【課題を解決するための手段】
【0016】
したがって、本発明の非制限的な例において、正極活物質の製造方法は、下記化学式(1)で表される化合物から選択された1つ以上のリチウム遷移金属酸化物の予備活性化(pre−activation)過程、及び予備活性化されたリチウム遷移金属酸化物の表面改質過程を含むことを特徴とする:
(1−x)LiM’O
2−yA
y −xLi
2MnO
3−y’A
y’(1)
前記式中、
M’は、Mn
aM
bであり、
Mは、Ni、Ti、Co、Al、Cu、Fe、Mg、B、Cr、Zr、Zn及び2周期の遷移金属からなる群から選択される1つ以上であり、
Aは、PO
4、BO
3、CO
3、F及びNO
3のアニオンからなる群から選択される1つ以上であり、
0<x<1、0<y≦0.02、0<y’≦0.02、0.5≦a≦1.0、0≦b≦0.5、a+b=1である。
【0017】
前記予備活性化過程は、化学的脱リチウム化(delithiation)過程を含むことができる。
【0018】
前記化学的脱リチウム化過程は、BF
4塩、アンモニウム塩などからなるリチウム吸着剤と反応させる過程であってもよい。前記予備活性化過程は、高温脱リチウム化過程を含むことができる。
【0019】
前記高温脱リチウム化過程は、前記リチウム遷移金属酸化物を250℃以上の温度で熱処理する過程を含むことができる。
【0020】
前記高温脱リチウム化過程は、前記リチウム遷移金属酸化物を300℃以上の温度で熱処理する過程を含むことができる。
【0021】
前記高温脱リチウム化過程は、前記リチウム遷移金属酸化物を400℃以上の温度で熱処理する過程を含むことができる。
【0022】
前記表面改質過程は、原子層蒸着法(ALD)、機械的ミリング法、湿式法、化学的蒸着(CVD)、プラズマ化学的蒸着法(PCVD)からなる群から選択された1つ以上の方法で行うことができる。
【0023】
本発明はまた、前記製造方法により製造される正極活物質を提供することができる。
【0024】
また、前記正極活物質を含むことを特徴とする電池を提供することができる。
【0025】
前記電池は、一般に、正極、負極、前記正極と負極との間に介在する分離膜及びリチウム塩含有非水電解質で構成されており、リチウム二次電池のその他の成分について、以下で説明する。
【0026】
一般に、前記正極は、正極集電体上に正極活物質、導電材及びバインダーの混合物である電極合剤を塗布した後、乾燥して製造され、必要に応じて、前記混合物に充填剤をさらに添加することもある。
【0027】
前記正極活物質は、前記化学式1で表される電極活物質以外に、リチウムコバルト酸化物(LiCoO
2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO
2)などの層状化合物や、1つまたはそれ以上の遷移金属で置換された化合物;化学式Li
1+xMn
2−xO
4(ここで、xは0〜0.33である)、LiMnO
3、LiMn
2O
3、LiMnO
2などのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(Li
2CuO
2);LiV
3O
8、LiFe
3O
4、V
2O
5、Cu
2V
2O
7などのバナジウム酸化物;化学式LiNi
1−xM
xO
2(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、x=0.01〜0.3である)で表されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn
2−xM
xO
2(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、x=0.01〜0.1である)またはLi
2Mn
3MO
8(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZnである)で表されるリチウムマンガン複合酸化物;LiNi
xMn
2−xO
4で表されるスピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土金属イオンで置換されたLiMn
2O
4;ジスルフィド化合物;Fe
2(MoO
4)
3などを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
前記正極集電体は、一般に3〜500μmの厚さに製造される。このような正極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せずに高い導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどを使用することができる。集電体は、その表面に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの様々な形態が可能である。
【0029】
前記導電材は、通常、正極活物質を含んだ混合物の全重量を基準として1〜50重量%で添加される。このような導電材は、当該電池に化学的変化を誘発せずに導電性を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などを使用することができる。
【0030】
一方、前記弾性を有する黒鉛系物質が導電材として使用されてもよく、前記物質と共に使用されてもよい。
【0031】
前記バインダーは、活物質と導電材などの結合及び集電体に対する結合を助ける成分であって、通常、正極活物質を含む混合物の全重量を基準として1〜50重量%で添加される。このようなバインダーの例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、様々な共重合体などを挙げることができる。
【0032】
前記充填剤は、正極の膨張を抑制する成分として選択的に使用され、当該電池に化学的変化を誘発せずに繊維状材料であれば特に制限されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合体;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質が使用される。
【0033】
前記負極は、負極集電体上に負極活物質を塗布、乾燥及びプレスして製造され、必要に応じて、前記のような導電材、バインダー、充填剤などが選択的にさらに含まれてもよい。
【0034】
前記負極活物質は、例えば、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素;Li
xFe
2O
3(0≦x≦1)、Li
xWO
2(0≦x≦1)、Sn
