特許第6205032号(P6205032)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6205032直流電力ケーブル用絶縁性樹脂組成物、樹脂架橋体、直流電力ケーブル、直流電力ケーブル接続部の補強絶縁層形成用部材および直流電力ケーブル接続部
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  • 特許6205032-直流電力ケーブル用絶縁性樹脂組成物、樹脂架橋体、直流電力ケーブル、直流電力ケーブル接続部の補強絶縁層形成用部材および直流電力ケーブル接続部 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6205032
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】直流電力ケーブル用絶縁性樹脂組成物、樹脂架橋体、直流電力ケーブル、直流電力ケーブル接続部の補強絶縁層形成用部材および直流電力ケーブル接続部
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/06 20060101AFI20170914BHJP
   C08L 51/06 20060101ALI20170914BHJP
   C08K 5/372 20060101ALI20170914BHJP
   C08K 5/14 20060101ALI20170914BHJP
   C08K 5/13 20060101ALI20170914BHJP
   H01B 9/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   C08L23/06
   C08L51/06
   C08K5/372
   C08K5/14
   C08K5/13
   H01B9/00 C
【請求項の数】12
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-156483(P2016-156483)
(22)【出願日】2016年8月9日
【審査請求日】2017年6月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000230331
【氏名又は名称】株式会社NUC
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100066
【弁理士】
【氏名又は名称】愛智 宏
(72)【発明者】
【氏名】毛利 弘教
(72)【発明者】
【氏名】湯澤 伸貴
(72)【発明者】
【氏名】立川 毅
(72)【発明者】
【氏名】森 杏奈
(72)【発明者】
【氏名】森 大樹
(72)【発明者】
【氏名】茂森 直登
(72)【発明者】
【氏名】菊池 早記
【審査官】 中西 聡
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第104327367(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第103172918(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第103589044(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第104744782(CN,A)
【文献】 特開2009−084524(JP,A)
【文献】 特開2009−286903(JP,A)
【文献】 特開2000−129064(JP,A)
【文献】 特開平08−311252(JP,A)
【文献】 特開2011−016907(JP,A)
【文献】 特開2014−074096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/14
C08K 3/00−13/08
H01B 9/00−9/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)130℃、周波数100rad/sにおける複素粘度η* 100 が600〜1300Pa・sであり、かつ130℃、周波数0.1rad/sにおける複素粘度η* 0.1 と、前記複素粘度η* 100 との比(η* 0.1 /η* 100 )が4以上である低密度ポリエチレン100質量部と、
(B)不飽和有機酸およびその誘導体から選ばれた少なくとも1種の変性モノマーがポリエチレンにグラフトされた変性ポリエチレン5〜12質量部と、
(C)ヒンダードフェノール系酸化防止剤40〜60重量%とチオエーテル系酸化防止剤60〜40重量%との混合物からなる安定剤0.01〜0.8質量部とを有する樹脂組成物であって、
前記(A)成分、前記(B)成分および前記(C)成分の合計質量に対する、前記(B)成分により前記樹脂組成物中に導入されたカルボニル基の量が7×10-6〜1.3×10-5mol/gであることを特徴とする直流電力ケーブル用絶縁性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(B)成分は、前記(A)成分の要件を満たす低密度ポリエチレンに前記変性モノマーがグラフトされたものであることを特徴とする請求項1に記載の直流電力ケーブル用樹脂組成物。
【請求項3】
(D)有機過酸化物0.1〜5質量部を更に含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の直流電力ケーブル用絶縁性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の樹脂組成物であって、
前記(D)成分の融点が60℃以下であり、
前記(D)成分の130℃での分解時間(半減期)が1〜5時間である直流電力ケーブル用絶縁性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(B)成分は、不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸無水物および不飽和ジカルボン酸誘導体から選ばれた少なくとも1種の変性モノマーがポリエチレンにグラフトされた変性ポリエチレンであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の直流電力ケーブル用絶縁性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(B)成分は、無水マレイン酸(MAH)がポリエチレンにグラフトされた変性ポリエチレンであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の直流電力ケーブル用絶縁性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の樹脂組成物を架橋して得られることを特徴とする樹脂架橋体。
【請求項8】
180℃で3時間の加熱により発生する水分量が100ppm以下であることを特徴とする請求項7に記載の樹脂架橋体。
【請求項9】
空間電荷測定において、内部に蓄積される電荷により強調される電界の増加分が25%以下であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の樹脂架橋体。
【請求項10】
導電部材の表面に、内部半導電層と、請求項7〜9の何れかに記載の樹脂架橋体からなる絶縁層とが積層されてなることを特徴とする直流電力ケーブル。
