(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補正デバイスは、それが前記照明視野の少なくとも区画において前記物体変位方向(y)に沿った前記照明強度(I(y))の再分配をもたらすように設計されることを特徴とする請求項1に記載の照明及び変位デバイス。
前記噴出デバイスと前記回収デバイスの間で前記減衰体の少なくとも1つの軌道が通って延び、照明光の前記ビームに対して透過性の入射窓と照明光の該ビームに対して透過性の射出窓とを含む真空チャンバを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の照明及び変位デバイス。
前記補正デバイスは、光学ユニット担体に接続した複数の光学区画を含み、前記物体変位方向に沿って前記照明視野の区画を照明するための前記照明光の部分ビームに対するこの光学区画の効果に対して、それぞれの該光学区画を駆動することによってターゲット方式で影響を及ぼすことができることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の照明及び変位デバイス。
前記投影光学ユニットは、前記照明視野にわたって変化する結像収差の空間分布(A(y))を有し、補正デバイスが、それが前記照明の強度(I(y))に対して該投影光学ユニット(19)の該結像収差の該空間分布(A(y))に基づいて該照明視野の少なくとも区画で影響を及ぼすように具現化されることを特徴とする請求項10に記載の光学系。
少なくとも前記物体変位方向(y)に沿って空間的に分解される前記像視野にわたる結像光の波面の測定のための測定デバイスであって、該測定デバイスが、開ループ/閉ループ制御デバイスに信号接続され、これが、次に、前記補正デバイスに信号接続される前記測定デバイスを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の光学系。
前記光源は、パルス方式で作動し、補正デバイスは、照明に使用される該光源の個々の光パルスの合間に照明視野にわたって物体変位方向(y)に沿って空間的に分解される異なる照明強度分布(I(y))を予め定めることに使えることを特徴とする請求項13に記載の投影露光装置。
【発明を実施するための形態】
【0026】
マイクロリソグラフィのための投影露光装置1は、微細構造又はナノ構造の電子半導体構成要素の生成に使える。投影露光装置1は、高真空内で作動される。光源2は、例えば、5nmと30nmの間の波長領域の照明のために使用されるEUV放射線を放出する。光源2は、GDPP(ガス放電生成プラズマ)光源又はLPP(レーザ生成プラズマ)光源とすることができる。光源2においてシンクロトロンに基づく放射線源を使用することができる。当業者は、そのような光源に関する情報を例えばUS 6 859 515 B2に見出すことができると考えられる。照明光ビーム又は結像光ビーム3の形態にあるEUV照明光又はEUV照明放射線は、投影露光装置1内での照明及び結像に使用される。EUV照明光の使用代替として、投影露光装置1は、投影露光においてVUV照明光又はDUV照明光を使用することができる。VUV照明光又はDUV照明光が使用される場合には、以下に説明する反射光学構成要素の代わりに屈折光学構成要素を使用することができる。VUV照明又はDUV照明を含むそのような投影露光装置は、DE 10 2006 042 452 A1及びWO 2009/087 805 A1から公知である。
【0027】
結像光ビーム3は、光源2の下流で最初にコレクター4を通過し、このコレクター4は、例えば、従来技術で公知のマルチシェル構造を有する多段コレクター、又はこれに代えて楕円体形のコレクターとすることができ、この場合に、光源2の下流に配置することができる。対応するコレクターは、EP 1 225 481 A2から公知である。コレクター4の下流では、EUV照明光3は、最初に中間視野平面5を通過し、中間視野平面5は、結像光ビーム3を望ましくない放射線又は粒子部分から分離するために使用することができる。中間視野平面5を通過した後に、結像光ビーム3は、最初に視野ファセットミラー6上に入射する。
【0028】
位置関係の説明を容易にするために、図面内には、各場合に直交広域xyz座標系を示している。
図1では、x軸は、作図面と垂直にかつ作図面から飛び出すように延びている。y軸は、
図1の右に向けて延びている。z軸は
図1の上方に延びている。
【0029】
投影露光装置1の個々の光学構成要素における位置関係の説明を容易にするために、以下に続く図では、各場合に直交局所xyz座標系又は直交局所xy座標系を更に使用する。それぞれの局所xy座標は、別途記載しない限り、光学構成要素のそれぞれの主配置平面、例えば、反射平面にわたっている。広域xyz座標系のx軸と局所xyz座標系又は局所xy座標系のx軸とは互いに平行に延びている。局所xyz座標系又は局所xy座標系のそれぞれのy軸は、広域xyz座標系のy軸に対して、それぞれの光学構成要素のx軸に関する傾斜角に対応する角度にある。
【0030】
図6及び
図8は、視野ファセットミラー6の視野ファセット7のファセット配置を例示的に示している。視野ファセット7は、矩形又は湾曲形のものであり、各場合に同じx/yアスペクト比を有する。x/yアスペクト比は、例えば、12/5とすることができ、25/4とすることができ、又は104/8とすることができる。
【0031】
視野ファセット7は、視野ファセットミラー6の反射面を予め定め、各々が6つから8つの視野ファセット群8a、8bから構成される4つの列にグループ分けされる。視野ファセット群8aは、各場合に7つの視野ファセット7を有する。2つの中央視野ファセット列の2つの付加的な縁部視野ファセット群8bは、各場合に4つの視野ファセット7を有する。視野ファセットミラー6のファセット配置は、2つの中央ファセット列の間、及び第3のファセット行と第4のファセット行の間に、視野ファセットミラー6がコレクター4の保持スポークによって遮蔽される隙間9を有する。LPP光源が光源2として使用される場合には、コレクター4に隣接して配置され、図面内には例示していない錫液滴発生器によって対応する遮蔽がもたらされる可能性もある。
【0032】
視野ファセットミラー6における反射の後に、個々の視野ファセット7に割り当てられる結像光部分ビームに分割された結像光ビーム3は、瞳ファセットミラー10上に入射する。結像光ビーム3全体のそれぞれの結像光部分ビームは、それぞれの結像光チャネルに沿って案内される。
【0033】
図7は、瞳ファセットミラー10の円形瞳ファセット11の例示的なファセット配置を示している。瞳ファセット11は、中心の周囲に互いに内外に位置するファセット環で配置される。瞳ファセット11は、視野ファセット7のうちの1つによって反射されたEUV照明光3の各結像光部分ビームに視野ファセット7のうちの1つと瞳ファセット11のうちの1つとを含む、入射を受けるそれぞれのファセット対が、それに関連付けられたEUV照明光3の結像光部分ビームに対する結像光チャネルを予め定めるように割り当てられる。視野ファセット7に対する瞳ファセット11のチャネル別割り当ては、投影露光装置1による望ましい照明に依存する方式で行われる。
