特許第6204575号(P6204575)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6204575-安全性が強化されたリチウム二次電池 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204575
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】安全性が強化されたリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/34 20060101AFI20170914BHJP
   H01M 2/26 20060101ALI20170914BHJP
   H01M 2/30 20060101ALI20170914BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20170914BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20170914BHJP
   H01M 4/485 20100101ALI20170914BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20170914BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20170914BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20170914BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20170914BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20170914BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20170914BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20170914BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20170914BHJP
   C22C 13/02 20060101ALI20170914BHJP
   C22C 12/00 20060101ALI20170914BHJP
   C22C 11/08 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   H01M2/34 A
   H01M2/26 A
   H01M2/30 D
   H01M2/02 K
   H01M4/587
   H01M4/485
   H01M4/505
   H01M4/525
   H01M4/58
   H01M4/38 Z
   H01M10/0565
   H01M10/0566
   H01M2/10 E
   H01M10/04 Z
   C22C13/02
   C22C12/00
   C22C11/08
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-513889(P2016-513889)
(86)(22)【出願日】2014年7月29日
(65)【公表番号】特表2016-522969(P2016-522969A)
(43)【公表日】2016年8月4日
(86)【国際出願番号】KR2014006922
(87)【国際公開番号】WO2015016568
(87)【国際公開日】20150205
【審査請求日】2015年11月16日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0089937
(32)【優先日】2013年7月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】イン・スン・ウン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】キョン・ホ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ヨン・クォン
(72)【発明者】
【氏名】ヘ・ジン・ハー
【審査官】 守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−185938(JP,A)
【文献】 特表2011−519124(JP,A)
【文献】 特表2014−520367(JP,A)
【文献】 特表2013−539586(JP,A)
【文献】 特表2013−520782(JP,A)
【文献】 特開2007−066616(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0064091(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/26
H01M 2/30
H01M 2/34
H01M 2/02
H01M 10/04
H01M 10/05−10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極活物質が塗布されていない正極タブがそれぞれ形成されている1つ以上の正極、負極活物質が塗布されていない負極タブがそれぞれ形成されている1つ以上の負極、及び前記正極と負極との間にそれぞれ介在している1つ以上の分離膜を含む電極組立体が、電解液と共に電池ケースの内部に密封されており、
