特許第6204504号(P6204504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6204504RF計測学によるRFパルスの同期、処理、および制御
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204504
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】RF計測学によるRFパルスの同期、処理、および制御
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   H05H1/46 R
【請求項の数】35
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-556935(P2015-556935)
(86)(22)【出願日】2013年11月21日
(65)【公表番号】特表2016-513340(P2016-513340A)
(43)【公表日】2016年5月12日
(86)【国際出願番号】US2013071244
(87)【国際公開番号】WO2014123599
(87)【国際公開日】20140814
【審査請求日】2015年11月25日
(31)【優先権主張番号】13/761,955
(32)【優先日】2013年2月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508240030
【氏名又は名称】エムケーエス インストゥルメンツ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ジェイ・クーモウ
(72)【発明者】
【氏名】ラリー・ジェイ・フィスク・セカンド
(72)【発明者】
【氏名】アーロン・ティ・ラドムスキー
(72)【発明者】
【氏名】ジェヒュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】サン−ウォン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・スミカ
【審査官】 山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0109061(US,A1)
【文献】 特表2008−541404(JP,A)
【文献】 特開2012−191414(JP,A)
【文献】 特表2010−500830(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/123184(WO,A1)
【文献】 特開2004−154562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数(RF)システムであって、
RF信号のサンプルをデジタル値に変換するアナログ−デジタル変換器(ADC)モジュールであって、前記RF信号がRFセンサーによって生成されたRF出力に従って変化する、ADCモジュールと、
前記デジタル値に基づいて処理値を生成する処理モジュールと、
前記RF出力の遷移が検出された際に前記処理値のうちの1つの出力を同期させる同期モジュールと
を具備するRFシステム。
【請求項2】
前記RF出力を生成するドライバーと、
レール電圧設定値に基づいてレール電圧を前記ドライバーに印加する電力供給モジュールと、
ドライバー制御設定値に基づいて前記ドライバーを駆動するドライバー制御モジュールと、
前記処理値のうちの前記1つに基づいて前記レール電圧設定値および前記ドライバー制御設定値のうちの少なくとも1つを選択的に調整する出力制御モジュールと
をさらに具備する、請求項1に記載のRFシステム。
【請求項3】
前記ADCモジュールが、前記RF信号を第1の所定周波数でサンプリングする、請求項2に記載のRFシステム。
【請求項4】
前記出力制御モジュールが、前記レール電圧設定値および前記ドライバー制御設定値を第2の所定周波数で選択的に更新し、
前記第2の所定周波数は、前記第1の所定周波数よりも低い、請求項3に記載のRFシステム。
【請求項5】
前記同期モジュールが、所定値を越える前記RF出力の増大および減少のうちの1つに応答して、前記処理値のうちの前記1つを出力する、請求項2に記載のRFシステム。
【請求項6】
無線周波数(RF)制御方法であって、
RFセンサーによって生成されたRF出力のパラメータに基づいてRF信号を生成するステップと、
前記RF信号のサンプルをデジタル値に変換するステップと、
前記デジタル値に基づいて処理値を生成するステップと、
前記RF出力の遷移が検出された際に前記処理値のうちの1つの出力を同期させるステップと
を有するRF制御方法。
【請求項7】
ドライバーを使用して前記RF出力を生成するステップと、
レール電圧設定値に基づいて前記ドライバーにレール電圧を印加するステップと、
ドライバー制御設定値に基づいて前記ドライバーを駆動するステップと、
前記処理値のうちの前記1つに基づいて前記レール電圧設定値および前記ドライバー制御設定値のうちの少なくとも1つを選択的に調整するステップと
をさらに有する、請求項6に記載のRF制御方法。
【請求項8】
前記RF信号を第1の所定周波数でサンプリングするステップをさらに有する、請求項7に記載のRF制御方法。
【請求項9】
前記レール電圧設定値および前記ドライバー制御設定値を第2の所定周波数で選択的に更新するステップをさらに有し、
前記第2の所定周波数は、前記第1の所定周波数よりも低い、請求項8に記載のRF制御方法。
【請求項10】
所定値を越える前記RF出力の増大および減少のうちの1つに応答して、前記処理値のうちの前記1つを出力するステップをさらに有する、請求項7に記載のRF制御方法。
【請求項11】
無線周波数(RF)システムであって、
RF信号のサンプルをデジタル値に変換するアナログ−デジタル変換器(ADC)モジュールであって、前記RF信号がRFセンサーによって生成されたRF出力に従って変化する、ADCモジュールと、
前記RF出力の遷移が検出された際に前記デジタル値のうちの1つの出力を同期させる同期モジュールと、
前記デジタル値のうちの前記1つに基づいて処理値を生成する処理モジュールと
を具備するRFシステム。
【請求項12】
前記RF出力を生成するドライバーと、
レール電圧設定値に基づいてレール電圧を前記ドライバーに印加する電力供給モジュールと、
ドライバー制御設定値に基づいて前記ドライバーを駆動するドライバー制御モジュールと、
前記処理値に基づいて前記レール電圧設定値および前記ドライバー制御設定値のうちの少なくとも1つを選択的に調整する出力制御モジュールと
をさらに具備する、請求項11に記載のRFシステム。
【請求項13】
前記ADCモジュールが、前記RF信号を第1の所定周波数でサンプリングする、請求項12に記載のRFシステム。
【請求項14】
