(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板を水平に保持する基板保持部と、前記基板保持部を回転させる基板回転機構と、前記基板保持部により保持された基板に処理液を供給するための処理液供給部と、前記基板保持部を囲うよう設けられた案内カップと、基板に供給した後の処理液を回収するためのドレイン部と、前記ドレイン部の近傍に設けられ、前記基板保持部により保持された基板の周囲の雰囲気を排気するための排気部と、前記基板保持部により保持された基板を処理液により処理する領域である第1の領域と前記ドレイン部および前記排気部が設けられた領域である第2の領域との間に設けられた排気経路形成部材であって、前記排気経路形成部材と前記案内カップとの間に隙間を設け、前記案内カップおよび前記排気経路形成部材により、前記排気部につながる排気経路を形成する排気経路形成部材と、を備えた、液処理装置における洗浄方法であって、
前記基板保持部における前記排気経路形成部材に対向する箇所に洗浄部から洗浄液を供給する洗浄工程を備え、
前記第1の領域側の前記排気経路形成部材には凹部が形成されており、前記洗浄工程において、前記洗浄部により前記排気経路形成部材の上面側にも洗浄液が供給される、洗浄方法。
前記洗浄部は、前記排気経路形成部材の径方向の異なる位置に設けられた複数の吐出口を有し、前記複数の吐出口から前記洗浄工程において前記洗浄液が供給される、請求項5記載の洗浄方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至
図3は、本実施の形態に係る液処理装置の構成を示す図である。このうち、
図1は、本実施の形態における液処理装置の全体構成を示す横断平面図であり、
図2は、
図1に示す液処理装置に設けられた液処理ユニットの構成を示す構成図である。また、
図3(a)〜(c)は、
図2に示す液処理ユニットにおける、第2案内カップおよび第3案内カップがそれぞれ下方位置、中央位置、上方位置に位置しているときの状態を示す図である。
【0013】
まず、本実施の形態の液処理装置の全体構成について
図1を用いて説明する。
図1に示される液処理装置10は、被処理体である基板W(以下、ウエハWともいう)に処理流体である薬液を供給してウエハWに付着したパーティクルや汚染物質を除去する液処理を行うものである。
図1に示すように、本実施の形態の液処理装置10は、外部から複数枚のウエハWを収納したキャリア24の搬入出が行われるキャリア載置ブロック20と、ウエハWの受け渡し部を備えた受け渡しブロック30と、ウエハWに対して所定の液処理を行う処理ブロック40と、を備えている。これらは、キャリア載置ブロック20を前方側として、キャリア載置ブロック20、受け渡しブロック30、処理ブロック40が前後方向(
図1におけるX方向)に一列に配列され、互いに接続されている。
【0014】
キャリア載置ブロック20は、例えば4個のキャリア24が載置されるキャリア載置部22を備えるとともに、当該キャリア載置部22上に載置されたキャリア24と受け渡しブロック30との間でのウエハWの受け渡しを行う第1の搬送部26を備えている。この第1の搬送部26は、ウエハWを保持する保持アーム28が、例えば前後方向に進退自在、左右方向(
図1におけるY方向)に移動自在、回転自在および昇降自在に構成されている。
【0015】
受け渡しブロック30は、受け渡しステージ32を多段に備えており、この受け渡しステージ32に対しては、第1の搬送部26と、後述する処理ブロック40に設けられた第2の搬送部42とがそれぞれアクセスできるように構成されている。
【0016】
処理ブロック40は、前後方向(
図1におけるX方向)に延びるウエハWの搬送路46を備えており、この搬送路46には、第2の搬送部42が設けられている。また、搬送路46を挟んで、キャリア載置ブロック20側から見て左右に各々例えば4台の液処理ユニット50が互いに対向するように設けられている。第2の搬送部42は、合計8台の液処理ユニット50および前述の受け渡しステージ32に対してウエハWの受け渡しを行うようになっている。この第2の搬送部42は、ウエハWの裏面側周縁を保持する保持アーム44が進退自在、回転自在、昇降自在および搬送路46に沿って移動自在に設けられている。
【0017】
次に、液処理ユニット50の構成の詳細について
図2および
図3を用いて説明する。
図2に示すように、液処理ユニット50は、ウエハWが第2の搬送部42の保持アーム44により搬入出されて処理される液処理室51と、液処理室51内に設けられ、ウエハWを水平に保持する回転自在な基板保持台(基板保持部)52とを備えている。この基板保持台52には、回転駆動軸53を介して、基板保持台52を回転させる回転モータ(基板回転機構)54が連結されている。また、基板保持台52には複数(例えば3本、
