特許第6204598号(P6204598)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6204598電極リード−電極タブ結合部保護用フィルム部材を含むパウチ型電池セル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204598
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】電極リード−電極タブ結合部保護用フィルム部材を含むパウチ型電池セル
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/34 20060101AFI20170914BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20170914BHJP
   H01M 2/30 20060101ALI20170914BHJP
   H01M 2/06 20060101ALI20170914BHJP
   H01M 2/26 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   H01M2/34 B
   H01M2/02 K
   H01M2/30 B
   H01M2/06 K
   H01M2/26 A
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-540791(P2016-540791)
(86)(22)【出願日】2014年8月6日
(65)【公表番号】特表2016-529683(P2016-529683A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】KR2014007260
(87)【国際公開番号】WO2015046744
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2016年3月2日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0113080
(32)【優先日】2013年9月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・フン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】テ・ユン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ミン・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ジフン・チョ
(72)【発明者】
【氏名】サン・ボン・ナム
【審査官】 井原 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−022534(JP,A)
【文献】 特開2006−073243(JP,A)
【文献】 特開2007−115678(JP,A)
【文献】 特開2009−181967(JP,A)
【文献】 特開2005−243524(JP,A)
【文献】 特開2005−019213(JP,A)
【文献】 特開平11−312514(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0124613(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2009−0017706(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/34
H01M 2/02
H01M 2/06
H01M 2/26
H01M 2/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質遮断性の金属層と熱融着性の第1樹脂層を含むラミネートシートの電池セルケースに電極組立体が内蔵されており、
前記電極組立体の電極タブが電極端子としての電極リードに接続された状態で、前記電極リードが電池セルケースの外部に突出しており、
前記第1樹脂層の熱融着により電池セルケースの外周面が密封されており、
前記第1樹脂層と同じ素材のフィルム部材が電極タブと電極リードの接続部位を覆っており、
前記電極リードと電池セルケースのシーリング部との間には絶縁フィルムが介在しており、前記フィルム部材は、長手方向(高さ方向)の上端が絶縁フィルムの少なくとも一部を覆うように付着されており、
前記第1樹脂層の素材は無延伸ポリプロピレン(CPP)を含むことを特徴とする、パウチ型電池セル。
【請求項2】
前記ラミネートシートは、前記金属層と第1樹脂層以外に、外部被覆層としての第2樹脂層をさらに含んでいることを特徴とする、請求項1に記載のパウチ型電池セル。
【請求項3】
前記フィルム部材は、電極タブと電極リードの接続部位のそれぞれに対して2つの接着フィルムからなっており、前記2つの接着フィルムは、接続部位を覆いながら互いに付着されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のパウチ型電池セル。
【請求項4】
前記フィルム部材は、電極タブと電極リードの接続部位のそれぞれに対して1つの接着フィルムからなっており、前記1つの接着フィルムが接続部位を覆うように付着されていることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載のパウチ型電池セル。
