(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シアノアクリレートモノマーは、硬化性フィルムの総重量に基づいて少なくとも約15重量%の量で存在し、好ましくは該シアノアクリレートモノマーは硬化性フィルムの総重量に基づいて20重量%〜80重量%の量で存在する、請求項1〜3のいずれかに記載の物品。
前記フィルム形成性(コ)ポリマーは、ポリ(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、ポリビニルエーテル、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン;ブタジエン-アクリロニトリルポリマー、熱可塑性エラストマー、スチレン-イソプレンコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー、スチレン-ブタジエンポリマー、ポリ-α-オレフィン、シリコーン、エチレンビニルアセテートコポリマーおよび/またはそれらの組合せから選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の物品。
前記フィルム形成性(コ)ポリマーはエチレンビニルアセテートコポリマーであり、好ましくは該エチレンビニルアセテートコポリマーは、エチレンビニルアセテートコポリマーの総重量に基づいて50重量%〜98重量%のビニルアセテート含量を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の物品。
硬化性フィルム中、シアノアクリレートモノマーの総量:フィルム形成性(コ)ポリマーの総量の重量比は、1:8〜8:1である、請求項1〜7のいずれかに記載の物品。
前記硬化性フィルムは、硬化性フィルムの総重量に基づいて1重量%以下の量で存在する安定剤をさらに含み、好ましくは該安定剤は場合によりヒドロキノン、スルホン酸、BF3またはSO2、ホウ酸、亜鉛塩、リン酸、カルボン酸またはそれらの組合せの1種である、請求項1〜8のいずれかに記載の物品。
少なくとも1つの基材は軟質材料を含み、好ましくは該軟質材料は少なくとも1つの編織物、繊維製品、布、シート材料、プラスチックおよびそれらの組合せである、請求項22に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書で使用するように、用語アリール残基は、単環性または多環性(非縮合または縮合)の芳香族炭素環構造を表す。同様に、用語ヘテロアリールは、少なくとも2つの異なる元素の環員原子を有する芳香族ヘテロ環構造を表す。ヘテロアリール残基は、単環性または多環性(非縮合または縮合)であってよい。アリールまたはヘテロアリール残基の炭素原子は、例えば少なくとも1つのシアノ基、ニトロ基、ハロゲン、C
1-C
10アルキル、C
1-C
10エーテル、C
1-C
10チオエーテル、C
1-C
10エステル、C
1-C
10ケトン、C
1-C
10ケチミン、C
1-C
10スルホン、C
1-C
10スルホキシド、C
1-C
10第1級アミドまたはC
1-C
20第2級アミドで、場合により1つ以上置換されていてよい。
【0024】
本明細書で使用するように、剥離基材なる用語は、硬化性フィルムの保護カバーとして作用し、輸送および操作中の接着剤表面の望ましくない接着および汚染を防ぐ材料を表す。剥離基材は片面または両面が剥離剤で被覆されていてよく、硬化性フィルムの完全性に悪影響を及ぼすことなく取り除かれ、感圧接着剤などの粘着性材料が離され得る。
【0025】
本発明の物品に関して、剥離基材は紙またはプラスチック系(例えばPET、PE、HDPE、PP)材料であってよく、これらは場合により剥離剤で被覆されていてよい。
【0026】
剥離剤は、本発明の物品の粘着性フィルムを剥離基材から目的の物品へと移送し易くすることができる。剥離剤は、ポリビニルアルコール、粘土、シロキサンおよびそれらの組合せからなる群から選択され得る。適当な剥離剤、特にシロキサン系剥離剤は、商品名SILCOLEASE(登録商標)のもとで得られる。
【0027】
本明細書で使用するように、担体基材なる用語は、接着剤を安定化させるためにその上に硬化性フィルムをコートすることができる材料を表す。担体基材は、取扱い性を改善するために物品に厚みを与えることができる。担体基材は、硬化性フィルムの完全性に悪影響を及ぼすことなく硬化性フィルムから取り除くことができない点において剥離基材とは異なる。
【0028】
担体基材は軟質であってよく、例えば軟質シートであってよい。担体基材は、ポリマーフィルム、金属箔、発泡体、布およびそれらの組合せから選択され得る。例えば、担体基材は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、発泡体および紙からなる群から選択され得る。
【0029】
本明細書に関して、用語(コ)ポリマーは、単一のモノマー種から誘導されたポリマー、または、2つ(またはそれ以上)のモノマー種から誘導されたポリマーのいずれかを表す。
【0030】
フィルム形成性(コ)ポリマーなる語は、式(I)で示されるシアノアクリレートモノマーと共に配合される場合に硬化性フィルムを与える(コ)ポリマー材料を表す。
【0031】
フィルム形成性成分は、組成分の任意の液状成分の固化を補助し得る。これは複合材料の全体的な粘度を高め、該複合材料が移送基材上に保持されることを可能にする。フィルム形成性成分は、少なくとも1種のエラストマー性添加成分であり得るフィルム形成剤を含み得る。固体シアノアクリレートを使用する場合、硬化性成分が塗布後に基材上に留まるため、通常、フィルム形成性剤を添加する必要はない。固体および液状シアノアクリレートの混合物を含む組成物を使用する場合、適量のフィルム形成性成分を、存在する液状硬化性成分のレベルの補強として、組成物中に添加してよい。特に、例えば塗布に際する結晶性性質のために非粘着フィルムを形成し得る固体モノマー性材料に対して、フィルム形成性成分は粘着フィルムを与える適当な構造または足場を与える。粘着フィルムは、フィルム形成性成分および共硬化剤の組合せにより達成され得る。
【0032】
有利に、本発明の物品の硬化性フィルムは25℃で感圧接着性を示す。フィルムの続く硬化は適切な方法で開始され得る。所望される際、硬化性フィルムの硬化を引き起こすために、例えば熱または放射(例えばUV硬化)などの外部刺激が適用され得る。
【0033】
本明細書で使用するように、用語「感圧接着剤」は、永続的に粘着性であり、指の圧力下で粘着する材料および製剤を表す。より具体的に、該用語は25℃より低いガラス転移温度(T
g)および25℃で3.3×10
5Pa以下の貯蔵弾性率G`を有する材料または製剤に使用され、ここで、ガラス転移温度(Tg)は示差走査熱量測定(DSC)により測定され、貯蔵弾性率G`は、動的機械分析(DMA)により1Hz、23℃で測定される。
【0034】
包装および封入技術において使用される高い結合強度を有する多くの材料(例えば、エポキシおよびシリコン系材料)は硬質である。柔軟性の欠如のために、これらの材料は軟質光学素子における用途から排除される場合が多い。液状接着剤の適用は、小さい液滴の形成を包含し、これは、基材上への正確な薄い分布を難しくする。本発明の物品は通常、高い柔軟性を有し、基材上に適用される接着剤の量を使用する本発明の物品の量により高い正確性で決めることができる。これは、本発明の物品が特に結合線を横切る柔軟性が必要とされる用途に有用であることを意味する。
【0035】
高柔軟性、高結合強度および高屈折率の薄層接着剤は、光電池産業およびチップボンディング等において、光学デバイス(センサー、ダイオード、ファイバー、レンズ等)、フレキシブル(タッチ-)スクリーン(LCD、プラズマスクリーン等)の柔軟性封止、包装および固定に望ましく、これは、本発明の物品、例えば本発明のテープを用いて達成することができる。
【0036】
用語「2価の架橋基」は、エステル官能基の不飽和酸素とアリール残基を連結する部分を表す。
【0037】
本発明の物品のシアノアクリレートモノマーに関して、可変性のAはC
5-C
50アリール残基であり得る。
【0038】
例えば、シアノアクリレートモノマーは、式(II):
【化2】
[式中、nは0〜5であり、R
2はC
1-5アルキレン基であり、R
3はそれぞれ、存在する場合、独立して、C
1-C
10アルキル、C
1-C
10アルコキシ、フッ素、塩素、臭素、シアノおよびニトロから選択される]
で示される化合物から選択され得る。
【0039】
本明細書で使用するように、用語「C
x-C
yアルキル」は、C
x-C
y非分枝状アルキル、C
x-C
y分枝状アルキルおよびそれらの組合せを含む。用語「Cx-Cyアルキレン基」は、「C
x-C
yアルキル」として解釈される。
【0040】
シアノアクリレートモノマーは、1013.25mbarで、25℃より高い融点を有し得る。
【0041】
式(II)で示される化合物について、nは0〜2であってよく、R
2はC
1-3アルキレン基であってよく、R
3はそれぞれ、存在する場合独立して、C
1-C
10アルキル、C
1-C
10アルコキシ、フッ素、塩素、臭素、シアノおよびニトロから選択され得る。例えば、nは0〜2であってよく、R
2はC
1-3アルキレン基であっよく、R
3はそれぞれ、存在する場合独立して、フッ素、塩素、臭素、シアノおよびニトロから選択され得る。別の態様において、nは0であってよく、R
2はC
1-5アルキレン基であってよい。例えば、nは0であってよく、R
2はC
1-3アルキレン基であってよい。
【0042】
シアノアクリレートモノマーは、(2-フェニルエチル)2-シアノアクリレート(すなわち、式(II)においてR
2はC
2H
4であり、nは0である)であり得る。
【0043】
一般式(I)で示されるシアノアクリレートモノマーは、フィルムの総重量に基づいて少なくとも15重量%の量で存在し得る。例えば、シアノアクリレートモノマーは、硬化性フィルムの総重量に基づいて20重量%〜80重量%の量で存在し得る。
【0044】
一般式(I)で示されるシアノアクリレートモノマーは、フィルムの総重量に基づいて少なくとも10重量%の量で存在してもよい。例えば、シアノアクリレートモノマーは硬化性フィルムの総重量に基づいて、10重量%〜90重量%の量で存在し得る。
【0045】
フィルム形成性(コ)ポリマーは、フィルムの総重量に基づいて20重量%〜85重量%の量で存在し得る。
【0046】
フィルム形成性(コ)ポリマーは、フィルムの総重量に基づいて10重量%〜90重量%の量で存在し得る。
【0047】
フィルム形成性(コ)ポリマーは、ポリ(メタ)アクリレート、ポリビニルエーテル、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、ブタジエンアクリロニトリルポリマー、熱可塑性エラストマー、スチレン-イソプレン、スチレンイソプレン-スチレンブロックコポリマー、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー、スチレン-ブタジエンポリマー、ポリ-α-オレフィン、シリコーン、エチレン含有コポリマー、エチレンビニルアセテート、およびそれらの組合せからなる群から選択され得る。好ましくは、フィルム形成性(コ)ポリマーは、ポリ(メタ)アクリレートおよび/またはエチレンビニルアセテートを含み得る。
【0048】
フィルム形成性(コ)ポリマーは、示差走査熱量測定(DSC)により測定して、30℃より低いガラス転移温度(T
g)を有し得る。
【0049】
フィルム形成性(コ)ポリマーは、23℃で感圧接着性を有する(コ)ポリマーであり得る。
【0050】
フィルム形成性(コ)ポリマーは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルおよび任意に他のコモノマーの(コ)ポリマーであり得る。
【0051】