【請求項11】
直流電力ケーブルどうしを接続するにあたり、直流電力ケーブルの導電部材の接続部を含む前記導電部材の露出部分を被覆している接続部内部半電導層上に巻回され、架橋により前記接続部内部半電導層上に補強絶縁層を形成するための補修用のテープ状部材であって、請求項1〜6の何れかに記載の樹脂組成物からなることを特徴とする直流電力ケーブル接続部の補強絶縁層形成用部材。
【請求項12】
直流電力ケーブルどうしが接続されてなり、直流電力ケーブルの導電部材の接続部を含む前記導電部材の露出部分を被覆している接続部内部半導電層上に、請求項7〜9の何れかに記載の樹脂架橋体からなる補強絶縁層が形成されてなることを特徴とする直流電力ケーブル接続部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電力ケーブル用絶縁性樹脂組成物、この樹脂組成物を架橋して得られる樹脂架橋体、この樹脂架橋体からなる絶縁層を備えた直流電力ケーブル、直流電力ケーブルどうしを接続するにあたり使用する直流電力ケーブル接続部の補強絶縁層形成用部材、樹脂架橋体からなる補強絶縁層が形成されてなる直流電力ケーブル接続部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力を送電する方式として交流送電形式が広く使用されている。
しかし、交流送電は長距離送電の場合に送電ロスが大きいため、長距離送電に直流送電形式を用いることがある。
【0003】
直流送電形式に使用されるケーブル(直流電力ケーブル)として、油入絶縁ケーブルが広く使用されている。
しかし、油入絶縁ケーブルでは、ケーブル内に絶縁油を保持するために加圧ポンプなどの定期的なメンテナンスが必要であり、また、絶縁油が流出した際の環境への影響が問題となる。
このため、メンテナンスが容易で、油漏えいの危険性がない直流電力ケーブルとして、絶縁性樹脂組成物によって形成される絶縁層を備えた直流電力ケーブルが紹介されている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−7653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献に記載されているものを含め、従来公知の直流電力ケーブル用の絶縁性樹脂組成物には、下記のような問題がある。
【0006】
(1)樹脂組成物を押出加工する際のトルクが高いため、押出機には多大な負荷がかかる。このため押出機を高回転で運転することが困難となり、押出加工速度(ケーブルの製造効率)が制限される。
長距離送電に用いられる直流電力ケーブルとして、長尺のケーブル、例えば、数km〜数百kmのケーブルが求められている。
しかし、押出加工時の初期樹脂圧力も高く、異物による閉塞などに起因するスクリーンメッシュの破壊防止のために設定される許容樹脂圧力までの到達時間が短いので、長尺のケーブルを製造することが困難である。
【0007】
(2)押出機ヘッドから吐出した樹脂組成物(押出成形体)の垂れ下がり(サグ)が生じやすく、サグが生じることでケーブル絶縁体の真円率が低下し、得られる直流電力ケーブルの電気絶縁性が損なわれる。
【0008】
(3)押出加工時にスコーチ(押出機内における樹脂組成物の焼け)を生じやすいため、長尺のケーブルを製造することが困難である。
【0009】
(4)ケーブルどうしを接続する際などにおいて、再加熱時に発生する二次分解水量が多いために、絶縁性能の低下を招きやすい。
ここに、「再加熱時に発生する二次分解水量」とは、樹脂組成物を架橋して得られる樹脂架橋体を加熱したときに発生する水分量をいう。
この明細書では、樹脂組成物を架橋するための加熱の後に再びなされる加熱であるため「再加熱」といい、樹脂組成物を架橋するための加熱により発生する水分量(一次分解水分量)と区別するために「二次分解水量」というものとする。
【0010】
(5)また、直流電力ケーブル用の絶縁性樹脂組成物には、良好な直流電気特性を安定して発揮する樹脂架橋体を形成できることが要求される。
【0011】
(6)更に、直流電力ケーブル用の絶縁性樹脂組成物には、これを押出加工する際の樹脂圧力が安定し、これによって形成される絶縁層の厚みにバラツキがないこと(偏肉率が小さいこと)が要求される。
【0012】
本発明は、以上のような事情に基いてなされたものである。本発明の目的は、押出加工する際のトルクが適正で押出加工性に優れ、押出成形体において、ケーブル絶縁体の真円率の低下を招くサグが生じにくく、耐スコーチ性が良好であるとともに、ケーブルどうしを接続する際の再加熱時に発生する二次分解水量が少なく、良好な直流電気特性を安定して発揮する絶縁層(樹脂架橋体)を形成することができるとともに、押出加工する際の樹脂圧力が安定していて、押出安定性に優れ、厚みのバラツキ(偏肉率)が小さい絶縁層を形成することができる直流電力ケーブル用絶縁性樹脂組成物を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、上記の樹脂組成物を架橋して得られ、良好な直流電気特性を安定して発揮することができ、再加熱時に発生する二次分解水量が少なく、水トリーの発生等の性能を低下させる要因を抑制することができる絶縁層を構成することができる樹脂架橋体を提供することにある。
【0014】
本発明の更に他の目的は、上記の樹脂架橋体からなる絶縁層を備えた直流電力ケーブルを提供することにある。
本発明の更に他の目的は、上記の樹脂組成物からなる直流電力ケーブル接続部の補強絶縁層形成用部材を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、上記の樹脂架橋体からなる補強絶縁層が形成されてなる直流電力ケーブル接続部を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
〔1〕本発明の直流電力ケーブル用絶縁性樹脂組成物は、
(A)130℃、周波数100rad/sにおける複素粘度η* 100 が600〜1300Pa・sであり、かつ130℃、周波数0.1rad/sにおける複素粘度η* 0.1 と、前記複素粘度η* 100 との比(η* 0.1 /η* 100 )が4以上である低密度ポリエチレン100質量部と、
(B)不飽和有機酸およびその誘導体から選ばれた少なくとも1種の変性モノマーがポリエチレンにグラフトされた変性ポリエチレン5〜12質量部と、
(C)ヒンダードフェノール系酸化防止剤40〜60重量%とチオエーテル系酸化防止剤60〜40重量%との混合物からなる安定剤0.01〜0.8質量部とを有する樹脂組成物であって、
前記(A)成分、前記(B)成分および前記(C)成分の合計質量に対する、前記(B)成分により前記樹脂組成物中に導入されたカルボニル基の量が7×10-6〜1.3×10-5mol/gであることを特徴とする。
【0016】
本発明の樹脂組成物は、(A)成分である低密度ポリエチレンの複素粘度η* 100 が600〜1300Pa・sであることにより、押出加工する際のトルクが適正で押出加工性に優れている。
【0017】
また、この低密度ポリエチレンにおける比(η* 0.1 /η* 100 )が4以上であることにより、押出成形体においてサグが生じにくく、これにより、ケーブル絶縁体の真円率を高く保持することができる。
【0018】
また、チオエーテル系酸化防止剤を40質量%以上の割合で含み、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を60質量%以下の割合で含む安定剤を0.01〜0.8質量部の割合で含有することにより、耐スコーチ性が良好である。