【0034】
瞳ファセットミラー10(
図1)と、3つのEUVミラー12、13、14から構成される下流の転送光学ユニット15とにより、視野ファセット7は、投影露光装置1の物体平面16に結像される。EUVミラー14は、かすめ入射のためのミラー(かすめ入射ミラー)として具現化される。光学平面16内にはレチクル17が配置され、レチクル17からは、下流にある投影露光装置1の投影光学ユニット19の物体視野18によって調整された照明領域がEUV照明光3を用いて照明される。従って、この照明領域を照明視野18とも表記する。結像光チャネルは、物体視野18内で重ね合わされる。EUV照明光3は、レチクル17から反射される。レチクル17は、照明中に物体変位方向yに沿って駆動方式で変位可能な物体ホルダ17aによって支持される。
図1に略示する物体ホルダドライバ17bは、xy平面内で物体変位方向yに沿った物体ホルダ17aの駆動変位に使える。
【0035】
投影光学ユニット19は、物体平面16の物体視野18を像平面21の像視野20に結像する。この像平面21内には、基板の例として、投影露光装置1を用いた投影露光中に露光される感光層を担持するウェーハ22が配置される。ウェーハ22、すなわち、結像が行われる基板は、物体ホルダ17aの変位と同期して変位方向yに沿って変位可能な基板ホルダ22aによって保持される。
図1に略示する基板ホルダドライブ22bは、基板ホルダ22aの駆動変位に使える。投影露光中に、レチクル17とウェーハ22の両方は、y方向に同期して走査される。同期ユニット22cは、物体ホルダドライバ17bと基板ホルダドライブ22bとの同期に使え、物体ホルダドライバ17bと基板ホルダドライブ22bに
図1には例示していない方式で信号接続される。投影露光装置1は、スキャナとして具現化される。走査方向yを物体変位方向とも表記する。
【0036】
EUVミラー14と物体視野18の間の照明光ビーム3のビーム経路には、補正デバイス23が配置される。補正デバイス23は、投影露光装置1の照明系24の照明光ビーム3の強度に物体視野18にわたって空間的に分解された影響を及ぼすことに使える。照明系24は、光源2とコレクター4と照明光学ユニット25を含み、更に、照明光学ユニット25は、2つのファセットミラー6及び10と共にEUVミラー12から14を含む。補正デバイス23は、
図2から
図5を参照して以下に説明するように、照明光ビームの断面のxy強度分布に影響を及ぼす。この強度に影響を及ぼすことは、物体視野18全域又は少なくとも物体視野18の一区画にわたる照明強度分布に影響を及ぼすことをもたらす。補正デバイス23による強度への影響の作用の空間分解能は、少なくとも走査方向y、すなわち、物体変位方向に沿って与えられる。補正デバイス23が、DUV投影露光装置又はVUV投影露光装置に使用される場合には、補正デバイス23は、DUV照明光学ユニット又はVUV照明光学ユニットのレチクルマスキングシステム(REMA)の領域内の例えばREMA絞りの直ぐ上流又は直ぐ下流に配置することができる。照明光学ユニット25、物体ホルダ17a、及び物体ホルダドライバ17bと共に、補正デバイス23は、投影露光装置1のための照明及び変位デバイスを形成する。投影光学ユニット19、基板ホルダ22a、基板ホルダドライブ22b、及び同期ユニット22cは、照明及び変位デバイスと共に光学系を形成する。
【0037】
更に、投影露光装置1は、像視野20にわたる結像光3の波面の空間分解測定のための測定デバイス25aを含む。この波面測定の空間分解能は、少なくとも物体変位方向、すなわち、走査方向yに沿って与えられる。
【0038】
測定デバイス25aは、波面測定を完全な像視野20にわたって実施するか又は像視野20の一部にわたって実施され、その後にこうして得られた測定値を完全な像視野20に内挿することができる。そのような測定デバイス25aの例は、US 7,333,216 B2及びUS 6,650,399 B2に示されている。波面の部分視野測定又は全視野測定は、異なる瞬間、例えば、周期的に反復する瞬間に実施することができる。像視野20にわたる部分視野測定の場合には、例えば、(13,3)アレイ、(13,5)アレイ、又は(13,7)アレイの形態にある(x,y)測定点アレイを使用することができる。同様に、例えば、1つの視野点(好ましくは、視野中心)、3つの視野点(好ましくは、視野中心、並びにそれぞれの左視野半域及び右視野半域の視野中心)、5つの視野点、又は異なる個数の視野点だけを測定することができる。その後に、次に、視野点アレイ、例えば、(13,3)アレイ、(13,5)アレイ、又は(13,7)のうちの1つへの外挿を行うことができる。測定視野点の個数は、測定瞬間毎に変更することができる。例えば、弓形のものか又は矩形とは異なる境界を有する視野の場合には、波面測定において視野中心又は視野半域内の視野点の代わりに、視野形状に依存して選択される他の特徴的視野点を使用することができる。像視野20にわたる波面の測定の代わりに、光学設計データを起点とする波面に関する計算シミュレーションを行うことができる。この場合に、照明光又は結像光3を伝達する光学構成要素の加熱、例えば、ミラー要素又はレンズ要素の加熱を考慮することができる。全体的に計算されるシミュレーションの代替として、波面決定を最適化するための通例の標準的方法、例えば、レーベンバーグ・マーカートアルゴリズムを用いて、計算シミュレーションモデルを補正することができる。計算シミュレーションの状況では、フィードフォワードモデル、例えば、線形外挿を使用することができる。計算シミュレーションと、像視野20にわたる全視野波面測定又は部分視野波面測定とを互いに対して相補的に使用することができる。
【0039】
図2及び
図3は、補正デバイス23を
図1と比較して拡大して示している。補正デバイスは、液滴の形態にある減衰体28のための複数の噴出チャネル27を含む噴出デバイス26を有する。減衰体28は、飛行方向に離散した微小液滴、すなわち、1μmと1000μmの間の範囲の直径を有する液滴である。減衰体28の直径は、例えば、10μm、25μm、50μm、又は100μmとすることができる。減衰体28は、水銀液滴である。噴出チャネル27は、原理的にインクジェットプリンタとの関連で公知のもののような微小噴出ノズルの形態で存在する。噴出チャネル27の全体の行の幅は、減衰体28が照明光ビーム3のxy断面全域を通って飛行することができるように照明光ビーム3のx方向の幅に適応される。
【0040】
減衰体28の速度vに対して、v≒50m/sが成り立つ。例えば、減衰体28のサイズ及び材料、並びに例えば周辺パラメータに基づいて他の速度を生成することができる。
【0041】
噴出デバイス26の噴出チャネル27は、3×14のアレイの形態で配置される。