フィルム形成性(コ)ポリマーは、約0〜約30の酸価を有し得る。好ましくは、フィルム形成性(コ)ポリマーは、15以下の酸価を有し得る。酸価は、1グラムの(コ)ポリマー中のペンダントカルボキシレート基を中和するのに必要なKOHのミリグラム重量である。(コ)ポリマーの酸価の測定方法は、実験の項に記載されている(下記参照)。
【0052】
フィルム形成性(コ)ポリマーは、エチレンビニルアセテートコポリマーであり得る。エチレンビニルアセテートコポリマーは、エチレンビニルアセテートコポリマーの総重量に基づいて50重量%〜98重量%のビニルアセテート含量を有し得る。
【0053】
本発明の物品の硬化性フィルムは、23℃で感圧接着性を示す。本発明の物品の硬化性フィルムは、動的機械分析(DMA)により1Hz、23℃で測定して、約3.3×10
5Pa以下の貯蔵弾性率G`を有し得る。
【0054】
本発明の物品の硬化性フィルムは、DIN EN 1719により測定される標準ループタック試験において、少なくとも3Nのタック値に戻り得る。
【0055】
本発明の物品の硬化性フィルムは、示差走査熱量測定(DSC)により測定して10℃より低いガラス転移温度(T
g)を有し得る。例えば、硬化性フィルムは、DSCにより測定して−60〜+10℃の範囲のガラス転移温度を有し得る。
【0056】
本発明の物品の硬化性フィルムは、DIN EN 1939(Afera 5001)により、スチール基材上、23℃で測定して10分後に、3N/25mm〜50N/25mmの180°剥離強度を有し得る。
【0057】
本発明において使用される硬化性フィルムは、その未硬化状態において、室温で、DMAを用いて1Hzで測定して、約3.3×10
5Pa以下の弾性率G`を有し得り、DIN EN 1719により測定される標準ループタック試験において、少なくとも3N、好ましくは少なくとも5Nのタック値に戻り得る。
【0058】
本発明において使用される硬化性フィルムは、その未硬化状態において、室温で、DMAを用いて1Hzで測定して、約3.3×10
5Pa以下の弾性率G`を有し得り、示差走査熱量測定(DSC)により測定して、10℃より低い、例えば−60〜+10℃のガラス転移温度(T
g)を有し得る。
【0059】
本発明において使用される硬化性フィルムは、その未硬化状態において、示差走査熱量測定(DSC)により測定して、10℃より低い、例えば−60〜+10℃のガラス転移温度(T
g)を有し得り、DIN EN 1719により測定される標準ループタック試験において、少なくとも3N、好ましくは少なくとも5Nのタック値に戻り得る。
【0060】
本発明において使用される硬化性フィルムは、その未硬化状態において、DMAにより1Hz、室温で測定して、約3.3×10
5Pa以下の弾性率G`を有し得り、示差走査熱量測定(DSC)により測定して10℃より低い、例えば−60〜+10℃のガラス転移温度(T
g)を有し得り、DIN EN 1719により測定される標準ループタック試験において、少なくとも3N、好ましくは少なくとも5Nのタック値に戻り得る。
【0061】
本発明において使用される硬化性フィルムは、式(I)で示される固体シアノアクリレートに加えて、以下からなる群から選択されるフィルム形成性(コ)ポリマーマトリックス物質を含み得る:ポリ(メタ)アクリレート、ポリビニルエーテル、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、ブタジエンアクリロニトリルポリマー、熱可塑性エラストマー、スチレン-イソプレン、スチレンイソプレン-スチレンブロックコポリマー、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー、スチレン-ブタジエンポリマー、ポリ-α-オレフィン、シリコーン、エチレン含有コポリマー、エチレンビニルアセテート、およびそれらの組合せ。好ましくは、フィルム形成性(コ)ポリマーマトリックス物質は、ポリ(メタ)アクリレートおよび/またはエチレンビニルアセテートを含み得る。
【0062】
本発明の物品に関し、該フィルムは、フィルムの総重量に基づいて:
(a)15〜80重量%の式(I)で示される化合物から選択される1種以上のシアノアクリレートモノマー;
(b)20〜85重量%の1種以上のフィルム形成性(コ)ポリマ
ー;および
(c)0〜65重量%の1種以上の添加剤
を含み得る。
【0063】
例えば、該フィルムは、フィルムの総重量に基づいて:
(a)40〜60重量%の式(I)で示される化合物から選択される1種以上のシアノアクリレートモノマー;
(b)40〜60重量%の1種以上のフィルム形成性(コ)ポリマー;および
(c)0〜20重量%の1種以上の添加剤
を含み得る。
【0064】
本発明の物品について、該フィルムは、フィルムの総重量に基づいて:
(a)10〜90重量%の式(I)で示される化合物から選択される1種以上のシアノアクリレートモノマー;
(b)10〜90重量%の1種以上のフィルム形成性(コ)ポリマー;および
(c)0〜65重量%の1種以上の添加剤
を含み得る。
【0065】
本発明の物品のフィルムは、シアノアクリレートポリマー、粘着剤、可塑剤、強化剤、酸化防止剤、安定剤、染料、吸水剤および/またはそれらの組合せから選択される1種以上の添加剤をさらに含み得る。
【0066】
適当な染料としては、以下に限定されないが、ナフトールグリーン、クマリン、カロテン、m-クレゾールパープル、Cu(II)フタロシアニン、フェノール、アントラキノン、ベンゾジフラノン、ポリメチン、スチリル、カルボニウム、トリフェニルメタン、ジフェニルメタン、トリフェンジオキサジン、フタロシアニンキノフタロン、ナフトール、スチルベン、ホルマザン、キサンテン、トリアリールメタン、カロテノイド、フラボノール、フラボン、クロマン、カラメルポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)コポリマー、リボフラビンおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0067】
フィラー成分の例としては、以下に限定されないが、例えば、シリカ、石英、アルミナ、カルシウム、粘土、タルクおよび他の無機フィラー材料、例えばポリカーボネートおよび特定のアクリレート成分の他に、他のポリマー粉末が挙げられる。
【0068】
本発明の粘着性フィルムにおいて適当に使用され得る安定剤成分の例としては、ヒドロキノン、ピロカテコール、レゾルシノールまたはそれらの誘導体、フェノール、二酸化硫黄、硫酸、アルキルスルホン酸、芳香族スルホン酸、ボランおよびそれらの組合せが挙げられる。例えば、安定剤は、メタンスルホン酸(MSA)、BF
3、SO
2およびそれらの組合せから選択され得る。適当には、安定剤は、カンファースルホン酸(CSA)またはヒドロキノンおよびそれらの組合せから選択され得る。
【0069】
本発明の粘着性フィルムにおいて適当に使用され得る染料の好ましい例としては、カロテンナフトールグリーン、クマリン、m-クレゾールパープル、Cu(II)フタロシアニンが挙げられる。
【0070】
シアノアクリレート組成物は、通常、特定の物質、例えば求核剤に対して、これらはシアノアクリレート成分と反応する傾向にあるため、比較的敏感である。しかし、本発明の硬化性フィルムは、非常に強固であり、予測され得るように求核剤に対して敏感性ではない。
【0071】
この予測し得ない結果は、多くの方法において利用され得る。多くの方法の1つは、光学部材工業である。例えば電子または光学部材またはデバイス、例えばLED、携帯用デバイスおよびLCDにおいて使用される多くの色付与成分(着色剤、染料および顔料とも称される)は、OH、−NH等のような求核性基を含有する。したがって、本発明の硬化性フィルムは、驚くべきことに、初期または年数を経た結合性能に悪影響を及ぼすことなく、色付与成分のような求核性基を含む成分を含むことができる。これは、1種以上の求核性基を有する色付与成分が硬化性フィルムの一部である用途に、本発明を用いることができるため、本発明の物品を光学デバイスを含む広い用途に使用しやすいことを意味する。
【0072】
本発明の一態様において、本発明の物品は少なくとも半透明であり、望ましくは透明である。光電子工学および光学包装(レンズ、封止剤等)において使用される透明テープなどの透明材料は、最大の屈折率を与えるべきである。本発明の物品は、存在する高屈折率テープ(例えば、現在市販され入手可能な製品のいくつかは、1.47の屈折率値を有する)よりも優れ得る。望ましい屈折率値は、硬化性フィルムの硬化形態について、約1.45〜約1.6の範囲である。好ましい屈折率値は、硬化性フィルムの硬化形態について、約1.47〜約1.55の範囲である。屈折率は、他のポリマーと混合するか、または、フィルム形成ポリマーを交換することにより、さらに高めることができる。
【0073】
液状接着剤は、そのままで液滴を形成する。かかる液滴のサイズは変化してよく、適用される接着剤の量に伴う。液体状態である接着剤の必要な量を正確に適用することは困難であり、さらなる試みは、適用された接着剤表面にさらに広げることであり、これは不可能であり得る。接着剤の層は粘着性であり、十分に柔軟性でなく、さらにもろい場合が多いため、結合強度がより低くなる。液状接着剤の利点は、その結合強度にある。
【0074】
硬化性フィルムを含む本発明の物品は、薄層および柔軟性に製造することができ、形状が規則的であり、例えば平坦な面を有し得り、(例えばダイカッティングを用いて)必要な形状または形態に再配置および切断し得る。テープなどの本発明の接着性物品は、このような理由のために、いくつかの用途について好ましい。
【0075】
光学的透明度、柔軟性および高い結合強度を与えるテープなどの物品の発展には、要求が残る。したがって、高い結合強度を与える液状接着剤は、例えば機械的荷重、衝撃または熱にさらされる携帯電話などの電子デバイスにおいて、使用される場合が多い。望ましくは、他tペなテープの形態における本発明の物品は、薄層である。本発明の物品は、高い結合強度、柔軟性、光学的透明度、屈折率を示すことができ、ダイカット可能である。
【0076】
実際に、本発明の物品は上記に述べた用途に使用できるだけでなく、全ての範囲の基材、例えばガラス、および、陽極酸化アルミニウム、PC/ABSおよび光学部材などのデバイスにおいてしばしば使用されるようなその他を含む他の基材に対して適当であることがわかった。本発明により与えられる結合は、通常、これまで存在するテープよりも良好である。
【0077】
本発明の物品(例えばテープ)は、薄いだけでなく、その柔軟性を維持しつつ、同時に強い結合を与える。
【0078】
この特徴の組合せのために、本発明は、柔軟性が必要とされる用途、例えば軟質基材(例えばラミネート)および繊維製品製造産業における結合において、非常に適切になる。審美的または他の理由により、ステッチおよび縫い目を回避することが望まれる場合がある(例えば、スポーツ被覆およびランニングおよびハイキングシューズのような履物類におけるステッチのない縫い目)。
【0079】
テープは、機械的負荷を広い面へ広げ、縫い糸を伴う穿刺による弱さが見られない。機能が第1基準である例は、パラシュート、軍服、防弾チョッキ、スポーツ被覆およびスポーツ装具、自動車用および農業用繊維製品などの用途に使用される、高性能繊維製品/ラミネートである。
【0080】
貼り合わせ工程において使用されるホットメルトの多くは、いくつかの欠点に悩まされる。これらは、熱い状態(>100℃)で適用する必要があり、一端適用すると再度の位置決めはもはや不可能であり、一部のポリウレタン系ホットメルトは、望ましくない臭気を有する傾向がある。ホットメルトは液状であり、上記に述べたように、テープなどの代替接着性物品の提供が望ましい。
【0081】
これらの欠点とは対照的に、テープなどの本発明の物品は、貼り合わせ前に規則的な厚みを有し、その性能を失うことなく、後でさらに加工することが可能である。さらに、適用工程中における高温は必要でなく、製造工程中の望ましくない臭気が回避される。
【0082】
比較的短い温度および圧力への暴露時間(熱プレス)の後で、テープなどの本発明の物品を活性化することにより製造工程での時間消費が回避可能である。試験は、軽い条件下、数秒の範囲のインパルス時間で、非常に狭く、強い結合を与えることを示した。
