特許第6203478号(P6203478)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6203478光半導体装置、その製造方法、その製造に用いる基体およびリフレクタ成型体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203478
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】光半導体装置、その製造方法、その製造に用いる基体およびリフレクタ成型体
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/60 20100101AFI20170914BHJP
【FI】
   H01L33/60
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-129037(P2012-129037)
(22)【出願日】2012年6月6日
(65)【公開番号】特開2013-254823(P2013-254823A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2015年4月8日
【審判番号】不服2016-12174(P2016-12174/J1)
【審判請求日】2016年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 寛
(72)【発明者】
【氏名】東内 智子
(72)【発明者】
【氏名】高根 信明
(72)【発明者】
【氏名】山浦 格
(72)【発明者】
【氏名】稲田 麻希
(72)【発明者】
【氏名】横田 弘
【合議体】
【審判長】 森 竜介
【審判官】 恩田 春香
【審判官】 星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−228589(JP,A)
【文献】 特開2010−239043(JP,A)
【文献】 特開2012−69539(JP,A)
【文献】 特開2006−77237(JP,A)
【文献】 特開2011−157523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に銀めっき層が形成された基板と、
前記銀めっき層上にボンディングされた発光ダイオードと、
前記基板上であって、前記発光ダイオードを取り囲む位置に配置されるリフレクタと、
前記リフレクタ内に充填されて前記発光ダイオードを封止する透明封止部と、
前記銀めっき層を被覆する粘土膜と
を備え、
前記粘土膜の膜厚が均一であり、前記粘土膜が、前記粘土膜の表面が前記銀めっき層の表面の凹凸に追従する膜厚を有する、光半導体装置。
【請求項2】
表面に銀めっき層が形成された基板と、
前記銀めっき層上にボンディングされた発光ダイオードと、
前記基板上であって、前記発光ダイオードを取り囲む位置に配置されるリフレクタと、
前記リフレクタ内に充填されて前記発光ダイオードを封止する透明封止部と、
前記銀めっき層を被覆する粘土膜と
を備える光半導体装置の製造に用いられる、
表面に形成された前記銀めっき層が前記粘土膜で被覆された基体であって、
前記粘土膜の膜厚が均一であり、前記粘土膜が、前記粘土膜の表面が前記銀めっき層の表面の凹凸に追従する膜厚を有する、基体。
【請求項3】
表面に銀めっき層が形成された基板と、
前記銀めっき層上にボンディングされた発光ダイオードと、
前記基板上であって、前記発光ダイオードを取り囲む位置に配置されるリフレクタと、
前記リフレクタ内に充填されて前記発光ダイオードを封止する透明封止部と、
前記銀めっき層を被覆する粘土膜と
を備える光半導体装置の製造に用いられ、
表面に形成された前記銀めっき層が前記粘土膜で被覆された基板上に、前記リフレクタが配置されたリフレクタ成型体であって、
前記粘土膜の膜厚が均一であり、前記粘土膜が、前記粘土膜の表面が前記銀めっき層の表面の凹凸に追従する膜厚を有する、リフレクタ成型体。
【請求項4】
表面に銀めっき層が形成された基板と、
前記銀めっき層上にボンディングされた発光ダイオードと、
前記基板上であって、前記発光ダイオードを取り囲む位置に配置されるリフレクタと、
前記リフレクタ内に充填されて前記発光ダイオードを封止する透明封止部と、
前記銀めっき層を被覆する粘土膜と
を備える光半導体装置の製造方法であって、
表面に銀めっき層が形成された基板を準備する基板準備工程と、
前記基板準備工程の後に、前記基板上に前記リフレクタを配置するリフレクタ配置工程と、
前記リフレクタ配置工程の後に、前記リフレクタ内の前記銀めっき層上に、前記発光ダイオードをボンディングにより配置する発光ダイオード搭載工程と、