【請求項5】
前記フィルム部材の幅は、少なくとも電極タブと電極リードの結合部位の幅以上の大きさに形成されていることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載のパウチ型電池セル。
【請求項6】
前記フィルム部材の幅は、電極タブと電極リードの結合部位の幅に対して100%〜200%の大きさを有することを特徴とする、請求項に記載のパウチ型電池セル。
【請求項7】
前記電極リードと電池セルケースのシーリング部との間には絶縁フィルムが介在しており、前記フィルム部材は、長手方向(高さ方向)の上端が絶縁フィルムの全部を覆うように付着されていることを特徴とする、請求項1〜6の何れか一項に記載のパウチ型電池セル。
【請求項8】
前記フィルム部材の厚さは40〜60μmであることを特徴とする、請求項1〜7の何れか一項に記載のパウチ型電池セル。
【請求項9】
前記フィルム部材は、第1樹脂層と同じ素材の基材上に接着剤層が付加されている構造を有することを特徴とする、請求項1〜8の何れか一項に記載のパウチ型電池セル。
【請求項10】
前記接着剤層はアクリル系樹脂で構成されていることを特徴とする、請求項に記載のパウチ型電池セル。
【請求項11】
前記基材の厚さは35〜45μmであり、前記接着剤層の厚さは5〜15μmであることを特徴とする、請求項に記載のパウチ型電池セル。
【請求項12】
前記パウチ型電池セルはリチウム二次電池であることを特徴とする、請求項1〜11の何れか一項に記載のパウチ型電池セル。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか一項に記載の電池セルを1つ以上含むことを特徴とする、電池パック。
【請求項14】
請求項13に記載の電池パックを含むことを特徴とする、デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極リード−電極タブ結合部保護用フィルム部材を含むパウチ型電池セルに関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル機器に対する技術開発及び需要の増加に伴い、二次電池の需要も急増しており、その中でも、エネルギー密度と作動電圧が高くて、保存と寿命特性に優れたリチウム二次電池は、各種モバイル機器はもとより、様々な電子製品のエネルギー源として広く用いられている。
【0003】
リチウム二次電池は、その外形によって円筒形電池、角形電池、パウチ型電池などに大別され、電解液の形態によってリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、リチウムポリマー電池などに分類されることもある。
【0004】
モバイル機器の小型化に対する最近の傾向により、厚さの薄い角形電池、パウチ型電池に対する需要が増加しており、特に、形状の変形が容易であり、製造コストが低く、重量が小さいパウチ型電池への関心が高い実情である。
【0005】
一般に、パウチ型電池は、樹脂層と金属層を含んで構成されたラミネートシートのパウチ型ケースの内部に電極組立体と電解質が密封されている電池のことをいう。電池ケースに収納される電極組立体は、ジェリーロール型(巻き取り型)、スタック型(積層型)、または複合型(スタック/フォールディング)の構造からなっていてもよい。
【0006】
図1には、スタック型電極組立体を含んでいるパウチ型電池セルの構造が模式的に示されている。
【0007】
図1を参照すると、パウチ型電池セル10は、パウチ型電池ケース20の内部に、正極、負極及びこれらの間に配置される分離膜からなる電極組立体30が、その正極及び負極タブ31,32と電気的に接続される2つの電極リード40,41が外部に露出するように密封されている構造からなることができる。
【0008】
電池ケース20は、電極組立体30が装着され得る凹状の収納部23を含むケース本体21と、そのような本体21に一体に連結されているカバー22とからなることができる。
【0009】
図示されてはいないが、電池ケースは、電極組立体が装着され得る凹状の収納部を含む下部ケースと、そのような下部ケースの蓋であって、電極組立体を密封する上部ケースとからなっていてもよい。
【0010】
電池ケース20は、ラミネートシートからなっており、物質の貫通を防止する遮断性金属層20a、及び密封のための内側樹脂層20bで構成され得る。
【0011】
スタック型電極組立体30は、多数の正極タブ31及び多数の負極タブ32がそれぞれ融着されて電極リード40,41に共に結合され得る。また、ケース本体21の上端部24とカバー22の上端部とが熱融着機(図示せず)によって熱融着されるとき、そのような熱融着機と電極リード40,41との間にショートが発生することを防止し、電極リード40,41と電池ケース20との密封性を確保するために、電極リード40,41の上下面に絶縁フィルム50を付着することができる。
【0012】
しかし、このようなパウチ型電池セルは、缶型電池などに比べて外部衝撃に弱く、電極タブ及び電極リードが結合された部位に外力が印加されたり、電池ケースを構成するラミネートシートの内側樹脂層の厚さが小さい場合に、絶縁抵抗が小さくなったり、ショートが発生したりするという問題がある。また、電極リードに絶縁フィルムを付着するとしても、この部位に漏水が発生するという欠点がある。