図2から明らかなように、3つのアレイ行は、z方向に互いから分離して存在する。合計で14個のアレイ列が、x方向に互いから分離して存在する。噴出デバイス26の変形では、噴出チャネル27の異なるアレイ又は列配置、例えば、Mを10と500の間の範囲にあるとすることができる場合に、列が、x方向に互いから分離したM個の噴出チャネル27を有する配置も可能である。相応に、例えば、1個から10個のチャネル行を配置することができる。
【0042】
例として、互いに横並びに置かれた1000個よりも多い噴出チャネル27、例えば、3000個の噴出チャネル27をx方向に存在させることができる。噴出デバイス26のx分解能を高めるために、z方向に互いに隣接するチャネル行をx方向に互いに対してオフセットすることができる。
【0043】
100個のチャネル行又は更に多くのチャネル行を存在させることができる。補正デバイス23は、投影光学ユニット19の視野平面の近くに配置される。この場合に、照明光ビーム3の断面にわたる強度分布に影響を及ぼすことから、物体視野18の照明の対応する強度分布がもたらされる。照明光ビーム3の断面に対する補正デバイス23の強度に影響を及ぼすことの効果、すなわち、照明視野18の照明強度に対する補正デバイス23の効果は、照明視野18の内側区画に対して、この内側区画を取り囲む外側区画に影響を及ぼすことなく影響を及ぼすことができるようなものである。光の速度は、減衰体28の飛行速度よりも非常に大きいので、照明光ビーム3の照明パルスは、各場合に照明光ビーム3にわたる減衰体28の分布の瞬間的な動態を捉える。従って、減衰体28の対応する分布を使用することにより、照明光ビーム3の断面の周縁領域全体を影響を受けない状態に留めながら、この断面の特に内側の中心区画を減衰させることができる。
【0044】
補正デバイス23の別の配置では、照明光ビーム3を通る減衰体28の軌道38は、
図1に記載の補正デバイス23の配置の場合のように照明光学ユニット25又は投影光学ユニット19の視野平面の近くで延びず、代わりに照明光学ユニット25又は投影光学ユニット19の瞳平面の近く、特に瞳ファセットミラー10の近くで延びている。そのような配置は、補正デバイス23を使用することによる物体視野18の照明の照明角度分布の定められた影響を及ぼすことを提供することを可能にする。
【0045】
例示していない補正デバイス23の実施形態において、減衰体28としての液滴の代わりに、固体、例えば、微小粒子が噴出デバイス26によって噴出され、回収デバイス32によって回収される。原理的には、プラズマパルス又はガスパルスを減衰体として噴出することができる。
【0046】
流体ライン(図面には特に詳細には例示していない)が、噴出チャネル27の各々につながっている。ライン経路内の噴出チャネル27のノズル終端の上流には、各場合に駆動可能弁29が配置される。そのような弁29は、噴出チャネル27の各々に割り当てられる。
図3に、そのような弁29のうちの1つを示している。補正デバイス23の開ループ/閉ループ制御デバイス30により、弁29を通じて噴出チャネル27を互いに独立して駆動することができる。この目的のために、
図3の弁29のうちの1つにおいて略示するように、制御デバイス30は、噴出チャネル27の弁29に多極信号ライン31を通じて信号接続される。制御デバイス30は、噴出チャネル27のそれぞれの1つからそれぞれの減衰体28を噴出するための噴出瞬間を予め定めることに使える。噴出瞬間のこの事前決定は、原理的にインクジェットプリンタ技術からも公知である。制御デバイス30は、同期ユニット22cにも信号接続され、
図1にはこの接続を示していない。更に、制御デバイス30は、測定デバイス25aに信号接続され、
図1にはこの接続を示していない。
【0047】
補正デバイス23は、噴出された減衰体28のための回収デバイス32を更に含む。噴出デバイス26と回収デバイス32の間の経路上では、
図2及び
図3に示すように、減衰体28は、照明光ビーム3を通って飛行する。この場合に、
図2は、光線角度が、
図1に示す光線角度からずれた照明光ビーム3の一部を側面図に示している。
図3は、照明光ビーム3を断面に示している。
【0048】
回収デバイス32は、回収皿33と、回収された減衰体28を排出するための排出ライン34とを有する。排出ライン34内には循環ポンプ35が配置される。回収デバイス32は、
図1に破線で略示するように、排出ライン34を通じて噴出デバイス26に流体接続される。この場合に、排出ライン34は、照明光ビーム3のビーム経路のそばを通過するように経路決定される。排出ライン34により、減衰体28を形成する水銀の閉循環路が設けられる。
【0049】
図3に説明の実施形態において、測定デバイス又は検出デバイス25aは、x方向に互いに横並びに位置合わせされ、かつ照明光ビーム3のEUV光に敏感であるy方向に変位可能な検出要素を含む線形センサアレイとして具現化される。検出デバイス25aは、制御デバイス30に多極信号ライン37を通じて信号接続される。
【0050】
図4は、パルス光源として具現化されたEUV光源2の放出量の時間プロフィールを示している。パルス持続時間tauは、約50nsである。光源2のパルス周波数は、6kHzである。これに代えて、光源2のパルス周波数は、100kHzまでとすることができる。EUV光源2の代わりにVUV光源が使用される場合には、パルス持続時間tauは、約150nsであり、パルス周波数は、6kHzである。それに応じて、時間的に連続する光パルスの間の時間分離量dTは、2ms弱である。従って、負荷サイクルtau/dTは、約10
-4である。
【0051】
減衰体28は、噴出チャネル27のうちのそれぞれの1つから噴出された後に、
図2では曲率を大幅に誇張している放物線軌道38上を飛行する。
【0052】
照明光ビーム3を通る減衰体28の飛行速度は、光源2のパルス周波数に適応される。
【0053】
この適合は、各EUV光パルスが、制御デバイス30による噴出チャネル27の駆動によってこの光パルスに対して特別に発生させたxy液滴分布を捉えるようなものである。この場合に、時間関係は、ストロボスコープにおけるものと同様である。この場合に、駆動は、EUV光パルスが正確に同じxy液滴分布を捉えるようなものとすることができる。この駆動は、例えば、低いパルス周波数の光源2の場合に使用される。
図5には、3つの連続するEUV光パルスN、N+1、及びN+2に対して正確に等しいxy液滴分布を示している。例示的に、考えている瞬間t
1では、xy減衰体分布39は、EUV光パルスN+1を覆う。従って、このEUV光パルスN+1は、定められた点、すなわち、減衰体28が現時点で存在する場所において2次元で、すなわち、x方向とy方向に減衰される、減衰体28の位置は、噴出チャネル27の弁29の対応する時間的駆動によって予め決定される。この瞬間t
1では、時間的に先行するEUV光パルスN+2を減衰させた減衰体分布40は、回収デバイス32に向う方向に更に進み、対応するyの距離だけ既に飛行してしまっている。同じ瞬間t
