特許第6203819号(P6203819)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203819
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】ウェーハ輸送容器
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20170914BHJP
   B65D 85/86 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   H01L21/68 T
   B65D85/38 R
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-505859(P2015-505859)
(86)(22)【出願日】2013年4月9日
(65)【公表番号】特表2015-518279(P2015-518279A)
(43)【公表日】2015年6月25日
(86)【国際出願番号】US2013035846
(87)【国際公開番号】WO2013155113
(87)【国際公開日】20131017
【審査請求日】2016年4月8日
(31)【優先権主張番号】61/621,777
(32)【優先日】2012年4月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラス・ヴィー・ラシュキ
(72)【発明者】
【氏名】バリー・グレガーソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・トッド・シュテフェンス
【審査官】 梶尾 誠哉
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/113033(WO,A2)
【文献】 実開平7−14650(JP,U)
【文献】 特開2004−247467(JP,A)
【文献】 特開2002−353301(JP,A)
【文献】 特開平11−121601(JP,A)
【文献】 特表2008−521259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
B65D 85/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形の周縁と所定の厚さを有する複数枚のウェーハを、間隔を空けて積み重ね各ウェーハの中心を通る積み重ねの軸ができた状態で保持するためのウェーハ容器であって、
積み重ね状態のウェーハを受け入れるため複数の壁で開口のある内部が形成されこの壁のうちの4つで開口の周囲が形成されたベース部材と、このベース部材と結合し協働して積み重ね状態のウェーハを収容するための閉じた内部を形成するカバー部材とを備えており、
カバー部材がその内側表面に取付構造部を備え、そのカバー部材の内側表面にウェーハクッションが取付構造部の箇所で取り付けられており、
ウェーハクッション部材がウェーハの積み重ねの軸と平行な方向を長さ方向とする所定の長さと幅を有し、両側に一対の支持構造部があって中央に細長いクッション窓が形成された概して矩形の支持構造体を備えており、
両側の支持構造から一列に並んだ複数のウェーハ受け指状部が中央で窓の中に長さ方向に突き出て、各ウェーハ受け指状部で積み重ね状態のウェーハの一枚を受けるようになっており、
ウェーハ受け指状部がそれぞれ両側の2つの支持構造の一方から延びる一対の脚を備えて、その一対の脚がウェーハ受け指状部の中間部まで延びており、
ウェーハ受け指状部が末端部にウェーハ受けパッドを備えているウェーハ容器。
【請求項2】
請求項1のウェーハ容器であって、ウェーハ受けパッドがそれぞれ先端に向かって広がっているウェーハ容器。
【請求項3】
請求項1または請求項2のウェーハ容器であって、指状部がそれぞれ隣の指状部とは反対側の支持構造から出ているウェーハ容器。
【請求項4】
請求項1または請求項2のウェーハ容器であって、両側の支持構造にそれぞれ一列のリブが一体に設けられて一列の溝を形成しており、その各溝が指状部に対応しているウェーハ容器。
【請求項5】
請求項1または請求項2のいずれかのウェーハ容器であって、指状部がそれぞれ広がった末端部を備えておりその末端部が隣の指状部の狭まった部分と隣り合う位置にあるウェーハ容器。