前記発光ダイオード搭載工程の後に、前記発光ダイオードと前記銀めっき層とをワイヤボンディングして電気的に接続する発光ダイオード接続工程と、
前記発光ダイオード接続工程の後に、前記リフレクタ内に透明封止部を充填して前記発光ダイオードを封止する発光ダイオード封止工程と、
前記銀めっき層を粘土膜で被覆する銀めっき層被覆工程とを含み、
前記銀めっき層被覆工程の際、前記粘土膜の膜厚を均一にし、前記粘土膜が、前記粘土膜の表面前記銀めっき層の表面の凹凸に追従する膜厚を有する、光半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記銀めっき層被覆工程が、前記リフレクタ配置工程より前におこなわれる、請求項4に記載の光半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記銀めっき層被覆工程が、前記リフレクタ配置工程の後、かつ、前記発光ダイオード搭載工程の前におこなわれる、請求項4に記載の光半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記銀めっき層被覆工程が、前記発光ダイオード接続工程の後、かつ、前記発光ダイオード封止工程の前におこなわれる、請求項4に記載の光半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面に形成された銀めっき層上に、発光ダイオードがボンディングされた光半導体装置、その製造方法、その製造に用いる基体およびリフレクタ成型体に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(発光ダイオード:Light Emitting Diode)が搭載された光半導体装置として、特許文献1に開示されたものが知られている。特許文献1に記載の光半導体装置は、成型体に青色LEDをボンディングし、青色LEDを取り囲むように成型体を立ち上げて青色LEDから発せられた光を反射する反射板とし、その中に蛍光体を含有する透明封止部を充填して青色LEDを封止したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/015426号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、このような光半導体装置が、照明や街灯等のLED照明として採用されるようになってきた。しかしながら、実際に使用してみると、LEDの保証時間よりも短時間でLED照明の照度が低下してしまう。これは、光半導体装置の電極に銀めっき層を形成しており、この銀めっき層が変色することに起因するものである。すなわち、透明封止部には、一般的にガスや水分の透過性が高い樹脂が使用されているため、透明封止部を透過したガスや水分により銀めっき層が腐食して変色する。特に、硫化水素ガスにより銀めっき層が硫化すると、電極が黒色に変色するため、照度の低下が顕著に表れる。
【0005】
また、従来は、反射板として熱可塑性樹脂が採用されており、銀めっき層の硫化速度よりも反射板の黄変速度の方が速かったため、銀めっき層の硫化による照度低下は目立たなかった。しかしながら、最近は、反射板として熱硬化性樹脂が採用されるようになり、銀めっき層の硫化速度よりも反射板の黄変速度の方が遅くなったため、銀めっき層の硫化による照度低下が目立つようになってきた。しかも、LED照明がハイパワー化されると、青色LEDの発熱温度が高くなって銀めっき層の温度が上昇するため、銀めっき層の硫化が促進されてしまう。
【0006】
更には、このような銀めっき層の硫化に伴う問題に鑑み、LED照明に採用する光半導体装置の耐硫化水素ガスの評価を規格化する動きもある。
【0007】
そこで、本発明者らは、鋭意検討を行ったところ、透明封止部のガス透過性を改良するのではなく、銀めっき層を粘土膜で被覆することで、銀めっき層の硫化を効果的に抑制することができるとの知見を得た。
【0008】
ただし、銀めっき層を覆う粘土膜に亀裂が生じた場合には、その亀裂から粘土膜にガスが浸入し、粘土膜の亀裂が生じた部分で硫化抑制の効果が著しく低下してしまう。
【0009】
そこで、本発明は、銀めっき層の硫化をより効果的に抑制することができる光半導体装置、その製造方法、その製造に用いる基体およびリフレクタ成型体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る光半導体装置は、表面に銀めっき層が形成された基板と、銀めっき層上にボンディングされた発光ダイオードと、基板上であって、発光ダイオードを取り囲む位置に配置されるリフレクタと、リフレクタ内に充填されて発光ダイオードを封止する透明封止部と、銀めっき層を被覆する粘土膜とを備え、粘土膜の膜厚が均一であり、粘土膜の表面が銀めっき層の表面の凹凸に追従している。
【0011】
