセチルトリメトキシシラン、ベタ−シアノアセチルトリエトキシシラン、アセトキシアセトトリメトキシシランなどを使用することができ、前記中の一種または2種以上の混合を用いることができる。アセトアセテート基またはベタ−シアノアセチル基を持つシラン系カップリング剤を用いた方が好ましいが、これに制限されるものではない。粘着剤組成物はシランカップリング剤を重合体100重量部に対して0.01重量部〜5重量部または0.01重量部〜1重量部で含むことができる。
【0067】
封止組成物は、必要な場合に、エポキシ樹脂、硬化剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、調色剤、補強剤、充填剤、消泡剤、界面活性剤、ポリアイソブチレンオリゴマーおよび可塑剤からなる群から選択された一つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0068】
本発明はまた、前述した封止組成物から形成された封止層を含む封止フィルムに関するものである。
【0069】
封止層の厚さはフィルムに含まれる各層の数またはフィルムの用途などを考慮して制御することができる。例えば、フィルムが封止層を一層含む場合には封止層の厚さは5〜100μm程度であり得る。このような範囲で水分遮断性と作業性および耐久性などが優秀なフィルムを提供することができる。
【0070】
本発明の封止フィルムの構造は前記封止層を含むものであれば、特に制限されないが、一例として、基材フィルムまたは離型フィルム(以下、「第1フィルム」と称する場合がある。);および前記基材フィルムまたは離型フィルム上に形成される前記封止層を含む構造を持つことができる。
【0071】
本発明の封止フィルムは、また、前記封止層上に形成された基材フィルムまたは離型フィルム(以下、「第2フィルム」と称する場合がある。)をさらに含むことができる。
【0072】
図1〜3は本発明の一実施例に係る封止フィルムの断面図を示す図面である。
【0073】
本発明の封止フィルムは図1および図2に示した通り、第1フィルム11上に形成された封止層12を含むことができる。図1は、本発明の封止層12と第1フィルム11を示した図面である。
【0074】
本発明の他の態様では、図2に示した通り、本発明の封止フィルムは、封止層12上に形成された第2フィルム13をさらに含むことができる。しかし、前記図面に示した封止フィルムは本発明の一態様に過ぎない。
【0075】
本発明で使用できる前記第1フィルムの具体的な種類は特に限定されない。本発明においては前記第1フィルムとして、例えば、この分野の一般の高分子フィルムを用いることができる。本発明においては、例えば、前記基材または離型フィルムとして、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−ビニルアセテートフィルム、エチレン−プロピレン共重合体フィルム、エチレン−アクリル酸エチル共重合体フィルム、エチレン−アクリル酸メチル共重合体フィルムまたはポリイミドフィルムなどを用いることができる。また、本発明の前記基材フィルムまたは離型フィルムの一面または両面には適切な離型処理が実行されていることもある。基材フィルムの離型処理に使われる離型剤の例としては、アルキド系、シリコン系、ふっ素系、不飽和エステル系、ポリオレフィン系またはワックス系などを使用することができ、このうち、耐熱性の側面からアルキド系、シリコン系またはふっ素系離型剤を使用した方が好ましいが、これに制限されるものではない。
【0076】
また、本発明で使用できる第2フィルム(以下、「カバーフィルム」と称する場合がある。)の種類も特に限定されない。例えば、本発明では、前記第2フィルムとして、前述した第1フィルムで例示した範疇内で、第1フィルムと同一、または相違する種類を使うことができる。また、本発明では前記第2フィルムにも適切な離型処理を実行して使うことができる。
【0077】
本発明で前記のような基材フィルムまたは離型フィルム(第1フィルム)の厚さは特に限定されず、適用される用途に応じて適宜選択することができる。例えば、本発明で前記第1フィルムの厚さは10μm〜500μm、好ましく20μm〜200μm程度であり得る。前記厚さが10μm未満であると製造過程において基材フィルムの変形が容易に発生する恐れがあり、500μmを超過すると経済性が低下する。
【0078】
また、本発明で前記第2フィルムの厚さも特に制限されない。本発明では、例えば、前記第2フィルムの厚さを第1フィルムと同一に設定することもできる。本発明ではまた、工程性などを考慮して第2フィルムの厚さを第1フィルムに比べて相対的に薄く設定することもできる。
【0079】
本発明の封止フィルムに含まれる封止層の厚さは特に制限されず、前記フィルムが適用される用途を考慮して下記の条件によって適宜選択することができる。