【0083】
今日なお、器具などの物品を、例えば浴室および台所において据付面に固定するための最も通常の方法は、壁、天井およびタイルなどの据付面にねじなどの留め具のための穴を あけることである。
【0084】
多くの市販され入手可能な接着剤と対照的に、高湿度環境は、本発明の接着性物品の、多くの異なる基材(金属、ガラス、陶器、アルミニウム等)への硬化工程を促進する。これは、浴室、台所、スイミングプール、アウトドア用途等に理想的である。
【0085】
陶器および金属表面において、異なる温度および相対湿度で、引張強さ試験において、本発明のテープは市販され入手可能な接着剤製品よりも優れている。望ましくは、本発明の物品の多くは、高い温度および湿度の条件下で結合強度が高まることがわかった。
【0086】
液状製剤の他の欠点は、注出容器、ノズルまたはアダプターなどの追加の吐出補助具が必要であることが挙げられ得る。液状製剤を適用する際に使用される接着剤の量は、本発明のテープを使用するのに必要な量を大きく超える。最後に、液状接着剤の硬化時間はかなり長い。
【0087】
有利に、本発明の接着性物品は無駄を回避し、最少量の反応性材料のみが使用され、
ダイカッティングなどの予備切断のために、テープの長さから必要な形状を切り出すことができる。酢酸エチルで洗浄することにより、テープの残りを壁およびタイルから容易に除去することができる。これらの特徴のために、本発明の製品は多目的に使用可能であり、望ましい。
【0088】
本発明の物品について、フィルム中の式(I)で示されるシアノアクリレートモノマーの、フィルム形成性(コ)ポリマーに対する重量比は、1:8〜8:1であり得る。適当には、フィルム中の式(I)で示されるシアノアクリレートモノマーの、フィルム形成性(コ)ポリマーに対する重量比は、1:4〜4:1である。
【0089】
本発明の物品について、該硬化性フィルムは、硬化性フィルムの総重量に基づいて:
(a)10〜90、例えば15〜80重量%の式(I)で示される化合物から選択される1種以上のシアノアクリレートモノマー;
(b)10〜90、例えば20〜85重量%の1種以上のフィルム形成性(コ)ポリマー、ここで、該フィルム形成性コポリマーは23℃で感圧接着性を有する;および
(c)0〜65重量%の1種以上の添加剤
を含み得る。
【0090】
本発明の物品について、該硬化性フィルムは、硬化性フィルムの総重量に基づいて:
(a)10〜90、例えば15〜80重量%の(2-フェニルエチル)2-シアノアクリレート;
(b)10〜90、例えば20〜85重量%の1種以上のフィルム形成性(コ)ポリマー;および
(c)0〜65重量%の1種以上の添加剤
を含み得る。
【0091】
本発明の物品について、硬化性フィルムの総重量に基づいて:
(a)10〜90、例えば15〜80重量%の(2-フェニルエチル)2-シアノアクリレート;
(b)10〜90、例えば20〜85重量%の、1種以上のフィルム形成性(コ)ポリマー、ここで、該フィルム形成性コポリマーは23℃で感圧接着性を有する;および
(c)0〜65重量%の1種以上の添加剤
を含み得る。
【0092】
本発明の物品について、該フィルムは、フィルムの総重量に基づいて:
(a)10〜90、例えば15〜80重量%の、式(I)で示される化合物から選択される1種以上のシアノアクリレートモノマー;
(b)10〜90、例えば20〜85重量%種以上の、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルおよび任意に他の(コ)モノマーのフィルム形成性(コ)ポリマー;および
(c)0〜65重量%の1種以上の添加剤
を含み得る。
【0093】
本発明の物品について、該フィルムは、フィルムの総重量に基づいて:
(a)10〜90、例えば15〜80重量%の式(I)で示される化合物から選択される1種以上のシアノアクリレートモノマー;
(b)10〜90、例えば20〜85重量%の、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルおよび任意に他のコモノマーの1種以上の(コ)ポリマー、ここで該(コ)ポリマーは23℃で感圧接着性を有する;および
(c)0〜65重量%の1種以上の添加剤
を含み得る。
【0094】
本発明の物品について、該硬化性フィルムは、硬化性フィルムの総重量に基づいて:
(a)10〜90、例えば15〜80重量%の式(I)で示される化合物から選択される1種以上のシアノアクリレートモノマー;
(b)10〜90、例えば20〜85重量%の1種以上のフィルム形成性エチレンビニルアセテートコポリマー;および
(c)0〜65重量%の1種以上の添加剤
を含み得る。
【0095】
本発明の物品について、該硬化性フィルムは、硬化性フィルムの総重量に基づいて:
(a)10〜90、例えば15〜80重量%の(2-フェニルエチル)2-シアノアクリレート;
(b)10〜90、例えば20〜85重量%の1種以上のフィルム形成性エチレンビニルアセテートコポリマー;および
(c)0〜65重量%の1種以上の添加剤
を含み得る。
【0096】
本発明の物品について、該硬化性フィルムは、硬化性フィルムの総重量に基づいて:
(a)10〜90、例えば15〜80重量%の(2-フェニルエチル)2-シアノアクリレート;
(b)10〜90、例えば20〜85重量%の、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルおよび任意に他の(コ)モノマーの1種以上のフィルム形成性(コ)ポリマー;および
(c)0〜65重量%の1種以上の添加剤
を含み得る。
【0097】
あるいは、硬化性フィルムは、硬化性フィルムの総重量に基づいて:
(a)10〜90、例えば15〜80重量%の(2-フェニルエチル)2-シアノアクリレート;
(b)10〜90、例えば20〜85重量%の、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルおよび任意に他の(コ)モノマーの1種以上の(コ)ポリマー、ここで該(コ)ポリマーは23℃で感圧接着性を有する;および
(c)0〜65重量%の1種以上の添加剤
を含み得る。
【0098】
適当なポリ(メタ)アクリレート(コ)ポリマーとしては、DuroTAK(登録商標)2123が挙げられる。適当なエチレンビニルアセテートコポリマーとしてはLevamelt(登録商標)900が挙げられる。
【0099】
適当な添加剤は、シアノアクリレートポリマー、粘着剤、可塑剤、強化剤、酸化防止剤、安定剤、吸水剤および/またはそれらの組合せからから選択され得る。
【0100】
適当な粘着剤は、当業者に既知である。粘着剤の情報源は、感圧接着剤についての標準的な出版物、例えば、「Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology(感圧接着剤技術のハンドブック)」、Donata Satas(van Notstrand、ニューヨーク、1989)に見られ得る。
【0101】
本発明の物品は、以下を含む粘着性転写テープの形態を取り得る:
剥離基材に配置された本発明の硬化性フィルム、該硬化性フィルムは2つの粘着性表面を定義する、および場合により
硬化性フィルムの上部の第2剥離基材(被覆基材)、
フィルムに対して剥離作用を有する剥離基材。
【0102】
第1および第2剥離基材は、紙、布またはプラスチック系材料またはそれらの組合せであり得り、これらは場合により剥離剤で被覆されている。剥離剤のために、本発明の物品の粘着性フィルムが、剥離基材から対象物品へ転移しやすくなる。剥離剤は、ポリビニルアルコール、粘土、シロキサンおよびそれらの組合せからなる群から選択され得る。適当な剥離剤、特にシロキサン系剥離剤は、商品名 SILCOLEASE(登録商標)のもとで入手可能である。
【0103】
有利に、第1および第2剥離基材を有する粘着性転移フィルムのために、フィルムの取扱いしやすいさ、および、2つの剥離層間のフィルムの安全な保護が可能になる。
【0104】
第1および第2剥離基材を用いる際、いずれの剥離層をまず初めに除去すべきかが明らかであるように、それらがフィルムに対して異なる剥離特性を有することが望ましい。
【0105】
第1剥離基材のみを使用し、第2または被覆剥離基材を使用しない場合、第1剥離基材は両面において剥離特性を有することが好ましい。好ましくは、剥離特性は2つの面の間で異なる。製品(基材およびフィルム)をロールに折り曲げる際、2つの面の剥離作用の間に明らかな差がある。したがって、ロールの巻戻し中に、フィルムは一方の面に優先的に接着する。
【0106】
本発明の物品は、以下を含む片面粘着テープの形態をも取り得る:
担体基材に配置された本発明の硬化性フィルム、および任意に
硬化性フィルム上の剥離基材、該剥離基材はフィルムに対する剥離作用を有する。
【0107】
フィルムを安定化する担体基材は、紙、ポリマー性フィルム、金属箔、発泡体、布およびそれらの組合せから選択され得る。これは、フィルムを担体基材またはフィルムの反対面上の剥離層に結合するために、複数の層、例えばフィルムに対するプライマー層を含み得る。
【0108】
本発明の物品は、以下を含む両面粘着テープの形態をも取り得る:
担体基材の第1面に配置された本発明の第1硬化性フィルム、
該担体基材が第1フィルムおよび第2フィルムの間に配置されるように、担体基材の第2面に配置された本発明の第2硬化性フィルム、および任意に
第1硬化性フィルム上の第1剥離基材、および/または
第2硬化性フィルム上の第2剥離基材、
該剥離基材は、フィルムに対して剥離作用を有する。
【0109】
第1および第2硬化性フィルムは同一または異なってよく、すなわち、これらは式(I)で示される1種以上のシアノアクリレートおよびフィルム形成性(コ)ポリマーの同一または異なる組合せを含み得る。第1および第2剥離基材は、第1および第2硬化性フィルムに対して異なる剥離特性を有し得る。第1および第2硬化性フィルムは、同一または異なってよく、すなわち、これらは式(I)で示される1種以上のシアノアクリレートおよびフィルム形成性(コ)ポリマーの同一または異なる組合せを含み得り、第1および第2剥離基材は、第1および第2硬化性フィルムに対する異なる剥離特性を有し得る。
【0110】
2つのフィルム層間の担体基材は、紙、ポリマー性フィルム、金属箔、発泡体、布、粘弾性材料およびそれらの組合せから選択され得る。粘弾性材料の例は、ポリ(メタ)アクリレート、ポリビニルエーテル、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、ブタジエンアクリロニトリルポリマー、熱可塑性エラストマー、スチレン-イソプレン、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー、スチレン-ブタジエンポリマー、ポリ-α-オレフィン、シリコーン、エチレン含有コポリマー、エチレンビニルアセテートおよび/またはそれらの組合せであり得る。担体基材は、粘着
剤、可塑剤、強化剤、酸化防止剤、安定剤、吸水剤および/またはそれらの組合せを含み得る。担体基材はこれらの材料を発泡させた形態であってもよい。
【0111】
第1および第2剥離基材は、紙、布またはプラスチック系材料またはそれらの組合せであってよく、これは、場合により剥離剤で被覆されている。剥離剤のために、本発明の物品の粘着性フィルムが剥離基材から転写されやすくなり、ロールとしての物品に巻戻される。剥離剤は、ポリビニルアルコール、粘土、シロキサンおよびそれらの組合せからなる群から選択され得る。適当な剥離剤、特にシロキサン系剥離剤は、商品名 SILCOLEASE(登録商標)のもとで入手可能である。
【0112】
本発明の物品、例えば転写フィルム、片面テープ、両面テープまたはラベルは、その貯蔵寿命を長くするために、光、熱または湿度などの周囲条件から保護され得る。
【0113】
本発明の物品は、硬化性フィルムを担体基材または剥離基材にコーティングし、続いてこれをさらなる剥離基材または担体基材に貼り合わせることにより製造され得る。コーティング工程は、ホットメルト工程、固体系工程(すなわち溶媒なし)、溶媒系工程または分散工程であり得る。