前記正極タブ及び負極タブが、電池ケースの外部に突出した正極リード及び負極リードにそれぞれ接続されており、
前記正極タブ、負極タブ、正極リード、及び負極リードからなる群から選択される1つ以上の電極端子が、溶融点が摂氏80度以上〜400度以下であるBi合金又はPb合金からなる二次電池であって、
前記Bi合金又はPb合金からなる電極端子が、アルミニウム(Al)、銅(Cu)またはニッケル(Ni)でメッキされたことを特徴とする、二次電池。
【請求項2】
前記Bi合金が、鉛(Pb)、錫(Sn)、及びカドミウム(Cd)からなる群から選択される1つ以上の金属を含有する合金であり、前記Pb合金が、ビスマス(Bi)、錫(Sn)、及びカドミウム(Cd)からなる群から選択される1つ以上の金属を含有する合金であることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記Bi合金又はPb合金からなる電極端子が、正極タブ及び/又は正極リードであることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項4】
前記Bi合金又はPb合金が、BiとPbの合金又はBiとSnの合金であることを特徴とする、請求項3に記載の二次電池。
【請求項5】
前記正極タブ及び/又は正極リードがアルミニウム(Al)でメッキされたことを特徴とする、請求項3に記載の二次電池。
【請求項6】
前記Bi合金又はPb合金からなる電極端子が、負極タブ及び/又は負極リードであることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項7】
前記Bi合金又はPb合金が、BiとPbの合金であることを特徴とする、請求項6に記載の二次電池。
【請求項8】
前記負極タブ及び/又は負極リードが、銅(Cu)又はニッケル(Ni)でメッキされたことを特徴とする、請求項6に記載の二次電池。
【請求項9】
前記BiとPbの組成が、モル比で40:60〜60:40であることを特徴とする、請求項4又は7に記載の二次電池。
【請求項10】
前記BiとSnの組成が、モル比で50:50〜30:70であることを特徴とする、請求項4に記載の二次電池。
【請求項11】
前記正極活物質が、下記化学式1又は2で表されるリチウム遷移金属酸化物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の二次電池:
LiMn2−y4−z (1)
上記式中、
Mが、Al、Mg、Ni、Co、Fe、Cr、V、Ti、Cu、B、Ca、Zn、Zr、Nb、Mo、Sr、Sb、W、Ti及びBiからなる群から選択される1つ以上の元素であり、
Aが、−1又は−2価の1つ以上のアニオンであり、
0.9≦x≦1.2、0<y<2、0≦z<0.2であり、
(1−x)LiM’O2−y−xLiMnO3−y’y’ (2)
上記式中、
M’が、Mnであり、
Mが、Ni、Ti、Co、Al、Cu、Fe、Mg、B、Cr、Zr及びZnからなる群から選択される1つ以上であり、
Aが、PO、BO、CO、F及びNOのアニオンからなる群から選択される1つ以上であり、
0<x<1、0<y≦0.02、0<y’≦0.02、0.5≦a≦1.0、0≦b≦0.5、a+b=1である。
【請求項12】
前記負極活物質が、炭素系物質、及び/又はSiを含むことを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項13】
前記電池ケースが、樹脂層及び金属層を含むラミネートシートからなることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項14】
前記二次電池が、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、またはリチウムポリマー電池であることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の二次電池を単位電池として含むことを特徴とする、電池モジュール。
【請求項16】
請求項15に記載の電池モジュールを含むことを特徴とする、電池パック。
【請求項17】
請求項16に記載の電池パックを電源として含むことを特徴とする、デバイス。
【請求項18】
前記デバイスが、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、または電力貯蔵用システムであることを特徴とする、請求項17に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全性が強化されたリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル機器に対する技術開発及び需要の増加に伴い、エネルギー源としての二次電池の需要が急増しており、それによって、様々な要求に応えられる二次電池に対して多くの研究が行われている。
【0003】
二次電池は、高容量及び高出力のような優れた電気的特性を有しているので、携帯電話、デジタルカメラ、PDA、ノートブックなどのモバイル、ワイヤレス電子機器だけでなく、電気自転車(E−bike)、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)などの動力装置に対するエネルギー源としても多くの関心を集めている。
【0004】
しかし、二次電池は、過充電、過放電、高温への露出、電気的短絡などの異常な作動状態で、電池の構成要素である活物質、電解質などの分解反応が誘発されて熱とガスが発生し、これに起因する高温高圧の条件は、当該分解反応を一層促進し、ついには、発火又は爆発を招くことがある。
