(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記エポキシ基含有樹脂(A)は、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びビスフェノールF型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる1種以上の樹脂を含有する、請求項1又は2に記載のネガ型感光性組成物。
前記カチオン重合開始剤(B0)と前記カチオン重合開始剤(B1)との比率が、(B0)成分/(B1)成分で表される質量比として5〜200である、請求項1、2又は4に記載のネガ型感光性組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、芳香族性を持たない化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」又は「フッ素化アルキレン基」は、アルキル基又はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「置換基を有していてもよい」と記載する場合、水素原子(−H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(−CH
2−)を2価の基で置換する場合との両方を含む。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
【0014】
「アクリル酸エステル」は、アクリル酸(CH
2=CH−COOH)のカルボキシ基末端の水素原子が有機基で置換された化合物である。
アクリル酸エステルは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該α位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基(R
α0)は、水素原子以外の原子又は基であり、たとえば炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。また、置換基(R
α0)がエステル結合を含む置換基で置換されたイタコン酸ジエステルや、置換基(R
α0)がヒドロキシアルキル基やその水酸基を修飾した基で置換されたαヒドロキシアクリルエステルも含むものとする。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、アクリル酸のカルボニル基が結合している炭素原子のことである。
【0015】
上記α位の置換基としてのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、炭素数1〜5のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基)等が挙げられる。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
また、α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、水酸基で置換した基が挙げられる。該ヒドロキシアルキル基における水酸基の数は、1〜5が好ましく、1が最も好ましい。
【0016】
≪ネガ型感光性組成物≫
本発明の第一の態様であるネガ型感光性組成物(以下、単に「感光性組成物」ということがある)は、エポキシ基含有樹脂(A)(以下、「(A)成分」ともいう)と、カチオン重合開始剤(B)(以下、「(B)成分」ともいう)と、を含有する。
かかるネガ型感光性組成物を用いて膜を形成し、該膜に対して選択的に露光を行うと、該膜の露光部では(B)成分のカチオン部が分解して酸が発生し、該酸の作用により(A)成分中のエポキシ基が開環重合して、当該(A)成分の現像液に対する溶解性が減少する一方で、該膜の未露光部では(A)成分の溶解性が変化しないため、露光部と未露光部との間で現像液に対する溶解性の差が生じる。そのため、該膜を現像すると、未露光部が溶解除去されて、ネガ型のパターンが形成される。
【0017】
<エポキシ基含有樹脂(A);(A)成分>
エポキシ基含有樹脂としては特に限定されず、露光によってパターンを形成するのに十分なエポキシ基を1分子中に有するエポキシ基含有樹脂であればよい。その中でも、ノボラック型エポキシ樹脂(Anv)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(Abp)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、及びアクリル樹脂(Aac)からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有することが好ましい。
【0018】
これらの市販品としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(Abp)としては、JER−827、JER−828、JER−834、JER−1001、JER−1002、JER−1003、JER−1055、JER−1007、JER−1009、JER−1010(以上、三菱化学(株)製)、EPICLON860、EPICLON1050、EPICLON1051、EPICLON1055(以上、DIC(株)製)等であり;ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、JER−806、JER−807、JER−4004、JER−4005、JER−4007、JER−4010(以上、三菱化学(株)製)、EPICLON830、EPICLON835(以上、DIC(株)製)、LCE−21、RE−602S(以上、日本化薬(株)製)等であり;ノボラック型エポキシ樹脂(Anv)としては、JER−152、JER−154、JER−157S70、JER−157S65、(以上、三菱化学(株)製)、EPICLON N−740、EPICLON N−740、EPICLON N−770、EPICLON N−775、EPICLON N−660、EPICLON N−665、EPICLON N−670、EPICLON N−673、EPICLON N−680、EPICLON N−690、EPICLON N−695、EPICLON HP5000、(以上、DIC(株)製)、EOCN−1020(以上、日本化薬(株)製)等であり;脂肪族エポキシ樹脂としては、ADEKA RESIN EP−4080S、同EP−4085S、同EP−4088S(以上、(株)ADEKA製)セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2083、セロキサイド2085、EHPE−3150、EPOLEAD PB 3600、同PB 4700(以上、ダイセル化学工業(株)製)、デナコール EX−211L、EX−212L、EX−214L、EX−216L、EX−321L、EX−850L(以上、ナガセケムテックス(株)製)等である。
これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0019】
これらの中でもより好ましいエポキシ樹脂の具体例を以下に示す。
【0020】
[ノボラック型エポキシ樹脂(Anv)]
ノボラック型エポキシ樹脂(Anv)としては、下記一般式(anv0)で表される樹脂を使用することができる。
【0021】
【化2】
[式中、R
a11、R
a12はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、na
11は1〜5の整数である。R
EPはエポキシ基含有基である。]
【0022】
式(anv0)中、R
a11、R
a12の炭素数1〜5のアルキル基は、例えば炭素数1〜5の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基である。直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、環状のアルキル基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基等が挙げられる。
なかでもR
a11、R
a12としては、水素原子又はメチル基が好ましい。
【0023】
式(anv0)中、R
EPはエポキシ基含有基である。
R
EPのエポキシ基含有基としては特に限定されるものではなく、エポキシ基のみからなる基;脂環式エポキシ基のみからなる基;エポキシ基又は脂環式エポキシ基と、2価の連結基とを有する基が挙げられる。
脂環式エポキシ基とは、3員環エーテルであるオキサシクロプロパン構造を有する脂環式基であって、具体的には、脂環式基とオキサシクロプロパン構造とを有する基である。
脂環式エポキシ基の基本骨格となる脂環式基としては、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。また、これら脂環式基の水素原子は、アルキル基、アルコキシ基、水酸基等で置換されていてもよい。
エポキシ基又は脂環式エポキシ基と、2価の連結基とを有する基の場合、式中の酸素原子(−O−)に結合した2価の連結基を介してエポキシ基又は脂環式エポキシ基が結合することが好ましい。
【0024】
ここで、2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
【0025】
置換基を有していてもよい2価の炭化水素基について:
かかる2価の炭化水素基における炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
2価の炭化水素基としての脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
【0026】
前記直鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜3が最も好ましい。直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH
2−]、エチレン基[−(CH
2)
2−]、トリメチレン基[−(CH
2)
3−]、テトラメチレン基[−(CH
2)
4−]、ペンタメチレン基[−(CH
2)
5−]等が挙げられる。
前記分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜6がより好ましく、2〜4がさらに好ましく、2又は3が最も好ましい。分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH
3)−、−CH(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)
2−、−C(CH
3)(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)(CH
2CH
2CH
3)−、−C(CH
2CH
3)
2−等のアルキルメチレン基;−CH(CH
3)CH
2−、−CH(CH
