特許第6203589号(P6203589)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203589
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】チャックテーブル
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20170914BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20170914BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   H01L21/78 N
   B24B49/12
   H01L21/68 P
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-204773(P2013-204773)
(22)【出願日】2013年9月30日
(65)【公開番号】特開2015-70179(P2015-70179A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 稔
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−021464(JP,A)
【文献】 特開2007−301683(JP,A)
【文献】 特開2002−196039(JP,A)
【文献】 特開2011−054715(JP,A)
【文献】 特開2009−255214(JP,A)
【文献】 特開平01−220454(JP,A)
【文献】 実開平04−107838(JP,U)
【文献】 特開平03−114065(JP,A)
【文献】 特開昭63−051244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B24B 49/12
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着シートを介して環状フレームに装着された被加工物を保持する加工装置のチャックテーブルであって、
該粘着シートを介して被加工物を吸着する吸着面を有する吸着部と、
該吸着部を囲繞して形成された該環状フレームを磁力により吸引することで固定する環状フレーム固定手段を埋設しているとともに表面が外周に向かうにしたがって該吸着面から徐々に下方に向かうように傾斜した環状フレーム固定部と、
該環状フレームをチャックテーブル中心に位置合わせして載置せしめる位置決め部と、
を備え、
該位置決め部は、該環状フレームに当接する凸部材と、該環状フレーム固定部の表面に開口して形成された該凸部材が係合没入される係合凹部と、該係合凹部内に配設され該凸部材を該環状フレーム固定部の表面から突出させる当接位置に付勢する弾性部材と、から構成され、
該被加工物が該環状フレームに対して中央に貼着されているときには、当接位置に位置付けられている該凸部材に該環状フレームを当接させて位置決めし、
該被加工物が該環状フレームに対して中央に貼着されていない場合には、該加工装置のオペレータにより該チャックテーブルの中心と該被加工物の中心とを位置合わせするように該環状フレームが載置されて、該環状フレーム又は該粘着シートが該凸部材の上に乗り該凸部材が該係合凹部内に没入することにより被加工物を該チャックテーブルの中央に載置すること、を特徴とする加工装置のチャックテーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被加工物を加工する加工装置において被加工物を保持するチャックテーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン基板にICやLSI等のデバイスが複数形成された半導体ウエーハや、電子部品に使用される各種セラミック基板、樹脂基板、ガラス基板等の被加工物は、ダイシング装置によって個々のチップに分割され、各種電気機器に広く利用されている。
【0003】
ダイシング装置は、被加工物を保持するチャックテーブルと、チャックテーブルに保持された被加工物を切削する切削ブレードを含む切削手段と、チャックテーブルを切削手段に対して相対的に加工送りする加工送り手段とを備えている。
【0004】
被加工物は、ハンドリングを容易にするためにダイシングテープによって被加工物よりも大きい環状フレームの中央に固定されている。環状フレームは、位置決め用の切欠きが形成されている。環状フレームは、チャックテーブルの外周に形成された位置決めピンに位置決め用の切欠きを当接することで、環状フレームに貼着されたウエーハをチャックテーブルの中央に位置決めする。位置決めされたウエーハは、チャックテーブルに吸着される。
【0005】
