特許第6205232号(P6205232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205232
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】送信装置、受信装置
(51)【国際特許分類】
   H03M 13/15 20060101AFI20170914BHJP
   H04L 1/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   H03M13/15
   H04L1/00 B
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-214812(P2013-214812)
(22)【出願日】2013年10月15日
(65)【公開番号】特開2015-80033(P2015-80033A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2016年8月31日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】実井 仁
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 宏明
(72)【発明者】
【氏名】成清 善一
(72)【発明者】
【氏名】本田 円香
(72)【発明者】
【氏名】中村 直義
(72)【発明者】
【氏名】高田 政幸
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 慎悟
(72)【発明者】
【氏名】蔀 拓也
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 進
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 知弘
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 一彦
(72)【発明者】
【氏名】土田 健一
(72)【発明者】
【氏名】村山 研一
【審査官】 岡 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−535255(JP,A)
【文献】 特開2008−263470(JP,A)
【文献】 特表2009−545228(JP,A)
【文献】 特開2004−032719(JP,A)
【文献】 特開2005−136719(JP,A)
【文献】 青木 秀一 他,NHK技研 R&D,2010年11月,No.124
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 13/15
H04L 1/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の階層の同一のサイズのデータパケットを送信するように構成されており、連続する所定数の誤り訂正処理ブロックからなる誤り訂正処理ブロック群内に所定階層のデータパケットを含めるように構成されている送信装置であって、
ペイロードに、前記所定階層のデータパケットを配置することによって、所定長の処理対象ブロックを生成する処理対象ブロック生成部と、
前記処理対象ブロックに対して誤り訂正符号化処理を施すことによって、前記誤り訂正処理ブロックを生成する誤り訂正処理部とを有し、
前記処理対象ブロック生成部は、前記ペイロード内に前記データパケットを配置し、新たなデータパケットを前記ペイロード内に配置できない場合、前記データパケットと同一サイズのヌルパケットを生成し、前記ヌルパケットの前半部分を該ペイロードのデータパケットの後ろに配置して、該ペイロードを満たすことにより処理対象ブロックを生成し、前記ヌルパケットの後半部分を前記処理対象ブロックに後続する処理対象ブロックのペイロードの先頭から配置することを特徴とする送信装置。
【請求項2】
1つ又は複数の階層のデータパケットを送信するように構成されており、連続する所定数の誤り訂正処理ブロックからなる誤り訂正処理ブロック群内に所定階層のデータパケットを含めるように構成されている送信装置であって、
ペイロードに、データパケットを配置して誤り訂正処理ブロックを生成する処理対象ブロック生成部と、
前記処理対象ブロックに対して誤り訂正符号化処理を施すことによって、前記誤り訂正処理ブロックを生成する誤り訂正処理部とを有し、
前記処理ブロック生成部は、所定数のデータパケットを前記誤り訂正処理ブロック群に含まれる前記誤り訂正処理ブロックのペイロードの先頭から配置し、所定数のデータパケットを配置した後に、前記データパケットが配置されていない前記誤り訂正処理ブロックのペイロードに、前記誤り訂正処理ブロックをまたがって配置されたデータパケットの少なくとも一方を複製し、配置することを特徴とする送信装置。