【0019】
また、チオエーテル系酸化防止剤を60質量%以下の割合で含み、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を40質量%以上の割合で含む安定剤を0.01〜0.8質量部の割合で含有することにより、ケーブルどうしを接続する際などにおける再加熱時に発生する二次分解水量を少なくすることができる。
【0020】
また、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計質量に対するカルボニル基の量が7×10-6mol/g以上であることにより、良好な直流電気特性を安定して発揮する絶縁層(樹脂架橋体)を形成することができる。
【0021】
また、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計質量に対するカルボニル基の量が1.3×10-5mol/g以下であることにより、押出加工する際の樹脂圧力が安定していて、押出安定性に優れ、厚みのバラツキ(偏肉率)が小さい絶縁層を形成することができる。
【0022】
〔2〕本発明の直流電力ケーブル用絶縁性樹脂組成物において、前記(B)成分は、前記(A)成分の要件を満たす低密度ポリエチレンに前記変性モノマーがグラフトされたものであることが好ましい。
【0023】
〔3〕本発明の直流電力ケーブル用絶縁性樹脂組成物において、(D)有機過酸化物0.1〜5質量部を更に含有することが好ましい。
【0024】
〔4〕上記〔3〕の樹脂組成物において、前記(D)成分の融点が60℃以下であり、前記(D)成分の130℃での分解時間(半減期)が1〜5時間であることが好ましい。
〔5〕本発明の直流電力ケーブル用絶縁性樹脂組成物において、前記(B)成分は、不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸無水物および不飽和ジカルボン酸誘導体から選ばれた少なくとも1種の変性モノマーがポリエチレンにグラフトされた変性ポリエチレンであることが好ましい。
【0025】
〔6〕本発明の直流電力ケーブル用絶縁性樹脂組成物において、前記(B)成分は、無水マレイン酸(MAH)がポリエチレンにグラフトされた変性ポリエチレンであることが好ましい。
【0027】
〔7〕本発明の樹脂架橋体は、本発明の樹脂組成物を架橋して得られることを特徴とする。
【0028】
〔8〕本発明の樹脂架橋体において、180℃で3時間の加熱により発生する水分量が100ppm以下であることが好ましい。
【0029】
〔9〕本発明の樹脂架橋体は、空間電荷測定において、内部に蓄積される電荷により強調される電界の増加分が25%以下であることが好ましい。
【0030】
〔10〕本発明の直流電力ケーブルは、導電部材の表面に、内部半導電層と、本発明の樹脂架橋体からなる絶縁層とが積層されてなることを特徴とする。
【0031】
〔11〕本発明の補強絶縁層形成用部材は、直流電力ケーブルどうしを接続するにあたり、直流電力ケーブルの導電部材の接続部を含む前記導電部材の露出部分を被覆している接続部内部半電導層上に巻回され、架橋により前記接続部内部半電導層上に補強絶縁層を形成するための補修用のテープ状部材であって、本発明の樹脂組成物からなることを特徴とする。
【0032】
〔12〕本発明の直流電力ケーブル接続部は、直流電力ケーブルどうしが接続されてなり、直流電力ケーブルの導電部材の接続部を含む前記導電部材の露出部分を被覆している接続部内部半導電層上に、本発明の樹脂架橋体からなる補強絶縁層が形成されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明の樹脂組成物は、押出加工する際のトルクが適正で押出加工性に優れ、押出成形体において、ケーブル絶縁体の真円率の低下を招くサグが生じにくく、耐スコーチ性が良好であるとともに、ケーブルどうしを接続する際の再加熱時に発生する二次分解水量が少なく、良好な直流電気特性を安定して発揮する絶縁層(樹脂架橋体)を形成することができるとともに、押出加工する際の樹脂圧力の変動が小さくて押出安定性に優れ、厚みのバラツキ(偏肉率)が小さい絶縁層を形成することができる。
【0034】
本発明の樹脂架橋体は、上記の樹脂組成物を架橋して得られ、良好な直流電気特性を安定して発揮することができ、再加熱時に発生する二次分解水量が少なくて水トリーの発生を抑制することができる絶縁層を構成することができる。
【0035】
本発明の直流電力ケーブルは、真円率が高く、良好な直流電気特性を発揮することができ、直流破壊電界(絶対値)が高くて絶縁性に優れている。
【0036】
本発明の直流電力ケーブル接続部は、直流破壊電界(絶対値)が高くて絶縁性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の直流電力ケーブルの一例を示す横断面図である。
図2】本発明の直流電力ケーブル接続部の一例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の樹脂組成物は、低密度ポリエチレンからなる(A)成分と、変性ポリエチレンからなる(B)成分と、安定材からなる(C)成分とを含有する。
【0039】
<(A)成分>
本発明の樹脂組成物を構成する(A)成分は、130℃、周波数100rad/sにおける複素粘度η* 100 が600〜1300Pa・sであり、好ましくは700〜1200Pa・sである。
【0040】
η* 100 が600Pa・s未満である低密度ポリエチレンによっては、得られる樹脂組成物による樹脂架橋体が十分な機械強度を有するものとならない。
【0041】
他方、η* 100 が1300Pa・sを超える低密度ポリエチレンによっては、得られる樹脂組成物を押出加工する際のトルクが過大となる(後述する比較例1および比較例2参照)。
押出加工する際のトルクが過大となると、押出機には多大な負荷がかかり、押出機を高回転で運転することが困難となり、押出加工速度(ケーブルの製造効率)が制限される。また、押出加工時の初期樹脂圧力が高くなるので、異物による閉塞に起因するスクリーンメッシュの破壊防止のために設定される許容樹脂圧力までの到達時間が短くなり、長尺のケーブルを製造することが困難となる。
【0042】
また、(A)成分は、130℃、周波数0.1rad/sにおける複素粘度η* 0.1 と、130℃、周波数100rad/sにおける複素粘度η* 100 との比(η* 0.1 /η* 100 )が4以上とされ、好ましくは20以上とされる。
【0043】
この比(η* 0.1 /η* 100 )が4未満であると、押出機ヘッドから吐出した樹脂組成物(押出成形体)の垂れ下がり(サグ)が生じやすくなる(後述する比較例3参照)。
サグが生じることによりケーブル絶縁体の真円率が低下し、得られる直流電力ケーブルの電気絶縁性が損なわれる。
【0044】
(A)成分の市販品としては、「DFD−0118」(株式会社NUC製)などを挙げることができる。
【0045】
<(B)成分>
本発明の樹脂組成物を構成する(B)成分は、不飽和有機酸およびその誘導体から選ばれた少なくとも1種の変性モノマーがポリエチレンにグラフトされた変性ポリエチレンである。
【0046】
変性されるポリエチレンとしては、(A)成分との相溶性の観点から、(A)成分の要件を満たす低密度ポリエチレンを使用することが好ましい。
【0047】
変性モノマーにより導入される官能基としては、カルボニル基(>C=O)、カルボキシル基(−COOH)、エステル基、酸無水物、アミド基、イミド基などの、C=O結合を有する官能基を挙げることができる。
