(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(VII)工程において、前記パターンが転写された下層膜上のケイ素含有量がXPSによる分析で5atomic%以下となるように、前記パターンが転写された下層膜上の前記BPSG膜の残渣を除去することを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
前記被加工基板が、半導体回路の一部もしくは全部が形成されている半導体装置基板に被加工層として金属膜、アモルファス金属膜、金属炭化膜、金属酸化膜、金属窒化膜、金属酸化炭化膜、及び金属酸化窒化膜のいずれかを成膜したものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパターン形成方法。
前記被加工基板を構成する金属が、ケイ素、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、クロム、ゲルマニウム、銅、アルミニウム、インジウム、ガリウム、ヒ素、パラジウム、鉄、タンタル、イリジウム、モリブデン、又はこれらの合金を含むことを特徴とする請求項3に記載のパターン形成方法。
前記レジスト上層膜のパターン形成を、波長が300nm以下の光もしくはEUV光を用いたリソグラフィー法、電子線直接描画法、誘導自己組織化法、及びナノインプリンティングリソグラフィー法のいずれかによって行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【発明を実施するための形態】
【0026】
上述のように、最先端の半導体装置で必要とされる3次元トランジスタや貫通配線等の製造工程において、ケイ素含有レジスト下層膜を使用したパターン形成方法が用いられている。このようなパターン形成の際に、下層膜の加工後にドライエッチングやフッ酸系の剥離液を用いたウエットエッチングでレジスト下層膜の残渣を除去しようとすると、基板にダメージを与えてしまうという問題があった。また、ドライエッチングによってケイ素含有レジスト下層膜が変質し、その後のウエットエッチングで除去しにくくなるという問題もあった。また一方では、残渣の除去が不十分である場合には、デバイス製造歩留まりが低下するため、続く基板加工を行うことができないという問題があった。
【0027】
そこで、多層レジスト法によって被加工基板上に微細なマスクパターンを形成でき、かつ被加工基板や下層膜に対してダメージを与えない、半導体製造プロセスで一般的に使用されているSC(Standard Clean)1と呼ばれる過酸化水素含有アンモニア水溶液を用いたウエットエッチングで、被加工基板を加工するのに十分な清浄度までマスクパターン上のレジスト下層膜残渣を除去できるパターン形成方法の開発が求められていた。
【0028】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討し、特定の塗布型BPSG膜形成用組成物を用いて形成するBPSG膜を多層レジスト法のレジスト下層膜として使用することで、下層膜に微細なマスクパターンを形成することができ、またこのようなBPSG膜であれば下層膜のドライエッチング加工により変質を受けた後でも、SC1で容易に除去できることを見出し、本発明を完成させた。
【0029】
即ち、本発明は、被加工基板上に該被加工基板を加工するためのマスクパターンを形成する方法であって、少なくとも、
(I)被加工基板上に有機下層膜又はCVDハードマスクからなる下層膜を形成する工程、
(II)ケイ素含有単位、ホウ素含有単位、及びリン含有単位を含み、かつ前記ホウ素含有単位と前記リン含有単位の合計が10mol%以上であるベースポリマーと、1分子中に2個以上の水酸基又はカルボキシル基を有する有機化合物を、前記ベースポリマー100質量部に対して前記有機化合物25質量部以上の割合で含有する塗布型BPSG膜形成用組成物を用いて、前記下層膜上にBPSG膜を形成する工程、
(III)該BPSG膜上にレジスト上層膜を形成する工程、
(IV)該レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(V)該パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記BPSG膜にパターンを転写する工程、
(VI)該パターンが転写されたBPSG膜をマスクにして、N
2及びH
2のいずれか又は両方を含むガスを用いたドライエッチングで前記下層膜にパターンを転写する工程、及び
(VII)過酸化水素含有アンモニア水溶液を用いたウエットエッチングによって、前記パターンが転写された下層膜上の前記BPSG膜の残渣を除去する工程、
を有する方法によって、前記被加工基板を加工するためのマスクパターンを形成するパターン形成方法である。
【0030】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
<(I)被加工基板上に下層膜を形成する工程>
本発明のパターン形成方法では、まず(I)工程として、被加工基板上に有機下層膜又はCVDハードマスクからなる下層膜を形成する。
【0032】
[被加工基板]
本発明のパターン形成方法に用いる被加工基板は、特に限定されないが、例えば半導体回路の一部もしくは全部が形成されている半導体装置基板に被加工層として、金属膜、アモルファス金属膜、金属炭化膜、金属酸化膜、金属窒化膜、金属酸化炭化膜、及び金属酸化窒化膜のいずれかを成膜したものとすることができる。
【0033】
半導体装置基板としては、シリコン基板が一般的に用いられるが、特に限定されるものではなく、Si、アモルファスシリコン(α−Si)、p−Si、SiO
2、SiN、SiON、W、TiN、Al等で被加工層と異なる材質のものを用いてもよい。
【0034】
被加工基板を構成する金属としては、ケイ素、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、クロム、ゲルマニウム、銅、アルミニウム、インジウム、ガリウム、ヒ素、パラジウム、鉄、タンタル、イリジウム、モリブデン、又はこれらの合金を含むものを挙げることができ、このような金属を含む被加工層としては、例えば、Si、SiO
2、SiN、SiON、SiOC、p−Si、α−Si、TiN、WSi、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、W、Al、Cu、Al−Si等及び種々の低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が用いることができ、膜厚は50〜10,000nmが好ましく、100〜5,000nmがより好ましい。
【0035】
[下層膜]
本発明のパターン形成方法の(I)工程では、例えば上記のような被加工基板上に、有機下層膜又はCVDハードマスクからなる下層膜を形成する。有機下層膜は、例えば塗布型有機下層膜材料を用いて回転塗布法等で形成することができる。このような有機下層膜としては、特に限定されないが、既に3層レジスト法用、あるいは含シリコンレジスト上層膜を使用した2層レジスト法用といった多層レジスト法の下層膜として公知のものを使用できる。これらは付加重合及び重縮合により合成された樹脂を含有するものであり、例えば特許4355943号公報に記載の4,4’−(9−フルオレニリデン)ビスフェノールノボラック樹脂他、カテコール、レゾルシノール、4、4’−ビフェノール、1,5−ジヒドロキシナフトール、1,6−ジヒドロキシナフトール、1,7−ジヒドロキシナフトール、2,6−ジヒドロキシナフトール、2,7−ジヒドロキシナフトールなどとホルムアルデヒドを酸性触媒又はアルカリ性触媒を用いて縮合させることによって得られるノボラック樹脂等の樹脂を含むものを例示できる。また、通常のノボラック樹脂よりも耐熱性を上げたい場合には、6,6’−(9−フルオレニリデン)−ジ(2−ナフトール)ノボラック樹脂のような多環式骨格を入れることもでき、更にポリイミド系樹脂を選択することもできる。
【0036】
特に好ましい有機下層膜用樹脂としては、ナフタレン骨格を含むものが挙げられる。例えば、1,5−ジヒドロキシナフトール、1,6−ジヒドロキシナフトール、1,7−ジヒドロキシナフトール、2,6−ジヒドロキシナフトール、2,7−ジヒドロキシナフトールなどとホルムアルデヒド、ジシクロペンタジエンの縮合樹脂や6,6’−(9−フルオレニリデン)−ジ(2−ナフトール)ノボラック樹脂等を例示できる。
【0037】
上記有機下層膜は、組成物溶液を用い、後述のレジスト上層膜等と同様にスピンコート法等で被加工基板上に形成することが可能である。スピンコート法等で有機下層膜を形成した後、有機溶剤を蒸発させるためベークをすることが望ましい。ベーク温度は80〜600℃の範囲内で、ベーク時間は10〜300秒の範囲内が好ましい。
【0038】
また、CVDハードマスクは、例えば炭素を主成分とする有機ハードマスク材料を用いてCVD法で形成することができる。このようなCVDハードマスクとしては、特に限定されないが、例えばアモルファスカーボン膜等を例示できる。
【0039】
なお、特に限定されるものではなく、エッチング加工条件により異なるが、下層膜の厚さは、5nm以上、特に20nm以上とすることが好ましく、また50,000nm以下とすることが好ましい。
【0040】
また、特に限定されないが、レジスト上層膜のパターン形成を露光によって行う場合には、十分な反射防止機能を発現する下層膜を形成するのが好ましい。このような下層膜を形成することで、サイズ変換差を生じさせることなく、レジスト上層膜に形成されたパターンを被加工基板に転写することができる。
【0041】
<(II)下層膜上にBPSG膜を形成する工程>
本発明のパターン形成方法では、次に(II)工程として、上記(I)工程で形成した下層膜上にBPSG膜を形成する。このとき、本発明のパターン形成方法では、ケイ素含有単位、ホウ素含有単位、及びリン含有単位を含み、かつホウ素含有単位とリン含有単位の合計が10mol%以上であるベースポリマーと、1分子中に2個以上の水酸基又はカルボキシル基を有する有機化合物を、ベースポリマー100質量部に対して有機化合物25質量部以上の割合で含有する塗布型BPSG膜形成用組成物を用いてBPSG膜を形成する。
【0042】
[BPSG膜]
本発明のパターン形成方法に用いられる塗布型BPSG膜形成用組成物としては、例えば(A)ベースポリマーと、(B)1分子中に2個以上の水酸基又はカルボキシル基を有する有機化合物を必須成分として含有し、さらに必要に応じて(C)ケイ素含有化合物を含有するものが好適である。
【0043】
以下、各成分について、詳しく説明する。
(A)ベースポリマー
本発明に用いられる塗布型BPSG膜形成用組成物に含まれるベースポリマーは、ケイ素含有単位、ホウ素含有単位、及びリン含有単位を含み、かつホウ素含有単位とリン含有単位の合計が10mol%以上のポリマーである。
【0044】
このようなポリマーとしては、例えば、下記一般式(1)で示されるケイ酸を骨格とする構造のうち1種類以上、下記一般式(2)で示されるリン酸を骨格とする構造のうち1種類以上、及び下記一般式(3)で示されるホウ酸を骨格とする構造のうち1種類以上を含有するものを例示できる。
【化1】
【化2】
【化3】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜30の有機基であり、該有機基中の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、ハロゲン原子としてはフッ素原子又は塩素原子が好ましい。m10、m11、m12、m13はケイ酸を骨格とする構造中のモル分率であり、m10+m11+m12+m13=1、0≦m10≦0.3、0≦m11≦0.5、0≦m12≦0.7、0<m13≦1である。m20、m21、m22はリン酸を骨格とする構造中のモル分率であり、m20+m21+m22=1、0≦m20≦1、0≦m21≦1、0≦m22<1である。m30、m31はホウ酸を骨格とする構造中のモル分率であり、m30+m31=1、0≦m30≦1、0≦m31≦1である。)