【請求項3】
1つ又は複数の階層のデータパケットを受信するように構成されており、連続する所定数の誤り訂正処理ブロックからなる誤り訂正処理ブロック群内に所定階層のデータパケットを含めるように構成されている受信装置であって、
ペイロードに、データパケットを配置して生成された誤り訂正処理ブロックを受信する誤り訂正処理ブロック受信部と、
前記誤り訂正処理ブロック受信部に受信された誤り訂正処理ブロックのうち復号に失敗した誤り訂正処理ブロックを検出する誤り訂正処理ブロック検出部と、
前記復号に失敗した誤り訂正処理ブロックに含まれるデータパケットを、復元する復元部とを有し、
前記誤り訂正処理ブロック群は、所定数のデータパケットを前記誤り訂正処理ブロック群に属する前記誤り訂正処理ブロックのペイロードの先頭から配置し、所定数のデータパケットを配置した後に、データパケットが配置されていない前記誤り訂正処理ブロックのペイロードに、前記誤り訂正処理ブロックをまたがって配置されたデータパケットの少なくとも一方を複製し、補完データパケットとして配置するように構成され、
前記復元部は、復号に成功した誤り訂正処理ブロックに含まれるデータパケットと前記補完データパケットを用いて前記復号に失敗した誤り訂正処理ブロックに含まれるデータパケットを復元することを特徴とする受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置、受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の地上デジタル放送の伝送において、送信装置は、階層毎にデータフレームを生成し、生成されたデータフレームをOFDMフレームに配置して、受信装置に伝送する。
【0003】
ここで、階層毎のデータフレームとは、8K Super Hi−Visionの固定受信用データフレーム, UHDTVの固定受信用のデータフレーム、HDTVの車載端末受信用のデータフレーム、Multi−HDTVの固定受信用のデータフレーム、HDTVの携帯端末での受信用のデータフレーム等のことである。
【0004】
FEC(Forward Error Correction)ブロック(誤り訂正ブロック)は、階層毎に生成されているデータフレームに配置される。所定数のデータフレームに配置されるFECブロックが、誤り訂正ブロック群(FECブロック群)として管理される。
【0005】
図2に、OFDMフレーム10とデータフレーム20とFECブロックの関係を示す。OFDMフレーム10とデータフレーム20は、同期している。また、各階層のデータフレーム20は、FECブロックが1つ以上連続して構成される。
【0006】
映像、音声、文字、静止画等の情報であるTS(Transport Stream)パケット、TLV(Type Length Value)パケットが、FECブロックに配置される。
【0007】
図1を用いて、TSパケットとTLSパケットからデータフレームが、生成される方法を説明する。
【0008】
図1は、データフレームを生成するインターフェース1を示すブロック図である。TLV多重化部2は、入力されたIPパケットから、TLVパケットを生成する。
【0009】
カプセル化部3は、以下の手順によりTSパケット、TLVパケットからデータフレームを生成する。
【0010】
・ TSパケット
・カプセル化部3は、各階層のTSパケットを誤り訂正処理(FEC処理)の対象となる処理対象ブロックのペイロードに配置する。
・カプセル化部3は、TSパケットが配置された処理対象ブロックに、FEC処理を行い、FECブロックを生成する。
・カプセル化部3は、生成したFECブロックを、データフレームに配置する。
【0011】
・ TLVパケット
・TLVパケットの場合もTSパケットと同様に、カプセル化部3は、各階層のTLVパケットをFEC処理の対象となる処理対象ブロックのペイロードに配置する。
・カプセル化部3は、TLVパケットが配置された処理対象ブロックに、FEC処理を行い、FECブロックを生成する。
・カプセル化部3は、FECブロックを、データフレームに配置する。
【0012】
処理対象ブロックは、ヘッダ31とペイロード32とから成り、ペイロード32にデータパケット35(TLVパケット又はTSパケット)を配置する。ここで、ペイロードに配置されたデータパケットに対して、誤り訂正処理用のパリティ33を生成し、ペイロード32の後ろに配置することをFEC処理という。FECブロックは、処理対象ブロックにFEC処理をすることにより生成される。FECブロックは、ヘッダ31と、ペイロード32と、パリティ33とから成る。FECブロックの構造は、各階層とも共通である。