分子鎖中のカルボニル基(>C=O)は、電極から注入された電荷のトラップ作用があり、これによって空間電荷の局在化を抑制することができる。
【0048】
好ましい変性モノマーとしては、不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸無水物および不飽和ジカルボン酸誘導体を挙げることができる。
ここに、不飽和ジカルボン酸の具体例としては、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸などを例示することができ、不飽和ジカルボン酸無水物の具体例としては、無水マレイン酸および無水イタコン酸などを例示することができ、不飽和ジカルボン酸誘導体の具体例としては、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、マレイン酸モノアミド、マレイミド、N−フェニルマレイミドおよびN−シクロヘキシルマレイミドなどを例示することができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、無水マレイン酸が好ましい。
【0049】
(B)成分の含有割合としては、(A)成分100質量部に対して5〜12質量部とされ、好ましくは8〜12質量部とされる。
(B)成分の含有割合が5質量部未満であると、(A)成分に対して(B)成分を均一分散させることが困難となる。この場合、空間電荷が局在化しやすくなり、その結果、ケーブル絶縁体に蓄積される空間電荷により強調される電界の増加分が過大(例えば、25%以上)となり、直流電力ケーブルの性能を低下させる。
他方、(B)成分の含有割合が12質量部を超えると、押出加工性が低下する。
【0050】
(B)成分の調製方法としては、低密度ポリエチレン、酸化防止剤、変性モノマーおよび有機過酸化物を押出機内で混合して加熱することにより反応させ、ペレット状もしくは顆粒状に造粒する方法を挙げることができる。
なお、(B)成分を調製する際に使用される酸化防止剤は、(B)成分の合成とともに失活し、樹脂組成物中において(C)成分を構成するものとはならない。
【0051】
<(C)成分>
本発明の樹脂組成物を構成する(C)成分は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤40〜60重量%とチオエーテル系酸化防止剤60〜40重量%との混合物からなる安定剤である。
【0052】
チオエーテル系酸化防止剤を40質量%以上の割合で含む安定剤を後述する割合で含有することにより、本発明の樹脂組成物は良好な耐スコーチ性を有するものとなる。
【0053】
また、この安定剤におけるチオエーテル系酸化防止剤の割合が60質量%以下である(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を40質量%以上の割合で含む)ことにより、本発明の樹脂組成物によって形成される樹脂架橋体の二次分解水量を少なくすることができる。
【0054】
(C)成分において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤とチオエーテル系酸化防止剤との混合比率(質量比)は、通常40〜60:60〜40とされ、好ましくは45〜55:55〜45とされる。
【0055】
チオエーテル系酸化防止剤が40質量%未満である(ヒンダードフェノール系酸化防止剤が60質量%を超える)と、得られる樹脂組成物が、良好な耐スコーチ性を発揮することができない(後述する比較例4参照)。
【0056】
他方、チオエーテル系酸化防止剤は、(D)成分として好適なジクミルパーオキサイドの分解残渣であるクミルアルコールと反応することによって二次分解水を生成するため、チオエーテル系酸化防止剤が60質量%を超える(ヒンダードフェノール系酸化防止剤が40質量%未満である)と、得られる樹脂組成物によっては二次分解水量が少ない樹脂架橋体を形成することができない(後述する比較例5参照)。
【0057】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、テトラキス[メチレン−3−(3’, 5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(BASF社製イルガノックス1010)、1, 6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3, 5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製イルガノックス259)、オクタデシル−3−(3, 5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF社製イルガノックス1076)、イソオクチル−3−(3, 5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF社製イルガノックス1135)等を挙げることができる。特に好適なヒンダードフェノール系酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3’, 5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどを例示することができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0058】
チオエーテル系酸化防止剤の具体例としては、4, 4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(シプロ化成社製シーノックスBCS)、2, 2’−チオビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)(BASF社製イルガノックス1081)等を挙げることができる。特に好適なチオエーテル系酸化防止剤として4, 4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などを例示することができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0059】
(C)成分の含有割合は、(A)成分100質量部に対して0.01〜0.8質量部とされ、好ましくは0.2〜0.6質量部とされる。
(C)成分の含有割合が0.01質量部未満であると、得られる樹脂組成物の耐スコーチ性が劣り、当該樹脂組成物を架橋して得られる樹脂架橋体の耐熱性が劣る。
他方、(C)成分の含有割合が0.8質量部を超えると、得られる樹脂組成物によって二次分解水量が少ない樹脂架橋体を形成することができず、得られる樹脂架橋体からのブリードも増加する。
【0060】
<カルボニル基の量>
本発明の樹脂組成物において、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計質量に対する、(B)成分により樹脂組成物中に導入されたカルボニル基の量は、7×10-6〜1.3×10-5mol/gとされ、好ましくは8×10-6〜1.1×10-5mol/gとされる。
【0061】
カルボニル基の量が7×10-6mol/g未満である樹脂組成物によって得られる樹脂架橋体は、空間電荷形成が生じて電界変歪が起こり、良好な直流電気特性を発揮することができない(後述する比較例6および比較例8参照)。
【0062】
