特許第6205250号(P6205250)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205250
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】電源回路
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/56 20060101AFI20170914BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20170914BHJP
   G05F 3/18 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   G05F1/56 310D
   H02J1/00 308D
   G05F1/56 310C
   G05F3/18
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-242787(P2013-242787)
(22)【出願日】2013年11月25日
(65)【公開番号】特開2015-102999(P2015-102999A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年10月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】新日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083194
【弁理士】
【氏名又は名称】長尾 常明
(72)【発明者】
【氏名】横田 猛昭
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−64123(JP,U)
【文献】 特開平9−120316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/56
G05F 3/18
H02J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子の入力電圧が所定値を超えるときに流れる電流で基準電圧を発生する基準電圧発生素子と、該基準電圧発生素子で発生された基準電圧を保持する第1の容量と、該第1の容量と前記基準電圧発生素子との間に接続した充電用素子と、該充電用素子に並列接続された放電防止用素子と、前記第1の容量の電圧に応じて前記入力電圧を変換して出力端子に出力する第1のトランジスタと、前記入力電圧が予め設定した電圧以下になると検出信号を出力する入力電圧監視回路と、該入力電圧監視回路から入力する前記検出信号を所定の遅延時間だけ遅延させて出力する遅延回路と、該遅延回路から前記検出信号が出力すると前記入力端子と前記出力端子の間を接続する第2のトランジスタと、を備えることを特徴とする電源回路。
【請求項2】
請求項1に記載の電源回路において、
前記遅延回路は、前記検出信号を入力したときオフし前記検出信号を入力しないときオンする第3のトランジスタと、該第3のトランジスタがオフすると電荷が充電されオンすると電荷が放電される第2の容量と、該第2の容量の充電電圧が所定値を超えると前記第2のトランジスタをオンさせる第4のトランジスタと、前記基準電圧発生素子で発生された前記基準電圧により前記第2の容量に前記充電用の電流を供給するようカレントミラー接続された第5および第6のトランジスタとを備え、前記第5および第6のトランジスタのソースとバックゲートを前記放電防止用素子の各端子に接続して前記充電用素子としたことを特徴とする電源回路。
【請求項3】
請求項1に記載の電源回路において、
前記第1の容量の放電時定数を、前記遅延回路の遅延時間よりも長い値に設定したことを特徴とする電源回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置で構成される電源回路に関し、特に低電圧から高電圧に亘る広い範囲の入力電圧に対応でき、しかも入力電圧が大きく変動した場合においても安定した電圧を出力可能とした電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電源回路を図4に示す。