【0045】
上記一般式(1)中のm10、m11、m12、m13は、ケイ酸を骨格とする構造中のモル分率であり、m10+m11+m12+m13=1、0≦m10≦0.3、0≦m11≦0.5、0≦m12≦0.7、0<m13≦1である。
ケイ酸を骨格とする構造中のSiO
2は必須の単位である。また、それぞれの単位がこのような比率であれば、良好なドライエッチング耐性、パターン密着性、及びウエットエッチング性能をバランスよく具備する塗布型BPSG膜形成用組成物となる。
【0046】
上記一般式(2)中のm20、m21、m22は、リン酸を骨格とする構造中のモル分率であり、m20+m21+m22=1、0≦m20≦1、0≦m21≦1、0≦m22<1である。
リン酸を骨格とする構造中のPO
1.5又はPO
2.5は必須の単位である。また、それぞれの単位がこのような比率であれば、良好なドライエッチング耐性、パターン密着性、及びウエットエッチング性能をバランスよく具備する塗布型BPSG膜形成用組成物となる。
【0047】
上記一般式(3)中のm30、m31は、ホウ酸を骨格とする構造中のモル分率であり、m30+m31=1、0≦m30≦1、0≦m31≦1である。
ホウ酸を骨格とする構造中のそれぞれの単位は、どちらか一方のみでもよく、両方を含んでもよい。
【0048】
なお、本発明では、ホウ酸を骨格とする構造(ホウ素含有単位)とリン酸を骨格とする構造(リン含有単位)の合計を10mol%以上とする。これにより、微細なパターンにおける密着性に優れるだけでなく、下層膜のドライエッチング加工後でもSC1を用いたウエットエッチングで容易に除去することが可能なBPSG膜となる。なお、ホウ素含有単位とリン含有単位の合計は、10mol%以上50mol%以下とすることが好ましく、15mol%以上30mol%以下とすることがより好ましい。
【0049】
また、上記のベースポリマーは、例えば下記一般式(A−1−1)〜(A−1−4)で示されるもののうち1種類以上のケイ素化合物、下記一般式(A−2−1)〜(A−2−6)で示されるもののうち1種類以上のリン化合物、及び下記一般式(A−3−1)〜(A−3−3)で示されるもののうち1種類以上のホウ素化合物を含む混合物を加水分解、縮合、又は加水分解縮合することで得ることができる。
R
1R
2R
3SiOR (A−1−1)
R
4R
5Si(OR)
2 (A−1−2)
R
6Si(OR)
3 (A−1−3)
Si(OR)
4 (A−1−4)
(式中、Rは炭素数1〜6の炭化水素基であり、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6は前記と同様である。)
PX
3 (A−2−1)
POX
3 (A−2−2)
P
2O
5 (A−2−3)
H(HPO
3)
aOH (A−2−4)
R
7PX
2 (A−2−5)
R
7POX
2 (A−2−6)
(式中、R
7は前記と同様であり、Xはハロゲン原子、水酸基又は炭素数1〜6のアルコキシ基であり、aは1以上の整数である)
BX
3 (A−3−1)
B
2O
3 (A−3−2)
R
8BX
2 (A−3−3)
(式中、R
8、Xは前記と同様である。)
【0050】
[ケイ素化合物]
(A)成分の原料として用いることができるケイ素化合物としては、下記一般式(A−1−1)で示されるものが挙げられる。
R
1R
2R
3SiOR (A−1−1)
(式中、Rは炭素数1〜6の炭化水素基であり、R
1、R
2、R
3はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜30の有機基であり、該有機基中の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。)
【0051】
上記一般式(A−1−1)で示されるケイ素化合物としては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルエチルメトキシシラン、ジメチルエチルエトキシシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、ジメチルフェニルエトキシシラン、ジメチルベンジルメトキシシラン、ジメチルベンジルエトキシシラン、ジメチルフェネチルメトキシシラン、ジメチルフェネチルエトキシシラン等が好ましい。
【0052】
(A)成分の原料として用いることができるケイ素化合物としては、下記一般式(A−1−2)で示されるものが挙げられる。
R
4R
5Si(OR)
2 (A−1−2)
(式中、Rは炭素数1〜6の炭化水素基であり、R
4、R
5はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜30の有機基であり、該有機基中の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。)
【0053】
上記一般式(A−1−2)で示されるケイ素化合物としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシラン、ジプロピルジイソプロポキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジプロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジブチルジプロポキシシラン、ジブチルジイソプロポキシシラン、ジs−ブチルジメトキシシラン、ジs−ブチルジエトキシシラン、ジs−ブチルジプロポキシシラン、ジs−ブチルジイソプロポキシシラン、ジt−ブチルジメトキシシラン、ジt−ブチルジエトキシシラン、ジt−ブチルジプロポキシシラン、ジt−ブチルジイソプロポキシシラン、ジシクロプロピルジメトキシシラン、ジシクロプロピルジエトキシシラン、ジシクロプロピルジプロポキシシラン、ジシクロプロピルジイソプロポキシシラン、ジシクロブチルジメトキシシラン、ジシクロブチルジエトキシシラン、ジシクロブチルジプロポキシシラン、ジシクロブチルジイソプロポキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジプロポキシシラン、ジシクロペンチルジイソプロポキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジプロポキシシラン、ジシクロヘキシルジイソプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルジメトキシシラン、ジシクロヘキセニルジエトキシシラン、ジシクロヘキセニルジプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルジイソプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジメトキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジエトキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジイソプロポキシシラン、ジシクロオクチルジメトキシシラン、ジシクロオクチルジエトキシシラン、ジシクロオクチルジプロポキシシラン、ジシクロオクチルジイソプロポキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジメトキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジエトキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジプロポキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジイソプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジメトキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジエトキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジイソプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジメトキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジエトキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジイソプロポキシシラン、ジアダマンチルジメトキシシラン、ジアダマンチルジエトキシシラン、ジアダマンチルジプロポキシシラン、ジアダマンチルジイソプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジプロポキシシラン、ジフェニルジイソプロポキシシラン等が好ましい。
【0054】
(A)成分の原料として用いることができるケイ素化合物としては、下記一般式(A−1−3)で示されるものが挙げられる。
R
6Si(OR)
3 (A−1−3)
(式中、Rは炭素数1〜6の炭化水素基であり、R
6は水素原子又は炭素数1〜30の有機基であり、該有機基中の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。)
【0055】
上記一般式(A−1−3)で示されるケイ素化合物としては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリイソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリプロポキシシラン、イソプロピルトリイソプロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリイソプロポキシシラン、s−ブチルトリメトキシシラン、s−ブチルトリエトキシシラン、s−ブチルトリプロポキシシラン、s−ブチルトリイソプロポキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリプロポキシシラン、t−ブチルトリイソプロポキシシラン、シクロプロピルトリメトキシシラン、シクロプロピルトリエトキシシラン、シクロプロピルトリプロポキシシラン、シクロプロピルトリイソプロポキシシラン、シクロブチルトリメトキシシラン、シクロブチルトリエトキシシラン、シクロブチルトリプロポキシシラン、シクロブチルトリイソプロポキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリプロポキシシラン、シクロペンチルトリイソプロポキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリプロポキシシラン、シクロヘキシルトリイソプロポキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルトリプロポキシシラン、シクロヘキセニルトリイソプロポキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリプロポキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリイソプロポキシシラン、シクロオクチルトリメトキシシラン、シクロオクチルトリエトキシシラン、シクロオクチルトリプロポキシシラン、シクロオクチルトリイソプロポキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリメトキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリエトキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリプロポキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリイソプロポキシシラン、ビシクロヘプテニルトリメトキシシラン、ビシクロヘプテニルトリエトキシシラン、ビシクロヘプテニルトリプロポキシシラン、ビシクロヘプテニルトリイソプロポキシシラン、ビシクロヘプチルトリメトキシシラン、ビシクロヘプチルトリエトキシシラン、ビシクロヘプチルトリプロポキシシラン、ビシクロヘプチルトリイソプロポキシシラン、アダマンチルトリメトキシシラン、アダマンチルトリエトキシシラン、アダマンチルトリプロポキシシラン、アダマンチルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ベンジルトリプロポキシシラン、ベンジルトリイソプロポキシシラン、アニシルトリメトキシシラン、アニシルトリエトキシシラン、アニシルトリプロポキシシラン、アニシルトリイソプロポキシシラン、トリルトリメトキシシラン、トリルトリエトキシシラン、トリルトリプロポキシシラン、トリルトリイソプロポキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、フェネチルトリプロポキシシラン、フェネチルトリイソプロポキシシラン、ベンゾイルオキシメチルトリメトキシシラン、ベンゾイルオキシメチルトリエトキシシラン、ベンゾイルオキシメチルトリプロポキシシラン、ベンゾイルオキシメチルトリブトキシシラン、ベンゾイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ベンゾイルオキシプロピルトリエトキシシラン、ベンゾイルオキシプロピルトリプロポキシシラン、ベンゾイルオキシプロピルトリブトキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、ナフチルトリプロポキシシラン、ナフチルトリイソプロポキシシラン等が好ましい。