【0013】
1以上の所定数のデータフレームに配置されるFECブロックが、FECブロック群として管理される。なお、データフレームは、各階層のFECブロックは整数個入らない場合があるため、各階層のデータフレームと誤り訂正ブロックの境は必ずしも一致しない。
【0014】
図3に、FECブロック群30の構造を示す。図3は、ペイロード32にTLVパケットを配置する構成を示しているが、TSパケットが配置される場合でも同様の構成となる。
【0015】
なお、1つのFECブロック群30にはTSパケット、TLVパケットのいずれかが配置される。
【0016】
所定の階層を構成するFECブロック群では、情報量が少ない場合には、レート調整用のヌルパケット34(ヌルTSパケット若しくはヌルTLVパケット)が配置される。
【0017】
なお、図3では、FECブロックの数を6、TLVパケットの数を8としているが、任意の数で設定可能である。
【0018】
図3を例に、FECブロック群へのTLVパケットとヌルパケット34の配置方法について説明する。TLVパケットは、FEC処理の対象となる処理対象ブロック#1のペイロード32から順番にTLVパケット#1、#2と配置される。TLVパケット#3のサイズは、ペイロードの残り部分のサイズよりも大きいため、TLVパケット#3の全部を、処理対象ブロック#1に配置することができない。このため、従来の配置方法では、TLVパケット#3の前方を、処理対象ブロック#1のペイロードの残り部分に配置し、処理対象ブロック#1のペイロード部分を埋める。また、TLVパケット#3の残りの部分を、後続する処理対象ブロック#2に配置する。
【0019】
同様にTLVパケット#4〜#8を、処理対象ブロック#2〜#6に配置し、各処理対象ブロックにFEC処理を行い、FECブロックを生成する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】ITU−R BT.1869
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
従来の実施形態では、図4に示すようにデータパケットは、FECブロック群のペイロード32に先頭から順に配置される。その後方に、レート調整用のヌルパケット34が配置される。ここで、データパケット35を、1つのFECブロックに配置できない場合、かかる該FECブロックと該FECブロックに後続するFECブロックに配置される。例えば、データパケット#3は、FECブロック#1とFECブロック#2に,データパケット#7は、FECブロック#3とFECブロック#4に,データパケット#8は、FECブロック#4とFECブロック#5にまたがって配置されている。
【0022】
受信装置は、FECブロックの復号処理に失敗すると、当該FECブロックに含まれるデータパケット35の受信ができない。データパケット35が複数のFECブロックにまたがって配置されている場合、受信装置は、またがって配置されているデータパケット35が受信できないことに加えて、該データパケット35のその他部分を受信できても利用できない。受信できたデータパケットの一部であっても破棄せざるを得ないという問題があった。
【0023】
具体的には、受信装置は、FECブロック#2の復号に失敗した場合、FECブロック#1の復号に成功しても、FECブロック#1に配置されているデータパケット#3も破棄することになってしまう。
【0024】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり階層毎にFECブロック群30として送信される情報の復号処理の性能を向上させるように構成する送信装置、受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の第1の特徴は、1つ又は複数の階層のデータパケットを送信するように構成されており、連続する所定数の誤り訂正処理ブロックからなる誤り訂正処理ブロック群内に所定階層のデータパケットを含めるように構成されている送信装置であって、ペイロードに、前記所定階層のデータパケットを配置することによって、所定長の処理対象ブロックを生成する処理対象ブロック生成部と、前記処理対象ブロックに対して誤り訂正符号化処理を施すことによって、前記誤り訂正処理ブロックを生成する誤り訂正処理部とを有し、前記処理対象ブロック生成部は、前記ペイロードの先頭から前記データパケットを配置し、新たなデータパケットを前記ペイロードに配置できない場合、前記データパケットの後ろにヌルパケットを配置して、前記ペイロードを満たすことにより前記処理対象ブロックを生成することを特徴とする送信装置であることを要旨とする。