他方、カルボニル基の量が1.3×10-5mol/gを超える樹脂組成物を押出加工すると、樹脂圧力が安定せず、形成される樹脂架橋体(ケーブルの絶縁層)における厚みのバラツキ(偏肉率)が大きくなる(後述する比較例7参照)。
偏肉率が大きくなることによってケーブル径が不均一になり、ケーブルのドラムへの巻き取り・繰り出し作業が著しく悪くなる。
また、偏肉率が大きくなる場合には、最小の絶縁厚を基準にケーブルの設計をしなければならず、絶縁厚が必要以上に厚くなってしまう。
【0063】
<(D)成分> 本発明の樹脂組成物には、(D)成分として有機過酸化物が含有されていてもよい。
(D)成分は架橋剤として作用する。
【0064】
(D)成分の融点は60℃以下であることが好ましい。
(D)成分の融点が60℃を超えると、溶融した有機過酸化物を(A)〜(C)成分を含有する組成物に浸透させることが困難である。
【0065】
(D)成分の130℃での分解時間(半減期)は1〜5時間であることが好ましい。
(D)成分の分解時間が1時間未満であると、ケーブル押出加工時に分解反応が急激に進み、スコーチ発生の原因となる。
他方、(D)成分の分解時間が5時間を超えると、分解反応速度が遅く、ケーブル加工の常法において架橋度が十分に上がらず、得られる架橋体において目的とする耐熱性が得られない。
【0066】
(D)成分の具体例としては、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド(日油社製パーヘキシルD)、ジクミルパーオキサイド(日油社製パークミルD)、2, 5−ジメチル−2, 5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日油社製パーヘキサ25B)、α, α' −ジ(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(日油社製パーブチルP )、t−ブチルクミルパーオキサイド(日油社製パーブチルC)、ジ−t−ブチルパーオキサイド(日油社製パーブチルD)等を挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、ジクミルパーオキサイドが好ましい。
【0067】
(D)成分の含有割合は、(A)成分100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましく、更に好ましくは0.5〜3質量部である。
配合量が過少であると架橋が十分に行われず、得られる架橋体の機械特性および耐熱性が低下する。他方、配合量が過剰であると、得られる樹脂組成物を押出成形する際にスコーチが発生し、電気特性が低下する。
【0068】
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、(A)〜(C)成分を含有し、これを架橋する(樹脂架橋体を得る)場合には、更に(D)成分を含有する。
また、本発明の効果が損なわれない範囲で、各種の安定剤およびその他の添加剤が含有されていてもよい。ここに、安定剤としては、(C)成分以外の酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、銅害防止剤などを挙げることができる。また、その他の添加剤としては、無機フィラー、有機フィラー、滑剤、分散剤などを挙げることができる。
【0069】
<樹脂架橋体>
本発明の樹脂組成物は(D)成分である有機過酸化物で架橋することができる。
本発明の樹脂架橋体は、本発明の樹脂組成物を、(D)成分である有機過酸化物で架橋するこにより得られる。
本発明の樹脂架橋体からなるシートの空間電荷測定において、内部に蓄積される電荷によって強調される電界の増加分が25%以下であることが好ましい。
直流高電圧印加によって空間電荷がケーブル絶縁体中に蓄積した場合、逆極性のインパルスの印加や極性反転がなされると絶縁特性が著しく低下する。
そこで、樹脂架橋体における電界の増加分を25%以下とすることにより、良好な直流電気特性を安定して発揮する直流電力ケーブルを得ることができる。
(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計質量に対する、(B)成分により樹脂組成物中に導入されたカルボニル基の量が7×10-6mol/g以上である本発明の樹脂組成物を架橋することにより、得られる架橋体における電界の増加分を25%以下とすることができる。
【0070】
ケーブルを接続するために、本発明の樹脂架橋体を加熱した際に発生する二次分解水量は100ppm以下であることが必要である。
二次分解水量が100ppm以下であれば、ケーブルに荷電した時の水トリー発生が抑制され、その結果、ケーブルの破壊を防止できる。
(C)成分として、チオエーテル系酸化防止剤の割合が60質量%以下である(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を40質量%以上の割合で含む)安定剤を0.01〜0.8質量部含有する本発明の樹脂組成物を架橋することにより、二次分解水量が少ない(180℃で3時間の加熱により発生する水分量が100ppm以下である)樹脂架橋体を形成することができる。
【0071】
<直流電力ケーブル>
本発明の直流電力ケーブルは、導電部材の表面に、内部半導電層と、本発明の樹脂架橋体からなる絶縁層とが積層されてなる。
図1は、本発明の直流電力ケーブルの一例を示す横断面図である。
図1に示す直流電力ケーブル10は、導体11の外周面に、内部半導電層12と、本発明の樹脂架橋体からなる絶縁層13と、外部半導電層14とが積層形成され、更に、外部半導電層14の外周面に、金属遮蔽層15と、シース16とが積層配置されている。
【0072】
図1に示す本発明の直流電力ケーブル10は、導体11を被覆する内部半導電層12とともに本発明の樹脂組成物を押出成形し(この際、外部半導電層14を同時に押出成形してもよい)、当該樹脂組成物を架橋処理して樹脂架橋体からなる絶縁層13を形成し、次いで、常法に従って、金属遮蔽層15およびシース16を設けることにより製造することができる。
【0073】
絶縁層13(樹脂架橋体)を形成するための架橋処理方法としては特に限定されるものではないが、通常、加圧加熱処理等が使用される。
一例として、窒素雰囲気下で、圧力10kg/cm2 、温度280℃の加圧加熱を行い、(D)成分を開始剤とするラジカル反応により樹脂組成物の架橋を進行させる。
【0074】
本発明の直流電力ケーブル10は、真円率が高く、良好な直流電気特性を発揮し、絶縁層13の破壊が生じにくい。
【0075】
<直流電力ケーブル接続部>
本発明の直流電力ケーブル接続部は、直流電力ケーブルの導電部材の接続部を含む当該導電部材の露出部分を被覆している接続部内部半導電層上に、本発明の樹脂架橋体からなる補強絶縁層が形成されてなる。
【0076】
図2は、本発明の直流電力ケーブル接続部の一例を示す縦断面図である。
図2に示す直流電力ケーブル接続部20は、2本の直流電力ケーブル10A,10Bが接続されてなり、直流電力ケーブル10Aの導体11Aと直流電力ケーブル10Bの導体11Bとの接続部17を含む導体の露出部分を被覆している接続部内部半導電層22上に、本発明の樹脂架橋体からなる補強絶縁層23と、接続部外部半導電層24とが積層形成されてなる。
【0077】
同図において、13Aは直流電力ケーブル10Aの絶縁層、13Bは直流電力ケーブル10Bの絶縁層であり、絶縁層13Aおよび13Bは、本発明の樹脂架橋体からなる。