【0056】
さらに、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6として示される有機基中の水素原子がハロゲン原子で置換されているものとして、以下のものが挙げられる。
【0066】
このようにハロゲン原子で置換された有機基が導入されていると、ウエットエッチングによる剥離性がさらに向上する。
【0067】
(A)成分の原料として用いることができるケイ素化合物としては、下記一般式(A−1−4)で示されるものが挙げられる。
Si(OR)
4 (A−1−4)
(式中、Rは炭素数1〜6の炭化水素基である。)
【0068】
上記一般式(A−1−4)で示されるケイ素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン等が好ましい。
【0069】
上記一般式(A−1−1)〜(A−1−4)で示されるケイ素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、トリルトリメトキシシラン、トリルトリエトキシシラン、アニシルトリメトキシシラン、アニシルトリエトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルエチルメトキシシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、ジメチルベンジルメトキシシラン、ジメチルフェネチルメトキシシラン等が特に好ましい。
【0070】
上記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6で表される有機基の別の例として、炭素−酸素単結合又は炭素−酸素二重結合を1つ以上有する有機基を挙げることができる。具体的には、エポキシ基、エステル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基からなる群から選択される1つ以上の基を有する有機基である。この例として下記の一般式(4)で示されるものを挙げることができる。
【0071】
{U−Q
1−(S
1)
v1−Q
2−}
u−(T)
v2−Q
3−(S
2)
v3−Q
4− (4)
(式中、Uは水素原子、ヒドロキシル基、
【化13】
炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルカルボニルオキシ基、又は炭素数1〜6のアルキルカルボニル基であり、Q
1とQ
2とQ
3とQ
4は各々独立して−C
qH
(2q−p)U
p−(式中、Uは上記と同様であり、pは0〜3の整数であり、qは0〜10の整数(但し、q=0は単結合であることを示す。)である。)、uは0〜3の整数であり、S
1とS
2は各々独立して−O−、−CO−、−OCO−、−COO−又は−OCOO−を表す。v1、v2、v3は、各々独立して0又は1を表す。これらとともに、Tはヘテロ原子を含んでもよい脂環又は芳香環からなる2価の基であり、Tの酸素原子等のヘテロ原子を含んでもよい脂環又は芳香環の例を以下に示す。TにおいてQ
2とQ
3と結合する位置は、特に限定されないが、立体的な要因による反応性や反応に用いる市販試薬の入手性等を考慮して適宜選択できる。)
【0073】
一般式(4)中の炭素−酸素単結合又は炭素−酸素二重結合を1つ以上有する有機基の好ましい例として、以下のものが挙げられる。なお、下記式中において、(Si)はSiとの結合箇所を示すために記載した。
【0078】
また、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6の有機基の例として、ケイ素−ケイ素結合を含む有機基を用いることもできる。具体的には下記のものを挙げることができる。
【0080】
[リン化合物]
(A)成分の原料として用いることができるリン化合物としては、下記一般式(A−2−1)で示されるものが挙げられる。
PX
3 (A−2−1)
(式中、Xはハロゲン原子、水酸基又は炭素数1〜6のアルコキシ基である。)
【0081】
上記一般式(A−2−1)で示されるリン化合物としては、三塩化リン、三臭化リン、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリプロピル等が好ましい。
【0082】
(A)成分の原料として用いることができるリン化合物としては、下記一般式(A−2−2)で示されるものが挙げられる。
POX
3 (A−2−2)
(式中、Xはハロゲン原子、水酸基又は炭素数1〜6のアルコキシ基である。)
【0083】
上記一般式(A−2−2)で示されるリン化合物としては、オキシ三塩化リン、オキシ三臭化リン、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル等が好ましい。
【0084】
(A)成分の原料として用いることができるリン化合物としては、下記一般式(A−2−3)、(A−2−4)で示されるものが挙げられる。
P
2O
5 (A−2−3)
H(HPO
3)
aOH (A−2−4)
(式中、aは1以上の整数である。)
【0085】
上記一般式(A−2−3)で示される五酸化二リン、上記一般式(A−2−4)で示されるポリリン酸やポリリン酸エステル等をリン化合物として用いることができる。
【0086】
(A)成分の原料として用いることができるリン化合物としては、下記一般式(A−2−5)で示されるものが挙げられる。
R
7PX
2 (A−2−5)
(式中、R
7は水素原子又は炭素数1〜30の有機基であり、該有機基中の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。Xはハロゲン原子、水酸基又は炭素数1〜6のアルコキシ基である。)
【0087】
上記一般式(A−2−5)で示されるリン化合物としては、CH
3PCl
2、C
2H
5PCl
2、CH
3OPCl
2等が好ましい。
【0088】
(A)成分の原料として用いることができるリン化合物としては、下記一般式(A−2−6)で示されるものが挙げられる。
R
7POX
2 (A−2−6)
(式中、R
7は水素原子又は炭素数1〜30の有機基であり、該有機基中の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。Xはハロゲン原子、水酸基又は炭素数1〜6のアルコキシ基である。)
【0089】
上記一般式(A−2−6)で示されるリン化合物としては、HPO(OCH
3)
2、HPO(OC
2H
5)
2、CH
3PO(OH)
2、CH
3PO(OCH
3)
2、CH
3POCl
2、C
6H
5PO(OH)
2、C
6H
5POCl
2、C
6H
5CH
2PO(OC
2H
5)
2等が好ましい。
【0090】
[ホウ素化合物]
(A)成分の原料として用いることができるホウ素化合物としては、下記一般式(A−3−1)で示されるものが挙げられる。
BX
3 (A−3−1)
(式中、Xはハロゲン原子、水酸基又は炭素数1〜6のアルコキシ基である。)
【0091】
上記一般式(A−3−1)で示されるホウ素化合物としては、三フッ化ボロン、三塩化ボロン、ホウ酸、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリアミル、ホウ酸トリヘキシル、ホウ酸トリシクロペンチル、ホウ酸トリシクロヘキシル、ホウ酸トリアリル、ホウ酸トリフェニル、ホウ酸エチルジメチル等が好ましい。
【0092】
(A)成分の原料として用いることができるホウ素化合物としては、下記一般式(A−3−2)で示されるものが挙げられる。
B
2O
3 (A−3−2)
【0093】
上記一般式(A−3−2)で示される酸化ホウ素をホウ素化合物として用いることができる。
【0094】
(A)成分の原料として用いることができるホウ素化合物としては、下記一般式(A−3−3)で示されるものが挙げられる。
R
8BX
2 (A−3−3)
(式中、R
8は水素原子又は炭素数1〜30の有機基であり、該有機基中の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。Xはハロゲン原子、水酸基又は炭素数1〜6のアルコキシ基である。)
【0095】
上記一般式(A−3−3)で示されるホウ素化合物としては、C
6H
5B(OH)
2、CH
3B(OC
3H
7)
2、CH
3B(OH)
2、C
6H
11B(OH)
2等が好ましい。
【0096】
上記のうち1種類以上のケイ素化合物、1種類以上のリン化合物、及び1種類以上のホウ素化合物を含む混合物(モノマー)を加水分解、縮合、又は加水分解縮合することで、塗布型BPSG膜形成用組成物のベースポリマーとなる化合物(ポリマー)を合成することができる。
【0097】
このような加水分解、縮合、又は加水分解縮合反応は、無機酸、脂肪族スルホン酸、及び芳香族スルホン酸から選ばれる1種類以上の化合物を酸触媒として用いて行うことができる。このとき使用される酸触媒としては、例えばフッ酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等を挙げることができる。触媒の使用量は、モノマー1モルに対して10
−6〜10モルが好ましく、より好ましくは10
−5〜5モル、さらに好ましくは10
−4〜1モルである。
【0098】
これらのモノマーからポリマーを得るときに添加する水の量は、モノマーに結合している加水分解性置換基1モル当たり0.01〜100モルが好ましく、より好ましくは0.05〜50モル、さらに好ましくは0.1〜30モルである。添加量を100モル以下とすることで、反応に使用する装置が過大になることがないため経済的である。
【0099】
操作方法としては、例えば触媒水溶液にモノマーを添加して加水分解縮合反応を開始させる方法が挙げられる。このとき、触媒水溶液に有機溶剤を加えてもよいし、モノマーを有機溶剤で希釈しておいてもよいし、両方行ってもよい。反応温度は0〜100℃が好ましく、より好ましくは5〜80℃である。モノマーの滴下時に5〜80℃に温度を保ち、その後20〜80℃で熟成させる方法が好ましい。
【0100】
触媒水溶液に加えることのできる、又はモノマーを希釈することのできる有機溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸t−ブチル、プロピオン酸t−ブチル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン及びこれらの混合物等が好ましい。
