(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板を保持する基板ホルダと、アノードと、めっき液を貯留し前記アノードと前記基板ホルダに保持された前記基板とを収容するめっきセルと、前記アノードと前記基板との間に配置され、前記めっきセルを、前記アノードを収容するアノード室と前記基板ホルダを収容するカソード室とに仕切る電場調整板と、前記めっきセルの側板に隣接して配置されたオーバーフロー槽とを備えためっき装置のめっき方法において、
前記基板を前記基板ホルダにより保持し、
前記カソード室内のめっき液を、前記側板および前記電場調整板を越流させて前記オーバーフロー槽および前記アノード室に流入させながら、前記基板ホルダに保持された前記基板を前記カソード室内の前記めっき液に浸漬させ、その後、
前記アノードと前記基板との間に電圧を印加して前記基板をめっきし、
前記基板を前記カソード室内の前記めっき液に浸漬させるときの前記基板ホルダの下降速度は、200mm/sec〜400mm/secの範囲内であることを特徴とするめっき方法。
基板を保持する基板ホルダと、アノードと、めっき液を貯留し前記アノードと前記基板ホルダに保持された前記基板とを収容する第1のめっきセルと、前記アノードと前記基板との間に配置され、前記第1のめっきセルを、前記アノードを収容するアノード室と前記基板ホルダを収容するカソード室とに仕切る電場調整板と、前記第1のめっきセルの側板に隣接して配置されたオーバーフロー槽と、前記第1のめっきセルに隣接して配置された第2のめっきセルと、前記第1のめっきセルと前記第2のめっきセルとを仕切る仕切り壁とを備えためっき装置のめっき方法において、
前記カソード室内のめっき液を、前記側板、前記電場調整板、および前記仕切り壁を越流させて前記オーバーフロー槽、前記アノード室、および前記第2のめっきセルに流入させながら前記基板ホルダに保持された前記基板を前記カソード室内の前記めっき液に浸漬させ、その後、
前記アノードと前記基板との間に電圧を印加して前記基板をめっきし、
前記基板を前記カソード室内の前記めっき液に浸漬させるときの前記基板ホルダの下降速度は、200mm/sec〜400mm/secの範囲内であることを特徴とするめっき方法。
【背景技術】
【0002】
TAB(Tape Automated Bonding)やフリップチップにおいては、配線が形成された半導体チップの表面の所定箇所(電極)に金、銅、はんだ、或いはニッケル、更にはこれらを多層に積層した突起状接続電極(バンプ)を形成し、このバンプを介して基板電極やTAB電極と電気的に接続することが広く行われている。このバンプの形成方法としては、電気めっき法、蒸着法、印刷法、ボールバンプ法といった種々の手法がある。最近では、半導体チップのI/O数の増加、細ピッチ化に伴い、微細化が可能で性能が比較的安定している電気めっき法が多く用いられるようになってきている。
【0003】
電気めっき法は、基板の表面(被めっき面)を下向きにして水平に置き、めっき液を下から噴き上げてめっきを施す噴流式またはカップ式と、めっき槽の中に基板を垂直に立て、めっき液をめっき槽の下から注入しオーバーフローさせつつ基板をめっき液中に浸漬させてめっきを施すディップ式に大別される。ディップ方式を採用した電気めっき法は、めっきの品質に悪影響を与える泡の抜けが良く、フットプリントが小さいばかりでなく、ウェハサイズの変更に容易に対応できるといった利点を有している。このため、埋込み穴の寸法が比較的大きく、めっきにかなりの時間を要するバンプめっきに適していると考えられる。
【0004】
従来のめっき装置について、
図16および
図17を参照して説明する。
図16は従来のめっき装置を示す断面図である。
図17は
図16に示すめっき槽200の部分斜視図である。
図16および
図17に示すように、めっき装置は、ウェハなどの基板Wをめっきするめっき槽200と、基板Wを着脱自在に保持する基板ホルダ202とを備えている。めっき槽200は、内部にめっき液を保持する複数のめっきセル204と、これらの複数のめっきセル204を内部に収容するオーバーフロー槽206とを備えている。それぞれのめっきセル204は仕切り壁226によって仕切られている。
【0005】
側板224をオーバーフローしためっき液は、オーバーフロー槽206内に流入するようになっている。オーバーフロー槽206内に流入しためっき液は、めっき液循環ライン208を通ってめっきセル204内に戻される。
【0006】
基板Wを保持した基板ホルダ202は、図示しない搬送装置によってめっきセル204の上方の所定位置に搬送され、その後、カソード室222(後述する)内のめっき液に浸漬される。めっき液中に浸漬された基板Wに対向する位置には、アノードホルダ210に保持されたアノード212が配置されている。アノード212および基板Wは、電源214に電気的に接続され、基板Wとアノード212との間に電流が流れることで基板Wの表面に金属膜が形成される。
【0007】
基板Wとアノード212との間には、基板W上の電位分布を調整するための開口218aを有した電場調整板(レギュレーションプレート)218が配置されている。電場調整板218は、めっきセル204の内部をアノード室220とカソード室222とに仕切っている。電場調整板218と基板Wとの間には、基板Wの表面と平行に往復運動してめっき液を攪拌するパドル216が配置されている。めっき液をパドル216で攪拌することで、十分な金属イオンを基板Wの表面に均一に供給することができる。
【0008】
基板ホルダ202がカソード室222内のめっき液に浸漬されるとき、