図2では2本しか図示せず)のチャックピン52aが設けられており、ウエハWはチャックピン52a上に載置されるようになっている。また、チャックピン52a上に載置されたウエハWは、図示しないメカチャックにより基板保持台52の周縁部において保持され、回転モータ54を駆動することによって水平面内で回転するようになっている。
【0018】
また、
図2に示すように、液処理室51には、基板保持台52により保持されたウエハWに複数種類の処理液を選択的に吐出(供給)するノズル(処理液供給部)55が設けられている。すなわち、ノズル55には、酸性処理液の供給源56a、アルカリ性処理液の供給源56b、洗浄液の供給源56c、および有機性処理液の供給源56dがそれぞれ接続されており、これらの供給源56a〜56dから酸性処理液、アルカリ性処理液、洗浄液および有機性処理液が選択的にノズル55に送られてウエハWの表面に吐出されるようになっている。なお、酸性処理液としては、例えば、SPM液(硫酸と過酸化水素水の混合溶液)、HF液(フッ化水素液)、またはSC2(塩酸と過酸化水素水の混合溶液)等を用いることができ、アルカリ性処理液としては、例えば、SC1液(アンモニア過水)またはアンモニア水等を用いることができる。また、洗浄液としては、例えば、純水等を用いることができ、有機性処理液としては、例えば、IPA液(イソプロピルアルコール液)等を用いることができる。
【0019】
図
2に示すように、液処理室51の上方にはFFU(ファンフィルタユニット)80が設けられており、このFFU80によりダウンフローで液処理室51に清浄な空気が送られるようになっている。
【0020】
基板保持台52の周辺には、基板保持台52と共に回転し、回転するウエハWから飛散した処理液やそのミストを案内する外側案内回転カップ60および内側案内回転カップ62がそれぞれ設けられている。これらの外側案内回転カップ60や内側案内回転カップ62は、上部開口部を有し、全体的にはリング状に形成され、上部開口部の開口径よりも下端部の開口径の方が大きくなっている。
【0021】
基板保持台52の周辺には、外側案内回転カップ60や内側案内回転カップ62により案内された処理液を受けて下方に案内するために、第1案内カップ81、第2案内カップ82、および第3案内カップ83が、上から順に設けられている。そして、第1案内カップ81の内側と第2案内カップ82の外側で形成される経路を通して、有機性処理液を案内する。また、第2案内カップ82の内側と第3案内カップ83の外側で形成される経路を通して、アルカリ性処理液を案内する。また、第3案内カップ83の内側と後述する排気経路形成部材66の外側で形成される経路を通して、酸性処理液を案内する。なお、第2案内カップ82が酸性処理液を案内し、第3案内カップ83がアルカリ性処理液を案内するようにしてもよい。また、各案内カップ81、82、83は、全体的にリング状に形成されており、第1案内カップ81は液処理室51に対して固定されている。また、第2案内カップ82は昇降シリンダ(図示せず)に連結されており、第1案内カップ81に対して昇降自在となっている。より詳細には、第2案内カップ82は、
図3(a)に示すような下方位置、
図3(b)に示すような中央位置、および
図3(c)に示すような上方位置の間で昇降するようになっている。
【0022】
また、第3案内カップ83は、第2案内カップ82の昇降運動の一部において、第2案内カップ82と共に昇降自在に構成されている。より詳細には、第3案内カップ83は、
図3(a)に示すような下方位置、
図3(b)に示すような中央位置、および
図3(c)に示すような上方位置の間で昇降するようになっている。なお、下方位置と中央位置は同じ高さであってもよい。
【0023】
また、
図2に示すように、第1案内カップ81、第2案内カップ82、第3案内カップ83の下方領域の外周側には、第1案内カップ81の内側と第2案内カップ82の外側で形成される経路を通して案内された有機性処理液を回収する第1処理液回収用タンク71が設けられている。第1処理液回収用タンク71の内周側には、第2案内カップ82の内側と第3案内カップ83の外側で形成される経路を通して案内されたアルカリ性処理液を回収する第2処理液回収用タンク72が設けられている。第2処理液回収用タンク72の内周側には、第3案内カップ83の内側と後述する排気経路形成部材66の外側で形成される経路を通して案内された酸性処理液を回収する第3処理液回収用タンク73が設けられている。さらに、第3処理液回収用タンク73の内側には、後述する排気経路形成部材66で受けた各処理液を混合状態で回収する第4処理液回収用タンク74が設けられている。本明細書では、これらの第1〜第4処理液回収用タンク71〜74をまとめてドレイン部ともいう。
