特許第6203716号(P6203716)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6203716不活性ガスから生成される準安定ガスを使用する原子層エッチング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203716
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】不活性ガスから生成される準安定ガスを使用する原子層エッチング
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20170914BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   H01L21/302 101C
   H01L21/302 105B
   H05H1/46 L
【請求項の数】25
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-521657(P2014-521657)
(86)(22)【出願日】2012年7月11日
(65)【公表番号】特表2014-522104(P2014-522104A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】US2012046137
(87)【国際公開番号】WO2013012620
(87)【国際公開日】20130124
【審査請求日】2015年7月7日
(31)【優先権主張番号】13/187,437
(32)【優先日】2011年7月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シング・ハーミート
【審査官】 鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−275378(JP,A)
【文献】 特開平06−252108(JP,A)
【文献】 特開2002−289584(JP,A)
【文献】 特開2009−088284(JP,A)
【文献】 特開平09−223684(JP,A)
【文献】 特開平07−263424(JP,A)
【文献】 特開平08−031804(JP,A)
【文献】 特開平03−155132(JP,A)
【文献】 特開昭61−171133(JP,A)
【文献】 米国特許第04756794(US,A)
【文献】 特開平03−133128(JP,A)
【文献】 特開平02−249231(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0139748(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/302
H01L 21/3065
H01L 21/461
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理チャンバ内で基板上の層をエッチングするための方法であって、
前記チャンバは、不活性ガス入口を備えるプラズマ発生領域と、第1のガス入口を備える基板処理領域と、を備え、
前記プラズマ発生領域は前記基板処理領域から分離プレート構造によって分離され、
前記方法は、
前記プラズマ発生領域内の不活性ガスの圧力が前記基板処理領域内のエッチャントガスの圧力よりも大きくなるように前記不活性ガス入口から前記プラズマ発生領域内に不活性ガスを導入しながら、前記第1のガス入口から前記チャンバの前記基板処理領域内に第1のガスを導入するステップであって、前記第1のガスが、前記層をエッチングするのに適したエッチャントガスであるステップと
前記第1のガスの少なくともいくらかを前記層内に吸着させるのに十分な期間にわたって、前記基板処理領域内に導入された前記第1のガスを前記基板処理領域内に留めるステップと、
前記期間の経過後に、前記不活性ガス入口から前記不活性ガスを更に導入することにより、前記チャンバ内の前記第1のガスの少なくとも80%を前記不活性ガスで置き換えるステップと、
前記不活性ガスから準安定ガスを発生させるステップと、
前記準安定ガスで前記層をエッチングするステップと、
を備える、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記準安定ガスは、前記プラズマ発生領域内の前記不活性ガスからプラズマを生成することによって発生される、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記準安定ガスは、前記プラズマから前記層に移動する間に前記分離プレート構造を横断する、方法。
【請求項4】
半導体処理チャンバ内で基板上の層をエッチングするための方法であって、
前記チャンバは、不活性ガス入口を備えるプラズマ発生領域と、第1のガス入口を備える基板処理領域と、を備え、
前記プラズマ発生領域は前記基板処理領域から分離プレート構造によって分離され、
前記方法は、
前記不活性ガス入口から前記プラズマ発生領域内に不活性ガスを導入しながら、前記第1のガス入口から前記チャンバの前記基板処理領域内に第1のガスを導入するステップであって、前記第1のガスが、前記層をエッチングするのに適したエッチャントガスであるステップと
前記プラズマ発生領域内の前記不活性ガスの圧力を前記基板処理領域内の前記エッチャントガスの圧力よりも大きく保ちながら、前記第1のガスの少なくともいくらかを前記層内に吸着させるのに十分な期間にわたって前記基板処理領域内に導入された前記第1のガスを前記基板処理領域内に留めるステップと、
前記期間の経過後に、前記不活性ガス入口から前記不活性ガスを更に導入することにより、前記チャンバの前記基板処理領域内の前記第1のガスの少なくとも80%を前記不活性ガスで置き換えるステップと、
前記不活性ガスから準安定ガスを発生させるために前記チャンバの前記プラズマ発生領域内でプラズマを発生させるステップと、
前記基板処理領域内の圧力を10mTorrよりも低く保ちながら、前記準安定ガスで前記層をエッチングするステップと、
を備える、方法。
【請求項5】