【請求項6】
請求項1または請求項2のいずれかのウェーハ容器であって、ベース部材の中に設置されたHバーキャリヤと、そのHバーキャリヤの下に置かれたベース側ウェーハクッション部材とをさらに備えたウェーハ容器。
【請求項7】
請求項6のウェーハ容器であって、ベース側ウェーハクッション部材が複数の溝を成す複数のリブを有し、その各溝が間隔を空けて積み重ねたウェーハの一枚を支持するための帯状の下部支持部を形成しており、その下部支持部が各溝の両端部でそれぞれ広がって各端にフレア部を形成しているウェーハ容器。
【請求項8】
請求項1または請求項2のいずれかのウェーハ容器であって、ウェーハクッション部材が中央のウェーハ受け指状部の列の両側にリブのある一対の領域を備えているウェーハ容器。
【請求項9】
請求項8のウェーハ容器であって、リブのある一対の領域にそれぞれ複数の溝があって、その各溝が底部にウェーハの一枚を保持するための保持領域を有し、その底部の保持領域がそれぞれ湾曲面と一対の端部とを有し、その各端部にフレア部があって保持領域が端部で外側に広がっているウェーハ容器。
【請求項10】
複数枚の薄いウェーハを間隔を空けて積み重ねた状態で保持するためのウェーハ容器とその積み重ね状態の薄いウェーハとの組み合わせで、そのウェーハの直径が100mmと150mmのいずれか、厚さが200μm以下であり、積み重ねが各ウェーハの中心を通る軸を有し、各ウェーハが円形の周縁と所定の厚さを有するものであって、
ウェーハ容器がHバーキャリヤとベース部材とベース側ウェーハクッションとカバー部材とカバー側ウェーハクッションとを備えており、
Hバーキャリヤが積み重ね状態のウェーハに対応して一定のピッチを定める複数の溝を備えており、
ベース部材がHバーウェーハキャリヤを積み重ね状態のウェーハとともに受けられるようになっており、
ベース部材がHバーウェーハキャリヤを設置する底壁と取付構造部とを備え、その底壁にベース側ウェーハクッションがHバーキャリヤの下に取り付けられており、
ウェーハクッションがHバーキャリヤの溝と対応させて位置を揃えた複数の溝を形成する複数のリブを備えており、各溝が底部にウェーハの一枚を支持するための支持領域があり、各溝の底部の各支持領域が湾曲面と一対の端部とを有し、その各端部にフレア部があることで支持領域が端部で外側に広がっており、
カバー部材がベース部材と協働して連結することによってHバーキャリヤを積み重ね状態のウェーハとともに覆うための閉じた内部が形成されており、
カバー部材がその最上部の壁に取付構造部が設けられており、その取付構造部にカバー側ウェーハクッションが固定されており、
カバー側ウェーハクッションにHバーキャリヤの溝に対応する複数の溝が形成されており、カバー側ウェーハクッションが一列に並んだ複数のウェーハ受け指状部を備えており
この指状部がそれぞれウェーハの積み重ねの軸と平行な方向の幅を有し、各指状部の最大幅の部分がその指状部とそれが出ている支持部との接合部にあり、
指状部がその指状部と支持部との接合部の箇所に2本の脚を備えている、
ウェーハ容器とウェーハの組み合わせ。
【請求項11】
請求項10のウェーハ容器と積み重ね状態の薄いウェーハとの組み合わせであって、ベース側ウェーハクッションの溝の両端部にあるフレア部が溝の端部から少なくともウェーハのピッチ分だけ離れたあたりから始まっているもの。
【請求項12】
請求項10のウェーハ容器と積み重ね状態の薄いウェーハとの組み合わせであって、カバー側ウェーハクッションが窓を形成する一対の支持部を有しており、その一対の支持部から一列に並んだ複数のウェーハクッションが窓の中に突き出ており、その指状部がそれぞれ基部と中間部と末端部とを備え、基部前記の2本の脚を備えているもの。
【請求項13】
請求項10、請求項11、請求項12のいずれかのウェーハ容器と積み重ね状態の薄いウェーハとの組み合わせであって、指状部がそれぞれ支持部から隣の指状部とは反対の方向に出ているもの。
【請求項14】
請求項10、請求項11、請求項12のいずれかのウェーハ容器と積み重ね状態の薄いウェーハとの組み合わせであって、指状部がそれぞれウェーハの積み重ねの軸と平行な方向に狭まった部分を有し、その狭まった部分が隣り合う指状部のフレア部の隣にあり、そのフレア部がウェーハの積み重ねの軸と平行な方向に広がっているもの。