3)CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2CH
2−、−CH(CH
2CH
3)CH
2−、−C(CH
2CH
3)
2−CH
2−等のアルキルエチレン基;−CH(CH
3)CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2CH
2−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
【0027】
前記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、前記と同様のものが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
【0028】
2価の炭化水素基における芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。この芳香環は、(4n+2)個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は、5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基またはヘテロアリーレン基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を2つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基)等が挙げられる。前記アリール基またはヘテロアリール基に結合するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
【0029】
2価の炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
2価の炭化水素基としての、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、カルボニル基等が挙げられる。
【0030】
2価の炭化水素基としての、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基における脂環式炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
脂環式炭化水素基は、その環構造を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)
2−、−S(=O)
2−O−が好ましい。
【0031】
2価の炭化水素基としての、芳香族炭化水素基は、当該芳香族炭化水素基が有する水素原子が置換基で置換されていてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基中の芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基、ハロゲン原子およびハロゲン化アルキル基としては、前記脂環式炭化水素基が有する水素原子を置換する置換基として例示したものが挙げられる。
【0032】
ヘテロ原子を含む2価の連結基について:
ヘテロ原子を含む2価の連結基におけるヘテロ原子とは、炭素原子および水素原子以外の原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0033】
ヘテロ原子を含む2価の連結基において、該連結基として好ましいものとしては、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−;−C(=O)−NH−、−NH−、−NH−C(=O)−O−、−NH−C(=NH)−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。);−S−、−S(=O)
2−、−S(=O)
2−O−、一般式−Y
21−O−Y
22−、−Y
21−O−、−Y
21−C(=O)−O−、−C(=O)−O−Y
21、−[Y
21−C(=O)−O]
m”−Y
22−または−Y
21−O−C(=O)−Y
22−で表される基[式中、Y
21およびY
22はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m”は0〜3の整数である。]等が挙げられる。
前記へテロ原子を含む2価の連結基が−C(=O)−NH−、−NH−、−NH−C(=O)−O−、−NH−C(=NH)−の場合、そのHはアルキル基、アシル等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
式−Y
21−O−Y
22−、−Y
21−O−、−Y
21−C(=O)−O−、−C(=O)−O−Y
21−、−[Y
21−C(=O)−O]
m”−Y
22−または−Y
21−O−C(=O)−Y
22−中、Y
21およびY
22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記2価の連結基としての説明で挙げた「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」と同様のものが挙げられる。
Y
21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
Y
22としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。
式−[Y
21−C(=O)−O]
m”−Y
22−で表される基において、m”は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式−[Y
21−C(=O)−O]
m”−Y
22−で表される基としては、式−Y
21−C(=O)−O−Y
22−で表される基が特に好ましい。なかでも、式−(CH
2)
a’−C(=O)−O−(CH
2)
b’−で表される基が好ましい。該式中、a’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
【0034】
なかでも、R
EPにおけるエポキシ基含有基としては、グリシジル基が好ましい。
【0035】
また、ノボラック型エポキシ樹脂(Anv)としては、下記一般式(anv1)で表される構成単位を含む樹脂も好適に使用することができる。
【0036】
【化3】
[式中、R
EPは、エポキシ基含有基であり、R
a22、R
a23は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又はハロゲン原子である。]
【0037】
式(anv1)中、R
a22、R
a23の炭素数1〜5のアルキル基は、前記式(anv0)中のR
a11、R
a12の炭素数1〜5のアルキル基と同様である。R
a22、R
a23のハロゲン原子は、塩素原子又は臭素原子であることが好ましい。
式(anv1)中、R
EPは前記式(anv0)中のR
EPと同様であって、グリシジル基が好ましい。
【0038】
以下に前記式(anv1)で表される構成単位の具体例を示す。
【0040】
ノボラック型エポキシ樹脂(Anv)は、前記構成単位(anv1)のみからなる樹脂であってもよく、構成単位(anv1)と、他の構成単位とを有する樹脂であることも好ましい。他の構成単位としては、例えば、下記一般式(anv2)〜(anv3)でそれぞれ表される構成単位が挙げられる。
【0041】
【化5】
[式中、R
a24は置換基を有していてもよい炭化水素基であり、R
a25〜R
a26、R
a28〜R
a30は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又はハロゲン原子であり、R
a27はエポキシ基含有基又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。]
【0042】
式(anv2)中、R
a24は、置換基を有していてもよい炭化水素基である。置換基を有していてもよい炭化水素基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、環状の炭化水素基が挙げられる。
該直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4がより好ましく、1または2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基またはn−ブチル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
【0043】
該分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、3〜5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、2,2−ジメチルブチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが好ましい。
【0044】
R
a24が環状の炭化水素基となる場合、該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基でも芳香族炭化水素基でもよく、また、多環式基でも単環式基でもよい。
単環式基である脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式基である脂肪族炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
【0045】
R
a24の環状の炭化水素基が芳香族炭化水素基となる場合、該芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
R
a24における芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を1つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環に結合するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
【0046】
式(anv2)、(anv3)中、R
a25〜R
a26、R
a28〜R
a30は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又はハロゲン原子であって、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子は、それぞれ前記R
a22、R
a23と同様である。
【0047】
式(anv3)中、R
a27はエポキシ基含有基又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。R
a27のエポキシ基含有基は、前記式(anv0)中のR
EPと同様であり、R
a27の置換基を有していてもよい炭化水素基はR
a24と同様である。
【0048】
以下に前記式(anv2)〜(anv3)で表される構成単位の具体例を示す。
【0050】
