特許第6204008号(P6204008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204008
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20170914BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20170914BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20170914BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   H01L21/78 F
   H01L21/78 B
   B24B41/06 L
   H01L21/68 F
   H01L21/68 P
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-203514(P2012-203514)
(22)【出願日】2012年9月14日
(65)【公開番号】特開2014-60224(P2014-60224A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2015年8月17日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】増田 幸容
(72)【発明者】
【氏名】九鬼 潤一
(72)【発明者】
【氏名】三瓶 貴士
【審査官】 内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−021317(JP,A)
【文献】 特開2012−119489(JP,A)
【文献】 特開2009−253091(JP,A)
【文献】 特開2010−186863(JP,A)
【文献】 特開2011−054715(JP,A)
【文献】 特開2007−298500(JP,A)
【文献】 特開平11−295046(JP,A)
【文献】 特開昭63−078055(JP,A)
【文献】 特開2008−109015(JP,A)
【文献】 特開平11−330013(JP,A)
【文献】 特開2004−349416(JP,A)
【文献】 特開2008−053341(JP,A)
【文献】 特開2004−200643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B24B 41/06
H01L 21/68
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形を呈するウエーハを保持する保持手段と、該保持手段に保持されたウエーハに加工を施す加工手段と、該保持手段と該加工手段とを加工送り方向に相対的に加工送りする加工送り手段と、を具備する加工装置において、
該保持手段は、多孔性部材によって形成されたウエーハを吸引保持する円形の吸着チャックと、上面に円形の嵌合凹部が形成され該嵌合凹部の底面外周部に環状の載置棚が設けられ、該吸着チャックが該載置棚に載置されると共に該嵌合凹部に嵌合されることにより該吸着チャックを囲繞する外周部とを有するテーブルと、該テーブルを回転する回転駆動機構とを備え、
該テーブルに保持されたウエーハの外周部を撮像する撮像手段と、
該テーブルを挟んで該撮像手段と対向して配設された発光手段と、
該テーブルの該外周部に形成され該発光手段が発する光を透過して該吸着チャックに保持されたウエーハの外周を該撮像手段に投影する投影手段と、
該回転駆動機構を作動して該テーブルを回転させながら該投影手段を介して該撮像手段によって撮像された該テーブルに保持されたウエーハの外周の少なくとも3個所の座標値に基づいて該テーブルに保持されたウエーハの中心位置を算出する制御手段と、を具備しており、
該投影手段は、該テーブルの該外周部と該吸着チャックとの境界部に形成された3個以上の貫通孔からなることを特徴とする加工装置。
【請求項2】
該貫通孔には、透過性を有する材料からなる投影部材が埋設されている、請求項1記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等の被加工物を切削する切削装置や被加工物に所定のレーザー加工を施すレーザー加工装置等の加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイスを形成する。そして、半導体ウエーハをストリートに沿って切断することにより回路が形成された領域を分割して個々のデバイスを製造している。また、サファイヤ基板の表面に窒化ガリウム系化合物半導体等が積層された光デバイスウエーハもストリートに沿って切断することにより個々の発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスに分割され、電気機器に広く利用されている。
【0003】