【0080】
本発明で、前記のような封止フィルムを製造する方法は特に限定されない。例えば、前述した封止組成物を含むコーティング液を基材フィルムまたは離型フィルム上にコーティングする第1段階;および第1段階でコーティングされたコーティング液を乾燥する第2段階を含む方法で封止フィルムを製造することができる。
【0081】
それぞれの封止フィルムを積層する方法も特に限定されない。例えば、別途の離型フィルムに形成された封止層を合板して多層構造の封止フィルムを形成することもできる。
【0082】
本発明の封止フィルムの製造方法では、また、前記第2段階で乾燥されたコーティング液上に基材フィルムまたは離型フィルムを追加的に圧着する第3段階をさらに実行することもできる。
【0083】
本発明の第1段階は前述した封止組成物を適切な溶媒に溶解または分散させてコーティング液を製造する段階である。この過程でコーティング液内に含まれる前記樹脂などの含量は目的とする水分遮断性およびフィルム成形性により適切に制御することができる。
【0084】
本発明において、コーティング液製造に用いられる溶剤の種類は特に限定されない。ただし、溶剤の乾燥時間が過度に長くなったり、あるいは高温での乾燥が必要な場合、作業性または封止フィルムの耐久性の側面から問題が発生する可能性があるので、揮発温度が150℃以下である溶剤を使うことが好ましい。本発明ではまた、フィルム成形性などを考慮して、前記範囲以上の揮発温度を持つ溶剤を少量混合して使用することができる。本発明で使用できる溶剤の例としては、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、トルエン、ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルセロソルブ(MCS)、テトラヒドロピラン(THF)、キシレンまたはN−メチルピロリドン(NMP)等の一種または2種以上の混合が挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0085】
本発明の第1段階で前記のようなコーティング液を基材フィルムまたは離型フィルムに塗布する方法は特に限定されず、例えば、ナイフコート、ロールコート、スプレーコート、グラビアコート、カーテンコート、コンマコートまたはリップコートなどの公知の方法を制限なく使うことができる。
【0086】
本発明の第2段階は、第1段階でコーティングされたコーティング液を乾燥して、封止層を形成する段階である。すなわち、本発明の第2段階では、フィルムに塗布されたコーティング液を加熱して溶剤を乾燥および除去することによって、封止層を形成することができる。この時、乾燥条件は特に限定されず、例えば、前記乾燥は70℃〜200℃の温度で1分〜10分の間実行することができる。前記乾燥条件は使われる溶剤の種類を考慮して変更することができる。
【0087】
本発明の封止フィルムの製造方法においてはまた、前記第2段階に続き、フィルム上に形成された封止層上に追加的な基材フィルムまたは離型フィルムを圧着する第3段階をさらに実行することもできる。
【0088】
本発明はまた、有機電子装置封止製品に関するものである。一実施例において、有機電子装置封止製品は、基板;前記基板上に形成された有機電子装置;および前記有機電子装置の前面を封止する前述した封止フィルムを含むことができる。また、前記封止製品は封止フィルム上にカバー基板をさらに含むことができる。
【0089】
本発明において、有機電子装置は有機発光ダイオードであり得る。
【0090】
前記有機電子装置封止製品は、前記封止フィルムおよび有機電子装置の間に前記有機電子装置を保護する保護膜をさらに含むことができる。
【0091】
前記封止フィルムは、有機電子装置で優秀な水分遮断特性および光学特性を示し、かつ前記基板とカバー基板を効率的に固定および支持する構造用封止層として形成することができる。
【0092】
また、前記封止フィルムは前述した通り、優秀な透明性を表しており、背面発光(bottom emission)だけでなく、前面発光(top emission)等の有機電子装置の形態にかかわらず安定した封止構造を実現することができる。
【0093】
本明細書において、用語「封止フィルム」は有機電子素子の上部および側面をすべてカバーする粘着剤層または接着剤層を意味することもある。
【0094】
本発明のさらに別の具現例は上部に有機電子装置が形成された基板に前述した封止フィルムの封止層が前記有機電子装置をカバーするように適用することを含む有機電子装置の製造方法を提供する。前記製造方法はまた、前記封止層を硬化する段階を含む有機電子装置の製造方法に関するものである。
【0095】
本明細書において、用語「硬化」とは、加熱またはUV照射工程などを経て本発明の封止組成物を架橋構造を形成して粘着剤の形態で製造することを意味することがある。