【0024】
また、第1処理液回収用タンク71と第2処理液回収用タンク72との間には、ウエハWの周囲の雰囲気を、第1案内カップ81および第2案内カップ82を介して排出する第1排気部75が設けられている。この第1排気部75は、リング状の平面断面を有し、各処理液回収用タンク71〜74と共に、同心円状に形成されていることが好ましい。また、第4処理液回収用タンク74の内周側には、ウエハWの周囲の雰囲気を、第3案内カップ83を介して排出する第2排気部76が設けられている。この際に、ウエハWの周囲の雰囲気は排気経路77を通って第2排気部76に至るようになっている。これらの第1排気部75および第2排気部76の下方には排気ダクト100が設けられており、第1排気部75や第2排気部76による排気は排気ダクト100で合流してこの排気ダクト100から排出されるようになっている。排気ダクト100によって、合流した排気について、酸の雰囲気、アルカリの雰囲気および有機の雰囲気を再び個別に分けて工場へ排出することができる。
【0025】
また、
図2に示すように、第2案内カップ82の下端部に、第1案内カップ81からの処理液を第1処理液回収用タンク71に案内するとともに第2案内カップ82からの処理液を第2処理液回収用タンク72に案内する案内部材64が設けられている。この案内部材64は、第1排気部75の上方を覆うように、全体的にリング状に形成されており、第1排気部75に向かって開くU字状断面を有している。この案内部材64は第2案内カップ82と連動して昇降運動を行うようになっていてもよい。
【0026】
また、第2処理液回収用タンク72と第3処理液回収用タンク73との間から上方に延びるよう区画壁84が設けられている。この区画壁84は、第2案内カップ82から第2処理液回収用タンク72への流路(
図3(b)参照)と、第3案内カップ83から第3処理液回収用タンク73への流路(
図3(c)参照)とを区画するようになっている。このような区画壁84により、酸性の雰囲気およびアルカリ性の雰囲気が混じることが防止され、酸性の雰囲気およびアルカリ性の雰囲気が混じって結晶化することがなく、このため洗浄を行う必要がなくなる。
【0027】
また、
図2に示すように、基板保持台52の下方には排気経路形成部材66が設けられており、この排気経路形成部材66は、基板保持台52により保持されたウエハWの周囲の領域である液処理室51(第1の領域)と、第3処理液回収用タンク73、第4処理液回収用タンク74および第2排気部76が設けられた領域である排気経路77(第2の領域)とを隔離するようになっている。このような排気経路形成部材66により、液処理室51と排気経路77とを隔離しているので、より清浄度の高い環境下でウエハWの処理を行うことができる。ここで、排気経路形成部材66には、当該排気経路形成部材66から第3処理液回収用タンク73および第4処理液回収用タンク74に向けてそれぞれ下方に延びる第1案内板
68および第2案内板69が設けられている。第1案内板68および第2案内板69により、排気経路77に向かって排気を案内することができ、また、第3処理液回収用タンク73や第4処理液回収用タンク74に向かって排液を案内することができる。また、排気経路形成部材66における液処理室51に面する箇所(すなわち、排気経路形成部材66における上面側)には凹部66aが形成されており、後述する第2の洗浄部92により排気経路形成部材66の上面側に洗浄液が供給されるようになっている。
また、排気経路形成部材66には貫通孔66bが設けられており、排気経路形成部材66の上面側に供給された洗浄液は貫通孔66bを通って第4処理液回収用タンク74に送られるようになっている。また、
図2に示すように、排気経路形成部材66の外周端には上方に延びるリング部材66cが設けられており、
図3(c)に示すように第2案内カップ82が上方位置にあるときにこのリング部材66cと第3案内カップ83との間で排気路が形成されるようになっている。
図3(c)に示すように第2案内カップ82が上方位置にあるときには、区画壁84の外側に第3の領域79が形成される。
【0028】
本実施の形態では、
図2に示すように、第2排気部76の近傍に、第1の洗浄部90および第2の洗浄部92がそれぞれ設けられている。これらの第1の洗浄部90および第2の洗浄部92は、第4処理液回収用タンク74よりも径方向内側に配置されている。
【0029】