1において、更に別の減衰体分布41が既に噴出チャネル27を離れており、続くEUV光パルスNが到着するときにそこに存在するために、照明光ビーム3の断面に向けて飛行する。
【0054】
図5に記載の減衰体分布の場合の駆動は、EUV光パルスN、N+1、及びN+2が同じ減衰体分布を捉えるようなものである。
【0055】
減衰体28のx位置は、それぞれの列に存在する噴出チャネル27の弁29の駆動によって予め決定される。y位置は、噴出チャネル27の弁29の対応する時間的駆動によって予め決定される。同じx位置において複数の減衰体28が異なるy位置に存在することが意図される場合には、同じ噴出チャネル27をちょうど連続して駆動するか、又は同じ列の異なる噴出チャネル27、すなわち、z方向に互いから分離し、同じか又は少なくとも密接するx座標を有する噴出チャネル27を対応する時間遅延を伴って駆動することができるかのいずれかである。
【0056】
従って、減衰体28のy方向の密度は、減衰体の飛行時間によって定められる。vが減衰体28の飛行速度である時に、y=dT/vという関係が成り立つ。
【0057】
x方向及びy方向において、減衰体分布(
図5の減衰体分布39、40、41を参照されたい)の約10μmの位置決め精度を得ることができる。噴出チャネル27のうちの1つは、毎秒25000個の減衰体28を生成することができる。
【0058】
補正デバイス23は、検出デバイス25aが、照明光ビーム3の波面をy方向だけに空間的に分解される方式、又はビーム断面全域にわたって、すなわち、x方向とy方向にわたって空間的に分解される方式のいずれかで測定するように作動する。この計測波面は、予め決定された望ましい波面と比較される。この比較は、制御デバイス30内で行われる。この比較の結果に基づいて、制御デバイス30は、噴出デバイス26の噴出チャネル27の対応する弁29を駆動し、照明光ビーム3の断面にわたって生成される減衰体分布を用いて、照明光ビーム3の対応する減衰を予め定める。減衰体28は、EUV照明光ビーム3を各場合に吸収又は散乱によって局所的に減衰させる。この減衰は、y方向に空間分解方式で予め定めるか又は2つの次元で、すなわち、x方向とy方向に定められた方式で予め定めることができる。
【0059】
下記では、照明及び変位デバイスの作動方法を
図15から
図20を参照して詳細に説明する。
【0060】
図15は、y像視野座標に沿った、すなわち、固定のx値x=x
1における物体変位方向yへの結像収差パラメータAの像視野依存性を示している。
図21において、略示する像視野20におけるこの依存性を明らかにする。従って、
図15のA(y)グラフは、以下ではy
Ay
Eとも表記する、走査経路S
1に沿った結像収差パラメータのプロフィールを示している。走査経路S
1に沿った走査中に、レチクル17上の点の像が、場所x
1,y
Aにおいて像視野20に進入し、場所x
1,y
Eにおいて像視野20から出る。結像収差パラメータAは、歪曲、又は結像品質を損ねるあらゆる他の結像収差とすることができる。異なる結像収差(歪曲、非点収差、コマ収差、球面収差、ペッツヴァル湾曲、又は高次の収差)の組合せ、特に重み付き組合せも可能である。走査経路S
1に沿って、結像収差パラメータAは、最初に最小値A
minの近くに留まり、次に、走査経路S
1の終端における最大値A
maxまで非線形に増大する。A
minよりも有意に大きい値への結像収差パラメータの増大は、走査経路S
1に沿ってy
Fというy値よりも大きいところで始まる。
【0061】
図16は、x=x
1におけるこの走査経路S
1に沿った照明光3の第1の強度走査プロフィールI
0(y)を示している。走査プロフィールは、ほぼガウス分布の形態を有し、最小強度値I
minは、y=y
A及びy=y
Eにおいて得られ、最大強度値I
maxは、(y
A+y
E)/2において得られる。比I
max/I
minは、1.1と100との間、特に1.1と20の間の範囲の値を取ることができる。
【0062】
部分走査経路y
Fy
Eに沿って結像されるレチクル点の像点は、全体の強度走査プロフィールのうちで
図16でハッチングしているI
FEと表記する部分強度を有する入射を受ける。走査積分合計強度I
AEと走査積分部分強度I
FEの間の比I
FE/I
AEに対して、例えば、I
FE/I
AE≒0.2が成り立つ。
【0063】
図17は、補正デバイス23の補正効果の後のx=x
1における走査経路S
1に沿った走査プロフィール強度比I
K1(y)を実線形式に示している。走査経路S
1に沿って、領域y
Fy
E内に減衰体28を用いた減衰の結果として、強い強度減衰が発生している。更に、
図17は、いかなる減衰体28の影響もない場合の走査プロフィールS
1にわたる強度プロフィールI
0(y)を破線形式で例示している。補正デバイスによる影響付与後の走査積分合計強度をI
AE,K1と表記する。
【0064】
補正デバイス23は、減衰体28を使用することにより、照明視野18の内側区画に対してこの内側区画を取り囲む外側区画に影響を及ぼすことなく影響を及ぼすように入射光ビーム3に影響を及ぼすことができるので、例えば、照明視野18の内側区画を照明する照明光ビーム3を減衰させる一方、走査経路S
1の始端と終端とにおいて実質的に影響を受けない状態に留めることができる。
【0065】
比I
FE/I
AE、すなわち、走査積分照明光強度のうちで大きい結像収差を受ける比率は、強度減衰に起因して、特に走査経路S
1の区画y
Fy
E内で大幅に低下しており、約I
FE,I
AE,K1=0.05である。
【0066】
図18は、走査経路S
1にわたって積分された収差A
itに対する補正デバイス23の効果の影響を示している。
【0068】
図16に記載の走査プロフィールI
0(y)の場合には、積分走査収差A
int,0は、
図17に記載の強度走査プロフィールI
K1(y)の場合の積分走査収差A
int,Kの約2倍である。
【0069】
図19、20は、x=x
2における第2の走査経路S
2の場合(
図21を参照されたい)の補正デバイス23の収差低減効果を示している。この場合に、結像収差パラメータAは、(y
A+y
E)/2において最大値を有する。走査経路S
2の2つの縁部に向けて、結像収差パラメータAは、値A
minに至るまでほぼガウス分布で低下する。
図20に記載の強度走査プロフィールI
K2(y)は、
図19に記載の結像パラメータのこの分布を考慮している。この走査プロフィールは、走査点(y
A+y
E)/2において強度低下を有し、従って、最も高い結像収差値は、低い強度にしか寄与しない。それによって
図16に記載のガウス強度入射と比較して、走査積分収差A
intの低減がもたらされる。
【0070】
同様な方法で、走査プロフィールの変更によって収差をターゲット方式で生成することができる。このターゲット方式での収差生成は、補正又は補償の目的で、すなわち、例えば、光学系の調節中又は投影露光装置の作動中に検出される波面収差を補正するために使用することができる。