図17の矢印に示すように、めっき液は側板224を越えてあふれ出し、オーバーフロー槽206に流入する。オーバーフロー槽206内に流入しためっき液は、めっき液循環ライン208を通ってめっきセル204内に戻される。
【0009】
基板処理のタクトタイムを短縮するために、基板Wを保持した基板ホルダ202を高速でカソード室222に投入することが好ましい。しかしながら、基板ホルダ202の下降速度が高すぎると、カソード室222内のめっき液の液面レベルが急激に上昇して大量のめっき液がオーバーフロー槽206に流入する。その結果、めっき液がオーバーフロー槽206からこぼれてしまい、めっき装置が汚染されることがある。
【0010】
また、基板ホルダ202を高速でカソード室222に投入すると、基板ホルダ202がカソード室222内のめっき液を跳ね散らし、めっき装置の腐食や汚染を引き起こすことがある。従って、基板ホルダ202のカソード室222への投入速度は制限せざるを得ず、結果的にスループットに制限を与える一因になっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、基板処理のタクトタイムを短縮することができ、スループットを向上することができるめっき装置およびめっき方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、基板を保持する基板ホルダと、アノードと、めっき液を貯留し、前記アノードと前記基板を保持した前記基板ホルダとを収容し、上部に開口を有するめっきセルと、前記アノードと前記基板との間に配置され、前記めっきセルを、前記アノードを収容するアノード室と前記基板ホルダを収容するカソード室とに仕切る電場調整板と、前記めっきセルの側板に隣接して配置されたオーバーフロー槽と
、前記基板を保持した前記基板ホルダを下降させて前記カソード室内の前記めっき液に浸漬させ、前記基板ホルダを前記カソード室から引き上げるトランスポータとを備え、前記めっきセルは、底板と、前記めっきセルの側面を構成する前記側板および仕切り壁とを有しており、前記仕切り壁は前記側板よりも高く、前記側板は、前記基板を保持した前記基板ホルダを前記カソード室内のめっき液に浸漬させるときに、前記カソード室内のめっき液が越流して前記オーバーフロー槽へ流入する
高さを有する第1の越流堰を構成し、前記電場調整板は、前記基板を保持した前記基板ホルダを前記カソード室内のめっき液に浸漬させるときに、前記カソード室内のめっき液が越流して前記アノード室へ流入する
高さを有する第2の越流堰を構成し、前記第2の越流堰は、前記第1の越流堰よりも15mm〜25mm高
く、前記トランスポータは、前記基板ホルダを200mm/sec〜400mm/secの速度で前記カソード室内に下降させ、前記基板ホルダを25mm/sec〜150mm/secの速度で前記カソード室から上昇させることを特徴とするめっき装置である。
【0014】
本発明の好ましい態様は、前記めっきセルは第1のめっきセルであり、前記めっき装置は、該第1のめっきセルに隣接する第2のめっきセルをさらに備え、前記仕切り壁は、前記第1のめっきセルと前記第2のめっきセルとを仕切っており、前記基板を保持した前記基板ホルダを前記カソード室内のめっき液に浸漬させるときに、前記カソード室内のめっき液が越流して前記第2のめっきセルへ流入する
高さを有する第3の越流堰を構成し、前記第3の越流堰は、前記第1の越流堰よりも15mm〜25mm高いことを特徴とする
。
【0015】
本発明の好ましい態様は、前記基板ホルダの下端部はテーパー面から構成されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記基板ホルダの下端部は先の尖った形状を有することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記第2の越流堰の上端には前記めっき液を前記アノード室に流入させるための切り欠き部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
本発明の他の態様は、基板を保持する基板ホルダと、アノードと、めっき液を貯留し前記アノードと前記基板ホルダに保持された前記基板とを収容するめっきセルと、前記アノードと前記基板との間に配置され、前記めっきセルを、前記アノードを収容するアノード室と前記基板ホルダを収容するカソード室とに仕切る電場調整板と、前記めっきセルの側板に隣接して配置されたオーバーフロー槽とを備えためっき装置のめっき方法において、前記基板を前記基板ホルダにより保持し、前記カソード室内のめっき液を、前記側板および前記電場調整板を越流させて前記オーバーフロー槽および前記アノード室に流入させながら、前記基板ホルダに保持された前記基板を前記カソード室内の前記めっき液に浸漬させ、その後、前記アノードと前記基板との間に電圧を印加して前記基板をめっき
し、前記基板を前記カソード室内の前記めっき液に浸漬させるときの前記基板ホルダの下降速度は、200mm/sec〜400mm/secの範囲内であることを特徴とする。
【0017】
本発明の
さらに他の態様は、