半導体処理チャンバ内で基板上の層をエッチングするための方法であって、
前記チャンバは、不活性ガス入口を備えるプラズマ発生領域と、第1のガス入口を備える基板処理領域と、を備え、
前記プラズマ発生領域は前記基板処理領域から分離プレート構造によって分離され、
前記方法は、
前記第1のガス入口から前記基板処理領域内に第1のガスを導入するステップであって、前記第1のガスが、前記層をエッチングするのに適したエッチャントガスであるステップと、
前記第1のガスの少なくともいくらかを前記層内に吸着させるのに十分な期間にわたって、前記基板処理領域内に導入された前記第1のガスを前記基板処理領域内に留めるステップと、
前記期間の経過後に、前記不活性ガス入口から前記プラズマ発生領域へ前記不活性ガスを導入し前記分離プレート構造を介して前記基板処理領域に導入することによって、前記基板処理領域内の前記第1のガスを前記不活性ガスで実質的に置き換え、前記プラズマ発生領域内の前記不活性ガスからプラズマを発生させるステップと、
前記プラズマ発生領域内の前記プラズマから準安定ガスで前記層をエッチングするステップであって、前記エッチングが、前記プラズマから前記層へのプラズマ荷電種の移動を前記分離プレート構造によって実質的に防止しながら行われるステップと、
を備える、方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の方法であって、
前記分離プレート構造は、前記プラズマ発生領域内で発生したプラズマ荷電種の少なくとも60%が前記層へ達するのを防止するように構成された複数の穴を有する、方法。
【請求項7】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の方法であって、
前記分離プレート構造は、互いに電気的に絶縁された少なくとも2つのプレートから構成され、前記2つのプレートは、前記エッチング中に異なる電位を有する、方法。
【請求項8】
請求項3から請求項5までのいずれか一項に記載の方法であって、
前記準安定ガスは、前記プラズマから前記層に移動する間にコリメータプレートも横断し、前記コリメータプレートは、前記基板と前記分離プレート構造との間に設けられる、方法。
【請求項9】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の方法であって、さらに、
前記準安定ガスを用いた前記エッチング中に、前記分離プレートと前記基板との少なくとも一方を互いに対して移動させるステップを備える、方法。
【請求項10】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の方法であって、
前記エッチャントガスは少なくともハロゲンを含有し、前記層はSiを含有する、方法。
【請求項11】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の方法であって、
前記期間は、0.05秒〜180秒の間である、方法。
【請求項12】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の方法であって、
前記準安定ガスを発生させる前記ステップは、前記チャンバ内の前記第1のガスの少なくとも90%が前記不活性ガスで置き換えられた後に行われる、方法。
【請求項13】
基板上の層をエッチングするための基板処理チャンバを有する基板処理システムであって、
前記システムは、
前記エッチング中に前記基板が上に配置されるチャックと、
前記チャンバをプラズマ発生領域と基板処理領域とに分離する分離プレート構造と、
前記プラズマ発生領域に設けられた不活性ガス入口と、
前記プラズマ発生領域内でプラズマを発生させるためのプラズマ源と、
前記基板処理領域に設けられた第1のガス入口と、
論理回路と、を備え、
前記論理回路は、
前記プラズマ発生領域内の不活性ガスの圧力が前記基板処理領域内のエッチャントガスの圧力よりも大きくなるように前記不活性ガス入口から前記プラズマ発生領域内に不活性ガスを導入しながら、前記第1のガス入口から前記チャンバの前記基板処理領域内に第1のガスを導入するステップであって、前記第1のガスが、前記層をエッチングするのに適したエッチャントガスであるステップと
前記第1のガスの少なくともいくらかを前記層内に吸着させるのに十分な期間にわたって、前記基板処理領域内に導入された前記第1のガスを前記基板処理領域内に留めるステップと、
前記期間の経過後に、前記不活性ガス入口から前記不活性ガスを更に導入することにより、前記チャンバ内の前記第1のガスの少なくとも80%を前記不活性ガスで置き換えるステップと、
前記不活性ガスから準安定ガスを発生させるステップと、
前記準安定ガスで前記層をエッチングするステップと
を行うためのものである、基板処理システム。
【請求項14】
請求項13に記載の基板処理システムであって、
前記準安定ガスは、前記プラズマ源を使用して前記基板処理領域内で前記不活性ガスからプラズマを生成することによって発生される、基板処理システム。
【請求項15】
請求項14に記載の基板処理システムであって、
前記準安定ガスは、前記プラズマから前記層に移動する間に前記分離プレート構造を横断する、基板処理システム。
【請求項16】
基板上の層をエッチングするための基板処理チャンバを有する基板処理システムであって、
前記基板処理チャンバはプラズマ発生領域と基板処理領域を備え
前記システムは、
前記チャンバをプラズマ発生領域と基板処理領域とに分離する分離プレート構造と、
前記プラズマ発生領域に設けられた不活性ガス入口と、
前記プラズマ発生領域内でプラズマを発生させるためのプラズマ源と、
前記基板処理領域に設けられた第1のガス入口と、
論理回路と、を備え、
前記論理回路は、
前記不活性ガス入口から前記プラズマ発生領域内に不活性ガスを導入しながら、前記第1のガス入口から前記チャンバの前記基板処理領域内に第1のガスを導入するステップであって、前記第1のガスが、前記層をエッチングするのに適したエッチャントガスであるステップと
前記プラズマ発生領域内の前記不活性ガスの圧力を前記基板処理領域内の前記エッチャントガスの圧力よりも大きく保ちながら、前記第1のガスの少なくともいくらかを前記層内に吸着させるのに十分な期間にわたって前記基板処理領域内に導入された前記第1のガスを前記基板処理領域内に留めるステップと、