この光半導体装置においては、銀めっき層が粘土膜で被覆されており、かつ、その粘土膜の膜厚が均一であり、粘土膜の表面が銀めっき層の表面の凹凸に追従している。そのため、粘土膜に厚い部分が形成されて、その厚い部分に亀裂が生じることが有意に抑制され、銀めっき層の硫化がより効果的に抑制される。
【0012】
本発明に係る基体は、表面に銀めっき層が形成された基板と、銀めっき層上にボンディングされた発光ダイオードと、基板上であって、発光ダイオードを取り囲む位置に配置されるリフレクタと、リフレクタ内に充填されて発光ダイオードを封止する透明封止部と、銀めっき層を被覆する粘土膜とを備える光半導体装置の製造に用いられる、表面に形成された銀めっき層が粘土膜で被覆された基体であって、粘土膜の膜厚が均一であり、粘土膜の表面が銀めっき層の表面の凹凸に追従している。
【0013】
この基体においては、銀めっき層が粘土膜で被覆されており、かつ、その粘土膜の膜厚が均一であり、粘土膜の表面が銀めっき層の表面の凹凸に追従している。そのため、光半導体装置の製造に用いることで、粘土膜に厚い部分が形成されてその厚い部分に亀裂が生じることが有意に抑制され、銀めっき層の硫化がより効果的に抑制される。
【0014】
本発明に係るリフレクタ成型体は、表面に銀めっき層が形成された基板と、銀めっき層上にボンディングされた発光ダイオードと、基板上であって、発光ダイオードを取り囲む位置に配置されるリフレクタと、リフレクタ内に充填されて発光ダイオードを封止する透明封止部と、銀めっき層を被覆する粘土膜とを備える光半導体装置の製造に用いられ、表面に形成された銀めっき層が粘土膜で被覆された基板上に、リフレクタが配置されたリフレクタ成型体であって、粘土膜の膜厚が均一であり、粘土膜の表面が銀めっき層の表面の凹凸に追従している。
【0015】
このリフレクタ成型体においては、銀めっき層が粘土膜で被覆されており、その粘土膜の膜厚が均一であり、粘土膜の表面が銀めっき層の表面の凹凸に追従している。そのため、光半導体装置の製造に用いることで、粘土膜に厚い部分が形成されてその厚い部分に亀裂が生じることが有意に抑制され、銀めっき層の硫化がより効果的に抑制される。
【0016】
本発明に係る光半導体装置の製造方法は、表面に銀めっき層が形成された基板と、銀めっき層上にボンディングされた発光ダイオードと、基板上であって、発光ダイオードを取り囲む位置に配置されるリフレクタと、リフレクタ内に充填されて発光ダイオードを封止する透明封止部と、銀めっき層を被覆する粘土膜とを備える光半導体装置の製造方法であって、表面に銀めっき層が形成された基板を準備する基板準備工程と、基板準備工程の後に、基板上にリフレクタを配置するリフレクタ配置工程と、リフレクタ配置工程の後に、リフレクタ内の銀めっき層上に、発光ダイオードをボンディングにより配置する発光ダイオード搭載工程と、発光ダイオード搭載工程の後に、発光ダイオードと銀めっき層とをワイヤボンディングして電気的に接続する発光ダイオード接続工程と、発光ダイオード接続工程の後に、リフレクタ内に透明封止部を充填して発光ダイオードを封止する発光ダイオード封止工程と、銀めっき層を粘土膜で被覆する銀めっき層被覆工程とを含み、銀めっき層被覆工程の際、粘土膜の膜厚を均一にし、粘土膜の表面を銀めっき層の表面の凹凸に追従させる。
【0017】
この光半導体装置の製造方法においては、銀めっき層被覆工程において、銀めっき層に被覆される粘土膜の膜厚を均一にし、粘土膜の表面を銀めっき層の表面の凹凸に追従させる。そのため、粘土膜に厚い部分が形成されてその厚い部分に亀裂が生じることが有意に抑制され、銀めっき層の硫化がより効果的に抑制される。
【0018】
なお、銀めっき層被覆工程は、リフレクタ配置工程より前におこなわれる態様や、リフレクタ配置工程の後、かつ、発光ダイオード搭載工程の前におこなわれる態様、発光ダイオード接続工程の後、かつ、発光ダイオード封止工程の前におこなわれる態様であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、銀めっき層の硫化をより効果的に抑制することができる光半導体装置、その製造方法、その製造に用いる基体およびリフレクタ成型体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1の実施形態に係る光半導体装置の断面図である。
図2図1に示す光半導体装置の平面図である。
図3図1に示す光半導体装置の部分拡大断面図である。
図4】(a)銀めっき層の表面の凹凸状態を示した模式図であり、(b)(a)に粘土膜を形成した状態を示した模式図である。
図5】モンモリロナイトを用いた粘土膜の構成を説明するための概念図である。
図6】モンモリロナイトを用いた粘土膜の断面を示す顕微鏡写真である。
図7】膜厚が均一でない層で覆われた銀めっき層を示した模式図である。