【0101】
これらの溶剤の中でより好ましいものは水溶性のものである。例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール縮合物誘導体、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。この中で特に好ましいのは、沸点が100℃以下のものである。
【0102】
なお、有機溶剤の使用量は、モノマー1モルに対して0〜1,000mLが好ましく、特に0〜500mLが好ましい。有機溶剤の使用量が1,000mL以下であれば、反応容器が過大となることがないため経済的である。
【0103】
その後、必要であれば触媒の中和反応を行い、加水分解縮合反応で生成したアルコールを減圧除去し、反応混合物水溶液を得る。このとき、中和に使用することのできるアルカリ性物質の量は、触媒で使用された酸に対して0.1〜2当量が好ましい。このアルカリ性物質は水中で塩基性を示すものであれば、任意の物質でよい。
【0104】
続いて、反応混合物から加水分解縮合反応で生成したアルコール等の副生物を取り除くことが好ましい。このとき反応混合物を加熱する温度は、添加した有機溶剤と反応で発生したアルコール等の種類によるが、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜90℃、さらに好ましくは15〜80℃である。またこのときの減圧度は、除去すべき有機溶剤及びアルコール等の種類、排気装置、凝縮装置及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、さらに好ましくは絶対圧で50kPa以下である。この際除去されるアルコール量を正確に知ることは難しいが、生成したアルコール等のおよそ80質量%以上が除かれることが望ましい。
【0105】
次に、反応混合物から加水分解縮合に使用した酸触媒を除去してもよい。酸触媒を除去する方法としては、例えば水とポリマーを混合し、ポリマーを有機溶剤で抽出する方法が挙げられる。このとき使用する有機溶剤としては、ポリマーを溶解でき、水と混合させると2層分離するものが好ましい。例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸t−ブチル、プロピオン酸t−ブチル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンチルメチルエーテル等及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0106】
さらに、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤の混合物を使用することも可能である。例えばメタノール+酢酸エチル、エタノール+酢酸エチル、1−プロパノール+酢酸エチル、2−プロパノール+酢酸エチル、ブタンジオールモノメチルエーテル+酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル+酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル+酢酸エチル、ブタンジオールモノエチルエーテル+酢酸エチル、プロピレングリコールモノエチルエーテル+酢酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテル+酢酸エチル、ブタンジオールモノプロピルエーテル+酢酸エチル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル+酢酸エチル、エチレングリコールモノプロピルエーテル+酢酸エチル、メタノール+メチルイソブチルケトン、エタノール+メチルイソブチルケトン、1−プロパノール+メチルイソブチルケトン、2−プロパノール+メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル+メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル+メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノエチルエーテル+メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノエチルエーテル+メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノプロピルエーテル+メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノプロピルエーテル+メチルイソブチルケトン、メタノール+シクロペンチルメチルエーテル、エタノール+シクロペンチルメチルエーテル、1−プロパノール+シクロペンチルメチルエーテル、2−プロパノール+シクロペンチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、メタノール+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エタノール+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1−プロパノール+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、2−プロパノール+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等の組み合わせが好ましいが、組み合わせはこれらに限定されることはない。
【0107】
なお、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤との混合割合は、適宜選定されるが、水難溶性有機溶剤100質量部に対して、水溶性有機溶剤0.1〜1,000質量部が好ましく、より好ましくは1〜500質量部、さらに好ましくは2〜100質量部である。
【0108】
続いて、中性水で洗浄してもよい。この水は、通常脱イオン水や超純水と呼ばれているものを使用すればよい。この水の量は、ポリマー溶液1Lに対して、0.01〜100Lが好ましく、より好ましくは0.05〜50L、さらに好ましくは0.1〜5Lである。この洗浄の方法は、ポリマー溶液と水の両方を同一の容器に入れ掻き混ぜた後、静置して水層を分離すればよい。洗浄回数は、1回以上あればよいが、10回以上洗浄しても洗浄しただけの効果は得られないため、好ましくは1〜5回程度である。
【0109】
このときの水洗操作により、ポリマーの一部が水層に逃げ、実質的に分画操作と同等の効果が得られている場合があるため、水洗回数や洗浄水の量は触媒除去効果と分画効果を鑑みて適宜選択すればよい。
【0110】
その他に酸触媒を除去する方法として、イオン交換樹脂による方法や、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のエポキシ化合物で中和したのち除去する方法を挙げることができる。これらの方法は、反応に使用された酸触媒に合わせて適宜選択することができる。
【0111】
酸触媒が残留しているポリマー及び酸触媒が除去されたポリマー溶液、いずれの場合においても、最終的な溶剤を加え、減圧で溶剤交換することでポリマー溶液を得ることができる。このときの溶剤交換の温度は、除去すべき反応溶剤や抽出溶剤の種類によるが、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜90℃、さらに好ましくは15〜80℃である。またこのときの減圧度は、除去すべき抽出溶剤の種類、排気装置、凝縮装置及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、さらに好ましくは絶対圧で50kPa以下である。
【0112】
このとき、溶剤が変わることによりポリマーが不安定になる場合がある。これは最終的な溶剤とポリマーとの相性により発生するが、これを防止するため、安定剤として環状エーテルを置換基として有する1価又は2価以上のアルコール、又はエーテル化合物を添加してもよい。加える量としては溶剤交換前の溶液中のポリマー100質量部に対して0〜25質量部が好ましく、より好ましくは0〜15質量部、さらに好ましくは0〜5質量部であるが、添加する場合は0.5質量部以上が好ましい。溶剤交換前の溶液に必要であれば、安定剤を添加して溶剤交換操作を行えばよい。
【0113】
また、ポリマーは0.1〜20質量%の濃度とすることが好ましい。このような濃度とすることで、ポリマーの縮合反応が進行し、有機溶剤に対して再溶解不可能な状態に変化してしまうことがない。また、このような濃度とすることで溶剤の量が適量であるため経済的である。
【0114】
ポリマーに加える最終的な溶剤として好ましいものはアルコール系溶剤であり、特に好ましいものはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール等のモノアルキルエーテル誘導体である。具体的には、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル等が好ましい。
【0115】
これらの溶剤が主成分であれば、補助溶剤として、非アルコール系溶剤を添加することも可能である。この補助溶剤としては、例えばアセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸t−ブチル、プロピオン酸t−ブチル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンチルメチルエーテル等が挙げられる。
【0116】
また、別の反応操作としては、モノマー又はモノマーの有機溶液に、水又は含水有機溶剤を添加し、加水分解反応を開始させる方法が挙げられる。このとき酸触媒はモノマー又はモノマーの有機溶液に添加してもよいし、水又は含水有機溶剤に添加しておいてもよい。反応温度は0〜100℃が好ましく、より好ましくは10〜80℃である。水の滴下時に10〜50℃に加熱し、その後20〜80℃に昇温させて熟成させる方法が好ましい。
【0117】
有機溶剤を使用する場合は、水溶性のものが好ましく、具体的にはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール等のアルコール類、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール縮合物誘導体、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、及びこれらの混合物等を挙げることができる。
【0118】
このとき、有機溶剤の使用量は、上記の量と同様でよい。得られた反応混合物を上記と同様の方法で後処理し、ポリマーを得ることができる。
【0119】
また、ポリマーを合成するための加水分解、縮合、又は加水分解縮合反応は、塩基触媒を用いて行うこともできる。このとき使用される塩基触媒としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロシクロノネン、ジアザビシクロウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリンハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、アンモニア、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等を挙げることができる。塩基触媒の使用量は、上記の酸触媒を用いる際と同様の量でよい。
【0120】
これらのモノマーからポリマーを得るときに添加する水の量は、モノマーに結合している加水分解性置換基1モル当たり好ましくは0.1〜50モルである。添加量を50モル以下とすることで、反応に使用する装置が過大になることがないため経済的である。