ノボラック型エポキシ樹脂(Anv)が、構成単位(anv1)に加えて他の構成単位を有する場合の、樹脂(Anv)中の各構成単位の割合は特に限定されるものではないが、樹脂(Anv)を構成する全構成単位の合計に対して、エポキシ基を有する構成単位の合計が10〜90モル%が好ましく、20〜80モル%がより好ましく、30〜70モル%がさらに好ましい。
【0051】
[ビスフェノールA型エポキシ樹脂(Abp)]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(Abp)としては、下記一般式(abp1)で表される構造のエポキシ樹脂を使用することができる。
【0052】
【化7】
[式中、R
EPは、エポキシ基含有基であり、R
a31、R
a32はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、na
31は1〜50の整数である。]
【0053】
式(abp1)中、R
a31、R
a32の炭素数1〜5のアルキル基は、前記式(anv0)中のR
a11、R
a12の炭素数1〜5のアルキル基と同様である。なかでもR
a31、R
a32としては、水素原子又はメチル基が好ましい。
R
EPは前記式(anv0)中のR
EPと同様であって、グリシジル基が好ましい。
【0054】
[脂肪族エポキシ樹脂、及びアクリル樹脂(Aac)]
脂肪族エポキシ樹脂、及びアクリル樹脂(Aac)としては、下記一般式(a1−1)〜(a1−2)で表されるエポキシ基含有単位を含む樹脂を使用することができる。
【0055】
【化8】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Va
41は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、na
41は0〜2の整数であり、R
a41、R
a42はエポキシ基含有基である。na
42は0又は1であり、Wa
41は(na
43+1)価の炭化水素基であり、na
43は1〜3の整数である。]
【0056】
前記式(a1−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。
Rの炭素数1〜5のアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
Rの炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
【0057】
前記式(a1−1)中、Va
41は、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であって、前記式(anv0)中のR
EPにおいて説明した置換基を有していてもよい2価の炭化水素基と同様の基が挙げられる。
上記の中でも、Va
41の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がさらに好ましく、直鎖状のアルキレン基が特に好ましい。
【0058】
式(a1−1)中、na
41は0〜2の整数であって、0又は1が好ましい。
【0059】
式(a1−1)、(a1−2)中、R
a41、R
a42はエポキシ基含有基であって、前記式(anv0)中のR
EPと同様である。
【0060】
式(a1−2)中、Wa
41における(na
43+1)価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。該脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味し、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基、或いは直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基と構造中に環を含む脂肪族炭化水素基とを組み合わせた基が挙げられる。
【0061】
式(a1−2)中、na
43は1〜3の整数であって、1又は2が好ましい。
【0062】
以下に前記式(a1−1)又は(a1−2)で表される構成単位の具体例を示す。
【0068】
上記式中、R
αは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示し、R
a51は炭素数1〜8の2価の炭化水素基を示し、R
a52は炭素数1〜20の2価の炭化水素基を示し、R
a53は水素原子又はメチル基を示す。na
51は0〜10の整数である。
R
a51、R
a52、R
a53はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0069】
さらに、アクリル樹脂(Aac)は、物理的、化学的特性を適度にコントロールする目的で他の重合性化合物を構成単位として含めることができる。このような重合性化合物としては、公知のラジカル重合性化合物や、アニオン重合性化合物が挙げられる。また、このような重合性化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸類;2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボキシル基及びエステル結合を有するメタクリル酸誘導体類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アリールエステル類;マレイン酸ジエチル、フマル酸ジブチル等のジカルボン酸ジエステル類;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、ヒドロキシスチレン、α−メチルヒドロキシスチレン、α−エチルヒドロキシスチレン等のビニル基含有芳香族化合物類;酢酸ビニル等のビニル基含有脂肪族化合物類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジオレフィン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有重合性化合物類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有重合性化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド結合含有重合性化合物類;等を挙げることができる。
【0070】
脂肪族エポキシ樹脂、及びアクリル樹脂(Aac)が他の構成単位を有する場合の、当該樹脂におけるエポキシ基含有単位の含有比率は、5〜40モル%であることが好ましい。更に、10〜30モル%であることが好ましく、15〜25モル%であることが最も好ましい。
【0071】
(A)成分としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、ノボラック型エポキシ樹脂(Anv)、ビスフェノールA型樹脂(Abp)、脂肪族エポキシ樹脂、及びアクリル樹脂(Aac)のいずれか1以上を組み合わせて用いることもできる。
これらの中でも、(A)成分は、本発明の効果がより得られやすいことから、ノボラック型エポキシ樹脂(Anv)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(Abp)及びビスフェノールF型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる1種以上の樹脂を含有することがより好ましい。
特に、パターン倒れの生じにくさの点から、(A)成分は、ノボラック型エポキシ樹脂(Anv)及びビスフェノールA型エポキシ樹脂(Abp)からなる群より選ばれる1種以上の樹脂を含有することがさらに好ましい。
【0072】
(A)成分のポリスチレン換算質量平均分子量は、好ましくは100〜300000であり、より好ましくは200〜200000であり、さらに好ましくは300〜200000である。このような質量平均分子量とすることにより、支持体との剥離性が低下することなく形成された膜の十分な強度を保持でき、さらにはメッキ時のプロファイルの膨れや、クラックの発生を防ぐことができる。
【0073】
また、(A)成分は、分散度が1.05以上の樹脂であることが好ましい。ここで、分散度とは、質量平均分子量を数平均分子量で除した値のことである。このような分散度とすることにより、所望とするメッキに対する応力耐性や、メッキ処理により得られる金属層が膨らみやすくなるという問題を回避できる。
【0074】
本発明の感光性組成物中、(A)成分の含有量は形成しようとする膜厚等に応じて調整すればよい。
【0075】
<カチオン重合開始剤(B);(B)成分>
本発明においてカチオン重合開始剤(B)は、下記一般式(b0−1)で表される化合物、及び下記一般式(b0−2)で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上のカチオン重合開始剤(B0)(以下、「(B0)成分」という)と、pKaが−3以上である酸を発生するカチオン重合開始剤(B1)(以下、「(B1)成分」という)と、を有する。
【0076】
【化14】
[式中、R
b01〜R
b04は、それぞれ独立にフッ素原子、又は置換基を有していてもよいアリール基である。R
b05は、フッ素原子、又は置換基を有していてもよいフッ素化アルキル基であって、複数のR
b05は同一であってもよく、それぞれ異なっていてもよい。qは1以上の整数であって、Q
q+はそれぞれ独立にq価の有機カチオンである。]
【0077】
[(B0)成分]
(B0)成分は、上記一般式(b0−1)で表される化合物、及び上記一般式(b0−2)で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上のカチオン重合開始剤である。これら2種の化合物は、露光により比較的強い酸を発生するため、(B0)成分を有するネガ型感光性組成物を用いてパターンを形成する場合に、十分な感度を得ることができ、良好なパターンが得られる。
【0078】
式(b0−1)中、R
b01〜R
b04は、それぞれ独立にフッ素原子、又は置換基を有していてもよいアリール基である。
R
b01〜R
b04の置換基を有していてもよいアリール基は、炭素数が5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。具体的には、ナフチル基、フェニル基、アントラセニル基などが挙げられ、入手が容易であることからフェニル基が好ましい。
アリール基は置換基を有していてもよい。置換基としては特に限定されるものではないが、ハロゲン原子、水酸基、炭化水素基(直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数は1〜5が好ましい)が好ましく、ハロゲン原子又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基がより好ましく、フッ素原子又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が特に好ましい。アリール基がフッ素原子を有することにより、アニオン部の極性が高まり好ましい。