【0096】
前記封止フィルムを前記有機電子装置に適用する段階は、封止フィルムのホットロールラミネート、熱圧着(hot press)または真空圧着方法で実行でき、特に制限されない。
【0097】
前記封止フィルムを前記有機電子装置に適用する段階は、50℃〜90℃の温度で実行することができ、前記硬化段階は、70℃〜110℃の温度範囲で加熱するか、またはUVを照射して実行できる。
【0098】
また、追加封止材料であるグラスや金属などに前記封止フィルムの封止層が当接するように付着する段階を追加することもできる。
【0099】
図3は、本発明の一実施例に係る有機電子装置の封止製品を示す断面図である。
【0100】
本発明において、有機電子装置の製造方法は例えば、グラスまたは高分子フィルムのような基板21上に真空蒸着またはスパッタリングなどの方法で透明電極または反射電極を形成し、前記透明電極または反射電極上に有機材料層を形成する。前記有機材料層は正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層および/または電子輸送層を含むことができる。引き続き、前記有機材料層上に第2電極を追加に形成する。その後、前記基板21上の有機電子装置23上部に前記有機電子装置23をすべてカバーするように、前述した封止層12を適用する。この時、前記封止層12を適用する方法は特に限定されず、例えば、基板21上に形成された有機電子装置23の上部に、本発明の封止フィルムの封止層をあらかじめ転写しておいたカバー基板(ex.グラスまたは高分子フィルム)22を加熱、圧着などの方法で適用することができる。前記段階では例えば、カバー基板22上に封止層12を転写する時、前述した本発明の封止フィルムを使って、前記フィルムに形成された基材または離型フィルムを剥離した後、熱を加えながら、真空プレスまたは真空ラミネーターなどを使ってカバー基板22上に転写することができる。この過程で、封止フィルムの硬化反応が一定範囲以上なされると、封止層12の密着力乃至接着力が減少する恐れがあるので、工程温度を約100℃以下、工程時間を5分以内に制御するのが好ましい。同様に、封止層12が転写されたカバー基板22を有機電子装置に加熱圧着する場合にも、真空プレスまたは真空ラミネーターを利用することができる。この段階での温度条件は前述した通りに設定することができ、工程時間は10分以内が好ましい。
【0101】
また、本発明においては、有機電子装置を圧着した封止フィルムに対して追加的に架橋または硬化工程を実行することもできるが、このような架橋または硬化工程(本硬化)は、例えば、加熱チャンバーまたはUVチャンバーで進行することができる。本架橋または硬化工程時の条件は有機電子装置の安定性などを考慮して適宜選択することができる。
【0102】
しかし、前述した製造工程は本発明の有機電子装置を封止するための一実施例に過ぎず、前記工程順序乃至は工程条件などは自由に変形することができる。例えば、本発明では前記転写および圧着工程の順序を本発明の封止層12を基板21上の有機電子装置23に先に転写した後、カバー基板22を圧着する方式に変更することができる。また、有機電子装置23の上に保護層を形成した後、封止層12を適用してカバー基板22を省略して硬化させて使うこともできる。
【発明の効果】
【0103】
本発明の封止組成物はフィルムから形成されて有機電子装置を封止するにあたって、透明性を実現し、外部から有機電子装置に流入する水分または酸素を効果的に遮断することができる。また、本発明の封止組成物で形成された封止フィルムは取り扱い性および加工性などの機械的特性を確保することができ、これを通して封止構造が形成された有機電子装置の寿命および耐久性が向上して、高信頼性の有機電子装置封止製品を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
図1】本発明の一実施例に係る封止フィルムを示す断面図。
図2】本発明の一実施例に係る封止フィルムを示す断面図。
図3】本発明の一実施例に係る有機電子装置の封止製品を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0105】
以下、本発明による実施例および本発明によらない比較例を通して本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲は下記に提示された実施例によって制限されるものではない。
【0106】
製造例
1.第2樹脂(アルキル(メト)アクリレート共重合体)重合