前記期間の経過後に、前記不活性ガス入口から前記不活性ガスを更に導入することにより、前記チャンバ内の前記第1のガスの少なくとも80%を前記不活性ガスで置き換えるステップと、
前記不活性ガスから準安定ガスを発生させるために前記チャンバの前記プラズマ発生領域内でプラズマを発生させるステップと、
前記基板処理領域内の圧力を10mTorrよりも低く保ちながら、前記準安定ガスで前記層をエッチングするステップと、
を行うためのものである、基板処理システム。
【請求項17】
基板上の層をエッチングするための基板処理チャンバを有する基板処理システムであって、前記基板は、前記エッチング中に前記チャンバ内部でチャック上に配置され、
前記システムは
前記チャンバをプラズマ発生領域と基板処理領域とに分離する分離プレート構造と、
前記プラズマ発生領域に設けられた不活性ガス入口と、
前記プラズマ発生領域内でプラズマを発生させるためのプラズマ源と、
前記基板処理領域に設けられた第1のガス入口と、
論理回路と、を備え、
前記論理回路は、
前記第1のガス入口から前記チャンバの前記基板処理領域内に第1のガスを導入するステップであって、前記第1のガスが、前記層をエッチングするのに適したエッチャントガスであるステップと、
前記第1のガスの少なくともいくらかを前記層内に吸着させるのに十分な期間にわたって、前記基板処理領域内に導入された前記第1のガスを前記チャンバの前記基板処理領域内に留めるステップと、
前記期間の経過後に、前記不活性ガス入口から前記プラズマ発生領域へ不活性ガスを導入し前記分離プレート構造を介して前記基板処理領域に導入することによって、前記基板処理領域内の前記第1のガスを前記不活性ガスで実質的に置き換えるステップと、
前記プラズマ発生領域内で前記不活性ガスからプラズマを発生させるステップと、
前記プラズマ発生領域内の前記プラズマからの準安定ガスを用いて前記層をエッチングするステップと、を行うためのものであり、
前記エッチングは、前記プラズマから前記層へのプラズマ荷電種の移動を前記分離プレート構造によって実質的に防止しながら行われる、基板処理システム。
【請求項18】
請求項13から請求項17までのいずれか一項に記載の基板処理システムであって、
前記分離プレート構造は、前記層へのプラズマ荷電種の移動を実質的に防止するように構成された複数の穴を有する、基板処理システム。
【請求項19】
請求項13から請求項17までのいずれか一項に記載の基板処理システムであって、
前記分離プレート構造は、互いに電気的に絶縁された少なくとも2つのプレートから構成され、前記2つのプレートは異なる電位を有する、基板処理システム。
【請求項20】
請求項13から請求項17までのいずれか一項に記載の基板処理システムであって、さらに、
コリメータプレートを備え、
前記準安定ガスは、前記プラズマから前記層に移動する間に前記コリメータプレートも横断し、前記コリメータプレートは、前記基板と前記分離プレート構造との間に設けられる、基板処理システム。
【請求項21】
請求項20に記載の基板処理システムであって、さらに、
前記準安定ガスを用いた前記エッチング中に、前記分離プレート構造と前記コリメータプレートと前記基板との少なくとも一方を互いに対して移動させるための作動装置を備える、基板処理システム。
【請求項22】
請求項13から請求項17までのいずれか一項に記載の基板処理システムであって、さらに、
前記準安定ガスを用いた前記エッチング中に、前記分離プレートと前記基板の少なくとも一方を互いに対して移動させるための作動装置を備える、基板処理システム。
【請求項23】
請求項13から請求項17までのいずれか一項に記載の基板処理システムであって、
前記エッチャントガスは少なくともハロゲンを含有し、前記層はSiを含有する、基板処理システム。
【請求項24】
請求項13から請求項17までのいずれか一項に記載の基板処理システムであって、
前記期間は、0.05秒〜180秒の間である、基板処理システム。
【請求項25】
請求項13から請求項17までのいずれか一項に記載の基板処理システムであって、
前記準安定ガスを発生させる前記ステップは、前記チャンバ内の前記第1のガスの少なくとも90%が前記不活性ガスで置き換えられた後に行われる、基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
原子層エッチングは、半導体デバイス製造のための非常に高い精度で臨界エッチングを行うために当技術分野で知られている技法である。原子層エッチングでは、エッチングは、過度の表面下損傷または望ましくない変更の回避を図りながら、薄層に対して行われる。原子層エッチングは、例えば、別の臨界層の上の非常に薄い層をエッチングするために行うことができる。また、原子層エッチングは、例えば、残っている薄層のエッチングが下にある層および/または下にある基板の損傷を生じないことを保証しながら層を除去することを試みて、バルクエッチングステップの最後に採用されることもある。
【0002】
詳述すると、プラズマを使用するエッチングは、下にある構造および/または下にある層の前述した表面下損傷または変更を引き起こす可能性があることが知られている。プラズマエッチング中のゲート誘電体の下でのシリコンの損失が、表面下損失の一例であり、すなわち、薄いゲート誘電体(一般にはSiO2)が存在しても、ゲートエッチング中にSiリセスが生じる。いくつかの状況では、100eVよりも大きいイオンエネルギーを用いたプラズマエッチングは、表面下で約20〜40オングストロームの深さまでの損傷を誘発することが知られている。したがって、約10オングストロームの典型的なゲート酸化物の厚さでは、ゲートエッチング後に約10〜20オングストロームのSiリセスが一般に観察される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、半導体デバイス製造において原子層エッチングを行うための改良型の装置および方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、一実施形態では、半導体処理チャンバ内で基板上の層をエッチングするための方法に関する。この方法は、チャンバ内に第1のガスを導入するステップであって、上記ガスが、層をエッチングするのに適したエッチャントガスであるステップを含む。また、この方法は、第1のガスの少なくともいくらかを層内に吸着させるのに十分な期間にわたって、第1のガスをチャンバ内に留めるステップを含む。さらに、この方法は、チャンバ内の第1のガスを不活性ガスで実質的に置き換えるステップを含む。さらに、この方法は、不活性ガスから準安定ガスを発生させるステップと、準安定ガスを用いて層をエッチングするステップとを含む。