【0071】
像視野20にわたって空間的に分解され、利用可能であって測定されたか又は計算された結像収差データを起点として、それに関して走査積分収差の対応する低減をもたらす走査プロフィールI(y)は、例えばラドン変換を用いて求めることができる。この目的のために、視野にわたる必要とされる強度分布I(x,y)をもたらす、随伴ラドン変換に対する解析的な反転公式の適切な離散化を使用することができる。対応するアルゴリズムは、W.H Press、S.A.Teukolsky、W.T.Vetterling、B.P.Flannery著「Cによる数値計算レシピ(Numerical Recipes in C)」、Cambridge University Press、2002年、第3章及び第4章に記載されている。この場合に、Stephen Boyd、Lieven Vandenberghe著「凸最適化(Convex Optimization)」、Cambridge University Press、2004年又はWalter Alt著「非線形最適化(Nichtlineare Optimierung)」、Vieweg、2002年、更に、Frank Natterer著「コンピュータ断層撮影の数学(The Mathematics of Computerized Tomography)」、John Wiley & Sons、1986年、特に第II.1節及び第II.2節、9ページから30ページから引用することができる凸計画アルゴリズムを使用することができる。これらのアルゴリズムを用いて定式化される割り当て問題は、従来の数学プログラム、例えば、Matlab(登録商標)のレパートリーの一部である標準的方法、例えば、逐次2次計画法(SQP)によって解くことができる。異なる走査経路S
1、S
2、...S
nに沿った結像収差最小化の過程において、走査積分強度が各x値において同一であるという2次条件を考慮することができる。収差関数A(y)への強度関数I(y)の割り当て問題の定式化において、WO 2010/034674 A1に記載されている仕様に達する階層的ターゲットを拠り所とすることができる。
【0072】
従来技術で公知の投影レンズ構造の通例の設計方法を土台として、結像収差パラメータの走査依存性A(y)に対する照明強度走査プロフィールI(y)の効果を使用することにより、光学系の新しい設計方法をもたらすことができる。この新しい設計方法は、適切な強度走査プロフィールI(y)を通じて特定の結像収差依存性A(y)を補償することができるということを考慮する。そのような設計方法では、最初に強度走査プロフィールI(y)の標準偏差が事前選択される。その後に、補正デバイスの感度sが、変更されていない走査プロフィール、例えば、
図16に記載の走査プロフィールI
0(y)を有する光学設計を、変更された走査プロフィールI
K(y)を有する設計と比較することによって計算される。この場合に、感度sは、個々のベクトル座標が結像収差パラメータ、例えば、視野点分解のゼルニケ多項式による結像収差の展開係数を表すベクトルを表している。差の形成が実施された後に、結像収差に対する補正効果が評価される。評価又はメリット関数は、付加的な重み付け項を含むことができる。次に、補正デバイス23が、結像収差の補正において必要とされる強度走査プロフィールI
K(y)をもたらすように設定される。
【0073】
補正デバイス23のこの作動方式を用いて、設計に依存する像視野20のy座標に依存する結像収差、そうでなければ例えば照明系24又は投影光学ユニット19内の熱ドリフト又は光源2の不安定性を補正することができる。
【0074】
下記では、投影露光装置に対して使用するための照明系の更に別の実施形態、及び照明系の照明ビームの強度に影響を及ぼすための補正デバイスの2つの更に別の実施形態を
図9から
図11を参照して説明する。
図1から
図8を参照して上述したものに対応する構成要素は同じ参照番号を伴い、これらに対しては再度詳細には解説しない。
【0075】
図1に記載の投影露光装置1の代わりに使用することができる
図9に記載の投影露光装置40aの場合には、
図9におけるいくつかの光学構成要素を反射構成要素ではなく屈折構成要素を略示している。そのような屈折構成要素が実際に使用される場合には、投影露光装置40aは、深紫外領域(DUV又はVUV)内に波長を有する照明光又は結像光3を用いて作動される。
【0076】
図9から
図11には、位置関係の表現を容易にするために、直交xyz座標系を再現している。
図9では、x方向は、作図面と垂直にかつ作図面に向けて延びている。y方向は、
図9の上方に延びている。z方向は、
図9の右に向けて延びている。
【0077】
投影露光装置40aの走査方向は、y方向に、すなわち、
図9の作図面内で延びている。
図9に示す子午断面内では、投影露光装置40aの光学構成要素のうちの大部分は、z方向に延びる光学軸41aに沿って並べられる。投影露光装置40aを小型にするために、光学軸41aを
図9に示すもの以外の手法で折り返すことができることは言うまでもない。
【0078】
投影露光装置40の全体的に24で表記している照明系は、レチクル(具体的な詳細を示していない)の形態にある転写される構造が配置された物体平面又はレチクル平面16の物体視野又は照明視野18の定められた照明に使える。照明系24は、1次光源2と、照明光又は結像光3を物体視野18に向けて案内するための光学構成要素を有する照明光学ユニット24とを含む。1次光源2は、193nmの作動波長を有するArFレーザであり、その照明光線は、光学軸41に関して同軸に位置合わせされる。他のUV光源、例えば、157nmの作動波長を有するF
2エキシマレーザ、248nmの作動波長を有するKrFエキシマレーザ、及びより高い又はより低い作動波長を有する1次光源も同じく可能である。
【0079】
光源2から発し、小さい矩形断面を有する照明光3の光線は、最初にビーム拡大光学ユニット42に入射し、ビーム拡大光学ユニット42は、実質的に平行な光を含み、大きい矩形断面を有する照明光3の射出光線を発生させる。ビーム拡大光学ユニット42は、照明光3の望ましくない干渉効果を低減する要素を含むことができる。ビーム拡大光学ユニット42によって実質的に平行化された照明光3は、次に、照明光角度分布を発生させるためのマイクロミラーアレイ(多ミラーアレイ、MMA)43上に入射する。マイクロミラーアレイ43は、xy格子で配置された複数の矩形の個々のミラー44を有する。個々のミラー44の各々は、それに関連付けられた傾斜アクチュエータ45に接続される。傾斜アクチュエータ45の各々は、アクチュエータ45を駆動するためのコントローラ47に制御線46を通じて接続される。アクチュエータ45は、コントローラ47を用いて互いに独立して駆動することができる。アクチュエータ45の各々は、関連付けられた個々のミラー44によって反射される照明光部分ビーム48のxy平面内の反射角AS
xを予め定め、相応にxz平面内の反射角AS