【0005】
さらに、二次電池は、継続的な使用、すなわち、継続的な充放電過程で発電素子又は電気的接続部材などが徐々に劣化し、例えば、発電素子の劣化は、電極材料、電解質などの分解によってガスを誘発し、それにより電池セル(缶、パウチ型ケース)は徐々に膨張するようになり、膨張された二次電池は、限定されたケース内でさらに加圧され、異常な作動条件下で発火及び爆発の危険性が大きく高くなることがある。
【0006】
したがって、前述の二次電池の問題点を効果的に解決できる技術に対する必要性が非常に高い実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような従来技術の問題点及び過去から要請されてきた技術的課題を解決することを目的とする。
【0008】
本出願の発明者らは、鋭意研究と様々な実験を重ねた結果、後述するように、二次電池の電極端子をウッドメタル(wood’s metal)で構成する場合、所望の効果を達成できることを確認し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る二次電池は、正極活物質が塗布されていない正極タブがそれぞれ形成されている1つ以上の正極;負極活物質が塗布されていない負極タブがそれぞれ形成されている1つ以上の負極;及び前記正極と負極との間にそれぞれ介在している1つ以上の分離膜;を含む電極組立体が、電解液と共に電池ケースの内部に密封されており、前記正極タブ及び負極タブが、電池ケースの外部に突出した正極リード及び負極リードにそれぞれ接続されており、前記正極タブ、負極タブ、正極リード、及び負極リードからなる群から選択される1つ以上の電極端子がウッドメタル(wood’s metal)からなることを特徴とする。
【0010】
前記ウッドメタルは、溶融点が摂氏80度以上〜400度以下で溶融される材料であって、詳細には、溶融点が摂氏200度以下で溶融される材料であってもよい。このようなウッドメタルは、過充電又は外部短絡によって二次電池の温度が大きく上昇するか、または電極端子に抵抗が急激に増加してウッドメタルの溶融点以上に温度が増加する場合、電極端子をなすウッドメタルが溶融されて二次電池を短絡及び絶縁させることができ、したがって、二次電池が充電されるか、または外部への電力を供給することを根本的に遮断することができる。
【0011】
一つの非制限的な例において、前記ウッドメタルは、ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、錫(Sn)、及びカドミウム(Cd)からなる群から選択される1つ以上の金属の合金であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0012】
前記ウッドメタルからなる電極端子は、伝導性の向上のためにアルミニウム(Al)、銅(Cu)またはニッケル(Ni)でメッキされてもよい。
【0013】
一つの非制限的な例において、前記ウッドメタルからなる電極端子は、正極タブ及び/又は正極リードであってもよく、前記ウッドメタルは、BiとPbの合金又はBiとSnの合金からなることができるが、これに限定されるものではない。
【0014】
また、前記正極タブ及び/又は正極リードは、アルミニウム(Al)でメッキされてもよい。
【0015】
更に他の非制限的な例において、前記ウッドメタルからなる電極端子は、負極タブ及び/又は負極リードであってもよく、前記ウッドメタルは、BiとPbの合金であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0016】
また、前記負極タブ及び/又は負極リードは、銅(Cu)又はニッケル(Ni)でメッキされてもよい。
【0017】
一つの非制限的な例において、前記BiとPbの組成は、モル比で40:60〜60:40であってもよい。また、前記BiとSnの組成は、モル比で50:50〜30:70であってもよい。本出願の発明者らが確認したところによれば、前記ウッドメタルの合金のための組成比を外れる場合、二次電池の発火の前にウッドメタルが溶融されないため、過充電又は外部短絡による二次電池の安全性を担保することができない。
【0018】
一方、前記正極活物質は、下記化学式1又は2で表されるリチウム遷移金属酸化物を含むことができる。
LiMn2−y4−z (1)
上記式中、
Mは、Al、Mg、Ni、Co、Fe、Cr、V、Ti、Cu、B、Ca、Zn、Zr、Nb、Mo、Sr、Sb、W、Ti及びBiからなる群から選択される1つ以上の元素であり、
Aは、−1又は−2価の1つ以上のアニオンであり、
0.9≦x≦1.2、0<y<2、0≦z<0.2である。
(1−x)LiM’O2−y−xLiMnO3−y’y’ (2)
上記式中、
M’は、Mnであり、
Mは、Ni、Ti、Co、Al、Cu、Fe、Mg、B、Cr、Zr、Zn及び2周期の遷移金属からなる群から選択される1つ以上であり、
Aは、PO、BO、CO、F及びNOのアニオンからなる群から選択される1つ以上であり、
0<x<1、0<y≦0.02、0<y’≦0.02、0.5≦a≦1.0、0≦b≦0.5、a+b=1である。
【0019】
前記負極活物質は、炭素系物質、及び/又はSiを含むことができる。
【0020】
一つの非制限的な例において、前記電池ケースは、樹脂層及び金属層を含むラミネートシートからなることができる。
【0021】
一つの非制限的な例において、前記二次電池は、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、またはリチウムポリマー電池であってもよい。
【0022】