【0005】
上記の概要は、本明細書で開示する多くの実施形態の1つのみに関するものであり、本願で特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものとは意図されていない。本発明のこれらおよび他の特徴を、以下の図面に関連付けて、発明を実施するための形態の項で以下にさらに詳細に説明する。
【0006】
本発明は、添付図面の図に、限定ではなく例として図示されている。図面中、同様の参照符号は同様の要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の1つまたは複数の実施形態による、原子層エッチングを行うのに適した例示的な基板処理チャンバを示す図である。
【0008】
図2】本発明の1つまたは複数の実施形態による、分離プレート構造と任意選択のコリメータプレートとの一例を示す図である。
【0009】
図3】本発明の1つまたは複数の実施形態による、準安定ガスを用いた指向性エッチングの一例を示す図である。
【0010】
図4】本発明の一実施形態による、原子層エッチングを行うためのステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、添付図面に例示される本発明のいくつかの実施形態を参照して、本発明を詳細に論じる。以下の説明では、本発明を完全に理解できるように、いくつかの具体的な詳細を記載する。しかし、これらの具体的な詳細のいくつかまたはすべてを用いずに本発明を実施することもできることは、当業者には明らかであろう。なお、本発明を不要に曖昧にしないように、よく知られているプロセスステップおよび/または構造は、詳細には説明しない。
【0012】
方法および技法を含めた様々な実施形態を、本明細書で以下に述べる。本発明は、本発明による技法の実施形態を実施するためのコンピュータ可読命令が記憶されたコンピュータ可読媒体を含む製造物品も包含することがあることを念頭に置くべきである。コンピュータ可読媒体は、例えば、コンピュータ可読コードを記憶するための、半導体コンピュータ可読媒体、磁気的コンピュータ可読媒体、光磁気的コンピュータ可読媒体、光学的コンピュータ可読媒体、または他の形態のコンピュータ可読媒体を含むことがある。さらに、本発明は、本発明の実施形態を実施するための装置も包含することがある。そのような装置は、本発明の実施形態に関するタスクを実行するための専用および/またはプログラマブル回路を含むことがある。そのような装置の例は、適切にプログラムされるときには、汎用コンピュータおよび/または専用計算デバイスを含み、さらには、コンピュータ/計算デバイスと、本発明の実施形態に関する様々なタスクに適合された専用/プログラマブル回路との組合せを含むこともある。
【0013】
本発明の実施形態は、基板(例えば半導体ウェハやフラットパネル)の層上で原子層エッチングを行うための装置および方法に関する。1つまたは複数の実施形態では、基板層をエッチングするのに適したエッチャントソースガスが、半導体処理チャンバに導入される。例えば、Si層をエッチングするために、エッチャントガスは、Cl2、HCl、CHF3、CH22、CH3F、H2、BCl3、SiCl4、Br2、HBr、NF3、CF4、SF6、O2、SO2、COSなどの1つまたは混合物でよい。エッチャントガスは、エッチングすべき層内にエッチャントガス材料の少なくともいくらかを吸着させることができるように、十分な時間にわたってチャンバ内に留められる。その後、エッチャントガスは、不活性ガス(Ar、He、Kr、Ne、Xeなどの1つまたは混合物など)によって置き換えられる。次いで、基板層上で原子層エッチングを行うために、不活性ガスから準安定ガスが生成される。原子層エッチングが完了するまで、このサイクルを数回繰り返すことができる。
【0014】
1つまたは複数の実施形態では、準安定ガスは、チャンバのプラズマ発生領域内で不活性ガスからプラズマを点火することによって生成される。次いで、準安定ガスは、プラズマ発生領域内で発生されたプラズマから、分離プレートの穴を通って移動して、基板層に接触する。しかし、下にある層の意図していないエッチングおよび/または表面下損傷および/または変更を最小限に抑えるために、エネルギープラズマイオンは、ウェハの表面との接触を妨げられる。原子層エッチング中、基板は、チャンバのウェハ処理領域内でチャック上に配置される。準安定ガスは、基板層表面に接触すると脱励起され、このプロセス中にそれらの電子エネルギーを放出し、吸着済みの基板表面で表面反応を引き起こし、それにより基板表面をエッチングする。準安定ガスの指向性エネルギーは、プラズマのエネルギーイオンのエネルギー(100〜1000eV)よりもはるかに低くなる傾向があるので(例えば、アルゴン準安定ガスに関しては約0.025eV)、不活性ガスの準安定ガスと吸着済みの層との組合せを使用するエッチング時に、損傷が実質的に最小限にされる。
【0015】
1つまたは複数の実施形態では、前述した分離プレートは、互いに電気的に絶縁されたプレートを有する複数プレート構造である。本発明の1つまたは複数の実施形態では、複数プレートアセンブリのプレートの少なくとも1つが、プラズマから発するイオンを跳ね返すようにバイアスされる。複数プレートアセンブリのプレートはそれぞれ、準安定ガスがプラズマ発生領域からウェハ処理領域に横断できるようにするために通し穴を有する。プレートの通し穴は、一実施形態では位置合わせされることがあり、または、望まれる場合にはわずかにずらされることもある。分離プレートの通し穴は、エネルギープラズマ種が分離プレートを横断して基板表面に達するのを実質的に防止するようにサイズ設定される。