第1の洗浄部90は、洗浄液を上方に向かって噴霧するノズルを含んでおり、この第1の洗浄部90により、排気経路77(第2の領域)側の排気経路形成部材66に洗浄液を供給して当該箇所を洗浄するようになっている。より詳細には、第1の洗浄部90は、排気経路形成部材66における第4処理液回収用タンク74よりも径方向内側(内周側)の箇所に洗浄液を供給して当該箇所を洗浄するようになっている。言い換えると、第1の洗浄部90は、排気経路77の排気方向(
図3(c)の二点鎖線の矢印参照)における第2案内板69よりも下流側の箇所に洗浄液を供給して当該箇所を洗浄するようになっている。このような第1の洗浄部90は、1つの液処理ユニット50において、基板保持台52の周方向に沿って等間隔に例えば3つ設けられている。また、ノズルは洗浄液を例えば広角扇形に液滴として噴霧しているので広い範囲を洗浄することができる。さらに、洗浄液は液滴として噴霧されるので、排気の流れに乗ってより広い範囲を洗浄することができる。
【0030】
また、第2の洗浄部92は細長いノズルからなり、この第2の洗浄部92は、液処理室51(第1の領域)側の排気経路形成部材66に洗浄液を供給して当該箇所を洗浄するようになっている。より詳細には、第2の洗浄部92により排気経路形成部材66の上面側に洗浄液が供給されるようになっている。そして、排気経路形成部材66の上面側に供給された洗浄液は貫通孔66bを通って第4処理液回収用タンク74に送られるようになる。また、第2の洗浄部92はその上端部から上方に向かって洗浄液を噴霧するようになっているため、この第2の洗浄部92により、基板保持台52における排気経路形成部材66に対向する箇所にも洗浄液が供給されるようになる。このような第2の洗浄部92は、1つの液処理ユニット50において例えば1つ設けられている。
【0031】
次に、このような構成からなる液処理ユニット50によるウエハWの液処理方法について以下に説明する。
【0032】
まず、第2の搬送部42の保持アーム44によりウエハWが液処理ユニット50の液処理室51内に搬入され、基板保持台52に保持される。
【0033】
続いて、回転モータ54により、ウエハWを保持した基板保持台52が、外側案内回転カップ60や内側案内回転カップ62と共に回転駆動される。このことにより、基板保持台52により保持されたウエハWが水平面内で回転する。
【0034】
次に、ウエハWが酸性処理液により処理される。この場合、酸性処理液が酸性処理液供給源56aからノズル55に供給され、回転しているウエハWの表面に吐出される。この場合、
図3(c)に示すように、第2案内カップ82および第3案内カップ83はそれぞれ上方位置に位置している。このことにより、ウエハWから飛散して外側案内回転カップ60や内側案内回転カップ62により案内された、ミストを含む酸性処理液は、第3案内カップ83と排気経路形成部材66の外周壁との間の空間に沿って案内され、区画壁84の内周側を通って第3処理液回収用タンク73に送られて回収される(
図3(c)の実線の矢印参照)。また、ウエハWの周囲の雰囲気は、排気経路77を通って第2排気部76により排出されて排気ダクト100に送られるようになる(
図3(c)の二点鎖線の矢印参照)。このときに、第3案内カップ83および区画壁84により排気経路77(第2の領域)と第3の領域79(区画壁84の外側に形成された領域)が隔離される。このため、排気経路77(第2の領域)から第3の領域79へ雰囲気が流れることはない。
【0035】
ウエハWの酸性処理液による処理が終了した後、ウエハWがリンス処理される。この場合、洗浄液が洗浄液供給源56cからノズル55に供給され、回転しているウエハWの表面に吐出される。この間、ウエハWから飛散した洗浄液は、第3処理液回収用タンク73に回収されるとともに、ウエハWの周囲の雰囲気は第2排気部76によって排出される。
【0036】
次に、図示しない昇降シリンダにより、第2案内カップ82および第3案内カップ83が下降し、
図3(c)に示すような上方位置から
図3(b)に示すような中央位置まで移動する。この際に、案内部材64も第2案内カップ82に連動して
図3(b)に示すような中央位置まで移動する。その後、ウエハWがアルカリ性処理液により処理される。この場合、アルカリ性処理液がアルカリ性処理液供給源56bからノズル55に供給され、回転しているウエハWの表面に吐出される。前述のように、第2案内カップ82および第3案内カップ83はそれぞれ
図3(b)に示すような中央位置に位置しているため、ウエハWから飛散して外側案内回転カップ60や内側案内回転カップ62により案内された、ミストを含むアルカリ性処理液は、第2案内カップ82と第3案内カップ83との間の空間に沿って案内され、案内部材64と区画壁84との間の空間を通って第2処理液回収用タンク72に送られて回収される(
図3(b)の実線の矢印参照)。また、ウエハWの周囲の雰囲気は、第1排気部75により排出されて排気ダクト100に送られるようになる(