そして、高速回転された切削ブレードが、被加工物外周のダイシングテープへ所定の深さまで切り込んだ状態で予め設定された所定距離分チャックテーブルが加工送りされることで、被加工物が切削される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−021464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、被加工物をダイシングテープを介して環状フレームに貼着する際に、マニュアルのマウンタで被加工物毎に貼着している場合などに、環状フレームの中心から外れて被加工物が貼着されてしまうことがある。その場合には、被加工物をチャックテーブルの中央に位置決めしようとすると、チャックテーブルの外周に突出している位置決めピンに環状フレームが干渉して、被加工物を位置決めすることができない。このために、位置決めピンをはずして、被加工物をチャックテーブルの中央に位置決めしていたので、切削装置を停止させて位置決めピンの取り外しを行わなければならず、作業効率が悪化するという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題にかんがみなされたもので、その目的は、被加工物が環状フレームに対して中央に貼着できていない場合にも、作業効率が悪化することを抑制できる加工装置のチャックテーブルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のチャックテーブルは、粘着シートを介して環状フレームに装着された被加工物を保持する加工装置のチャックテーブルであって、該粘着シートを介して被加工物を吸着する吸着面を有する吸着部と、該吸着部を囲繞して形成された該環状フレームを磁力により吸引することで固定する環状フレーム固定手段を埋設しているとともに表面が外周に向かうにしたがって該吸着面から徐々に下方に向かうように傾斜した環状フレーム固定部と、該環状フレームをチャックテーブル中心に位置合わせして載置せしめる位置決め部と、を備え、該位置決め部は、該環状フレームに当接する凸部材と、該環状フレーム固定部の表面に開口して形成された該凸部材が係合没入される係合凹部と、該係合凹部内に配設され該凸部材を該環状フレーム固定部の表面から突出させる当接位置に付勢する弾性部材と、から構成され、該被加工物が該環状フレームに対して中央に貼着されているときには、当接位置に位置付けられている該凸部材に該環状フレームを当接させて位置決めし、該被加工物が該環状フレームに対して中央に貼着されていない場合には、該加工装置のオペレータにより該チャックテーブルの中心と該被加工物の中心とを位置合わせするように該環状フレームが載置されて、該環状フレーム又は該粘着シートが該凸部材の上に乗り該凸部材が該係合凹部内に没入することにより被加工物を該チャックテーブルの中央に載置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、通常時には弾性部材の付勢力により環状フレーム固定部の表面から突出させた凸部材を、上から押圧すると、係合凹部内に没入させることができる。このために、本発明によれば、環状フレームに対して中央に貼着されていない被加工物であっても、環状フレーム又は粘着シートを凸部材上に乗せて、環状フレーム又は粘着シートにより凸部材を押すことで、被加工物をチャックテーブルの中央に載置することができる。したがって、本発明は、被加工物が環状フレームに対して中央に貼着されていない場合であっても、作業効率が悪化することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係るチャックテーブルを備えた切削装置の構成例を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るチャックテーブルの平面図である。
図3図3は、図2中のIII−III線に沿う断面図である。
図4図4は、図2中のIV−IV線に沿う断面図である。
図5図5は、実施形態に係るチャックテーブルの位置決めピンに環状フレームを当接させて位置決めした状態を示す平面図である。
図6図6は、実施形態に係るチャックテーブルの位置決めピン上に環状フレームを乗せて位置決めした状態を示す平面図である。
図7図7は、図6中のA−B−C線に沿う断面図である。
図8図8は、実施形態に係るチャックテーブルを備えた切削装置の変形例の構成例を示す斜視図である。
図9図9は、図8に示された切削装置の投影手段により位置決め用の目盛が投影されたチャックテーブルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0013】
〔実施形態〕
本発明の実施形態に係るチャックテーブルを図面に基いて説明する。図1は、実施形態に係るチャックテーブルを備えた切削装置の構成例を示す斜視図である。図2は、実施形態に係るチャックテーブルの平面図である。図3は、図2中のIII−III線に沿う断面図である。図4は、図2中のIV−IV線に沿う断面図である。
【0014】
本実施形態に係る加工装置のチャックテーブル10(以下、単にチャックテーブルと呼ぶ)は、粘着シートSを介して環状フレームFに装着された被加工物Wを保持するものである。チャックテーブル10は、被加工物Wを切削してチップに分割する切削装置1(加工装置に相当)を構成する。
【0015】