【0016】
1つまたは複数の実施形態では、分離プレートと基板との間にコリメータプレートが設けられて、準安定ガスをコリメートし、それにより、実質的に指向性の準安定ガスのみが基板表面に達し、より異方性のエッチング、すなわち基板面に垂直な鉛直方向でのエッチングとなる。コリメータプレートは、通し穴を含むことがあり、望まれる場合には接地またはバイアスされることがある。
【0017】
分離プレートおよび/またはコリメータプレートの穴パターンに起因する表面の不均一なエッチングを防止するために、分離プレートおよび/またはコリメータプレートを基板に対して移動させることができる(または逆に基板を移動させることができる)。分離プレートおよび/またはコリメータプレート、および/またはウェハおよびウェハチャックアセンブリの相対側方移動は、分離プレートまたはコリメータプレートの通し穴パターンが基板表面の特定の領域にのみインプリントされるのを防止する効果を有する。
【0018】
本発明の1つまたは複数の実施形態は、本明細書で述べる原子層エッチングを行うための方法を包含する。本発明の1つまたは複数の実施形態は、本明細書で述べるハードウェアを有する基板処理システムおよび/または基板処理チャンバを包含し、また論理回路を含むこともある(論理回路は、専用論理回路によって、プログラマブル論理回路によって、および/またはコンピュータ可読媒体コードにより制御されるマイクロプロセッサ/マイクロコントローラ/コンピュータによって実装することができる。コンピュータ可読媒体コードは、コンピュータ可読媒体で具現化され、および/またはバスもしくはデジタルネットワーク(ローカルエリアネットワークおよび/またはインターネットを含む)を介するデジタル信号として、実行のためにマイクロプロセッサ/マイクロコントローラ/コンピュータに伝送される)。
【0019】
本発明の実施形態の特徴および利点は、図面および以下の説明を参照して理解することができる。
【0020】
本発明の実施形態は、基板層(例えばSi層)内に吸着されている反応物(例えばハロゲン)との表面反応を活性化するために、1つまたは複数の不活性ガスの準安定ガスを採用する。本明細書では一例としてSi層を採用するが、本発明の実施形態の原子エッチング技法を使用して任意の層をエッチングすることができることを理解すべきである。1つまたは複数の実施形態では、ウェハの表面は、エッチャントガス(例えば、Cl2、HCl、CHF3、CH22、CH3F、H2、BCl3、SiCl4、Br2、HBr、NF3、CF4、SF6、O2、SO2、COSなどの1つまたは混合物)に露出される。1つまたは複数の実施形態では、エッチャントガス分子が基板表面に吸着できるように、短時間(約0.05秒〜約180秒)、基板処理チャンバがエッチャントガスまたはエッチャントガス混合物で満たされることがある。1つまたは複数の実施形態では、基板処理チャンバは、エッチャントガス分子が基板表面に吸着できるように、約0.25秒〜約5秒間、基板処理チャンバがエッチャントガスまたはエッチャントガス混合物で満たされることがある。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態による、基板104(例えばウェハ)が上に配置されたチャック102を含む例示的な基板処理チャンバを示す。ガス入口106もしくは108a/108b、または両方の入口106と108a/108bを使用して、ガスをチャンバ内に注入することができる。1つまたは複数の実施形態では、不活性ガス、例えばAr、He、Kr、Ne、Xeなどの1つまたは混合物は、ガス入口106を通してプラズマ発生領域110内に注入され、エッチャントガスは、エッチャントガスがプラズマ発生領域110に入らないことを保証するために、ガス入口108a/108bを通して基板処理領域112内に導入される。この状況では、プラズマ発生領域110内の圧力は、基板処理領域112内の圧力に少なくとも等しいか、またはそれよりも高いことが好ましい。プラズマ発生領域110は、少なくとも分離プレート構造130によって(および任意選択で、本明細書で後述するコリメータプレートによって)基板処理領域112から分離される。
【0022】
次のステップで、エッチャントガスは、基板表面上に吸着するのに十分な時間を取った後、チャンバ排気ポンプ120a/120bによって排気される。これは、ガス入口106を通したプラズマ発生領域110内への不活性ガスの導入と共に行うことができる。エッチャントガス排気が、同時に不活性ガス流を流すことなく行われる場合、次のステップが、ガス入口106を通してプラズマ発生領域110内に不活性ガスを流すことを含むことがある。
【0023】
チャンバからのエッチャントガスを不活性ガスで実質的に置き換えた後、プラズマチャンバ内で、より具体的にはプラズマ発生領域110内で、不活性ガスプラズマが発生される。一実施形態では、エッチャントガスの少なくとも80%が不活性ガスで置き換えられた場合に、エッチャントガスが不活性ガスによって実質的に置き換えられたと言える。一実施形態では、エッチャントガスの少なくとも90%が不活性ガスで置き換えられた場合に、エッチャントガスが不活性ガスによって実質的に置き換えられたと言える。一実施形態では、エッチャントガスの少なくとも95%が不活性ガスで置き換えられた場合に、エッチャントガスが不活性ガスによって実質的に置き換えられたと言える。一実施形態では、エッチャントガスの少なくとも99%が不活性ガスで置き換えられた場合に、エッチャントガスが不活性ガスによって実質的に置き換えられたと言える。
【0024】
プラズマ中で発生された準安定ガス種は、分離プレート構造130を通って基板処理領域112内に移行する。基板処理領域112内の圧力は、例えば、ターボ分子ポンプ、圧力制御弁、分離プレートと不活性ガス流との設計を使用して制御することができる。
【0025】
1つまたは複数の実施形態では、基板処理領域内の圧力を<10mTorrに保つことが望ましく、それにより、ウェハ処理領域に入る準安定ガスのかなりの部分が、ウェハ処理チャンバ内の気相衝突によって消滅されることなく、基板に当たることができる。一実施形態では、分離プレートと基板との距離は、例えば約1cm〜25cmの間に保つことができる。