この電源回路は、電圧Vinが入力する入力端子P1にソースが接続されたカレントミラー接続のPMOSトランジスタMP1,MP2、そのトランジスタMP1のゲートとドレインに接続された電流Iref1の定電流源回路1、トランジスタMP2のドレインに接続され基準電圧Vref1をツェナー電圧として発生するツェナーダイオードD1、その基準電圧Vref1に応じて出力端子P2に出力電圧Voutを出力するソースフォロア構成のNMOSトランジスタMN1、入力端子P1の電圧Vinが予め設定された閾値電圧Vth以下のときに“L”レベルの検出信号を出力する入力電圧監視回路2、その入力電圧監視回路2から入力する“L”レベルの検出信号を遅延時間T1だけ遅延して出力する遅延回路3、その遅延回路3の出力信号が“L”レベルになったときオンして出力端子P2に入力電圧Vinを供給するPMOSトランジスタMP3、および出力電圧安定化用の容量C1を備える。
【0003】
定電流源回路1は、トランジスタMP1,MP2からなるカレントミラーを介してツェナーダイオードD1に定電流Iref1を供給する。これにより、ツェナーダイオードD1には基準電圧Vref1が発生し、この電圧Vref1はトランジスタMN1のゲートに印加される。このトランジスタMN1は出力端子P2を駆動し、出力端子P2に接続される負荷に出力電圧Voutを供給する。この出力電圧Voutは、トランジスタMN1のゲート・ソース間電圧をVgsmn1とすると、
で表される。
【0004】
この構成の電源回路によれば、トランジスタMN1としてドレイン耐圧が高い素子を選ぶことにより、高電圧入力に対応でき、且つ出力端子P2に接続される負荷回路は低耐圧の素子群で構成することができる。
【0005】
入力電圧監視回路2は、入力端子P1の電圧Vinが予め設定された閾値電圧Vth以下に低下した場合に、遅延回路3を通じてトランジスタMP3をオンさせる。これにより、入力電圧Vinの低下時に出力端子P2の出力電圧Voutの低下を抑えることができる。
【0006】
すなわち、前述のように出力電圧Voutは、常時は式(1)で表される値であるが、入力電圧Vinが基準電圧Vref1よりも低い電圧に低下したときには、ツェナーダイオードD1によるその基準電圧Vref1が発生せず、
となるため、トランジスタMP3が無い場合、その出力電圧Voutが出力端子P2に接続された負荷回路の動作可能電圧を下回る可能性がある。
【0007】
そこで、入力電圧Vinが基準電圧Vref1よりも低くなった場合に、トランジスタMP3をオンさせることで、出力端子P2の出力電圧Voutが低下することを抑えている。このとき、出力電圧Voutは、
となり、入力電圧Vinが基準電圧Vref1より低くなったときでも、負荷回路を駆動することが可能となる。
【0008】
ここで、遅延回路3は、トランジスタMP3がオフからオンとなる場合にのみ遅延時間T1を発生させ、入力電圧Vinが一時的に急峻に低下した場合やノイズの飛び込みがあった場合に、トランジスタMP3が誤ってオンすることを防いでいる。
【0009】
これは、入力電圧Vinが高い状態でトランジスタMP3が一時的にでもオンすると、出力電圧Voutと入力電圧Vinが等しい、すなわち、高い入力電圧Vinが出力端子P2からそのまま出力される状態が生じ、場合によっては出力端子P2に接続された負荷回路を破壊する恐れがあるためである。
【0010】
なお、トランジスタMP3がオンからオフとなる場合は、遅延回路3は遅延を発生させない。これにより、入力電圧Vinが急峻に高くなった場合に、トランジスタMP3を素早くオフし、出力電圧Voutの上昇を防ぐことができる。
【0011】
入力電圧が不十分なときに出力電圧を遮断する回路として、特許文献1に記載の回路がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−171177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、入力電圧Vinが急峻に入力電圧監視回路2の閾値電圧Vth以下にまで低くなった場合、トランジスタMP3は遅延回路3で発生する遅延時間T1を経過しなければオンしないため、その遅延時間T1が経過するまでの間は、トランジスタMN1のみで負荷を駆動することになる。このとき、低下後の入力電圧VinがツェナーダイオードD1の基準電圧Vref1より低い場合には、トランジスタMN1のゲート電圧は、ほぼ入力電圧Vinと同等レベルまで低下する。
【0014】
この結果、遅延回路3の遅延時間T1が経過するまでの間は、出力電圧Voutは、式(2)に示した電圧にまで低下し、負荷回路の動作可能電圧を下回る問題が生じる。なお、遅延時間T1の経過後はトランジスタMP3がオンするため、出力電圧Voutは入力電圧Vinと同等レベルとなる。