【0121】
反応の操作方法は、上記の酸触媒を用いる際と同様の方法でよい。
【0122】
触媒水溶液に加えることのできる、又はモノマーを希釈することのできる有機溶剤は、上記の酸触媒を用いる際と同様のものが好ましく用いられる。なお、有機溶剤の使用量は、モノマー1モルに対して0〜1,000mLが好ましい。このような量とすることで反応容器が過大となることがないため経済的である。
【0123】
その後、必要であれば触媒の中和反応を行い、加水分解縮合反応で生成したアルコールを減圧除去し、反応混合物水溶液を得る。このとき、中和に使用することのできる酸性物質の量は、触媒で使用された塩基性物質に対して0.1〜2当量が好ましい。この酸性物質は水中で酸性を示すものであれば、任意の物質でよい。
【0124】
続いて、反応混合物から加水分解縮合反応で生成したアルコール等の副生物を取り除くことが好ましい。このとき反応混合物を加熱する温度及び減圧度は、上記の酸触媒を用いる際と同様の温度及び減圧度でよい。
【0125】
次に、反応混合物から加水分解縮合に使用した塩基触媒を除去してもよい。塩基触媒を除去する際に用いられる有機溶剤は、上記の酸触媒を用いる際と同様のものを用いることができる。また、上記の酸触媒を用いる際と同様の水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤の混合物を用いて塩基触媒を除去することもできる。なお、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤との混合割合も、上記の酸触媒を用いる際と同様の割合でよい。
【0126】
続いて、中性水で洗浄してもよい。洗浄方法は、上記の酸触媒を用いる際と同様の方法でよい。
【0127】
洗浄済みのポリマーに最終的な溶剤を加え、減圧で溶剤交換することでポリマー溶液を得ることができる。溶剤交換の温度及び減圧度は、上記の酸触媒を用いる際と同様の温度及び減圧度でよい。
【0128】
また、このとき、上記の酸触媒を用いる際と同様に安定剤として、環状エーテルを置換基として有する1価又は2価以上のアルコール、又はエーテル化合物を添加してもよい。また、ポリマー溶液は0.1〜20質量%濃度にしておくことが好ましい。
【0129】
ポリマーに加える最終的な溶剤として好ましいものはアルコール系溶剤であり、特に好ましいものはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のモノアルキルエーテル誘導体である。具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル等が好ましい。
【0130】
これらの溶剤が主成分であれば、補助溶剤として、非アルコール系溶剤を添加することも可能である。この補助溶剤としては、上記の酸触媒を用いる際と同様の補助溶剤を用いることができる。
【0131】
また、別の反応操作としては、モノマー又はモノマーの有機溶液に、水又は含水有機溶剤を添加し、加水分解反応を開始させる方法が挙げられる。このとき塩基性触媒はモノマー又はモノマーの有機溶液に添加してもよいし、水又は含水有機溶剤に添加しておいてもよい。反応温度は0〜100℃が好ましく、より好ましくは10〜80℃である。水の滴下時に10〜50℃に加熱し、その後20〜80℃に昇温させて熟成させる方法が好ましい。
【0132】
有機溶剤を使用する場合は、水溶性のものが好ましく、具体的にはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール縮合物誘導体、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、及びこれらの混合物等を挙げることができる。
【0133】
このとき、有機溶剤の使用量は、上記の量と同様でよい。得られた反応混合物を上記と同様の方法で後処理し、ポリマーを得ることができる。
【0134】
上記のような反応で得られるポリマーの分子量は、モノマーの選択だけでなく、重合時の反応条件制御により調整することができる。得られるポリマーの分子量は特に限定されないが、重量平均分子量が100,000以下のものが好ましく、より好ましくは200〜50,000、さらに好ましくは300〜30,000のものを用いることが好ましい。重量平均分子量が100,000以下のものを用いることで、異物の発生や塗布斑の発生を抑えることができる。なお、上記の重量平均分子量に関するデータは、検出器としてRI、溶離溶剤としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準物質としてポリスチレンを用いて、ポリスチレン換算で分子量を表したものである。
【0135】
(B)1分子中に2個以上の水酸基又はカルボキシル基を有する有機化合物
本発明に用いられる塗布型BPSG膜形成用組成物に含まれる(B)成分は、1分子中に2個以上の水酸基又はカルボキシル基を有する有機化合物である。このような有機化合物として、例えば下記に示す化合物を挙げることができる。
【0139】
なお、上記構造式中のYは水素原子、メチル基、又はヒドロキシメチル基であり、R
9はメチレン基、カルボニル基、又はフェニレン基であり、nは3以上100未満の整数である。naは1〜3の自然数を示し、nbは1以上の自然数を示し、ncは2〜4の自然数を示す。上記構造式にはエナンチオ異性体(enantiomer)やジアステレオ異性体(diastereomer)が存在し得るが、各構造式はこれらの立体異性体のすべてを代表して表す。これらの立体異性体は単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
【0140】
このような有機化合物を添加することで、ウエットエッチングの際にBPSG膜の崩壊が加速され剥離が容易になる。上記有機化合物は1種類を単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、このような(B)成分の有機化合物は、(A)成分のベースポリマー100質量部に対して25質量部以上となるように添加する必要があり、25質量部以上50質量部以下となるように添加するのが好ましい。このような添加量とすることで、BPSG膜をウエットエッチングで容易に除去することが可能となる。
【0141】
(C)ケイ素含有化合物
本発明のパターン形成方法に用いられる塗布型BPSG膜形成用組成物は、上記の(A)、(B)成分に加えて、さらに(C)成分として、下記一般式(C−1)で示されるもののうち1種類以上のケイ素化合物、該ケイ素化合物の加水分解物、縮合物又は加水分解縮合物から選ばれる1種類以上を含むものであることが好ましい。
R
1Cc1R
2Cc2R
3Cc3Si(OR
0C)
(4−c1−c2−c3) (C−1)
(式中、R
0Cは炭素数1〜6の炭化水素基であり、R
1C、R
2C、R
3Cはそれぞれ水素原子又は炭素数1〜30の1価の有機基である。また、c1、c2、c3は0又は1であり、1≦c1+c2+c3≦3である。)
【0142】
一般式(C−1)で示されるケイ素化合物としては、上述の(A)成分のうち一般式(A−1−1)〜(A−1−3)で示されるケイ素化合物の具体例と同様のものを挙げることができる。
【0143】
また、一般式(C−1)中のR
1C、R
2C、R
3Cのうち1つ以上が酸不安定基で置換された水酸基又はカルボキシル基を有する有機基であることが好ましい。
【0144】
このような一般式(C−1)で示される化合物は、下記構造で表されたケイ素上に加水分解性基として、2個又は3個のメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、又はブトキシ基を含んでいるものを使用できる。なお、下記構造式中において、(Si)はSiとの結合箇所を示すために記載した。
【0149】
(A)、(B)成分に加え、このような(C)成分を用いることで、フォトレジストパターンとの密着性が向上し、微細パターンにおいてもパターン倒れが発生しないレジスト下層膜となる。
【0150】
また、上記(C)成分を、上記一般式(A−1−1)〜(A−1−4)で示されるもののうち1種類以上のケイ素化合物、上記一般式(A−2−1)〜(A−2−6)で示されるもののうち1種類以上のリン化合物、及び上記一般式(A−3−1)〜(A−3−3)で示されるもののうち1種類以上のホウ素化合物のそれぞれ単独、これらの混合物、これらの加水分解物、縮合物、又は加水分解縮合物から選ばれる1種類以上を含むものとしてもよい。
【0151】
なお、(C)成分における加水分解、縮合、又は加水分解縮合反応も、上記の(A)成分の加水分解、縮合、又は加水分解縮合反応と同様の方法で行うことができる。
【0152】
[その他の添加剤]
本発明に用いられる塗布型BPSG膜形成用組成物には、熱架橋促進剤を添加してもよい。このような熱架橋促進剤として、具体的には、特開2007−302873号公報に記載されている熱架橋促進剤や、リン酸塩化合物やホウ酸塩化合物が挙げられる。リン酸塩化合物としては、例えばリン酸アンモニウム、リン酸テトラメチルアンモニウム、リン酸テトラブチルアンモニウム等のアンモニウム塩、リン酸トリフェニルスルホニウム等のスルホニウム塩が挙げられる。また、ホウ酸塩化合物としては、例えばホウ酸アンモニウム、ホウ酸テトラメチルアンモニウム、ホウ酸テトラブチルアンモニウム等のアンモニウム塩、ホウ酸トリフェニルスルホニウム等のスルホニウム塩が挙げられる。なお、上記熱架橋促進剤は1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、熱架橋促進剤の添加量は、上記(A)成分のポリマー100質量部に対して、好ましくは0.01〜50質量部、より好ましくは0.1〜40質量部である。
【0153】
本発明に用いられる塗布型BPSG膜形成用組成物には、安定性を向上させるため、炭素数が1〜30の1価又は2価以上の有機酸を添加してもよい。このような有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、トリフルオロ酢酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、プロピルマロン酸、ブチルマロン酸、ジメチルマロン酸、ジエチルマロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、クエン酸等が挙げられる。これらの中でも特に、シュウ酸、マレイン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸等が好ましい。また、安定性を保つため、2種類以上の有機酸を混合して使用してもよい。添加量は組成物に含まれるケイ素100質量部に対して0.001〜25質量部が好ましく、より好ましくは0.01〜15質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。あるいは、上記有機酸を組成物のpHに換算して、好ましくは0≦pH≦7、より好ましくは0.3≦pH≦6.5、さらに好ましくは0.5≦pH≦6となるように配合してもよい。
【0154】
また、本発明に用いられる塗布型BPSG膜形成用組成物には、安定剤として環状エーテルを置換基として有する1価又は2価以上のアルコール、又はエーテル化合物を添加してもよい。安定剤を添加することで、ポリマーの安定性を向上させることができる。このような安定剤として、具体的には、特開2009−126940号公報(0180)〜(0184)段落に記載されている安定剤が挙げられる。
【0155】
本発明に用いられる塗布型BPSG膜形成用組成物には、水を添加してもよい。水を添加することで、ポリマーが水和されるため、リソグラフィー性能が向上する。塗布型BPSG膜形成用組成物の溶剤成分における水の含有率は0質量%を超え50質量%未満が好ましく、より好ましくは0.3〜30質量%、さらに好ましくは0.5〜20質量%である。水を含む全溶剤の使用量は、(A)成分のポリマー100質量部に対して100〜100,000質量部が好ましく、より好ましくは200〜50,000質量部である。このような添加量とすることで、リソグラフィー性能を向上させることができ、かつ塗布膜の均一性が悪化しにくいため、はじきの発生を抑えることができる。