前記出力制御モジュールが、前記レール電圧設定値および前記ドライバー制御設定値を第2の所定周波数で選択的に更新し、
前記第2の所定周波数は、前記第1の所定周波数よりも低い、請求項13に記載のRFシステム。
【請求項15】
前記同期モジュールが、所定値を越える前記RF出力の増大および減少のうちの1つに応答して、前記デジタル値のうちの前記1つを出力する、請求項12に記載のRFシステム。
【請求項16】
無線周波数(RF)制御方法であって、
RFセンサーによって生成されたRF出力のパラメータに基づいてRF信号を生成するステップと、
前記RF信号のサンプルをデジタル値に変換するステップと、
前記RF出力の遷移に前記デジタル値のうちの1つの出力を同期させるステップと、
前記デジタル値のうちの前記1つに基づいて処理値を生成するステップと
を有するRF制御方法。
【請求項17】
ドライバーを使用してRF出力を生成するステップと、
レール電圧設定値に基づいて前記ドライバーにレール電圧を印加するステップと、
ドライバー制御設定値に基づいて前記ドライバーを駆動するステップと、
前記処理値に基づいて前記レール電圧設定値および前記ドライバー制御設定値のうちの少なくとも1つを選択的に調整するステップと
をさらに有する、請求項16に記載のRF制御方法。
【請求項18】
前記RF信号を第1の所定周波数でサンプリングするステップをさらに有する、請求項17に記載のRF制御方法。
【請求項19】
前記レール電圧設定値および前記ドライバー制御設定値を第2の所定周波数で選択的に更新するステップをさらに有し、
前記第2の所定周波数は、前記第1の所定周波数よりも低い、請求項18に記載のRF制御方法。
【請求項20】
所定値を越える前記RF出力の増大および減少のうちの1つに応答して、前記デジタル値のうちの前記1つを出力するステップをさらに有する、請求項17に記載のRF制御方法。
【請求項21】
無線周波数(RF)発生器であって、
RF信号のサンプルをデジタル値に変換するアナログ−デジタル変換器(ADC)モジュールであって、前記RF信号が第1のRF出力に従って変化する、ADCモジュールと、
前記デジタル値に基づいて処理値を生成する処理モジュールと、
第2のRF出力の遷移が検出された際に前記処理値のうちの1つの出力を同期させる同期モジュールと
を具備するRF発生器。
【請求項22】
(a)前記第1のRF出力と前記第2のRF出力とが同一の出力であるか、または
(b)前記第1のRF出力と前記第2のRF出力とが異なる出力であるか
のうちの少なくとも一方である、請求項21に記載のRF発生器。
【請求項23】
前記第1のRF出力を生成するドライバーと、
レール電圧設定値に基づいてレール電圧を前記ドライバーに印加する電力供給モジュールと、
ドライバー制御設定値に基づいて前記ドライバーを駆動するドライバー制御モジュールと、
前記処理値のうちの前記1つに基づいて前記レール電圧設定値および前記ドライバー制御設定値のうちの少なくとも1つを選択的に調整する出力制御モジュールと
をさらに具備する、請求項22に記載のRF発生器。
【請求項24】
前記ADCモジュールが、前記RF信号を第1の所定周波数でサンプリングする、請求項23に記載のRF発生器。
【請求項25】
前記出力制御モジュールが、前記レール電圧設定値および前記ドライバー制御設定値を第2の所定周波数で選択的に更新し、
前記第2の所定周波数は、前記第1の所定周波数よりも低い、請求項24に記載のRF発生器。
【請求項26】
前記同期モジュールが、所定値を越える前記第2のRF出力の増大および減少のうちの1つに応答して、前記処理値のうちの前記1つを出力する、請求項23に記載のRF発生器。
【請求項27】
無線周波数(RF)システムであって、
第1のRF出力のサンプルをデジタル値に変換するアナログ−デジタル変換器(ADC)モジュールと、
第2のRF出力の遷移が検出された際に前記デジタル値のうちの1つの出力を同期させる同期モジュールと、
前記デジタル値のうちの前記1つに基づいて処理値を生成する処理モジュールと
を具備するRFシステム。
【請求項28】
(a)前記第1のRF出力と前記第2のRF出力とが同一の出力であるか、または
(b)前記第1のRF出力と前記第2のRF出力とが異なる出力であるか
のうちの少なくとも一方である、請求項27に記載のRFシステム。
【請求項29】
前記第1のRF出力または前記第2のRF出力のうちの1つを生成するドライバーと、
レール電圧設定値に基づいてレール電圧を前記ドライバーに印加する電力供給モジュールと、
ドライバー制御設定値に基づいて前記ドライバーを駆動するドライバー制御モジュールと、
前記処理値に基づいて前記レール電圧設定値および前記ドライバー制御設定値のうちの少なくとも1つを選択的に調整する出力制御モジュールと
をさらに具備する、請求項28に記載のRFシステム。
【請求項30】
前記ADCモジュールが、前記RF出力を第1の所定周波数でサンプリングする、請求項29に記載のRFシステム。
【請求項31】
前記出力制御モジュールが、前記レール電圧設定値および前記ドライバー制御設定値を第2の所定周波数で選択的に更新し、
前記第2の所定周波数は、前記第1の所定周波数よりも低い、請求項30に記載のRFシステム。
【請求項32】
前記同期モジュールが、所定値を越える前記第2のRF出力の増大および減少のうちの1つに応答して、前記デジタル値のうちの前記1つを出力する、請求項28に記載のRFシステム。
【請求項33】
前記RF出力のパラメータを測定し、前記パラメータに基づいて前記RF信号を生成するRFセンサーをさらに具備する、請求項1に記載のRFシステム。
【請求項34】
RFセンサーを使用して、前記第1のRF出力の前記パラメータを測定するステップをさらに有する、請求項6に記載のRF制御方法。
【請求項35】
前記RF出力のパラメータを測定し、前記パラメータに基づいて前記RF信号を生成するRFセンサーをさらに具備する、請求項11に記載のRFシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマチャンバーと、無線周波数(RF)測定システムおよび測定法とに関する。
【背景技術】
【0002】
ここに記載する背景説明は、本開示の前後関係を全体的に示すことを目的としている。現在挙げられている発明者の研究および出願時点で従来技術と見なされ得ない説明の様態は、この背景技術のセクションで説明されている範囲において、明示的にも黙示的にも本開示に対する従来技術とは認められない。
【0003】
無線周波数(RF)発生器は、交流電流(AC)を入力電力として受け取り、RF出力を生成する。RF出力は、一例としてプラズマチャンバーのプラズマ電極に応用できる。プラズマチャンバーは、薄膜の製造システムや他のシステムに使用できる。
【0004】
ある状況下では、プラズマチャンバーは複数のプラズマ電極を有する場合がある。ほんの一例として、処理される表面が1つのプラズマ電極で対応できる面積よりも大きい場合、2つ以上のプラズマ電極が実装されることがある。