【0015】
入力電圧Vinが急峻に変動する場合として、本電源回路をACアダプタ等で駆動した状態からより電圧の低いバッテリーによる駆動へ切り換えた場合や、本電源回路の入力端子P1側に並列に接続された他の回路の負荷電流変動により入力電圧Vinが変動した場合等が想定される。
【0016】
本発明の目的は、入力電圧が急峻に低くなった場合でも負荷に一定以上の電圧を供給することが可能な広範囲入力電圧動作に対応した電源回路を、最小限の回路増加で構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、請求項にかかる発明は、入力端子の入力電圧が所定値を超えるときに流れる電流で基準電圧を発生する基準電圧発生素子と、該基準電圧発生素子で発生された基準電圧を保持する第1の容量と、該第1の容量と前記基準電圧発生素子との間に接続した充電用素子と、該充電用素子に並列接続された放電防止用素子と、前記第1の容量の電圧に応じて前記入力電圧を変換して出力端子に出力する第1のトランジスタと、前記入力電圧が予め設定した電圧以下になると検出信号を出力する入力電圧監視回路と、該入力電圧監視回路から入力する前記検出信号を所定の遅延時間だけ遅延させて出力する遅延回路と、該遅延回路から前記検出信号が出力すると前記入力端子と前記出力端子の間を接続する第2のトランジスタと、を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項にかかる発明は、請求項に記載の電源回路において、前記遅延回路は、前記検出信号を入力したときオフし前記検出信号を入力しないときオンする第3のトランジスタと、該第3のトランジスタがオフすると電荷が充電されオンすると電荷が放電される第2の容量と、該第2の容量の充電電圧が所定値を超えると前記第2のトランジスタをオンさせる第4のトランジスタと、前記基準電圧発生素子で発生された前記基準電圧により前記第2の容量に前記充電用の電流を供給するようカレントミラー接続された第5および第6のトランジスタとを備え、前記第5および第6のトランジスタのソースとバックゲートを前記放電防止用素子の各端子に接続して前記充電用素子としたことを特徴とする。
【0020】
請求項にかかる発明は、請求項1に記載の電源回路において、前記第1の容量の放電時定数を、前記遅延回路の遅延時間よりも長い値に設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1にかかる発明によれば、第1の容量に保持されている電荷によって、入力電圧が急峻に低くなった場合でも負荷に一定以上の電圧を供給することが可能で、且つ最小限の回路増加で広範囲の入力電圧に対応することができる。また、低い入力電圧に対応することができ、且つ基準電圧発生素子のリーク電流の影響を受け難い。さらに、請求項にかかる発明によれば、遅延回路を構成するトランジスタの一部を充電用素子として兼用するので、素子数増大を回避できる。さらに、請求項にかかる発明によれば、遅延回路の遅延時間が終了するまでの期間は確実に出力電圧の低下を防止できる。

【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1の実施例の電源回路の回路図である。
図2】本発明の第2の実施例の電源回路の回路図である。
図3】本発明の第3の実施例の電源回路の回路図である。
図4】本従来の電源回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1の実施例>
本発明の第1の実施例の電源回路を図1に示す。この電源回路は、電圧Vinが入力する入力端子P1にソースが接続されたカレントミラー接続のPMOSトランジスタMP1,MP2、そのトランジスタMP1のゲートとドレインに接続された電流Iref1の定電流源回路1、トランジスタMP2のドレインにソースが接続されたPMOSトランジスタMP4、そのトランジスタMP4のドレインに接続され基準電圧Vref1をツェナー電圧として発生するツェナーダイオードD1、その基準電圧Vref1に応じて出力端子P2に出力電圧Voutを出力するソースフォロア構成のNMOSトランジスタMN1、そのトランジスタMN1のゲートに接続された基準電圧保持用の容量C2、入力端子P1の電圧Vinが予め設定された閾値電圧Vth以下のときに“L”レベルの検出信号を出力する入力電圧監視回路2、その入力電圧監視回路2から入力する“L”レベルの検出信号を遅延時間T1だけ遅延して出力する遅延回路3、その遅延回路3の出力信号が“L”レベルになったときオンして出力端子P2に電流を供給するPMOSトランジスタMP3、および出力電圧安定化用の容量C1を備える。