このような半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のウエーハの分割は切削装置やレーザー加工装置等の加工装置によって実施されている。切削装置やレーザー加工装置等の加工装置は、ウエーハを保持する保持手段と、該保持手段に保持されたウエーハに加工を施す加工手段と、保持手段と加工手段とを加工送り方向に相対的に加工送りする加工送り手段とを具備している。
【0004】
上述した加工装置においては、ウエーハを所定の加工領域に確実に加工を施すためには、加工領域の始点と終点を認識する必要がある。加工領域の始点と終点を認識するために、保持手段に保持されたウエーハの外周を認識して保持手段に保持されたウエーハの中心を求める方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−54715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
而して、ウエーハの表面に保護膜が被覆されている場合やウエーハの表面に特殊加工が施されている場合には、光の乱反射や吸収等に起因してウエーハの外周を確実に認識することができない場合がある。
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、保持手段に保持されたウエーハの外周を認識して確実に保持手段に保持されたウエーハの中心を求めることができる加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、円形を呈するウエーハを保持する保持手段と、該保持手段に保持されたウエーハに加工を施す加工手段と、該保持手段と該加工手段とを加工送り方向に相対的に加工送りする加工送り手段と、を具備する加工装置において、
該保持手段は、多孔性部材によって形成されたウエーハを吸引保持する円形の吸着チャックと、上面に円形の嵌合凹部が形成され該嵌合凹部の底面外周部に環状の載置棚が設けられ、該吸着チャックが該載置棚に載置されると共に該嵌合凹部に嵌合されることにより該吸着チャックを囲繞する外周部とを有するテーブルと、該テーブルを回転する回転駆動機構とを備え、
該テーブルに保持されたウエーハの外周部を撮像する撮像手段と、
該テーブルを挟んで該撮像手段と対向して配設された発光手段と、
該テーブルの該外周部に形成され該発光手段が発する光を透過して該吸着チャックに保持されたウエーハの外周を該撮像手段に投影する投影手段と、
該回転駆動機構を作動して該テーブルを回転させながら該投影手段を介して該撮像手段によって撮像された該テーブルに保持されたウエーハの外周の少なくとも3個所の座標値に基づいて該テーブルに保持されたウエーハの中心位置を算出する制御手段と、を具備しており、
該投影手段は、該テーブルの該外周部と該吸着チャックとの境界部に形成された3個以上の貫通孔からなることを特徴とする加工装置が提供される。
【0009】
記貫通孔には、透過性を有する材料からなる投影部材が埋設されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明による加工装置においては、円形を呈するウエーハを保持する保持手段は、多孔性部材によって形成されたウエーハを吸引保持する円形の吸着チャックと、上面に円形の嵌合凹部が形成され嵌合凹部の底面外周部に環状の載置棚が設けられ、吸着チャックが該載置棚に載置されると共に嵌合凹部に嵌合されることにより吸着チャックを囲繞する外周部とを有するテーブルと、該テーブルを回転する回転駆動機構とを備え、テーブルに保持されたウエーハの外周部を撮像する撮像手段と、テーブルを挟んで撮像手段と対向して配設された発光手段と、テーブルの外周部に形成され発光手段が発する光を透過して吸着チャックに保持されたウエーハの外周を撮像手段に投影する投影手段と、回転駆動機構を作動してテーブルを回転させながら投影手段を介して撮像手段によって撮像されたテーブルに保持されたウエーハの外周の少なくとも3個所の座標値に基づいてテーブルに保持されたウエーハの中心位置を算出する制御手段と、を具備しており、該投影手段は、該テーブルの該外周部と該吸着チャックとの境界部に形成された3個以上の貫通孔からなるので、ウエーハの表面に保護膜が被覆されている場合やウエーハの表面に特殊加工が施されている場合であってもテーブル上に保持されたウエーハの外周を認識して確実にウエーハの中心を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に従って構成された加工装置としてのレーザー加工装置の斜視図。
図2図1に示すレーザー加工装置に装備される保持手段の斜視図。
図3図2に示す保持手段の構成部材を分解して示す斜視図。
図4図2に示す保持手段を構成するテーブルの断面図。
図5図1に示すレーザー加工装置に装備される制御手段のブロック構成図。
図6】ウエーハとしての半導体ウエーハの斜視図。
図7図6に示す半導体ウエーハを環状のフレームに装着されたダイシングテープに貼着した状態を示す斜視図。
図8図2に示す保持手段を構成するテーブルに保持された半導体ウエーハの中心位置を求める方法を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明による加工装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0013】