なお、被加工物Wは、本実施形態では、電子部品に使用される各種セラミック基板、樹脂基板、ガラス基板などである。また、本発明では、被加工物Wは、シリコン、サファイア、ガリウムなどを母材とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハであってもよい。被加工物Wは、図1に示すように、粘着シートSに貼着され、粘着シートSに環状フレームFが貼着されて、粘着シートSを介して環状フレームFに装着される。なお、被加工物Wの中心と環状フレームFの中心とが一致する位置に、被加工物Wが貼着されるのが望ましい。粘着シートSは、透明又は半透明な樹脂で構成されている。環状フレームFは、磁性体で構成され、被加工物Wをチャックテーブル10に位置決めするための位置決め用の切欠きNが二つ形成されている。
【0016】
切削装置1は、オペレータが環状フレームFに装着された被加工物Wをチャックテーブル10に載置して、被加工物Wを切削するものである。切削装置1は、図1に示すように、被加工物Wを保持するチャックテーブル10と、被加工物Wを切削する切削手段20と、チャックテーブル10をX軸方向に移動させるX軸移動手段(図示せず)と、チャックテーブル10をZ軸と平行な軸心回りに回転させる回転駆動源(図示せず)と、Y軸移動手段40と、Z軸移動手段50と、制御手段100等を備えている。
【0017】
切削手段20は、チャックテーブル10に保持された被加工物Wに加工水を供給しながら切削(加工)するものである。切削手段20は、チャックテーブル10に保持された被加工物Wに対して、Y軸移動手段40によりY軸方向に移動自在に設けられ、かつ、Z軸移動手段50によりZ軸方向に移動自在に設けられている。
【0018】
切削手段20は、略リング形状を有する極薄の切削砥石でありかつスピンドル(図示せず)により回転することで被加工物Wを切削する切削ブレード21などを含んで構成されている。切削手段20のスピンドルの軸心方向は、Y軸方向と平行に設定されている。切削手段20は、Y軸移動手段40及びZ軸移動手段50により、Y軸方向及びZ軸方向に移動されて、チャックテーブル10の表面の任意の位置に切削ブレード21を位置付け可能となっている。また、切削手段20は、被加工物Wの上面を撮像する撮像手段80が、スピンドルと一体的に移動するように固定されている。撮像手段80は、チャックテーブル10に保持された切削前の被加工物Wの切削すべき領域を撮像するCCDカメラを備えている。CCDカメラは、チャックテーブル10に保持された被加工物Wを撮像して、被加工物Wと切削ブレード21との位置合わせを行なうアライメントを遂行するための画像を得、得た画像を制御手段100に出力する。
【0019】
制御手段100は、切削装置1を構成する上述した構成要素をそれぞれ制御して、被加工物Wに対する切削加工を切削装置1に行わせるものである。具体的には、制御手段100は、チャックテーブル10と切削手段20とを相対的にX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動させるとともに、Z軸と平行な軸心回りにチャックテーブル10を回転させて、被加工物Wに対する切削加工を切削装置1に行わせる。なお、制御手段100は、例えばCPU等で構成された演算処理装置やROM、RAM等を備える図示しないマイクロプロセッサを主体として構成されている。
【0020】
前提として、制御手段100は、チャックテーブル10の中心の位置(座標)を把握している。撮像手段80は、チャックテーブル10の中心の位置を基準にアライメントを遂行する。制御手段100は、被加工物Wの中心を基準として、X軸移動手段、Y軸移動手段40、Z軸移動手段50及び回転駆動源を制御して、被加工物Wに対する分割加工を切削装置1に行わせる。また、制御手段100は、加工動作の状態や前記画像などを表示する表示手段、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる図示しない操作手段、加工動作の各種の情報を記録する記録手段110や、記録した情報を音、画像などで出力する出力手段120と接続されている。
【0021】
前述した構成の切削装置1を構成するチャックテーブル10は、図2に示すように、吸着部11と、吸着部11を囲繞して形成された環状フレーム固定部12と、位置決め部13とを備えている。
【0022】
吸着部11は、図4に示すように、粘着シートSを介して被加工物Wを吸着する吸着面11aを表面に有している。吸着部11は、ポーラスセラミック等から形成された円盤形状であり、吸着面11a上に粘着シートSを介して被加工物Wが載置される。吸着部11は、図示しない真空吸引経路を介して真空吸引源Bと接続され、吸着面11aに載置された被加工物Wを吸引することで保持する。
【0023】
環状フレーム固定部12は、環状フレームFを固定するものであって、吸着部11の外周及び下面側を囲繞して形成されている。環状フレーム固定部12は、図3及び図4に示すように、その表面12aが、外周に向かうにしたがって吸着面11aから徐々に下方に向かうように傾斜している。環状フレーム固定部12は、図2に示すように、吸着部11の周りに環状フレーム固定手段14を複数設けている。環状フレーム固定手段14は、環状フレーム固定部12の表面12a上に環状フレームFを載置させて、環状フレームFを固定するものである。環状フレーム固定手段14は、本実施形態では、例えば、永久磁石又は電磁石を含んで構成され、環状フレーム固定部12内に埋設されている。環状フレーム固定手段14は、環状フレームFを磁力により吸引することで、環状フレーム固定部12の表面12a上に環状フレームFを固定する。