なかでも式(b0−1)のR
b01〜R
b04としては、フッ素化されたフェニル基が好ましく、パーフルオロフェニル基が特に好ましい。
【0079】
式(b0−1)で表される化合物のアニオン部の好ましい具体例としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([B(C
6F
5)
4]
−);テトラキス[(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート([B(C
6H
4CF
3)
4]
−);ジフルオロビス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([(C
6F
5)
2BF
2]
−);トリフルオロ(ペンタフルオロフェニル)ボレート([(C
6F
5)BF
3]
−);テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート([B(C
6H
3F
2)
4]
−)等が挙げられる。なかでも、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([B(C
6F
5)
4]
−)が特に好ましい。
【0080】
式(b0−2)中、R
b05は、フッ素原子、又は置換基を有していてもよいフッ素化アルキル基であって、複数のR
b05は同一であってもよく、それぞれ異なっていてもよい。
R
b05の置換基を有していてもよいフッ素化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましい。具体的には、前記R
a22、R
a23の説明中で上述した炭素数1〜5のアルキル基において、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
なかでもR
b05としては、フッ素原子又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、フッ素原子又は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基がより好ましく、フッ素原子、トリフルオロメチル基又はペンタフルオロエチル基がさらに好ましい。
【0081】
式(b0−2)で表される化合物のアニオン部は、下記一般式(b0−2a)で表されるものが好ましい。
【0082】
【化15】
[式中、R
bf05は置換基を有していてもよいフッ素化アルキル基であって、nb
1は1〜5の整数である。]
【0083】
式(b0−2a)中、R
bf05の置換基を有していてもよいフッ素化アルキル基としては、前記R
b05で挙げた置換基を有していてもよいフッ素化アルキル基と同様である。
式(b0−2a)中、nb
1は1〜4であることが好ましく、2〜4であることがより好ましく、3が最も好ましい。
【0084】
式(b0−1)〜(b0−2)中、qは1以上の整数であって、Q
q+はq価の有機カチオンであり、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオンが好適に挙げられ、下記の一般式(ca−1)〜(ca−5)でそれぞれ表される有機カチオンが特に好ましい。
【0085】
【化16】
[式中、R
201〜R
207、およびR
211〜R
212は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、ヘテロアリール基、アルキル基またはアルケニル基を表し、R
201〜R
203、R
206〜R
207、R
211〜R
212は、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。R
208〜R
209はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、R
210は置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよい−SO
2−含有環式基であり、L
201は−C(=O)−または−C(=O)−O−を表し、Y
201は、それぞれ独立に、アリーレン基、アルキレン基またはアルケニレン基を表し、xは1または2であり、W
201は(x+1)価の連結基を表す。]
【0086】
R
201〜R
207、およびR
211〜R
212におけるアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
R
201〜R
207、およびR
211〜R
212におけるヘテロアリール基としては、前記アリール基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されたものが挙げられる。
ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。このヘテロアリール基として、9H−チオキサンテンから水素原子を1つ除いた基;置換ヘテロアリール基として、9H−チオキサンテン−9−オンから水素原子を1つ除いた基などが挙げられる。
R
201〜R
207、およびR
211〜R
212におけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素数1〜30のものが好ましい。
R
201〜R
207、およびR
211〜R
212におけるアルケニル基としては、炭素数が2〜10であることが好ましい。
R
201〜R
207、およびR
210〜R
212が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、カルボニル基、シアノ基、アミノ基、オキソ基(=O)、アリール基、下記式(ca−r−1)〜(ca−r−10)でそれぞれ表される基が挙げられる。
【0087】
【化17】
[式中、R’
201はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。]
【0088】
R’
201は、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。
【0089】
置換基を有していてもよい環式基:
該環式基は、環状の炭化水素基であることが好ましく、該環状の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。また、脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
【0090】
R’
201における芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜10が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
R’
201における芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、もしくはこれらの芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環、又は、これらの芳香環もしくは芳香族複素環を構成する水素原子の一部がオキソ基などで置換された環が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
R’
201における芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香環から水素原子を1つ除いた基(アリール基:たとえば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基など)、前記芳香環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)、前記芳香環を構成する水素原子の一部がオキソ基などで置換された環(たとえばアントラキノン等)から水素原子を1つ除いた基、芳香族複素環(たとえば9H−チオキサンテン、9H−チオキサンテン−9−オンなど)から水素原子を1つ除いた基等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
【0091】
R’
201における環状の脂肪族炭化水素基は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基が挙げられる。
この構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を1個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜30のものが好ましい。中でも、該ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の架橋環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカン;ステロイド骨格を有する環式基等の縮合環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカンがより好ましい。
【0092】
なかでも、R’
201における環状の脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンまたはポリシクロアルカンから水素原子を1つ以上除いた基が好ましく、ポリシクロアルカンから水素原子を1つ除いた基がより好ましく、アダマンチル基、ノルボルニル基が特に好ましく、アダマンチル基が最も好ましい。
【0093】
脂環式炭化水素基に結合してもよい、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH
2−]、エチレン基[−(CH
2)
2−]、トリメチレン基[−(CH
2)
3−]、テトラメチレン基[−(CH
2)
4−]、ペンタメチレン基[−(CH
2)
5−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH
3)−、−CH(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)
2−、−C(CH
3)(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)(CH
2CH
2CH
3)−、−C(CH
2CH
3)
2−等のアルキルメチレン基;−CH(CH
3)CH
2−、−CH(CH
3)CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2CH
2−、−CH(CH
2CH
3)CH
2−、−C(CH
2CH
3)
2−CH
2−等のアルキルエチレン基;−CH(CH
3)CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2CH
2−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
【0094】
置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基:
R’
201の鎖状のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよい。
直鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
【0095】
置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基:
R’
201の鎖状のアルケニル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましく、3が特に好ましい。直鎖状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、1−メチルビニル基、2−メチルビニル基、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
鎖状のアルケニル基としては、上記の中でも、直鎖状のアルケニル基が好ましく、ビニル基、プロペニル基がより好ましく、ビニル基が特に好ましい。
【0096】
R’
201の環式基、鎖状のアルキル基またはアルケニル基における置換基としては、たとえば、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、オキソ基、上記R’
201における環式基、アルキルカルボニル基、チエニルカルボニル基等が挙げられる。
【0097】
なかでも、R’
201は、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基が好ましい。
【0098】
R
201〜R
203、R
206〜R
207、R
211〜R
212は、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、硫黄原子、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子や、カルボニル基、−SO−、−SO
2−、−SO
3−、−COO−、−CONH−または−N(R
N)−(該R
Nは炭素数1〜5のアルキル基である。)等の官能基を介して結合してもよい。形成される環としては、式中のイオウ原子をその環骨格に含む1つの環が、イオウ原子を含めて、3〜10員環であることが好ましく、5〜7員環であることが特に好ましい。形成される環の具体例としては、たとえばチオフェン環、チアゾール環、ベンゾチオフェン環、チアントレン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、9H−チオキサンテン環、チオキサントン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、テトラヒドロチオフェニウム環、テトラヒドロチオピラニウム環等が挙げられる。
【0099】
R
208〜R
209は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、アルキル基となる場合、相互に結合して環を形成してもよい。
【0100】
R
210は、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよい−SO
2−含有環式基である。
R
210におけるアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
R
210におけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素数1〜30のものが好ましい。
R
210におけるアルケニル基としては、炭素数が2〜10であることが好ましい。
【0101】
Y
201は、それぞれ独立に、アリーレン基、アルキレン基又はアルケニレン基を表す。
Y
201におけるアリーレン基は、R’
201における芳香族炭化水素基として例示したアリール基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
Y
201におけるアルキレン基、アルケニレン基は、R’
201における鎖状のアルキル基、鎖状のアルケニル基として例示した基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
【0102】
前記式(ca−4)中、xは、1または2である。
W
201は、(x+1)価、すなわち2価または3価の連結基である。
W
201における2価の連結基としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、上記式(anv0)中のR
EPで例示した置換基を有していてもよい2価の炭化水素基と同様の基が好ましい。W
201における2価の連結基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、環状であることが好ましい。なかでも、アリーレン基の両端に2個のカルボニル基が組み合わされた基、又はアリーレン基のみからなる基が好ましい。アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、フェニレン基が特に好ましい。
W
201における3価の連結基としては、前記W
201における2価の連結基から水素原子を1個除いた基、前記2価の連結基にさらに前記2価の連結基が結合した基などが挙げられる。W
201における3価の連結基としては、アリーレン基に2個のカルボニル基が結合した基が好ましい。
【0103】
前記式(ca−1)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記式(ca−1−1)〜(ca−1−24)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
【0105】
【化19】
[式中、R”
201は水素原子又は置換基であって、該置換基としては前記R
201〜R
207、およびR
210〜R
212が有していてもよい置換基として挙げたものと同様である。]
【0106】
また、前記式(ca−1)で表されるカチオンとしては、下記一般式(ca−1−25)〜(ca−1−35)でそれぞれ表されるカチオンも好ましい。
【0108】
【化21】
[式中、R’
211はアルキル基であり、R
halは水素原子又はハロゲン原子である。]
【0109】
また、前記式(ca−1)で表されるカチオンとしては、下記化学式(ca−1−36)〜(ca−1−46)でそれぞれ表されるカチオンも好ましい。
【0111】
前記式(ca−2)で表される好適なカチオンとして具体的には、ジフェニルヨードニウムカチオン、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムカチオン等が挙げられる。
【0112】
前記式(ca−4)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記式(ca−4−1)〜(ca−4−2)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
【0114】
また、前記式(ca−5)で表されるカチオンとしては、下記一般式(ca−5−1)〜(ca−5−3)でそれぞれ表されるカチオンも好ましい。
【0115】
【化24】
[式中、R’
212はアルキル基又は水素原子である。R’
211はアルキル基である。]
【0116】
上記の中でも、カチオン部[(Q
q+)
1/q]は、一般式(ca−1)で表されるカチオンが好ましく、式(ca−1−1)〜(ca−1−46)でそれぞれ表されるカチオンがより好ましい。
【0117】
また、(B0)成分は、露光によりpKa(酸解離定数)が−5以下の酸を発生するカチオン重合開始剤であることが好ましい。より好ましくはpKaが−6以下、さらに好ましくはpKaが−8以下の酸を発生するカチオン重合開始剤を用いることにより、露光に対する高い感度を得ることが可能となる。(B0)成分が発生する酸のpKaの下限値は、好ましくは−15以上である。
本発明において、「pKa(酸解離定数)」とは、対象物質の酸強度を示す指標として一般的に用いられているものをいう。なお、本明細書におけるpKaは、25℃の温度条件における値である。また、pKa値は、公知の手法により測定して求めることができる。また、「ACD/Labs」(商品名、Advanced Chemistry Development社製)等の公知のソフトウェアを用いた計算値を用いることもできる。
【0118】
(B0)成分は、上述した酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の感光性組成物における(B0)成分の含有割合は、(A)成分100質量部に対して0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましく、0.2〜5質量部がさらに好ましく、0.5〜2質量部が特に好ましい。
また、本発明の感光性組成物において、(B)成分中の(B0)成分の含有割合は特に限定されるものではなく、(B0)成分、(B1)成分の構造や、アニオン部に由来する酸の等に応じて適宜決定することができる。具体的には、(B)成分中の(B0)成分の含有割合は、20〜99.999質量%であることが好ましく、30〜99.99質量%であることがより好ましく、40〜99.9質量%であることがさらに好ましく、60〜99.9質量%であることが特に好ましく、90〜99.6質量%であることが最も好ましい。
(B0)成分の含有割合を上記範囲とすることにより、露光により重合開始剤から発生する複数種の酸の強度を全体で適度なものとすることができ、良好なパターニング性を得ることができる。
【0119】
[(B1)成分]
(B1)成分は、pKaが−3以上の酸を発生し、前記(B0)成分に該当しないカチオン重合開始剤である。pKaが−3以上の比較的弱い酸を発生する(B1)成分を上記(B0)成分と併用することにより、パターン形成時に高感度となりすぎることがなく、高解像のパターンを形成することができる。
(B1)成分としては、pKaが−3以上、好ましくはpKaが0以上、さらに好ましくはpKaが1以上である酸を発生するカチオン重合開始剤であれば特に限定されるものではないが、オニウム塩であって、そのアニオン部にハロゲン原子を有しない化合物が好ましい。アニオン部にハロゲン原子を有しない(B1)成分を用いることにより、ガスの発生(脱ガス)を低減することが可能となる。(B1)成分が発生する酸のpKaの上限値は、好ましくは5以下である。
なかでも(B1)成分としては、下記一般式(b1−1)で表される化合物(以下「(b1−1)成分」という。)、及び下記一般式(b1−2)で表される化合物(以下「(b1−2)成分」という。)からなる群より選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
【0120】
【化25】
[式中、R
b11〜R