図1には、本発明に従って構成された加工装置としてのレーザー加工装置の斜視図が示されている。図1に示すレーザー加工装置は、静止基台2と、該静止基台2に矢印Xで示す加工送り方向(X軸方向)に移動可能に配設され被加工物を保持する被加工物保持機構3と、静止基台2にX軸方向と直交する矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動可能に配設されたレーザー光線照射ユニット支持機構5と、該レーザー光線照射ユニット支持機構5に矢印Zで示す集光点位置調整方向(Z軸方向)に移動可能に配設されたレーザー光線照射ユニット6とを具備している。
【0014】
上記被加工物保持機構3は、静止基台2上に加工送り方向(X軸方向)に移動せしめる加工送り手段に沿って平行に配設された一対の案内レール31、31と、該案内レール31、31上にX軸方向に移動可能に配設された第1の滑動ブロック32と、該第1の滑動ブロック32上にY軸方向に移動可能に配設された第2の滑動ブロック33と、該第2の滑動ブロック33上に円筒部材34によって支持されたカバーテーブル35と、被加工物を保持する保持手段4を具備している。
【0015】
上記第1の滑動ブロック32は、その下面に上記一対の案内レール31、31と嵌合する一対の被案内溝321、321が設けられているとともに、その上面にY軸方向に沿って平行に形成された一対の案内レール322、322が設けられている。このように構成された第1の滑動ブロック32は、被案内溝321、321が一対の案内レール31、31に嵌合することにより、一対の案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動可能に構成される。図示の実施形態における被加工物保持機構3は、第1の滑動ブロック32を一対の案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動させるための加工送り手段37を具備している。この加工送り手段37は、上記一対の案内レール31と31の間に平行に配設された雄ネジロッド371と、該雄ネジロッド371を回転駆動するためのパルスモータ372等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド371は、その一端が上記静止基台2に固定された軸受ブロック373に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ372の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド371は、第1の滑動ブロック32の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ372によって雄ネジロッド371を正転および逆転駆動することにより、第1の滑動ブロック32は案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動せしめられる。
【0016】
図示の実施形態におけるレーザー加工装置は、上記保持手段4の加工送り量即ちX軸方向位置を検出するためのX軸方向位置検出手段374を備えている。X軸方向位置検出手段374は、案内レール31に沿って配設されたリニアスケール374aと、第1の滑動ブロック32に配設され第1の滑動ブロック32とともにリニアスケール374aに沿って移動する読み取りヘッド374bとからなっている。このX軸方向位置検出手段374の読み取りヘッド374bは、図示の実施形態においては1μm毎に1パルスのパルス信号を後述する制御手段に送る。そして後述する制御手段は、入力したパルス信号をカウントすることにより、保持手段4の加工送り量即ちX軸方向の位置を検出する。なお、上記加工送り手段37の駆動源としてパルスモータ372を用いた場合には、パルスモータ372に駆動信号を出力する後述する制御手段の駆動パルスをカウントすることにより、保持手段4の加工送り量即ちX軸方向の位置を検出することもできる。
【0017】
上記第2の滑動ブロック33は、その下面に上記第1の滑動ブロック32の上面に設けられた一対の案内レール322、322と嵌合する一対の被案内溝331、331が設けられており、この被案内溝331、331を一対の案内レール322、322に嵌合することにより、Y軸方向に移動可能に構成される。図示の実施形態における被加工物保持機構3は、第2の滑動ブロック33を第1の滑動ブロック32に設けられた一対の案内レール322、322に沿ってY軸方向に移動させるための第1の割り出し送り手段38を具備している。この第1の割り出し送り手段38は、上記一対の案内レール322と322の間に平行に配設された雄ネジロッド381と、該雄ネジロッド381を回転駆動するためのパルスモータ382等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド381は、その一端が上記第1の滑動ブロック32の上面に固定された軸受ブロック383に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ382の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド381は、第2の滑動ブロック33の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ382によって雄ネジロッド381を正転および逆転駆動することにより、第2の滑動ブロック33は案内レール322、322に沿ってY軸方向に移動せしめられる。