図8】第1の実施形態に係る光半導体装置の製造方法を示したフローチャートである。
図9】第1の実施形態に係るリフレクタ成型体の断面図である。
図10】ワイヤ端部が粘度膜を突き破っている様子を示した顕微鏡写真である。
図11】第2の実施形態に係る光半導体装置の断面図である。
図12】第2の実施形態における光半導体装置の製造方法を示したフローチャートである。
図13】第2の実施形態に係る基体の断面図である。
図14】第3の実施形態に係る光半導体装置の断面図である。
図15図14に示す光半導体装置の平面図である。
図16】第3の実施形態に係る光半導体装置の製造方法を示したフローチャートである。
図17】第3の実施形態の銀めっき層被覆工程後の様子を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、全図中、同一又は相当部分には同一符号を付すこととする。
[第1の実施形態]
【0022】
図1および図2は、第1の実施形態に係る光半導体装置1Aを示しており、図1は光半導体装置1Aの断面図、図2は光半導体装置1Aの平面図である。
【0023】
図1および図2に示すように、光半導体装置1Aは、一般に「表面実装型」に分類されるものである。この光半導体装置1Aは、基板10と、基板10の表面にボンディングされた青色LED30と、青色LED30を取り囲むように基板10の表面に設けられたリフレクタ20と、リフレクタ20に充填されて青色LED30を封止する透明封止樹脂(透明封止部)40とを備えている。なお、図2では、透明封止樹脂40の図示を省略している。
【0024】
基板10は、公知の絶縁材料によって構成された絶縁性基板である。基板10の表面10a上には、銅めっき板12を介して、銀めっき層14が形成されている。銀めっき層14は、基板10の表面に配置されて青色LED30と導通される電極となっている。なお、銀めっき層14は、銀を含むめっき層であれば如何なる組成であってもよい。例えば、銀のみをめっきすることにより銀めっき層14を形成してもよく、ニッケル及び銀をこの順でめっきすることにより銀めっき層14を形成してもよい。
【0025】
ここで、銅めっき板12および銀めっき層14は、絶縁部16において、アノードE1側とカソードE2側とが離間し、電気的に互いに絶縁されている。絶縁部16は、図1に示すように、銅めっき板12および銀めっき層14のいずれも形成されてない部分である。なお、必要に応じて、絶縁部16に公知の絶縁材料を配置することもできる。
【0026】
青色LED30は、カソードE2側の銀めっき層14にダイボンドされており、ダイボンド材32を介して当該銀めっき層14と導通されている。また、青色LED30は、アノードE1側の銀めっき層14にワイヤボンドされており、ボンディングワイヤ34を介して当該銀めっき層14と導通されている。なお、アノードE1およびカソードE2は、必要に応じて交換することができる。
【0027】
リフレクタ20は、青色LED30を封止するための透明封止樹脂40を充填させるとともに、青色LED30から発せられた光を光半導体装置1Aの表面側に反射させるものである。
【0028】
リフレクタ20は、青色LED30を取り囲むように基板10の表面から立設されている。すなわち、リフレクタ20には、青色LED30を取り囲むように、基板10の厚さ方向に立ち上がって内側に青色LED30を収容する内側空間を形成し、平面視(図2参照)において円形に形成された内周面20aを備えている。内周面20aの形状は特に限定されるものではないが、光半導体装置1Aの照度向上の観点から、基板10から離れるに従い拡径する円錐台形状(漏斗状)に形成することが好ましい。なお、図面では、内周面20aの形成例として、基板10側に位置する下部分が基板10に対して垂直となっており、基板10の反対側に位置する上部分が基板10から離れるに従い拡径しているものを図示している。
【0029】
リフレクタ20は、白色顔料が含有された熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなっている。熱硬化性樹脂組成物は、リフレクタ20の形成容易性の観点から、熱硬化前においては室温(25℃)で加圧成型可能なものが好ましい。
【0030】
熱硬化性樹脂組成物に含まれる熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、シアネート樹脂等種々のものを用いることができる。特に、エポキシ樹脂は、種々の材料に対する接着性が優れるため好ましい。
【0031】