b12は、ハロゲン原子以外の置換基を有していてもよい環式基、ハロゲン原子以外の置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又はハロゲン原子以外の置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。mは1以上の整数であって、M
m+はそれぞれ独立にm価の有機カチオンである。]
【0121】
{(b1−1)成分}
・・アニオン部
式(b1−1)中、R
b11はハロゲン原子以外の置換基を有していてもよい環式基、ハロゲン原子以外の置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又はハロゲン原子以外の置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であって、上述したR’
201の説明中の環式基、鎖状のアルキル基、鎖状のアルケニル基のうち、置換基を有しないもの又はハロゲン原子以外の置換基を有するものが挙げられる。
本明細書において、「ハロゲン原子以外の置換基を有していてもよい」とは、ハロゲン原子のみからなる置換基を有する場合を排除するのみではなく、ハロゲン原子を1つでも含む置換基を有する場合(例えば、置換基がフッ素化アルキル基である場合等)を排除するものである。
【0122】
これらのなかでも、R
b11としては、ハロゲン原子以外の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、ハロゲン原子以外の置換基を有していてもよい脂肪族環式基、又はハロゲン原子以外の置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基が好ましい。これらの基が有していてもよい置換基としては、水酸基、オキソ基、アルキル基、アリール基、ラクトン含有環式基、エーテル結合、エステル結合、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
エーテル結合やエステル結合を置換基として含む場合、アルキレン基を介していてもよく、この場合の置換基としては、下記式(y−al−1)〜(y−al−5)でそれぞれ表される連結基が好ましい。
【0123】
【化26】
[式中、V’
101は単結合または炭素数1〜5のアルキレン基であり、V’
102は炭素数1〜30の2価の飽和炭化水素基である。]
【0124】
V’
102における2価の飽和炭化水素基は、炭素数1〜30のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基であることがさらに好ましい。
【0125】
V’
101およびV’
102におけるアルキレン基としては、直鎖状のアルキレン基でもよく分岐鎖状のアルキレン基でもよく、直鎖状のアルキレン基が好ましい。
V’
101およびV’
102におけるアルキレン基として、具体的には、メチレン基[−CH
2−];−CH(CH
3)−、−CH(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)
2−、−C(CH
3)(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)(CH
2CH
2CH
3)−、−C(CH
2CH
3)
2−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CH
2CH
2−];−CH(CH
3)CH
2−、−CH(CH
3)CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2CH
2−、−CH(CH
2CH
3)CH
2−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CH
2CH
2CH
2−];−CH(CH
3)CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CH
2CH
2CH
2CH
2−];−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2CH
2−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−]等が挙げられる。
また、V’
101又はV’
102における前記アルキレン基における一部のメチレン基が、炭素数5〜10の2価の脂肪族環式基で置換されていてもよい。当該脂肪族環式基は、R’
201の環状の脂肪族炭化水素基(単環式の脂環式炭化水素基、多環式の脂環式炭化水素基)から水素原子をさらに1つ除いた2価の基が好ましく、シクロへキシレン基、1,5−アダマンチレン基又は2,6−アダマンチレン基がより好ましい。
【0126】
前記芳香族炭化水素基としては、フェニル基もしくはナフチル基がより好ましい。
前記脂肪族環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
前記鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜10であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状のアルキル基;1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基等の分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
【0127】
R
b11としては、ハロゲン原子以外の置換基を有していてもよい環式基が好ましい。
以下に(d1−1)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
【0129】
・・カチオン部
式(b1−1)中、M
m+は、m価の有機カチオンである。
M
m+の有機カチオンとしては、前記一般式(ca−1)〜(ca−5)でそれぞれ表されるカチオンと同様のものが好適に挙げられ、これらの中でも、前記一般式(ca−1)で表されるカチオンがより好ましい。この中でも、前記一般式(ca−1)中のR
201、R
202、R
203のうちの少なくとも1つが、置換基を有していてもよい炭素数16以上の有機基(アリール基、ヘテロアリール基、アルキル基またはアルケニル基)であるスルホニウムカチオンが、解像性やラフネス特性が向上することから特に好ましい。
前記の有機基が有していてもよい置換基としては、上記と同様であり、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、カルボニル基、シアノ基、アミノ基、オキソ基(=O)、アリール基、上記式(ca−r−1)〜(ca−r−10)でそれぞれ表される基が挙げられる。
前記の有機基(アリール基、ヘテロアリール基、アルキル基またはアルケニル基)における炭素数は、好ましくは16〜25、より好ましくは16〜20であり、特に好ましくは16〜18であり、かかるM
m+の有機カチオンとしては、例えば、前記式(ca−1−25)、(ca−1−26)、(ca−1−28)〜(ca−1−36)、(ca−1−38)、(ca−1−46)でそれぞれ表されるカチオンが好適に挙げられる。
(b1−1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0130】
{(b1−2)成分}
・・アニオン部
式(b1−2)中、R
b12は、ハロゲン原子以外の置換基を有していてもよい環式基、ハロゲン原子以外の置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又はハロゲン原子以外の置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であって、上述したR’
201の説明中の環式基、鎖状のアルキル基、鎖状のアルケニル基のうち、置換基を有しないもの又はハロゲン原子以外の置換基を有するものが挙げられる。
R
b12としては、ハロゲン原子以外の置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又はハロゲン原子以外の置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましい。
鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、3〜10であることがより好ましい。脂肪族環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等から1個以上の水素原子を除いた基(ハロゲン原子以外の置換基を有していてもよい);カンファー等から1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
R
b12の炭化水素基はハロゲン原子以外の置換基を有していてもよく、該置換基としては、前記式(b1−1)のR
b11における炭化水素基(芳香族炭化水素基、脂肪族環式基、鎖状のアルキル基)が有していてもよいハロゲン原子以外の置換基と同様のものが挙げられる。
【0131】
以下に(b1−2)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
【0133】
・・カチオン部
式(b1−2)中、M
m+は、m価の有機カチオンであり、前記式(b1−1)中のM
m+と同様である。中でも、かかるM
m+の有機カチオンとしては、例えば、前記式(ca−1−25)、(ca−1−26)、(ca−1−28)〜(ca−1−36)、(ca−1−38)、(ca−1−46)でそれぞれ表されるカチオンが好適に挙げられる。
(b1−2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0134】
(B1)成分は、上記(b1−1)〜(b1−2)成分のいずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のなかでも、(B1)成分としては、少なくとも(b1−2)成分を用いることが好ましい。
【0135】
本発明の感光性組成物における(B1)成分の含有割合は、(A)成分100質量部に対して0.001〜5質量部が好ましく、0.005〜1質量部がより好ましく、0.01〜0.1質量部が特に好ましい。
また、本発明の感光性組成物において、(B)成分中の(B1)成分の含有割合は特に限定されるものではなく、(B0)成分、(B1)成分の構造や、アニオン部に由来する酸の等に応じて適宜決定することができる。具体的には、(B)成分中の(B1)成分の含有割合は、0.001〜80質量%であることが好ましく、0.01〜70質量%であることがより好ましく、0.1〜60質量%であることがさらに好ましく、0.4〜40質量%であることが特に好ましく、1〜10質量%が最も好ましい。上記範囲とすることにより、露光により重合開始剤から発生する複数種の酸の強度を全体で適度なものとすることができ、良好なパターニング性を得ることができる。
【0136】
(B1)成分の製造方法:
前記の(b1−1)成分、(b1−2)成分の製造方法は、特に限定されず、公知の方法により製造することができる。
【0137】
本発明の感光性組成物において、(B0)成分と(B1)成分との比率は、(B0)成分/(B1)成分で表される質量比(以下「B0/B1」とも表記する)として、5〜200が好ましく、10〜100がより好ましく、15〜50がさらに好ましい。
B0/B1を上記範囲とすることで、適度な感度に容易に調整でき、より高解像のパターンを形成できる。また、B0/B1が前記範囲の好ましい下限値以上であると、特にパターン倒れ抑制、ラフネス低減の効果がより得られやすくなり、B0/B1が前記範囲の好ましい上限値以下であると、感度が高められやすくなる。
【0138】
本発明の感光性組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して0.01〜60質量部が好ましく、0.05〜30質量部がより好ましく、0.05〜20質量部がさらに好ましく、0.1〜10質量部が特に好ましい。
(B)成分の含有量を上記範囲とすることで、充分な感度が得られ、また、腐食性ガスの発生を低減することができる。
【0139】
<任意成分>
[増感剤(C)]
本発明における感光性組成物は、(A)成分及び(B)成分に加えて、さらに、増感剤(以下「(C)成分」ともいう。)を含有してもよい。
(C)成分の増感剤としては、露光によるエネルギーを吸収して、そのエネルギーを他の物質に伝達しうるものであれば特に限定されるものではない。
(C)成分として具体的には、ベンゾフェノン、p,p’−テトラメチルジアミノベンゾフェノン等のベンゾベンゾフェノン系光増感剤、カルバゾール系光増感剤、アセトフェン系光増感剤、1,5−ジヒドロキシナフタレン等のナフタレン系光増感剤、フェノール系光増感剤、9−エトキシアントラセン等のアントラセン系光増感剤、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン、フェノチアジン、アントロン等の公知の光増感剤を用いることができる。
なかでも(C)成分としては、極性基を有する増感剤又は炭素数6〜18の増感剤であることが好ましく、1,5−ジヒドロキシナフタレンであることが特に好ましい。
(C)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜15質量部であることが好ましく、0.3〜10質量部であることがより好ましく、0.5〜5質量部であることがさらに好ましい。上記範囲とすることにより、感度及び解像性を良好とすることができる。
【0140】
[(S)成分:有機溶剤成分]
感光性組成物は、感光性材料を有機溶剤成分(以下「(S)成分」ということがある)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、感光性組成物の溶剤として公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
たとえば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)等を挙げることができる。
(S)成分は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
なかでも、メチルエチルケトン、PGMEA、PGME、γ−ブチロラクトン、EL、シクロヘキサノンが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶剤も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてEL又はシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:EL又はシクロヘキサノンの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。さらに、PGMEAとPGMEとシクロヘキサノンとの混合溶剤も好ましい。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は、特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。一般的には、感光性組成物の固形分濃度が1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%の範囲内となるように、(S)成分は用いられる。
【0141】
[その他の添加剤]
本発明の感光性組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えば膜の性能を改良するための付加的樹脂、溶解抑制剤、塩基性化合物、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
また、本発明の感光性組成物は、支持体との接着性を向上させるため、さらに接着助剤を含有していてもよい。この接着助剤としては、官能性シランカップリング剤が好ましい。官能性シランカップリング剤としては、カルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアナート基、エポキシ基等の反応性置換基を有するシランカップリング剤が挙げられ、具体例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0142】
以上説明した本発明の感光性組成物によれば、高感度化が図れ、高解像のパターンを形成することができる。
本発明の感光性組成物は、カチオン重合開始剤として、露光により強酸を発生する特定構造の(B0)成分と、露光によりpKaが−3以上の弱酸を発生する(B1)成分とを有する。まず、(B0)成分に由来する強酸によって、露光に対する高い感度を得ることが可能となる。また、従来、強酸を発生する重合開始剤を用いた場合、当該重合開始剤の添加量は少なくなり、その結果として感度は高いにもかかわらず基材成分の架橋率(硬化率)が低くなってしまうという問題があった。これに対して本発明では、弱酸を発生する(B1)成分を併用することにより、(B1)成分に由来する弱酸によって酸の発生量を増加させ、基材成分の架橋率(硬化率)を向上させることができ、高解像でパターンを形成することができる。また、パターン形状、特にパターン側壁のラフネスが低減された良好なパターンを形成することができる。
【0143】
≪パターン形成方法≫
本発明の第二の態様であるパターン形成方法は、上記本発明の第一の態様であるネガ型感光性組成物を用いて、支持体上に膜を形成する工程、前記膜を選択的に露光する工程、及び、前記露光後の膜を現像してネガ型パターンを形成する工程、を有する。
本発明のパターン形成方法は、例えば以下のようにして行うことができる。
【0144】
・膜形成工程
まず、支持体上に、上記本発明の第一の態様である感光性組成物を、スピンコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法等の公知の方法で塗布し、ベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理を、たとえば55〜150℃の温度条件にて2〜60分間施し、膜を形成する。
【0145】
また、本発明の第一の態様の感光性組成物は、感光性ドライフィルムとして用いることもできる、具体的には、本発明のネガ型感光性組成物を用いて、公知の方法により予め感光性ドライフィルムを作製した後、当該感光性ドライフィルムを支持体上に貼付することにより、支持体上に膜を形成してもよい。貼付の際には必要に応じて支持体や感光性ドライフィルムの加熱、加圧(ラミネート)等を行ってもよい。
【0146】
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等が挙げられる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等のフィルム等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や、多層レジスト法における下層有機膜等の有機膜が挙げられる。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層有機膜)と、少なくとも一層のレジスト膜(上層レジスト膜)とを設け、上層レジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層有機膜のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。すなわち、多層レジスト法によれば、下層有機膜により所要の厚みを確保できるため、レジスト膜を薄膜化でき、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
多層レジスト法には、基本的に、上層レジスト膜と、下層有機膜との二層構造とする方法(2層レジスト法)と、上層レジスト膜と下層有機膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法(3層レジスト法)とに分けられる。
【0147】
感光性組成物により形成される膜の膜厚は特に限定されるものではないが、10〜100μm程度が好ましい。本発明の感光性組成物は厚膜で膜を形成した場合にも良好な特性を得られるものである。
【0148】
・露光工程
次に、形成された膜に対し、公知の露光装置を用いて、所定のパターンが形成されたマスク(マスクパターン)を介した露光またはマスクパターンを介さない電子線の直接照射による描画等による選択的露光を行った後、必要に応じてベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて40〜600秒間、好ましくは60〜300秒間施す。
【0149】
露光に用いる波長は特に限定されず、放射線、例えば波長が300〜500nmの紫外線または可視光線を選択的に照射(露光)する。これらの放射線の線源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、アルゴンガスレーザーなどを用いることができる。ここで放射線とは、紫外線、可視光線、遠紫外線、X線、電子線などを意味する。放射線照射量は、組成物中の各成分の種類、配合量、塗膜の膜厚などによって異なるが、例えば超高圧水銀灯使用の場合、100〜2000mJ/cm
2である。そして、要すれば、化学増幅型レジスト組成物を用いた場合には、露光後、公知の方法を用いて加熱することにより酸の発生と拡散を促進させて、露光部分のレジスト膜のアルカリ溶解性を変化させる。
【0150】
レジスト膜の露光方法は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光(Liquid Immersion Lithography)であってもよい。
【0151】
・現像工程
次に、前記膜を現像処理する。現像処理後、好ましくはリンス処理を行う。必要に応じてベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。