【請求項15】
請求項10から請求項12のいずれかのウェーハ容器と積み重ね状態の薄いウェーハとの組み合わせであって、指状部がそれぞれ先端とウェーハを受けるための溝とを備えた末端部を有し、その末端部がそれぞれウェーハに向かう方向に広がり、先端もしくは先端近傍でその広がりが最大になっているもの。
【請求項16】
請求項10から請求項12のいずれかのウェーハ容器と積み重ね状態の薄いウェーハとの組み合わせであって、指状部がそれぞれ基部と中間部と末端部とを有し、基部にウェーハと対面する凹状の湾曲面があり末端部にウェーハと対面する凸状の湾曲面のあるS字形状となっているもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して回路基板や半導体ウェーハなどを運ぶための容器に関するものである。より具体的には、軸方向に並んだ薄く、多くは円形のウェーハ基板を複数運ぶのに便利なウェーハ容器における改良型のウェーハ支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
何年もの間メーカーは基板や半導体ウェーハなどを運搬し保管するための特別な容器を製造している。ウェーハは繊細で非常に高価なものであるため、運搬工程全体を通して適切に保護することが必須である。ウェーハの取り扱いは一般に自動化されているので、ウェーハはロボットが出し入れできるよう取り扱い装置に対して精確に配置される必要がある。
【0003】
半導体ウェーハを輸送したり、保管したり、加工したりする際には、破損による損傷からの保護することだけでなく、清浄度と汚染度の制御が重要である。ウェーハ上に薄膜層を形成する可能性のある粒子が出るのを防ぐ、あるいは最小限にし、ガス等の汚染物が発散するのを防ぐため、使用される部品や材料は非常に清浄でなければいけない。容器や部品は一般に再利用されており、洗浄に適していなければならず、繰り返される洗浄と乾燥のサイクルに耐えられなければいけない。さらに、ウェーハ容器が常用品であるという性質上、特に100mmと150mmのウェーハの輸送容器は、安価に製造できかつ部品交換等のメンテナンスが安価に行えることが重要である。
【0004】
特に100mmと150mmのウェーハ用の従来のウェーハ輸送容器は、複数の半導体ウェーハを保持させるためのウェーハカセットがウェーハカセット容器内に入れられる。この組み合わせにより、保管と運搬の間に機械的な損傷と汚染物からウェーハが保護される。代表的なウェーハ輸送容器の先行技術については、例えば、米国特許第4949848号、第4966284号、第4793488号、第5273159号の各明細書を参照されたい。これらの特許は、本発明の権利所有者が所有するものであり、本願に参照援用する。
【0005】
従来のウェーハカセットは一体成形部品であり、一般に、Hバー状のマシンインターフェース部となる前端と、パネルのある後端と、下部がウェーハの曲線に沿って曲がっている、あるいはすぼまっている溝のある側壁とを備えており、米国特許第5782362号(本願に全文を参照援用する)に開示されている装置のような開口のある上部部材と開口のある底部部材とを備えている。
【0006】
最近、半導体産業では断面寸法の非常に薄いウェーハが使用され始めている。これらの薄型シリコンウェーハの厚さは、一般的な既存のSEMI規格のウェーハの厚さとは対照的に、200μmほどの薄さになることがある。また、薄型ゲルマニウムウェーハの厚さは125μmになることもある。薄型ウェーハには特有の設計上の留意点があるので、カセット型の輸送容器はより薄いウェーハと使用する場合いくつか不十分な点がある。薄型ウェーハとは、SEMI規格におけるウェーハの公称厚さより薄い厚さのウェーハであると考えてもよい。
【0007】
薄型ウェーハのもう一つの特徴は、標準ウェーハより大幅に壊れやすく、物理的損傷が起きやすいことである。ウェーハの支持部がウェーハの最も縁のあたりに限られている従来のウェーハキャリヤは、衝撃の際により大きな応力を引き起こす。こうして応力が生じると、ウェーハは衝撃又は振動から物理的損傷をさらに受けやすくなる。
【0008】