【0005】
したがって、ある状況下では複数のRF発生器が使用されることがある。各RF発生器は、RF出力を生成し、そのRF出力をプラズマ電極に適用する。RF発生器は理想のRF出力を生成するように電気的に接続され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の特徴として、無線周波数(RF)システムが開示される。RFシステムは、RFセンサーと、アナログ-デジタル変換器(ADC)モジュールと、処理モジュールと、同期モジュールとを含む。RFセンサーは、RF出力のパラメータを測定し、パラメータに基づいてRF信号を生成する。ADCモジュールは、RF信号のサンプルをデジタル値に変換する。処理モジュールは、デジタル値に基づいて処理値を生成する。同期モジュールは、RF出力の遷移に応答して処理値のうちの1つを出力する。
【0007】
さらなる特徴として、RFシステムは、RF出力を生成するドライバーと、レール電圧設定値に基づいてドライバーにレール電圧を印加する電力供給モジュールと、ドライバー制御設定値に基づいてドライバーを駆動するドライバー制御モジュールと、処理値のうちの1つに基づいてレール電圧設定値およびドライバー制御設定値のうちの少なくとも1つを選択的に調整する出力制御モジュールとをさらに含む。
【0008】
別の特徴として、ADCモジュールは、RF信号を第1の所定周波数でサンプリングする。
【0009】
さらに別の特徴として、出力制御モジュールは、レール電圧設定値およびドライバー制御設定値を第2の所定周波数で選択的に更新する。第2の所定周波数は、第1の所定周波数よりも低い。
【0010】
さらなる特徴として、同期モジュールは、所定値を越えるRF信号の増大に応答して処理値のうちの1つを出力する。
【0011】
別の特徴として、同期モジュールは、所定値を越えるRF信号の減少に応答して処理値のうちの1つを出力する。
【0012】
さらに別の特徴として、同期モジュールは、所定値を越えるレール電圧の増大および減少のうちの1つに応答して処理値のうちの1つを出力する。
【0013】
さらなる特徴として、同期モジュールは、所定値を越えるドライバー制御モジュールからの出力の増大および減少のうちの1つに応答して処理値のうちの1つを出力する。
【0014】
別の特徴として、以下を含む。RFセンサーは、さらに、RF出力の第2のパラメータを測定し、第2のパラメータに基づいて第2のRF信号を生成する。RFシステムは、第2のRF信号のサンプルを第2のデジタル値に変換する第2のADCモジュールをさらに含む。処理モジュールは、第2のデジタル値に基づいて第2の処理値を生成する。同期モジュールは、RF出力の遷移に応答して第2の処理値のうちの1つを出力する。出力制御モジュールは、第2の処理値のうちの1つにさらに基づいて、レール電圧設定値およびドライバー制御設定値のうちの少なくとも1つを選択的に調整する。
【0015】
さらに別の特徴として、プラズマチャンバーシステムは、RFシステムと、RF出力をフィルタするフィルタと、フィルタされたRF出力を受け取るプラズマ電極とを含む。
【0016】
第2の特徴として、無線周波数(RF)制御方法が開示される。RF制御方法は、RFセンサーを使用してRF出力のパラメータを測定するステップと、RFセンサーを使用してパラメータに基づいてRF信号を生成するステップと、RF信号のサンプルをデジタル値に変換するステップと、デジタル値に基づいて処理値を生成するステップと、RF出力の遷移に応答して処理値のうちの1つを出力するステップとを含む。
【0017】
別の特徴として、RF制御方法は、ドライバーを使用してRF出力を生成するステップと、レール電圧設定値に基づいてドライバーにレール電圧を印加するステップと、ドライバー制御設定値に基づいてドライバーを駆動するステップと、処理値のうちの1つに基づいてレール電圧設定値およびドライバー制御設定値のうちの少なくとも1つを選択的に調整するステップとをさらに含む。
【0018】
さらに別の特徴として、RF制御方法は、RF信号を第1の所定周波数でサンプリングするステップをさらに含む。
【0019】
さらなる特徴として、RF制御方法は、レール電圧設定値およびドライバー制御設定値を第2の所定周波数で選択的に更新するステップをさらに含む。第2の所定周波数は、第1の所定周波数よりも低い。
【0020】
別の特徴として、RF制御方法は、所定値を越えるRF信号の増大に応答して処理値のうちの1つを出力するステップをさらに含む。
【0021】
さらなる特徴として、RF制御方法は、所定値を越えるRF信号の減少に応答して処理値のうちの1つを出力するステップをさらに含む。
【0022】
さらに別の特徴として、RF制御方法は、所定値を越えるレール電圧の増大および減少のうちの1つに応答して処理値のうちの1つを出力するステップをさらに含む。
【0023】
別の特徴として、RF制御方法は、所定値を越えるドライバーへの入力の増大および減少のうちの1つに応答して処理値のうちの1つを出力するステップをさらに含む。
【0024】
さらなる特徴として、RF制御方法は、RFセンサーを使用してRF出力の第2のパラメータを測定するステップと、RFセンサーを使用して第2のパラメータに基づいて第2のRF信号を生成するステップと、第2のRF信号のサンプルを第2のRF信号に変換するステップと、第2のデジタル値に基づいて第2の処理値を生成するステップと、RF出力の遷移に応答して第2の処理値のうちの1つを出力するステップと、第2の処理値のうちの1つにさらに基づいてレール電圧設定値およびドライバー制御設定値のうちの少なくとも1つを選択的に調整するステップとを含む。
【0025】
第3の特徴として、無線周波数(RF)システムが開示される。RFセンサーは、RF出力のパラメータを測定し、パラメータに基づいてRF信号を生成する。アナログ-デジタル変換器(ADC)モジュールは、RF信号のサンプルをデジタル値に変換する。同期モジュールは、RF出力の遷移に応答してデジタル値のうちの1つを出力する。処理モジュールは、デジタル値のうちの1つに基づいて処理値を生成する。
【0026】
さらなる特徴として、RFシステムは、RF出力を生成するドライバーと、レール電圧設定値に基づいてドライバーにレール電圧を印加する電力供給モジュールと、ドライバー制御設定値に基づいてドライバーを駆動するドライバー制御モジュールと、処理値に基づいてレール電圧設定値およびドライバー制御設定値のうちの少なくとも1つを選択的に調整する出力制御モジュールとをさらに含む。
【0027】
さらに別の特徴として、ADCモジュールは、RF信号を第1の所定周波数でサンプリングする。
【0028】
別の特徴として、出力制御モジュールは、レール電圧設定値およびドライバー制御設定値を第2の所定周波数で選択的に更新する。第2の所定周波数は、第1の所定周波数よりも低い。
【0029】