白色顔料としては、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化チタン又は酸化ジルコニウムを使用することができる。これらの中でも光反射性の点から酸化チタンが好ましい。白色顔料として無機中空粒子を使用してもよい。無機中空粒子の具体例として、珪酸ソーダガラス、アルミ珪酸ガラス、硼珪酸ソーダガラス、シラス等が挙げられる。
【0032】
透明封止樹脂40は、リフレクタ20の内周面20aにより形成される内側空間に充填されて、青色LED30を封止するものである。この透明封止樹脂40は、透光性を有する透明封止樹脂からなる。透明封止樹脂には、完全に透明な樹脂の他、半透明な樹脂も含まれる。透明封止樹脂としては、弾性率が室温(25℃)において1MPa以下のものが好ましい。特に、透明性の点からシリコーン樹脂又はアクリル樹脂を採用することが好ましい。透明封止樹脂は、光を拡散する無機充填材や青色LED30から発せられる青色光を励起源として白色光とする蛍光体42を含有している。
【0033】
そして、本実施形態に係る光半導体装置1Aにおいては、リフレクタ20内の銀めっき層14が、粘土膜50によって被覆されている。すなわち、リフレクタ20内では、図3に示すように、基板厚さ方向の下から順に、銅めっき板12、銀めっき層14、粘土膜50が順次積層された積層構造となっている。
【0034】
粘土膜50は、下層の銀めっき層14を被覆することにより銀めっき層14の硫化を抑制するものである。粘土膜50を構成する粘土としては、天然粘土及び合成粘土のいずれも使用することができ、スチーブンサイト、ヘクトサイト、サポナイト、モンモリロナイト及びバイデライトのうち何れか1種以上を使用することができる。
【0035】
ここで、銀めっき層14は、微視的には、図4(a)に示すように、その表面14aに凹凸があり、所定の表面粗さ(たとえば、Rz約0.7μm)を有している。このような銀めっき層14の表面粗さは、銀めっき層14の下にある銅めっき板12の表面粗さにも由来する場合や、銀めっき層14の成膜時に生じる表面粗さである場合などがある。
【0036】
そして、銀めっき層14を被覆する粘土膜50は、その膜厚dが均一であり、図4(b)に示すように、粘土膜50の表面50aが、銀めっき層表面14aの凹凸に追従している。なお、本明細書においては、粘土膜50の膜厚dは、粘土膜50の表面50a上の任意の点P1から、最短距離にある銀めっき層14の表面14a上の点P2までの距離として定義される。
【0037】
なお、銀めっき層14および粘土膜50が所定の表面粗さを有することで、青色LED30からの光をある程度散乱させて光源がぼかされるので、面発光を実現することができる。
【0038】
図5および図6は、天然粘土のモンモリロナイトで構成された粘土膜50を示しており、これらの図からわかるとおり、鱗片状の粘土素片(ナノフィラー)が、不規則に数十層ほど重なり合い、粘土膜50には迷路のようなガスのパスルートが形成されている。
【0039】
つまり、銀めっき層14を覆う粘土膜50が、銀めっき層14までのパスルートを延長することで、硫化水素ガス等のガスが銀めっき層14に到達するのを効果的に阻んでおり、そのために銀めっき層14の硫化が有意に抑制されている。特に、モンモリロナイトは、その粘土素片の厚さHが1nm以下、長さLが10nm以上1000nm以下とアスペクト比が高く、ガスのパスルートが長くなるため、粘土膜50に用いることで高いガスバリア性を実現することができる。
【0040】
以上で説明したように、光半導体装置1Aにおいては、銀めっき層14が粘土膜50で被覆されており、かつ、その粘土膜50の膜厚dが均一であり、粘土膜50の表面50
aが銀めっき層14の表面14aの凹凸に追従している。
【0041】
ここで、図7に示すように、粘土膜51が銀めっき層14の凹部を埋めてしまい、粘土膜51の膜厚が均一ではなく、粘土膜51の表面51aが銀めっき層14の表面14aの凹凸に追従していない場合には、粘土膜51に厚い部分が形成されてしまう。
【0042】
粘土膜51の厚い部分では亀裂が生じやすく、亀裂が生じた場合には、ガスが上記のパスルートを通らずに、亀裂から直接的に銀めっき層に到達してしまうため、粘土膜の亀裂が生じた部分では硫化抑制の効果が著しく低下してしまう。
【0043】
すなわち、粘土膜50の膜厚dを均一にして、粘土膜50の表面50aを銀めっき層14の表面14aの凹凸に追従させることで、粘土膜の厚い部分の形成が抑止されるため、粘土膜50に亀裂が生じる事態が有意に回避され、銀めっき層14の硫化がより効果的に抑制される。その結果、銀めっき層14が黒色化することによる光半導体装置1Aの照度低下が抑制される。
【0044】
なお、粘土膜50の膜厚dに関しては、上述の追従性の観点から、0.001μm以上10μm以下であることが好ましい。たとえば、膜厚dが300nm〜500nmのとき、良好な追従性が実現される。
【0045】
次に、第1の実施形態に係る光半導体装置1Aの製造方法について説明する。