図3(b)の二点鎖線の矢印参照)。
【0037】
ウエハWのアルカリ性処理液による処理が終了した後、ウエハWがリンス処理される。
この場合、洗浄液が洗浄液供給源56cからノズル55に供給され、回転しているウエハWの表面に吐出される。この間、ウエハWから飛散した洗浄液は、アルカリ性処理液と同様にして、第2処理液回収用タンク72に回収されるとともに、ウエハWの周囲の雰囲気は第1排気部75によって排出される。
【0038】
次に、図示しない昇降シリンダにより、第2案内カップ82および第3案内カップ83が更に下降し、
図3(b)に示すような中央位置から
図3(a)に示すような下方位置まで移動する。この際に、案内部材64も第2案内カップ82と一体的に
図3(a)に示すような下方位置まで移動する。その後、ウエハWが有機性処理液により乾燥処理される。
この場合、有機性処理液が有機性処理液供給源56dからノズル55に供給され、回転しているウエハWの表面に吐出される。前述のように、第2案内カップ82および第3案内カップ83はそれぞれ
図3(a)に示すような下方位置に位置しているため、ウエハWから飛散して外側案内回転カップ60や内側案内回転カップ62により案内された有機性処理液は、第1案内カップ81と第2案内カップ82との間の空間に沿って案内され、案内部材64の外周側を通って第1処理液回収用タンク71に送られて回収される(
図3(a)の実線の矢印参照)。また、ウエハWの周囲の雰囲気は、アルカリ性処理液と同様にして案内され、第1排気部75により排出されて排気ダクト100に送られるようになる(
図3(a)の二点鎖線の矢印参照)。
【0039】
このようにして、ウエハWの処理が終了する。その後、第2の搬送部42の保持アーム44によりウエハWが基板保持台52から取り外されて、液処理ユニット50の液処理室51から搬出される。
【0040】
次に、
図2等に示すような液処理ユニット50における、第2排気部76に至る排気経路77の洗浄方法について以下に説明する。なお、排気経路77を洗浄するタイミングは、ロット間あるいは所定の枚数のウエハWを処理した後となる。あるいは、ウエハWの処理中に排気経路77を洗浄してもよい。液処理ユニット50によりウエハWの液処理を長期間行うと、排気経路77(第2の領域)側の排気経路形成部材66に処理液の結晶物が付着して堆積してしまう。このため、このような箇所の洗浄を行って結晶物を除去する必要がある。なお、結晶物としては、BHF(バッファードフッ酸、酸成分とアルカリ成分とが反応することによって生成される塩)が挙げられる。排気経路77には、貫通孔66bから全ての薬液が流れ込むため、排気経路77(第2の領域)側の排気経路形成部材66において反応して結晶になりやすい。このため、排気経路77(第2の領域)側の排気経路形成部材66を洗浄する必要がある。
【0041】
第2排気部76に至る排気経路77の洗浄を行うにあたり、第3処理液回収用タンク73や第4処理液回収用タンク74にノズル55から洗浄液を供給してこれらの第3処理液回収用タンク73や第4処理液回収用タンク74で洗浄液を溢れさせることにより、排気経路77における第3処理液回収用タンク73や第4処理液回収用タンク74の近傍の箇所に付着して堆積した結晶物の除去を行う。この際に、第1の洗浄部90により上方に向かって洗浄液を噴霧する。このことにより、
図2における二点鎖線Rで囲った箇所に洗浄液が供給されるようになる。このようにして、排気経路形成部材66における排気経路77(第2の領域)に面する箇所に洗浄液が供給されるので当該箇所を洗浄することができる。より詳細には、排気経路形成部材66における第4処理液回収用タンク74よりも径方向内側(内周側)の箇所に洗浄液が供給され、当該箇所が洗浄される。言い換えると、排気経路77の排気方向(
図3(c)の二点鎖線の矢印参照)における第2案内板69よりも下流側の箇所に洗浄液が供給され、当該箇所が洗浄される。
【0042】
また、第2の洗浄部92により、液処理室51(第1の領域)側の排気経路形成部材66に洗浄を行うことができる。具体的には、第2の洗浄部92により排気経路形成部材66の上面側に洗浄液を供給することにより、凹部66aの洗浄が行われる。液処理室51(第1の領域)側の排気経路形成部材66には酸、アルカリ、有機の全ての薬液が流れ込むため、反応して結晶になりやすい。このため、液処理室51(第1の領域)側の排気経路形成部材66を洗浄する必要がある。なお、排気経路形成部材66の上面側に供給された洗浄液は貫通孔66bを通って第4処理液回収用タンク74に送られる。また、第2の洗浄部92はその上端部から上方に向かって洗浄液を噴霧するようになっているため、この第2の洗浄部92により、基板保持台52における排気経路形成部材66に対向する箇所にも洗浄液が供給される。このことにより、基板保持台52における排気経路形成部材66に対向する箇所の洗浄も行うことができるようになる。