このような二次電池は、正極、負極、前記正極と負極との間に介在する分離膜、及びリチウム塩含有非水電解質を含む二次電池であってもよく、前記二次電池の構造及びその他の成分について、以下で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る二次電池の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
まず、図1には、本発明に係る二次電池が示されている。
【0025】
図1を参照すると、二次電池100は、正極活物質及び負極活物質がそれぞれ塗布されている1つ以上の正極及び負極(図示せず)が積層された電極組立体110、電極組立体110の正極板から延びている正極電極タブ117及び電極組立体の負極板から延びている負極電極タブ116、それぞれの電極タブに溶接されており、外部に延びた電極リード112,114、電極リード112,114の上下面の一部には電池ケースとの密封度を高めると共に電気的絶縁状態を確保するための絶縁フィルム115、及び電極組立体を収容し、電極組立体の外面が完全に密着するように外周面が熱融着されているパウチ型ケース120を含む。ここで、正極電極タブ117及び負極電極タブ116は、ウッドメタルであるBiとPbの合金からなる。また、正極電極タブ117及び負極電極タブ116は、伝導性の向上のためにアルミニウム(Al)でメッキされている。
【0026】
ここで、一例として、正極電極タブ及び負極電極タブは、ウッドメタルであるBiとPbの合金からなっているが、前述の例に限定されるものではなく、例えば、正極電極タブ又は負極電極タブのいずれか一方のみがウッドメタルからなってもよく、他方は、ウッドメタルではなく、銅又はアルミニウムなどの異なる材料からなってもよく、電極リードもウッドメタルからなることができることは勿論である。
【0027】
以上で説明したように、本発明に係る二次電池は、過充電又は外部短絡によって二次電池の温度が大きく上昇するか、または電極端子に抵抗が急激に増加してウッドメタルの溶融点以上に温度が増加する場合、電極端子をなすウッドメタルが溶融されて二次電池を短絡及び絶縁させることができ、したがって、二次電池が充電されるか、または外部への電力を供給することを根本的に遮断して、二次電池の安全性を大きく向上させることができる。
【0028】
一方、正極は、正極集電体上に正極活物質、導電材及びバインダーの混合物である電極合剤を塗布した後、乾燥して製造され、必要に応じて、混合物に充填剤をさらに添加することもある。
【0029】
正極活物質は、化学式1又は2で表されるリチウム遷移金属酸化物以外に、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)などの層状化合物や、1つまたはそれ以上の遷移金属で置換された化合物;化学式Li1+xMn2−x(ここで、xは0〜0.33である)、LiMnO、LiMn、LiMnOなどのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(LiCuO);LiV、LiFe、V、Cuなどのバナジウム酸化物;化学式LiNi1−x(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、x=0.01〜0.3である)で表されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2−x(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、x=0.01〜0.1である)またはLiMnMO(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZnである)で表されるリチウムマンガン複合酸化物;LiNiMn2−xで表されるスピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土金属イオンで置換されたLiMn;ジスルフィド化合物;Fe(MoOなどを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
正極集電体は、一般に3〜500μmの厚さに製造される。このような正極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せずに高い導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどを使用することができる。集電体は、その表面に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの様々な形態が可能である。
【0031】
導電材は、通常、正極活物質を含んだ混合物の全重量を基準として1〜50重量%で添加される。このような導電材は、当該電池に化学的変化を誘発せずに導電性を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性材料などを使用することができる。
【0032】
バインダーは、活物質と導電材などの結合及び集電体に対する結合を助ける成分であって、通常、正極活物質を含む混合物の全重量を基準として1〜50重量%で添加される。このようなバインダーの例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、様々な共重合体などを挙げることができる。
【0033】
充填剤は、正極の膨張を抑制する成分として選択的に使用され、当該電池に化学的変化を誘発せずに繊維状材料であれば特に制限されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合体;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質が使用される。
