(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
いくつかの試験測定機器は、複数領域の分析能力を有する。例えば、オシロスコープは、離散フーリエ変換(DFT)機能により入力信号の周波数スペクトラムを表示できる。しかし、デジタル化された時間領域信号のDFTは、DFTの特性により制限される。すなわち、小さな周波数ステップ、即ち、周波数領域での微細分解能を得るために、時間領域にて長時間のスパンが必要である。同様に、広周波数スパンでデータを取り込むために、高いサンプル・レートが必要になる。よって、高周波での変調キャリアの微細分解能には、高サンプル・レート及び長時間スパンの両方が必要であり、大容量の取込みメモリが必要となる。これでは、オシロスコープが高価になるか又は利用できなくなる。
【0007】
さらに、時間領域での信号及び周波数領域での信号の時間相関は、サンプル・レート及び取込み時間に影響される。例えば、時間領域での高時間精度には、高サンプル・レートが必要である。しかし、所定の固定メモリ容量のため、高サンプル・レートは、時間スパンと、周波数領域での周波数ステップのサイズとを制限する。すなわち、周波数領域分析精度は、時間領域分析精度により制限される。
【0008】
かかる複数領域機能を有する試験測定機器は、典型的には、互いに関連した複数チャネル用のサンプル・レート及び記録長の如き取込みパラメータを有するので、時間領域及び周波数領域の両方での同時の分析が困難であった。すなわち、一方の領域での精度は、他方の領域での精度と相互に排他的になる。
【0009】
そこで、時間領域及び周波数領域の両方での分析をほぼ同時にできる試験測定機器が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決する本発明の態様は、次の通りである。
(1)入力信号を受ける入力ポートと;上記入力信号をデジタル化するデジタイザと;上記デジタイザに結合され、上記デジタル化済み入力信号をデシメーションして、デシメーション済み入力信号を発生するデシメータと;上記デジタイザに結合され、上記デジタル化済み入力信号を周波数シフトして、周波数シフト済み入力信号を発生するデジタル・ダウンコンバータと;上記デシメーション済み入力信号及び上記周波数シフト済み入力信号を蓄積するメモリとを具えた試験測定機器。
(2)上記デシメーション済み入力信号及び上記周波数シフト済み入力信号のサンプル・レートが異なる態様1の試験測定機器。
(3)上記デシメーション済み入力信号及び上記周波数シフト済み入力信号の記録長が異なる態様1の試験測定機器。
(4)上記デジタイザは、第1サンプル・レートで上記入力信号をサンプリングし;上記デシメータは、上記第1サンプル・レートと異なる第2サンプル・レートで上記デシメーション済み入力信号を発生し;上記デジタル・ダウンコンバータは、上記第1サンプル・レートよりも低い第3サンプル・レートで上記周波数シフト済み入力信号を発生する態様1の試験測定機器。
(5)ユーザ・インタフェースと;上記ユーザ・インタフェースを介して上記デシメーション済み入力信号及び上記周波数シフト済み入力信号を表す制御器とを更に具えた態様1の試験測定機器。
(6)上記制御器は、上記ユーザ・インタフェースを介して上記デシメーション済み入力信号及び上記周波数シフト済み入力信号をほぼ同時に表す態様5の試験測定機器。
(7)上記ユーザ・インタフェースは、時間領域制御及び周波数領域制御を具え;上記制御器は、上記時間領域制御に応答して上記デシメータのパラメータを調整すると共に、上記周波数領域制御に応答して上記デジタル・ダウンコンバータのパラメータを調整する態様5の試験測定機器。
(8)上記制御器は、上記時間領域制御に応答して上記デシメータのサンプル・レートを調整すると共に、上記周波数領域制御に応答して上記デジタル・ダウンコンバータのサンプル・レートを調整する態様7の試験測定機器。
(9)上記デシメータ及び上記デジタル・ダウンコンバータに結合され、上記デシメーション済み入力信号及び上記周波数シフト済み入力信号の少なくとも一方に応答して取込みをトリガするトリガ手段を更に具えた態様1の試験測定機器。
(10)入力信号をデジタル化し;上記デジタル化済み入力信号をデシメーションして、デシメーション済み入力信号を発生し;上記デジタル化済み入力信号を周波数シフトして、周波数シフト済み入力信号を発生し;上記デシメーション済み入力信号及び上記周波数シフト済み入力信号をメモリに蓄積する試験測定機器の動作方法。
(11)上記デシメーション済み入力信号及び上記周波数シフト済み入力信号のサンプル・レートが異なる態様10の方法。
(12)上記デシメーション済み入力信号及び上記周波数シフト済み入力信号の記録長が異なる態様10の方法。
(13)上記入力信号のデジタル化は、第1サンプル・レートで上記入力信号をデジタル化し;上記入力信号のデシメーションは、上記第1サンプル・レートと異なる第2サンプル・レートで上記デジタル化済み入力信号をデシメーションし;上記デジタル化済み入力信号を周波数シフトするのは、上記第1サンプル・レートよりも低い第3サンプル・レートで上記デジタル化済み入力信号を周波数シフトする態様10の方法。
(14)更に、ユーザ・インタフェースを介して上記デシメーション済み入力信号及び上記周波数シフト済み入力信号を表す態様10の方法。