【0046】
図8は、第1の実施形態に係る光半導体装置1Aの製造方法を示したフローチャートである。図8に示すように、光半導体装置1Aの製造方法では、まず、基板準備工程として、表面に銅めっき板12が配線された絶縁性の基板10を準備するとともに(ステップS101)、銅めっき板12の表面に銀めっき層14を形成し、銅めっき板12を介して銀めっき層14が形成された基板10を形成する(ステップS102)。
【0047】
次に、リフレクタ配置工程として、青色LED30が搭載されるべき領域を取り囲むように、基板10上にリフレクタ20を形成する(ステップS103)。そして、銀めっき層被覆工程として、リフレクタ20内の銀めっき層14を粘土膜50で被覆する(ステップS104)。
【0048】
銀めっき層被覆工程は、より詳しくは、粘土希釈液を塗布する工程と、その粘土希釈液を乾燥させる工程とで構成されている。
【0049】
粘土希釈液を塗布する工程では、リフレクタ20内の銀めっき層14に粘土希釈液を塗布して、銀めっき層14を粘土希釈液で覆う。粘土希釈液は、粘土を溶媒で希釈した液体である。溶媒には、水や例えば、水溶性液体を用いることができる。水溶性液体としては特に制限されるものではないが、例えば、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、ジオキサン、アセトン、アセトニトリル、ジエチルアミン、(t)ブチルアルコール、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アリルアルコール、アクリル酸、酢酸、エチレングリコール、グリセリン、メタクリル酸、酪酸等の液体を採用することができる。水溶性液体とは、1気圧において、温度20℃で同容量の純水と穏やかにかき混ぜた場合流動が収まった後も当該混合液が均一な外観を維持するものをいう。溶媒として、好ましくは、イソプロピルアルコール(以下「IPA」と記載する。)を添加することができる。水の溶媒にIPAを添加する場合、溶媒に対するIPAの割合は、1質量%以上50質量%以下とすることができ、5質量%以上40質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下とすることが更に好ましい。
【0050】
粘土希釈液の塗布は、例えば、基板10の表面側から、粘土希釈液をリフレクタ20の内側空間に滴下又は散布することによりおこなってもよい。このとき、少なくとも銀めっき層14の全てが粘土希釈液で覆われるように、粘土希釈液の滴下量又は散布量を調節する。
【0051】
粘土希釈液を乾燥させる工程では、銀めっき層14に塗布した粘土希釈液を乾燥させて粘土膜50を形成する。このとき、粘土膜50の膜厚dを均一にし、粘土膜50の表面50aを銀めっき層14の表面14aの凹凸に追従させる。具体的には、たとえば、粘土希釈液を乾燥温度30℃〜50℃で1分間以上乾燥させることで、粘土膜50の膜厚の均一化が図られる。
【0052】
その結果、図9に示すようなリフレクタ成型体60が形成される。このリフレクタ成型体60は、銀めっき層14が形成された基板10上にリフレクタ20が配置されたものであり、リフレクタ20から露出する基板10上の全面に、粘土膜50が形成されている。すなわち、リフレクタ20内における、銀めっき層14の全表面領域および絶縁部16の全域が、粘土膜50で覆われている。
【0053】
図8に戻って、銀めっき層被覆工程(ステップS104)の後、発光ダイオード搭載工程として、リフレクタ20内の銀めっき層14上に、青色LED30をボンディングにより配置する(ステップS105)。
【0054】
発光ダイオード搭載工程では、リフレクタ20で囲まれた内側空間において、カソードE2側の銀めっき層14に、青色LED30をダイボンディングすることによりおこなう。これにより、青色LED30がダイボンド材32を介してカソードE2側の銀めっき層14と導通されるとともに、青色LED30がリフレクタ20に取り囲まれて内側空間に収容された状態となる。
【0055】
次に、発光ダイオード接続工程として、青色LED30と銀めっき層14とをワイヤボンディングして電気的に接続する(ステップS106)。
【0056】
発光ダイオード接続工程では、青色LED30とアノードE1側の銀めっき層14とをワイヤボンディングする。このとき、銀めっき層14を覆う粘土膜50を突き破るようにワイヤ34の端部34aを銀めっき層14にボンディングすることで、青色LED30と銀めっき層14との導通が図られる。発明者らがおこなった実験によれば、図10に示す顕微鏡写真のとおり、ワイヤ端部34aが粘土膜50を突き破って銀めっき層14まで到達することが観察されており、かつ、青色LED30と銀めっき層14との導通が確認されている。
【0057】