基板を保持する基板ホルダと、アノードと、めっき液を貯留し前記アノードと前記基板ホルダに保持された前記基板とを収容するめっきセルと、前記アノードと前記基板との間に配置され、前記めっきセルを、前記アノードを収容するアノード室と前記基板ホルダを収容するカソード室とに仕切る電場調整板と、前記めっきセルの側板に隣接して配置されたオーバーフロー槽とを備えためっき装置のめっき方法において、前記基板を前記基板ホルダにより保持し、前記カソード室内のめっき液を、前記側板および前記電場調整板を越流させて前記オーバーフロー槽および前記アノード室に流入させながら、前記基板ホルダに保持された前記基板を前記カソード室内の前記めっき液に浸漬させ、その後、前記アノードと前記基板との間に電圧を印加して前記基板をめっきし、前記基板のめっき後に前記基板を前記カソード室内の前記めっき液から引き上げるときの前記基板ホルダの上昇速度は、25mm/sec〜150mm/secの範囲内であることを特徴とする。
【0018】
本発明のさらに他の態様は、基板を保持する基板ホルダと、アノードと、めっき液を貯留し前記アノードと前記基板ホルダに保持された前記基板とを収容する第1のめっきセルと、前記アノードと前記基板との間に配置され、前記第1のめっきセルを、前記アノードを収容するアノード室と前記基板ホルダを収容するカソード室とに仕切る電場調整板と、前記第1のめっきセルの側板に隣接して配置されたオーバーフロー槽と、前記第1のめっきセルに隣接して配置された第2のめっきセルと、前記第1のめっきセルと前記第2のめっきセルとを仕切る仕切り壁とを備えためっき装置のめっき方法において、前記カソード室内のめっき液を、前記側板、前記電場調整板、および前記仕切り壁を越流させて前記オーバーフロー槽、前記アノード室、および前記第2のめっきセルに流入させながら前記基板ホルダに保持された前記基板を前記カソード室内の前記めっき液に浸漬させ、その後、前記アノードと前記基板との間に電圧を印加して前記基板をめっき
し、前記基板を前記カソード室内の前記めっき液に浸漬させるときの前記基板ホルダの下降速度は、200mm/sec〜400mm/secの範囲内であることを特徴とする。
【0019】
本発明の
さらに他の態様は、
基板を保持する基板ホルダと、アノードと、めっき液を貯留し前記アノードと前記基板ホルダに保持された前記基板とを収容する第1のめっきセルと、前記アノードと前記基板との間に配置され、前記第1のめっきセルを、前記アノードを収容するアノード室と前記基板ホルダを収容するカソード室とに仕切る電場調整板と、前記第1のめっきセルの側板に隣接して配置されたオーバーフロー槽と、前記第1のめっきセルに隣接して配置された第2のめっきセルと、前記第1のめっきセルと前記第2のめっきセルとを仕切る仕切り壁とを備えためっき装置のめっき方法において、前記カソード室内のめっき液を、前記側板、前記電場調整板、および前記仕切り壁を越流させて前記オーバーフロー槽、前記アノード室、および前記第2のめっきセルに流入させながら前記基板ホルダに保持された前記基板を前記カソード室内の前記めっき液に浸漬させ、その後、前記アノードと前記基板との間に電圧を印加して前記基板をめっきし、前記基板のめっき後に前記基板を前記カソード室内の前記めっき液から引き上げるときの前記基板ホルダの上昇速度は、25mm/sec〜150mm/secの範囲内であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、基板を保持した基板ホルダを高速でカソード室に投入するとき、カソード室内のめっき液は側板(第1の越流堰)を越流してオーバーフロー槽に流入すると同時に、電場調整板(第2の越流堰)を越流してアノード室にも流入する。したがって、カソード室内のめっき液の液面レベルの急上昇が防止され、めっき液がオーバーフロー槽からこぼれることが防止される。このように、基板ホルダを高速でカソード室に投入することができるので、結果として、基板処理のタクトタイムを短縮することができ、めっき装置のスループットを向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1乃至
図15において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係るめっき装置を模式的に示す平面図である。
図2は
図1に示すめっき槽の断面図である。
図1に示すように、このめっき装置は、装置フレーム1と、ウェハ等の基板を収納したカセットを搭載する2台のロードポート2と、めっき装置の動作を制御する制御部3とを備えている。さらに、めっき装置は、基板のオリエンテーションフラットまたはノッチの位置を所定の方向に合わせるアライナ4と、めっき処理後の基板を高速回転させて乾燥させるスピン・リンス・ドライヤ(SRD)6と、基板ホルダ8(
図4乃至
図7参照)が水平に載置されるテーブル10と、基板を搬送する基板搬送ロボット12とを備えている。これらアライナ4、スピン・リンス・ドライヤ6、テーブル10、および基板搬送ロボット12は、装置フレーム1内に配置されている。
【0023】
テーブル10の上方に位置して、テーブル10上に載置された基板ホルダ8(
図4に示す)を開閉して基板の該基板ホルダ8への着脱を行う基板ホルダ開閉機構14が配置されている。更に、テーブル10の側方には、基板ホルダ8を起倒させる基板ホルダ起倒機構16が配置されている。
【0024】
装置フレーム1の内部には、基板ホルダ8を保管する保管槽20、基板ホルダ8で保持した基板を純水等の前処理液で前洗浄(前処理)する前洗浄槽22、基板ホルダ8で保持した基板にめっきを行うめっき槽24、めっき後の基板を基板ホルダ8と共にリンス液でリンスするリンス槽26、およびリンス後の基板の水切りを行うブロー槽28が配置されている。保管槽20、前洗浄槽22、めっき槽24、リンス槽26、およびブロー槽28は、この順に直列に配列されている。めっき槽24の一側方には、各めっきセル25内のめっき液を攪拌するパドル38(