(15)更に、上記ユーザ・インタフェースを介して上記デシメーション済み入力信号及び上記周波数シフト済み入力信号をほぼ同時に表す態様14の方法。
(16)更に、上記ユーザ・インタフェースの上記時間領域制御に応答して上記デジタル化済み入力信号のデシメーションを調整し;上記ユーザ・インタフェースの周波数領域制御に応答して上記入力信号の周波数シフトを調整する態様14の方法。
(17)更に、上記ユーザ・インタフェースの上記時間領域制御に応答して上記デシメーションのサンプル・レートを調整し;上記ユーザ・インタフェースの上記周波数領域制御に応答して上記周波数シフトのサンプル・レートを調整する態様16の方法。
(18)更に、上記デシメーション済み入力信号及び上記周波数シフト済み入力信号の少なくとも一方に応答して取込みをトリガする態様10の方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の試験測定機器の実施例では、信号を複数の領域で分析できる。例えば、イベントが生じた時を判断する制御信号を時間領域で分析できる。これら制御信号は、キャリア周波数の変化の如き周波数イベントをしばしば制御する。実施例において、時間領域分析、周波数領域分析、これら領域の間で時間的に整合された分析のために、2つのイベントを分析するための信号取込みを最適化できる。
【0013】
図1は、本発明の実施例により時間領域チャネル及び周波数領域チャネルを有する試験測定機器のブロック図である。この実施例において、試験測定機器10は、第1入力信号18を受ける時間領域チャネル12と、第2入力信号20を受ける周波数領域チャネル14とを含む。取込みシステム(取込み手段)16は、時間領域チャネル12及び周波数領域チャネル14に結合され、時間領域チャネル及び周波数領域チャネルからのデータを取り込む。
【0014】
時間領域チャネル12は、時間領域での分析のために、第1入力信号18をサンプリングする。例えば、時間領域チャネル12は、多ビット・アナログ・デジタル変換器、個別レベルを検知する比較器などの如きデジタイザ(デジタル化回路)を含む。時間領域チャネル12は、増幅器、入力保護回路、又はその他の調整回路の如き他の回路も含む。時間領域チャネル12は、メモリ、デシメータなどの如き他のデジタル処理回路も含むことができる。よって、時間領域チャネル12の出力信号26は、時間領域で入力信号18をデジタル化した信号である。
【0015】
実施例において、時間領域チャネル12は、時間領域での分析のために、信号取込みに最適化された回路を含む。例えば、時間領域分析に適する信号は、制御信号、データ信号などである。かかる信号の周波数成分は、直流から、1GHz、26.5GHzなどの最高周波数までである。よって、時間領域チャネル12は、直流から最高周波数までの全帯域幅をカバーする増幅器、減衰器及び他の回路を含む。
【0016】
周波数領域チャネル14は、時間領域チャネル12と異なって、第2入力信号20を処理する。特に、周波数領域チャネル14は、周波数領域での分析のために、第2入力信号20を処理する。例えば、更に詳細に後述するように、第2入力信号20は、異なる周波数レンジに周波数シフトできる。特に、第2入力信号20を低い周波数レンジにダウンコンバージョン(低い周波数へシフトする変換)できる。すなわち、入力信号20は、周波数シフトされる。実施例において、この周波数シフトされた信号が出力信号28である。
【0017】
この周波数シフトは、時間領域チャネル12及び周波数領域チャネル14による入力信号処理の相違点の例である。更に、実施例において、周波数領域チャネル14は、周波数領域での表現及び分析に必要な信号に最適化された減衰器、フィルタ、増幅器などを含む。例えば、周波数領域チャネル14内の増幅器は、時間領域チャネル12内の増幅器よりも、ノイズ指数が低く、最大入力レベルが低い。他の例では、増幅器の周波数レンジが異なる。すなわち、時間領域チャネル12内の増幅器の周波数レンジは、直流から26.5GHzである。増幅器は、その周波数レンジにわたって信号を増幅するのに最適化される。しかし、周波数領域で高周波信号を分析するとき、特に、周波数領域でダウンコンバージョンされた信号を分析するとき、直流から最大周波数までの全周波数レンジにわたって動作しない成分を用いることもできる。例えば、関心のある信号の周波数レンジが15GHzを中心にする場合、10GHzから20GHzの周波数レンジの増幅器を用いることができる。かかる増幅器は、直流から26.5GHzの広い周波数レンジに及ぶ増幅器よりも、周波数レンジにおいて性能が良い。
【0018】
同様に、周波数領域チャネル14には、時間領域チャネル12で用いるのと異なる帯域幅、入力レンジ、ノイズ指数などの他の要素もある。すなわち、周波数領域チャネル14内の増幅器、ミキサ、局部発振器、減衰器、フィルタ、スイッチなどを選択して、時間領域チャネル14の全帯域幅を下げた及び/又は除去した特性にできる。
【0019】
上述の周波数シフト、上述の異なる要素の影響などにより、周波数領域チャネル14からの出力信号28は、時間領域チャネル12で処理された場合に比較して、周波数領域分析用に適切に処理された信号である。さらに、詳細に後述するように、周波数領域関連の取込みパラメータに応じて入力信号20が処理される。これら取込みパラメータは、関心のある周波数レンジ、分解能帯域幅などに適切であるばかりでなく、時間領域チャネル12の取込みパラメータと異なる。すなわち、周波数領域チャネル14の要素が時間領域チャネル12と異なるばかりでなく、周波数領域チャネル14及び時間領域チャネル12は、例えば、異なるサンプル・レート、記録長などのように、異なる動作を行う。よって、周波数領域チャネル14及び時間領域チャネル12の各々は、夫々周波数領域及び時間領域にて、取込み信号の対応分析に対して最適化される。