【0024】
トランジスタMP4は、ダイオード接続され且つバックゲートがドレイン側へ接続されている。これにより、入力電圧Vinの低下時にドレイン・バックゲート間の寄生ダイオードがオンして、ツェナーダイオードD1のカソードからトランジスタMP2のドレイン方向に電流が逆流することを防止する。
【0025】
ここでは、請求項の基準電圧発生素子としてツェナーダイオードD1を使用し、請求項の第1の容量として容量C2を使用し、請求項の第1のトランジスタとしてトランジスタMN1を使用し、請求項の第2のトランジスタとしてトランジスタMP3を使用し、請求項の逆流防止素子としてトランジスタMP4を使用している。
【0026】
定電流源回路1の電流は、トランジスタMP1,MP2のカレントミラーによって折り返されて、トランジスタMP3を介してツェナーダイオードD1に流れる。そして、そのツェナーダイオードD1に発生する基準電圧Vref1が容量C2に保持され、トランジスタMN1のゲートに印加する。
【0027】
入力電圧Vinが高いときには、ソースフォロアのトランジスタMN1のみで出力端子P1に接続される負荷を駆動する。このときの出力端子P2の電圧Voutは、前記した式(1)に表される通りである。
【0028】
次に、入力電圧Vinが低下し、ツェナーダイオードD1に生じる電圧が基準電圧Vref1以下になったときは、トランジスタMP2のドレイン・ソース間電圧をVdsmp2、トランジスタMP4のソース・バックゲート間寄生ダイオードの順電圧をVf、トランジスタMN1のゲート・ソース間電圧をVgsmn1とすると、出力端子P2の出力電圧Voutは、
で表される。
【0029】
このとき、入力電圧Vinが入力監視回路2に設定された閾値電圧Vthよりも低ければ、その低下を入力電圧監視回路2が検知する。これにより入力電圧監視回路2は“L”レベルの検出信号を出力し、この情報が遅延回路3へ送られる。遅延回路3は、その検出信号を入力してから遅延時間T1の経過後に、“L”レベルの信号を出力し、トランジスタMP3がオンとなる。これにより、トランジスタMP3は出力端子P2に接続された負荷を駆動する。このときの出力電圧Voutは、前記した式(3)で表される通りである。
【0030】
次に、入力電圧Vinが急峻に低下した場合は、容量C2で基準電圧Vref1が保持されているトランジスタMN1のゲートと入力端子P1と間のトランジスタMP4が逆バイアスとなるが、前述のようにトランジスタMP4はバックゲートとドレインを接続した逆流防止接続となっているため、容量C2に蓄えられた電荷がそのまま保持される。この結果、トランジスタMN1のゲートに印加している基準電圧Vref1の低下を抑制することができる。
【0031】
なお、ツェナーダイオードD1は、基準電圧Vref1以下の逆バイアス時においても、カソードからアノードへ逆方向リーク電流が流れる。しかし、少なくともトランジスタMP3がオンする遅延時間T1が経過するまでは、トランジスタMN1のゲート電圧が容量C2により保持される。
【0032】
これにより、遅延時間T1が経過するまでの期間は、出力電圧Voutが低下することを防止することができる。容量C2の値が大きいほど、トランジスタMP3がオンするまでの遅延時間T1に確実に対処することが可能である。
【0033】
また、入力電圧Vinが急峻に上昇し、その電圧Vinが入力電圧監視回路2の閾値電圧Vth以上になると、入力電圧監視回路2の出力が“L”レベルから“H”レベルの信号に切り替わり、遅延回路3は遅延時間T1を発生させることなく速やかに出力信号を“H”レベルにし、トランジスタMP3をオフにする。これにより、入力電圧Vinが急峻に上昇しても、高い入力電圧VinがトランジスタMP3によって出力端子P2へ出力されることが防止される。
【0034】
以上の動作により、入力電圧Vinが急峻に低下した場合においても、少なくともトランジスタMP3がオンするまでの遅延時間T1だけは、トランジスタMN1のゲート電圧は容量C2により、ツェナーダイオードD1によって生成される基準電圧Vref1に保持され、出力端子P2の電圧Voutが低下することはなく、負荷を一定以上の電圧で駆動し続けることができる。
【0035】
<第2の実施例>