【0114】
ホットメルト工程において、本発明のフィルムの成分を適当な混合装置(例えば押出機)を用いて混ぜ合わせ、該混合物を適当な装置(例えば押出機)で溶融し、該混合物をフィルムに成形し、適当な装置(例えば押出機)およびダイを通じて基材にコートし、適当な厚さでフィルムに形成させる。このようなホットメルト混合および被覆工程は、接着剤およびテープ産業においてよく知られている。
【0115】
固体系工程(すなわち溶媒なし)において、硬化性フィルムは固体のみを含有し、すなわち該フィルムは100%固体である。分散工程において、硬化性フィルムの成分を液相(例えば水性液相)で混合する。水性液相は水であってよい。
【0116】
溶媒工程において、本発明のフィルムの成分を、1種以上の溶媒、例えばベンゼン、トルエン、アセトン、酢酸エチルおよび他の有機溶媒またはそれらの組合せ中で混合する。該成分を共に溶解/分散および混合後、混合物を剥離基材または担体基材上に被覆し、該溶媒を乾燥により除去し、フィルムをロールへと曲げる。このような溶媒混合、被覆、および乾燥工程は、接着剤およびテープ産業においてよく知られている。
【0117】
望ましくは、本発明のフィルムは、溶媒工程において製造される。好ましくは、該溶媒は酢酸エチルである。
【0118】
本発明の物品は、本発明の物品が対象表面に粘着または付着し得るように、23℃で感圧接着性を示し得る。望ましくは、粘着性フィルムの硬化を促進するために他の刺激、例えば熱および/または放射(例えばUV放射)が用いられる。更なる硬化を開始または促進するために放射を使用する場合、硬化を選択的に導くためにマスキングを用いてもよい。
【0119】
さらなる態様において、本発明は、硬化性フィルムの表面への付着方法であって、以下のステップを含む方法を提供する:
(a)本発明の物品を提供するステップ;
(b)本発明の物品の硬化性フィルムを少なくとも1つの表面に付着させて、組立品を形成するステップ;
(c)該組立品を、本発明の物品の硬化性フィルムを硬化させるに十分な条件に暴露するステップ、
ここで、本発明の物品の剥離基材は、存在する場合、ステップ(b)の前および/または後に取り除かれる。
【0120】
本発明の物品は、転写テープ、片面粘着テープまたは両面粘着テープであり得る。本発明の物品は23℃で感圧接着性を示し得るため、本発明の物品の硬化性フィルムの、少なくとも1つの表面への付着は、該表面上の硬化性フィルムに圧力を適用することにより達成され得る。
【0121】
本発明の物品、例えば転写フィルム、片面テープ、両面テープまたはラベルは、以下に限定されないが、金属、金属合金、ガラス、エナメル、木材、天然または合成繊維製品および繊維、皮、石、セラミック、プラスチック、紙またはカード、プラスチック、複合材料、生体組織および生体器官を含む複数の基材および/または表面の結合における有用性を見出し得る。
【0122】
本発明の物品の硬化性フィルムを硬化するに十分な条件は、熱および/または放射(例えばUV放射)を含み得る。
【0123】
さらなる態様において、本発明は部品を互いに接着するための方法であって、該方法は以下を含む方法を提供する:
(i)本発明の物品を提供すること;
(ii)本発明の物品の硬化性フィルムを少なくとも1つの部品に付着させること;
(iii)該部品を合わせること;および
(iv)該部品間の粘着性フィルムを互いに接着するように硬化させること、
ここで、本発明の物品の剥離基材は、存在する場合、ステップ(ii)の前および/または後に取り除かれる。
【0124】
本発明の物品は23℃で感圧接着性を示し得るため、本発明の物品の硬化性フィルムの、少なくとも1つの部品への付着は、該部品上の硬化性フィルムに圧力を適用することにより達成され得る。
【0125】
本発明の物品の硬化性フィルムを硬化するに十分な条件は、熱および/または放射(例えばUV放射)を含み得る。
【0126】
例えば、本発明の方法は、本発明の転写テープを用いて部品を共に接着させることを含んでよく、該方法は、以下を含む:
(i)本発明の転写テープを提供すること;
(ii)本発明の転写テープの硬化性フィルムを少なくとも1つの部品に付着させること;
(iii)該部品を合わせること;および
(iv)該部品間の粘着性フィルムを互いに接着するように硬化させること、
ここで、本発明の転写テープの剥離基材は、存在する場合、ステップ(ii)の前および/または後に取り除かれる。
【0127】
本発明の物品により結合される基材は、少なくとも1つの軟質基材を含み得り、例えば、少なくとも1つの基材は編織物または軟質ラミネート材料であり得る。
【0128】
本発明の物品の硬化性フィルムを硬化するに十分な条件は、熱、湿度および/または放射(例えばUV放射)を含み得る。
【0129】
本発明の物品の硬化性フィルムを硬化するに十分な条件は、編織物を結合する際、適当には、短い熱暴露、例えば熱ショックなどの短いヒートバーストを含み得る。
【0130】
転写テープは、
図3および4に示されるような1つまたは2つの剥離基材を含み得る(下記参照)。本明細書で使用するように、用語「転写テープ」は、剥離基材が、硬化性フィルムを対象の基材または表面に転写するために使用され得る物品を表す。
【0131】
有利には、上記のように、転写テープなどの本発明の物品を用いる本発明の方法は、ステッチングの代替として用いることができる。このような方法は、ステッチのない縫合として記載され得る。
【0132】
望ましくは、編織物を結合するための、転写テープなどの本発明の物品を用いる本発明の方法は、完全に柔軟性であるが、同時に非常に強い、接合を提供する。
【0133】
液状の接着剤に対して、転写テープなどの本発明の物品を用いる本発明の方法は、編織物中への液状接着剤の浸透をもたらさず、適用する際に、汚れまたはしみを残さない。
【0134】
有利には、転写テープなどの本発明の物品を用いる本発明の方法は、優れた耐溶媒性を有し、熱洗浄および熱乾燥工程に耐え得る編織物組立品の形成をもたらす。転写テープなどの本発明の物品を用いる本発明の方法は、高性能技術編織物の製造、機能が第1基準である、例えば保護被覆、農業用編織物、自動車用編織物等において使用するにとりわけ適当である。
【0135】
有利には、高湿度環境において転写テープなどの本発明の物品を用いて部品を共に接着する上記方法は、タイルを通じる穴開けの代替を提供し、それによって、隠れたパイプを破壊する可能性の回避、または、飾られたタイルの保全が提供される。
【0136】
本発明の別の側面は、少なくとも1つの電子部品の基材への付着方法を含み、例えば以下の方法で2つの電子部品を互いに結合する:
(i)本発明の物品を提供すること;
(ii)本発明の物品の硬化性フィルムを少なくとも1つの部品に付着させること;
(iii)該部品を合わせること;および
(iv)互いに接着するように該部品間の粘着性フィルムを硬化させること、
ここで、本発明の物品の剥離基材は、存在する場合、ステップ(ii)の前および/または後で取り除かれる。
【0137】
本発明の物品を用いて結合され得る他の備品としては、光学デバイスおよび光電子工学における部品が挙げられる。
【0138】
本発明のさらなる側面において、本発明に記載する転写テープなどの粘着性物品を、例えば電子チップボンディングにおいて、センサー、ダイオード、繊維、レンズ、LCD、プラスマスクリーン等のハウジングまたは製造において、部品を封入および/または包装するために使用してよい。
【0139】
高い柔軟性、高い結合強度および高屈折率を有する薄層接着剤は、光電池産業における光学デバイス(例えばセンサー、ダイオード、ファイバー、レンズ、光ダイオード、フォトトランジスタ、光電子増倍管、集積光回路素子、光抵抗器s、光導電形撮像管、電荷結合イメージング装置、レーザーダイオード、量子カスケードレーザー、発光ダイオード等)の、フレキシブル(タッチ-)スクリーン(LCD、プラズマスクリーン等)の、および、チップボンディング等における、軟質封入、包装および固定に非常に適する。
【0140】
さらなる態様において、本発明の方法は、本発明の片面粘着テープを用いて部品を共に接着することを含んでよく、該方法は、以下を含む:
(i)本発明の片面粘着テープを供給すること;
(ii)片面粘着テープの硬化性フィルムを部品に付着させること;および
(iii)該粘着フィルムを硬化すること、
ここで、該片面粘着テープの剥離基材は、存在する場合、ステップ(ii)の前に取り除かれる。
【0141】
通常片面粘着テープは、
図1および2に示されるように、剥離基材を有さないか、または、単一の剥離基材を有するのいずれかである(下記参照)。
【0142】
さらなる態様において、本発明の方法は、本発明の両面粘着テープを用いて部品を共に接着することを含んでよく、該方法は、以下を含む:
(i)本発明の両面粘着テープを供給すること;
(ii)両面粘着テープの第1硬化性フィルムを少なくとも1つの部品に付着させること;
(iii)両面粘着テープの第2硬化性フィルムを他の部品に付着させること;および
(iv)部品間の硬化性フィルムを部品が共に接着するように硬化すること、
ここで、両面粘着テープの剥離基材は、存在する場合、ステップ(ii)の前および/または後で取り除かれる。
【0143】
両面粘着テープは、
図5および6に示されるように、1つまたは2つの剥離基材を含み得る(下記参照)。
【0144】
本発明の物品は、幅広い用途範囲にわたる産業上利用性をより具体的に見出し得、以下に限定されないが、例えばラミネーション、製本、靴組立、自動車部品の組立、空調システムの組立、電気または電子デバイスの構成部品、または、他の耐久消費財、建設産業で使用される構成部品[例えば、遮断材(熱および音)]、包装、ダイ接着用途、創傷閉鎖、外科的縫合、医療用具用途および標識付けのあらゆる種類が挙げられる、該部品は、共に接着された長手の材料の末端、例えば共に組み継ぐ2つの材料ロールであり得る。
【0145】
本発明の物品は、基材の貼り合わせまたはマスク、基材の一部または全部の被覆、隙間の2つの側部を共に結合すること、部品の基材または束を共に包むこと、および/または、それらの組合せに使用してよい。工業プロセスにおいて、本発明の物品、例えば転写フィルム、片面テープ、両面テープまたはラベルを、連続供給プロセスにおいて用いてよい。例えば、支持体または剥離基材上の粘着性フィルムを転写する装置上に、支持体または剥離基材が連続的に供給されてよく、そのため、形成される該物品は、それを結合するための(部品)部分と接触され得る。
【0146】
本明細書に開示する全ての数値範囲および割合は、示された終点を含む。
【0147】
適当な場合、本発明の一態様の全ての任意および/または好ましい特徴を、本発明の別の/他の態様の任意および/または好ましい特徴と組み合わせてよいことが認識される。
【0148】
本発明の追加の特徴および利点は、発明の詳細な説明に記載され、発明の詳細な説明から、および、以下の図面から、明らかであろう:
図1は、剥離基材を有さない本発明の片面テープを示す;
図2は、剥離基材を有する片面テープまたはラベルに相当し得る本発明の態様を示す;
図3は、剥離基材を有する本発明の転写テープを示す;
図4は、2つの剥離基材を有する本発明の転写テープを示す;
図5は、1つの剥離基材を有する本発明の両面テープを示す;および
図6は、2つの剥離基材を有する本発明の両面テープを示す。
図7は、種々の硬化性フィルムについての屈折率値を示す。
【0149】
本明細書の以下に開示される例は、一般化した例を示すのみであり、本発明を再現することができる他のアレンジおよび方法が可能であり、これらが本発明に含まれることは当業者に明らかである。
【0150】
図1に片面テープ101が示される。該片面テープ101は、担体基材102および硬化性フィルム103からなり、該硬化性フィルム103は、式(I)で示される1種以上のシアノアクリレートおよびフィルム形成性(コ)ポリマーを含む(上)。硬化性フィルムと反対の担体基材の表面は、特別の剥離処理表面であってよい。
【0151】