【0020】
取込みシステム(取込み手段)16は、種々の回路を含んでいる。例えば、取り込みシステムは、デジタイザ、デシメータ、フィルタ、メモリなどを含む。取り込みシステム16は、時間領域チャネル12及び周波数領域チャネル14に結合され、これら時間領域チャネル12及び周波数領域チャネル14からのデータを取り込む。例えば、時間領域チャネル12は、取り込みシステム16のデジタイザ用の適切なレンジに入るように、出力信号26を濾波し、縮尺し、その他の状態を調整する。同様に、周波数領域チャネル14は、上述のように、時間領域チャネル12と異なるにもかかわらず、取り込みシステム16のデジタイザ用に信号を調整する。
【0021】
図2は、
図1の試験測定機器内の周波数領域チャネルの例を示すブロック図である。この例において、周波数領域チャネル14は、減衰器30、フィルタ31、ミキサ32、局部発振器33及び中間周波数(IF)フィルタ34を含んでいる。減衰器30が入力信号20を受ける。減衰器30は、固定減衰器、可変減衰器、切り換え減衰器などでもよい。減衰済み信号をフィルタ31が濾波する。実施例において、適切な入力周波数レンジに対してフィルタ31を所望に選択できる。例えば、関心のある特定周波数レンジ、発振器33の周波数などに応じて、フィルタ31は、ロウパス・フィルタ、バンドパス・フィルタ、ハイパス・フィルタなどにできる。
【0022】
濾波された信号は、ミキサ32及び局部発振器33を用いて、IFレンジにダウンコンバージョンされてIF信号となる。このIF信号が出力信号24として利用可能になる前に、IFフィルタ34がIF信号を濾波する。この実施例において、出力信号24は、
図1の周波数領域チャネル14の出力信号28であり、取り込みシステム16が取り込む。
【0023】
実施例において、出力信号24は、IF周波数レンジにダウンコンバージョンした後の入力信号20を表す。
図1に示すように、このIF信号を更に取り込みシステム16にて処理、即ち、取り込む。例えば、更に詳細に後述するように、フーリエ変換などを用いて、IF信号は、同相(I)信号及び直角位相(Q)信号に変換される。
【0024】
他の実施例において、周波数領域チャネル14は、デジタル35及びデジタル・フィルタ36を含むこともできる。デジタル35は、出力IF信号24をデジタル化する。デジタル・フィルタ36は、デジタル化IF信号に対して、アーティファクトを低減し、窓関数を適用したりできる。よって、デジタル化IF信号25は、
図1の周波数領域チャネル14の出力信号28として利用可能であり、取り込みシステム16により取り込まれる。
【0025】
更に別の実施例において、周波数領域チャネル14は、メモリ37及びプロセッサ38を含むことができる。プロセッサ38は、高速フーリエ変換(FFT)、離散フーリエ変換(DFT)、チャープZ変換などのフーリエ変換を、デジタル化IF信号25のセグメントに対して処理できる。この点について、デジタル化IF信号25の数学的表現形式を時間関数から周波数関数に変換して、変換済み信号27で表す。フーリエ変換用プロセッサ38を例として挙げたが、ラプラス変換、ヒルベルト変換などの他の変換を所望に応じて代用できる。いずれにしても、
図1の周波数領域チャネル14の出力信号28として変換済みIF信号27を利用でき、この信号は、取り込みシステム16により取り込まれる。
【0026】
したがって、周波数領域チャネル14の出力信号28は、周波数領域にて入力信号20を分析するのに適する種々の形式にできる。所望に応じて、種々の要素、処理などを周波数領域チャネル14及び取り込みシステム16の間で分担できる。しかし、形式にかかわらず、関心のある周波数レンジに対して選択及び/又は同調された要素により、出力信号28を処理できる。周波数領域チャネル14の出力信号28の形式にかかわらず、時間領域チャネル12及び周波数領域チャネル14からのデータを含む取込みデータ22は、各領域などでの更なる処理、表示、分析に利用できる。
【0027】
実施例において、取り込みシステム16は、出力信号26及び出力信号28を、時間的にほぼ整合した状態で取り込むように構成されている。例えば、これら出力信号26及び28は、取り込みシステム16の取込みメモリに蓄積される。詳細に後述するように、出力信号26及び28の取込みは、同じトリガに応答して実行される。よって、時間領域分析用に最適化された時間領域チャネル12の出力信号26が取り込まれ、周波数領域分析用に最適化された周波数領域チャネル14の出力信号28が取り込まれるので、一方の分析領域用の取込みの最適化が他方の分析領域用の取込みを犠牲にすることなく、時間的にほぼ整合された時間領域分析及び周波数領域分析を実行できる。
【0028】
周波数領域チャネル14の要素の選択について示したが、増幅器、スイッチ、デシメータ、リミッタなどの他の要素を用いたり、及び/又は、示した要素の代替にしたりできる。
【0029】
再び