薄型ウェーハの縁は非常に鋭くなることがあり、シリコンやゲルマニウムのようなとても硬い素材から形成されている。カバーが取り付けられたとき、鋭い縁がクッション部材に引っ掛かって斜めに嵌って(クロススロッティングして)しまい、ウェーハを損傷する可能性がある。加えて、薄型ウェーハは、ウェーハキャリヤのプラスチック材など、ウェーハの周縁と接触する自分より柔らかい素材を切ってしまうことがある。
【0009】
既存の容器は、薄くて壊れやすいウェーハを損傷する可能性のある物理的衝撃の影響が小さくなるように設計されているが、この衝撃を小さくする特性をさらに改良したウェーハ容器が必要である。製造コストは低く抑えたまま、非常に薄いウェーハとともに使用するのに適し、特に壊れやすさの増した分を吸収できるような特別に設計されたウェーハキャリヤが必要である。
【0010】
国際公開2011/113033号(本願に参照援用する)にはそのような改良された容器が開示されている。この容器は先行技術に対して大きな利点があり、薄型ウェーハのために使用するのに適しているが、ウェーハの保護にはさらなる向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4949848号明細書
【特許文献2】米国特許第4966284号明細書
【特許文献3】米国特許第4793488号明細書
【特許文献4】米国特許第5273159号明細書
【特許文献5】米国特許第5782362号明細書
【特許文献6】国際公開2011/113033号
【特許文献7】米国特許第6736268号明細書
【特許文献8】国際公開第2011/113033号
【特許文献9】国際出願第PCT/US2005/003220号
【特許文献10】国際公開第2009/089552号
【発明の概要】
【0012】
本発明は、薄いデータ半導体ウェーハ等の薄い回路基板を運搬、保管、処理するのに使用する改良型ウェーハ容器のひとつの実施例である。このウェーハ容器は、運搬のための2部材構成の容器部の中にカセット部材を設置することで構成される。この容器部は、底部カバーに上部カバーを取り付け、カセットの中央あたりにその結合部がくるように構成される。上部カバーとベース部材はそれぞれ深さがほぼ同じである。上部カバーと底部カバーにはそれぞれ、確実にウェーハがクロススロッティングせず運搬する間に損傷しないようしっかり保持できるよう設計されたクッション構造が設けられる。上側クッション部材には、ウェーハのこのクッション部材と向かい合う側を受けるための複数の溝を形成する複数のウェーハ受けリブを設けることもできる。クッション部材の交互の側からはリブ2つごとに1本の指状部を延ばし、クッション部材において各指状部が隣の指状部とは反対側から出た状態とする。この指状部は基部と中間部と末端部とを有するものであり、ウェーハを保持するための溝のあるパッド部と、リブが設けられた部分ないし支持部からパッド部ないし中間部に延びる2つの脚のあるフォーク形状部とを備えた概してY字形の形状に形成することもできる。
【0013】
本発明の各種実施例の特徴及び利点として、ウェーハ受けリブから延びるフォーク形状部のある複数の指状部と、ウェーハのための溝のあるパッドとを備えた上側クッション部材が設けられる。フォーク形状部は、リブの離れた二箇所から延び、指状部に広い基部を形成する。指状部はクッション部材の両側から交互に延ばすことで、フォーク形状部の幅をリブ2本分の幅まで拡張できるようにする。フォーク形状部つまり基部は、ウェーハ受けパッド周りのねじり力と、パッドが受けるウェーハの周縁を横切る方向の力の両方に対してより大きな抵抗となる。つまり、ウェーハの積み重ねの軸に概して平行な力である。このように力に対する抵抗が向上したことにより、ウェーハの積み重なりの軸に向かう径方向(z方向)への比較的弱い抵抗を残しながらも、ウェーハの保護が向上する。
【0014】
本発明の各種実施例の特徴及び利点として、複数の片持ちの細長い指状部であってそれぞれウェーハの縁を受ける前にウェーハに面して向かい合う正面とこの正面の反対側にある背面と側面とを備えたものが設けられる。各指状部は、指状部の列中で隣り合う指状部の側面と向かい合う少なくとも1つの側面を有する。
【0015】