図2に示す)を駆動するパドルモータユニット30が設けられている。めっき槽24の他側方には、排気ダクト32が設けられている。
【0025】
前洗浄槽22は、内部に純水等の前処理液を保持する前洗浄セル22aを備えている。めっき槽24は、内部にめっき液を保持する複数(この例では3個)のめっきセル25と、これらめっきセル25の両側に配置されたオーバーフロー槽27とを備えている。本実施形態では3個のめっきセル25が直列に設置されているが、めっきセル25の設置個数はこの例に限定されず、1個またはそれよりも多いめっきセル25を設置してもよい。基板ホルダ8は各めっきセル25内に配置され、この状態で電解めっきが行われる。
【0026】
保管槽20は、複数の基板ホルダ8を鉛直に並列に保持するように構成されている。リンス槽26は、内部にリンス液を保持するリンスセル26aを備えている。ブロー槽28は、N
2ガスやクリーンエアなどの気体を基板に吹き付けることで、基板の表面に残留した液滴を除去し、基板を乾燥するように構成されている。
【0027】
図2に示すように、めっき装置は、アノード33を保持し、かつアノード33をめっきセル25内のめっき液に浸漬させるアノードホルダ34を備えている。さらに、めっき装置は、基板Wを着脱自在に保持し、かつ基板Wをめっきセル25内のめっき液に浸漬させる基板ホルダ8を備えている。アノード33および基板Wはめっき液中で互いに対向するように配置される。
【0028】
めっき装置は、基板W上の電位分布を調整する電場調整板(レギュレーションプレート)39と、めっきセル25内のめっき液を攪拌するパドル38とをさらに備えている。電場調整板39はめっき液中の電場を制限するための開口39aを有しており、アノード33と基板Wとの間に配置されている。電流を通過させつつ、液体を通過させないイオン交換膜などの隔膜を開口39aに取り付けてもよい。電場調整板39は、めっきセル25の内部を、アノード33が配置されるアノード室46と、基板Wが配置されるカソード室48とに仕切っている。
【0029】
パドル38は、めっきセル25内の基板ホルダ8に保持された基板Wの表面近傍に配置されている。パドル38は鉛直方向に延びており、基板Wと平行に往復運動することでめっき液を攪拌する。基板Wのめっき中にパドル38がめっき液を攪拌することで、十分な金属イオンを基板Wの表面に均一に供給することができる。
【0030】
めっき処理に際して、アノード33はアノードホルダ34を介して電源35の正極に接続され、基板Wは基板ホルダ8を介して電源35の負極に接続される。アノード33と基板Wとの間に電圧を印加することで、基板Wの表面に金属膜が形成される。
【0031】
図3は
図1に示すめっき槽24の部分斜視図である。
図3において、基板ホルダ8、アノード33、アノードホルダ34、およびパドル38は省略されている。
図3に示すように、めっきセル25の側板36に隣接してオーバーフロー槽27が配置されている。オーバーフロー槽27の底部には、めっき液を循環させるめっき液循環ライン43(
図2参照)の一端が接続され、他端はめっきセル25の底部に接続されている。めっき液循環ライン43には、めっき液を移送するポンプ41、めっき液の温度を調節する温度調整器42、およびめっき液内の異物を除去するフィルタ44が取り付けられている。オーバーフロー槽27内に流入しためっき液は、めっき循環ライン43を通ってめっきセル25内に戻される。めっき液中に含まれる析出物はフィルタ44により除去される。
【0032】
図1に示すように、保管槽20、前洗浄槽22、めっき槽24、リンス槽26、ブロー槽28、および基板ホルダ起倒機構16の間で基板ホルダ8を基板Wとともに搬送するトランスポータ100が設けられている。このトランスポータ100は、装置フレーム1に固定されて水平方向に延びる固定ベース102と、固定ベース102上を水平方向に移動可能に構成されたリフタ101と、リフタ101に連結されたアーム104とを備えている。アーム104は、基板ホルダ8を把持するグリッパ103を有している。アーム104とリフタ101は一体に水平方向に移動し、アーム104はリフタ101によって上昇および下降される。リフタ101を水平方向に移動させる駆動源としてはリニアモータまたはラック・アンド・ピニオンを採用することができる。同様に、アーム104を鉛直方向に移動させる駆動源としてはリニアモータまたはラック・アンド・ピニオンを採用することができる。
【0033】
次に、基板ホルダ8について、
図4乃至
図7を参照して説明する。基板ホルダ8は、
図4乃至
図7に示すように、矩形平板状の第1保持部材54と、この第1保持部材54にヒンジ56を介して開閉自在に取付けられた第2保持部材58とを有している。他の構成例として、第2保持部材58を第1保持部材54に対峙した位置に配置し、この第2保持部材58を第1保持部材54に向けて前進させ、また第1保持部材54から離間させることによって第2保持部材58を開閉するようにしてもよい。
【0034】
第1保持部材54は例えば塩化ビニル製である。第2保持部材58は、基部60と、リング状のシールホルダ62とを有している。シールホルダ62は例えば塩化ビニル製であり、下記の押えリング64との滑りを良くしている。シールホルダ62の上部には環状の基板側シール部材66(
図6および
図7参照)が内方に突出して取付けられている。この基板側シール部材66は、基板ホルダ8が基板Wを保持した時、基板Wの表面外周部に圧接して第2保持部材58と基板Wとの隙間をシールするように構成されている。シールホルダ62の第1保持部材54と対向する面には、環状のホルダ側シール部材68(
図6および