さらなる特徴として、同期モジュールは、所定値を越えるRF信号の増大に応答してデジタル値のうちの1つを出力する。
【0030】
さらに別の特徴として、同期モジュールは、所定値を越えるRF信号の減少に応答してデジタル値のうちの1つを出力する。
【0031】
別の特徴として、同期モジュールは、所定値を越えるレール電圧の増大および減少のうちの1つに応答してデジタル値のうちの1つを出力する。
【0032】
さらなる特徴として、同期モジュールは、所定値を越えるドライバー制御モジュールからの出力の増大および減少のうちの1つに応答してデジタル値のうちの1つを出力する。
【0033】
さらに別の特徴として、以下を含む。RFセンサーは、さらに、RF出力の第2のパラメータを測定し、第2のパラメータに基づいて第2のRF信号を生成する。RFシステムは、第2のRF信号のサンプルを第2のデジタル値に変換する第2のADCモジュールをさらに含む。同期モジュールは、RF出力の遷移に応答して第2のデジタル値のうちの1つを出力する。処理モジュールは、第2のデジタル値のうちの1つに基づいて第2の処理値を生成する。出力制御モジュールは、第2のデジタル値のうちの1つにさらに基づいて、レール電圧設定値およびドライバー制御設定値のうちの少なくとも1つを選択的に調整する。
【0034】
別の特徴として、プラズマチャンバーシステムは、RFシステムと、RF出力をフィルタするフィルタと、フィルタされたRF出力を受け取るプラズマ電極とを含む。
【0035】
第4の特徴として、無線周波数(RF)制御方法が開示される。RF制御方法は、RFセンサーを使用してRF出力のパラメータを測定するステップと、RFセンサーを使用してパラメータに基づいてRF信号を生成するステップと、RF信号のサンプルをデジタル値に変換するステップと、RF出力の遷移に応答してデジタル値のうちの1つを出力するステップと、デジタル値のうちの1つに基づいて処理値を生成するステップとを含む。
【0036】
さらなる特徴として、RF制御方法は、ドライバーを使用してRF出力を生成するステップと、レール電圧設定値に基づいてドライバーにレール電圧を印加するステップと、ドライバー制御設定値に基づいてドライバーを駆動するステップと、処理値に基づいてレール電圧設定値およびドライバー制御設定値のうちの少なくとも1つを選択的に調整するステップとをさらに含む。
【0037】
別の特徴として、RF制御方法は、RF信号を第1の所定周波数でサンプリングするステップをさらに含む。
【0038】
さらに別の特徴として、RF制御方法は、レール電圧設定値およびドライバー制御設定値を第2の所定周波数で選択的に更新するステップをさらに含む。第2の所定周波数は、第1の所定周波数よりも低い。
【0039】
さらなる特徴として、RF制御方法は、所定値を越えるRF信号の増大に応答してデジタル値のうちの1つを出力するステップをさらに含む。
【0040】
別の特徴として、RF制御方法は、所定値を越えるRF信号の減少に応答してデジタル値のうちの1つを出力するステップをさらに含む。
【0041】
さらに別の特徴として、RF制御方法は、所定値を越えるレール電圧の増大および減少のうちの1つに応答してデジタル値のうちの1つを出力するステップをさらに含む。
【0042】
さらなる特徴として、RF制御方法は、所定値を越えるドライバーへの入力の増大および減少のうちの1つに応答してデジタル値のうちの1つを出力するステップをさらに含む。
【0043】
別の特徴として、RF制御方法は、RFセンサーを使用してRF出力の第2のパラメータを測定するステップと、RFセンサーを使用して第2のパラメータに基づいて第2のRF信号を生成するステップと、第2のRF信号のサンプルを第2のデジタル値に変換するステップと、RF出力の遷移に応答して第2のデジタル値のうちの1つを出力するステップと、第2のデジタル値のうちの1つに基づいて第2の処理値を生成するステップと、第2のデジタル値のうちの1つにさらに基づいてレール電圧設定値およびドライバー制御設定値のうちの少なくとも1つを選択的に調整するステップとを含む。
【0044】
第5の特徴として、無線周波数(RF)システムが開示される。RFセンサーは、RF出力のパラメータを測定し、パラメータに基づいてRF信号を生成する。サンプリング周波数モジュールは、RF出力の第1の遷移と第2の遷移との間の周期に基づいて、サンプリング周波数を決定する。アナログ-デジタル変換器(ADC)モジュールは、サンプリング周波数に基づいてRF信号をサンプリングし、RF信号のサンプルをデジタル値に変換する。処理モジュールは、デジタル値に基づいて処理値を生成する。
【0045】
さらなる特徴として、RFシステムは、RF出力を生成するドライバーと、レール電圧設定値に基づいてドライバーにレール電圧を印加する電力供給モジュールと、ドライバー制御設定値に基づいてドライバーを駆動するドライバー制御モジュールと、処理値に基づいてレール電圧設定値およびドライバー制御設定値のうちの少なくとも1つを選択的に調整する出力制御モジュールとをさらに含む。
【0046】
さらに別の特徴として、サンプリング周波数モジュールは、RF信号の増大が所定値を越える場合、RF出力の遷移を検出する。
【0047】
別の特徴として、サンプリング周波数モジュールは、RF信号の減少が所定値を越える場合、RF出力の遷移を検出する。
【0048】
さらなる特徴として、サンプリング周波数モジュールは、レール電圧の増大および減少のうちの1つが所定値を越える場合、RF出力の遷移を検出する。
【0049】
さらに別の特徴として、サンプリング周波数モジュールは、ドライバー制御モジュールの増大および減少のうちの1つが所定値を越える場合、RF出力の遷移を検出する。
【0050】
別の特徴として、以下を含む。RFセンサーは、さらに、RF出力の第2のパラメータを測定し、第2のパラメータに基づいて第2のRF信号を生成する。RFシステムは、サンプリング周波数で第2のRF信号をサンプリングし、第2の信号のサンプルを第2のデジタル値に変換する第2のADCモジュールをさらに含む。処理モジュールは、第2のデジタル値に基づいて第2の処理値を生成する。出力制御モジュールは、第2の処理値のうちの1つにさらに基づいてレール電圧設定値およびドライバー制御設定値のうちの少なくとも1つを選択的に調整する。
【0051】
さらなる特徴として、プラズマチャンバーシステムは、RFシステムと、RF出力をフィルタするフィルタと、フィルタされたRF出力を受け取るプラズマ電極とを含む。
【0052】
第6の特徴として、無線周波数(RF)制御方法が開示される。RF制御方法は、RFセンサーを使用してRF出力のパラメータを測定するステップと、RFセンサーを使用してパラメータに基づいてRF信号を生成するステップと、RF出力の第1の遷移と第2の遷移との間の周期に基づいてサンプリング周波数を決定するステップと、サンプリング周波数に基づいてRF信号をサンプリングするステップと、RF信号のサンプルをデジタル値に変換するステップと、デジタル値に基づいて処理値を生成するステップとを含む。