本発明の第2の実施例の電源回路を図2に示す。本電源回路は、トランジスタMP2とツェナーダイオードD1との共通接続端子とトランジスタMN1のゲートとの間に、抵抗R1とダイオードD2の並列回路を挿入している。ツェナーダイオードD1で生成された基準電圧Vref1は、ダイオードD2を介して容量C2に保持され、トランジスタMN1のゲートに伝達される。
【0036】
ここでは、請求項の充電用素子としてダイオードD2を使用し、請求項の放電防止素子として抵抗R1を使用している。
【0037】
ツェナーダイオードD1で生成された基準電圧Vref1は、ダイオードD2を介して容量C2に保持されるので、ソースフォロアトランジスタMN1のゲート電圧はその電圧Vref1となる。このときの出力端子P2の電圧Voutは、前記した式(1)で表される電圧となる。
【0038】
入力電圧Vinが低下し、ツェナーダイオードD1の両端電圧が基準電圧Vref1以下になると、出力電圧Voutは、
となる。
【0039】
ここで、ダイオードD2は、回路起動時にオンして容量C2を充電し、トランジスタMN1のゲート電圧の立ち上がりを速める働きをする。仮にダイオードD2が無い場合、容量C2は抵抗R1との時定数をもって充電されるため、トランジスタMN1のゲート電圧の立ち上がりが遅くなり、その結果、出力端子P2に接続される負荷回路への電圧Voutの供給も遅くなる。
【0040】
本実施例において、入力電圧Vinが急峻に入力監視回路2の閾値電圧Vth以下の電圧に低下した場合、トランジスタMP2のドレイン・バックゲート間の寄生ダイオードが順バイアスとなり、容量C2に保持された電荷は抵抗R1、トランジスタMP2のその寄生ダイオードを介して放電する。このとき、トランジスタMP3は、図1の電源回路と同様に、遅延回路3の遅延時間T1の経過後にオンする。
【0041】
したがって、容量C2と抵抗R1による放電時定数T2を遅延回路3の遅延時間T1より長くなるように選んでおけば、トランジスタMP3がオンするまでの間、トランジスタMN1のゲート電圧低下を防ぐことができる。以上の動作により、出力端子P2の電圧Voutは一定電圧以上を保持することができる。
【0042】
また、基準電圧Vref1を生成するツェナーダイオードD1には、カソードからアノードへ逆方向リーク電流が流れるので、入力電圧Vinが基準電圧Vref1以下に低下した際、容量C2に保持された電荷がその経路を経由して放電し、トランジスタMN1のゲートに印加している基準電圧Vref1が低下する懸念もある。しかし、これについても、抵抗R1によりそのリーク電流が抑制されるので、容量C2の放電を抑えることができ、入力電圧Vinの低下時にも基準電圧Vref1が保持される。
【0043】
以上の動作により、入力電圧Vinが急峻に低下した場合においても、少なくともトランジスタMP3がオンするまでの遅延時間T1だけは、トランジスタMN1のゲート電圧は容量C2により、ツェナーダイオードD1によって生成される基準電圧Vref1に保持され、出力端子P2の電圧Voutが低下することはなく、負荷を一定以上の電圧で駆動し続けることができる。
【0044】
加えて、図1の電源回路の場合と同一出力電圧Voutを出力する場合、図1の電源回路よりもトランジスタMN1のゲートバイアス電圧を低く設定可能となるため、より低い入力電圧Vinまで基準電圧Vref1によって定電圧動作モードを保持することができる。
【0045】
この定電圧動作モードにおける出力電圧Voutは、図1の電源回路では式(2)に示す値であるので、そのときの入力電圧Vinは、
となるが、本実施例の電源回路ではその出力電圧Voutが式(5)に示す値であるので、そのときの入力電圧Vinは、
となる。したがって、等しい出力電圧Voutを出力するとき、本実施例の電源回路の方が、より低い入力電圧Vinに対応できる。
【0046】
<第3の実施例>
本発明の第3の実施例の電源回路を図3に示す。本実施例では、図2の電源回路のダイオードD2の部分を遅延回路3Aを構成するトランジスタの寄生ダイオードへ置き換えたものである。
【0047】
定電流源回路1の電流Iref1をトランジスタMP1,MP2を介してツェナーダイオードD1に転移し、基準電圧Vref1を生成する部分は図1図2図4と同様である。生成された基準電圧Vref1が、抵抗R1と容量C2で構成されるローバスフィルタを経由してトランジスタMN1のゲートに伝達される部分については、図2の電源回路と同様である。
【0048】