また、12A,14A,15Aおよび16Aは、それぞれ、直流電力ケーブル10Aの内部半導電層、外部半導電層、金属遮蔽層およびシースである。
また、12B,14B,15Bおよび16Bは、それぞれ、直流電力ケーブル10Bの内部半導電層、外部半導電層、金属遮蔽層およびシースである。
【0078】
直流電力ケーブル10Aと直流電力ケーブル10Bとを接続して、図2に示したような直流電力ケーブル接続部20を形成する際には、導体11Aと導体11Bとの接続部17を含む導体の露出部分を被覆している接続部内部半電導層22上に、本発明の樹脂組成物により作製されたテープ状部材(本発明の補強絶縁層形成用部材)を巻きつけてなるものを加熱処理して架橋させることにより、本発明の樹脂架橋体からなる補強絶縁層23を形成する。
【0079】
本発明の補強絶縁層形成用部材を加熱処理して補強絶縁層23を形成する際には、直流電力ケーブル10Aの絶縁層13Aおよび直流電力ケーブル10Bの絶縁層13Bも加熱されるが、絶縁層13A,13Bが本発明の樹脂架橋体からなることにより、当該絶縁層13A,13Bから発生する二次分解水量を少なくすることができる。
また、形成される補強絶縁層23における空間電荷の蓄積も抑制することができる。
【0080】
ケーブル接続部の製造方法としては、電圧階級、用途、施工環境などに応じて、種々の方法を採用することができ、例えば、テープモールドジョイント(TMJ)、押出モールドジョイント(EMJ)、ブロックモールドジョイント(BMJ)などを例示することができる。
【実施例】
【0081】
以下、実施例により本発明を説明する。
【0082】
<分析方法>
(1)MFR:JIS K 7210に従い、測定温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定した。
【0083】
(2)密度:JIS K 7112に従い測定した。
【0084】
(3)カルボニル基含有量:
(3−1)試料の作製
120℃、1MPa、5分間にわたり予熱された樹脂組成物を、180℃、15MPa、15分間にわたりプレス機で加熱することにより、厚み約0.2mmの架橋シート(シート状の樹脂架橋体)を作製した。得られた架橋シートの厚みをマイクロメータによって正確に測定した。
【0085】
(3−2)赤外吸収スペクトルの測定:
赤外分光光度計「FT/IR−4200」(日本分光(株)製)を用いて積算回数16回、分解能4cm-1の条件で1790cm-1の吸光度(ベースライン1760〜1840cm-1)を測定した。
【0086】
(3−3)カルボニル基含有量の算出:
濃度既知の試料により作製した検量線を用いて、シートの厚みと吸光度からカルボニル基含有量を算出した。
【0087】
(4)複素粘度
歪制御型回転レオメータ「ARES」(TA Instruments社製)にて、温度130℃、パラレルプレート間隔1.7mmで、周波数0.1rad/sにおける複素粘度η* 0.1 、および周波数100rad/sにおける複素粘度η* 100 を測定した。
【0088】
(5)水分量
カールフィッシャー水分計「MKC−510」(京都電子工業(株)製)にて、温度200℃、キャリアガス(N2 )、流量200mL/min、サンプル量1gで測定した。
【0089】
<ポリエチレンの準備>
高圧法チューブラー法によって得られ、下記のMFR、密度、複素粘度η* 100 および比(η* 0.1 /η* 100 )を有する本発明用の低密度ポリエチレン(A1)〜(A4)を準備した。
【0090】
(1)低密度ポリエチレン(A1):
MFR=1.0g/min、密度=0.92g/cm3 、η* 100 =1,200Pa・s、比(η* 0.1 /η* 100 )=56。
【0091】
(2)低密度ポリエチレン(A2):
MFR=3.0g/min、密度=0.92g/cm3 、η* 100 =1,030Pa・s、比(η* 0.1 /η* 100 )=26。
【0092】
(3)低密度ポリエチレン(A3):
MFR=2.0g/min、密度=0.92g/cm3 、η* 100 =1,160Pa・s、比(η* 0.1 /η* 100 )=34。
【0093】
(4)低密度ポリエチレン(A4):
MFR=4.7g/min、密度=0.92g/cm3 、η* 100 =740Pa・s、比(η* 0.1 /η* 100 )=26。
【0094】
低圧法によって得られ、下記のMFR、密度、複素粘度η* 100 および比(η* 0.1 /η* 100 )を有する比較用の低密度ポリエチレン(A5)〜(A7)を準備した。
【0095】
(5)低密度ポリエチレン(A5):
MFR=1.0g/min、密度=0.92g/cm3 、η* 100 =3,210Pa・s、比(η* 0.1 /η* 100 )=8。
【0096】
(6)低密度ポリエチレン(A6):
MFR=2.3g/min、密度=0.92g/cm3 、η* 100 =2,250Pa・s、比(η* 0.1 /η* 100 )=6。
【0097】
(7)低密度ポリエチレン(A7):
MFR=8.5g/min、密度=0.92g/cm3 、η* 100 =1,160Pa・s、比(η* 0.1 /η* 100 )=3。
【0098】
<変性ポリエチレンの調製>
(1)調製例B1:
下記表1に示す処方に従って、低密度ポリエチレン(A2)100質量部に対して無水マレイン酸0.5質量部およびヒンダードフェノール系酸化防止剤0.05質量部を添加し、有機過酸化物である2, 5−ジメチル−2, 5−ビス(ターシャルブチルパーオキシ)ヘキシン−3「パーヘキシン25B」(日本油脂社製)0.02質量部を用いて押出機内で混合して加熱することにより反応させることにより、カルボニル基含有量が7.75×10-5mol/gのグラフト共重合体からなる変性ポリエチレン(B1)を得た。
【0099】
(2)調製例B2:
下記表1に示す処方に従って、低密度ポリエチレン(A2)に代えて低密度ポリエチレン(A3)を使用したこと以外は調製例B1と同様にして、カルボニル基含有量が7.75×10-5mol/gのグラフト共重合体からなる変性ポリエチレン(B2)を得た。
【0100】
(3)調製例B3:
下記表1に示す処方に従って、無水マレイン酸および有機過酸化物の使用量を変更したこと以外は調製例B1と同様にして、カルボニル基含有量が1.163×10-4mol/gのグラフト共重合体からなる変性ポリエチレン(B3)を得た。
【0101】
(4)調製例B4:
下記表1に示す処方に従って、無水マレイン酸および有機過酸化物の使用量を変更したこと以外は調製例B1と同様にして、カルボニル基含有量が1.428×10-4mol/gのグラフト共重合体からなる変性ポリエチレン(B4)を得た。
【0102】
(5)調製例B5:
下記表1に示す処方に従って、無水マレイン酸および有機過酸化物の使用量を変更したこと以外は調製例B1と同様にして、カルボニル基含有量が4.89×10-5mol/gのグラフト共重合体からなる変性ポリエチレン(B5)を得た。
【0103】
(6)調製例B6:
下記表1に示す処方に従って、無水マレイン酸および有機過酸化物の使用量を変更したこと以外は調製例B1と同様にして、カルボニル基含有量が3.814×10-4mol/gのグラフト共重合体からなる変性ポリエチレン(B6)を得た。
【0104】

【表1】
【0105】
<酸化防止剤の準備>
(1)安定剤(C1):
本発明用の安定剤として、下記(2)のヒンダードフェノール系酸化防止剤(C11)50質量%と、下記(3)のチオエーテル系酸化防止剤(C12)50質量%との混合物を調製した。
【0106】