【0053】
さらなる特徴として、RF制御方法は、ドライバーを使用してRF出力を生成するステップと、レール電圧設定値に基づいてドライバーにレール電圧を印加するステップと、ドライバー制御設定値に基づいてドライバーを駆動するステップと、処理値に基づいてレール電圧設定値およびドライバー制御設定値のうちの少なくとも1つを選択的に調整するステップとをさらに含む。
【0054】
別の特徴として、RF制御方法は、RF信号の増大が所定値を越える場合、RF出力の遷移を検出するステップをさらに含む。
【0055】
さらに別の特徴として、RF制御方法は、RF信号の減少が所定値を越える場合、RF出力の遷移を検出するステップをさらに含む。
【0056】
さらなる特徴として、RF制御方法は、レール電圧の増大および減少のうちの1つが所定値を越える場合、RF出力の遷移を検出するステップをさらに含む。
【0057】
別の特徴として、RF制御方法は、ドライバーへの入力の増大および減少のうちの1つが所定値を越える場合、RF出力の遷移を検出するステップをさらに含む。
【0058】
さらに別の特徴として、RF制御方法は、RFセンサーを使用してRF出力の第2のパラメータを測定するステップと、RFセンサーを使用して第2のパラメータに基づいて第2のRF信号を生成するステップと、サンプリング周波数で第2のRF信号をサンプリングするステップと、第2のRF信号のサンプルを第2のデジタル値に変換するステップと、第2のデジタル値に基づいて第2の処理値を生成するステップと、第2の処理値のうちの1つにさらに基づいてレール電圧設定値およびドライバー設定値のうちの少なくとも1つを選択的に調整するステップとをさらに含む。
【0059】
本開示のさらなる適応範囲は、詳細な説明、特許請求の範囲、および図面から明らかになる。詳細な説明および特定の例は、例示のみを目的としており、本開示の範囲の限定を意図するものではない。
【0060】
本開示は、詳細な説明およびそれに伴う図面により、より深く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】本開示による、例示的な無線周波数(RF)プラズマチャンバーシステムの機能ブロック図である。
図2】時間に対するRF発生器の出力電力の例示的なグラフである。
図3】本開示による、RFプラズマチャンバーシステムの例示的な一部の機能ブロック図である。
図4】時間に対するRF発生器の出力電力の別の例示的なグラフである。
図5】本開示による、RFプラズマ発生器システムの例示的な一部の別の機能ブロック図である。
図6】本開示による、RFプラズマ発生器システムの例示的な一部の別の機能ブロック図である。
図7】本開示による、RFセンサーのサンプリングおよびデジタル化測定の例示的な方法を描写するフローチャートである。
図8】本開示による、RF出力のレベル遷移に対応するRFセンサーの測定値を提供し、その値に基づいてRF出力を制御する例示的な方法を描写するフローチャートである。
図9】本開示による、RF出力のレベル遷移に対応するRFセンサーの測定値を提供し、その値に基づいてRF出力を制御する別の例示的な方法を描写するフローチャートである。
図10】本開示による、RF出力のレベル遷移に対応するRFセンサーの測定値を提供し、その値に基づいてRF出力を制御する別の例示的な方法を描写するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0062】
図面では、類似のまたは同一の要素を特定するため、参照番号が繰返し使用されることがある。
【0063】
ここで図1を参照すると、例示的な無線周波数(RF)プラズマチャンバーシステムの機能ブロック図が示されている。無線周波数(RF)発生器モジュール104は、交流(AC)入力電力を受け取り、そのAC入力電力を利用してRF出力を生成する。RF出力は、プラズマチャンバー112のプラズマ電極108に適用される。別の形態のシステムでは、RF出力は異なった仕方で利用され得る。プラズマ電極108は、たとえば、薄膜蒸着、フィルムエッチング、および他の形態のシステムで利用され得る。
【0064】
出力制御モジュール116は、RF発生器モジュール104が生成し、プラズマ電極108に渡されるRF出力の電力設定値(P Set)を受け取る。電力設定値は、たとえば、外部インターフェース120または他の適切な供給源から提供され得る。外部インターフェース120は、たとえば、ユニバーサルスタンダード(US)232接続、イーサネット(登録商標)接続、ワイヤレス接続、またはフロントパネルインターフェースを介して、診断またはユーザーからの入力に基づいて出力制御モジュール116へ電力設定値を提供することができる。
【0065】
RFセンサー124は、1つ以上のRF出力のパラメータを測定し、測定されたパラメータに基づいてRF信号を生成する。ほんの一例として、RFセンサー124は、電圧電流(VI)センサー、RFプローブ、方向性結合器、ガンマセンサー、位相振幅センサー、または他の適切な形態のRFセンサーを含むことができる。
【0066】
測定制御モジュール128は、所定のサンプリング周波数でRF信号をサンプリングする。測定制御モジュール128は、(アナログ)のサンプルを対応するデジタル値に変換する。また、測定制御モジュール128は、1つ以上の信号処理関数をデジタル値に適用し、処理値を生成する。
【0067】
出力制御モジュール116は、RF出力の振幅、周波数、および位相を制御する。出力制御モジュール116は、所定の更新周波数で、RF出力を制御するのに使用される1つ以上のパラメータを選択的に更新し得る。所定の更新周波数は、所定のサンプリング周波数よりも低い。換言すれば、測定制御モジュール128は、出力制御モジュール116がRF出力を制御するのに使用される1つ以上のパラメータを更新し得る連続する期間中の複数の機会に、RF信号のサンプリングをし得る。
【0068】
出力制御モジュール116は、たとえば、測定制御モジュール128からの処理値に基づいて1つ以上のパラメータを選択的に更新し得る。しかしながら、測定制御モジュール128のサンプリング周波数と関連した遅延、および処理値を生成するために実行された信号処理関数が原因で、処理値は更新とタイムアライメントされない場合がある。
【0069】
処理値が更新とタイムアライメントされていない場合、出力制御モジュール116はRF出力を制御するのに使用される1つ以上のパラメータを不適切に調整することがあり得る。たとえば、図2は処理値が出力制御モジュール116によって実行された更新とタイムアライメントされていないシステムの、時間に対する電力のグラフである。太線204は、RF出力の目標電力を追跡し、点線208は、RF出力の実際の電力を追跡している。図2に示されているように、出力制御モジュール116は、処理値が更新とアライメントされていないことが原因で、RF出力に目標をオーバーシュートさせてしまうことがある。オーバーシュートさせる例がある一方で、他の出力コントローラは処理値がアライメントされていないことが原因で、アンダーシュートさせるものや、目標に対してアンダーシュートとオーバーシュートとの両方を生じさせるものもある。