【0018】
図示の実施形態におけるレーザー加工装置は、上記第2の滑動ブロック33の割り出し加工送り量即ちY軸方向位置を検出するためのY軸方向位置検出手段384を備えている。このY軸方向位置検出手段384は、案内レール322に沿って配設されたリニアスケール384aと、第2の滑動ブロック33に配設され第2の滑動ブロック33とともにリニアスケール384aに沿って移動する読み取りヘッド384bとからなっている。このY軸方向位置検出手段384の読み取りヘッド384bは、図示の実施形態においては1μm毎に1パルスのパルス信号を後述する制御手段に送る。そして後述する制御手段は、入力したパルス信号をカウントすることにより、保持手段4の割り出し送り量即ちY軸方向の位置を検出する。なお、上記第1の割り出し送り手段38の駆動源としてパルスモータ382を用いた場合には、パルスモータ382に駆動信号を出力する後述する制御手段の駆動パルスをカウントすることにより、保持手段4の割り出し送り量即ちY軸方向の位置を検出することもできる。
【0019】
次に、上記被加工物を保持する保持手段4について、図2乃至図4を参照して説明する。
保持手段4は、図3に示すように被加工物である円形状のウエーハを保持するテーブル41と、該テーブル41の下面に接続された回転軸42と、該回転軸42を回転可能に支持する支持ハウジング43を具備している。テーブル41は、図4に示すようにステンレス鋼等の金属材によって円板状に形成されており、上面に円形の嵌合凹部411が形成されており、この嵌合凹部411の底面外周部に環状の載置棚412が設けられている。そして、嵌合凹部411に無数の吸引孔を備えたポーラスなセラミックス等からなる多孔性部材によって形成された吸引保持部としての吸着チャック413が嵌合される。このように構成されたテーブル41は、吸着チャック413からなる吸引保持部と該吸着チャック413からなる吸引保持部を囲繞する外周部410を有している。また、テーブル41には、上記嵌合凹部411に開口するとともに回転軸42に開口する連通路421が設けられており、この連通路421が図示しない吸引手段に連通されている。回転軸42は支持ハウジング43に回転可能に支持され、図3に示すように支持ハウジング43内に配設された回転駆動機構44によって回転せしめられる。なお、テーブル41の下面には、図2および図3に示すように4個のクランプ45が適宜の固定手段によって取付けられている。
【0020】
上述した保持手段4を構成するテーブル41の外周部410には、上記吸引保持部としての吸着チャック413との境界部に上下方向に貫通する投影手段としての複数(図示の実施形態においては7個)の貫通孔410aが形成されている。この貫通孔410aは、1か所を除いて互に45度の間隔をおいて設けられている。貫通孔410aには、ガラス等の透過性を有する材料からなる投影部材46が埋設されている。保持手段4を構成する支持ハウジング43には、図3に示すように上記投影手段としての貫通孔410aが通過する下方位置にLED等からなる発光手段47が配設されている。
【0021】
図1に戻って説明を続けると、上記レーザー光線照射ユニット支持機構5は、静止基台2上にY軸方向に沿って平行に配設された一対の案内レール51、51と、該案内レール51、51上に矢印Yで示す方向に移動可能に配設された可動支持基台52を具備している。この可動支持基台52は、案内レール51、51上に移動可能に配設された移動支持部521と、該移動支持部521に取り付けられた装着部522とからなっている。装着部522は、一側面にZ軸方向に延びる一対の案内レール523、523が平行に設けられている。図示の実施形態におけるレーザー光線照射ユニット支持機構5は、可動支持基台52を一対の案内レール51、51に沿ってY軸方向に移動させるための第2の割り出し送り手段53を具備している。この第2の割り出し送り手段53は、上記一対の案内レール51、51の間に平行に配設された雄ネジロッド531と、該雄ネジロッド531を回転駆動するためのパルスモータ532等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド531は、その一端が上記静止基台2に固定された図示しない軸受ブロックに回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ532の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド531は、可動支持基台52を構成する移動支持部521の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された雌ネジ穴に螺合されている。このため、パルスモータ532によって雄ネジロッド531を正転および逆転駆動することにより、可動支持基台52は案内レール51、51に沿ってY軸方向に移動せしめられる。