【0024】
位置決め部13は、環状フレームFをチャックテーブル10の吸着部11の中心に位置合わせして、環状フレームFをチャックテーブル10上に載置せしめるものである。位置決め部13は、図3に示すように、環状フレームFに当接する位置決めピン15(凸部材に相当)と、位置決めピン15が係合没入される係合凹部16と、係合凹部16内に配設された圧縮コイルばね17(弾性部材に相当)と、から構成されている。位置決めピン15は、円柱状に形成され、環状フレーム固定部12の表面12aから突出した当接位置(図3に示す)と、表面12aよりも係合凹部16内に没した非当接位置(図7に示す)とに亘って移動自在に係合凹部16内に取り付けられている。また、位置決めピン15は、係合凹部16から脱落することが規制されている。本実施形態では、位置決めピン15は、二つ設けられ、当接位置で位置決め用の切欠きN内に当接することで、環状フレームFをチャックテーブル10と同軸となる位置に位置決めする。即ち、位置決めピン15は、環状フレームFをチャックテーブル10中心に位置合わせすることができる。
【0025】
係合凹部16は、環状フレーム固定部12の表面12aに開口して形成された凹部であり、環状フレーム固定部12の周方向に間隔をあけて、二つ設けられている。圧縮コイルばね17は、位置決めピン15と係合凹部16の底面との間に配設され、位置決めピン15を環状フレーム固定部12の表面12aから突出させる当接位置に付勢する。
【0026】
また、位置決め部13は、それぞれの係合凹部16内に配設された検出スイッチ18を備えている。検出スイッチ18は、位置決めピン15が非当接位置に位置付けられたことを検出し、検出結果を制御手段100に出力する。
【0027】
次に、前述したチャックテーブル10に被加工物Wを位置決めする手順を、図5図7に基いて説明する。図5は、実施形態に係るチャックテーブルの位置決めピンに環状フレームを当接させて位置決めした状態を示す平面図である。図6は、実施形態に係るチャックテーブルの位置決めピン上に環状フレームを乗せて位置決めした状態を示す平面図である。図7は、図6中のA−B−C線に沿う断面図である。
【0028】
チャックテーブル10に被加工物Wを位置決めする際には、撮像手段80がチャックテーブル10の中心の位置を基準にアライメントを遂行し、制御手段100が切削中にはチャックテーブル10と切削手段20とを被加工物Wの中心を基準として相対移動させるために、チャックテーブル10の中心と被加工物Wの中心とを極力位置合わせするのが望ましい。
【0029】
このため、図5に示すように、被加工物Wが環状フレームFに対して中央に貼着されているときには、切削装置1のオペレータが、当接位置に位置付けられている位置決めピン15に環状フレームFの位置決め用の切欠きNを当接させて、チャックテーブル10に対して環状フレームF即ち被加工物Wを位置決めする。
【0030】
また、図6に示すように、被加工物Wが環状フレームFに対して中央に貼着されていない場合には、切削装置1のオペレータが、チャックテーブル10の中心と被加工物Wの中心とを極力位置合わせするように、環状フレームFをチャックテーブル10に載置する。すると、図7に示すように、環状フレームF又は粘着シートSが位置決めピン15の上に乗り、位置決めピン15が係合凹部16内に没入する非当接位置になることにより、切削装置1のオペレータが、被加工物Wをチャックテーブル10の中央に載置することとなる。なお、図7に示された場合では、環状フレームFが位置決めピン15の上に乗っているが、本発明では、粘着シートSが位置決めピン15の上に乗ってもよい。
【0031】
チャックテーブル10に被加工物Wの位置決めが完了し、オペレータが操作手段によりその旨を制御手段100に入力すると、切削装置1は、アライメントを実行した後、切削手段20が加工内容情報に基いて被加工物Wを切削する。
【0032】
また、切削装置1では、チャックテーブル10に被加工物Wの位置決めが完了し、オペレータが操作手段によりその旨を制御手段100に入力すると、制御手段100が検出スイッチ18の検出結果を記録手段110に記録する。このように、制御手段100は、各被加工物Wを位置決めした際に位置決めピン15が当接位置又は非当接位置であったかを記録手段110に記録する。
【0033】
制御手段100は、操作手段からの操作により、記録手段110に記録された各被加工物Wを位置決めした際に位置決めピン15が当接位置又は非当接位置であったかを示す情報を出力手段120から出力する。
【0034】
以上のように、本実施形態に係るチャックテーブル10によれば、通常時には圧縮コイルばね17の付勢力により環状フレーム固定部12の表面12aから突起した位置決めピン15を設けている。この位置決めピン15は、押圧すると係合凹部16に没入する。このために、チャックテーブル10によれば、環状フレームFに対して中央に貼着されていない被加工物Wであっても、環状フレームF又は粘着シートSを位置決めピン15上に乗せて、環状フレームF又は粘着シートSにより位置決めピン15を押すことで、被加工物Wをチャックテーブル10の中央に載置することができる。したがって、チャックテーブル10は、被加工物Wが環状フレームFに対して中央に貼着されていない場合であっても、位置決めピン15を取りはずす必要がなく、チャックテーブル10の中央に位置決めでき、作業効率が悪化することを抑制できる。