【0043】
以上のように本実施の形態の液処理装置10や洗浄方法によれば、第1の洗浄部90により、排気経路77(第2の領域)側の排気経路形成部材66に洗浄液を供給するようになっている。このことにより、第3処理液回収用タンク73や第4処理液回収用タンク74に洗浄液を供給してこれらの第3処理液回収用タンク73や第4処理液回収用タンク74で洗浄液を溢れさせるだけでは洗浄することができなかった、排気経路77における第3処理液回収用タンク73や第4処理液回収用タンク74の周辺以外の箇所(具体的には、例えば
図2において二点鎖線Rで囲った箇所)の洗浄を行うことができるようになる。
【0044】
また、本実施の形態の液処理装置10や洗浄方法においては、第1の洗浄部90は、排気経路形成部材66における少なくとも第4処理液回収用タンク74よりも径方向内側の箇所に洗浄液を供給して当該箇所を洗浄するようになっている。言い換えると、第1の洗浄部90は、少なくとも排気経路77の排気方向における第2案内板69よりも下流側の箇所に洗浄液を供給して当該箇所を洗浄するようになっている。
【0045】
また、本実施の形態の液処理装置10においては、第1の洗浄部90は、洗浄液を液滴状態で供給するノズルである。また、第1の洗浄部90は第4処理液回収用タンク74よりも径方向内側の箇所に配置されている。
【0046】
また、本実施の形態の液処理装置10や洗浄方法においては、第2の洗浄部92により、液処理室51(第1の領域)側の排気経路形成部材66に洗浄液を供給するようになっている。このことにより、排気経路形成部材66における液処理室51に面する箇所に付着した処理液の結晶物を除去することができるようになる。
【0047】
ここで、液処理室51側の排気経路形成部材66には凹部66aが形成されており、第2の洗浄部92により排気経路形成部材66の上面側に洗浄液が供給されるようになっている。また、排気経路形成部材66には貫通孔66bが設けられており、排気経路形成部材66の上面側に供給された洗浄液は貫通孔66bを通って第4処理液回収用タンク74に送られるようになっている。
【0048】
また、第2の洗浄部92により、基板保持台52における排気経路形成部材66に対向する箇所にも洗浄液が供給されるようになっている。このことにより、基板保持台52における排気経路形成部材66に対向する箇所に付着した処理液の結晶物を除去することができるようになる。
【0049】
また、
図2に示すように、第2の洗浄部92は第4処理液回収用タンク74よりも径方向内側の箇所に配置されている。
【0050】
なお、本実施の形態における液処理装置および洗浄方法は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
【0051】
例えば、第1の洗浄部90の設置位置は、排気経路形成部材66における排気経路77に面する箇所に洗浄液を供給して当該箇所を洗浄することができるような位置であれば、第4処理液回収用タンク74よりも径方向内側の箇所に限定されることはない。同様に、第2の洗浄部92の設置位置は、排気経路形成部材66における液処理室51に面する箇所に洗浄液を供給して当該箇所を洗浄することができるような位置であれば、第4処理液回収用タンク74よりも径方向内側の箇所に限定されることはない。
【0052】
また、第1排気部75や第2排気部76から排気が送られる排気ダクト100に、当該排気ダクト100内の洗浄を行う排気ダクト洗浄機構が設けられていてもよい。以下、このような排気ダクト洗浄機構の構成について
図4(a)(b)を用いて説明する。ここで、
図4(a)は、
図2に示す液処理ユニットに設けられた排気ダクトの構成を示す断面図であり、
図4(b)は、
図4(a)に示す排気ダクトのA−A矢視による断面図である。
【0053】
図4(a)(b)に示すように、排気ダクト100は、外筒102および内筒104を含む二重管構造となっている。内筒104は図示しない回転機構により回転するようになっている。また、内筒104には開口部104aが設けられており、この開口部104aを介して、外筒102と内筒104との間の空間と、内筒104内の空間とが連通するようになっている。また、外筒102の外周面には洗浄部106が設けられており、この洗浄部106により外筒102と内筒104との間の空間に洗浄液が供給されるようになっている。より詳細には、洗浄部106には洗浄液供給源108が接続されており、この洗浄液供給源108により洗浄部106内に洗浄液が供給されるようになっている。また、外筒102には開口部102aが設けられており、この開口部102aを介して洗浄部106から外筒102内に洗浄液が供給される。このようにして、排気ダクト100の洗浄を行う際には、開口部102aを介して洗浄部106から外筒102内に洗浄液を供給することにより、開口部104aを介して内筒104内にも洗浄液が送られるようになるので、排気ダクト100の外筒102の内周壁および内筒104の内周壁や外周壁をくまなく洗浄することができるようになる。