【0026】
本発明の第2の特徴は、1つ又は複数の階層の同一のサイズのデータパケットを送信するように構成されており、連続する所定数の誤り訂正処理ブロックからなる誤り訂正処理ブロック群内に所定階層のデータパケットを含めるように構成されている送信装置であって、ペイロードに、前記所定階層のデータパケットを配置することによって、所定長の処理対象ブロックを生成する処理対象ブロック生成部と、前記処理対象ブロックに対して誤り訂正符号化処理を施すことによって、前記誤り訂正処理ブロックを生成する誤り訂正処理部とを有し、前記処理対象ブロック生成部は、前記ペイロード内に前記データパケットを配置し、新たなデータパケットを前記ペイロード内に配置できない場合、前記データパケットと同一サイズのヌルパケットを生成し、前記ヌルパケットの前半部分を該ペイロードのデータパケットの後ろに配置して、該ペイロードを満たすことにより処理対象ブロックを生成し、前記ヌルパケットの後半部分を前記処理対象ブロックに後続する処理対象ブロックのペイロードの先頭から配置することを特徴とする送信装置であることを要旨とする。
【0027】
本発明の第3の特徴は、1つ又は複数の階層のデータパケットを送信するように構成されており、連続する所定数の誤り訂正処理ブロックからなる誤り訂正処理ブロック群内に所定階層のデータパケットを含めるように構成されている送信装置であって、ペイロードに、前記所定階層のデータパケットを配置して所定長の処理対象ブロックを生成する処理対象ブロック生成部と、前記処理対象ブロックに対して第1の誤り訂正符号化処理を施すことによって、前記誤り訂正処理ブロックを生成する誤り訂正処理部とを有し、前記処理対象ブロック生成部は、前記誤り訂正処理ブロック群内の前記ペイロードに配置された前記データパケットに対して、第2の誤り訂正符号化処理を行うことにより、パリティデータを生成し、前記誤り訂正処理ブロック群のペイロードに配置することを特徴とする送信装置であることを要旨とする。
【0028】
本発明の第4の特徴は、1つ又は複数の階層のデータパケットを受信するように構成されており、連続する所定数の誤り訂正処理ブロックからなる誤り訂正処理ブロック群内に所定階層のデータパケットを含めるように構成されている受信装置であって、ペイロードに、前記所定階層のデータパケットとパリティデータとを配置して生成された誤り訂正処理ブロックを受信する誤り訂正処理ブロック受信部と、前記誤り訂正処理ブロック受信部に受信された誤り訂正処理ブロックのうち復号に失敗した誤り訂正処理ブロックを検出する誤り訂正処理ブロック検出部と、前記復号に失敗した誤り訂正処理ブロックに含まれるデータパケットを、前記誤り訂正処理ブロック群のペイロードに配置された前記パリティデータと前記誤り訂正処理ブロック群のペイロードに配置され復号に成功した誤り訂正処理ブロックに含まれるデータパケットとから復元する復元部を有する受信装置であることを要旨とする。
【0029】
本発明の第5の特徴は、1つ又は複数の階層のデータパケットを送信するように構成されており、連続する所定数の誤り訂正処理ブロックからなる誤り訂正処理ブロック群内に所定階層のデータパケットを含めるように構成されている送信装置であって、ペイロードに、前記所定階層のデータパケットを配置して所定長の処理対象ブロックを生成する処理対象ブロック生成部と、前記処理対象ブロックに対して第1の誤り訂正符号化処理を施すことによって、前記誤り訂正処理ブロックを生成する誤り訂正処理部とを有し、前記処理対象ブロック生成部は、前記誤り訂正処理ブロック群のペイロードに配置された前記データパケットのうち、前記誤り訂正処理ブロックをまたがって配置された前記データパケットに対して、第2の誤り訂正符号化処理を行うことにより、パリティデータを生成し、前記誤り訂正処理ブロック群のペイロードに配置することを特徴とする送信装置であることを要旨とする。
【0030】
本発明の第6の特徴は、1つ又は複数の階層のデータパケットを受信するように構成されており、連続する所定数の誤り訂正処理ブロックからなる誤り訂正処理ブロック群内に所定階層のデータパケットを含めるように構成されている受信装置であって、ペイロードに、前記所定階層のデータパケットとパリティデータとを配置して生成された誤り訂正処理ブロックを受信する誤り訂正処理ブロック受信部と、前記誤り訂正処理ブロック受信部に受信された誤り訂正処理ブロックのうち復号に失敗した誤り訂正処理ブロックを検出する誤り訂正処理ブロック検出部と、前記復号に失敗した誤り訂正処理ブロックに含まれるデータパケットを、前記誤り訂正処理ブロック群のペイロードに配置された前記パリティデータと前記誤り訂正処理ブロック群のペイロードに配置され復号に成功した誤り訂正処理ブロックに含まれるデータパケットとから復元する復元部を有し、前記誤り訂正ブロック群のペイロードに配置された前記データパケットのうち、前記誤り訂正ブロックをまたがって配置された前記データパケットに対して、前記誤り訂正ブロック群のペイロードに配置された前記誤り訂正処理用パリティデータが設定されていることを特徴とする受信装置であることを要旨とする。