図1を参照する。実施例において、時間領域チャネル12、周波数領域チャネル14及び取込みチャネル16をハウジング23内に実質的に収容できる。例えば、試験測定機器10は、ケースを含むことができる。時間領域チャネル12は、BNCコネクタ、マルチチャネル・コネクタなどの入力コネクタをフロント・パネルに含むことができる。周波数領域チャネル14は、SMA型、N型、2.92mm型、又は他の高機能コネクタの如き高周波数に適するコネクタを含むことができる。すなわち、周波数領域チャネル14は、高周波数性能に最適化されたコネクタを含むことができる。
【0030】
ハウジング23は、共通表示器、キー、ノブ、ダイアル、又は他のユーザ・インタフェースを含む。ユーザ・インタフェースの共通概念は、時間領域信号及び周波数領域信号の異なる状態を制御できることであるが、異なる機能をアクセスするために異なるインタフェースを提供できる。例えば、1個のボタンにより、共通ノブが時間基準を制御できる。他のボタンにより、共通ノブが中心周波数を制御してもよい。
【0031】
実施例において、時間領域チャネル12及び周波数領域チャネル14の動作周波数レンジが異なる。時間領域チャネル12は、第1動作周波数レンジである。例えば、時間領域チャネル12は、直流結合されている。さらに、時間領域チャネル12には、比較的低い上限周波数制限がある。例えば、時間領域チャネル12の帯域幅は、1GHzである。よって、時間領域チャネル12の入力周波数レンジは、直流から1GHzである。
【0032】
しかし、周波数領域チャネル14は、異なる入力周波数レンジを有する。例えば、
図2の例に示すように、周波数領域チャネル14は、入力信号20を低いIF周波数レンジにダウンコンバージョンする。よって、周波数領域チャネル14の動作入力周波数レンジは、時間領域チャネル12と異なる。例えば、周波数領域チャネル14の入力周波数レンジは、26.5GHzまでである。すなわち、種々のフィルタ31、34、36などが動作入力帯域幅に影響する。
【0033】
さらに、周波数領域チャネル14用に選択された要素を、全入力周波数レンジでなく、関連した周波数レンジに最適化するように選択できる。例えば、特定の周波数レンジ用に最適な感度、ダイナミック・レンジ、ノイズ・レベルなどにこれら要素を選択できる。これとは対照的に、実施例において、時間領域チャネル12は、その全周波数レンジに対して最適化される。すなわち、時間領域チャネル12は、その全帯域幅内のどこかに信号を予期する。しかし、周波数領域チャネル14は、関心のある特定周波数レンジを選択できる。さらに、周波数領域チャネル14は、時間領域チャネルの帯域幅外の信号を取り込める。よって、周波数領域チャネル14は、その周波数レンジに最適化できる。
【0034】
図3は、本発明の実施例により、単一入力に結合された時間領域チャネル及び周波数領域チャネルを有する試験測定機器のブロック図である。この実施例においては、時間領域チャネル12及び周波数領域チャネル14の各々が、同じ入力信号42を受ける。例えば、スプリッタ、スイッチ、選択器などの信号経路選択装置(共通入力ポート)44を用いて、入力信号42の経路を定める。よって、1つの構成において、時間領域チャネル12のみが入力信号42を受ける。他の構成においては、周波数領域チャネル14のみが入力信号42を受ける。さらに他の構成においては、時間領域チャネル12及び周波数領域チャネル14の両方が入力信号42を受ける。
【0035】
実施例において、時間領域チャネル12及び周波数領域チャネル14の両方が、夫々専用のデジタイザを有する。よって、出力信号26及び28は、時間領域及び周波数領域の夫々での分析に最適化されたチャネルにてデジタル化されたデジタル信号である。他の実施例において、上述の如く、デジタイザは、取込みシステム16の一部である。また、出力信号26及び28は、各領域での取込み及び分析に最適化されるように処理されたアナログ信号でもよい。
【0036】
図4は、
図3の試験測定機器の例のブロック図である。この実施例において、試験測定機器50は、入力信号42を受ける共通入力ポート44、ダウンコンバータ57、選択器53及びデジタイザ55を含む。ダウンコンバータ57は、ミキサ51及び局部発振器52を含む。図を明瞭にするため、フィルタ、増幅器、減衰器などの他の要素を示さない。ダウンコンバータ57は、入力信号42をダウンコンバージョンした信号58を出力する。
【0037】
入力信号42及びダウンコンバージョンした信号58の両方が選択器53で利用可能である。よって、単一(共通)入力ポート44にて、ダウンコンバータ57及び/又は他の関連増幅器、フィルタなど如く周波数領域での分析用に最適化された回路を単一チャネルに追加できる。しかし、時間領域分析及び周波数領域分析で用いる入力信号42及びダウンコンバージョン信号(ダウンコンバージョン済み信号)58の両方に対して、デジタイザの如き共通回路を用いることができる。
【0038】
例えば、デジタイザ55は、1GS/sのサンプル・レートでデジタル化する。よって、時間領域経路(チャネル)43は、500MHzの如き対応最大入力周波数を有する。対照的に、周波数領域経路(チャネル)45は、充分に高い最大周波数レンジ用の要素を含む。例えば、ダウンコンバータ57は、26.5GHzまでの周波数の信号をダウンコンバージョンできる。しかし、ダウンコンバージョン信号58のIF帯域幅は、500MHzとなる。よって、同じデジタイザ55及び他の共通回路を用いて、ベースバンド・デジタル信号及びダウンコンバージョン信号の両方をデジタル化できる。
【0039】