【0034】
負極は、負極集電体上に負極活物質を塗布、乾燥及びプレスして製造され、必要に応じて、前述のような導電材、バインダー、充填剤などが選択的にさらに含まれてもよい。
【0035】
負極活物質は、例えば、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素;LiFe(0≦x≦1)、LiWO(0≦x≦1)、SnMe1-xMe’(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si、周期律表の1族、2族、3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;ケイ素系合金;錫系合金;SnO、SnO、PbO、PbO、Pb、Pb、Sb、Sb、Sb、GeO、GeO、Bi、Bi、Biなどの金属酸化物;ポリアセチレンなどの導電性高分子;Li−Co−Ni系材料;チタン酸化物;リチウムチタン酸化物などを使用することができ、詳細には、炭素系物質及び/又はSiを含むことができる。
【0036】
負極集電体は、一般に3〜500μmの厚さに製造される。このような負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せずに導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム−カドミウム合金などを使用することができる。また、正極集電体と同様に、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの様々な形態で使用することができる。
【0037】
分離膜は、正極と負極との間に介在し、高いイオン透過度及び機械的強度を有する絶縁性の薄い薄膜が使用される。一般に、分離膜の気孔径は0.01〜10μmで、厚さは5〜300μmである。このような分離膜としては、例えば、耐化学性及び疎水性のポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマー;ガラス繊維またはポリエチレンなどで作られたシートや不織布などが使用される。電解質としてポリマーなどの固体電解質が使用される場合には、固体電解質が分離膜を兼ねることもできる。
【0038】
リチウム塩含有非水電解質は、非水電解質とリチウムからなっており、非水電解質としては、非水系有機溶媒、有機固体電解質、無機固体電解質などが使用されるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
非水系有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフラン(franc)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ホルム酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒を使用することができる。
【0040】
有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリエジテーションリシン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合体などを使用することができる。
【0041】
無機固体電解質としては、例えば、LiN、LiI、LiNI、LiN−LiI−LiOH、LiSiO、LiSiO−LiI−LiOH、LiSiS、LiSiO、LiSiO−LiI−LiOH、LiPO−LiS−SiSなどのLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸塩などを使用することができる。
【0042】
リチウム塩は、非水系電解質に溶解しやすい物質であって、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO、LiBF、LiB10Cl10、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、CHSOLi、(CFSONLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4フェニルホウ酸リチウム、イミドなどを使用することができる。
【0043】
また、リチウム塩含有非水電解質には、充放電特性、難燃性などの改善を目的として、例えば、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グリム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノン、N,N−置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2−メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどが添加されてもよい。場合によっては、不燃性を付与するために、四塩化炭素、三フッ化エチレンなどのハロゲン含有溶媒をさらに含ませることもでき、高温保存特性を向上させるために二酸化炭酸ガスをさらに含ませることもでき、FEC(Fluoro−Ethylene Carbonate)、PRS(Propene sultone)などをさらに含ませることができる。
【0044】
一具体例において、LiPF、LiClO、LiBF、LiN(SOCFなどのリチウム塩を、高誘電性溶媒であるEC又はPCの環状カーボネートと、低粘度溶媒であるDEC、DMC又はEMCの線状カーボネートとの混合溶媒に添加し、リチウム塩含有非水系電解質を製造することができる。