【0031】
本発明の第7の特徴は、1つ又は複数の階層のデータパケットを送信するように構成されており、連続する所定数の誤り訂正処理ブロックからなる誤り訂正処理ブロック群内に所定階層のデータパケットを含めるように構成されている送信装置であって、ペイロードに、データパケットを配置して誤り訂正処理ブロックを生成する処理対象ブロック生成部と、前記処理対象ブロックに対して誤り訂正符号化処理を施すことによって、前記誤り訂正処理ブロックを生成する誤り訂正処理部とを有し、前記処理ブロック生成部は、所定数のデータパケットを前記誤り訂正処理ブロック群に含まれる前記誤り訂正処理ブロックのペイロードの先頭から配置し、所定数のデータパケットを配置した後に、前記データパケットが配置されていない前記誤り訂正処理ブロックのペイロードに、前記誤り訂正処理ブロックをまたがって配置されたデータパケットの少なくとも一方を複製し、配置することを特徴とする送信装置であることを要旨とする。
【0032】
本発明の第8の特徴は、1つ又は複数の階層のデータパケットを受信するように構成されており、連続する所定数の誤り訂正処理ブロックからなる誤り訂正処理ブロック群内に所定階層のデータパケットを含めるように構成されている受信装置であって、ペイロードに、データパケットを配置して生成された誤り訂正処理ブロックを受信する誤り訂正処理ブロック受信部と、前記誤り訂正処理ブロック受信部に受信された誤り訂正処理ブロックのうち復号に失敗した誤り訂正処理ブロックを検出する誤り訂正処理ブロック検出部と、前記復号に失敗した誤り訂正処理ブロックに含まれるデータパケットを、復元する復元部とを有し、前記誤り訂正処理ブロック群は、所定数のデータパケットを前記誤り訂正処理ブロック群に属する前記誤り訂正処理ブロックのペイロードの先頭から配置し、所定数のデータパケットを配置した後に、データパケットが配置されていない前記誤り訂正処理ブロックのペイロードに、前記誤り訂正処理ブロックをまたがって配置されたデータパケットの少なくとも一方を複製し、補完データパケットとして配置するように構成され、前記復元部は、復号に成功した誤り訂正処理ブロックに含まれるデータパケットと前記補完データパケットを用いて前記復号に失敗した誤り訂正処理ブロックに含まれるデータパケットを復元することを特徴とする受信装置であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように、本発明によれば、階層毎にFECブロック群30の復号性能を向上させることが可能となるように構成する送信装置及び受信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】FECブロック群を生成するインターフェースの構成図である。
図2】OFDMフレーム及びデータフレームの構成図である。
図3】従来のFECブロック群の構成図である。
図4】従来のFECブロック群の構成による課題を表す図である。
図5】本発明に係るシステム構成図である。
図6】本発明に係る送信装置のブロック図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係るFECブロック群の構成図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係るFECブロック群の構成図である。
図9】本発明に係る受信装置のブロック図である。
図10】本発明の第3の実施形態に係るFECブロック群の構成図である。
図11】本発明の第3の実施形態に係るFECブロック群の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(本発明の第1の実施形態)
図5乃至図7を用いて本発明の第1の実施形態を説明する。
【0036】
図5は、本実施形態に係るシステム構成図である。送信装置100が、受信装置110にFECブロック群(誤り訂正処理ブロック群)30を送信する。
【0037】
送信装置100は、1つ又は複数の階層のデータパケット35を送信するように構成されており、連続する所定数のFECブロックからなるFECブロック群30内に、所定階層のデータパケット35を含めるように構成されている。
【0038】