【0026】
準安定ガスを発生させるためのプラズマ源は、誘導結合プラズマ(ICP)、容量結合プラズマ、ホローカソード放電のアレイ、マイクロ波プラズマ、または電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマ、または任意の他の適切なプラズマ源技術を含めた様々な技術から選択することができる。
【0027】
図1は、誘導結合プラズマ源150も示し、これは、プラズマ発生領域110内で発生されたプラズマを用いてRFエネルギーを誘導結合するためのアンテナを表す。好ましい実施形態では、低圧で高密度プラズマを発生することができるので、ICP(誘導結合プラズマ)またはECR(電子サイクロトロン共鳴)プラズマ源を採用することができる。1つまたは複数の実施形態では、プラズマ発生領域110内の圧力は、約0.5mTorr〜約100mTorrの間である。
【0028】
分離プレート構造130は、プラズマ荷電種が基板に達するのを実質的に防止することによって分離プレートの穴を通るプラズマ漏れの量を制限するために、接地面として働くように設計される。一実施形態では、分離プレート構造は、それがなければ基板表面に達するプラズマ荷電種の少なくとも60%が分離プレート構造によって基板に達するのを防止される場合に、プラズマ荷電種が基板に達するのを実質的に防止すると言える。一実施形態では、分離プレート構造は、それがなければ基板表面に達するプラズマ荷電種の少なくとも80%が分離プレート構造によって基板に達するのを防止される場合に、プラズマ荷電種が基板に達するのを実質的に防止すると言える。一実施形態では、分離プレート構造は、それがなければ基板表面に達するプラズマ荷電種の少なくとも95%が分離プレート構造によって基板に達するのを防止される場合に、プラズマ荷電種が基板に達するのを実質的に防止すると言える。一実施形態では、分離プレート構造は、それがなければ基板表面に達するプラズマ荷電種の少なくとも99%が分離プレート構造によって基板に達するのを防止される場合に、プラズマ荷電種が基板に達するのを実質的に防止すると言える。
【0029】
分離プレート構造130のプレートは、金属(例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、もしくは同様に適した材料)、または被膜でコーティングされた金属(例えば、陽極酸化アルミニウム、Y23、YF3、CeO2、Si、TiNでコーティングされたアルミニウム)から製造することができる。1つまたは複数の実施形態では、分離プレートの厚さは、1mm〜25mmの間でよい。分離プレートの穴の直径は、穴を通るプラズマ漏れを最小限に抑える、または実質的に防止するように選択することができ、1つまたは複数の実施形態では20μm〜5mmの間でよい。
【0030】
1つまたは複数の実施形態では、分離プレート構造202は、(本発明の一実施形態による図2に示されるように)複数層構造であり、それにより、2つの導電性プレート204と206が、互いに電気的に絶縁されるように絶縁層208によって分離される。上部プレート204は、プラズマ発生領域200内のプラズマと接触し、電気的に接地される。底部プレート206は、プラズマから発するイオンを跳ね返すように小さなDC電圧でバイアスさせることができる。大半のイオンが基板228の上方の基板処理領域210に達しないように、底部プレート206での印加バイアス電圧は、プラズマ電位よりも大きくすることができる。1つまたは複数の実施形態では、底部プレート206での印加電圧は、約10V〜約50Vの間でよい。
【0031】
1つまたは複数の実施形態では、分離プレート構造202と基板228との間に、例えばメッシュの形態でのコリメータプレート226を設けることができ、分離プレート構造202を通って移行するプラズマ荷電種を跳ね返して、基板228に達しないようにする。コリメータプレート226は、プラズマ荷電種を跳ね返すようにバイアスすることができ、または望まれる場合には接地することができる。別の実施形態では、プラズマ荷電種が基板228に達するのを防止するために、基板228をプラズマ電位に対して正にバイアスすることができる。
【0032】
また、分離プレート構造202は、基板228に向けて発する中性粒子ビームをコリメートする作用をする。1mTorrでの中性粒子平均自由行程が約25cmなので、1つまたは複数の実施形態では、基板228の上方で10mTorr未満、好ましくは<1mTorrの圧力を保つことによって、分離プレート構造202から発するガスと、ウェハ228の上方の基板処理領域210内にあるガスとの衝突が最小限に抑えられる。これは、準安定ガスが、分離プレート構造202から基板228への移行中に著しく衝突することなくウェハ228の表面に達することを保証する。
【0033】
本発明の実施形態は、反応種(例えばハロゲン)を既に吸着された、および/または反応種で飽和されたウェハ表面上に到達する不活性準安定ガス原子フラックスを採用する。準安定ガス原子は、かなりの電子エネルギーをウェハに搬送して、化学反応を誘発する。例えば、Ar準安定ガス原子(Ar*。ここで「*」は準安定状態を表す)は、約11.7eVのエネルギーを搬送する。このエネルギーは、Ar*原子が表面と相互作用するときに、ウェハ表面に伝達される。
【0034】
Ar*原子は、熱ガス速度に近い速度(0.025eV)で進むので、準安定ガス原子は、エッチングプラズマで典型的に使用されるエネルギーイオン(100〜1000eV)に比べて、はるかに小さい運動量および衝撃しか表面に与えない。多くの場合に、Ar*原子が、ウェハに当たったときに表面損傷を引き起こすことは実質的に不可能であることに留意されたい。
【0035】
高い指向性のエッチングを実現するために、ArおよびAr*原子のビームは、図2に示されるようにさらなる穿孔プレートを使用してコリメートすることができる。この実施形態では、分離プレート204および206の穴パターンと実質的に同じ穴パターンを有するコリメータプレート226が、分離プレート構造202からわずかな距離だけ離して配置される。コリメータプレート226は、分離プレートの軸に沿って(すなわち分離プレート面に垂直に)基板228に向かって進むAr*が、プラズマ発生領域内のプラズマからウェハに照準線を有するように位置合わせされる。