【0054】
次に、
図5を参照して第2実施形態について説明する。以下においては、
図2に示す第1実施形態(上記した「本実施の形態」を意味する。以下同じ。)との相違点について説明する。第2実施形態を示す
図5において、第1実施形態を示す
図2と同じ参照符号が付されている部材は同じ部材であり、それらについての重複説明は省略する。
【0055】
第2実施形態では、第1実施形態の第1の洗浄部90に代えて、第1の洗浄部190が設けられている。第1の洗浄部190は、第1実施形態と同様に、ドレイン部77よりも径方向内側の領域、具体的には第2排気部76内に配置されている。第1の洗浄部190は、中空のリング形状のノズル体として形成され、複数例えば90個の第1吐出口190aと、複数例えば30個の第2吐出口190bと、を有している。第1吐出口190aは円周方向に沿って等間隔で設けられ、第2吐出口190bも円周方向に沿って等間隔で設けられている。第1の洗浄部190の内部には、円周に沿って延びる流路190cが設けられている。流路190cは、洗浄液供給源190dに開閉弁を介して接続されている。
洗浄液供給源190dから第1の洗浄部190に洗浄液を供給することにより、第1吐出口190a及び第2の吐出口190bから洗浄液が吐出される。第2実施形態の第1の洗浄部190は、第1実施形態の第1の洗浄部90のように液滴(二流体)を噴霧するのではなく、液体を線状に噴射するように構成されている。
【0056】
また、第2実施形態では、第1実施形態の排気経路形成部材66に代えて、排気経路形成部材166が設けられている。排気経路形成部材166の下面側には、第3処理液回収用タンク73に向けて下方に向けて突出する案内突起168が設けられている。案内突起168は、第1実施形態の第1案内板68と同様に、気液混相流に含まれる液体成分(
図5の矢印Lを参照)を案内突起168の下方の第3処理液回収用タンク73に導く一方で、ガス成分(排気)(
図5の矢印Gを参照)を排気経路77の下流側(径方向内側)に導く。排気経路形成部材166の下面のうちの案内突起168の下端168aより径方向内側の領域は、リング状の第1周面166aと、第1周面166aの外側に接続されたリング状の第2周面166bと、第2周面166bの外側に接続されたリング状の第3周面166cとから構成されている。第1周面166aは径方向外側にゆくに従って高くなるように傾斜しており、第2周面166b及び第3周面166cは径方向外側にゆくに従って低くなるように傾斜しており、第3周面166cの勾配は第2周面166bの勾配より大きい。
【0057】
第1の洗浄部190の第1吐出口190aは、径方向外向きにかつ斜め上方に洗浄液を吐出する(
図5の第1吐出口190aから延びる破線矢印を参照)。第1吐出口190aから吐出された洗浄液は、第2周面166b、好ましくは第2の周面166b内周端部領域に衝突する。第2周面166bに衝突した第1吐出口190aからの洗浄液は、(1)その一部が、第2周面166bに跳ね返されて第3処理液回収用タンク73及び第4処理液回収用タンク74に向かって飛散し(
図5の破線矢印を参照)、(2)他の一部が、第2周面166bに沿って径方向外向きに流れた後にさらに第3周面166cに沿って径方向外向きに流れ、案内突起168の下端168aから第3処理液回収用タンク73内に落下し、(3)さらに他の一部は(洗浄液流量が十分に大きければ)第1周面166a上にも流入して第1周面166a上を径方向内向きに流れる。特に上記(2)の流れは、排気経路形成部材166の下面のうちの第1吐出口190aからの洗浄液の第2周面166b上のへ衝突位置から案内突起168の下端168aに至るまでの区間内におけるが径方向外側にゆくに従って低くなるように傾斜していて、当該区間内に上記(2)の流れを妨げるような下向きの突出部が存在しないことにより実現される。また、第3周面166cの傾斜が第2周面166bの傾斜よりも急であることにより、洗浄液は確実に案内突起168の下端168aまで到達する。なお、第2周面166bと第3周面166cとを同一傾斜角を有する連続した単一の周面としてもよい。
【0058】