【0022】
図示の実施形態のおけるレーザー光線照射ユニット6は、ユニットホルダ61と、該ユニットホルダ61に取り付けられたレーザー光線照射手段62を具備している。ユニットホルダ61は、上記装着部522に設けられた一対の案内レール523、523に摺動可能に嵌合する一対の被案内溝611、611が設けられており、この被案内溝611、611を上記案内レール523、523に嵌合することにより、Z軸方向に移動可能に支持される。
【0023】
図示の実施形態におけるレーザー光線照射ユニット6は、ユニットホルダ61を一対の案内レール523、523に沿ってZ軸方向に移動させるための集光点位置調整手段63を具備している。集光点位置調整手段63は、一対の案内レール523、523の間に配設された雄ネジロッド(図示せず)と、該雄ネジロッドを回転駆動するためのパルスモータ632等の駆動源を含んでおり、パルスモータ632によって図示しない雄ネジロッドを正転および逆転駆動することにより、ユニットホルダ61およびレーザー光線照射手段62を案内レール523、523に沿ってZ軸方向に移動せしめる。なお、図示の実施形態においてはパルスモータ632を正転駆動することによりレーザー光線照射手段62を上方に移動し、パルスモータ632を逆転駆動することによりレーザー光線照射手段62を下方に移動するようになっている。
【0024】
上記レーザー光線照射手段62は、実質上水平に配置された円筒形状のケーシング621を含んでいる。ケーシング621内には図示しないYAGレーザー発振器或いはYVO4レーザー発振器からなるパルスレーザー光線発振器や繰り返し周波数設定手段を備えたパルスレーザー光線発振手段が配設されている。上記ケーシング621の先端部には、パルスレーザー光線発振手段から発振されたパルスレーザー光線を集光するための集光器624が装着されている。
【0025】
上記レーザー光線照射手段62を構成するケーシング621の先端部には、レーザー光線照射手段62によってレーザー加工すべき加工領域を検出する撮像手段7が配設されている。この撮像手段7は、顕微鏡やCCDカメラ等の光学手段からなっており、撮像した画像信号を後述する制御手段に送る。
【0026】
図示の実施形態におけるレーザー加工装置は、図5に示す制御手段8を具備している。制御手段8はコンピュータによって構成されており、制御プログラムに従って演算処理する中央処理装置(CPU)81と、制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)82と、演算結果等を格納する読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)83と、カウンター84と、入力インターフェース85および出力インターフェース86とを備えている。制御手段8の入力インターフェース85には、上記X軸方向位置検出手段374、Y軸方向位置検出手段384、撮像手段7等からの検出信号が入力される。そして、制御手段8の出力インターフェース86からは、上記パルスモータ372、パルスモータ382、パルスモータ532、回転駆動機構44、発光手段47等に制御信号を出力する。
【0027】
図示の実施形態におけるレーザー加工装置は以上のように構成されており、以下保持手段4のテーブル41上に保持された被加工物としてのウエーハの中心位置を求める方法について説明する。
図6には、被加工物としてのウエーハとしての半導体ウエーハ10の斜視図が示されている。図6に示す半導体ウエーハ10は、シリコンウエーハからなり表面10aに格子状に配列された複数のストリート101によって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイス102が形成されている。このように形成された半導体ウエーハ10は、図7の(a)および(b)に示すように環状のフレームFの内側開口部を覆うように外周部が装着されたダイシングテープTの表面に裏面10bを貼着する(ウエーハ支持工程)。
【0028】
上述したウエーハ支持工程を実施したならば、図1に示すレーザー加工装置のテーブル41上に半導体ウエーハ10のダイシングテープT側を載置する。そして、図示しない吸引手段を作動することにより、ダイシングテープTを介して半導体ウエーハ10を保持手段4のテーブル41上に吸引保持する(ウエーハ保持工程)。従って、保持手段4のテーブル41に保持された半導体ウエーハ10は、表面10aが上側となる。なお、ダイシングテープTが装着されている環状のフレームFは、保持手段4に配設されたクランプ45によって固定される。
【0029】