図2に示される本発明の態様は、片面テープまたはラベル201のいずれかであり得る。該片面テープまたはラベル201は、担体基材102および硬化性フィルム103からなり、該硬化性フィルム103は、式(I)で示される1種以上のシアノアクリレートおよびフィルム形成性(コ)ポリマーを含む。該硬化性フィルム103は剥離基材104で覆われ、該硬化性フィルムが保護され、硬化性フィルム103の望ましくない接着が回避される。
【0152】
図3および4は、本発明の転写テープを示す。転写テープは、剥離基材から対象表面に該硬化性フィルムを転写するのに特に有用である。
図3において、転写テープ301は硬化性フィルム103で被覆された剥離基材104からなる。硬化性フィルム103は、式(I)で示される1種以上のシアノアクリレートおよびフィルム形成性(コ)ポリマーを含む。剥離基材104は、好ましくは両面において剥離性を有する。好ましくは、該剥離性が2つの面で異なる。したがって、転写テープ301をロールに巻く、および、巻き出す際、剥離基材104の2つの面における剥離作用に差があり得る。
【0153】
図2において、転写テープ401は、第1および第2剥離基材104および105の間に挟まれた式(I)で示される1種以上のシアノアクリレートおよびフィルム形成性(コ)ポリマーを含む硬化性フィルム103からなる。該第1および第2剥離基材104および105は、硬化性フィルムに対して異なる剥離性を有し得る。このため、第1および第2剥離基材104および105を、互いに別々に取り除くことが可能である。
【0154】
図5に両面粘着テープ501を示す。該テープ501は、担体基材102の第1面上の第1硬化性フィルム103、および、担体基材102の第2面上の第2硬化性フィルム106を有する担体基材102からなる。該第1および第2硬化性フィルム103および106は、同一または異なってよく、即ち、これらは、式(I)で示される1種以上のシアノアクリレートおよびフィルム形成性(コ)ポリマーの同一または異なる組合せを含み得る。剥離基材104は、第2硬化性フィルム106を被覆および保護する。剥離基材104は、好ましくは、両面において剥離性を有する。好ましくは、該剥離性は、2つの面で異なる。そのため、該両面テープ501をロールに巻く、および、巻き出す際、剥離基材104の2つの面における剥離作用に差があり得る。
【0155】
第2態様の両面粘着テープ601を
図6に示す。該テープ601は、担体基材102の第1面上の第1硬化性フィルム103、および、担体基材102の第2面上の第2硬化性フィルム106を有する担体基材102からなる。該第1および第2硬化性フィルム103および106は、同一または異なってよく、即ち、これらは、式(I)で示される1種以上のシアノアクリレートおよびフィルム形成性(コ)ポリマーの同一または異なる組合せを含み得る。第1剥離基材104は、第1硬化性フィルム103を被覆および保護する。第2剥離基材105は、第2硬化性フィルム106を被覆および保護する。第1および第2剥離基材104および105は、硬化性フィルム103および106に対して、異なる剥離性を有し得る。
【0156】
図7に、異なる製剤から得られる一部のテープの屈折率のいくつかを示す。Levamelt(棒グラフの棒1)はテープ1から得た硬化性フィルムを表し、棒2〜4はスチレン-PheCAコポリマーを混合して得たテープを表し、棒5〜7はLevameltをVinnol型ポリマーで置き換えて得たテープを表し、最後に、最後の棒は、染料/着色剤または顔料(例えばナフトールグリーン、クマリン、カロテン、m-クレゾールパープル、Cu(II)フタロシアニンおよびその他)を接着剤に添加して得たテープを表す。
【実施例】
【0157】
〔材料〕
Levamelt(登録商標)900は、約90重量%のビニルアセテート含量を有するエチレンビニルアセテートコポリマーを形成するフィルムであり、Lanxess AG、レーファークーゼン、ドイツから市販されている。
【0158】
Durotak(登録商標)2123は、(メタ)アクリル酸エステルコポリマーを形成するフィルムの酢酸エチル中溶液であり、Henkel AG & Co. KGaA、デュッセルドルフ、ドイツから市販されている。
【0159】
ネオペンチル2-シアノアクリレート(NCA)は、固体シアノアクリレート(融点41℃)であり、WO2010/023229に従い合成され得る。
【0160】
(2-フェニルエチル)2-シアノアクリレート(PheCA)は、固体シアノアクリレート(融点30-32℃)であり、2-フェニシアンアセテート、ホルムアルデヒドおよび触媒を用いる、溶媒中のクネーベナーゲル法、続く開裂工程により合成され得る。適当な合成は、Sato、Mitsuyoshi、OkuyamaおよびToshioの、日本公開特許公報(1994)、およびJP 06192202Aに見られ得る。
【0161】
剥離基材1(RS1)は、厚み50μm、両面がシリコーンコーティングで覆われた、ポリエステルフィルムである。
【0162】
剥離基材2(RS2)は、厚み50μm、両面がシリコーンコーティングで覆われた、ポリエチレンフィルムである。
【0163】
スーパーグル―は、一般的なシアノアクリレート接着剤の例である。これは、Loctite 4062として、Henkel AG & Co. KGaA、デュッセルドルフ、ドイツより市販されている。
【0164】
〔テープ調製〕
異なる硬化性フィルム製剤を、HDPEボトルにおいて、次の方法に従い製造した:フィルム形成性(コ)ポリマーを酢酸エチルに溶解させ、50重量%の溶液を得た。シアノアクリレートモノマーおよび追加の酢酸エチルを加え、50重量%(シアノアクリレートモノマー+フィルム形成性(コ)ポリマー)の酢酸エチル溶液を得た。全ての製剤は、安定剤としてのスルホン酸、BF
3またはSO
2の存在下で安定であった。
【0165】
テープを製造するために、硬化性フィルム製剤を、刃を備えたドローダウンコーターを用いて剥離基材上に被覆した。湿潤硬化性フィルムを22℃で10分放置した。剥離ライナーおよび硬化性フィルムを、気流を備えたオーブン中、5分、90℃でさらに乾燥させるか、または、別の定めとしては、1重量%より低い残留溶媒のレベルまで酢酸エチルを除去した。次のテープを製造した:
【0166】
テープ1(PheCA+Levamelt(登録商標)900)
【0167】
テープ2(PheCA+Durotak(登録商標)2123)
【0168】
比較テープ1(NCA+Levamelt(登録商標)900)
【0169】
比較テープ2(Durotak(登録商標)2123)
【0170】
異なるテープの特性を以下の試験方法を用いて評価した。
【0171】
〔試験方法〕
〔ループタック〕
ループタックは、DIN EN 1719に従い測定する:硬化性フィルムをアルミニウム上に貼り合わせ、幅約25mmおよび長さ約300mmの試験片に切断する。試験片ウをすぐに、「Zwick」引張強さ試験機Z010において、100mm/分の速度で測定した。
【0172】
硬化後のループタックを測定するために、上記のようにして試験片を調製する。該試験片を「Zwick」引張強さ試験機Z010に入れる前に、硬化性フィルムを記載する条件下で硬化させる、ここで、ループタックは後述するようにして測定される。
【0173】
〔剪断抵抗〕
フィルムをポリエステルフィルムに貼り合わせ、幅約25mmおよび長さ約50mmの試験片に切断する。該試験片を、スチールプレートの端部で約25mm×25mmの領域を覆うように、スチールプレート上に置く。調製後すぐに、該スチールプレートを適当な装置中で垂直に配置し、1N〜160Nの間の荷重を印加する。該剪断値は、該試験片が4時間後にプレートになお貼り付く際の最大応力値(ニュートン)である。
【0174】
硬化後の剪断抵抗を測定するために、上記のようにして試験片を調製する。上記のようにして剪断抵抗を測定する前に、該硬化性フィルムを記載する条件下で硬化する。
【0175】
〔重ね剪断試験〕
グリットブラスト軟鋼(Grit blasted mild steel、GBMS)パネル:GBMSパネルは、グリットブラスト軟鋼からなる。グリットブラスト化は、試験前の<24hで行わねばならない。ブラスト化媒体:コランダム、直径0.21−0.3mm、ブラスト化圧:3bar。硬化性フィルムは、GBMSスチールパネル(25mm幅)へと転写され、第1スチールパネルの端で25mm×12、5mm(312,5mm
2)の領域を被覆する。第2スチールパネルは、該被覆領域が完全に重ね合わせられるように、該第1パネル上に置かれる。2つのクランプ(それぞれの荷重、45−90N)を使用して、該スチールパネルを共に押し付ける。次いで、所定の温度および時間条件下で、得られる試験片を貯蔵する。
【0176】
重ね剪断強度を「Zwick」引張強さ試験機Z010を用いて測定した。速度:2mm/分;初期荷重:5N。得られた値は、試験片が破壊する前の最大応力である。
【0177】
硬化後の重ね剪断強度を測定するために、上記のようにして試験片を調製する。上記のようにして重ね剪断強度を測定前に、該硬化性フィルムを記載する条件下で硬化させる。
【0178】
〔示差走査熱量測定(DSC)〕
DSC測定のために、NETZSCH DSC204F1装置を使用し、ここで、測定条件は以下である:スキャン温度範囲−80℃〜200℃、10K/分、試料重さ:5mg。
【0179】
〔動的機械分析(DMA)〕
DMA測定のために、METTLER TOLEDO DMA/SDTA861e装置を使用し、ここで、測定条件は以下である:1Hzの調和剪断荷重、最大応力 1.5N、最大距離 10μm、スキャン温度範囲−150℃〜200℃。貯蔵弾性率G`は、DMA結果から決定した。
【0180】
〔実施例1〕
テープ1の硬化性フィルムは、高い初期粘着性を示し、23℃で良好な感圧接着性を示す。該フィルムを65℃の温度に1時間さらし、続いて23℃の温度に24時間さらすことで、硬化性フィルムを完全に硬化することができる。該硬化性フィルムのガラス転移温度(T
g)は−40℃であり、ここで、硬化フィルムのガラス転移温度(T
g)は15℃である。硬化性フィルムについて、3・10
3Pa貯蔵弾性率G`が測定された。
【0181】
表1に、テープ1の材料特性のいくつかを示す。
【0182】
【表1】
【0183】
硬化工程の重要性は表2にさらに示され、ここではことなる硬化条件を使用した。高いせん断強度は、硬化性フィルムの硬化を引き起こし得る条件に試料をさらした場合にのみ見られた。
【表2】
【0184】
〔実施例2〕
テープ2の硬化性フィルムは、非常に高い初期粘着性を示し、23℃で非常に良好な感圧接着性を示す。該フィルムを65℃の温度に1時間さらし、続いて23℃の温度に24時間さらすことで、硬化性フィルムを完全に硬化することができる。
【0185】
表3に、テープ2の材料特性のいくつかを示す。
【表3】
【0186】
〔実施例3(比較例)〕
65℃の温度で1時間、続いて23℃の温度に24時間の、硬化性フィルムの硬化は、GBMS上での重ね剪断強度を十分に高めず、このことは、このテープが種々の構造的結合用途に不適当であり得ることを意味する。
【0187】
表4に、比較テープ1の材料特性のいくつかを示す。
【表4】
【0188】
〔実施例4(比較例)〕
比較テープ2のフィルムは、高い初期粘着性を示し、23℃で感圧接着性を示す。しかし、該フィルムを異なる条件にさらすと(表5参照)、GBMS上での結合強度の十分な増加をもたらさず、このことは、このテープがあらゆる構造的結合用途に不適当であることを意味する。
【表5】
【0189】
〔(コ)ポリマー酸価の測定方法〕
試料容器の蓋を、温度計を備えた蓋に置き換えることにより、試料が室温であるかどうか確認する。該温度を測定する。該温度が20〜30℃であれば、所定の順で解析を開始し得る。該温度が上記の範囲内でない場合、該試料を25℃で水浴に入れ、20〜30℃の値に達するまで定期的に温度を確認する。一部の(コ)ポリマーは揮発性化合物を含有するため、ほとんどの臨界パラメーターの測定を開始することが推奨される。
【0190】
方法:
1.250ccの試料容器中にXgの(コ)ポリマーを計量する。.