なお、ワイヤ34による粘土膜50の突き破りは、例えば、粘土膜50の層厚を調節することや、ワイヤボンディングをおこなうボンディングヘッドの荷重を調節すること、このボンディングヘッドを振動させること等によりおこなわれる。
【0058】
再度図8に戻って、発光ダイオード接続工程(ステップS106)の後、発光ダイオード封止工程として、リフレクタ20の内周面20aにより形成される内側空間に、透明封止樹脂40を充填して、青色LED30が透明封止樹脂40によって封止される(ステップS107)。
【0059】
以上で説明した製造方法により、図1および図2に示した光半導体装置1Aが作製される。
【0060】
上述した第1の実施形態においては、粘土膜50となるべき粘土希釈液をリフレクタ20内に滴下等して、銀めっき層14の全面を覆う粘土膜50を容易に形成することができ、製造工程の簡便化が図られている。その上、基板10とリフレクタ20との間に粘土膜50が介在していないため、基板10とリフレクタ20との間の高い接着性が実現されている。また、上述したように、銀めっき層14が所定の表面粗さを有しているため、リフレクタ20に直接接する銀めっき層14が、リフレクタ20と基板10との間の密着力を高めている。
[第2の実施形態]
【0061】
次に、第2の実施形態に係る光半導体装置1Bについて、図11、12を参照しつつ説明する。第2の実施形態に係る光半導体装置1Bは、上述した第1の実施形態に係る光半導体装置1Aと、粘土膜の形態のみが異なり、その他の構成は同様である。
【0062】
すなわち、図11に示すように、第2の実施形態に係る光半導体装置1Bにおいては、粘土膜50は、リフレクタ20内の銀めっき層14上だけでなく、基板10上の銀めっき層14の全面に亘って形成されている。
【0063】
以下、第2の実施形態に係る光半導体装置1Bの製造方法について説明する。なお、第2の実施形態に係る光半導体装置1Bの製造方法と相違する部分のみを説明し、同一又は同様の部分の説明を省略する。
【0064】
図12は、第2の実施形態における光半導体装置1Bの製造方法を示したフローチャートである。
【0065】
図12に示すように、光半導体装置1Bの製造方法では、まず、第1の実施形態の基板準備工程と同様に、基板準備工程(ステップS201、S202)をおこなう。
【0066】
次に、銀めっき層被覆工程として、基板10上に形成された銀めっき層14の全面を粘土膜50で被覆する(ステップS203)
【0067】
その結果、図13に示すような基体70が形成される。この基体70では、基板10の上面が全体的に粘土膜50で被覆されている。すなわち、銀めっき層14の全表面領域および絶縁部16の全域が、粘土膜50で覆われている。
【0068】
続いて、リフレクタ形成工程(ステップS204)、発光ダイオード搭載工程(ステップS205)、発光ダイオード接続工程(ステップS206)、発光ダイオード封止工程(ステップS207)をこの順序で行う。なお、第2の実施形態におけるリフレクタ形成工程(ステップS204)、発光ダイオード搭載工程(ステップS205)、発光ダイオード接続工程(ステップS206)および発光ダイオード封止工程(ステップS207)は、第1の実施形態におけるリフレクタ形成工程(ステップS103)、発光ダイオード搭載工程(ステップS105)、発光ダイオード接続工程(ステップS106)および発光ダイオード封止工程(ステップS107)と同様である。
【0069】
以上で説明した第2の実施形態の光半導体装置1Bにおいても、第1の実施形態の光半導体装置1A同様、銀めっき層14が粘土膜50で被覆されており、かつ、その粘土膜50の膜厚dが均一であり、粘土膜50の表面50aが銀めっき層14の表面14aの凹凸に追従している。そのため、粘土膜に厚い部分が形成されて、その厚い部分に亀裂が生じることが有意に抑制され、銀めっき層14の硫化がより効果的に抑制される。その結果、銀めっき層14が黒色化することによる光半導体装置1Bの照度低下が抑制される。
【0070】
上述した第2の実施形態においては、粘土膜50となるべき粘土希釈液を基板10の全面に塗布するため、塗布の際にリフレクタに対する位置合わせをする必要がなく、製造工程の簡便化が図られている。また、リフレクタ成型用樹脂の溶融過程での金型からのはみ出しのため、リフレクタ20のリフレクタ−銀界面部分にはバリが生じるが、本実施形態ではそのバリの低減が図れる。
[第3の実施形態]
【0071】
次に、第3の実施形態に係る光半導体装置1Cについて、図14−16を参照しつつ説明する。第3の実施形態に係る光半導体装置1Cは、上述した第1の実施形態に係る光半導体装置1Aと、基板および粘土膜の形態のみが異なり、その他の構成は同様である。
【0072】