x(図面内には例示していない)を予め定めることができるように、個々のミラー44のx傾斜角(xz平面内の傾斜)を予め定め、それとは独立してy傾斜角(yz平面内の傾斜)を予め定めることができる。
【0080】
MMA43によって発生する照明光部分ビーム48の反射角ASの角度分布は、その焦点距離であるMMA43からの距離のところに位置決めされたフーリエレンズ要素配置又はコンデンサー49を通過するときに、2次元照明光強度分布、すなわち、光学軸41と垂直に場所に依存する照明光強度分布に変換される。従って、こうして発生した強度分布は、照明系24の第1の照明平面17に存在する。従って、フーリエレンズ要素配置49と共に、MMA43は、2次元照明光強度分布を発生させるための光分布デバイスを構成する。
【0081】
第1の照明平面50の領域内には、フライアイコンデンサーとも表記するラスターモジュール52の第1のラスター配置51が配置される。ラスターモジュール52上のyz平面内の入射角ER
y(
図9を参照されたい)及びxz平面内の入射角ER
x(図面内には例示していない)は、MMA43からの照明光部分ビーム48の反射角AS
y(
図9を参照されたい)、AS
x(図面内には例示していない)、及び/又は照明光部分ビーム48がMMA43、すなわち、それぞれの個々のミラー44から射出する場所と相関付けられる。この相関は、フーリエレンズ要素配置49によって予め決定される。フーリエレンズ要素配置49を使用する場合に、すなわち、コンデンサーを用いない場合に、フーリエレンズ要素配置49が、角度の空間座標への変換を近似的にもたらされるので、第1のラスター配置51上の照明光部分ビーム48の入射の場所は、MMA43からの照明光部分ビーム48の反射角AS
x、AS
yと直接的に相関付けられる。フーリエレンズ要素配置49の使用とコンデンサー49の使用の両方が、空間座標の角度への変換をもたらすので、フーリエレンズ要素配置49が使用される場合とコンデンサー49が使用される場合の両方において、ラスターモジュール52上の照明光部分ビーム48の入射角ER
x、ER
yは、MMA43上の照明光部分ビーム48の位置、すなわち、それぞれの照明光部分ビーム48が射出する個々のミラー44と直接的に相関付けられる。
【0082】
ラスターモジュール52は、2次光源の空間分布配置、すなわち、1次光源2の像の空間分布配置を発生させ、従って、ラスターモジュール52から射出する照明光の定められた照明角度分布の発生に使える。
【0083】
第2のラスター配置54が、更に別の照明平面53に配置される。照明平面50は、第2のラスター配置54の個々の要素の前側焦点面内、又はその近くに存在する。2つのラスター配置51、54は、照明光学ユニット25のフライアイコンデンサーを構成する。更に別の照明平面53は、照明系24の瞳平面であり、又は照明系24の瞳平面に近い。従って、ラスターモジュール52を視野定義要素(FDE)とも表記する。
【0084】
照明光部分ビーム48が第2のラスター配置54を出るところにおけるyz平面内の反射角AR
y(
図9を参照されたい)及びxz平面内の反射角AR
x(図面内には例示していない)は、それぞれの照明光部分ビーム48が物体視野18上に入射する物体視野18内の空間領域に一意的に割り当てられる。
【0085】
ラスターモジュール52の下流には、視野レンズ要素とも表記する更に別のコンデンサー55が配置される。第2のラスター配置54と共に、コンデンサー55は、第1の照明平面50を照明系24の視野中間平面56に結像する。視野中間平面56内には、照明光強度分布の鮮明な縁部を発生させるための調節可能遮蔽絞りとして機能するレチクルマスキングシステム(REMA)57を配置することができる。下流のレンズ58は、視野中間平面56をレチクル平面16内に置かれたレチクル、すなわち、リソグラフィの原画上に結像する。レチクル平面16は、投影レンズ19を用いて、ウェーハ又は像平面21上に結像され、走査方向(y)に断続的又は連続的に変位したウェーハ(
図9には例示していない)上に結像される。
【0086】
ラスター構造及びラスターモジュール52の機能は、原理的にWO 2007/093433 A1及びWO 2009/135586 A1に記載されているものに対応する。
【0087】
視野中間平面56は、照明光ビーム3の強度への2次元影響付与のための補正デバイス59の噴出チャネル平面と一致する。補正デバイス59の機能は、
図1から
図8に関して上述した補正デバイス23のものに対応する。上述した補正デバイス23のものに対応する補正デバイス59の構成要素は、同じ参照番号を伴い、これらに対しては再度詳細には解説しない。
【0088】
図9には補正デバイス59の入射窓60及び射出窓61しか例示しておらず、この補正デバイスの更なる詳細は、
図10を参照することで明らかになる。
【0089】
入射窓60と射出窓61の両方は、照明光又は結像光3に対して透過性を有する。補正デバイス59の一部は、噴出デバイス26と回収デバイス32の間の減衰体28の軌道が通過する真空チャンバ62である。入射窓60及び射出窓61は、真空チャンバ62のチャンバ壁内に気密方式で挿入される。噴出デバイス26及び回収デバイス32は、真空チャンバ62内に封入される。
【0090】
図10には、排出ライン34と回収デバイス32から噴出デバイス26に向けての減衰体材料の帰路とを示していない。そのような帰路は、真空チャンバ62内に経路決定するか又はチャンバ壁を貫通する気密通路を通過して誘導することができる。
【0091】
噴出チャネル平面56は、
図10の作図面に対して垂直である。この噴出チャネル平面内で、噴出チャネルの軌道38は互いに平行に延びている。
図10では、軌道38は、上部から下部に垂直に延びている。
【0092】
異なる噴出チャネルの減衰体28に対する噴出瞬間の制御を用いて、視野中間平面56内の照明光ビーム3の強度分布、従って、物体平面16内で対応する強度分布をここでもまた2次元で予め定めることができる。この場合に、更に、補正デバイス59は、照明視野18の内側区画に対してこの内側区画を取り囲む外側区画に影響を及ぼすことなく影響を及ぼすことができるような効果を照明視野18の照明強度に対して有する。
【0093】
補正デバイス59と、照明光学ユニット25と、レチクルを物体平面16内に装着するための物体ホルダ(
図9には例示していない)と、
図1に記載の実施形態の構成要素17a、17bに対応する物体ホルダドライバとは、
図9に記載の実施形態における照明及び変位デバイスの更に別の実施形態を構成する。
【0094】
更に、投影露光装置40は、像平面21内のミラー視野20にわたる波面を測定するために、
図1に記載の実施形態の測定デバイス25aに対応する測定デバイスを含むことができる。投影光学ユニット19と、基板ホルダドライブ及び物体ホルダドライバと基板ホルダドライブとを同期させるための同期ユニット(
図9には例示していない)を有するウェーハ基板ホルダ(同じく