本発明の各種実施例の特徴及び利点として、片持ちの細長い指状部で、該指状部はその正面から見るとY字形状とし、Y字の上側の2本の脚はそれぞれ軸方向に延びる支持部材に結合し、Y字の下側の脚は外向きに片持ちで、ウェーハの前側の縁を受けるためのウェーハ受けパッドを形成する。
【0016】
本発明の各種実施例の特徴及び利点として、基部と狭まったネック部ないし中間部と広がった末端部のある片持ちの細長い指状部が設けられる。ウェーハの積み重ねの軸と平行な方向に測った指状部の幅はネック部で最も狭く、結合しているレールに隣接した基部で最も広い。広がった末端部には、パッドの先端が指状部のいかなる部分よりも最も前方、つまりウェーハとの当接方向にせり出すような形状のウェーハ受けパッドが形成されている。ウェーハの積み重ねの軸に垂直な方向で測った指状部の奥行きは先端で最も大きい。ウェーハの積み重ねの軸に平行な方向に測ったウェーハ受けパッドの幅は末端で最も大きい。本発明の実施例によっては、細長い指状部の形状は、正面又は背面から見てボウタイの形状になっているということもできる。
【0017】
本発明の各種実施例の特徴及び利点として、基部と狭まったネック部ないし中間部と広がった末端部のある片持ちの細長い指状部が設けられる。指状部は積み重なったウェーハを受けることができるように一列に配置され、広がった末端部はそれぞれ広がりのある方向が互い違いになるように配置される。つまり、ある指状部の末端部が右側に出て右側で広がっていれば、これに続く隣の指状部は末端部が左側に出て左側で広がっており、続く隣のは右側に、と続く。
【0018】
本発明の各種実施例の他の特徴及び利点として、末端に向かって外向きに広がるパッドを備えた指状部が設けられる。ある指状部のフレア部がその指状部の両隣にある指状部の隣り合う狭まった部分の間の空間を占めるようにすることで、ウェーハがパッド同士の隙間に来てしまう可能性が減り、クロススロッティングが抑制される。ウェーハは、そうなる代わりにパッドのウェーハ溝内に導かれ、適切に支持される。
【0019】
本発明の各種実施例の特徴及び利点として、各片持ちのウェーハ受け指状部の基部に2本の脚が設けられる。この2本の脚によって、ウェーハ受けパッドが指状部の長手方向の軸の周りに回転することに対する抵抗が向上するとともに、ウェーハを受けるときの前後方向の圧力が減少し、200μm以下の壊れやすい薄型のウェーハに理想的に適する形状を作り出すことができる。
【0020】
本発明の各種実施例の特徴及び利点として、基部と中間部と末端部のある複数の片持ちの細長い指状部が設けられ、その末端部はウェーハの周縁を受けるためのパッドを含み、各ウェーハ指状部は、前面側(つまりウェーハを受ける側)に凹型湾曲面のある基部と、前面側に凸型湾曲面のある末端部とを備えたS字形状を有する。この湾曲面により、ウェーハとの当接方向、つまりz方向の力に対する抵抗に影響を与えず又は抵抗を低減させることなく、細長い指状部の捩れに対する抵抗を増加させることができる。
【0021】
本発明の各種実施例の特徴及び利点として、下側クッション部材には溝端部にフレア部のあるウェーハ溝が設けられる。各溝はクッション部材の縁に近づくにつれて溝角度をつけて外向きに広がり、その溝を形成している隣り合うウェーハ受けリブの間に広い面を形成する。フレア部は、溝の端部における隣り合うリブ同士の間に概してY字形の形状を形成することもできる。フレア部によってできる広い端部面は、ウェーハを溝内に導いてクロススロッティングを防ぐ働きをし、またより安定したウェーハの支えとなる頑丈なクッションとなる。従来の溝のリブが突然終わっていたのと比べて、この緩やかなフレアによれば、ちょうど溝の端部のところに曲がりのあるウェーハを支えることも可能になり、これは従来の急な溝の終端よりも大きな衝撃保護が得られる。ウェーハの湾曲する部分は、基本的にウェーハの円周の長い距離にわたって広がるようになり、溝の端部でウェーハにかかる応力が減少する。広がった溝部は、リブの端部から少なくとも隣り合うリブ同士の間の距離(すなわちピッチの分)程度だけ離れたところでその広がりが始まる。上側ウェーハクッション部材のリブと溝にもフレア部を設けることができる。
【0022】