【0070】
再び図1を参照すると、測定制御モジュール128は、RF出力の遷移が検出されるたびに処理値を出力制御モジュール116に提供する。遷移は、RF出力の増大または減少であり得る。このように、処理値の提供は時間的にRF出力の遷移と同期する。RF出力の遷移とタイムアライメントされた処理値およびこれら処理値を生じさせた設定値に基づいて、出力制御モジュール116はRF出力をより正確に制御し得る。
【0071】
ここで図3を参照すると、RFプラズマチャンバーの例示的な一部を含む機能ブロック図が示されている。出力制御モジュール116は、電力設定値に基づいてレール電圧設定値(Rail Set)およびドライバー制御設定値(Driver Set)を生成することができる。電力供給モジュール304は、レール電圧設定値に基づいてAC入力電力からレール電圧を生成する。電力供給モジュール304は、レール電圧をドライバー308に印加する。
【0072】
ドライバー制御モジュール312は、ドライバー制御設定値に基づいてドライバー308を駆動する。ドライバー制御設定値は、目標負荷サイクル(すなわち、各所定周期に対するONタイムの割合)を示すことができる。ドライバー制御モジュール312は、目標負荷サイクルを有したパルス幅変調(PWM)信号を生成し、PWM信号をドライバー308に適用することができる。ドライバー308は、PWM信号およびレール電圧に基づいてRF出力を生成する。フィルタ316を実装し、RF出力がプラズマ電極108に適用される前にドライバー308の出力をフィルタしてもよい。
【0073】
第1のアナログ-デジタル変換(ADC)モジュール330および第2のADCモジュール334は、RFセンサー124が測定するRF出力の第1のパラメータおよび第2のパラメータ(X1およびX2)を受け取る。たとえば、第1のパラメータおよび第2のパラメータは、電圧および電流、またはRFセンサーが測定する他の適切なパラメータでもよい。様々な実施形態では、1つまたはそれ以上のパラメータが測定され得る。
【0074】
第1のADCモジュール330および第2のADCモジュール334は、所定のサンプリング周波数(Ts-1)で第1のパラメータおよび第2のパラメータをサンプリングし、それらのサンプルをデジタル化して第1のデジタル値および第2のデジタル値(D1およびD2)を生成する。処理モジュール338は、第1のデジタル値および第2のデジタル値に1つ以上の信号処理関数を実行し、第1の処理値および第2の処理値(P1およびP2)を生成する。処理モジュール338は、たとえば、1つ以上のフィルタ(帯域通過フィルタなど)を適用し、かつ/または1つ以上の他の適切な信号処理関数を実行することができる。帯域通過フィルタは、たとえば、RFセンサー124からバンド測定値を除外するために適用され得る。
【0075】
同期モジュール342は、RF出力のレベル遷移が検出された際、現在の処理値を同期値(S1およびS2)として出力制御モジュール116に出力する。所定のサンプリング周波数は、出力制御モジュール116がRF出力のレベルを遷移する周波数よりも高いので、処理値はレベル遷移が検出される前に一度かそれ以上更新されることがある。
【0076】
RF出力のレベル遷移は、RF出力の1つ以上のパラメータにおける増大または減少であり得る。2レベルRF出力の例が図2で示されているが、実施形態によっては、出力制御モジュール116はRF出力を3つ以上の異なるレベルに変調することがある。同期モジュール342は、たとえば、RFセンサー124が測定する第1のパラメータおよび/または第2のパラメータが増大または減少するときに、レベル遷移を検出することがある。同期モジュール342は、その増大または減少が所定量を越えることを必要とすることがある。実施形態によっては、同期モジュール342は、ドライバー制御モジュール312の出力やレール電圧など、RF出力の遷移を示す他の適切な指標に基づいて、RF出力の遷移を検出することがある。
【0077】
出力制御モジュール116は、同期値に基づいてレール電圧設定値および/またはドライバー制御設定値を選択的に調整することができる。これらの値に基づいて、出力制御モジュール116はRF出力をより正確に制御することができる。たとえば、図4は、処理値の提供がRF出力のレベル遷移とアライメントされている場合の、時間に対する電力の例示的なグラフである。太線404は、RF出力の目標電力を追跡しており、点線408は、RF出力の実際の電力を追跡している。図2の例示的なグラフと比較して、タイムアライメントされた値を使用することにより、オーバーシュートを減少させられることがわかる。測定および制御はレベル遷移と同期されるので、コヒーレントパルス発生器はパルスフロントの再現性を改善することができる。
【0078】
ここで図5を参照すると、RFプラズマチャンバーシステムの例示的な一部を含む別の機能ブロック図が示されている。図3の例と同じように、第1のADCモジュール330および第2のADCモジュール334は、所定のサンプリング周波数(Ts-1)で第1のパラメータおよび第2のパラメータをサンプリングし、それらのサンプルをデジタル化して第1のデジタル値および第2のデジタル値(D1およびD2)を生成する。
【0079】
同期モジュール504は、RF出力のレベル遷移が検出された際、現在のデジタル値を同期値(S1およびS2)として出力する。同期モジュール504は、すでに説明したようにレベル遷移の発生を検出することができる。
【0080】
処理モジュール508は、1つ以上の信号処理関数を第1のデジタル値および第2のデジタル値に対して実行し、第1の処理値および第2の処理値(P1およびP2)を生成する。処理モジュール508は、たとえば、1つ以上のフィルタ(帯域通過フィルタなど)を適用し、かつ/または1つ以上の他の適切な信号処理関数を実行することができる。処理モジュール508は、処理値を出力制御モジュール116に出力し、出力制御モジュール116は、処理値に基づいてレール電圧設定値および/またはドライバー制御設定値を選択的に調整することができる。
【0081】
ここで図6を参照すると、RFプラズマチャンバーシステムの例示的な一部を含む別の機能ブロック図が示されている。サンプリング周波数モジュール604は、RF出力のレベル遷移間の周期に基づいて、サンプリング周波数(Ts-1)を決定する。サンプリング周波数モジュール604は、たとえば、RFセンサー124が測定する第1のパラメータおよび/または第2のパラメータが増大または減少するときに、RF出力の遷移を検出することがある。サンプリング周波数モジュール604は、その増大または減少が所定量を越えることを必要とすることがある。実施形態によっては、サンプリング周波数モジュール604は、ドライバー制御モジュール312の出力やレール電圧など、RF出力の遷移を示す他の適切な指標に基づいて、RF出力の遷移を検出することがある。