【0013】
一方、一部の先行技術には、電極リード及び電極タブが結合された部位を保護するために保護テープを付着した構造の電池セルに関する技術が開示されているが、このような構造は、保護テープが付着された部位が、電池ケースが熱融着によりシールされるとき、前記保護テープが熱によって干渉が発生して変形又は破損することによって、絶縁不良が発生するという問題を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記のような従来技術の問題点及び過去から要請されてきた技術的課題を解決することを目的とする。
【0015】
本発明の目的は、電池セルの電極リード−電極タブ接続部位をフィルム部材で覆う構造を用いることによって、絶縁抵抗の減少、漏水、高温によるスウェリングなどの問題を解決して安全性を向上させる構造のパウチ型電池セルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このような目的を達成するための本発明に係るパウチ型電池セルは、
物質遮断性の金属層と熱融着性の第1樹脂層を含むラミネートシートの電池セルケースに電極組立体が内蔵されており、
前記電極組立体の電極タブが電極端子としての電極リードに接続された状態で、前記電極リードが電池セルケースの外部に突出しており、
前記第1樹脂層の熱融着により電池セルケースの外周面が密封されており、
前記第1樹脂層と同じ素材のフィルム部材が電極タブと電極リードの接続部位を覆っている構造を含むことができる。
【0017】
すなわち、本発明に係るパウチ型電池セルは、電極タブと電極リードの接続部位にフィルム部材を覆う構造であって、前記接続部位を保護する構造を含んでいる。このとき、前記フィルム部材を前記ラミネートシートの熱融着性の第1樹脂層の素材と同じ素材で形成させることによって、電池セルケースの熱融着時に干渉が生じても、絶縁、漏水、高温によるスウェリングなどの問題が発生することを防止する構造となっている。
【0018】
前記ラミネートシートは、前記金属層と第1樹脂層以外にも、外部被覆層としての第2樹脂層をさらに含む構造で形成することができる。前記第2樹脂層は、前記金属層を外部から絶縁させ、耐久性又は剛性に優れた素材を使用することによって外部から電池ケースを保護する構造をなすことができる。
【0019】
一具体例において、前記第1樹脂層の素材は、電気絶縁性素材であり、電池の作動に影響を与えず、熱融着可能な素材であれば特に限定されず、例えば、剛性、耐繰り返し疲労特性、及び耐化学性に優れたポリプロピレン系樹脂層であってもよい。
【0020】
具体的に、前記第1樹脂層は、ポリプロピレン系樹脂の中でも、熱融着性に優れた無延伸ポリプロピレン(CPP)を含む構造で構成することができる。したがって、前記フィルム部材も無延伸ポリプロピレンを含む構造で形成することができる。
【0021】
前記フィルム部材は、電極タブと電極リードの接続部位を覆う構造であり、その形状が限定されず、一例として、電極タブと電極リードの接続部位のそれぞれに対して2つの接着フィルムからなっており、前記2つの接着フィルムは、接続部位を覆いながら互いに付着されている構造からなることができる。
【0022】
他の例として、前記フィルム部材は、電極タブと電極リードの接続部位のそれぞれに対して1つの接着フィルムからなっており、前記1つの接着フィルムが接続部位を覆うように付着されている構造からなってもよい。
【0023】
前記フィルム部材の大きさは、電極タブと電極リードの結合部位を覆う大きさであり、前記フィルム部材の幅は、少なくとも電極タブと電極リードの結合部位の幅以上の大きさに形成され得る。
【0024】
具体的に、前記フィルム部材の幅は、電極タブと電極リードの結合部位の幅に対して100%〜200%の大きさを有することができる。すなわち、前記フィルム部材の幅は、電極タブと電極リードの結合部位の幅に対して100%〜200%の範囲で形成され得、前記電極タブと電極リードの結合部位を完全に覆う構造で形成され得る。
【0025】
このようなフィルム部材は、その長手方向(高さ方向)の下端が電極タブと電極リードの結合部位の下端と一致するか、または前記結合部位の下端よりも下向きに延びた構造で結合部位に付着されてもよい。また、前記フィルム部材は、前記電極タブと電極リードの結合部位を覆いながら、フィルム部材の長手方向(高さ方向)の上端は前記電極タブと電極リードの結合部位の上端よりも上部に位置した構造で形成されてもよい。このような構造の具体的な例を挙げると、次の通りである。
【0026】
第一の例において、前記電極リードと電池セルケースのシーリング部との間には絶縁フィルムが介在しており、前記フィルム部材は、長手方向(高さ方向)の上端が絶縁フィルムの一部を覆うように付着されている構造で形成され得る。
【0027】
第二の例において、前記電極リードと電池セルケースのシーリング部との間には絶縁フィルムが介在しており、前記フィルム部材は、長手方向(高さ方向)の上端が絶縁フィルムの全部を覆うように付着されている構造で形成され得る。
【0028】
第三の例において、前記電極リードと電池セルケースのシーリング部との間には絶縁フィルムが介在しており、前記フィルム部材は、長手方向(高さ方向)の上端が絶縁フィルムの下端と接するように付着されている構造で形成され得る。
【0029】