すなわち、図14に示すように、第3の実施形態に係る光半導体装置1Cにおいては、銅めっき板が配線された基板10の代わりに、リードフレーム等の導電性を有する基板13が用いられる。アノードE1側の銀めっき層14と、カソードE2側の銀めっき層14との絶縁を図るために、基板13を厚さ方向に貫く絶縁部17が設けられている。なお、第1の実施形態および第2の実施形態においても、適宜、銅めっき板が配線された基板10を基板13に変更してもよい。
【0073】
また、第3の実施形態に係る光半導体装置1Cの粘土膜50は、リフレクタ20内の銀めっき層14と、銀めっき層14上に搭載された青色LED30とを一体的に覆うように形成されている。
【0074】
以下、第3の実施形態に係る光半導体装置1Cの製造方法について説明する。なお、第3の実施形態に係る光半導体装置1Cの製造方法と相違する部分のみを説明し、同一又は同様の部分の説明を省略する。
【0075】
図16は、第3の実施形態における光半導体装置1Cの製造方法を示したフローチャートである。
【0076】
図16に示すように、光半導体装置1Cの製造方法では、まず、基板準備工程として、導電性の基板13を準備するとともに(ステップS301)、基板13の表面に銀めっき層14を形成し、銀めっき層14が形成された基板13を形成する(ステップS302)。
【0077】
続いて、リフレクタ形成工程(ステップS303)および発光ダイオード搭載工程(ステップS304)をこの順序で行う。なお、第3の実施形態におけるリフレクタ形成工程(ステップS303)および発光ダイオード搭載工程(ステップS304)は、第1の実施形態におけるリフレクタ形成工程(ステップS103)、発光ダイオード搭載工程(ステップS105)と同様である。
【0078】
次に、銀めっき層被覆工程として、図17に示すように、リフレクタ20内の銀めっき層14と、銀めっき層14上に搭載された青色LED30とを一体的に粘土膜50で被覆する(ステップS305)。
【0079】
さらに、発光ダイオード接続工程(ステップS306)および発光ダイオード封止工程(ステップS307)をこの順序で行う。なお、第3の実施形態における発光ダイオード接続工程(ステップS306)および発光ダイオード封止工程(ステップS307)は、第1の実施形態における発光ダイオード接続工程(ステップS106)および発光ダイオード封止工程(ステップS107)と同様である。
【0080】
なお、第3の実施形態の発光ダイオード接続工程では、青色LED30とアノードE1側の銀メッキ層14とをワイヤボンディングする際、青色LED30及び銀メッキ層14に被覆されている粘土膜50を突き破るように、ワイヤ34の両端34a、34bを青色LED30と銀メッキ層14とにボンディングする。それにより、青色LED30と銀メッキ層14との導通が図られる。
【0081】
以上で説明した第3の実施形態の光半導体装置1Cにおいても、第1の実施形態の光半導体装置1Aや第2の実施形態の光半導体装置1B同様、銀めっき層14が粘土膜50で被覆されており、かつ、その粘土膜50の膜厚dが均一であり、粘土膜50の表面50aが銀めっき層14の表面14aの凹凸に追従している。そのため、粘土膜に厚い部分が形成されて、その厚い部分に亀裂が生じることが有意に抑制され、銀めっき層14の硫化がより効果的に抑制される。その結果、銀めっき層14が黒色化することによる光半導体装置1Cの照度低下が抑制される。
【0082】
上述した第3の実施形態においては、粘土膜50により、リフレクタ20内の要素全てを一体的に覆うため、粘土膜50が、効果的に銀めっき層14の硫化を抑制する。また、本実施形態の銀硫化防止材(粘土)によれば、銀の硫化防止性に優れた銀硫化防止膜を形成できることから、蛍光体として、YS:Eu(赤)、ZnS:Cu(緑)、ZnS:Ag(青)、特開平8−085787号公報に記載されている硫黄含有の蛍光体等を用いることができる。
【0083】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0084】
たとえば、光半導体装置1A、1B、1Cにボンディングする発光ダイオードとして、青色の光を発生する青色LED30を採用するものとして説明したが、青色以外の光を発生する発光ダイオードを採用するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1A、1B、1C…光半導体装置、10、13…基板、12…銅めっき板、14…銀めっき層、14a…表面、20…リフレクタ、30…青色LED(青色発光ダイオード)、32…ダイボンド材、34…ボンディングワイヤ、40…透明封止樹脂、42…蛍光体、50…粘土膜、50a…表面、60…リフレクタ成型体、70…基体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17