詳細に後述するように、時間領域分析を行うときと周波数領域分析を行うときでは、デジタイザ55は、異なるサンプル・レートで動作する。例えば、選択信号54に応答して、デジタイザ55は、入力信号に適するサンプル・レートを選択できる。すなわち、実施例において、時間領域分析用に信号を取り込むために、高いサンプル・レートを用いる。しかし、周波数領域分析用の信号を取り込むために、ダウンコンバージョン信号58に適する低いサンプル・レートを用いることができる。
【0040】
よって、同じ入力回路が、時間領域分析に最適化された信号26及び周波数領域分析用に最適化された信号28の両方を提供できる。
図3に示すように、時間領域及び周波数領域にてほぼ同時に同じ入力信号を取込み且つ分析できる。しかし、
図4の実施例に示すように、時間領域分析用に最適化した信号経路と、周波数領域分析用に最適化した信号経路から、取込み信号の信号経路を選択できる。
【0041】
図5は、本発明の実施例により多チャネルに対して異なる取込みパラメータを用いる試験測定機器のブロック図である。この実施例において、試験測定機器60は、時間領域チャネル63及び周波数領域チャネル67を含み、各々が
図1で上述したのと同様な取り込みシステム70に結合している。制御器69は、時間領域チャネル63及び周波数領域チャネル67に結合している。制御器69は、種々の回路で構成される。例えば、制御器69は、アナログ回路及びデジタル回路を含む。制御器69は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、用途限定集積回路、プログラマブル・ゲート・アレイなどを含む。また、制御器69は、時間領域チャネル63、周波数領域チャネル67及び取り込みシステム(取込み手段)70をインタフェースする適切な回路も含む。
【0042】
制御器69は、時間領域チャネル63及び周波数領域チャネル67の取込みパラメータを制御する。特に、制御器69は、取込みパラメータが異なるように取込みパラメータを制御できる。この例において、制御器69は、時間領域チャネル63内のデジタイザ62用のサンプル・レート回路64及び周波数領域チャネル67内のデジタイザ66用のサンプル・レート回路68を制御する。サンプル・レート回路64のサンプル・レートがサンプル・レート回路68のサンプル・レートと異なるように、これらサンプル・レート回路を構成できる。よって、デジタル化された時間領域データ71とデジタル化された周波数領域データ73とは、異なる長さである。
【0043】
サンプリング・クロックを独立させることにより、時間領域パラメータ及び周波数領域パラメータを別々に制御できる。例えば、時間領域信号を取り込むために、時間領域信号での関心のある最高周波数成分の2倍を超えるようにサンプル・レートを選択できる。時間領域信号が1GHzの周波数成分を有するならば、2GS/s以上のサンプル・レートを用いる。周波数領域チャネルが同じサンプル・レートにロックされているならば、DFTを用いたとき、周波数領域データ73の関連分解能帯域幅又は周波数ステップ・サイズは、サンプルの数又は時間スパンに直接的に影響する。その結果、分解能帯域幅は、利用可能な取込みメモリの容量により制限される。代わりに、周波数領域チャネル67での狭い分解能帯域幅を実現するために、時間領域チャネル63のサンプル・レートが制限される。
【0044】
対照的に、サンプル・レートが異なると、周波数領域データ73の所望状況に適するサンプル・レートを選択できる。例えば、後述するように入力信号20がダウンコンバージョンされると、所望周波数スパンに対応する低いサンプル・レートを用いる。すなわち、キャリアが1GHzで変調が20MHzを占めるならば、ダウンコンバージョン信号は、20MHzプラスと、濾波、サンプリングなどの追加の余裕を占める。かかるサンプル・レートを50MS/sと仮定すると、同じ時間スパン、よって同じ周波数ステップ・サイズに対して、取込みメモリの40分の1が必要となる。
【0045】
上述は、異なるサンプル・レートを使用できることを示す単なる例示である。特定のアプリケーションに関係なく、異なるサンプル・レートにより、関心のある所定のチャネル、入力信号及び領域に特定される選択が可能となる。
【0046】
時間領域チャネル63及び周波数領域チャネル67用に上述したサンプル・レートが異なっているが、必然的に独立ではない。例えば、異なるサンプル・レートは、共通の低い周波数に位相ロック(拘束)される。しかし、ここでの独立性は、別々に制御可能であることを意味する。さらに、別々のサンプル・レート回路64及び68を説明したが、関連した発振器、クロックなどは、試験測定機器60用の共通回路に実質的に同期できる。
【0047】
さらに、時間領域チャネル63及び周波数領域チャネル67の間で異なる取込みパラメータの例としてサンプル・レートを用いたが、制御器69は、他の取込みパラメータを違えてもよい。例えば、時間領域チャネル63及び周波数領域チャネル67に関連した取込み期間、記録長などが異なるように、制御器69が取り込みシステム70を制御できる。他の例において、制御器69は、フィルタ帯域幅、フィルタ中心周波数、減衰器設定などの如き対応チャネル内の要素を調整できる。その結果、関連した入力信号の取り込みようのチャネルを最適化して、時間領域チャネル63及び周波数領域チャネル67用の取込みパラメータの各々を制御できるので、異なる領域での分析用に関連入力信号を最適化する。
【0048】