前記フィルム部材の厚さは40〜60μmで形成されてもよい。前記フィルム部材の厚さが厚すぎると、熱収縮時にテンションが大きく作用して付着強度を弱化させることがあり、逆に、厚さが薄すぎると、物性が小さくなるため好ましくない。
【0030】
一方、前記フィルム部材は、接着性を向上させるために、第1樹脂層と同じ素材の基材上に接着剤層が付加されてもよい。このような接着剤層は、電池セルの内部の電解液と反応しないながらも接着性を提供する素材であれば特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂で構成されてもよい。
【0031】
前記基材と接着剤層は、基材の物性及び接着剤層による接着性能を効果的に発揮するための適切な厚さに形成することができる。具体的な例として、上記で言及したように、前記フィルム部材の厚さは40〜60μmで形成されてもよく、このとき、前記基材の厚さは35〜45μmで形成されてもよく、前記接着剤層の厚さは5〜15μmで形成されてもよい。
【0032】
前記電池セルは、リチウムイオン電池またはリチウムイオンポリマー電池セルであってもよいが、これらのみに限定されないことは勿論である。
【0033】
本発明はまた、前記電池セルを1つ以上含むことを特徴とする電池パックを提供する。具体的に、前記電池パックは、前記電池セルが一つ装着されている構造、または前記電池セルが多数個直列及び/又は並列に接続されている高出力または大容量の構造で形成されてもよい。
【0034】
本発明はまた、前記電池パックを含むデバイスを提供する。前記デバイスは、携帯電話、携帯用コンピュータ、スマートフォン、タブレットPC、スマートパッド、ネットブック、LEV(Light Electronic Vehicle)、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、及び電力貯蔵装置などから選択されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】従来のパウチ型電池セルの分解斜視図である。
図2】本発明の一実施例に係る電極タブ−電極リード結合部にフィルム部材が付加された構造を示す模式図である。
図3図2のA部位の拡大図である。
図4図2の電池セルケースの断面図及びフィルム部材の断面図である。
図5】本発明の他の実施例に係る電極タブ−電極リード結合部にフィルム部材が付加された構造を示す模式図である。
図6】本発明の他の実施例に係る電極タブ−電極リード結合部にフィルム部材が付加された構造を示す模式図である。
図7】本発明の他の実施例に係る電極タブ−電極リード結合部にフィルム部材が付加された構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下では、本発明の実施例に係る図面を参照して説明するが、これは、本発明のより容易な理解のためのものであり、本発明の範疇がそれによって限定されるものではない。
【0037】
以下、図面では、説明の便宜のため、電池セルケースの内部の電極組立体、及び電極タブと電極リードの結合部位を中心に示した。
【0038】
図2には、本発明の一実施例に係る電極タブ−電極リード結合部にフィルム部材が付加された構造の模式図が示されており、図3には、図2のA部位の拡大図が示されており、図4には、図2の電池セルケースの断面図及びフィルム部材の断面図が示されている。
【0039】
これら図面を参照すると、パウチ型電池セル100は、電池セルケース120に電極組立体110が内蔵されている構造となっている。ラミネートシートの電池セルケース120は、金属層127と第1樹脂層128を含んでおり、第1樹脂層128の熱融着により電池セルケース120の外周面が密封される構造となっている。
【0040】
電極組立体110の電極タブ112は電極リード130に接続された状態で、電極リード130が電池セルケース120の外部に突出しており、電極タブ112と電極リード130の接続部位はフィルム部材140が覆う構造で付着されているので、電極タブ112と電極リード130の接続部位は、フィルム部材140によって保護される構造となっている。
【0041】
ラミネートシートは、物質遮断性の金属層127、熱融着性の第1樹脂層128、及び外部被覆層としての第2樹脂層129を含む構造で構成されている。第2樹脂層129は、金属層127を外部から絶縁させ、耐久性又は剛性に優れた素材で形成されて外部から電池セルケース120を保護する構造となっている。
【0042】
第1樹脂層128は、耐繰り返し疲労特性、及び耐化学性に優れたポリプロピレン系樹脂層であって、無延伸ポリプロピレン(CPP)を含む構造で構成されている。
【0043】
フィルム部材140は、無延伸ポリプロピレン層を含んでおり、電極タブ112と電極リード130の接続部位Sを覆う大きさに形成されており、電極タブ112と電極リード130の接続部位Sにそれぞれ付着されている。このようなフィルム部材140は、電極タブ112と電極リード130の接続部位Sのそれぞれに対して2つの接着フィルムからなっており、2つの接着フィルムは、接続部位Sを覆いながら互いに付着されている。
【0044】
また、フィルム部材140は、接着性を向上させるために、無延伸ポリプロピレン層142上にアクリル系樹脂からなる接着剤層144が形成されている。このようなフィルム部材140の厚さ(W)は50μmの大きさを有し、無延伸ポリプロピレン層142の厚さは40μm、アクリル系接着層144の厚さは10μmの大きさに形成されている。