上述したようにウエーハ保持工程を実施したならば、加工送り手段37を作動して保持手段4を撮像手段7の直下に移動し、図8の(a)で示すようにテーブル41に保持された半導体ウエーハ10のA点を発光手段47の直上に位置付ける。このようにして位置付けられたテーブル41の回転中心(P)の座標値を(x0,y0)とし、テーブル41に保持された半導体ウエーハ10の中心(Pa)の座標値を(x0´,y0´)とし、テーブル41の回転中心(P)と半導体ウエーハ10の中心(Pa)との間隔を(r)とし、X軸と(r)とのなす角度を(θ)とすると、(x0´)は下記数式1によって求められ、(y0´)は、下記数式2によって求められる。
【0030】
【数1】
【0031】
【数2】
【0032】
上記図8の(a)で示す状態で発光手段47を点灯し投影部材46を介して半導体ウエーハ10のA点部を投影するとともに、撮像手段7によって投影された画像を撮像する。そして、撮像手段7は撮像した画像信号を制御手段8に送る。制御手段8は、撮像手段7から送られた画像信号に基づいて半導体ウエーハ10のA点の座標値(x1,y1)を求め、ランダムアクセスメモリ(RAM)83に格納する。
【0033】
次に、図8の(a)で示す状態からテーブル41を矢印で示す方向に90度回転し、図8の(b)で示すように半導体ウエーハ10のB点部を発光手段47の直上に位置付ける。次に、発光手段47を点灯し投影部材46を介して半導体ウエーハ10のB点部を投影するとともに、撮像手段7によって投影された画像を撮像する。そして、撮像手段7は撮像した画像信号を制御手段8に送る。制御手段8は、撮像手段7から送られた画像信号に基づいて半導体ウエーハ10のB点の座標値(x2,y2)を求め、ランダムアクセスメモリ(RAM)83に格納する。
【0034】
次に、図8の(b)で示す状態からテーブル41を矢印で示す方向に90度回転し、図8の(c)で示すように半導体ウエーハ10のC点部を発光手段47の直上に位置付ける。次に、発光手段47を点灯し投影部材46を介して半導体ウエーハ10のC点部を投影するとともに、撮像手段7によって投影された画像を撮像する。そして、撮像手段7は撮像した画像信号を制御手段8に送る。制御手段8は、撮像手段7から送られた画像信号に基づいて半導体ウエーハ10のC点の座標値(x3,y3)を求め、ランダムアクセスメモリ(RAM)83に格納する。
【0035】
上記数式1と数式2およびA点の座標値(x1,y1)とB点の座標値(x2,y2)とC点の座標値(x3,y3)から下記数式3および数式4が成り立つ。
【0036】
【数3】
【0037】
【数4】
【0038】
上記数式1、数式2、数式3、数式4からテーブル41に保持された半導体ウエーハ10の中心(Pa)を(x0´,y0´)を求め、下記数式5によって半導体ウエーハ10の半径(R)を求めることができる。
【0039】
【数5】
【0040】
以上のように、図示の実施形態におけるレーザー加工装置においては、保持手段4のテーブル41に保持された半導体ウエーハ10の外周部を撮像する撮像手段7と、テーブル41を挟んで撮像手段7と対向して配設された発光手段47と、テーブル41の外周部に形成され発光手段47が発する光を透過してテーブル41に保持された半導体ウエーハ10の外周を撮像手段7に投影する投影部材46と、制御手段8を具備し、制御手段8が撮像手段7によって撮像されたテーブル41に保持された半導体ウエーハ10の外周におけるA点の座標値(x1,y1)とB点の座標値(x2,y2)とC点の座標値(x3,y3)に基づいてテーブル41に保持された半導体ウエーハ10の中心位置を算出するので、半導体ウエーハ10の表面に保護膜が被覆されている場合や半導体ウエーハ10の表面に特殊加工が施されている場合であってもテーブル41上に保持された半導体ウエーハ10の外周を認識して確実に半導体ウエーハ10の中心を求めることができる。
【0041】
以上のようにしてテーブル41上に保持された半導体ウエーハ10の中心を求めることにより、レーザー加工を実施する際にはX軸方向位置検出手段374とY軸方向位置検出手段384からの信号に基づいてテーブル41上に保持された半導体ウエーハ10における予め設定された加工すべき領域に確実にレーザー加工を施すことができる。
【0042】
以上、本発明をレーザー加工装置に適用した例を示したが、本発明は保持手段に保持されたウエーハをストリートに沿って切削する切削装置等の他の加工装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
2:静止基台
3:被加工物保持機構
37:加工送り手段
38:第1の割り出し送り手段
4:保持手段
41:テーブル
42:回転軸
413:吸着チャック
44:回転駆動機構
46:投影部材
5:レーザー光線照射ユニット支持機構
53:第2の割り出し送り手段
6:レーザー光線照射ユニット
62:レーザー光線照射手段
624:集光器
63:集光点位置調整手段
7:撮像手段
8:制御手段
10:半導体ウエーハ
F:環状のフレーム
T:ダイシングテープ
図1
図2
図3
図4
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図8