図6は、本実施形態に係る送信装置100のブロック図である。送信装置100は、処理対象ブロック生成部101とFEC処理部105とを有する。処理対象ブロック生成部101は、FEC処理対象となる処理対象ブロックを生成する。処理対象ブロックは、ヘッダ31及びペイロード32から成る。データパケット35(TSパケット又はTLVパケット)は、処理対象ブロック生成部101に入力され、処理対象ブロックのペイロード32部分に配置される。
【0039】
処理対象ブロック生成部101は、当該処理対象ブロックのペイロード32の先頭から前記データパケットを配置し、新たなデータパケットをペイロード32に配置できない場合、ヌルパケット34をペイロード32のデータパケット35の後ろに配置する。処理対象ブロック生成部101は、ヌルパケット34を用いてペイロード32のスペースを満たすことによって、前記処理対象ブロックを生成する。
【0040】
FEC処理部105は、処理対象ブロックにFEC処理を行い、FECブロック群30を生成する。
【0041】
本実施形態に係るデータパケット配置方法を図7に示す。データパケット35は、処理対象ブロックのペイロード32に先頭から順番に配置される。
【0042】
データパケットの全体を該ペイロード32内に配置できない場合、ヌルパケット34が、ペイロード32のデータパケット35の後ろに配置される。ペイロード32のスペースをヌルパケット34を用いて満たすことによって、前記処理対象ブロックは生成される。前記処理対象ブロックの生成後、次の処理対象ブロックのペイロード32の先頭から、再びデータパケット35が配置される。
【0043】
このようにデータパケット35を配置することにより、FECブロックの復号の失敗の影響を当該FECブロックに配置されているデータパケット35に抑えられる。これにより、「正常にデータパケット35の一部が、復号できたのにも関わらず、破棄される」という問題を回避することができる。
【0044】
例えば、図4に示す従来の配置方法では、受信装置110が、FECブロック#2の復号を失敗すると、データパケット#3及び#5の一部が受信できているにも関わらず破棄される。しかし、図7に示す本発明の第1の実施形態に係る配置方法を用いれば、FECブロック#2の復号失敗により、影響を受けるのはデータパケット#3のみであり、他のFECブロックに配置されているデータパケットには影響が及ばない。
【0045】
第1の実施形態に係る配置方法を用いれば、FECブロック群の復号性能を向上させることが可能となる。
【0046】
なお、全てのデータパケット35が、処理対象ブロックをまたがないように配置できるように配置する方法が処理対象ブロックの復号失敗の影響を抑えるのに効果的であるが、処理対象ブロックをまたぐ頻度を減らすことによっても十分に効果を発揮することに留意すべきである。
【0047】
(本発明の第2の実施形態)
図6図8を用いて本発明の第2の実施形態を説明する。第1の実施形態と同一の部分については説明を省き、第2の実施形態に関する部分を説明する。
【0048】
第2の実施形態は、固定長のデータパケットであるTSパケット36に適用される。
【0049】
図6は、本実施形態に係る送信装置100のブロック図である。TSパケット36は、処理対象ブロック生成部101に入力され、処理対象ブロックのペイロード32部分に配置される。
【0050】
処理対象ブロック生成部101は、ペイロード32内にTSパケット36を配置し、新たなTSパケット36をペイロード32内に配置できない場合、TSパケット36と同一サイズのヌルTSパケット37を用いる。
【0051】
生成された処理対象ブロックは、FEC処理部105に入力され、FEC処理が行われ、出力としてFECブロック群が生成される。
【0052】
図8を用いて、FECブロック#1と#2の生成方法を説明する。
(1)処理対象ブロック#1のペイロード32の先頭からTSパケット#1とTSパケット#2を配置する。
(2)次に配置するTSパケット#3の全体を配置できないため、TSパケットと同一のサイズであるヌルTSパケット#1を生成し、TSパケット#1とTSパケット#2が配置されていない部分にヌルTSパケット#1の前方を配置する(図8中のヌルTSパケット#1−1)。
(3)処理対象ブロック#1のペイロードにTSパケット及びヌルTSパケットが配置された後、FEC処理を行い、FECブロックを生成する。
(4)処理対象ブロック#2については、ヌルTSパケット#1の後半(図8中のヌルTSパケット#1−2)をペイロード32の先頭に配置し、その後ろにTSパケット#3を配置する。
(5)TSパケット#3の後ろにTSパケット#4全体を配置できないため、FECブロック#1の生成と同様に、ヌルパケットを配置(図中のヌルTSパケット#2-1)する。TSパケット及びヌルTSパケットの配置後に、FEC処理を行い、FECブロック#2を生成する。