xMe
1-xMe’
yO
z(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si、周期律表の1族、2族、3族元素、ハロゲン;0<x≦1、1≦y≦3、1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;ケイ素系合金;錫系合金;SnO、SnO
2、PbO、PbO
2、Pb
2O
3、Pb
3O
4、Sb
2O
3、Sb
2O
4、Sb
2O
5、GeO、GeO
2、Bi
2O
3、Bi
2O
4、Bi
2O
5などの金属酸化物;ポリアセチレンなどの導電性高分子;Li−Co−Ni系材料;チタン酸化物;リチウムチタン酸化物などを使用することができ、詳細には、炭素系物質及び/又はSiを含むことができる。
【0035】
前記負極集電体は、一般に3〜500μmの厚さに製造される。このような負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せずに導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム−カドミウム合金などを使用することができる。また、正極集電体と同様に、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの様々な形態で使用することができる。
【0036】
前記分離膜は、正極と負極との間に介在し、高いイオン透過度及び機械的強度を有する絶縁性の薄い薄膜が使用される。一般に、分離膜の気孔径は0.01〜10μmで、厚さは5〜300μmである。このような分離膜としては、例えば、耐化学性及び疎水性のポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマー;ガラス繊維またはポリエチレンなどで作られたシートや不織布などが使用される。電解質としてポリマーなどの固体電解質が使用される場合には、固体電解質が分離膜を兼ねることもできる。
【0037】
前記リチウム塩含有非水電解質は、非水電解質とリチウムからなっており、非水電解質としては、非水系有機溶媒、有機固体電解質、無機固体電解質などが使用されるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
前記非水系有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフラン(franc)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ホルム酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒を使用することができる。
【0039】
前記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリエジテーションリシン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合体などを使用することができる。
【0040】
前記無機固体電解質としては、例えば、Li
3N、LiI、Li
5NI
2、Li
3N−LiI−LiOH、LiSiO
4、LiSiO
4−LiI−LiOH、Li
2SiS
3、Li
4SiO
4、Li
4SiO
4−LiI−LiOH、Li
3PO
4−Li
2S−SiS
2などのLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸塩などを使用することができる。
【0041】
前記リチウム塩は、前記非水系電解質に溶解しやすい物質であって、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO
4、LiBF
4、LiB
10Cl
10、LiPF
6、LiCF
3SO
3、LiCF
3CO
2、LiAsF
6、LiSbF
6、LiAlCl
4、CH
3SO
3Li、(CF
3SO
2)
2NLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4フェニルホウ酸リチウム、イミドなどを使用することができる。
【0042】
また、前記リチウム塩含有非水電解質には、充放電特性、難燃性などの改善を目的として、例えば、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グリム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノン、N,N−置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2−メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどが添加されてもよい。場合によっては、不燃性を付与するために、四塩化炭素、三フッ化エチレンなどのハロゲン含有溶媒をさらに含ませることもでき、高温保存特性を向上させるために二酸化炭酸ガスをさらに含ませることもでき、FEC(Fluoro−Ethylene Carbonate)、PRS(Propene sultone)などをさらに含ませることができる。
【0043】
一具体例において、LiPF
6、LiClO
4、LiBF
4、LiN(SO
2CF
3)
2などのリチウム塩を、高誘電性溶媒であるEC又はPCの環状カーボネートと、低粘度溶媒であるDEC、DMC又はEMCの線状カーボネートとの混合溶媒に添加し、リチウム塩含有非水系電解質を製造することができる。
【0044】
本発明は、前記二次電池を単位電池として含む電池モジュール、前記電池モジュールを含む電池パック、及び前記電池パックを電源として含むデバイスを提供する。
【0045】
このとき、前記デバイスの具体的な例としては、電池的モーターによって動力を受けて動くパワーツール(power tool);電気自動車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle、HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(Plug−in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)などを含む電気車;電気自転車(E−bike)、電気スクーター(E−scooter)を含む電気二輪車;電気ゴルフカート(electric golf cart);電力貯蔵用システムなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。