図7参照)が取付けられている。このホルダ側シール部材68は、基板ホルダ8が基板Wを保持した時、第1保持部材54に圧接して第1保持部材54と第2保持部材58との隙間をシールするように構成されている。ホルダ側シール部材68は、基板側シール部材66の外側に位置している。
【0035】
図7に示すように、基板側シール部材66は、シールホルダ62と第1固定リング70aとの間に挟持されてシールホルダ62に取付けられている。第1固定リング70aは、シールホルダ62にねじ等の締結具69aを介して取付けられる。ホルダ側シール部材68は、シールホルダ62と第2固定リング70bとの間に挟持されてシールホルダ62に取付けられている。第2固定リング70bは、シールホルダ62にねじ等の締結具69bを介して取付けられる。
【0036】
シールホルダ62の外周部には段部が設けられており、この段部には押えリング64がスペーサ65を介して回転自在に装着されている。押えリング64は、第1固定リング70aの外周部によって脱出不能に装着されている。この押えリング64は、酸やアルカリに対して耐食性に優れ、十分な剛性を有する材料から構成される。例えば、押えリング64はチタンから構成される。スペーサ65は、押えリング64がスムーズに回転できるように、摩擦係数の低い材料、例えばPTFEで構成されている。
【0037】
押えリング64の外側には、複数のクランパ74が押えリング64の円周方向に沿って等間隔で配置されている。これらクランパ74は第1保持部材54に固定されている。各クランパ74は、内方に突出する突出部を有する逆L字状の形状を有している。押えリング64の外周面には、外方に突出する複数の突起部64bが設けられている。これら突起部64bは、クランパ74の位置に対応する位置に配置されている。クランパ74の内方突出部の下面および押えリング64の突起部64bの上面は、押えリング64の回転方向に沿って互いに逆方向に傾斜するテーパー面となっている。押えリング64の円周方向に沿った複数箇所(例えば3箇所)には、上方に突出する凸部64aが設けられている。これにより、回転ピン(図示せず)を回転させて凸部64aを横から押し回すことにより、押えリング64を回転させることができる。
【0038】
第2保持部材58を開いた状態で、第1保持部材54の中央部に基板Wが挿入され、ヒンジ56を介して第2保持部材58が閉じられる。押えリング64を時計回りに回転させて、押えリング64の突起部64bをクランパ74の内方突出部の内部に滑り込ませることで、押えリング64とクランパ74にそれぞれ設けたテーパー面を介して、第1保持部材54と第2保持部材58とを互いに締付けて第2保持部材58をロックする。また、押えリング64を反時計回りに回転させて押えリング64の突起部64bをクランパ74から外すことで、第2保持部材58のロックを解くようになっている。
【0039】
第2保持部材58をロックした時、基板側シール部材66の下方突出部は基板Wの表面外周部に圧接される。シール部材66は均一に基板Wに押圧され、これによって基板Wの表面外周部と第2保持部材58との隙間をシールする。同じように、第2保持部材58をロックした時、ホルダ側シール部材68の下方突出部は第1保持部材54の表側の面に圧接される。シール部材68は均一に第1保持部材54に押圧され、これによって第1保持部材54と第2保持部材58との間の隙間をシールする。
【0040】
第1保持部材54の端部には、一対のホルダハンガ93が外方に突出して設けられている。このホルダハンガ93は、内側ハンガ部90と外側ハンガ部94から構成される。両側の内側ハンガ部90の間にはハンドレバー92が延びている。前洗浄槽22、めっき槽24、リンス槽26、およびブロー槽28内では、基板ホルダ8は、ホルダハンガ93の内側ハンガ部90または外側ハンガ部94を介してそれらの周壁に吊下げられる。
【0041】
第1保持部材54の表側の面には、基板Wの大きさにほぼ等しいリング状の突条部82が形成されている。この突条部82は、基板Wの周縁部に当接して該基板Wを支持する環状の支持面80を有している。この突条部82の円周方向に沿った所定位置に凹部84が設けられている。
【0042】
図5に示すように、凹部84内には複数(図示では12個)の導電体(電気接点)86がそれぞれ配置されている。これら導電体86は、ホルダハンガ93の内側ハンガ部90に設けられた接続端子91から延びる複数の配線にそれぞれ接続されている。第1保持部材54の支持面80上に基板Wを載置した際、この導電体86の端部が基板Wの側方で飛び出して、
図7に示す電気接点88の下部に弾性的に接触するようになっている。
【0043】
導電体86に電気的に接続される電気接点88は、ねじ等の締結具89を介して第2保持部材58のシールホルダ62に固着されている。この電気接点88は、板ばね形状に形成されている。電気接点88は、基板側シール部材66の外方に位置した、内方に板ばね状に突出する接点部を有している。電気接点88はこの接点部において、その弾性力によるばね性を有して容易に屈曲するようになっている。第1保持部材54と第2保持部材58で基板Wを保持した時に、電気接点88の接点部が、第1保持部材54の支持面80上に支持された基板Wの外周面に弾性的に接触するように構成されている。
【0044】
第2保持部材58の開閉は、図示しないエアシリンダと第2保持部材58の自重によって行われる。つまり、第1保持部材54には通孔54aが設けられ、テーブル10の上に基板ホルダ8を載置した時に通孔54aに対向する位置にエアシリンダ(図示せず)が設けられている。このエアシリンダのピストンロッドにより、通孔54aを通じて第2保持部材58のシールホルダ62を上方に押上げることで第2保持部材58を開き、ピストンロッドを収縮させることで、第2保持部材58をその自重で閉じるようになっている。