【0156】
本発明に用いられる塗布型BPSG膜形成用組成物には、光酸発生剤を添加してもよい。このような光酸発生剤として、具体的には、特開2009−126940号公報(0160)〜(0179)段落に記載されている光酸発生剤が挙げられる。
【0157】
本発明に用いられる塗布型BPSG膜形成用組成物には、必要に応じて界面活性剤を添加してもよい。このような界面活性剤として、具体的には、特開2009−126940号公報(0185)段落に記載されている界面活性剤が挙げられる。
【0158】
また、本発明に用いられる塗布型BPSG膜形成用組成物には、必要に応じてリン酸やホウ酸を添加してもよい。
【0159】
(II)工程では、例えば上記のような塗布型BPSG膜形成用組成物を用いて、下層膜上にBPSG膜を形成する。なお、BPSG膜は、後述のレジスト上層膜等と同様に、スピンコート法等で形成することができる。スピンコート後、溶剤を蒸発させレジスト上層膜とのミキシングを防止するため、あるいは架橋反応を促進させるためにベークをすることが望ましい。ベーク温度は50〜500℃の範囲内が好ましく、加熱時間は10〜300秒の範囲内が好ましい。製造されるデバイスの構造にもよるが、デバイスへの熱ダメージを少なくするために400℃以下で加熱するのが特に好ましい。
【0160】
このようなBPSG膜であれば、レジスト上層膜パターンに対して良好な密着性を示すため、微細なパターンを形成した場合でもパターン倒れが発生しない。また、このようなBPSG膜は、上層に形成されたレジスト上層膜パターンと下層に形成された下層膜(有機下層膜又はCVDハードマスク)の両方に対して高いドライエッチング選択性を示す。従って、下層膜の組み合わせを最適化することで、サイズ変換差を生じさせることなく、ドライエッチングによってレジスト上層膜パターンを下層膜に転写できる。また、このようなBPSG膜は、下層膜のドライエッチング加工によって変質した場合にも、SC1によって容易に除去することができる。
【0161】
<(III)BPSG膜上にレジスト上層膜を形成する工程>
本発明のパターン形成方法では、次に(III)工程として、上記(II)工程で形成したBPSG膜上にレジスト上層膜を形成する。
【0162】
[レジスト上層膜]
レジスト上層膜形成用組成物は、レジスト上層膜にパターンを形成する方法に応じて適宜選択することができる。例えば、波長300nm以下の光もしくはEUV光を用いたリソグラフィーを行う場合、レジスト上層膜形成用組成物としては、例えば化学増幅型のフォトレジスト膜材料を用いることができる。このようなフォトレジスト膜材料としては、フォトレジスト膜を形成して露光を行った後に、アルカリ現像液を用いて露光部を溶解することによりポジ型パターンを形成するものや、有機溶剤からなる現像液を用いて未露光部を溶解することによりネガ型パターンを形成するものを例示できる。
【0163】
また、波長300nm以下の光として、ArFエキシマレーザー光を用いてリソグラフィーを行う場合、レジスト上層膜形成用組成物としては、通常のArFエキシマレーザー光用レジスト組成物であればいずれも使用可能である。このようなArFエキシマレーザー光用レジスト組成物は多数の候補がすでに公知であり、公知の樹脂を大別すると、ポリ(メタ)アクリル系、COMA(Cyclo Olefin Maleic Anhydride)系、COMA−(メタ)アクリルハイブリッド系、ROMP(Ring Opening Metathesis Polymerization)系、ポリノルボルネン系等があるが、このうち、ポリ(メタ)アクリル系樹脂を使用したレジスト組成物は、側鎖に脂環式骨格を導入することでエッチング耐性を確保しているため、解像性能が他の樹脂系と比較して優れており、好ましく用いることができる。
【0164】
レジスト上層膜は、上述したBPSG膜の形成と同様に、スピンコート法等で形成することが可能である。
【0165】
<(IV)レジスト上層膜にパターンを形成する工程>
本発明のパターン形成方法では、次に(IV)工程として、上記(III)工程で形成したレジスト上層膜にパターンを形成する。レジスト上層膜のパターン形成は、例えば波長が300nm以下の光もしくはEUV光を用いたリソグラフィー法、電子線直接描画法、誘導自己組織化法、及びナノインプリンティングリソグラフィー法のいずれかによって行うことが好ましい。このような方法を用いることで、レジスト上層膜に微細なパターンを形成することができる。
【0166】
<(V)BPSG膜にパターンを転写する工程>
本発明のパターン形成方法では、次に(V)工程として、上記(IV)工程でパターンを形成したレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングでBPSG膜にパターンを転写する。このときのドライエッチングは、特に限定されないが、例えばCF
4、CHF
3といったCF系ガスをエッチングガスとして用いて行うことが好ましい。
【0167】
<(VI)下層膜にパターンを転写する工程>
本発明のパターン形成方法では、次に(VI)工程として、上記(V)工程でパターンを転写したBPSG膜をマスクにして、N
2及びH
2のいずれか又は両方を含むガスを用いたドライエッチングで下層膜にパターンを転写する。
【0168】
(VI)工程のドライエッチング加工においては、N
2及びH
2のいずれか又は両方を含むガスを用いる。これにより、被加工基板へのダメージを軽減することが可能となる。N
2比を適宜選定することで、ドライエッチングレートを調節することができるため、所望の下層膜パターンが得られるよう、N
2比を調節すればよい。N
2及びH
2を両方使用する場合には、N
2:H
2を1:10〜10:1とすることが好ましく、1:5〜5:1とすることがより好ましい。
【0169】
この(VI)工程によって、下層膜パターン、即ち被加工基板を加工するためのマスクパターンが形成される。しかし、上述のように、この段階では形成された下層膜パターン上にBPSG膜の残渣が残っており、このまま被加工基板の加工を行うとデバイス製造歩留まりが低下してしまう。そこで、本発明のパターン形成方法では、下層膜パターンの形成後、(VII)工程のウエットエッチング(洗浄)を行って、BPSG膜の残渣を除去する。
【0170】
<(VII)パターンが転写された下層膜上のBPSG膜の残渣を除去する工程>
本発明のパターン形成方法では、次に(VII)工程として、過酸化水素含有アンモニア水溶液を用いたウエットエッチングによって、上記(VI)工程でパターンを転写した下層膜上のBPSG膜の残渣を除去する。
【0171】
(VII)工程のウエットエッチングにおいては、被加工基板や下層膜に対してダメージを与えない剥離液として、半導体製造プロセスで一般的に使用されているSC(Standard Clean)1と呼ばれる過酸化水素含有アンモニア水溶液を用いる。一般に、ケイ素含有レジスト下層膜をマスクとして、その下にある下層膜のドライエッチング加工を行った場合、ドライエッチングによってケイ素含有レジスト下層膜が変質し、ケイ素含有レジスト下層膜のウエットエッチング速度は低下してしまう。これに対し、本発明で用いるBPSG膜であれば、上述のように、下層膜のドライエッチング加工によって変質した場合にも、SC1に対して良好なウエットエッチング速度を有するため、SC1によって容易に除去することができる。
【0172】
なお、本発明において使用するSC1のNH
4OH:H
2O
2:H
2Oの比は任意の比とすることができ、用いる被加工基板及び下層膜にダメージが及ばないよう適宜選択すればよいが、NH
4OH:H
2O
2:H
2O=0.1〜10:0.1〜10:3〜100の範囲が好ましい。また、ウエットエッチングは、通常0℃〜90℃、好ましくは5℃〜70℃の剥離液を用意し、これに処理したい基板を浸漬するだけでよい。あるいは、ウエハー表面に剥離液をスプレーする、ウエハーを回転させながら剥離液を塗布する等、定法の手順により容易にBPSG膜を除去することが可能である。
【0173】
このような方法により、被加工基板や下層膜(有機下層膜又はCVDハードマスク)に対してダメージを与えずにBPSG膜残渣を容易にウエットエッチングで除去することが可能である。
【0174】
また、(VII)工程のウエットエッチングでは、パターンが転写された下層膜(下層膜パターン)上のケイ素含有量がXPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy)による分析で5atomic%以下となるように、パターンが転写された下層膜上のBPSG膜の残渣を除去することが好ましい。
【0175】
ここで、実際の半導体装置製造のために加工される微細パターン上のケイ素含有量をXPSで測定することはできないため、XPSによる測定が可能な下層膜の表面積を有するサンプルを別途用意して評価を行う。より具体的には、例えば本発明のパターン形成方法と同様の手順で、ウエハー上に下層膜、BPSG膜、及びレジスト上層膜を順次形成し、レジスト上層膜にパターンを形成した後、このパターンをBPSG膜、下層膜に転写し、その後のウエットエッチングまで行ったウエハーを用意し、このウエハーに対してXPSによる分析を行えばよい。あるいは、例えばウエハー上に下層膜、BPSG膜を順次形成し、下層膜を加工するためのドライエッチング処理及びその後のウエットエッチングを行ったウエハーを用意し、このウエハーに対してXPSによる分析を行ってもよい。
【0176】
下層膜上であれば基板(ウエハー)由来のケイ素を検出せずに済むため、BPSG膜の残渣量を正確に評価することができる。つまり、このようなXPS分析をすることにより、SC1を用いたウエットエッチング後のマスクパターンの清浄度を実際の半導体製造プロセスに則して評価することができ、続く被加工基板の加工が可能であるかを調べることができる。さらには、ウエットエッチング後のケイ素含有量が、XPSによる分析で5atomic%以下となるようにウエットエッチング条件を調節することで、より効率的かつ確実にBPSG膜残渣を除去できる。
【0177】
ここで、「ケイ素含有量が5atomic%以下」とは、サンプル中の下層膜及びBPSG膜残渣に含まれる全原子数に対して、ケイ素原子の数が5%以下であることを示し、検出されるケイ素の量が少ないほど、ウエットエッチング後に残ったBPSG膜残渣の量が少ないことを意味する。従って、(VII)工程のウエットエッチングは、ケイ素含有率がXPSによる分析で、好ましくは5atomic%以下、より好ましくは3atomic%以下、さらに好ましくは1atomic%以下となるように行うことが好ましい。
【0178】
上記のようにしてウエットエッチングによりBPSG膜残渣を除去することで、BPSG膜残渣が十分に除去された下層膜パターンを得ることができ、このような下層膜パターンであれば、被加工基板を加工するためのマスクパターンとして好適に用いることができる。なお、本発明のパターン形成方法で形成したマスクパターンを用いて被加工基板を加工する際には、特に限定されないが、例えばN
2/H
2混合ガスをエッチングガスとして用いたドライエッチングで加工することが好ましい。
【0179】
以上のように、本発明のパターン形成方法であれば、レジスト下層膜としてBPSG膜を用いた多層レジスト法によって、被加工基板上に微細なマスクパターン(下層膜パターン)を形成することができる。また、このBPSG膜は、レジスト上層膜パターンに対して良好な密着性を示すため、微細なパターンを形成した場合でもパターン倒れが発生しない。また、このBPSG膜は、上層に形成されたレジスト上層膜パターンと下層に形成された下層膜(有機下層膜又はCVDハードマスク)の両方に対して高いドライエッチング選択性を示すため、サイズ変換差を生じさせることなく、ドライエッチングによってレジスト上層膜パターンを下層膜に転写することが可能である。また、レジスト下層膜として上記のようなBPSG膜を用いることで、被加工基板や下層膜に対してダメージを与えない過酸化水素含有アンモニア水溶液を用いたウエットエッチングで、下層膜パターン上のBPSG膜残渣を容易に除去することができる。従って、ウエットエッチング後の下層膜パターンを、被加工基板を加工するのに十分な清浄度にすることができ、結果として、デバイス製造歩留まりを向上させることができる。さらに、下層膜にパターンを転写する際のドライエッチングを、N