【0053】
このようにサイズが同一のTSパケット及びヌルTSパケットが配置された処理対象ブロックに対してFEC処理を行い、FECブロックを生成する。これにより、図4のように正常にデータパケットが復号できたのにも関わらず破棄されるのを回避することができる。
【0054】
第2の実施形態に係る配置方法を用いれば、FECブロック群の復号性能を向上させることが可能となる。
【0055】
(本発明の第3の実施形態)
図6図9及び図10を用いて本発明の第3の実施形態を説明する。第1又は第2の実施形態と同一の部分については説明を省き、第3の実施形態に関する部分について説明する。
【0056】
図6を用いて本実施形態に係る送信装置100を説明する。
【0057】
データパケット35(TSパケット又はTLVパケット)は、処理対象ブロック生成部101に入力され、処理対象ブロックのペイロード32に配置される。
【0058】
生成された処理対象ブロックは、FEC処理部105に入力され、FEC処理が行われ、出力としてFECブロック群が生成される。
【0059】
また、処理対象ブロック生成部101は、FECブロック群内のペイロード32に配置されたデータパケット35に、AL−FEC(アプリケーションレイヤーFEC)処理を行い、当該データパケットの誤り訂正に用いるAL−FECパリティ38を生成し、FECブロック群内のペイロード32のデータパケット35以外の部分に配置する。
【0060】
図9を用いて本実施形態に係る受信装置110を説明する。受信装置110は、FECブロック受信部111と、FECブロック検出部112と、復元部113とを有する。
【0061】
FECブロック受信部111はペイロード32に、データパケット35とAL−FECパリティ38とを配置して生成された1以上のFECブロックから成るFECブロック群30を受信する。
【0062】
FECブロック検出部112は、FECブロック受信部111に受信されたFECブロックのうち復号に失敗したFECブロックを検出する。
【0063】
復元部113は、復号に失敗したFECブロックに含まれるデータパケット35を、FECブロック群30のペイロードに配置されたAL−FECパリティ38と、FECブロック群30のペイロード32に配置され復号に成功したFECブロックに含まれるデータパケット35とから復元する。
【0064】
図10に本実施形態におけるデータパケット35の配置例を示す。データパケット#35がペイロードに配置された後、AL−FECパリティ#1と#2を配置する。
【0065】
AL−FECパリティ38は、FECブロック群30に配置されている全てのデータパケット35の誤り訂正処理に適用できるように設定される。
【0066】
第3の実施形態に係る配置方法を用いれば、FECブロック群の復号性能を向上させることが可能となる。
【0067】
なお、FECブロック群内のデータパケット35が配備されていない全てのペイロード32の部分に、AL−FECパリティ38を設定しないで、一部に設定する場合でも本実施形態の誤り訂正処理を適用できることにも留意すべきである。
【0068】
(本発明の第3の実施形態の変形例)
本発明の第3の実施形態を以下のように変形して実施することも可能である。なお、第3の実施形態と同一の部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0069】
本変形例に係る形態では、AL−FECパリティ38は、複数のFECブロックにまたがって配置されているデータパケット35の誤り訂正に適用できるように設定する。
【0070】
具体的には、図10のデータパケット#3,#5,#7,#8に対してAL−FEC(アプリケーションレイヤーFEC)処理を行い、当該データパケットの誤り訂正に用いるAL−FECパリティ38を生成し、FECブロック群内のペイロード32のデータパケット35以外の部分に配置する。
【0071】
この方法によれば、FECブロックの復号に失敗した場合に、FECブロックをまたがって配置されているデータパケット35について強い復元力を持つ誤り訂正処理方法を提供することができる。
【0072】
なお、本実施形態に係る送信装置100と受信装置110は、第3の実施形態と以下の点を除き同じ機能を有する。
【0073】
(送信装置100)処理対象ブロック生成部101で、FECブロック群内のペイロード32に配置されたデータパケット35のうちFECブロックをまたがって配置されているデータパケット35に、AL−FEC(アプリケーションレイヤーFEC)処理を行い、当該データパケットの誤り訂正に用いるAL−FECパリティ38を生成し、FECブロック群内のペイロード32のデータパケット35以外の部分に配置する。
【0074】