2.アセトンを添加する。使用前に、該アセトンをフェノールフタレインを用いて、0.05N KOHで中和する。
3.(コ)ポリマーが溶解するまで、該試料容器を振る。
4.該試料容器を冷却し(0−5℃)、0.05N KOHを用いて、透明から明るいピンクまで滴定する。色の変化は、30秒間静置せねばならない。
5.ここで、該(コ)ポリマーは低い酸価(1.0mg KOH/g乾燥樹脂最大)を有し、小さい10ml容器を使用する。
【0191】
(コ)ポリマーの酸価は次の式で決定される:
【数1】
【0192】
試料における全固形分は、(コ)ポリマー中の%乾燥ポリマーを表す。通常、(コ)ポリマーは溶媒系である。試料における全固形分の通常の値は、30−60%である。
【0193】
〔編織物アセンブリ法〕
本発明に記載するような構造的粘着性転写テープは、編織物のアセンブリに特に有用である。
【0194】
〔編織物基材〕
重ね剪断実験または剥離実験用の編織物試験片を、市販のナイロン、コットンおよびコットン-ポリエステル(33%/66%)から、2.5cm×12.5cm片に切断して調製した。
【0195】
比較実験は、Henkel Technomelt PUR 7549、ポリウレタン反応性ホットメルト液状接着剤を用いて行った。受け入れられるような、中国製のナイロン上にあらかじめ貼り合わせたTechnomelt PUR 7549 編織物試料を洗浄実験および剥離実験に使用した。
【0196】
〔プラスチック重ね剪断試験片〕
プラスチック重ね剪断試験片は、STM 700に従い、クランプ Wilton、モデル365を用いて組立て、硬化を施した。編織物重ね剪断試験片は、STM 700に従いクランプ Wilton、model 365を用いて軟鋼重ね剪断間にクランプし、硬化を施した。
【0197】
〔ヒートショックプレス〕
ヒートショックプレスFermant 400Tを、ステッチフリー用途における封止実験に使用した。インパルスレベル5を使用し(8秒)、2.5cm×0.2cmの硬化面を作った。次いで、結合した材料を直接、洗浄試験またはまたは引張強さ試験に、それぞれ施した。
【0198】
〔熱プレス〕
テープ用途の熱プレス実験のために、320cm×320cmの編織物片を切断し、該テープを1つの編織物片上に転写させ、開いたテープ層を他方の320cm×320cmの編織物片で覆った。
【0199】
競合品を用いる熱プレス実験に、ホットメルト接着剤320cm×320cmの編織物片を切断し、1片をホットプレート(100℃)上に置き、熱い熱溶融物を40μmコーティングナイフで、100℃で編織物片上に転写させ、該編織物片を、同一サイズの第2編織物層で最終的に覆った。
熱プレス Fontune TP-400を、対象の粘着性物品に対し320cm×320cmの硬化表面で、加圧および加熱するために使用し、完全に硬化した表面で20kNの応力で2分間使用した。加圧中の温度:100℃。
【0200】
〔洗浄実験〕
2.5cm×12.5cmの寸法の試験片を、熱プレス後の貼り合わせ編織物から切り出し、機械的撹拌棒を備えたガラスの1L丸底フラスコに移し、700mL〜800mLの水道水および市販のsomatタブレットの半分を加えた。この混合物を100〜250rpmで撹拌し、100℃、60℃、40℃または室温まで加熱した。2時間(または室温で行った実験については24時間)後、編織物試験片を取り出し、きれいな水道水で3回すすぎ、60℃または70℃のオーブンに移した。乾燥は2時間で行った。編織物片を室温まで冷却し、剥離または引張強さを測定する前に、1〜2日間常温で放置した。
【0201】
〔引張強さ測定〕
重ね剪断強度は、STM 700に従い、Instron 5567にて30kN、1kNおよび100Nのロードセル、それぞれ、Z100、100kNおよび1kNロードセルを有するZwick引張試験機、Zwick引張試験機タイプ 144501、および、1kNロードセルを有するZwick引張試験機 KAF-Zで測定した。試験は2回繰り返した。
【0202】
〔剥離実験〕
剥離は、修正 DIN EN 1939に従い、1kNロードセルを有するZwick引張試験機 KAF-Zにて測定した:
・試験片を2.5cm×12.5cmに切断
・5−6cmの開口を有する該試料を剥離し、該開口端が引張試験機のフリップにクランプできることを確認する
・引張試験機を設定する:
・応力をリセットする
・試料をクランプし(引張なし)、開始する
・終了時にグリップを戻す
・グラフを印刷する
・0.1Nより大きい全てのピークの平均をとる
・これを全ての試料について繰り返す(2〜3回)
【0203】
〔実施例5〕
転写テープ、テープ1を編織物の2つの試験片の一方に適用し、編織物の第2試験片をテープ上にのせ、短時間のヒートショックを適用し簡潔な接合を作る。8秒のヒートショックにより、50mm
2の合計結合面積を有する幅広縫目なしステッチがもたらされる。
【0204】
基材破壊(SF)は、編織物のバルク強度が、結合の接着強度よりもずっと低いことを示す。この種の破壊は、選択の処理および接着が成功していることを示す。
【0205】
次の表6から明らかなように、熱洗浄および乾燥後に接着強度が維持される。
【0206】
【表6】
【0207】
〔編織物重ね剪断実験〕
表7および8(下記参照)は、種々の編織物についての重ね剪断実験の結果を示す。種々の洗浄および乾燥サイクルの作用に加えて、異なる硬化条件を示す。
【0208】
【表7】
【0209】
【表8】
【0210】
表9および10は、テープ1および比較Hotmelt Technomelt PUR 7549についての、異なる切断条件下での重ね剪断結果を示す。
【表9】
【0211】
【表10】
【0212】
〔剥離実験〕
表11および12は、本発明に記載するような構造粘着性転写テープについて、テープ1および市販のTechnomelt PUR 7549の剥離実験の結果を示す。
【0213】
【表11】
【0214】
【表12】
【0215】
テープ1は、コットンおよびコットン−ポリエステル基材上で、比較サンプルよりも優れていた。
【0216】
表13は、ナイロン、コットンおよびコットン-ポリエステル材料上での、60℃で2時間の洗浄サイクル、続く2時間の乾燥サイクル後;および、40℃で2時間の洗浄サイクル、続く2時間の乾燥サイクル後の、テープ1の剥離実験の結果を示す。
【0217】
【表13】
【0218】
表14および15は、剥離実験を同一の洗浄および乾燥サイクルについて行った際の、Technomelt PUR 7549についての結果を示す。
【0219】
【表14】
【0220】
【表15】
【0221】
〔実施例6〕
本発明において述べるような構造粘着性転写テープは、高湿度環境において特に有利である。
【0222】
〔材料〕
〔基材〕
重ね剪断実験用の木材試験片を、通常の重ね剪断パネルの寸法で市販のレッドブナ木材から切り出した。セラミックタイル試験片は、通常の重ね剪断パネルの寸法でDIYストアにて購入した市販のタイルから切り出した。セラミックタイルの普通の表面を結合のアセンブリに使用した。軟鋼重ね剪断試験片は、使用前に、Gyson製のシリコンカーバイドを用いて、4バール圧で、STM 700に従い、1ULA 1400グリットブラスト化装置を用いてグリットブラスト化した。重ね剪断試験片を用いる全ての引張強さ試験をSTM 700に従い行った。
〔競合試料〕
「Nie wieder bohren(TEROSTAT MS 9380 WEISS DK310ML)」、「Unibond No More Nails(original)」、「Tesa Powerstrips」および「3M 467MP」を比較試験に使用した。全ての競合試料は、供給者から推奨されるようにして適用した。重ね剪断試験片の調製、製品の適用および引張強さ試験は、STM 700に従い行った。
【0223】
「Nie wieder bohren(TEROSTAT MS 9380 WEISS DK310ML)」は、白色ペースト形態の1K(1成分)シラン変性ポリエーテル接着剤である。滑らかな表面および粗い表面への適用に適当である。これは、瞬間接着剤ではなく、硬化に空気および時間(12時間)が必要である。別売りされる特別な吐出アダプターも必要である。入手可能な最も小さい吐出アダプターは35mmの直径を有し、不変に5kg重(0.5MPa)を支持する。
【0224】
「Unibond No More Nails(original)」は、Henkelから入手可能なスチレンアクリレートコポリマーである。
【0225】
「Tesa Powerstrips」ラージ;両面粘着性ストリップ。Tesa AGより入手可能。
【0226】
「3M 467MP」は、200MP接着剤、アクリル系接着剤、両面転写テープである。
【0227】
〔引張強さ測定〕
重ね剪断結合の引張強さを、Instron 5567にて30kN、1kNおよび100Nのロードセル、それぞれ、Z100、100kNおよび1kNロードセルを有するZwick引張試験機、Zwick引張試験機タイプ 144501、および、1kNロードセルを有するZwick引張試験機 KAF-Zで測定した。
【0228】
本発明に記載するような粘着性転写テープを、スチールにセラミックを、セラミックにスチールを、および、スチールにゴムを結合させるのに使用した。
【0229】
結合組立品を次の条件に24時間さらした:
・20% RH、20℃−乾燥室内条件
・85% RH、30℃−浴室条件
・98% RH、40℃−浴室条件
・98% RH、65℃−浴室条件
【0230】
結合領域は、0.5インチ
2(322.6mm
2)であった。
【0231】
結果を次の表16にまとめる。硬化条件:STM 700に従い、示した条件で24時間のクランピングで行った。結合強度はRTで測定した。
【表16】
【0232】
基材破壊は、材料のバルク強度が、接着剤および接着強度よりもずっと低いことを示す。この種の破壊は、選択の処理および接着が成功していることを示す。
【0233】
非常に高湿度の環境(85%を超える室内湿度(RH)および30℃を超える)において、0.5インチ
2(12.7mm
2)の結合領域を有するテープ1は、基材によって、約65〜270Kgの重さを支える。
【0234】
98%湿度および40℃での基材破壊は、結合の極限強度を示す。
【0235】
接着強度は、標準室内条件と比較して高湿度環境でより良好である。
【0236】
テープ1についての、異なる基材に対する異なる湿度レベルでの結合の結果:
硬化 85%RH、30℃:
セラミック−GBMS、結合破壊までに適用した応力:4.6MPa(151Kg)短期間
セラミック−セラミック、結合破壊までに適用した応力:2.6MPa(85Kg)
GBMS−GBMS、4.6MPa(153Kg)
硬化 98%RH、40℃:
セラミック−GBMS、結合破壊までに適用した応力:2.8MPa(92Kg)短期間
セラミック−セラミック、適用した応力:4.2MPa(138Kg)基材破壊:基材よりも強い接着
GBMS‐GBMS、結合破壊までに適用した応力:5.5MPa(181Kg)
硬化 98%RH、65℃:
セラミック−GBMS、結合破壊までに適用した応力:3.5MPa(114Kg)短期間
セラミック−セラミック、結合破壊までに適用した応力:1.9MPa(65Kg)
GBMS−GBMS、結合破壊までに適用した応力:8.2MPa(270Kg)
【0237】
望ましくは、該構造粘着性転写テープは透明であり、数ミクロンの厚みのみであり、大抵の表面に接着する。