図6は、本発明の実施例による時間領域チャネル及び/又は周波数領域チャネルからの取込みをトリガできるトリガ・システム(トリガ手段)を有する試験測定機器のブロック図である。この実施例において、試験測定機器90は、取込みシステム(取込み手段)92を含む。取込みシステム92は、トリガ・システム94を含む。このトリガ・システムは、時間領域チャネル12及び周波数領域チャネル14に結合される。取り込みシステム92の取込みは、時間領域信号、周波数領域信号、これら信号の組合せなどに応答してトリガされる。
【0049】
同じイベント又はイベントの組合せを用いて周波数領域及び時間領域の両方での取込みをトリガできるので、これら領域での取込み信号は、高い精度で時間的に整合している。例えば、取り込まれたデータは、オシロスコープの2個の入力チャネルで時間的に整合され、即ち、サンプル単位でほぼ整合される。よって、一方の領域でイベントを試験するとき、他方の領域で対応するほぼ同時の信号を分析できる。ここで用いたように、ほぼ同時及び/又は時間的整合の時間精度は、時間的に整合されたチャネルの低いサンプル・レートにより制限される。
【0050】
さらに、共通トリガの結果、領域を超えたトリガとなる。例えば、取込みシステム92は、時間領域信号18内のイベントを識別する。これに応答して、周波数領域信号20の取込みをトリガできる。この例において、時間領域信号18を取り込む必要がない。例えば、送信器を同調させる信号、即ち、時間領域制御信号を用いて、送信信号の取込みを分析できる。送信信号は、周波数領域で分析できる。
【0051】
同様に、周波数領域イベントを用いて、時間領域取込みをトリガできる。例えば、周波数ホッピング信号に関連したレンジの1つの如き特定周波数レンジに周波数レンジが変化するまで、受信したRF信号をモニタできる。関心のある周波数レンジ内のRF信号が現れるのに応答して、受信器内の復調データの取込みを分析用に取り込むことができる。
【0052】
一方の領域のイベントを、他方の領域での分析用の取込みのトリガに用いることを説明したが、同じイベントを用いて、任意の領域又は全ての領域生きでの分析の取込みをトリガできる。さらに、異なる領域のイベントを互いに組み合わせることもできる。例えば、周波数領域のグリッチ又は他のスプリアス信号を制御信号と組合せて、グリッチを有する周波数スパン内に関心信号があることを示すこともできる。すなわち、関連周波数レンジ内に信号が期待できることを示すために、受信器内の制御信号及び周波数領域異常の両方に応答して、受信器に関連する信号を取り込むことができる。信号の特定例、信号の特性、イベントの組合せなどについて上述したが、任意の信号からの任意のイベントを用いるか、及び/又は所望に組合せて、取込みを制御できる。
【0053】
図7は、本発明の他の実施例により時間領域チャネル及び周波数領域チャネルを有する試験測定機器のブロック図である。この実施例において、試験測定機器110は、時間領域チャネル129及び周波数領域チャネル127を有する。時間領域チャネル129及び周波数領域チャネル127の各々は、デジタイザ112及び114を有する。周波数領域チャネル127は、入力信号20を受けるアナログ・ダウンコンバータ125を有する。デジタイザ114は、アナログ・ダウンコンバータ127からのダウンコンバージョン信号をデジタル化する。
【0054】
実施例において、デジタイザ112及び114からのデジタル信号は、メモリ116に蓄積される。後述の如く、その後の処理は、メモリ116に蓄積されたデジタル信号にて所望に実行される。
【0055】
デジタル信号をメモリ116に蓄積するか否かにかかわらず、更なる処理を実行できる。例えば、デジタル信号118を時間領域処理回路122で更に処理できる。例えば、信号調整、濾波、デシメーションなどを時間領域信号118に適用できる。その結果の処理済み時間領域信号126をメモリ134に蓄積する。
【0056】
周波数領域チャネル127もデジタル・ダウンコンバータ124を含む。デジタル・ダウンコンバータ124は、デジタル・ダウンコンバージョン信号120を同相(I)表現成分(I信号)及び直角位相(Q)表現成分(Q信号)に変換する。これは、追加のダウンコンバージョン処理により実行できる。よって、ダウンコンバージョン信号128は、入力信号20の同相表現成分及び直角位相表現成分を含む。他の実施例において、I/Q信号は、振幅、位相、周波数などを表す他の信号に変換される。さらに、I/Q信号を復調して、そのシンボル、ビット又は他のデータを捕捉する。他の実施例において、FFTなどの変換を適用できる。かかる処理を実行して、これらの内の任意の信号又は他の信号を発生して、メモリ134に蓄積できる。
【0057】
図8は、
図7の試験測定機器内のデジタル・ダウンコンバータの例のブロック図である。この実施例において、デジタル信号120を同相経路148及び直角位相経路150の両方に入力する。各経路が局部発振器142からの信号を受けるが、直角位相経路150は、90度位相シフト回路143により、同相経路148が受ける信号と90度の位相差がある信号を受ける。
【0058】
経路148及び150の各々は、局部発振器142からの対応信号と入力信号120とを混合する。よって、同相信号144及び直角位相信号146が発生する。追加の濾波及び/又はデシメーションを所望により信号144及び146に適用できる。