(2)安定剤(C11):
比較用の安定剤としてヒンダードフェノール系酸化防止剤「イルガノックス1010」(BASF社製)を準備した。
【0107】
(3)安定剤(C12):
比較用の安定剤としてチオエーテル系酸化防止剤「シーノックスBCS」(シプロ化成社製)を準備した。
【0108】
<実施例1〜8>
下記表2に示す処方に従って、低密度ポリエチレン(A1)〜(A4)から選ばれた(A)成分と、変性ポリエチレン(B1)〜(B4)から選ばれた(B)成分と、安定剤(C1)からなる(C)成分と、ジクミルパーオキサイドからなる(D)成分とを混合することにより本発明の樹脂組成物を得た。
【0109】
<比較例1>
下記表3に示す処方に従って、低密度ポリエチレン(A1)に代えて低密度ポリエチレン(A5)を使用したこと以外は実施例1と同様にして比較用の樹脂組成物を得た。
この比較例は、η* 100 が1300Pa・sを超える低密度ポリエチレンを使用した比較例である。
【0110】
<比較例2>
下記表3に示す処方に従って、低密度ポリエチレン(A1)に代えて低密度ポリエチレン(A6)を使用したこと以外は実施例1と同様にして比較用の樹脂組成物を得た。
この比較例は、η* 100 が1300Pa・sを超える低密度ポリエチレンを使用した比較例である。
【0111】
<比較例3>
下記表3に示す処方に従って、低密度ポリエチレン(A1)に代えて低密度ポリエチレン(A7)を使用したこと以外は実施例1と同様にして比較用の樹脂組成物を得た。
この比較例は、比(η* 0.1 /η* 100 )が4未満である低密度ポリエチレンを使用した比較例である。
【0112】
<比較例4>
下記表3に示す処方に従って、安定剤(C1)に代えて安定剤(C11)0.4質量部を使用したこと以外は実施例5と同様にして比較用の樹脂組成物を得た。
この比較例は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤のみを安定剤として使用した比較例である。
【0113】
<比較例5>
下記表3に示す処方に従って、安定剤(C1)に代えて安定剤(C12)0.4質量部を使用したこと以外は実施例5と同様にして比較用の樹脂組成物を得た。
この比較例は、チオエーテル系酸化防止剤のみを安定剤として使用した比較例である。
【0114】
<比較例6>
下記表3に示す処方に従って、変性ポリエチレン(B1)に代えて変性ポリエチレン(B5)を使用したこと以外は実施例1と同様にして比較用の樹脂組成物を得た。
この比較例は、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計質量に対するカルボニル基の量が7×10-6mol/g未満である比較例である。
【0115】
<比較例7>
下記表3に示す処方に従って、変性ポリエチレン(B1)に代えて変性ポリエチレン(B6)を使用したこと以外は実施例1と同様にして比較用の樹脂組成物を得た。
この比較例は、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計質量に対するカルボニル基の量が1.3×10-5mol/gを超える比較例である。
【0116】
<比較例8>
下記表3に示す処方に従って、変性ポリエチレン(B1)を使用しなかったこと以外は実施例1と同様にして比較用の樹脂組成物を得た。
【0117】
<評価>
上記の実施例および比較例で得られた樹脂組成物の各々について、押出加工性の評価(トルクの測定)、耐サグ性の評価、耐スコーチ性の評価、樹脂組成物により得られる樹脂架橋体の二次分解水量の測定、樹脂組成物により得られる樹脂架橋体の空間電荷特性の評価(内部に蓄積される電荷により強調される電界の増加分の測定)、樹脂組成物により得られる樹脂架橋体を絶縁層とするケーブルの直流破壊電界の測定、押出安定性の評価(樹脂圧変動率・偏肉率の測定)、樹脂組成物により得られる樹脂架橋体を補強絶縁層とする直流電力ケーブル接続部によって接続された直流電力ケーブルの直流破壊電界の測定を行った。
測定方法、評価方法、評価基準は下記(1)〜(8)のとおりである。
結果を併せて下記表2および表3に示す。
【0118】
(1)押出加工性の評価(トルクの測定):
(D)成分であるジクミルパーオキサイドを混合しないこと以外は実施例1〜7および比較例1〜8と同様の樹脂組成物を調製し、得られた樹脂組成物の各々を「ラボプラストミル20C200」〔(株)東洋精機製作所製〕にて、押出機設定温度を、C1/C2/C3/Die−130℃/130℃/130℃/130℃とし、スクリーンメッシュ(上流から下流にかけ80/200/80)、スクリュー(L/D=24、圧縮比2.5)、スクリュー回転数30rpmで押出したときのトルクを測定した。
【0119】
評価基準としては、25〜60N・mである場合を「合格」とし、25N・m未満または60N・mを超えた場合を「不合格」とした。
このトルクが25N・m未満である場合には、押出機ヘッドから吐出した樹脂組成物(押出成形体)が自重により垂れ下がり、ケーブル絶縁体の真円率が低下し、その結果著しく電気絶縁性が低下する。他方、トルクが60N・mを超える場合には、押出機に多大な負荷がかかる。
【0120】
(2)耐サグ性の評価:
実施例1〜7および比較例1〜8で得られた樹脂組成物の各々を、130℃、1MPaで3分間予熱した後、130℃、15MPaで2分間プレスすることにより、150mm×180mm×1mmの未架橋シートを形成した。
この未架橋シートから、JIS K 7162の試験片5Aを打ち抜いて採取した。
この試験片に20mm間隔の標線を付して、温度190℃の試験槽中、10分間曝露した後の標線間隔を測定した。
【0121】
評価基準としては、標線間隔が20〜60mmである場合を「合格」とし、60mmを超える場合を「不合格」とした。
標線間隔が60mmを超える場合には、押出機ヘッドから吐出した樹脂組成物(押出成形体)が自重により垂れ下がり、ケーブル絶縁体の真円率が低下し、その結果著しく電気絶縁性が低下する。
【0122】
(3)耐スコーチ性:
実施例5および比較例4〜5で得られた樹脂組成物の各々について、JIS K 6300−2に準拠して、MDR(Moving Die Rheometer)により試験温度140℃、8時間の測定を実施した。トルクが最小値から1dNm上昇するまでにかかる時間ts1を測定した。
評価基準としては、ts1が45分以上である場合を「合格」とし、45分以内である場合を「不合格」とした。
【0123】
(4)二次分解水量の測定:
実施例5および比較例4〜5で得られた樹脂組成物の各々を、170℃、5MPaで60分間プレスすることにより、150mm×180mm×10mmの架橋シート(樹脂架橋体)を形成した。得られた架橋シートの各々を180℃で3時間の加熱することにより発生した水分量をカールフィッシャー法により測定した。
評価基準としては、100ppm以下である場合を「合格」とし、100ppmを超える場合を「不合格」とした。
【0124】
(5)空間電荷特性の評価:
実施例1、5〜7および比較例6〜8で得られた樹脂組成物の各々を、120℃、1MPaで10分間プレスしてシート状に成型した後、170℃、5MPaで30分間プレスすることにより、厚さ0.3mmの架橋シート(樹脂架橋体)を得た。
得られた架橋シートの各々について、パルス静電応力法(PEA法)により空間電荷特性を評価した。温度90℃、負極性30kV/mmの直流電界を架橋シートに約48時間、連続印加した。
評価基準としては、電界増加分(最大電界/印加電界)が25%以下である場合を「合格」とし、25%を超える場合を「不合格」とした。