本発明のさらなる目的、利点、新たな特徴については、ある程度は以下の説明において述べるが、当業者が下記を調べることで理解できたり、本発明を実施することによって習得できたりする部分もある。本発明の目的と利点は添付の請求の範囲で特に指摘する手段と組み合わせることによって実現し達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施例としてのウェーハ輸送容器の斜視図。
図2】本発明の実施例としてのウェーハ輸送容器の分解図。
図3図1に示すウェーハ輸送容器の断面図。
図4】本発明の実施例としてのウェーハ輸送容器の一部の上面斜視図。
図5図4に示すウェーハ輸送容器の部分の底面斜視図。
図6図4に示すウェーハ輸送容器の部分の底面平面図。
図7図4に示すウェーハ輸送容器の部分の部分図。
図8図4に示すウェーハ輸送容器の部分の部分図。
図9図4に示すウェーハ輸送容器の部分の部分図。
図10】本発明の実施例としてのウェーハ輸送容器の一部の上面斜視図。
図11図10に示すウェーハ輸送容器の部分の底面斜視図。
図12図10に示すウェーハ輸送容器の部分の上面平面図。
図13図10に示すウェーハ輸送容器の部分の部分図。
図14図10に示すウェーハ輸送容器の部分の斜視図。
図15図10に示すウェーハ輸送容器の部分の部分図。
図16図10に示すウェーハ輸送容器の部分の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1図2図3を参照すると、本発明の実施例によるウェーハ輸送容器20が例示されているが、これはベース部材24と上部カバー部材28とカセット30と下側クッション部材34と上側クッション部材38とを備えた容器部分22が含むものである。ベース部材と上部カバー部材は複数の壁37を有する。通常の慣例と同じく、ウェーハはz方向に差し込み・取り出しされ、y方向はウェーハWの積み重ね39(図3にはウェーハの一枚を示している)の軸aと平行である。溝はx方向に向きが揃っている。図3からわかるように、下側クッション部材34とカセット30(Hバーキャリヤ若しくはカセットとして知られている)とが、ベース部材24の中に置かれてウェーハWを受ける。Hバーキャリヤは、Hバー35と歯36と開口した底部37と端壁37.2と側壁37.3とを備える。上側クッション部材38はカバー部材28に装着し、カバー部材28をベース部材24に取り付けたときにウェーハWを受けることが可能である。上部カバーは閉じるとベース部材の縁部41にかみ合わさる。
【0025】
図3図9を参照すると、本発明の実施例によるウェーハ輸送容器20の上側クッション部材38の詳細が示されている。上側クッション部材38には、概して周方向、つまりウェーハの面に概して平行なz−y平面の方向に延びる一対のエンドレール40を設けることもできる。支持部ないし支持レール41はまた、ウェーハの積み重ねの軸に平行なx方向に延びる。複数のレールは支持・取付構造となる骨格41.1を形成し、骨格41.1はリブの2つの列41.2と指状部の列41.3とを支持し、カバーの内側上面45にある取付構造部43への取り付けを可能にする。例示した実施例では、リブの部分は一体でその間に隙間がなく互いに連結した、つまり開口部のないリブを有する。リブには、ウェーハを受けるためのウェーハ溝42が複数形成される。ひとつの実施例として、溝42は、カバーをベース部材に置いたときにウェーハに面して向かい合う概してV字形の形状を有する。ウェーハ溝42はそれぞれ隣接する2つのリブ44の間に形成される。溝42とリブ44はウェーハの周縁に沿うように弧状に形成することもできる。リブ44はクッション部材38の両側に沿って配置し、指状部46が支持レール47として構成される支持部などから向かい合う側のリブ44の間に延びるようにすることもできる。各指状部46は、基部46.1と中間部46.2(ないしネック)と末端部46.3とのある概してY字形の形状とすることもできる。各指状部は、「y」の上側の2本の脚49が形成されたフォーク形状部48を、リブ44に隣接する細長い支持レール47から延びる基部46.1として備えたものとすることもでき、フォーク形状部48は。2本の脚は中間部で接合し、中間部は末端部につながり、末端部はウェーハ受けパッド50を含む。パッド50には、溝ウェーハの周縁53を受け入れるためのウェーハ溝52があり、リブ44の間の溝42と向きを揃えてある。ひとつの実施例として、リブ部は指状部を支持する部分とすることもできる。図6を参照すると、支持部53.1は窓53.2を形成している。