【0082】
第1のADCモジュール608および第2のADCモジュール612は、RFセンサー124が測定するRF出力の第1のパラメータおよび第2のパラメータ(X1およびX2)を受け取る。第1のADCモジュール608および第2のADCモジュール612は、サンプリング周波数モジュール604が設定したサンプリング周波数(Ts-1)で第1のパラメータおよび第2のパラメータをサンプリングし、それらのサンプルをデジタル化して第1のデジタル値および第2のデジタル値(D1およびD2)を生成する。サンプリング周波数モジュール604は、レベル遷移間の周期に基づいてサンプリング周波数を設定するので、第1のADCモジュール608および第2のADCモジュール612は各レベル遷移とほぼ同時にデジタル値を生成することができる。
【0083】
処理モジュール616は、1つ以上の信号処理関数を第1のデジタル値および第2のデジタル値に対して実行し、第1の処理値および第2の処理値(P1およびP2)を生成する。処理モジュール616は、たとえば、1つ以上のフィルタ(帯域通過フィルタなど)を適用し、かつ/または1つ以上の他の適切な信号処理関数を実行することができる。処理モジュール616は、処理値を出力制御モジュール116に出力し、出力制御モジュール116は、処理値に基づいてレール電圧設定値および/またはドライバー制御設定値を選択的に調整することができる。
【0084】
シングルチャネルRFプラズマチャンバーシステムが示され、説明されたが、本開示はマルチチャネルRF発生器システムに適用可能である。たとえば、図3図5、または図6が示す例示的な測定制御モジュール128と類似のまたは同一の測定制御モジュールを、マルチチャネルRF発生器の各チャネルに提供することができる。さらに、本開示はRF発生器システムの文脈で説明されているが、本開示は、RF出力を測定しその測定に基づいてRF出力のレベルを選択的に遷移する他の形態のシステム、例としてマッチングシステム/ネットワークにも適用することができる。
【0085】
ここで図7を参照すると、RFセンサー124の測定値をサンプリングしデジタル化する例示的な方法を描写するフローチャートが示されている。制御は、第1のADCモジュール330および第2のADCモジュール334が第1のタイマーおよび第2のタイマーをそれぞれリセットし開始させるステップ704から開始することができる。第1のADCモジュール330および第2のADCモジュール334は、第1のタイマーおよび第2のタイマーを所定のサンプリング周波数に対応する所定周期(すなわち、1/所定のサンプリング周波数)でリセットする。2つのタイマーについて言及したが、実施形態によっては1つのタイマーが使用されることもある。
【0086】
ステップ708では、第1のADCモジュール330および第2のADCモジュール334が、第1のタイマーおよび第2のタイマーの値が0に等しいかを判定する。ステップ708の結果が偽の場合、第1のADCモジュール330および第2のADCモジュール334がステップ712において第1のタイマーおよび第2のタイマーをデクリメントし、ステップ708へ戻るよう制御する。ステップ708の結果が真の場合、制御はステップ716へ移動する。所定周期に基づくタイマーのリセット、タイマーのデクリメント、およびタイマーと0との比較について論じたが、0へのリセット、インクリメント、およびタイマーが所定周期を越えるかまたは等しいかの判断を利用することもできる。
【0087】
ステップ716において、第1のADCモジュール330および第2のADCモジュール334は、RFセンサー124が測定する第1のパラメータおよび第2のパラメータをサンプリングし、それらのサンプルをデジタル化して第1のデジタル値および第2のデジタル値を生成する。第1のADCモジュール330および第2のADCモジュール334は、次いで、第1のパラメータおよび第2のパラメータがサンプリングされデジタル化されるまで第1のデジタル値および第2のデジタル値を保持する。ステップ716のあと、制御はステップ704へ戻る。
【0088】
ここで図8を参照すると、RF出力のレベル遷移に対応するRFセンサー124の測定値を提供し、その値に基づいてRF出力を制御する例示的な方法を描写するフローチャートが示されている。この方法は、たとえば、図3が示す測定制御モジュール128によって実施することができ、かつ図7が示す方法の実行と並行して実行することができる。
【0089】
制御は、処理モジュール338が、第1の処理値および第2の処理値を生成するために第1のADCモジュール330および第2のADCモジュール334が出力する第1のデジタル値および第2のデジタル値を処理するステップ804から開始することができる。ステップ808では、同期モジュール342がRF出力のレベル遷移が発生したか否かを判定する。ステップ808の結果が偽の場合、制御はステップ804に戻る。ステップ808の結果が真の場合、制御はステップ812に移動する。
【0090】
ステップ812では、同期モジュール342が第1の処理値および第2の処理値を第1の同期値および第2の同期値として出力する。出力制御モジュール116は、第1の同期値および/または第2の同期値に基づいて、ステップ816においてレール電圧設定値および/またはドライバー制御設定値を選択的に調整することができる。そして、制御はステップ804に戻る。
【0091】
ここで図9を参照すると、RF出力のレベル遷移に対応するRFセンサー124の測定値を提供し、その値に基づいてRF出力を制御する別の例示的な方法を描写するフローチャートが示されている。この方法は、たとえば、図5が示す測定制御モジュール128によって実施することができ、かつ図7が示す方法の実行と並行して実行することができる。
【0092】
制御は、同期モジュール504がRF出力のレベル遷移が発生したか否かを判定するステップ904から開始してもよい。ステップ904の結果が偽の場合、制御はステップ904に留まる。ステップ904の結果が真の場合、制御はステップ908に移動する。ステップ908では、同期モジュール504が第1のデジタル値および第2のデジタル値を第1の同期値および第2の同期値として出力する。処理モジュール508は、ステップ912で第1の同期値および第2の同期値を処理し、第1の処理値および第2の処理値を生成する。ステップ916では、出力制御モジュール116が、第1の処理値および/または第2の処理値に基づいて、ステップ816でレール電圧設定値および/またはドライバー制御設定値を選択的に調整することができる。そして、制御はステップ904に戻る。
【0093】