【0238】
表17〜21は、テープ1と別の製品との適性における比較である。比較重ね剪断実験結果を表17〜21に示す。硬化条件は、示された硬化条件でのクランピングにて、STM 700に従った。高温および湿度環境への直接暴露は硬化を達成した。結合強度はRTにて測定した。
【0239】
【表17】
【0240】
【表18】
【0241】
【表19】
【0242】
【表20】
【0243】
【表21】
【0244】
本発明に記載するような構造粘着性転写テープは、それが破壊する前に、材料、湿度および温度に応じて、30〜270kgを支持する。
【0245】
【表22】
【0246】
GBMS上での硬化後の重ね剪断結果において、テープ1は比較試料よりも優れており、全ての硬化条件を表22に示す。
【0247】
【表23】
【0248】
【表24】
【0249】
表25〜27は、テープ1についての、セラミック−セラミック;セラミック-GBMS;およびGBMS−GBMSの接着の重ね剪断結果を示す。硬化条件:結合をクランピングなしで達成し、STM 700に従って高温および湿度環境へ直接暴露した。結合強度はRTにて測定した。
【0250】
【表25】
【0251】
【表26】
【0252】
表27〜31は、テープ1と別の製品との適性における比較である。比較重ね剪断実験結果を表25〜31に示す。硬化条件:結合は、クランピングなしにSTM 700に従い高温および湿度環境へ直接暴露して達成した。結合強度はRTにて測定した。
【0253】
【表27】
【0254】
【表28】
【0255】
【表29】
【0256】
【表30】
【0257】
【表31】
【0258】
表32および33は、硬化後および室温でエージング後の重ね剪断実験におけるテープ1および3M 467MPの適性を示す。硬化条件:示した硬化条件についてGBMS上でクランピングを用い、STM 700に従い行った。クランプは、硬化時間後に取り除き、試験片を周囲温度で示した時間貯蔵した。結合強度はRTで測定した。
【0259】
【表32】
【0260】
【表33】
【0261】
表34および35は、異なる温度での経時の重ね剪断実験におけるテープ1および3M 467MPの適性を示す。硬化条件:示した硬化条件についてGBMS上でクランピングを用い、STM 700に従い行った。クランプは、硬化時間後に取り除き、試験片を異なる温度で示した時間貯蔵した。結合強度はRTで測定した。
【0262】
【表34】
【0263】
【表35】
【0264】
表36に、高温で硬化後の重ね剪断実験におけるテープ1および3M 467MPの結果を示す。硬化条件:示した硬化条件についてクランピングを用い、STM 700に従い行った。
【表36】
【0265】
表36の結果から明らかなように、試験した全ての高硬化温度条件下で、テープ1は比較試料よりも優れていた。
【0266】
〔耐溶媒性〕
GBMS試験片をSTM 700に従い硬化およびクランプさせた。クランプを取り除き(次いで初期引張強さを測定した)、結合した重ね剪断試験片を、所定の溶媒に浸すか、または、所定の環境条件下に放置した。24時間、48時間、100時間および500時間後、重ね剪断を溶媒/環境条件から取り出し、周囲温度で乾燥させて、室温で引張強さ測定を行った。
【0267】
【表37】
【0268】
【表38】
【0269】
【表39】
【0270】
【表40】
【0271】
〔実施例7〕
本発明に記載されるような接着性物品(例えばテープ1)は、9時間硬化後、322.6mm
2の表面で15kgまでの重量を支えるため、比較試料よりも3倍優れている。
【0272】
高い湿度および温度は硬化を促進し、結合強度を高める。したがって、高湿度領域への適用に際し、時間が経つにつれて結合がさらにより強くなるであろう。
【0273】
〔光電子工学〕
本発明に記載するような構造用粘着性転写テープは、光電子工学および光学デバイスの製造に特に有要である。
【0274】
次の実施例は、光電子工学および電子工学における用途のための、本発明に記載する接着性物品の適性を示す。
【0275】
〔材料〕
〔基材〕
重ね剪断実験用の木材試験片を、通常の重ね剪断パネルの寸法で市販のレッドブナ木材から切り出した。ニトリルブタジエンゴム重ね剪断試験片を、通常の重ね剪断パネルの幅で半分の長さの寸法で、大きいマットから切り出した。
セラミックタイル試験片は、通常の重ね剪断パネルの寸法でDIYストアにて購入した市販のタイルから切り出した。セラミックタイルの普通の表面を結合のアセンブリに使用した。軟鋼重ね剪断試験片は、使用前に、Gyson製のシリコンカーバイドを用いて、4バール圧で、STM 700に従い、1ULA 1400グリットブラスト化装置を用いてグリットブラスト化した。重ね剪断試験片を用いる全ての引張強さ試験をSTM 700に従い行った。(示されるような)軟鋼重ね剪断試験片およびアルミニウム重ね剪断試験片を、使用前に、Gyson製のシリコンカーバイドを用いて、4バール圧で、STM 700に従い、1ULA 1400グリットブラスト化装置を用いてグリットブラスト化した。他の重ね剪断試験片は、全て、入手したまま使用した。重ね剪断試験片を用いる全ての引張強さ試験をSTM 700に従い行った。
【0276】
〔競合試料〕
3M 467MP両面転写テープを比較試料として使用した。全ての競合試料は、供給者から推奨されるようにして適用した。重ね剪断試験片の調製、製品の適用および引張強さ試験は、STM 700に従い行った。
【0277】
〔添加剤〕
全ての添加剤をSigma Aldrichから購入し、さらなる精製を行うことなく入手したまま使用した。
【0278】
〔貯蔵〕
テープを5℃または室温で、密封アルミニウムパウチ中で貯蔵した。
【0279】
〔引張強さ測定〕
重ね剪断結合の引張強さを、30kN、1kNおよび100Nのロードセル(それぞれ(Dublin))を備えるInstron 5567にて、Z100、100kNおよび1kNロードセルを有するZwick引張試験機、100kNおよび1kNのロードセル(Dublin)を備えるZwick引張試験機Z100、および、Zwick引張試験機 タイプ144501(デュッセルドルフ)で測定した。
〔引張強さ測定〕
【0280】
〔屈折率〕
屈折率は、Bellingham+Stanley 44-501 Abbe 屈折率計にて、22℃〜23℃で測定した。
【0281】
〔実施例8−テープ3〕
ここで使用したテープは、 coatable mixture of a solid固形シアノアクリレート(50%、例えばネオペンチルCA、2-フェニルエチルCA)、強化剤、例えばLevamelt(50%)および染料、着色剤および顔料のような添加剤(数重量%)の、適当な溶媒中(クロロホルム、酢酸エチル)の被覆可能な混合物に基づく。該混合物は、コーティングに十分な液状でなければならず、十分な安定性を示さねばならない。
【0282】
高屈折率(RI)および透明性が望ましい。被覆は、溶液から、支持体上へと線引きして行われ、乾燥後に転写可能なフィルムが形成される。
【0283】
RIは、Abbey屈折率計を用いて、テープから直接に測定することができる。
【0284】
該テープは、上記に述べたものよりも高い剥離性を有する剥離ライナーで覆われている。該テープは後の使用のために封止パウチ中で貯蔵されるか、または、光学デバイスの直接のまたは続く結合(または固定)のための部品に、ライナーから転写される。これは、包装における封入としても使用され得る。
【0285】
テープ3における硬化性組成物は、Levamelt(4g、36.08%全固形分、11.08g酢酸エチル溶液)、2-フェニルエチルシアノアクリレート(4g)、CSA(48μg、0.2g酢酸エチル中保存溶液)、ヒドロキノン(6.4mg、0.8g酢酸エチル中保存溶液)、ベータカロテン(0.04g)を酢酸エチル(0.47g)に溶解した混合物を含む。コーティング溶液を、シリコン処理したポリエチレン支持体ライナーに、自動コーティング装置を用いて転写させる。溶媒を高温で除去する。粘着均質フィルムをライナー上に置く。次いで、該フィルムを剥離ライナーで覆い、熱シールしたアルミニウムパウチ中に低温で貯蔵する。結合強度はSTM-700により測定する。
【0286】
【表41】
【0287】
表41に見られるように、試験した各硬化条件についての、GBMS上での重ね剪断実験において、テープ3は比較試料よりも優れていた。
【0288】
【表42】
【0289】
表42に見られるように、試験した各硬化条件についての、木材上での重ね剪断実験において、テープ3は比較試料よりも優れていた。
【0290】
【表43】
【0291】
表43に見られるように、試験した各硬化条件についての、ガラス上での重ね剪断実験において、テープ3は比較試料よりも優れていた。
【0292】
【表44】
【0293】
【表45】
【0294】
表45に見られるように、各硬化条件についての、ABS上での重ね剪断実験において、テープ3は比較試料よりも優れていた。
【0295】
【表46】
【0296】
表46に見られるように、各硬化条件についての、PC/ABS(ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレン)上での重ね剪断実験において、テープ3は比較試料よりも優れていた。
【0297】
【表47】
【0298】
Ixef(登録商標)(アリールアミド)化合物は、通常、これらに顕著な強度および合成を与える、50〜60%のガラス繊維強化剤を含有する。これらを特徴的にするものは、高いガラス充填でさえ、滑らかで、樹脂リッチな表面が高い艶仕上げをもたらすことでありり、これは、塗装、金属化について、または、自然な反射性のシェルを製造するに理想的である。
【0299】
表47に見られるように、硬化をRTで行った際、重ね剪断実験において、テープ3は比較試料と同等の性能を示した。しかし、硬化を70℃で1時間およびRTで24時間で行った際、約10の因子で、テープ3は比較試料よりも優れていた。
【0300】
【表48】
【0301】
表48に見られるように、RTで硬化後の重クロム酸亜鉛上での重ね剪断実験において、テープ3は比較試料よりも優れていた。
【0302】
【表49】
【0303】
表49に見られるように、全ての硬化条件において、陽極化アルミニウム上での重ね剪断実験において、テープ3は比較試料よりも優れていた。
【0304】
【表50】
【0305】
表50に見られるように、全ての硬化条件において、マグネシウム合金上での重ね剪断実験において、テープ3は比較試料よりも優れていた。
【0306】
【表51】
【0307】
表51に見られるように、試験した各硬化条件において、ラッカー上での重ね剪断実験において、テープ3は比較試料よりも優れていた。
【0308】
【表52】
【0309】
表52に見られるように、試験した各硬化条件において、アルミニウム上での重ね剪断実験において、テープ3は比較試料よりも優れていた。
【0310】
【表53】
【0311】
表53に見られるように、試験した各硬化条件において、ブラスト化アルミニウム上での重ね剪断実験において、テープ3は比較試料よりも優れていた。
【0312】
【表54】
【0313】
表54に見られるように、試験した各硬化条件において、ニトリルブタジエンゴム上での重ね剪断実験において、テープ3は比較試料と同等であるか、または、比較試料よりも優れていた。
【0314】