【0026】
実施例によっては、パッド50の末端部は、パッド50の先端55で幅が最大になるように広げることもできる。パッドの最も(z方向について)前に出ている部分もまたパッドの先端若しくは先端近傍にすることによって、パッドはz方向の幅に関して、またy方向ないし周方向の幅に関しても、中間部に向かって狭まるようにする。この2方向のフレア部は、ウェーハが指状部46同士の間の領域に入るのを防ぐのに役立つことがある。基部の2本の脚の間には、フォーク形状部48によって形成される開口領域内に延び、クッション部材38を成形する際に型から取り出すのに役立つピンパッド54がある。このような位置であれば、成形品を取り出す間にパッドが変形しても、部材の重要な寸法や機能に影響が及ばない。
【0027】
図6図8に見られるように、指状部46は、クッション部材38の両側から交互に延びるような、互い違い式に配置することもできる。こうすると、クッション部材38の片側の二つのリブ44の間にある溝42と、クッション部材38の反対側の二つのリブ44の間にある同じ位置の溝42と、隣り合ういずれかの側から延びる指状部46のパッド50に形成された溝52とによって、ひとつのウェーハ支持面が形成される。そして、リブ44の間の隣り合う溝42と、反対側から延びる指状部46のパッド50の溝52によって、その隣りの支持面が形成される。この形状とすれば、互い違い式となっていることによってフォーク形状部48の幅を大きくすることができるので、指状部46のフォーク形状部48を(x方向について)最大幅で利用できるようになる。ひとつの実施例として、指状部46はその最大幅の位置でリブ44の2つ分とほぼ等しい幅となるようにする。これにより指状部46はクッション部材にかかるねじり力と軸力の両方に対してより大きな抵抗を発揮するようになるため、この点で大きな安定性と衝撃吸収性が得られる。
【0028】
次に、図10図16を参照すると、本発明の実施例となるウェーハ輸送容器20の下側クッション部材34が図示されている。この下側クッション部材34は一対のレール58を備えており、このレール58の間には弧状のウェーハ受け部56がある。レール58には下側クッション部材34をウェーハ輸送容器のベース部材24内に設置するための脚60が設けられる。隣り合うリブ56の間には、ウェーハを下側クッション部材34で支持するための溝62が形成される。ひとつの実施例として、溝62は概してV字形の溝によって形成される。図12図15に見られるように、ウェーハ溝62はそれぞれ端にフレア部64がある。ひとつの実施例として、このフレア部64は各溝の端部に概してY字形状の形態を形成する。フレア部64は隣り合うウェーハ受け部56の間にある最も端の連結点で広い表面を形成し、これによってウェーハを溝62内に導いてクロススロッティングを防ぐのに役立ち、またウェーハのより安定した支えとなるより頑丈なクッション部材34ができる。フレアは、リブの端部に近づくにつれて溝の最も深い部分を広げることにより形成される。これはリブを狭くすることに対応する。溝を形成している隣り合うリブの2つの面の成す角度は、測定箇所がリブの端部に近づくにつれて減少する。このような広がりは、リブ端部から見てリブの頂点から頂点までの距離dとほぼ等しい距離fのあたりで始めるのが適当である。この距離dは隣り合う溝に設置される2枚のウェーハの対応する表面の間の距離(ウェーハの「ピッチ」としても知られている)とも等しい。このフレアによって、従来端部でリブを丸めていたのとは異なり、リブがより緩やかに先細りするようになる。フレアによってウェーハの周縁の支持されていない部分がいくらかたわみ、その部分がたわむにつれてその一部も支持できるようになる。これにより、リブの端部におけるウェーハの一点ではなくリブのフレア部にたわんだ箇所がウェーハ内で広がり応力が分散する。リブが終わるところの一点のあたりでたわむと、上述のフレア付きの溝を使用する場合と比べてウェーハが過剰な負荷を受け割れやすくなると考えられる。フレアを別の方法で説明すると、リブの端部に先細りに近づくにつれてリブをy方向に薄くすることとなる。繰り返しになるが、先細りはリブの端部からピッチ程度の距離のところで始めることもできる。
【0029】