【0045】
本発明は、二次電池を単位電池として含む電池モジュール、電池モジュールを含む電池パック、及び電池パックを電源として含むデバイスを提供する。
【0046】
このとき、デバイスの具体的な例としては、電池的モーターによって動力を受けて動くパワーツール(power tool);電気自動車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle、HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(Plug−in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)などを含む電気車;電気自転車(E−bike)、電気スクーター(E−scooter)を含む電気二輪車;電気ゴルフカート(electric golf cart);電力貯蔵用システムなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0047】
以下、本発明に係る実施例を参照してより詳細に説明するが、本発明の範疇がそれによって限定されるものではない。
【0048】
<実施例1>
BiとPbがモル比で40:60の組成をなす合金からなる正極タブ及び負極タブを含む電極組立体をパウチ型二次電池に内蔵して二次電池を製造した。
【0049】
<実施例2>
正極タブ及び負極タブが、BiとPbがモル比で60:40の組成をなす合金からなること以外は、実施例1と同様の方法で二次電池を製造した。
【0050】
<実施例3>
正極タブが、BiとSnがモル比で50:50の組成をなす合金からなること以外は、実施例1と同様の方法で二次電池を製造した。
【0051】
<実施例4>
正極タブが、BiとSnがモル比で30:70の組成をなす合金からなること以外は、実施例1と同様の方法で二次電池を製造した。
【0052】
<比較例1>
正極タブ及び負極タブが、BiとPbがモル比で70:30の組成をなす合金からなること以外は、実施例1と同様の方法で二次電池を製造した。
【0053】
<比較例2>
正極タブ及び負極タブが、BiとPbがモル比で30:70の組成をなす合金からなること以外は、実施例1と同様の方法で二次電池を製造した。
【0054】
<比較例3>
正極タブが、BiとSnがモル比で20:80の組成をなす合金からなること以外は、実施例1と同様の方法で二次電池を製造した。
【0055】
<比較例4>
正極タブが、BiとSnがモル比で80:20の組成をなす合金からなること以外は、実施例1と同様の方法で二次電池を製造した。
【0056】
<比較例5>
正極タブ及び負極タブがBiのみからなること以外は、実施例1と同様の方法で二次電池を製造した。
【0057】
<比較例6>
正極タブがアルミニウムからなり、負極タブが銅からなること以外は、実施例1と同様の方法で二次電池を製造した。
【0058】
<実験例1>
実施例1〜4及び比較例1〜6で製造された二次電池の過充電による安全性テストのために、SOC 0%及び1Cの条件で、それぞれ6.3V CC/CVで充電を行って6.3Vの過充電状態を2時間持続し、その結果を下記の表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
表1を参照すると、実施例1〜4の二次電池の場合、過充電によるセル発火の危険性が高い摂氏200度以下で、ウッドメタル合金からなる正極タブが溶融されて断線させ、それによって二次電池の充電を中断し、結果的に、過充電によるセル発火を防止することがわかる。一方、実施例1〜4と異なる組成からなるウッドメタル合金を含む比較例1〜4の二次電池、Biのみをウッドメタルとして使用した比較例5の二次電池、及びウッドメタルが含まれていない比較例6の二次電池は、正極タブの断線なしにセル発火が行われたことがわかる。
【0061】
<実験例2>
実施例1〜4及び比較例1〜6で製造された二次電池の短絡(Short Circuit)による安全性テストのために、SOC100%、常温で1ohm以下の条件で、二次電池を0.1V以下で短絡させ、その結果を下記の表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】
表2を参照すると、実施例1〜4の二次電池は、外部短絡された場合、セル発火の危険性が高い摂氏200度以下で、ウッドメタル合金からなる正極タブが溶融されて断線させ、それによってセル発火を防止できることがわかる。一方、比較例1〜6の二次電池は、正極タブ又は負極タブが溶融されないため、セル発火を防止できないことがわかる。
【0064】
本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、上記内容に基づいて本発明の範疇内で様々な応用及び変形を行うことが可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上で説明したように、本発明に係る二次電池は、電極端子を溶融点の低いウッドメタル(wood’s metal)で構成することによって、二次電池に異常温度の発生時に、ウッドメタルが溶融されて電極端子の通電機能を喪失するので、二次電池の安全性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0066】
100 二次電池
110 電極組立体
112 電極リード
114 電極リード
115 絶縁フィルム
116 負極電極タブ
117 正極電極タブ
120 パウチ型ケース
図1