【0045】
図8(a)は基板ホルダ8の一部を示す側面図であり、
図8(b)は
図8(a)に示す基板ホルダ8の変形例を示す図である。従来の基板ホルダの下端部は平坦に形成されていたため、基板ホルダを高速でカソード室48に投入すると、カソード室48内のめっき液が液跳ねし、めっき装置の腐食や汚染を引き起こすことがあった。そこで、本実施形態では、
図8(a)に示すように、基板ホルダ8の下端部57はテーパー状に形成されている。具体的には、第1保持部材54の下端部57は、表側テーパー面52および裏側テーパー面53から構成されている。
図8(b)に示すように、第1保持部材54の下端部57は、表側テーパー面52のみから構成されてもよく、または裏面側テーパー面53のみから構成されてもよい。
【0046】
基板ホルダ8の下端部57をテーパー状に形成することで、めっき液の液跳ねを防止することができるため、基板ホルダ8を高速でカソード室48に投入することができる。結果として、基板処理のタクトタイムを短縮することができ、めっき装置のスループットを向上することができる。具体的には、基板Wをカソード室48内のめっき液に浸漬させるときの基板ホルダ8の下降速度は50mm/sec〜500mm/secの範囲内であり、好ましくは、200mm/sec〜400mm/secの範囲内である。
【0047】
基板ホルダ8を高速でカソード室48に投入すると、基板ホルダ8はカソード室48内のめっき液の抵抗によって振動することがある。このため、グリッパ103は、基板ホルダ8を強固に保持するように構成されている。このような構成により、アーム104が高速で下降しても基板ホルダ8は振動しない。アーム104によって、基板ホルダ8はカソード室48の上方に設けられたホルダ受け部(図示せず)に載置される。基板ホルダ8がホルダ受け部に載置される直前、グリッパ103は、基板ホルダ8を解放して基板ホルダ8が水平方向に自在に動くことを許容するように構成されており、これにより、トランスポータ100は基板ホルダ8を所定位置に精度よく配置することができる。
【0048】
基板Wのめっき終了後、基板ホルダ8をカソード室48から引き上げる時、基板Wおよび基板ホルダ8上にはめっき液が残留する。めっき液が残留したまま基板ホルダ8が搬送されると、めっき液が基板ホルダ8から落下し、めっき装置の汚染を引き起こすことがある。このため、従来は、基板ホルダ8の引き上げ速度を低くしていた。しかしながら、このような引き上げ動作は、タクトタイムを増加させ、スループットを低下させてしまう。
【0049】
そこで、基板ホルダ8をカソード室48から引き上げるときに、めっき液が速やかに基板ホルダ8から流れ落ちるように、
図9に示すように、基板ホルダ8の下端部57を先の尖った形状にすることが好ましい。このような形状により、めっき液を速やかに基板ホルダ8から落下させることができる。結果として、基板ホルダ8をカソード室48から高速で引き上げることができるため、基板処理のタクトタイムを短縮することができる。
【0050】
具体的に、カソード室48内のめっき液から基板ホルダ8を引き上げるときの基板ホルダ8の上昇速度は5mm/sec〜500mm/secの範囲内であり、好ましくは、25mm/sec〜150mm/secの範囲内である。トランスポータ100は、基板ホルダ8の下降速度が基板ホルダ8の上昇速度よりも高くなるように動作する。さらに、
図9に示す先の尖った形状は、基板ホルダ8をめっき液に投入するときの液はねを防止することもできる。
【0051】
基板Wを保持した基板ホルダ8をカソード室48に投入する際の、基板ホルダ8の下降速度が高すぎると、カソード室48内のめっき液の液面レベルが急激に上昇して大量のめっき液がオーバーフロー槽27に流入し、めっき液の一部はオーバーフロー槽27からこぼれてしまうこともある。そこで、電場調整板39は、基板ホルダ8を高速でカソード室48内のめっき液に投入するときにめっき液が電場調整板39を越流してアノード室46に流入する高さを有している。
【0052】
図3に示すように、基板Wを保持した基板ホルダ8が高速でカソード室48内のめっき液に浸漬されるとき、めっき液は側板36の上端および電場調整板39の上端を越流してオーバーフロー槽27およびアノード室46に流入する。つまり、側板36は、基板Wを保持した基板ホルダ8をカソード48室内のめっき液に浸漬させるときに、カソード室48内のめっき液が越流してオーバーフロー槽27へ流入することを許容する第1の越流堰を構成し、電場調整板39は、基板Wを保持した基板ホルダ8をカソード48室内のめっき液に浸漬させるときに、カソード室48内のめっき液が越流してアノード室46へ流入することを許容する第2の越流堰を構成する。
【0053】
電場調整板(第2の越流堰)39は側板(第1の越流堰)36よりも高いため、基板Wのめっき中は、めっき液は側板(第1の越流堰)36を越流してオーバーフロー槽27に流入するが、電場調整板(第2の越流堰)39を越流しない。基板ホルダ8をカソード室48に投入するときのみ、めっき液は電場調整板39を越流する。
【0054】
図10は
図3のB−B線断面図である。