窒素ガスが還流され、温度調節が容易となるように冷却装置を設置した4Lの反応器にシクロヘキシルメタクリレート95重量部および2−ヒドロキシエチルアクリレート5重量部の単量体混合物を投入した後、前記反応器に反応溶剤としてエチルアセテート100重量部を投入した。次いで、酸素を除去するために窒素ガスを60分間パージングした後、温度を60℃に維持した。前記混合物を均一にした後、反応開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.04重量部を投入し、7時間の間反応させた後、エチルアセテートで希釈して重合体を得た。前記重合反応を通して重量平均分子量が85万、分子量分布が2.31である共重合体を得た。
【0107】
実施例1
第1樹脂としてPolyisobutylene(ポリイソブチレン)樹脂(Mw=50万)と第2樹脂として製造例のアクリル共重合体を90:10の割合で混合した後、水添DCPD系列の粘着付与樹脂を第1樹脂と第2樹脂の重量対比20重量部で混合する。ここに多官能性架橋剤としてイソシアネート系トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物(TDI)0.1重量部(全体樹脂対比)を投入して固形分20%の濃度に希釈して均一に混合する。その後、離型紙にコーティングして乾燥後50μmとなるように110℃のオーブンで10分間乾燥する。
【0108】
実施例2
前記実施例1での第1樹脂と第2樹脂との比率だけを80:20に変更したことを除いては実施例1と同じ方法で製造した。
【0109】
実施例3
前記実施例1での第1樹脂と第2樹脂との比率だけを70:30に変更したことを除いては実施例1と同じ方法で製造した。
【0110】
実施例4
第2樹脂の製造において、シクロヘキシルメタクリレートをイソボニルアクリレートに変更したことを除いては実施例1と同じ方法で製造した(第2樹脂の反応温度および方法は同一で、重量平均分子量は70万、分子量分布は2.1である)。
【0111】
実施例5
前記実施例1での第2樹脂の製造において、シクロヘキシルメタクリレートをメチルメタクリレートに変更したことを除いては実施例1と同じ方法で製造した(第2樹脂の反応温度および方法は同一で、重量平均分子量は84万、分子量分布は3.9である。)。
【0112】
実施例6
前記実施例1での第1樹脂と第2樹脂の比率を30:70に変更したことを除いては実施例1と同じ方法で製造した。
【0113】
比較例1
前記実施例1で、第2樹脂を除いて、第1樹脂100重量部および粘着付与樹脂(水添DCPD系列)を第1樹脂対比20重量部で混合したことを除いては実施例1と同じ方法で製造した。
【0114】
比較例2
前記実施例1で、第2樹脂をシクロヘキシルメタクリレート単一重合体に変更して、架橋剤を添加しなかったことを除いては実施例1と同じ方法で製造した(第2樹脂の反応温度および方法は同一で、重量平均分子量は80万、分子量分布は2.5である。)。
【0115】
実験例1:透過率評価
実施例1〜6および比較例1〜2の封止組成物で封止層の厚さが約50μmとなるように封止フィルムを製造した。製造された封止フィルムの封止層をガラスに気泡なしに転写した。その後、ガラスを、StandardにUV−Vis meterを利用して、380nm〜780nm波長帯の光透過度を測定した。
【0116】
実験例2:水分遮断性評価
実施例1〜6および比較例1〜2の封止組成物で封止層の厚さが約100μmとなるように封止フィルムを製造した。その後、封止層を多孔性フィルムと合紙して、基材フィルムを剥離して試片を準備した。その後、100゜Fおよび100%の相対湿度に前記試片を位置させた状態で前記試片の厚さ方向に対する透湿度を測定した。前記透湿度はASTMF1249での規定にしたがって測定した。
【0117】
実験例3:裁断性評価
実施例1〜6および比較例1〜2の封止組成物を、封止層の厚さが約50μmで、封止層の両面に基材フィルムが存在する構造に封止フィルムを製造した。製造された封止フィルムを100mm X 100mmの大きさに裁断して試片を準備した。裁断性能が優秀(O)、普通(△)、または悪い(X)を評価するために、相対的に軽薄基材フィルムを高速剥離する時、封止フィルムが安定的に基材フィルムに付着している場合を優秀、安定的であるが終端部位に浮きがある場合を普通、抜け出た組成物によって全体的に軽薄基材フィルムに浮きが発生した場合を悪いと評価した。
【0118】
【表1】
【0119】
第1樹脂であるPolyisobutylene(ポリイソブチレン)樹脂だけを別途の架橋構造なしに導入させた比較例1の場合、水分遮断性は優秀であるものの、裁断性は非常に悪かった。また、第2樹脂に別途の架橋構造が形成されていない比較例2の場合、裁断性が悪く、水分遮断性も顕著に低下していたことが認められた。
【符号の説明】
【0120】
11:基材フィルムまたは離型フィルム
12:封止層
13:カバーフィルム
21:基板
22:カバー基板
23:有機電子装置
図1
図2
図3