【0036】
より一般的には、(分離プレート面に垂直な軸として定義される)この鉛直軸に対して小さな角度(好ましくは±3度未満、より好ましくは±0.5度未満)を有する円錐内でのみ進むAr*は、コリメータプレート226と衝突することなく、コリメータプレート226を通過することができる。これらのAr*原子は、矢印230および232によって示される。鉛直軸に対してそれよりも大きな角度で進むすべての他のAr*原子(240および242)は、コリメータプレートと衝突して脱励起され、それにより、衝突後にはAr基底状態になる。この方式は、垂直に指向されたAr*フラックスを(Ar原子と共に)ウェハ表面に衝突させて、より鉛直な、より異方性のエッチングを生成する。
【0037】
指向性のAr*原子フラックスは、前述したように、エッチャントをドーズされた、または吸着されたフィーチャに衝突する。Ar*原子は、表面に電子エネルギーを与えて化学反応を誘発し、この化学反応は、例えばフィーチャの底面で表面のエッチングを生じ、側壁では生じない。Ar*誘発エッチング(またはAr*誘発脱着)によって表面上のエッチャントが完全に使い尽くされると、エッチング反応が止まる。表面に当たるArおよびAr*のビームからの運動量輸送は非常に小さいので、表面の損傷は実質的に生じない。図3は、鉛直に指向されたAr*原子のみが、フィーチャ304の底面302に衝突し、フィーチャ304の側壁306および308には衝突しないことによる、この鉛直エッチングの態様を示す。
【0038】
分離プレート構造202および/またはコリメータプレート226の穴パターンに起因する表面層の不均一なエッチングを防止するために、分離プレート構造202および/またはコリメータプレート226を基板228に対して移動させることができる(または逆に基板を移動させることができる)。分離プレート構造202および/またはコリメータプレート226、および/またはウェハおよびウェハチャックアセンブリの相対側方移動は、分離プレート構造202またはコリメータプレート226の通し穴パターンが基板表面の所与の領域にのみインプリントされるのを防止する効果を有する。
【0039】
一般に、分離プレート構造202および/またはコリメータプレート226、および/またはウェハおよびウェハチャックアセンブリの相対側方移動は、ウェハ上でのすべての関連位置で均一な時平均Ar*フラックスを保証するように十分に大きくすべきである。一般に、側方移動振幅は、少なくとも分離プレートの穴の間の距離と同じでよく、1つまたは複数の実施形態では、好ましくは分離プレートの穴の間の距離の2倍でよい。
【0040】
図4は、本発明の一実施形態による、原子層エッチングを行うためのステップを示す。ステップ402で、基板表面でのエッチャントガス分子の吸着を促進するために、チャンバ、より特定的にはウェハの上方のチャンバ領域がエッチャントソースガスで充填される。ステップ404で、エッチャントガスがチャンバから排気され、不活性ガスで置き換えられる(ステップ406)。次いで、不活性ガスが励起されて点火され、プラズマ発生領域内でプラズマを生成して、準安定ガスを発生する(ステップ408)。
【0041】
上述したように、不活性ガスの準安定ガスは、基板の吸着済みの表面で表面反応を誘発することによって基板層をエッチングするために採用される。プラズマのエネルギー種が基板表面に接触するのを防止し、それにより、基板表面の損傷または過度のエッチングを最小限に抑えるために、分離プレート構造を採用することができる。望まれる場合には、エッチング方向性をさらに促進して高い異方性のエッチングを行うために、コリメータプレートを採用することもできる。
【0042】
分離プレート構造および/またはコリメータプレートの穴パターンに起因する表面層の不均一なエッチングを防止するために、ステップ410で、分離プレートおよび/またはコリメータプレートを基板に対して側方に移動させることができる(または逆に基板を移動させることができる)。この移動は、例えば、適切なアクチュエータ構成(モータおよび任意選択で関連の歯車機構を含むことがある)によって行うことができる。
【0043】
前述したことから理解することができるように、本発明の実施形態は、エッチャント分子を吸着されている基板層との表面反応を活性化するために、不活性ガスの準安定ガスを採用する。基板の吸着済みの表面層上でエッチングを行うために準安定ガスの電子エネルギーを採用することによって、また、原子層エッチング中にプラズマ種が基板表面に衝撃するのを防止することによって、本発明の実施形態は、有利には、非常に繊細な層をエッチングするとき、および/または臨界原子層エッチングを行うときに、エネルギー種によって引き起こされる衝撃損傷を回避する。
【0044】
本発明をいくつかの好ましい実施形態に関して述べてきたが、本発明の範囲内に含まれる変更、並べ替え、および均等形態もある。本明細書で用語「集合」を採用するとき、そのような用語は、その一般的に理解される数学的意味合いを有するものと意図され、0個の要素、1個の要素、または複数個の要素を包含する。本発明は、これらの変更、並べ替え、および均等形態も包含するものと理解すべきである。また、本発明の方法および装置を実施する多くの代替方法があることにも留意すべきである。本明細書で様々な例を提供したが、これらは例示にすぎず、本発明に対する限定ではないものと意図される。
本発明は、以下の適用例としても実現可能である。
[適用例1]
半導体処理チャンバ内で基板上の層をエッチングするための方法であって、
前記チャンバ内に第1のガスを導入するステップであって、前記ガスが、前記層をエッチングするのに適したエッチャントガスであるステップと、
前記第1のガスの少なくともいくらかを前記層内に吸着させるのに十分な期間にわたって、前記第1のガスを前記チャンバ内に留めるステップと、
前記チャンバ内の前記第1のガスを不活性ガスで実質的に置き換えるステップと、