図10に示すように、電場調整板(第2の越流堰)39は側板(第1の越流堰)36よりも5mm〜35mm高く、好ましくは10mm〜30mm高く、より好ましくは15mm〜25mm高い。基板Wのめっき中はパドル38によるめっき液の攪拌によりめっき液の液面が波立つ。そのため、電場調整板39と側板36との高さの差が5mmよりも小さいと基板Wのめっき中にめっき液がカソード室48からアノード室46に流出してしまい、電場の漏れにつながるため望ましくない。電場調整板39と側板36との高さの差が35mmよりも大きいと基板ホルダ8をカソード室48に高速で投入してもめっき液はアノード室46に流出せず、側板(第1の越流堰)36を越流してオーバーフロー槽27へ流入するめっき液が多くなり、上述したような問題が生じる。
【0055】
このように側板36と電場調整板39との高さの差を従来のめっき装置よりも小さくしているので、めっき液は側板(第1の越流堰)36のみならず電場調整板(第2の越流堰)39を越流してオーバーフロー槽27およびアノード室46内に流入する。めっき液はオーバーフロー槽27およびアノード室46に分流するため、カソード室48内のめっき液の液面レベルの急上昇が防止され、めっき液がオーバーフロー槽27からこぼれることが防止される。したがって、基板Wを保持した基板ホルダ8を高速でカソード室48に投入することができる。結果として、基板処理のタクトタイムを短縮することができ、めっき装置のスループットを向上することができる。電場調整板39は側板36よりも高いので、基板Wのめっき時においては、カソード室48内のめっき液はアノード室46に流入しない。
【0056】
互いに隣接するめっきセル25は仕切り壁50によって仕切られている(
図2および
図3参照)。つまり、めっきセル25はその上部に開口を有する有底の容器であり、めっきセル25は、その底面を構成する底板37と、その側面(周壁)を構成する側板36および仕切り壁50とを有している。
図3に示すように、仕切り壁50は側壁36よりも高い。
【0057】
仕切り壁50の高さは電場調整板39の高さと同じであることが望ましい。基板Wを保持した基板ホルダ8をカソード室48に投入すると、カソード室48内のめっき液は側板36および電場調整板39を越流し、同時に仕切り壁50を越流して隣接するめっきセル25のアノード室46に流入する。したがって、カソード室48内のめっき液の液面レベルは基板ホルダ8の周囲で均一に上昇する。このとき、基板ホルダ8にはめっき液の均一な圧力が作用するので、基板ホルダ8の姿勢が安定する。
【0058】
図3に示すように、基板ホルダ8をカソード室48に投入するとき、めっき液は側板36、電場調整板39、および仕切り壁50を越流してオーバーフロー槽27、アノード室46、および隣接するめっきセル25のアノード室46に流入する。仕切り壁50は、基板Wを保持した基板ホルダ8をカソード48室内のめっき液に浸漬させるときに、カソード室48内のめっき液が越流して隣のめっきセル(第2のめっきセル)25へ流入することを許容するように電場調整板39の高さと同じ高さの第3の越流堰を構成してもよい。
【0059】
図11は電場調整板39および仕切り壁50の変形例を示す図である。側板(第1の越流堰)36の上端には切り欠き部36aが設けられており、めっきセル25内のめっき液は切り欠き部36aを越流してオーバーフロー槽27内に流入する。電場調整板(第2の越流堰)39および/または仕切り壁(第3の越流堰)50の上端に切り欠き部39b,50aを設けてもよい。
図11の例では、めっき液は電場調整板39の切り欠き部39bを越流してアノード室46に流入し、同時に、めっき液は仕切り壁50の切り欠き部50aを越流して、隣接するめっきセル25のアノード室46に流入する。切り欠き部39b,50aの深さは例えば10mmである。
【0060】
図12は
図11のC−C線断面図である。
図12に示すように、切り欠き部36aが形成されている場合、側板(第1の越流堰)36の高さは切り欠き部36aの最も低い部分の高さである。同様に、電場調整板(第2の越流堰)39の高さは切り欠き部39bの最も低い部分の高さであり、仕切り壁(第3の越流堰)50の高さは切り欠き部50aの最も低い部分の高さである。
【0061】
具体的には、切り欠き部39bの最も低い部分の位置は、切り欠き部36aの最も低い部分の位置よりも5mm〜35mm高く、好ましくは10mm〜30mmであり、より好ましくは15mm〜25mmである。同様に、切り欠き部50aの最も低い部分の位置は、切り欠き部36aの最も低い部分の位置よりも5mm〜35mm高く、好ましくは10mm〜30mmであり、より好ましくは15mm〜25mmである。
【0062】
図13は電場調整板39および仕切り壁50の他の変形例を示す図である。電場調整板(第2の越流堰)39の上端および/または仕切り壁(第3の越流堰)50の上端はテーパー形状を有してもよい。電場調整板39のテーパー状の上端は、基板ホルダ8およびアノード室46に向かって下方に傾斜する2つの傾斜面39c,39dから構成されている。仕切り壁50のテーパー状の上端は、基板ホルダ8および隣接するめっきセル25のアノード室46に向かって下方に傾斜する2つの傾斜面50b,50cから構成されている。カソード室48内のめっき液はこれら電場調整板39および仕切り壁50のテーパー状の上端を越流する。このように構成することで、めっき液をスムーズに流出させることができ、めっき液の液跳ねを防止することができる。
【0063】
次に、上記のように構成されためっき装置による処理動作を説明する。まず、トランスポータ100のアーム104により、保管槽20から鉛直姿勢の基板ホルダ8を取り出す。基板ホルダ8を把持したアーム104は、水平方向に移動して、基板ホルダ起倒機構16に基板ホルダ8を渡す。基板ホルダ起倒機構16は、基板ホルダ8を鉛直姿勢から水平姿勢に転換し、テーブル10の上に載置する。そして、基板ホルダ開閉機構14によりテーブル10に載置された基板ホルダ8を開く。