図9には例示していない)とは、照明及び変位デバイスと共に光学系を構成する。
【0095】
補正デバイス59は、
図1から
図8に記載の投影露光装置1内に使用することができる。それに応じて、
図1から
図8に記載の補正デバイス23を
図9に記載の投影露光装置40内に使用することができる。
【0096】
図11は、補正デバイス23及び59それぞれの代わりに使用することができる補正デバイスの更に別の実施形態63を示している。
【0097】
噴出チャネル平面56は、
図11の作図面内で延びている。噴出チャネル平面56は、この場合にも
図9に記載の照明系24の視野中間平面と一致させることができ、又は
図1から
図8に記載の実施形態におけるものと同じく物体平面16に近接させることができる。z方向に互いから分離した複数の真空チャンバ平面56を存在させることができる。
図11では、照明光ビーム3の光線方向は、作図面と垂直に延びている。
【0098】
補正デバイス63の噴出デバイス26は、各場合に減衰体28を噴出チャネル27から噴出チャネル平面56内の軌道38に沿って噴出する複数の部分噴出ユニット64に更に分割される。
図11は、複数の部分噴出ユニット64と、その噴出チャネル27と、これらの噴出チャネル27を通じて噴出される減衰体28の軌道38とを示している。従って、減衰体28は、異なる部分噴出ユニット64を用いて異なる周縁点から複数の注入角度で注入される。
【0099】
部分噴出ユニット64は、照明光ビーム3の周囲に分散して配置される。
図11には、部分噴出ユニット64のうちの一部しか例示していない。実際には照明光ビーム3の断面の周囲には非常に多くの部分噴出ユニット64が配置されるので、軌道38は、噴出チャネル平面56内で部分的に高く、部分的に低い軌道密度を伴って照明光ビーム3の断面内の事実上すべての場所に到達する。
【0100】
部分噴出ユニット64の各々には、減衰体28に対する部分回収デバイス32の対応する部分回収ユニットが割り当てられる。
図11には、減衰材料の排出ライン及び場合によって部分噴出ユニットへの帰路と同様に、これらの部分回収ユニットを示していない。補正デバイス63の部分噴出ユニット64の噴出チャネル27の異なる角度で注入されて部分的に交差する軌道38を使用することにより、照明光ビーム3の2次元強度分布を
図1から
図8に記載の補正デバイス23に関して上述したものと同様に、定められた方法で減衰体28による照明光ビーム3のそれぞれの局所減衰を用いて予め定めることができる。
【0101】
図12は、補正デバイス23、59、又は63の更に別の構成要素と併用することができる補正デバイス65の更に別の構成要素を示している。補正デバイス65は、付加的な構成要素として、視野の近くに非球面平面板の形態の補正要素を有する。平面板66は、照明光及び結像光3に対して透明な材料から構成される。
図12に記載の配置の場合は後側67である2つの光学面の一方は、平面形式に具現化される。
図12に記載の配置の場合は前側68である平面板68の2つの光学面のうちの他方は、非球面形式でy方向に沿って変化する屈折力を伴って具現化される。
図12には、これを拡大抜粋図に略示している。平面板66は、投影レンズ19の一部である。
【0102】
非球面平面板66は、物体平面16の近くにある平面16’に配置することができる。そのような配置を視野に近い配置とも表記する。視野近接性を評価するために、WO 2009/024164 Aから公知のパラメータPを使用することができる。非球面平面板では、P<0.5、特にP<0.1が成り立つ。
【0103】
非球面平面板66は、走査方向yに沿った結像収差パラメータA(y)の大幅な変化を有する。非球面平面板66を使用することにより、結像収差パラメータのy依存性を照明光3の波面に対して空間分解方式で適用することができ、この依存性に対して、対応する強度走査プロフィールI(y)の事前決定によって良好な補償が施される。この手法により、非球面平面板66を用いない光学設計に起因して存在する結像収差パラメータの好ましくない場合がある分布A(y)を、対応する走査プロフィール強度分布I(y)の事前決定による補償に対してより適切な依存性に変換することができる。
【0104】
非球面平面板66は、物体視野18の少なくとも一区画内に物体変位方向yに沿った照明光3の強度の再分配をもたらす。平面板66も、照明視野18の内側区画に対してこの内側区画を取り囲む照明視野18の外側区画に影響を及ぼすことなく影響を及ぼすことができるような照明視野又は物体視野18の照明強度に対するそのような効果を有するように設計することができる。
【0105】
図13は、補正デバイス23、59、63、又は65の代わりに使用することができる補正デバイスの更に別の実施形態69を示している。
【0106】
補正デバイス69は、液晶(LCD)要素70から構成されるxyアレイとして具現化され、これらの液晶(LCD)要素70は、制御デバイス30のものに対応する機能を有する開ループ/閉ループ制御デバイス71を用いて、照明光及び結像光3に対するそれぞれの液晶要素70の透過率の事前決定に向けて個々に駆動することができる。液晶要素70は、
図13に枠70aとして略示する光学ユニット担体に接続される。液晶要素70は、透過状態と吸収状態の間で切り換えることができる。これに代えて、それぞれの液晶要素70の最大透過率と最小透過率の間で連続的に透過率を予め定めることができる。補正デバイス69の機能は、補正デバイス23のものに対応し、減衰体28は、相応に(部分的に)吸収性を有するように切り換えられる液晶要素70によって置換される。
【0107】
補正デバイス69は、ijアレイとして構成され、i及びjは、2と1000の間の範囲、又は更に大きい範囲にあるとすることができる。
【0108】
液晶要素70を用いた吸収の設定は、照明光3の直線偏光を用いて行うことができる。
【0109】
補正デバイス69も、照明視野18の内側区画に対してこの内側区画を取り囲む照明視野18の外側区画に影響を及ぼすことなく影響を及ぼすことができるように具現化することができる。
【0110】
下記では、補正デバイス23、59、63、65、又は69の代わりに使用することができる補正デバイスの更に別の実施形態72を
図14を参照して説明する。
図1から
図13及び
図15から
図20、特に
図9を参照して上述したものに対応する構成要素は同じ参照番号を伴い、これらに対しては再度詳細には解説しない。
【0111】
ミラーアレイ、特にMMA74の形態にある補正デバイス72は、照明光学ユニット25の瞳平面73に配置される。MMA43と同様に、MMA74は複数の個々のミラー75を含み、これらの個々のミラー75は、コントローラ47のような制御デバイス77を用いて制御される、それぞれに割り当てられたアクチュエータを用いて傾斜させることができる。個々のミラー75は、各場合にミラー担体(具体的な詳細を示していない)、すなわち、光学ユニット担体に接続される。
【0112】
図14は、個々のミラー75