ここで図10を参照すると、RF出力のレベル遷移に対応するRFセンサー124の測定値を提供し、その値に基づいてRF出力を制御する別の例示的な方法を描写するフローチャートが示されている。この方法は、たとえば、図6が示す測定制御モジュール128によって実施することができる。
【0094】
制御は、第1のADCモジュール608および第2のADCモジュール612がサンプリング周波数を受け取るステップ1004から開始することができる。サンプリング周波数モジュール604は、RF出力のレベル遷移間の周期を判定し、そのレベル遷移間の周期に基づいてサンプリング周波数を判定する。サンプリング周波数モジュール604は、サンプリング周波数を、図10が示す方法の実行と並行して判定および/または更新することができる。
【0095】
ステップ1008では、第1のADCモジュール608および第2のADCモジュール612が第1のタイマーおよび第2のタイマーをそれぞれリセットし開始させる。第1のADCモジュール608および第2のADCモジュール612は、第1のタイマーおよび第2のタイマーをサンプリング周波数に対応する周期(すなわち、1/サンプリング周波数)でリセットする。2つのタイマーについて言及したが、実施形態によっては1つのタイマーが使用されることもある。
【0096】
ステップ1012では、第1のADCモジュール608および第2のADCモジュール612が、第1のタイマーおよび第2のタイマーの値が0に等しいかを判定する。ステップ1012の結果が偽の場合、第1のADCモジュール608および第2のADCモジュール612は、ステップ1016において第1のタイマーおよび第2のタイマーをデクリメントし、ステップ1012へ戻るよう制御する。ステップ1012の結果が真の場合、制御はステップ1020へ移動する。前記周期に基づくタイマーのリセット、タイマーのデクリメント、およびタイマーと0との比較について論じたが、0へのリセット、インクリメント、およびタイマーが上記の周期を越えるかまたは等しいかの判断を利用することもできる。
【0097】
ステップ1020において、第1のADCモジュール608および第2のADCモジュール612は、RFセンサー124が測定する第1のパラメータおよび第2のパラメータをサンプリングし、それらのサンプルをデジタル化して第1のデジタル値および第2のデジタル値を生成する。ステップ1024では、処理モジュール616が第1のデジタル値および第2のデジタル値を処理し、第1の処理値および第2の処理値を生成する。出力制御モジュール116は、第1の処理値および/または第2の処理値に基づいて、ステップ1028においてレール電圧設定値および/またはドライバー制御設定値を選択的に調整することができる。そして、制御はステップ1004に戻る。
【0098】
上記の説明は例示にすぎず、本開示、適用、または利用を制限することを意図したものではない。本開示の幅広い教示は、様々な形態で実施することができる。したがって、この開示は特定の例を含んでいるが、図面、明細書、および添付の特許請求の範囲を調べることで他の修正例が明らかになるので、本開示の実際の範囲はそれらの例に限定されるべきではない。明細書中で使用されている限り、A、B、およびCのうちの少なくとも1つというフレーズは、排他的論理和ではなく、論理的な(AまたはBまたはC)をも意味すると解釈される。ある方法の1つまたはそれ以上のステップは、本開示の原則を変更することなく、異なる順序で(または同時に)実行され得ることを理解されたい。
【0099】
以下の定義を含む本出願において、「モジュール」という用語は、「回路」という用語に置き換えることができる。「モジュール」という用語は、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル、アナログ、またはアナログ/デジタル混成のディスクリート回路、デジタル、アナログ、またはアナログ/デジタル混成の集積回路、組み合わせ論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コードを実行するプロセッサ(共有、占有、またはグループ)、プロセッサが実行するコードを格納するメモリ(共有、占有、またはグループ)、記載された機能を提供する他の適切なハードウェアコンポーネント、またはシステムオンチップなどの上記のものの一部または全部の組み合わせを指し、これらの一部であり、またはこれらを含む。
【0100】
上記で使用されている限り、「コード」という用語は、ソフトウェア、ファームウェア、および/またはマイクロコードを含むことがあり、プログラム、ルーチン、関数、クラス、および/またはオブジェクトを指すこともある。共有プロセッサという用語は、複数モジュールからの一部または全部のコードを実行するシングルプロセッサを包含する。「グループプロセッサ」という用語は、1つ以上のモジュールからの一部または全部のコードを追加のプロセッサと組み合わせて実行するプロセッサを包含する。「共有メモリ」という用語は、複数モジュールからの一部または全部のコードを格納するシングルメモリを包含する。「グループメモリ」という用語は、1つ以上のモジュールからの一部または全部のコードを追加のメモリと組み合わせて格納するメモリを包含する。「メモリ」という用語は、コンピュータ可読媒体という用語の下位集合であり得る。「コンピュータ可読媒体」という用語は媒体を伝搬する一時的な電気的および電子的信号を包含せず、したがって有形かつ非一時的であると見なされ得る。非一時的な有形のコンピュータ可読媒体のほんのいくつかの例には、不揮発性メモリ、揮発性メモリ、磁気ストレージ、および光学式ストレージが含まれる。
【0101】
この出願で描写された装置および方法は、1つ以上のプロセッサによって実行される1つ以上のコンピュータプログラムによりその一部または全部が実装され得る。コンピュータプログラムは、少なくとも1つの非一時的な有形コンピュータ可読媒体に格納される、プロセッサが実行可能な命令を含む。また、コンピュータプログラムは、格納されたデータを含むおよび/または格納されたデータに依存することがある。
【符号の説明】
【0102】
104 無線周波数(RF)発生器モジュール
108 プラズマ電極
112 プラズマチャンバー
116 出力制御モジュール
120 外部インターフェース
124 RFセンサー
128 測定制御モジュール
304 電力供給モジュール
308 ドライバー
312 ドライバー制御モジュール
330 第1のアナログ-デジタル変換器(ADC)モジュール
334 第2のアナログ-デジタル変換器(ADC)モジュール
338 処理モジュール
342 同期モジュール
504 同期モジュール
508 処理モジュール
604 サンプリング周波数モジュール
608 第1のADCモジュール
612 第2のADCモジュール
616 処理モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10