図7を参照して上述した如く、これら信号は、メモリ134に蓄積されて、更なる処理などが行われる。特に、信号144及び146は、デジタル信号120の複素数表現である。例えば、同相信号144は、デジタル信号120の実数部分を表し、直角位相信号146は、デジタル信号120の虚数部分を表す。かかる複素数表現を用いて、デジタル信号120の他の種々の表現、例えば、位相、周波数、エンコード信号などを計算できる。
【0059】
図9は、本発明の他の実施例による試験測定機器のブロック図である。上述の如く、2つの信号を取り込むが、これら取込みは、時間領域分析及び周波数領域分析に夫々最適化されている。実施例において、時間領域分析及び周波数領域分析用に最適化されたデジタル化の後に、同じ入力信号を取り込むことができる。
【0060】
実施例において、試験測定機器170は、入力ポート172を含んでいる。この入力ポート172は、入力信号を受ける。信号調整(コンディショニング)回路174は、この入力信号を処理する。信号調整回路174は、増幅器、減衰器、リミッタ、フィルタなどの回路を含んでいる。デジタル化に入力信号を準備するのに用いる回路を使用してもよい。
【0061】
入力信号は、信号調整回路174で調整された後、デジタイザ176でデジタル化される。デジタイザ176は、上述の如く、種々のデジタイザを用いることができる。デジタイザ176は、入力信号をデジタル化して、デジタル化済み入力信号184を発生する。実施例において、デジタイザ174は、デジタイザのほぼ最高サンプル・レートであるサンプル・レートにより入力信号をサンプリングする。よって、最高可能帯域幅の入力信号をサンプリングできる。しかし、他の実施例において、デジタイザは、所望に応じて、低いサンプル・レートでも動作できる。
【0062】
デジタイザ176の最大サンプル・レートを例として用いたが、入力信号184のサンプル・レートは、比較的高い。かかるデジタル化済み入力信号184をメモリに蓄積する際、比較的大容量のメモリが必要となる。しかし、試験測定機器170は、デシメータ(間引き回路)178を含んでいる。デシメータ178は、デジタイザ176に結合され、デジタル化済み入力信号184をデシメーションして、デシメーション済み入力信号188を発生する。例えば、デジタイザ176は、10GS/sサンプル・レートでサンプリングを行う。デシメーション178は、デジタル化済み入力信号184を係数10だけデシメーションする。すなわち、結果としてのデシメーション済み信号188は、サンプル・レートが1GS/sである。したがって、所定期間、少量の記録をメモリ182に蓄積すればよく、メモリ容量の必要性が低下し、及び/又は、長時間の取込みが可能となる。
【0063】
かかるデシメーションは、デジタル化済み入力信号184の引き続く時間領域分析に適するが、このデシメーションは、周波数領域分析には適さないかもしれない。例えば、比較的小さな分解能帯域幅の周波数領域分析には望ましい。その結果、比較的長期間で小さな分解能帯域幅を達成できる。しかし、デジタル化済み入力信号184の充分なサンプル・レート、メモリ182内の充分な蓄積空間(容量)を利用できないかもしれない。さらに、デシメータ178によるデシメーションは、周波数領域における所望信号の表現が劣化するかもしれない。
【0064】
よって、試験測定機器170は、デジタル・ダウンコンバータ180を含む。デジタル・ダウンコンバータ180は、デジタイザ176に結合されており、デジタル化済み入力信号184を周波数シフトして、周波数シフトされた(周波数シフト済み)入力信号186を発生する。上述の
図8は、デジタル・ダウンコンバータ180の例である。しかし、他の実施例において、デジタル・ダウンコンバータ180は、複数の経路、90度位相シフト回路などを含む必要がない。すなわち、デジタル・ダウンコンバータ180は、
図8のデジタル・ダウンコンバータの単一経路に類似したデジタル混合、濾波などの機能を含むことができる。
【0065】
デジタル化済み入力信号184の関心のある周波数レンジは、IF周波数レンジに周波数シフトされる。サンプル・レート、記録長などを選択して、周波数シフト済み入力信号186の蓄積用に最適化できる。例えば、10Hzの分解能帯域幅が望ましく、その結果、100msの時間スパンとなる。デジタル化済み入力信号184の10GS/sサンプル・レートにて、1GSの記録をメモリ182に蓄積する。しかし、所望周波数レンジを低い周波数に周波数シフトすることにより、所望周波数成分を維持するまで、低いサンプル・レートを使用できる。よって、同じ分解能帯域幅に、より低い記録長を用いることができる。
【0066】
よって、メモリ182は、デシメーション済み入力信号188及び周波数シフト済み入力信号186を蓄積する。なお、各デシメーションは、時間領域及び周波数領域での対応分析用に適する。すなわち、時間領域分析及び周波数領域分析の両方に対して入力信号の取込みを最適化するために、所望により、サンプル・レート、記録長などを選択できる。特に、関心のある領域の対応する分析用にデジタル化した信号を最適化し、必要なメモリ容量を減らすために、サンプル・レート、記録長などを所望により選択できる。
【0067】
さらに、実施例において、デシメータ178及びデジタル・ダウンコンバータ180は、ほぼ同時に動作できるように構成されている。その結果、同じ入力信号を時間領域及び周波数領域にてほぼ同時に分析できる。
【0068】