1のうちの1つの初期位置における照明光部分ビーム48の光路48
0と、
図14に示す個々のミラー75
1の傾斜位置における同じ部分ビーム48の光路48
Kとを示している。その結果として、物体視野18にわたる照明強度のシフトがもたらされる。このシフトの効果を
図17に一点鎖線で例示している。この場合に、結果は、初期強度分布I
0(y)に代わって、一点鎖線で示すシフトされた強度分布I
K2(y)である。減衰又は吸収の結果として照明光が失われることがないので、個々のミラー75の傾斜の効果と、物体視野18にわたる照明強度の対応する再分配とは、補正デバイス72の更に改善された効果をもたらす。
図17に示す例の場合には、補正デバイス23の減衰体28を用いた減衰によって生成される既に解説した比と比較して比I
AE,K2/I
FEは増大し、従って、収差補正が改善される。
【0113】
補正デバイス72も、照明視野18の内側区画に対してこの内側区画を取り囲む照明視野18の外側区画に影響を及ぼすことなく影響を及ぼすことができるように具現化することができる。
【0114】
次に、補正デバイス23、59、63、又は65、69、又は72によって設定された照明を用いて、投影露光装置1又は40それぞれによって構造化構成要素、特にマイクロチップの形態にある半導体チップ、例えば、メモリチップを生成することができる。この目的のために、感光材料で構成された層が少なくとも部分的に上部に付加されたウェーハ22が与えられる。更に、結像される構造を含むレチクル17が与えられる。次に、投影露光装置1を用いて、レチクル17の少なくとも一部がウェーハ22の層の領域上に投影される。その後に、感光層を現像することにより、微細構造化構成要素又はナノ構造化構成要素が生成される。
【0115】
補正デバイス23、59、63、65、69、又は72は、物体視野18全域にわたって、又はこれに代えて物体視野18の1つ又はそれよりも多くの区画にわたって効果を有することができる。対応する効果は、像視野20にわたってもたらされる。
【0116】
個々に切換可能な液晶要素70の代わりに、交換器(changer)内に所定の吸収率の吸収ラスター要素を有する透過ラスター要素で構成されたアレイ配置を利用可能にすることが可能であり、それぞれのラスターを挿入することにより、強度分布I(y)を予め定めるための、それぞれに望ましい透過ラスター要素及び吸収ラスター要素の分布を発生させることができる。
【0117】
補正デバイス23、59、63、69、又は72は、パルス作動方式の光源2の場合に、照明に使用される光源2の個々の光パルスの合間に、照明視野又は物体視野18にわたる物体変位方向yに沿って空間的に分解された異なる照明強度分布I(y)の事前決定に向けて、それぞれの補正デバイス23、59、63、69の切り換えが行われるように設計することができる。
【0118】
以下では、像視野座標yに基づいて、すなわち、物体変位方向に沿った座標に依存して照明強度Iに影響を及ぼす可能性を
図22から
図25を参照して再度解説する。この効果は、上述の補正デバイスのうちのいずれかを用いて、すなわち、特に、図面に示す補正デバイス23、59、63、65、69、又は72を用いて達成することができる。
【0119】
これを補正デバイス23の効果の例に基づいて以下に例示する。
図22は、補正デバイス23による影響を受けていない視野照明の理想的な場合を示している。
【0120】
3つ全ての視野点y
1=y
A、y
2、及びy
3=y
Eにおいて、照明強度I=I0がもたらされる。3つの視野点y
1、y
2、及びy
3は、互いに対して等距離に置かれる。
【0121】
図23は、第1の影響を及ぼす状況、すなわち、y座標に沿った液滴28の第1の分布の場合の補正デバイス23の効果、又は例えば上述の補正デバイスの異なる変形の場合である異なるミラー傾斜位置の場合の効果を示している。座標y
1では、照明強度I
1(y
1)がもたらされ、すなわち、物体変位方向に沿う3つの物体視野点y
1、y
2、y
3のうちの第1のものにおいて、第1の物体視野点y
1の影響を受けていない強度I
0から第1の強度に影響を及ぼす係数k
1だけずれた強度がもたらされる。強度に影響を及ぼす係数k1に対しては、k1=I
1(y
1)/I
0が成り立つ。この第1の影響を及ぼす状況では、物体変位方向に沿う第2の物体視野点y
2における補正デバイス23の効果から強度I
1(y
2)がもたらされる。この強度は、第2の物体視野点(y2)における影響を受けていない強度I0から第2の強度に影響を及ぼす係数k2だけずれる。k2=I
1(y
2)/I
0が成り立つ。更に、k1≠k2が成り立つ。
【0122】
図24は、補正デバイス23の第2の影響を及ぼす状況の場合に、すなわち、第1の影響を及ぼす状況と比較して変化した影響を及ぼす状況の場合の強度比を示している。この状況において、今度はy座標に沿った液滴28の異なる分布、又は補正デバイスの異なる実施形態の場合には、例えば、異なるミラー傾斜位置が存在する。
【0123】
第2の影響を及ぼす状況において第1の物体視野点y
1における強度に影響を及ぼすことは、この場合に更に関連のあるものではない。物体変位方向y
2に沿う第2の物体視野点y
2では、第2の影響を及ぼす状況において得られる照明強度I
2(y
2)は、影響を受けていない強度I
0から、この場合にも正確に第1の強度に影響を及ぼす係数k1だけずれる。従って、I
2(y
2)=k1×I
0が成り立つ。更に、I
1(y
1)=I
2(y
2)が成り立つ。
【0124】
補正デバイス23の第2の影響を及ぼす状況では、第3の物体視野点y
3における強度I
2(y
3)は、影響を受けていない強度I
0から第3の強度に影響を及ぼす係数k3だけずれる。従って、I
2(y
3)=k3×I
0が成り立つ。補正デバイス23の自由な調節機能に起因して、k3≠k2が成り立つ。従って、I
1(y
2)=I
2(y
3)が成り立つ。この図は、補正デバイス23の第1の照明状況のy座標に沿った強度プロフィールI
1を実線で、更に第2の影響を及ぼす状況におけるy座標に沿った強度プロフィールI
2を破線で示している。破線のI
2曲線は、物体視野点y
3において値I
1(y
2)に達せず、むしろI
2(y
3)<I
1(y
2)が成り立つ。
【0125】
y座標を用いた強度に影響を及ぼすことの調節可能な自由度に関して、例えば、y座標に沿って挿入することができるニュートラルフィルタと比較して補正デバイス23の卓越性がここで明らかである。そのようなニュートラルフィルタを用いた場合には、
図25の第3の物体視野点y
3の領域内で一点鎖線で続く第2の影響を及ぼす状況における強度に影響を及ぼすI
2’を得ることしかできないであろう。この強度に影響を及ぼすI
2’は、物体視野点y
3において必然的に値I
2’(y
3)=I
1(y
2)に達する。従って、本発明によるものではないそのようなニュートラルフィルタでは、不等式I
1(y
2)≠I
2(y
3)を成り立たせることができない。