クッション構造34、38は、二次的な梱包部材を追加することなく衝撃、振動、回転によるウェーハの損傷を最小限にするために、運搬の間にウェーハWにとっての付加的な支えとなるものである。また、容器の上部カバーを取り付ければ、この付加的なウェーハクッション構造により、ウェーハをカセット内の最適な支持位置へ導くことができ、格納作業と運搬の際にウェーハがクロススロッティングするリスクを減らすことができる。隣り合うウェーハ同士が触れ合わないようにウェーハの上側と下側の周縁が上側クッション部材38のV字ウェーハ溝42、52と下側クッション部材34のV字溝62それぞれの中心線にあることにより、ウェーハどうしの接触が減り、ウェーハ表面の汚染が最小限となる。さらに、クッション構造の弾性復元力は、ウェーハの上側の周縁がクッション部材に接触したときにウェーハが確実に正確な位置にくるよう機能する。この弾性クッションはウェーハの周縁がV字溝の中心線まで動くよう弓状に曲がっている。クッション構造の弾性復元力は、ウェーハ容器を運搬している間にウェーハに加わる振動と機械的な衝撃を減衰させる効果があり、中に格納されているウェーハを損傷から保護できる。上側クッション部材38の指状部46によってこの減衰効果はさらに増大する。
【0030】
本明細書に出てきた各部材は、通常は射出成形によって形成される。ポリマーはポリプロピレン、ポリカーボネート、ナイロン、LCPの他、ウェーハ格納構造に通常利用されるポリマーとすることができる。
【0031】
米国特許第4949848号、第4966284号、第4793488号、第5273159号、第6736268号と、国際公開WO2011/113033号と、国際出願PCT/US2005/003220号と、国際公開WO2009/089552号には同様の容器の構造や特徴が例示されており、このような構造、材料、特徴は本発明とともに使用するのに適している。これらの特許と公報は本発明の名義人が権利を所有しているものであり、本願に参照援用する。本明細書のウェーハ受け構造は、輸送用の箱という文脈の中で説明したものの、ベース部材が容器部でカバーが容器部の開口部を覆うドアとなった300mmと450mmのウェーハ用の前面開口ウェーハ容器にも適用することができる。
【0032】
以上、本出願の全ての部分における参照文献はその全文をあらゆる目的のためにここに参照援用する。
【0033】
本明細書(参照援用した参照文献と、添付の特許請求の範囲、要約書、図面を含む)に開示した全ての特徴や開示した任意の方法ないし工程の全ての段階は、このような特徴や手順の少なくともいくつかが互いに排他的な組み合わせである場合を除いて、任意の組み合わせでも組み合わされ得る。
【0034】
本明細書(参照援用した参照文献と、添付の特許請求の範囲、要約書、図面を含む)に開示した各特徴は、そうでないと明示されていない限り、同一、均等、類似の目的を果たす代替の特徴によって置き換えることもできる。故に、そうでないと明示されていない限り、開示した各特徴は、包括的な均等ないし類似の一連の特徴の一例にすぎない。
【0035】
本発明は前述の(複数の)実施例の詳細に限定しない。本発明は本明細書(参照援用した参照文献と、添付の特許請求の範囲、要約書、図面を含む)に開示されている特徴の任意の新たなもの若しくは任意の新たな組み合わせに、又は開示される任意の方法ないし工程の手順の、任意の新たなもの若しくは任意の新たな組み合わせにも及ぶ。以上、本出願の全ての部分における参照は、あらゆる目的のためにその全文をここに参照援用する。
【0036】
本明細書では各種の具体例を図示し説明しているが、図示した具体例に代えて同じ目的を達成可能であると評価できる任意の構成を用いることができることは当業者であれば明らかであろう。本出願は対象物を作り変えたり変形したりしたものを含むことを意図する。したがって、添付の特許請求の範囲とその法的な均等物のみならず、続く例示の態様によっても発明の範囲を定めることもできるとの意図がある。本発明の上述の態様の実施例はその原理を単に説明するものであり、限定するものとしてみなされるべきではない。本明細書に開示した発明は当業者によってさらに変更を行う場合があり、このような変更の全ては本発明の範囲内であるとみなす。
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