【0125】
(6)ケーブルの直流破壊電界の測定:
断面積2mm2 の導体(11)の外周面に、厚さ0.5mmの内部半導電層(12)と、実施例1、5〜7および比較例6〜8で得られた樹脂組成物の各々からなる厚さ1mmの樹脂層(絶縁層(13)を形成するための未架橋の樹脂層)と、厚さ0.6mmの外部半導電層(14)とを押出被覆して積層形成した。次いで、窒素雰囲気下で、温度260℃で2.5分間加熱処理を行って樹脂組成物を架橋させて絶縁層(13)を形成することにより、図1に示したような断面構成を有する長さ25mのミニチュアケーブルを製造した。
得られたミニュチュアケーブルにおける製造先口から10m後方の地点および製造後口から10m先方の地点をそれぞれ輪切りにし、当該ミニュチュアケーブルの中央部分5mの両端部に末端処理を施し、直流破壊試験機に接続して直流破壊試験を実施した。ミニュチュアケーブルの導体温度が90℃になるようにオイルバスにて調整しながら、−50kVのスタート電圧から−2kV/分のステップアップで電圧を上昇させて、破壊が起こる電界を測定した。
評価基準としては、破壊電界が−160kV/mm以下(絶対値が160kV/mm以上)である場合を「合格」とし、−160kV/mmより高い(絶対値が160kV/mm未満)である場合を「不合格」とした。
【0126】
(7)押出安定性の評価(樹脂圧変動率・偏肉率の測定):
上記(6)のミニチュアケーブルの製造時において、樹脂圧力を経時的に測定し、下記の式により樹脂圧変動率を求めた。評価基準としては、樹脂圧変動率が3%以下の場合を「合格」とし、3%を超える場合を「不合格」とした。
【0127】
樹脂圧変動率(%)=〔(最大圧力−最小圧力)/最大圧力〕×100
【0128】
また、上記(6)において輪切りにしたミニチュアケーブルの2つの断面(横断面)の各々において、円周6方向(60°間隔)の絶縁層の厚さを測定し、下記の式により偏肉率を測定した。評価基準としては、偏肉率が15%以下の場合を「合格」とし、15%を超える場合を「不合格」とした。
【0129】
偏肉率(%)=〔(最大絶縁層厚−最小絶縁層厚)/最大絶縁層厚〕×100
【0130】
(8)直流電力ケーブル接続部により接続された直流電力ケーブルの直流破壊電界の測定:
(8−1)直流電力ケーブルの接続(直流電力ケーブル接続部の形成):
断面積200mm2 の導体(11)の外周面に、厚さ1mmの内部半導電層(12)と、実施例1、5〜7および比較例8で得られた樹脂組成物の各々の架橋体からなる厚さ3mmの絶縁層(13)と、厚さ1mmの外部半導電層(14)とが被覆され、この外部半導電層(14)の外周面に、金属遮蔽層(15)とシース(16)とが積層配置されてなる直流電力ケーブルを、各例あたり2本、合計10本準備した。
【0131】
同種の樹脂架橋体からなる絶縁層(13A,13B)を備えた2本の直流電力ケーブル(10A,10B)の各々の一端部を略円錐状に切削加工した後、当該一端部を互いに対向させて露出させた導体(11A,11B)どうしを接続した。
次いで、接続された導体(11A,11B)の露出部分の周囲に半導電性テープ(接続部内部半電導層形成部材)を巻き回し、この半導電性テープの周囲に、実施例1、5〜7および比較例8で得られた樹脂組成物の各々(接続される直流電力ケーブルの絶縁層(13A,13B)を構成する樹脂架橋体を形成するために使用された樹脂組成物と同一組成のもの)からなるテープ状の補強絶縁層形成用部材を巻き回し、この補強絶縁層形成用部材の周囲に、その外周を半導電性収縮チューブ(接続部外部半電導層形成部材)を被覆した。
次いで、窒素雰囲気下に220℃で3時間にわたり、接続部内部半電導層形成部材、補強絶縁層形成用部材および接続部外部半電導層形成部材の加熱処理を行って架橋させることにより、導体(11A,11B)の露出部分の周囲に、厚さ1.6mmの接続部内部半電導層(22)と、厚さ4mmの補強絶縁層(23)と、厚さ1.6mmの接続部外部半電導層(24)とが積層形成されてなる、図2に示したような直流電力ケーブル接続部(20)(但し、各層の厚さは図2とは異なる)を形成した。
なお、接続部外部半導電層(24)の長さは760mmであり、加熱処理には、長さ1150mmの架橋管を使用した。
【0132】
(8−2)直流破壊電界の測定:
実施例1、5〜7および比較例8で得られた樹脂組成物の各々の架橋体からなる絶縁層(13A,13B)を備え、当該絶縁層(13A,13B)を構成する樹脂架橋体を形成するために使用された樹脂組成物と同一組成の樹脂組成物を使用して補強絶縁層(23)を形成した直流電力ケーブル接続部(20)によって接続された2本の直流電力ケーブル(10A,10B)に対して直流破壊試験を実施した。導体温度が90℃になるように調整しながら、−60kVのスタート電圧から−20kV/10分のステップアップで電圧を上昇させて破壊電界を測定し、破壊部位を確認した。
評価基準としては、破壊電界が−65kV/mm以下(絶対値が65kV/mm以上)である場合を「合格」とし、−65kV/mmより高い(絶対値が65kV/mm未満)である場合を「不合格」とした。
なお、直流電力ケーブル接続部を含む全長各20mのケーブルを試験線路で評価した。
【0133】
何れの直流電力ケーブル接続部により接続された2本の直流電力ケーブルにおいても、直流電力ケーブル接続部において破壊が認められた。
下記表2および表3に示すように、実施例1、5〜7に係る直流電力ケーブル接続部によって接続された2本の直流電力ケーブルにおける破壊電界は−75kV/mm前後であり、比較例8に係る直流電力ケーブル接続部によって接続された2本の直流電力ケーブルにおける破壊電界(−40kV/mm)の倍程度であった。
【0134】
【表2】
【0135】
【表3】
【0136】
※1:ヒンダードフェノール系酸化防止剤50質量%と、チオエーテル系酸化防止剤50質量%との混合物
※2:ジクミルパーオキサイド
※3:ヒンダードフェノール系酸化防止剤
※4:チオエーテル系酸化防止剤
【符号の説明】
【0137】
10,10A,10B 直流電力ケーブル
11,11A,11B 導体
12,12A,12B 内部半導電層
13,13A,13B 絶縁層
14,14A,14B 外部半導電層
15,15A,15B 金属遮蔽層
16,16A,16B シース
17 導体の接続部
20 直流電力ケーブル接続部
22 接続部内部半導電層
23 補強絶縁層
24 接続部外部半導電層
【要約】
【課題】押出加工性に優れ、サグが生じにくく、耐スコーチ性が良好で、二次分解水量が少なく、良好な直流電気特性を安定して発揮する絶縁層を形成することができ、押出安定性に優れた直流電力ケーブル用絶縁性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(A)130℃、周波数100rad/sでの複素粘度η* 100 が600〜1300Pa・s、130℃、周波数0.1rad/sでの複素粘度η* 0.1 と、複素粘度η* 100 との比(η* 0.1 /η* 100 )が4以上である低密度ポリエチレンと、(B)変性ポリエチレンと、(C)ヒンダードフェノール系酸化防止剤とチオエーテル系酸化防止剤との混合物からなる安定剤とを有する樹脂組成物であって、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計質量に対する、(B)成分により樹脂組成物中に導入されたカルボニル基の量が7×10-6〜1.3×10-5mol/gである。
【選択図】 図1
図1
図2