2及びH
2のいずれか又は両方を含むガスで行うことにより、被加工基板へのダメージを抑えることができる。
【実施例】
【0180】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの記載によって限定されるものではない。なお、下記例で%は質量%を示し、分子量測定はGPCによった。
【0181】
(A)成分の合成
[合成例(A1)]
メタノール120g、70%硝酸1g、及び脱イオン水60gの混合物に、フェニルトリメトキシシラン[化100]5.0g、メチルトリメトキシシラン[化101]17.0g、テトラメトキシシラン[化102]45.7g、リン酸トリブチル[化112]6.3g、及びホウ酸トリメチル[化115]2.6gの混合物を添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、PGEE300gを加え、副生アルコール及び過剰の水を減圧で留去して、ベースポリマー(A1)のPGEE溶液270g(ポリマー濃度12%)を得た。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=2,500であった。
【0182】
[合成例(A2)〜(A3)]
合成例(A1)と同様の条件で、下記表1に示されるモノマーを使用して合成例(A2)〜(A3)を行い、それぞれベースポリマー(A2)〜(A3)のPGEE溶液を得た。
【0183】
[合成例(A4)]
メタノール120g、85%リン酸水溶液3.0g(リン酸[化113]2.5g相当)、70%硝酸1g、及び脱イオン水60gの混合物に、フェニルトリメトキシシラン[化100]5.0g、メチルトリメトキシシラン[化101]10.2g、テトラメトキシシラン[化102]53.3g、及びホウ酸トリメチル[化115]2.6gの混合物を添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、PGEE300gを加え、副生アルコール及び過剰の水を減圧で留去して、ベースポリマー(A4)のPGEE溶液290g(ポリマー濃度11%)を得た。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=3,000であった。
【0184】
[合成例(A5)]
メタノール120g、ホウ酸[化116]1.5g、70%硝酸1g、及び脱イオン水60gの混合物に、フェニルトリメトキシシラン[化100]5.0g、メチルトリメトキシシラン[化101]17.0g、テトラメトキシシラン[化102]45.7g、及びリン酸トリブチル[化112]6.3gの混合物を添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、PGEE300gを加え、副生アルコール及び過剰の水を減圧で留去して、ベースポリマー(A5)のPGEE溶液290g(ポリマー濃度11%)を得た。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=2,700であった。
【0185】
[合成例(A6)]
メタノール120g、85%リン酸水溶液3.0g(リン酸[化113]2.5g相当)、ホウ酸[化116]1.5g、70%硝酸1g、及び脱イオン水60gの混合物に、フェニルトリメトキシシラン[化100]5.0g、メチルトリメトキシシラン[化101]17.0g、及びテトラメトキシシラン[化102]45.7gの混合物を添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、PGEE300gを加え、副生アルコール及び過剰の水を減圧で留去して、ベースポリマー(A6)のPGEE溶液300g(ポリマー濃度11%)を得た。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=3,100であった。
【0186】
[合成例(A7)]
メタノール120g、85%リン酸水溶液3.0g(リン酸[化113]2.5g相当)、ホウ酸[化116]1.5g、70%硝酸1g、及び脱イオン水60gの混合物に、4−メトキシフェニルトリメトキシシラン[化105]5.8g及びテトラメトキシシラン[化102]64.7gの混合物を添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、PGEE300gを加え、副生アルコール及び過剰の水を減圧で留去して、ベースポリマー(A7)のPGEE溶液310g(ポリマー濃度11%)を得た。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=3,000であった。
【0187】
[合成例(A8)]
メタノール120g、85%リン酸水溶液3.0g(リン酸[化113]2.5g相当)、ホウ酸[化116]1.5g、70%硝酸1g、及び脱イオン水60gの混合物に、フェニルトリメトキシシラン[化100]5.0g、メチルトリメトキシシラン[化101]13.6g、4−アセトキシ−4,4−ビストリフルオロメチルブチルトリメトキシシラン[化106]9.3g、及びテトラメトキシシラン[化102]45.7gの混合物を添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、PGEE300gを加え、副生アルコール及び過剰の水を減圧で留去して、ベースポリマー(A8)のPGEE溶液300g(ポリマー濃度11%)を得た。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=2,700であった。
【0188】
[合成例(A9)]
メタノール120g、85%リン酸水溶液3.0g(リン酸[化113]2.5g相当)、ホウ酸[化116]1.5g、70%硝酸1g、及び脱イオン水60gの混合物に、フェニルトリメトキシシラン[化100]5.0g及びテトラメトキシシラン[化102]64.7gの混合物を添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、PGEE300gを加え、副生アルコール及び過剰の水を減圧で留去して、ベースポリマー(A9)のPGEE溶液270g(ポリマー濃度12%)を得た。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=2,800であった。
【0189】
[合成例(A10)]
メタノール120g、ホスホン酸[化111]2.1g、70%硝酸1g、及び脱イオン水60gの混合物に、テトラメトキシシラン[化102]68.5g及びホウ酸トリメチル[化115]2.6gの混合物を添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、PGEE300gを加え、副生アルコール及び過剰の水を減圧で留去して、ベースポリマー(A10)のPGEE溶液290g(ポリマー濃度11%)を得た。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=3,100であった。
【0190】
[合成例(A11)]
エタノール120g、70%硝酸1g、及び脱イオン水60gの混合物に、テトラエトキシシラン[化103]72.9g、4−ヒドロキシ−4,4−ビストリフルオロメチルブチルトリエトキシシラン[化107]9.3g、トリエトキシシリルメチルベンゾエート[化108]7.5g、ホウ酸トリメチル[化115]6.7g、及びリン酸トリブチル[化112]2.7gの混合物を添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、PGEE300gを加え、副生アルコール及び過剰の水を減圧で留去して、ベースポリマー(A11)のPGEE溶液270g(ポリマー濃度12%)を得た。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=3,000であった。
【0191】
[合成例(A12)]
メタノール120g、85%リン酸水溶液3.0g(リン酸[化113]2.5g相当)、70%硝酸1g、及び脱イオン水60gの混合物に、テトラメトキシシラン[化102]52.7g、メチルトリメトキシシラン[化101]0.5g、フェニルトリメトキシシラン[化100]5.0g、及びホウ酸トリメチル[化115]10.4gの混合物を添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、PGEE300gを加え、副生アルコール及び過剰の水を減圧で留去して、ベースポリマー(A12)のPGEE溶液300g(ポリマー濃度10%)を得た。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=2,800であった。
【0192】
[合成例(A13)]
メタノール120g、85%リン酸水溶液3.0g(リン酸[化113]2.5g相当)、70%硝酸1g、及び脱イオン水60gの混合物に、4−フルオロフェニルトリメトキシシラン[化104]5.4g及びテトラメトキシシラン[化102]68.5gの混合物を添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、PGEE300gを加え、副生アルコール及び過剰の水を減圧で留去して、ベースポリマー(A13)のPGEE溶液270g(ポリマー濃度12%)を得た。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=3,400であった。
【0193】
[合成例(A14)]
メタノール120g、70%硝酸1g、及び脱イオン水60gの混合物に、フェニルトリメトキシシラン[化100]5.0g、ホウ酸トリメチル[化115]2.6g、及びテトラメトキシシラン[化102]68.5gの混合物を添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、PGEE300gを加え、副生アルコール及び過剰の水を減圧で留去して、ベースポリマー(A14)のPGEE溶液260g(ポリマー濃度12%)を得た。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=2,700であった。
【0194】
[合成例(A15)]
メタノール120g、70%硝酸1g、及び脱イオン水60gの混合物に、テトラメトキシシラン[化102]49.5g、メチルトリメトキシシラン[化101]20.4g、及びフェニルトリメトキシシラン[化100]5.0gの混合物を添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、PGEE300gを加え、酢酸エチル及び水を減圧で留去して、ベースポリマー(A15)のPGEE溶液260g(ポリマー濃度10%)を得た。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=2,500であった。
【0195】
以下に合成例(A1)〜(A15)の配合量をまとめた表1を示す。
【表1】
【0196】
【化27】
【0197】
(C)成分の合成
[合成例(C1)]
メタノール120g、メタンスルホン酸1g、及び脱イオン水60gの混合物に、メチルトリメトキシシラン[化101]34.1g及びホウ酸トリメチル[化115]26.0gの混合物を添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、PGEE300gを加え、副生アルコール及び過剰の水を減圧で留去して、ケイ素含有化合物(C1)のPGEE溶液300g(ポリマー濃度13%)を得た。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=3,200であった。