さらに、実施例において、メモリ182に蓄積する前に、サンプル・レート及び/又は記録長を低減できる。例えば、デジタル化済み入力信号184は、更なる処理のために、メモリ182に蓄積しなくてもよい。デシメータ178及びデジタル・ダウンコンバータ180は、デジタル化済み入力信号184の入力デジタル化データ・ストリームに対して作用する。よって、デジタル化済み入力信号184のその後の読み出し及び処理を実行する必要がない。すなわち、デシメーション済み入力信号188及び周波数シフト済み入力信号186をメモリ182に蓄積するので、デジタル化済み入力信号184のその後の読み出し及び/又は処理による遅延は問題ない。その結果、デジタル化済み入力信号184の更なる処理用の時間が取込みに影響しない。
【0069】
図10は、本発明の実施例によるトリガ・システム(トリガ手段)を設けた
図9の試験測定機器200のブロック図である。上述の如く、トリガ・システムは、時間領域チャネル及び周波数領域チャネルからのイベントにてトリガを行う。実施例において、トリガ・システム202は、デシメーション済み入力信号188及び周波数シフト済み入力信号186の少なくとも一方に応答して、取込みをトリガできる。
【0070】
実施例において、取込みは、デジタル化済み入力信号184又は任意の派生信号の取込みであるが、それに限らない。すなわち、トリガ・システム202は、デシメーション済み入力信号188及び周波数シフト済み入力信号186に応答して、他のチャネルでのデータの取込みをトリガできる。
【0071】
図11は、本発明の実施例によるユーザ・インタフェースを設けた
図9の試験測定機器のブロック図である。この実施例において、試験測定機器220は、制御器222を含む。制御器222は、上述の如く種々の回路で構成される。特に、制御器222は、デシメータ178及びデジタル・ダウンコンバータ180に結合する。この制御器222は、ユーザ・インタフェース224に応答して、デシメータ178のパラメータ及びデジタイザ・ダウンコンバータ180のパラメータを調整する。
【0072】
実施例において、制御器222は、デシメータ178及びデジタル・ダウンコンバータ180のサンプル・レート、記録長、中心周波数などの種々のパラメータを調整する。かかるパラメータは、上述の如く、デシメータ178及びデジタル・ダウンコンバータ180の間で異なる。
【0073】
図12は、本発明の実施例による
図11のユーザ・インタフェースの例を示すブロック図である。実施例において、
図11及び
図12を参照すると、ユーザ・インタフェース240は、表示器242を含んでいる。制御器222は、ユーザ・インタフェースを介して、デシメーションされた入力信号188及び周波数シフト済み入力信号186を示すように構成されている。この例において、時間領域トレース248は、デシメーションされた入力信号188に対応する。周波数領域トレース250は、周波数シフト済み入力信号186に対応する。
【0074】
特に、周波数シフト済み入力信号186は、周波数成分252の分解及び分析が可能になる分解能帯域幅により表示される。例えば、トレース248で表す信号内に電源ノイズ又はその他のアーティファクトが存在するかもしれない。メモリ182内に蓄積された対応記録を最適化して、メモリ容量の使用を減らして、所望特徴の分析を更に可能にする。
【0075】
特に、ユーザ・インタフェース240は、時間領域制御部244及び周波数領域制御部246を含んでいる。時間領域制御部244は、単位目盛り当たりの時間、時間スパン、サンプル・レート、記録長などの制御を行う。周波数領域制御部246は、周波数スパン、分解能帯域幅、中心周波数などの制御を行う。時間領域制御部244及び周波数領域制御部246は、所望に応じてユーザに示される。例えば、ボタン、ダイアル、メニューなどを用いて、時間領域制御部244及び周波数領域制御部246をユーザに示すことができる。さらに、イーサネット(登録商標)インタフェース、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)インタフェース、IEEE−488インタフェースなどの如き通信インタフェースを介して、かかる制御をユーザに示すことができる。
【0076】
実施例において、制御器は、ユーザ・インタフェースを介して、デシメーション済み入力信号及び周波数シフト済み入力信号をほぼ同時に表すことができる。よって、ユーザは、所望に応じて、多数の領域にて、単一の入力信号の多数の状態を分析できる。
【0077】
デシメータ178に関して、サンプル・レートを低下させるとしてデシメーションを説明したが、デシメーションは、他の信号処理を含んでもよい。例えば、信号整形、濾波などをデシメーション178のデシメーションの一部にできる。
【0078】
周波数領域処理に関連してDFTについて上述したが、任意のフーリエ変換又は他の変換関数を所望に応じて使用できる。
【0079】
周波数でのダウンコンバージョンのように種々の信号について説明したが、かかる信号は、所望に応じて、適切なIFレンジへのアップコンバージョン(高い周波数へシフトする変換)でもよい。例えば、IF周波数レンジよりも下の周波数をIF周波数レンジにアップコンバージョンできる。これらアップコンバージョン及びダウンコンバージョンは、総称的に周波数シフト呼ぶ。
【0080】
本発明の特定実施例について上述したが、本発明はこれら実施例に制限されないことが理解できよう。本発明の要旨を逸脱することなく種々の変形変更が可能である。