上述したように、この第2実施形態によれば、第1の洗浄部190の第1吐出口190aの洗浄液の吐出態様と排気経路形成部材166の下面の形状により、第1吐出口190aから吐出した洗浄液によって広い範囲を洗浄することができるようになっている。第1実施形態では、第1案内板68と第2案内板69に挟まれた凹空間内に第1の洗浄部90からの洗浄液を到達させることが困難であり、この凹空間に面する第1案内板68及び第2案内板69の表面に結晶物が堆積すると、それを十分に除去しきれないことがある。しかしながら、この第2実施形態では、排気経路形成部材166の下面の案内突起168の下端168aよりも内側の全領域に洗浄液がゆきわたるので、排気経路形成部材166の下面側に結晶物が堆積しても、それを確実に除去することができる。
【0059】
第1の洗浄部190の第2吐出口190bは、径方向外側かつ水平方向に洗浄液を吐出するように設けられており、第2排気部76と第4処理液回収用タンク74とを仕切る壁体78の内周面78aに向けて洗浄液を吐出する。内周面78aに衝突した第2の吐出口
190bからの洗浄液は、内周面78aに沿って流下し(
図5の破線矢印を参照)、第1〜第4処理液回収用タンク71〜74の下方に設けられた第2排気部76に連通する排気通路76A内を流れ(
図5の破線矢印を参照)、これによって排気通路76A内を洗浄することができる。第1実施形態では、排気通路76A内に結晶物が堆積するとそれを十分に除去しきれないことがあったが、第2実施形態では排気通路76A内の結晶物を確実に除去することができる。なお、洗浄液流量が十分に大きければ、内周面78aに衝突した第2吐出口190bからの洗浄液は、内周面78aに対面する壁面にも到達するので、この壁面も洗浄することができる。なお、洗浄時には排気通路76A内に比較的多量の洗浄液が流入することになるので、排気通路76Aの下流側には適当な気液分離手段を設けることが好ましい。
【0060】
また、第2実施形態では、第1実施形態の第2の洗浄部92に代えて、第2の洗浄部192が設けられている。第2の洗浄部192は、径方向の互いに異なる位置に設けられた複数の吐出口192aを有している。図示例では、複数の吐出口192aは径方向に直線上に並んでおいる。また、複数の吐出口192aは排気経路形成部材166に設けられており、排気経路形成部材166の上面に開口している。排気経路形成部材166の内部には流路192bが排気経路形成部材166の径方向に延びており、流路192bは複数の吐出口192aに接続されている。流路192bは、第2排気部76の内部を鉛直方向に延びる供給管192cと、開閉弁とを介して、洗浄液供給源192dに接続されている。
【0061】
排気経路形成部材166の上面には、凹部166dが設けられている。凹部166dの底面166eに前記複数の吐出口192aが開口している。底面166eは径方向内側ほど低くなるように傾斜している。排気経路形成部材166の内部に1つまたは複数の排液路166fが形成されており、この排液路166fの上端は底面166eの径方向内側端部領域で開口している。排液路166fの下端は第4処理液回収用タンク74の上方で開口しており、この開口部にパイプ166gが差し込まれている。パイプ166gの下端は第2周面166bよりも下方に位置しており、これにより、排液路166fを通って排出される液が確実に第4処理液回収用タンク74内に落下する。
【0062】
この第2実施形態においては、基板保持台52を回転させた状態で複数の吐出口192aから洗浄液を上向きに吐出する(
図5の吐出口192aから延びる破線矢印を参照)ことにより、基板保持台52の下面の径方向に関して広範囲を洗浄液により洗浄することができる。すなわち、第2実施形態によれば、第1実施形態と比較して、基板保持台52の下面上に堆積した結晶物をより確実に除去することができる。また基板保持台52の下面に衝突した洗浄液は、排気経路形成部材166の上面に落下し、凹部166dの底面166e上を径方向内向きに流下し、排液路166fを介して凹部166dから排出される。
これにより排気経路形成部材166の上面も洗浄することができる。なお、洗浄時には基板保持台52が回転しているため、洗浄液は排気経路形成部材166の上面の円周方向全域に満遍なく落下する。このため、第2の洗浄部192が円周方向の一箇所だけに設けられていたとしても、排気経路形成部材166の上面を均一に洗浄することができる。勿論、複数の第2の洗浄部192を円周方向の異なる位置に設けることも可能である。
【0063】
なお、第2実施形態では、第1の洗浄部190が、複数の第1吐出口190a及び第2吐出口
190bを有する単一のノズルであったが、これに限定されるものではなく、複数の第1吐出口190aを有するノズルと複数の第2吐出口
190bを有するノズルとを別々に設けることもできる。