【0035】
また、チャックテーブル10を備えた切削装置1によれば、制御手段100が各被加工物Wを位置決めした際に検出スイッチ18の検出結果を記録手段110に記録する。また、切削装置1によれば、制御手段100が、記録手段110に記録された各被加工物Wを位置決めした際の検出スイッチ18の検出結果及び切削の所要時間を示す情報を出力手段120から出力する。このために、切削装置1によれば、オペレータが各被加工物Wをチャックテーブル10の中央の近くに位置決めできたか否かを把握することができるとともに、各被加工物Wを環状フレームFの中央の近くに装着できたか否かを把握することができる。したがって、切削装置1によれば、オペレータに環状フレームFに対して中央に被加工物Wを貼着することを促すこともできる。
【0036】
さらに、チャックテーブル10を備えた切削装置1によれば、オペレータに環状フレームFに対して中央に被加工物Wを貼着することを促すことができるので、被加工物Wのアライメントの所要時間及び切削の所要時間を抑制することができる。また、チャックテーブル10を備えた切削装置1によれば、オペレータに環状フレームFに対して中央に被加工物Wを貼着することを促すことができるので、切削中のX軸移動手段、Y軸移動手段40の移動範囲を抑制することができ、加工時間をより短縮することができる。
【0037】
また、前述した実施形態に記載されたチャックテーブル10を備えた切削装置1は、オペレータがチャックテーブル10に被加工物Wを位置決めする際に、図8に示すように、チャックテーブル10に位置決め用の目盛G(図9に示す)を投影する投影手段60を備えてもよい。図8は、実施形態に係るチャックテーブルを備えた切削装置の変形例の構成例を示す斜視図である。図9は、図8に示された切削装置の投影手段により位置決め用の目盛が投影されたチャックテーブルの平面図である。なお、図8及び図9において、実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0038】
図8に示された切削装置1の投影手段60は、チャックテーブル10の上方に設けられている。投影手段60は、下方即ちチャックテーブル10の吸着部11の吸着面11aに向けて光を照射する蛍光ランプなどの発光手段と、発光手段とチャックテーブル10との間に配設された位置決め用の目盛Gを投影するためのフィルタなどを備えている。投影手段60は、発光手段がチャックテーブル10の吸着部11の吸着面11aに向けて光を照射すると、フィルタがチャックテーブル10の吸着部11の吸着面11aに位置決め用の目盛Gを投影する。チャックテーブル10の吸着部11の吸着面11aに投影された位置決め用の目盛Gは、チャックテーブル10の吸着部11の吸着面11aと同軸に設けられ、チャックテーブル10の吸着部11の吸着面11aの中心からの距離を示す目盛線GLを複数備えている。なお、図9に示された場合では、複数の目盛線GLは、円状に形成されているが、本発明では、これに限定されずに、種々の図形や模様であってもよい。
【0039】
図8及び図9に示された場合では、制御手段100は、オペレータがチャックテーブル10に被加工物Wを位置決めする際に、投影手段60の発光手段に光を照射させる。また、制御手段100は、チャックテーブル10に被加工物Wの位置決めが完了すると、投影手段60の発光手段の光の照射を停止させる。図8及び図9に示された場合によれば、チャックテーブル10に被加工物Wを位置決めする際に、投影手段60が位置決め用の目盛Gをチャックテーブル10の吸着部11の吸着面11aに投影するので、容易に、チャックテーブル10の吸着部11の吸着面11aの中央に被加工物Wを位置決めすることができる。また、本発明では、チャックテーブル10の吸着部11の吸着面11aに位置決め用の目盛を直接形成してもよい。
【0040】
前述した実施形態などでは、凸部材として位置決めピン15を示している。しかしながら、本発明では、これに限定されることなく、凸部材としてバー形状のものを用いてもよい。また、本発明では、切削装置1に限ることなく、種々の加工装置に用いられてもよい。さらに、本発明では、環状フレーム固定手段14は、永久磁石又は電磁石に限らず種々の部品を備えて構成されてもよい。
【0041】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 切削装置(加工装置)
10 チャックテーブル
11 吸着部
11a 吸着面
12 環状フレーム固定部
12a 表面
13 位置決め部
15 位置決めピン(凸部材)
16 係合凹部
17 圧縮コイルばね(弾性部材)
F 環状フレーム
S 粘着シート
W 被加工物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9