前記不活性ガスから準安定ガスを発生させるステップと、
前記準安定ガスで前記層をエッチングするステップと、
を備える、方法。
[適用例2]
適用例1に記載の方法であって、
前記準安定ガスは、前記不活性ガスからプラズマを生成することによって発生される、方法。
[適用例3]
適用例2に記載の方法であって、
前記準安定ガスは、前記プラズマから前記層に移動する間に分離プレート構造を横断する、方法。
[適用例4]
適用例3に記載の方法であって、
前記分離プレート構造は、前記層へのプラズマ荷電種の移動を実質的に防止するように構成された複数の穴を有する、方法。
[適用例5]
適用例3に記載の方法であって、
前記分離プレート構造は、互いに電気的に絶縁された少なくとも2つのプレートから構成され、前記2つのプレートは、前記エッチング中に異なる電位を有する、方法。
[適用例6]
適用例3に記載の方法であって、
前記準安定ガスは、前記プラズマから前記層に移動する間にコリメータプレートも横断し、前記コリメータプレートは、前記基板と前記分離プレート構造との間に設けられる、方法。
[適用例7]
適用例3に記載の方法であって、さらに、
前記準安定ガスを用いた前記エッチング中に、前記分離プレートと前記基板との少なくとも一方を互いに対して移動させるステップを備える、方法。
[適用例8]
適用例1に記載の方法であって、
前記エッチャントガスは少なくともハロゲンを含有し、前記層はSiを含有する、方法。
[適用例9]
適用例1に記載の方法であって、
前記期間は、約0.05秒〜約180秒の間である、方法。
[適用例10]
適用例1に記載の方法であって、
前記準安定ガスを発生させる前記ステップは、前記チャンバ内の前記第1のガスの少なくとも約80%が前記不活性ガスで置き換えられた後に行われる、方法。
[適用例11]
基板上の層をエッチングするための基板処理チャンバを有する基板処理システムであって、
前記エッチング中に前記基板が上に配置されるチャックと、
前記チャンバをプラズマ発生領域と基板処理領域とに分離する分離プレート構造と、
前記プラズマ発生領域内でプラズマを発生させるためのプラズマ源と、
論理回路と、を備え、
前記論理回路は、
前記チャンバ内に第1のガスを導入するステップであって、前記ガスが、前記層をエッチングするのに適したエッチャントガスであるステップと、
前記第1のガスの少なくともいくらかを前記層内に吸着させるのに十分な期間にわたって、前記第1のガスを前記チャンバ内に留めるステップと、
前記チャンバ内の前記第1のガスを不活性ガスで実質的に置き換えるステップと、
前記不活性ガスから準安定ガスを発生させるステップと、
前記準安定ガスで前記層をエッチングするステップと
を行うためのものである、基板処理システム。
[適用例12]
適用例11に記載の基板処理システムであって、
前記準安定ガスは、前記プラズマ源を使用して前記基板処理領域内で前記不活性ガスからプラズマを生成することによって発生される、基板処理システム。
[適用例13]
適用例12に記載の基板処理システムであって、
前記準安定ガスは、前記プラズマから前記層に移動する間に前記分離プレート構造を横断する、基板処理システム。
[適用例14]
適用例13に記載の基板処理システムであって、
前記分離プレート構造は、前記層へのプラズマ荷電種の移動を実質的に防止するように構成された複数の穴を有する、基板処理システム。
[適用例15]
適用例13に記載の基板処理システムであって、
前記分離プレート構造は、互いに電気的に絶縁された少なくとも2つのプレートから構成され、前記2つのプレートは異なる電位を有する、基板処理システム。
[適用例16]
適用例13に記載の基板処理システムであって、さらに、
コリメータプレートを備え、
前記準安定ガスは、前記プラズマから前記層に移動する間に前記コリメータプレートも横断し、前記コリメータプレートは、前記基板と前記分離プレート構造との間に設けられる、基板処理システム。
[適用例17]
適用例13に記載の基板処理システムであって、さらに、
前記準安定ガスを用いた前記エッチング中に、前記分離プレート構造と前記コリメータプレートと前記基板との少なくとも一方を互いに対して移動させるための作動装置を備える、基板処理システム。
[適用例18]
基板上の層をエッチングするための基板処理チャンバを有する基板処理システムであって、前記基板は、前記エッチング中に前記チャンバ内部でチャック上に配置され、
前記基板処理システムは、
前記チャンバをプラズマ発生領域と基板処理領域とに分離する分離プレート構造と、
前記プラズマ発生領域内でプラズマを発生させるためのプラズマ源と、
論理回路と、を備え、
前記論理回路は、
前記チャンバ内に第1のガスを導入するステップであって、前記ガスが、前記層をエッチングするのに適したエッチャントガスであるステップと、
前記第1のガスの少なくともいくらかを前記層内に吸着させるのに十分な期間にわたって、前記第1のガスを前記チャンバ内に留めるステップと、
前記プラズマ発生領域内の前記第1のガスを不活性ガスで実質的に置き換えるステップと、
前記プラズマ発生領域内で前記不活性ガスからプラズマを発生させるステップと、
前記プラズマからの準安定ガスを用いて前記層をエッチングするステップと、を行うためのものであり、
前記エッチングは、前記プラズマから前記層へのプラズマ荷電種の移動を実質的に防止しながら行われる、基板処理システム。
[適用例19]
適用例18に記載の基板処理システムであって、
前記分離プレート構造は、前記層へのプラズマ荷電種の移動を実質的に防止するように構成された複数の穴を有する、基板処理システム。
[適用例20]
適用例18に記載の基板処理システムであって、
前記分離プレート構造は、互いに電気的に絶縁された少なくとも2つのプレートから構成され、前記2つのプレートは異なる電位を有する、基板処理システム。
[適用例21]
適用例18に記載の基板処理システムであって、さらに、
コリメータプレートを備え、
前記準安定ガスは、前記プラズマから前記層に移動する間に前記コリメータプレートも横断し、前記コリメータプレートは、前記基板と前記分離プレート構造との間に設けられる、基板処理システム。
図1
図2
図3
図4