(受信装置110)復元部113は、復号に失敗したFECブロックに含まれるデータパケット35のうちFECブロックをまたがって配置されているデータパケット35を、FECブロック群30のペイロードに配置されたAL−FECパリティ38とFECブロック群30のペイロード32に配置され復号に成功したデータパケット35とから復元する。
【0075】
(本発明の第4の実施形態)
図6図9及び図11を用いて本発明の第4の実施形態を説明する。第1〜第3の実施形態と同一の部分については説明を省き、第4の実施形態に関する部分について説明する。
【0076】
図6を用いて本実施形態に係る送信装置100を説明する。データパケット35(TSパケット又はTLVパケット)は、処理対象ブロック生成部101に入力され、処理対象ブロックのペイロード32に配置される。
【0077】
生成された処理対象ブロックは、FEC処理部105に入力され、FEC処理が行われ、出力としてFECブロック群が生成される。
【0078】
また、処理対象ブロック生成部101は、データブロック35が配置されていないFECブロック群に属するFECブロックのペイロード32に、FECブロックをまたがって配置されたデータパケット35の少なくとも一方を複製し、補完データパケット39として配置することを特徴としている。
【0079】
図9を用いて本実施形態に係る受信装置110を説明する。
【0080】
FECブロック受信部111は、ペイロード32に、データパケット35と補完データパケットを配置して生成された1以上のFECブロックから成るFECブロック群30を受信する。
【0081】
復元部113は、復号に成功したFECブロックに含まれるデータパケット35と補完データパケット39を用いて復号に失敗したFECブロックに含まれるデータパケット35を復元する。
【0082】
図11を用いて、本実施形態に係るデータパケットの配置方法を説明する。データパケット35を処理対象となる最初の処理対象ブロックのペイロード32に先頭から順番に配置する。ペイロード32へのデータパケット35の配置方法については、従来と同様である。
【0083】
データパケット35を配置した後、データパケットが配置されていないペイロード32に、FECブロックをまたがって配置されたデータパケット35の少なくとも一方を複製し、補完データパケット39として配置する。
【0084】
具体的には、FECブロックをまたがって配置されたデータパケットの一方である#3−2、#5−2、#7−2、#8−2、#3−1、#5−1を複製し、補完データパケットとして、データパケット35が配置されていないペイロード32に配置される。
【0085】
なお、複製対象とするデータパケットの一部の選択方法については様々な方法がある。例えば補完データパケット39を配置可能なスペースが小さい場合には、またがって配置されたデータパケット35のなるべく小さい方を選択する。あるいは、補完データパケット39を配置可能なスペースが大きい場合には、大きい方のデータパケット35を選択する、若しくは大きい方のデータパケットと小さい方のデータパケットの両方を選択するといった選択方法が可能である。
【0086】
第4の実施形態に係る配置方法を用いれば、FECブロック群の復号性能を向上させることが可能となる。
【0087】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、実施形態に示したFECブロックの数、データパケット(TSパケット、TLVパケット)の数や種類は例示説明に用いたものであり、本発明に対して何ら制約的な意味を有するものではない。また、誤り訂正符号化/復号化処理についてFEC及びAL−FECを例示して説明したが、これらの訂正符号化/復号化処理以外にも適用できることは勿論である。
【0088】
また、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0089】
1・・・インターフェース
2・・・TLV多重化部
3・・・カプセル化部
10・・・OFDMフレーム
20・・・データフレーム
21・・・階層A
22・・・階層B
23・・・階層C
30・・・FECブロック群
31・・・ヘッダ
32・・・ペイロード
33・・・パリティ
34・・・ヌルパケット
35・・・データパケット
37・・・ヌルTSパケット
38・・・AL−FECパリティ
39・・・補完データパケット
100・・・送信装置
110・・・受信装置
101・・・処理対象ブロック生成部
105・・・FEC処理部
111・・・FECブロック受信部
112・・・FECブロック検出部
113・・・復元部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11