【0045】
図5及び図7には、本発明の他の実施例に係る電極タブ−電極リード結合部にフィルム部材が付加された構造を示す模式図が示されている。
【0046】
これら図面を参照すると、フィルム部材は、その長手方向(高さ方向)の下端が電極タブと電極リードの結合部位の下端を覆うように付着されており、フィルム部材の長手方向(高さ方向)の上端は電極タブと電極リードの結合部位の上端よりも上部に位置した構造で形成されている。
【0047】
まず、図5を参照すると、電極リード130と電池セルケースのシーリング部との間に位置する絶縁フィルム150が介在しており、フィルム部材240は、長手方向(高さ方向)の上端が絶縁フィルム150の一部を覆うように付着されている構造で形成されている。
【0048】
図6を参照すると、電極リード130と電池セルケースのシーリング部との間に位置する絶縁フィルム150が介在しており、前記フィルム部材340は、長手方向(高さ方向)の上端が絶縁フィルム150の下端と接するように付着されている構造で形成されている。
【0049】
図7を参照すると、電極リード130と電池セルケースのシーリング部との間に位置する絶縁フィルム150が介在しており、前記フィルム部材440は、長手方向(高さ方向)の上端が絶縁フィルム150の全部を覆うように付着されている構造で形成されている。
【0050】
<実験例1>
【0051】
フィルム部材の素材として無延伸ポリプロピレン(CPP)を使用し、図3のように電極タブ−電極リード接続部位Sを覆うようにフィルム部材を付着した構造(付着位置a)、図5のように電極タブ−電極リード接続部位Sを覆うようにフィルム部材を付着した構造(付着位置b)、図6のように電極タブ−電極リード接続部位Sを覆うようにフィルム部材を付着した構造(付着位置c)、及び図7のように電極タブ−電極リード接続部位Sを覆うようにフィルム部材を付着した構造(付着位置d)をそれぞれ製造し、それぞれ絶縁抵抗、漏水、及び高温高湿環境でのスウェリングテストを行った。
【0052】
<比較例1>
【0053】
フィルム部材の素材としてポリイミド(PI)を使用し、図3のように電極タブ−電極リード接続部位Sを覆うようにフィルム部材を付着した構造(付着位置a)、図5のように電極タブ−電極リード接続部位Sを覆うようにフィルム部材を付着した構造(付着位置b)、図6のように電極タブ−電極リード接続部位Sを覆うようにフィルム部材を付着した構造(付着位置c)、及び図7のように電極タブ−電極リード接続部位Sを覆うようにフィルム部材を付着した構造(付着位置d)をそれぞれ製造し、それぞれ絶縁抵抗、漏水、及び高温高湿環境でのスウェリングテストを行った。
【0054】
<比較例2>
【0055】
フィルム部材の素材として2軸延伸ポリプロピレン(OPP)を使用し、図3のように電極タブ−電極リード接続部位Sを覆うようにフィルム部材を付着した構造(付着位置a)、図5のように電極タブ−電極リード接続部位Sを覆うようにフィルム部材を付着した構造(付着位置b)、図6のように電極タブ−電極リード接続部位Sを覆うようにフィルム部材を付着した構造(付着位置c)、及び図7のように電極タブ−電極リード接続部位Sを覆うようにフィルム部材を付着した構造(付着位置d)をそれぞれ製造し、それぞれ絶縁抵抗、漏水、及び高温高湿環境でのスウェリングテストを行った。
【0056】
そして、実験例1、比較例1、及び比較例2の実験結果を、下記表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1を参照すると、フィルム部材としてポリイミド及び2軸延伸ポリプロピレンを使用した構造は、絶縁フィルムを一部または全部覆うように付着させた場合、絶縁抵抗、漏水、スウェリングテストの結果、危険または不良であることが確認された。
【0059】
また、フィルム部材としてポリイミドを使用した場合、フィルム部材の上端が絶縁フィルムの下端と接するように付着させた場合、絶縁抵抗のテストの結果、不良であることが確認された。
【0060】
しかし、フィルム部材として無延伸ポリプロピレンを使用した構造の場合、付着される位置及び範囲に関係なく、絶縁抵抗、漏水、スウェリングテストにおいて良好判定であることが確認された。
【0061】
本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、上記内容に基づいて本発明の範疇内で様々な応用及び変形を行うことが可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上で説明したように、本発明に係るパウチ型電池セルは、電極タブと電極リードの接続部位にフィルム部材を覆う構造を含むことによって、前記フィルム部材によって接続部位を保護する効果を提供する。
【0063】
また、本発明に係るパウチ型電池セルは、前記フィルム部材を前記ラミネートシートの熱融着性の第1樹脂層の素材と同じ素材で形成させることによって、電池セルケースの熱融着時に干渉が生じても、絶縁、漏水、高温によるスウェリングなどの問題が発生することを防止し、安全性を向上させる効果を提供する。
【符号の説明】
【0064】
100 パウチ型電池セル
110 電極組立体
112 電極タブ
120 電池セルケース
127 金属層
128 第1樹脂層
130 電極リード
140 フィルム部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7