【0064】
基板搬送ロボット12は、ロードポート2に搭載されたカセットから基板Wを1枚取り出し、アライナ4に載せる。アライナ4はオリエンテーションフラットまたはノッチの位置を所定の方向に合わせる。基板搬送ロボット12は、基板Wをアライナ4から取り出し、テーブル10上に載置された基板ホルダ8に挿入する。この状態で、基板ホルダ開閉機構14により基板ホルダ8を閉じ、基板ホルダ8をロックする。
【0065】
次に、基板ホルダ起倒機構16は、基板ホルダ8を水平姿勢から鉛直姿勢に転換する。アーム104のグリッパ103は、この起立した状態の基板ホルダ8を把持し、この状態でアーム104は前洗浄槽22の上方位置まで基板ホルダ8を水平方向に移動させる。さらに、トランスポータ100のリフタ101は、基板ホルダ8とともにアーム104を下降させて、前洗浄槽22内の所定の位置に基板ホルダ8をセットする。この状態で、基板Wの前洗浄が行われる。基板Wの前洗浄が終了した後、アーム104のグリッパ103は基板ホルダ8を把持し、リフタ101がアーム104を上昇させることで基板ホルダ8を前洗浄槽22から引き上げる。
【0066】
アーム104は、めっき槽24の上方位置まで水平方向に基板ホルダ8を移動させる。さらに、トランスポータ100のリフタ101は、基板ホルダ8とともにアーム104を下降させて、カソード室48内の所定の位置に基板ホルダ8をセットする。この状態で、基板Wのめっきが行われる。めっきが終了した後、アーム104のグリッパ103は基板ホルダ8を把持し、リフタ101がアーム104を上昇させることで基板ホルダ8をカソード室48から引き上げる。
【0067】
アーム104は、リンス槽26の上方位置まで水平方向に基板ホルダ8を移動させる。さらに、トランスポータ100のリフタ101は、基板ホルダ8とともにアーム104を下降させて、リンス槽26内の所定の位置に基板ホルダ8をセットする。この状態で、基板Wのめっき後のリンスが行われる。リンスが終了した後、アーム104のグリッパ103は基板ホルダ8を把持し、リフタ101がアーム104を上昇させることで基板ホルダ8をリンス槽26から引き上げる。
【0068】
アーム104は、ブロー槽28の上方位置まで水平方向に基板ホルダ8を移動させる。さらに、トランスポータ100のリフタ101は、基板ホルダ8とともにアーム104を下降させて、ブロー槽28内の所定の位置に基板ホルダ8をセットする。ブロー槽28は、N
2ガスやクリーンエアなどの気体の吹き付けによって、基板ホルダ8で保持した基板Wの表面に付着した液滴を除去し乾燥させる。ブロー処理が終了した後、アーム104のグリッパ103は基板ホルダ8を把持し、リフタ101がアーム104を上昇させることで基板ホルダ8をブロー槽28から引き上げる。
【0069】
アーム104は、水平方向に移動して、基板ホルダ8を基板ホルダ起倒機構16に渡す。基板ホルダ起倒機構16は、前述と同様にして、基板ホルダ8をテーブル10の上に水平に載置し、基板ホルダ開閉機構14により基板ホルダ8を開く。基板搬送ロボット12は、基板ホルダ8から処理後の基板を取り出し、この基板をスピン・リンス・ドライヤ6に搬送する。スピン・リンス・ドライヤ6は基板を高速で回転させることで基板を乾燥させる。基板搬送ロボット12は、乾燥された基板をスピン・リンス・ドライヤ6から取り出し、ロードポート2のカセットに戻す。これによって、1枚の基板に対する処理が終了する。
【0070】
図14は本発明の他の実施形態に係るめっき槽24を模式的に示す平面図である。
図14においてパドル38は省略されている。本実施形態に係るめっき槽24は仕切り壁50を備えていない。本実施形態において、アノード室46は電場調整板39とアノード33との間の領域であり、カソード室48は電場調整板39と基板ホルダ8に保持された基板Wとの間の領域である。電場調整板39は側板36よりも5mm〜40mm高く、好ましくは10mm〜35mmであり、より好ましくは15mm〜30mmである。
【0071】
図11に示す電場調整板39と同様に、電場調整板39の上端に切り欠き部39bを設けてもよい。あるいは、
図13に示す電場調整板39と同様に、電場調整板39の上端はテーパー形状を有してもよい。
【0072】
図15は本発明のさらに他の実施形態に係るめっき槽24を模式的に示す平面図である。
図15においてパドル38は省略されている。本実施形態では、アノードホルダ34は、隣接するめっきセル25同士を仕切る仕切り壁として機能する。すなわち、アノードホルダ34の両側面は側板36に接続されており、アノードホルダ34の底面はめっきセル25の底面に接続されている。電場調整板39は側板36よりも5mm〜35mm高く、好ましくは10mm〜30mmであり、より好ましくは15mm〜25mmである。電場調整板39の上端に切り欠き部39bを設けてもよく、または電場調整板39の上端をテーパー形状で構成してもよい。
【0073】
アノードホルダ34は、上述した第3の越流堰として機能する。アノードホルダ(第3の越流堰)34は側板36よりも5mm〜35mm高く、好ましくは10mm〜30mmであり、より好ましくは15mm〜25mmである。
図11に示す例と同じようにアノードホルダ34の上端に切り欠き部を設けてもよく、または
図13に示す例と同じようにアノードホルダ34の上端をテーパー形状で構成してもよい。
【0074】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。