遅延回路3Aは、定電流源回路31、カレントミラー構成のPMOSトランジスタMP5,MP6、NMOSトランジスタMN2,MN3、容量C3により構成される。定電流源回路31は、トランジスタMP5,MP6を介して容量C3に接続される。容量C3には、放電用スイッチとしてトランジスタMN2が並列接続される。入力電圧監視回路2の出力信号をトランジスタMN2のゲートで受けることにより、容量C3の放電動作が切り換わる構成となっている。また、容量C3は、トランジスタMN3のゲートに接続され、その容量C3の充電電圧によりそのトランジスタMN3のオン・オフが制御される。そして、トランジスタMN3は、そのドレインがプルアップ抵抗R2の一端に接続されると共に、トランジスタMP3のゲートへ接続されている。このトランジスタMN3のオン・オフにより、トランジスタMP3がオン・オフ制御される。
【0049】
ここでは、請求項の第3のトランジスタとしてトランジスタMN2を使用し、請求項の第4のトランジスタとしてトランジスタMN3を使用し、請求項の第5、第6のトランジスタとしてトランジスタMP5,MP6を使用している。
【0050】
また、トランジスタMP5,MP6のソース・バックゲート間の寄生ダイオードが、ツェナーダイオードD1によって生成される基準電圧Vref1からトランジスタMN1のゲート方向に順方向となるように、そのトランジスタMP5,MP6のソース(アノード)をツェナーダイオードD1のカソードに、バックゲート(カソード)をトランジスタMN1のゲートへ接続している。
【0051】
本実施例の動作は、図2の電源回路とほぼ同様である。構成上の違いは、上述したように、図2の電源回路のダイオードD2が、トランジスタMP5,MP6のソース・バックゲート間寄生ダイオードで構成されている点である。
【0052】
また、遅延回路3Aの動作も図1、2の電源回路の遅延回路3と同様であるが、補足として遅延回路3A内部の動作を以下に説明する。まず、入力電圧Vinが入力電圧監視回路2の閾値電圧Vth以下に低下した場合には、入力電圧監視回路2は“L”レベルの検出信号を出力するため、遅延回路3A内のトランジスタMN2のゲート電圧が“L”レベルとなり、そのトランジスタMN2はオフ状態となる。すると、定電流源回路31の電流Iref2がトランジスタMP5,MP6を介して転移され容量C3に流れ込む。これにより容量C3が充電され、トランジスタMN3のゲート電圧は上昇する。
【0053】
その後、容量C3の充電電圧がトランジスタMN3の閾値電圧を越えると、そのトランジスタMN3がオンし、トランジスタMP3がオンとなる。このとき、定電流源回路31による充電電流Iref2と容量C3の値により遅延時間T1が生成され、トランジスタMP3がオフ状態からオン状態となる遷移動作時には遅延が発生する。
【0054】
一方、入力電圧Vinが上昇した場合には、入力電圧監視回路2の出力は“H”レベルとなり、トランジスタMN2はオン状態となる。すると、容量C3の電荷はそのトランジスタMN2を通して即座に放電し、トランジスタMN3はゲート電圧が下降し、オフ状態へ遷移する。そして、トランジスタMN3のドレイン電圧が上昇し、トランジスタMP3はオフとなる。このように、トランジスタMP3がオン状態からオフ状態へ遷移する時には遅延は生じない。
【0055】
以上の動作により、入力電圧Vinが上昇した場合、トランジスタMP3は遅延を生じることなくオフ状態へ移行し、出力端子P2に接続される負荷回路へ過大な電圧が加わることは無い。また、入力電圧Vinが下降した場合、トランジスタMP3は遅延時間T1を伴ってオン状態へ移行する。このとき、図2の電源回路の動作と同様、トランジスタMN1のゲート電圧は容量C2により保持され、出力端子P2の電圧Voutは一定値以上が保持される。
【0056】
以上の動作により、入力電圧Vinが急峻に低下した場合においても、少なくともトランジスタMP3がオンするまでの遅延時間T1だけは、トランジスタMN1のゲート電圧は容量C2により、ツェナーダイオードD1によって生成される基準電圧Vref1に保持され、出力端子P2の電圧Voutが低下することはなく、負荷を一定以上の電圧で駆動し続けることができる。
加えて、図2の電源回路では容量C2の充電を速めるために特別にダイオードD2を付加しているが、本実施例では遅延回路3A内のトランジスタMP5,MP6の寄生ダイオードを利用することで、回路素子の増加を防いでいる。
【符号の説明】
【0057】
P1:入力端子
P2:出力端子
1:定電流源回路
2:入力電圧監視回路
3,3A:遅延回路、31:定電流源回路
図1
図2
図3
図4