表55〜67に、本発明に記載するような構造粘着性転写テープ(SATT)の硬化性フィルム製剤におけるバリエーションの結合性能実験の結果を示す。
【0315】
【表55】
【0316】
【表56】
【0317】
【表57】
【0318】
【表58】
【0319】
【表59】
【0320】
【表60】
【0321】
【表61】
【0322】
【表62】
【0323】
〔屈折率〕
屈折率は、22℃〜23℃で、Bellingham+Stanley 44-501 Abbey 屈折率計にて測定した。
【表63】
【0324】
硬化条件:STM 700に従い、クランピングを用いて、示された硬化条件にて行った。
【0325】
Vinnol(登録商標)表面コーティング樹脂は、種々の工業用途において使用されるビニルクロリド誘導体化コポリマーおよびターポリマーの幅広い範囲のものを表す。かかるポリマーの主成分は、異なる組成のビニルクロリドおよびビニルアセテートである。ビニルクロリドコポリマーはいずれの他の官能基も含有しない。我々のVinnol(登録商標)製品ラインのターポリマーは、追加的にカルボキシル基またはヒドロキシル基を含有する。
【0326】
【表64】
【0327】
【表65】
【0328】
【表66】
【0329】
【表67】
【0330】
用語「含む(comprises/comprising)」および用語「有する/含む(having/including)」は、本発明に関して本明細書で使用する場合、記載した特徴、数値、ステップまたは成分の存在を特定するために使用されるが、またはaddition of 1種以上の他の特徴、数値、ステップ、成分それらの群の存在を排除するものではない。
【0331】
別の態様に関して明確性のために記載される本発明の特定の特徴は、1つの態様における組合せをも提供し得ることが望ましい。逆に言えば、1つの態様に関して簡潔さのために記載される本発明の種々の特徴は、別々に、または任意の適当な部分的組合せにおいても供され得る。
本明細書の当初の開示は、少なくとも下記の態様を包含する。
〔1〕剥離基材および/または担体基材上の硬化性フィルムを含む物品であって、該硬化性フィルムは:
(a)式(I):
[式中、R1は1〜10個の炭素原子を含む2価の架橋基であり、AはC5-C50アリール残基またはC2-C50ヘテロアリール残基を表す]
で示される化合物から選択される少なくとも1種のシアノアクリレートモノマー;および
(b)少なくとも1種のフィルム形成性(コ)ポリマー
を含む、物品。
〔2〕前記シアノアクリレートモノマーは、式(II):
[式中、nは0〜5であり、R2はC1-5アルキレン基であり、R3はそれぞれ、存在する場合、独立して、C1-C10アルキル、C1-C10アルコキシ、フッ素、塩素、臭素、シアノおよびニトロから選択される]
で示される化合物から選択される、前記〔1〕に記載の物品。
〔3〕前記シアノアクリレートモノマーは1013.25mbarで25℃より高い融点を有する、前記〔1〕または〔2〕に記載の物品。
〔4〕前記シアノアクリレートモノマーは(2-フェニルエチル)2-シアノアクリレートである、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の物品。
〔5〕前記シアノアクリレートモノマーは、硬化性フィルムの総重量に基づいて少なくとも約15重量%の量で存在する、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の物品。
〔6〕前記シアノアクリレートモノマーは、硬化性フィルムの総重量に基づいて約20重量%〜約80重量%の量で存在する、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の物品。
〔7〕前記フィルム形成性(コ)ポリマーは、ポリ(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、ポリビニルエーテル、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン;ブタジエン-アクリロニトリルポリマー、熱可塑性エラストマー、スチレン-イソプレンコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー、スチレン-ブタジエンポリマー、ポリ-α-オレフィン、シリコーン、エチレンビニルアセテートコポリマーおよび/またはそれらの組合せから選択される、前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の物品。
〔8〕前記フィルム形成性(コ)ポリマーは、示差走査熱量測定(DSC)で測定して30℃より低いガラス転移温度(Tg)を有する、前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の物品。
〔9〕前記フィルム形成性(コ)ポリマーは23℃で感圧接着性を有する(コ)ポリマーである、前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の物品。
〔10〕前記フィルム形成性(コ)ポリマーは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルおよび場合により他のコモノマーのコポリマーである、前記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の物品。
〔11〕前記フィルム形成性(コ)ポリマーは約0〜約30の酸価を有する、前記〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の物品。
〔12〕前記フィルム形成性(コ)ポリマーはエチレンビニルアセテートコポリマーである、前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の物品。
〔13〕前記エチレンビニルアセテートコポリマーは、エチレンビニルアセテートコポリマーの総重量に基づいて50重量%〜98重量%のビニルアセテート含量を有する、前記〔12〕に記載の物品。
〔14〕前記フィルム形成性(コ)ポリマーは、硬化性フィルムの総重量に基づいて約20重量%〜約85重量%の量で存在する、前記〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載の物品。
〔15〕硬化性フィルム中、シアノアクリレートモノマーの総量:フィルム形成性(コ)ポリマーの総量の重量比は、1:8〜8:1である、前記〔1〕〜〔14〕のいずれかに記載の物品。
〔16〕前記硬化性フィルムは、シアノアクリレートポリマー、粘着剤、可塑剤、強化剤、酸化防止剤、安定剤、吸水剤および/またはそれらの組合せから選択される1種以上の添加剤をさらに含む、前記〔1〕〜〔15〕のいずれかに記載の物品。
〔17〕前記硬化性フィルムは、硬化性フィルムの総重量に基づいて1重量%以下の量で存在する安定剤をさらに含む、前記〔1〕〜〔16〕のいずれかに記載の物品。
〔18〕前記安定剤は、場合によりヒドロキノン、スルホン酸、BF3またはSO2、ホウ酸、亜鉛塩、リン酸、カルボン酸またはそれらの組合せの1種である、前記〔17〕に記載の物品。
〔19〕前記硬化性フィルムはカンファースルホン酸などの酸をさらに含む、前記〔1〕〜〔18〕のいずれかに記載の物品。
〔20〕酸は硬化性フィルムの総重量に基づいて1重量%以下の量で存在する、前記〔1〕〜〔19〕のいずれかに記載の物品。
〔21〕前記硬化性フィルムは染料をさらに含む前記〔1〕〜〔20〕のいずれかに記載の物品であって、該染料は、ナフトールグリーン、クマリン、カロテン、m-クレゾールパープル、Cu(II)フタロシアニンからなる群から任意に選択される、物品。
〔22〕前記染料は硬化性フィルムの総重量に基づいて約0重量%〜約10重量%の量で存在する、前記〔21〕に記載の物品。
〔23〕前記硬化性フィルムは、動的機械分析(DMA)により1Hzおよび23℃で測定して、約3.3×105Pa以下の貯蔵弾性率G`を有する、前記〔1〕〜〔22〕のいずれかに記載の物品。
〔24〕前記硬化性フィルムは、DIN EN 1719により測定される標準ループタック試験において、少なくとも約3Nのタック値を有する、前記〔1〕〜〔23〕のいずれかに記載の物品。
〔25〕前記硬化性フィルムは、DIN EN 1939により、スチール基材上、23℃で測定して10分後に、約3N/25mm〜約50N/25mmの180°剥離強度を有する、前記〔1〕〜〔24〕のいずれかに記載の物品。
〔26〕前記硬化性フィルムは、示差走査熱量測定(DSC)により測定して10℃より低いガラス転移温度(Tg)を有する、前記〔1〕〜〔25〕のいずれかに記載の物品。
〔27〕前記担体基材は、ポリマーフィルム、発泡体、金属箔、布およびそれらの組合せから選択される、前記〔1〕〜〔26〕のいずれかに記載の物品。
〔28〕前記剥離基材は、場合により剥離剤で被覆された紙またはプラスチック系材料である、前記〔1〕〜〔27〕のいずれかに記載の物品。
〔29〕前記物品は、ラベル、片面テープ、転写テープまたは両面テープである、前記〔1〕〜〔28〕のいずれかに記載の物品。
〔30〕硬化性フィルムの硬化物は約1.45〜約1.6の範囲(好ましくは約1.47〜約1.55の範囲)の屈折率を有する、前記〔1〕〜〔29〕のいずれかに記載の物品。
〔31〕硬化性フィルムの硬化物は半透明、例えば透明である、前記〔1〕〜〔30〕のいずれかに記載の物品。
〔32〕前記〔1〕〜〔31〕のいずれかに記載の硬化性フィルムの硬化物。
〔33〕前記硬化性フィルムは、以下の条件:熱暴露、湿分暴露または放射暴露の任意の1つにより硬化可能である、前記〔1〕〜〔31〕のいずれかに記載の物品。
〔34〕前記硬化性フィルムは、約0〜200℃の範囲の温度に2〜360秒間暴露することにより硬化可能である、前記〔1〕〜〔33〕のいずれかに記載の物品。
〔35〕前記硬化性フィルムは、約10〜100%の範囲の湿度に1〜24時間暴露することにより硬化可能である、前記〔1〕〜〔33〕のいずれかに記載の物品。
〔36〕前記硬化性フィルムは、放射、例えばUV放射に暴露することにより硬化可能である、前記〔1〕〜〔33〕のいずれかに記載の物品。
〔37〕次のステップ:
(a)前記〔1〕〜〔31〕のいずれかに記載の物品を提供すること;
(b)該物品の硬化性フィルムを少なくとも1つの表面に付着させて組立品を形成すること;
(c)該物品の硬化性フィルムを硬化するのに十分な条件に該組立品を暴露することを含み、ここで、該物品の剥離基材は、存在する場合、ステップ(b)の前および/または後で取り除かれる、硬化性表面へのフィルムの付着方法。
〔38〕光電子デバイスの製造における前記〔1〕〜〔31〕のいずれかに記載の物品の使用。
〔39〕第1基材の第2基材への接着方法であって、該方法は以下:
(i)前記〔1〕〜〔31〕のいずれかに記載の物品を提供すること;
(ii)該物品の硬化性フィルムを少なくとも1つの基材に付着させること;
(iii)該基材を合わせること;および
(iii)互いに接着するように該部品間の粘着性フィルムを硬化させること
を含み、ここで、該物品の剥離基材は、存在する場合、ステップ(ii)の前および/または後で取り除かれる、方法。
〔40〕少なくとも1つの基材は軟質材料を含む、前記〔39〕に記載の方法。
〔41〕前記軟質材料は少なくとも1つの編織物、繊維製品、布、シート材料、プラスチックおよびそれらの組合せである、前記〔40〕に記載の方法。