【0198】
[合成例(C2)]
メタノール120g、メタンスルホン酸1g、及び脱イオン水60gの混合物に、フェニルトリメトキシシラン[化100]9.9g、メチルトリメトキシシラン[化101]54.5g、及びリン酸トリブチル[化112]12.5gの混合物を添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、PGEE300gを加え、副生アルコール及び過剰の水を減圧で留去して、ケイ素含有化合物(C2)のPGEE溶液310g(ポリマー濃度11.9%)を得た。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=3,500であった。
【0199】
[合成例(C3)]
メタノール120g、メタンスルホン酸1g、及び脱イオン水60gの混合物に、メチルトリメトキシシラン[化101]61.3g及びテトラメトキシシラン[化102]7.6gの混合物を添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、PGEE300gを加え、副生アルコール及び過剰の水を減圧で留去して、ケイ素含有化合物(C3)のPGEE溶液300g(ポリマー濃度11.1%)を得た。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=3,500であった。
【0200】
[合成例(C4)]
メタノール120g、メタンスルホン酸1g、及び脱イオン水60gの混合物に、メチルトリメトキシシラン[化101]34.1g及び4−t−ブトキシフェニルトリメトキシシラン[化120]67.6gの混合物を添加し、24時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、PGEE500gを加え、副生アルコール及び過剰の水を減圧で留去して、ケイ素含有化合物(C4)のPGEE溶液570g(ポリマー濃度11.7%)を得た。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=2,700であった。
【0201】
[合成例(C5)〜(C7)]
合成例(C4)と同様の条件で、下記表2に示されるモノマーを使用して合成例(C5)〜(C7)を行い、それぞれケイ素含有化合物(C5)〜(C7)のPGEE溶液を得た。
【0202】
以下に合成例(C1)〜(C7)の配合量をまとめた表2を示す。
【表2】
【0203】
以下に合成例(C1)〜(C7)に用いられる化合物の構造式を示す。
【化28】
【0204】
[実施例及び比較例]
上記合成例で得られた(A)成分としてのベースポリマー(A1)〜(A15)、(B)成分としての有機化合物、上記合成例で得られた(C)成分としてのケイ素含有化合物(C1)〜(C7)、添加剤、及び溶剤を表3に示す割合で混合し、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって、塗布型BPSG膜形成用組成物溶液Sol.1〜12及び塗布型ケイ素含有膜形成用組成物溶液Sol.13〜15をそれぞれ調製した。
【0205】
【表3】
【0206】
(B)成分として、以下のものを用いた。
PEOL :ペンタエリスリトール
TAEOH :トリエタノールアミン
TMOL :トリメチロールエタン
SORBOL :ソルビトール
XYTOL :キシリトール
【0207】
また、添加剤として、以下のものを用いた。
TPSH
2PO
4 :リン酸モノ(トリフェニルスルホニウム)
TPSH
2BO
3 :ホウ酸モノ(トリフェニルスルホニウム)
TPSMA :マレイン酸モノ(トリフェニルスルホニウム)
TPSNO
3 :硝酸トリフェニルスルホニウム
QMANO
3 :硝酸テトラメチルアンモニウム
TPSNf :ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム
【0208】
[塗布膜のウエットエッチング試験]
シリコンウエハー上に、有機下層膜として信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボン含有量80質量%)を膜厚200nmで形成した。その上に塗布型BPSG膜形成用組成物溶液Sol.1〜12又は塗布型ケイ素含有膜形成用組成物溶液Sol.13〜15をそれぞれ塗布し、220℃で60秒間加熱して、膜厚35nmのBPSG膜Film1〜12及びケイ素含有膜Film13〜15をそれぞれ形成した。
【0209】
このようにして得られた基板に対し、東京エレクトロン製エッチング装置Teliusを用いて以下のドライエッチング処理条件でドライエッチングを行った後、50℃の0.6%アンモニア含有1%過酸化水素水(SC1)に浸漬してウエットエッチングを行い、得られたウエハーの有機下層膜上部をサーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製のK−ALPHAでXPS分析し、ウエットエッチング後のケイ素含有量を測定した。さらに、同様の条件でウエットエッチングまで行ったウエハーに対して、以下のアッシング条件でアッシング処理を行い、(株)日立ハイテクノロジーズ製電子顕微鏡(CG4000)でウエハー上に残渣が見られるかを観察した。結果を表4に示す。
【0210】
(ドライエッチング処理条件)
チャンバー圧力 2.7Pa
RFパワー 1,000W
N
2ガス流量 500mL/min
H
2ガス流量 30mL/min
時間 60秒
【0211】
(アッシング処理条件)
チャンバー圧力 2.7Pa
RFパワー 1,000W
N
2ガス流量 500mL/min
H
2ガス流量 30mL/min
時間 180秒
【0212】
【表4】
【0213】
上記表4に示されるように、ホウ素含有単位をもたないFilm13(比較例1−9)、リン含有単位をもたないFilm14(比較例1−10)、ホウ素含有単位とリン含有単位をどちらももたないFilm15(比較例1−11)では、SC1でのウエットエッチング後にケイ素が多量に残っており、これらのケイ素含有膜はN
2/H
2混合ガスによるドライエッチング後にSC1で除去しにくいことが分かる。一方、塗布型BPSG膜形成用組成物溶液Sol.1〜12を用いて形成したFilm1〜12(比較例1−1〜1−8及び実施例1−1〜1−6)では、ウエットエッチング後のケイ素含有量がFilm13〜15より少なく、N
2/H
2混合ガスによるドライエッチングで有機下層膜の加工を行った後でも、SC1で除去されやすいことが分かる。
【0214】
Film1〜8(比較例1−1〜1−8)では、上記のようにFilm13〜15(比較例1−9〜1−11)に比べればウエットエッチング後のケイ素含有量を低減できているものの、ウエットエッチング後のケイ素含有量は5atomic%を超えており、アッシング処理後に残渣が観察された。即ち、Film1〜8では、SC1を用いたウエットエッチングによってBPSG膜残渣を十分に除去できていないことが分かる。一方、ホウ素含有単位とリン含有単位を合計で10mol%以上含むベースポリマー((A)成分)を含有し、かつ1分子中に2個以上の水酸基を有する有機化合物((B)成分)を(A)成分100質量部に対して25質量部以上含有するFilm9〜12(実施例1−1〜1−6)では、ウエットエッチング後のケイ素含有量が5atomic%以下となっており、続くアッシング処理後に残渣が観察されなかった。即ち、Film9〜12では、SC1を用いたウエットエッチングによってBPSG膜残渣を十分に除去できていることが分かる。また、上記の結果から、ウエットエッチング後のケイ素含有量が5atomic%以下であれば、N
2/H
2ガスを用いたアッシングによりケイ素がシランとして除去されるため、残渣が残らないことが示唆された。
【0215】
[ポジ型現像によるパターニング試験]
シリコンウエハー上に、有機下層膜として信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボン含有量80質量%)を膜厚200nmで形成した。その上に塗布型BPSG膜形成用組成物溶液Sol.9〜12をそれぞれ塗布し、220℃で60秒間加熱して、膜厚35nmのBPSG膜Film9〜12をそれぞれ形成した。
【0216】
続いて、BPSG膜上に下記の表5に記載のポジ型現像用ArFレジスト溶液(PR−1)を塗布し、110℃で60秒間ベークして膜厚100nmのフォトレジスト膜を形成した。さらにフォトレジスト膜上に下記の表6に記載の液浸保護膜組成物(TC−1)を塗布し90℃で60秒間ベークし膜厚50nmの保護膜を形成した。
【0217】
次いで、これらをArF液浸露光装置((株)ニコン製;NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.65、35度ダイポール偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光し、100℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、160nm1:1のポジ型のラインアンドスペースパターンを得た。
【0218】
このようにして得られた基板に対し、(株)日立製作所製電子顕微鏡(S−9380)でパターンの断面形状を、(株)日立ハイテクノロジーズ製電子顕微鏡(CG4000)でパターン倒れを観測した。
【0219】
上記のポジ型現像によるパターニング試験に用いるポジ型現像用ArFレジスト溶液(PR−1)の組成を以下の表5に示す。
【表5】
【0220】
上記の表5に示されるArFレジストポリマー1の分子量、分散度、及び構造式を以下に示す。
ArFレジストポリマー1:分子量(Mw)=7,800
分散度(Mw/Mn)=1.78
【化29】
上記の表5に示される酸発生剤:PAG1の構造式を以下に示す。
【化30】
上記の表5に示される塩基:Quencherの構造式を以下に示す。
【化31】
なお、PGMEAはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを示す。
【0221】
上記のポジ型現像によるパターニング試験に用いる液浸保護膜組成物(TC−1)の組成を以下の表6に示す。
【表6】
【0222】
上記の表6に示される保護膜ポリマーの分子量、分散度、及び構造式を以下に示す。
保護膜ポリマー:分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.69
【化32】
【0223】
上記のポジ型現像によるパターニング試験で得られたパターンの断面形状及びパターン倒れを観測した結果を以下の表7に示す。
【表7】
【0224】
上記表7に示されるように、BPSG膜Film9〜12をレジスト下層膜として使用した基板では、ポジ型現像において、パターン倒れが発生することなく、断面が垂直形状のレジスト上層膜パターンを得ることができた。さらに、このようなBPSG膜は成膜性も良好であった。
【0225】
以上のように、本発明に用いられるBPSG膜は下層膜のドライエッチング加工後においても、被加工基板や下層膜に対してダメージを与えないSC1で容易かつ十分にウエットエッチングすることが可能である。また、XPS分析によりSC1でのウエットエッチングによる洗浄効果を評価することができ、ウエットエッチング後の基板加工が可能な清浄度が得られているか判断できる。また、ホウ素含有単位とリン含有単位を所定の割合で含むBPSG膜は、その上に形成されたレジスト上層膜パターンに対して良好な密着性を示し、パターン倒れが発生しないため、微細なパターンの形成を可能とする。以上より、本発明のパターン形成方法は、最先端の半導体装置の製造に有用なものとなることが明らかとなった。
【0226】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。