現像処理に用いる現像液としては、アルカリ水溶液であってもよく、有機溶剤を含有する有機系現像液であってもよい。
アルカリ現像液としては、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液が挙げられる。
有機系現像液が含有する有機溶剤としては、(A)成分(露光前の(A)成分)を溶解し得るものであればよく、公知の有機溶剤の中から適宜選択できる。具体的には、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、ニトリル系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
【0152】
ケトン系溶剤としては、たとえば、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、メチルアミルケトン(2−ヘプタノン)等が挙げられる。これらの中でも、ケトン系溶剤としては、メチルアミルケトン(2−ヘプタノン)が好ましい。
【0153】
エステル系溶剤としては、たとえば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−エチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2−エトキシブチルアセテート、4−エトキシブチルアセテート、4−プロポキシブチルアセテート、2−メトキシペンチルアセテート、3−メトキシペンチルアセテート、4−メトキシペンチルアセテート、2−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、4−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、プロピル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられる。これらの中でも、エステル系溶剤としては、酢酸ブチル又はPGMEAが好ましい。
【0154】
ニトリル系溶剤としては、たとえば、アセトニトリル、プロピオ二トリル、バレロニトリル、ブチロ二トリル等が挙げられる。
【0155】
有機系現像液には、必要に応じて公知の添加剤を配合できる。該添加剤としては、たとえば界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、特に限定されないが、たとえばイオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。
界面活性剤としては、非イオン性の界面活性剤が好ましく、非イオン性のフッ素系界面活性剤、又は非イオン性のシリコン系界面活性剤がより好ましい。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、有機系現像液の全量に対して、通常0.001〜5質量%であり、0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。
【0156】
現像処理は、公知の現像方法により実施することが可能であり、たとえば現像液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、支持体表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している支持体上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出し続ける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
【0157】
リンス液を用いたリンス処理(洗浄処理)は、公知のリンス方法により実施できる。該リンス処理の方法としては、たとえば一定速度で回転している支持体上にリンス液を塗出し続ける方法(回転塗布法)、リンス液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。
リンス処理は、アルカリ現像液の場合は、純水を用いた水リンスが好ましく、有機系現像液の場合は、有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
【0158】
上述した本態様のパターン形成方法によれば、上述した第一の態様である感光性組成物を用いているため、高感度化が図れ、高解像でラフネスの低減されたパターンを形成することができる。
【実施例】
【0159】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
本実施例では、化学式(1)で表される化合物を「化合物(1)」と表記し、他の化学式で表される化合物についても同様に記載する。
【0160】
[実施例1〜36、比較例1〜3、参考例1〜2]
<感光性組成物の調製>
表1〜3に示す(A)成分を(S)成分である有機溶剤に溶解させた後、(B0)成分、(B1)成分、(B2)成分(比較例2のみ)、(C)成分及び添加剤を添加して完全に溶解するまで撹拌し、PTFEフィルター(孔径1μm、PALL社製)を用いて濾過を行い、各例のパターン形成方法で用いるネガ型感光性組成物をそれぞれ調製した。
【0161】
【表1】
【0162】
【表2】
【0163】
【表3】
【0164】
表1〜3中、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
(A)−1:前記式(anv0)に相当する(R
EPはグリシジル基である)、多官能ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:JER−157S70、三菱化学社製)。
(A)−2:前記式(abp1)に相当する(R
EPはグリシジル基である)、2官能ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:EPICLON 1055、DIC社製)。
(A)−3:前記式(anv1)と(anv3)との共重合体(R
EPはグリシジル基であり、R
a27はメチル基であり、R
a22、R
a28〜R
a30は水素原子であり、R
a23はメチル基である)に相当する、ノボラック型エポキシ樹脂(商品名:EPICLON HP5000、DIC社製)。
【0165】
(B)−01:下記式(B)−01で表される化合物からなる酸発生剤(発生する酸のpKa=−6.1)。
(B)−02:下記式(B)−02で表される化合物からなる酸発生剤(発生する酸のpKa=−9.3)。
(B)−03:下記式(B)−03で表される化合物からなる酸発生剤(発生する酸のpKa=−6.1)。
【0166】
(B)−04:下記式(B)−04で表される化合物からなる酸発生剤(発生する酸のpKa=−6.1)。
(B)−05:下記式(B)−05で表される化合物からなる酸発生剤(発生する酸のpKa=−6.1)。
(B)−06:下記式(B)−06で表される化合物からなる酸発生剤(発生する酸のpKa=−6.1)。
(B)−07:下記式(B)−07で表される化合物からなる酸発生剤(発生する酸のpKa=−6.1)。
(B)−08:下記式(B)−08で表される化合物からなる酸発生剤(発生する酸のpKa=−6.1)。
(B)−09:下記式(B)−09で表される化合物からなる酸発生剤(発生する酸のpKa=−6.1)。
【0167】
(B)−010:下記式(B)−010で表される化合物からなる酸発生剤(発生する酸のpKa=−6.1)。
(B)−011:下記式(B)−011で表される化合物からなる酸発生剤(発生する酸のpKa=−6.1)。
(B)−012:下記式(B)−012で表される化合物からなる酸発生剤(発生する酸のpKa=−6.1)。
(B)−013:下記式(B)−013で表される化合物からなる酸発生剤(発生する酸のpKa=−6.1)。
(B)−014:下記式(B)−014で表される化合物からなる酸発生剤(発生する酸のpKa=−6.1)。
(B)−015:下記式(B)−015で表される化合物からなる酸発生剤(発生する酸のpKa=−6.1)。
【0168】
(B)−11:下記式(B)−11で表される化合物からなる酸発生剤(発生する酸のpKa=1.17)。
(B)−12:下記式(B)−12で表される化合物からなる酸発生剤(発生する酸のpKa=−2.8)。
(B)−A:下記式(B)−Aで表される化合物からなる酸発生剤(発生する酸のpKa=−25)。
(B)−B:下記式(B)−Bで表される化合物からなる酸発生剤(発生する酸のpKa=−2.8)。
(B)−C:下記式(B)−Cで表される化合物からなる酸発生剤(発生する酸のpKa=1.17)。
【0169】
(C)−1:1,5−ジヒドロキシナフタレン。
(E)−1:エポキシ系シランカップリング剤(商品名:OFS−6040SILANE、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)。
(S)−1:メチルエチルケトン。
(S)−2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート。
【0170】
【化29】
【0171】
【化30】
【0172】
【化31】
【0173】
【化32】
【0174】
【化33】
【0175】
【化34】
【0176】
<パターンの形成1:実施例1〜8、実施例11〜36、比較例1〜3、参考例1〜2>
基材フィルム(商品名:ピューレックス(登録商標)フィルムA53、膜厚:50μm、帝人デュポン社製)上に、上記実施例1〜8、実施例11〜36、比較例1〜3及び参考例1〜2で得られたネガ型感光性組成物を、フィルムコーター(アプリケーター)を用いてそれぞれ塗布し、加熱温度60℃、5分間の後、70℃、10分間でベーク処理(PAB)を行って、膜厚50μmの感光性膜を形成した。その上からカバーフィルム(商品名:ピューレックス(登録商標)フィルムA31、膜厚:25μm、帝人デュポン社製)を感光性膜上にラミネートすることにより、感光性ドライフィルムを得た。
得られた感光性ドライフィルムを、8インチのSiウェハ上にラミネートした(80℃、0.3MPa、0.5m/min)。その後、基材フィルムを剥離して、300mJ/cm
2の照射量でghi線を選択的に照射した。
その後、90℃のホットプレート上で、5分間の露光後加熱を行った。
次いで、23℃にて、PGMEAで10分間浸漬現像を行い、振り切り乾燥を行って、ラインアンドスペースパターン(以下、単に「LSパターン」ということがある。)を得た。密着性評価に際しては、ライン幅6μm/スペース幅18μm、ライン幅8μm/スペース幅24μm、ライン幅10μm/スペース幅30μmの、1:3LSパターンを得た。解像性評価に際しては、ライン幅8μm/スペース幅8μm、ライン幅10μm/スペース幅10μm、ライン幅20μm/スペース幅20μmの、1:1LSパターンを得た。
【0177】
<パターンの形成2:実施例9〜10>
8インチのSiウェハ上に、上記実施例9〜10で得られたネガ型感光性組成物を、スピンナーを用いて均一にそれぞれ塗布し、加熱温度60℃、5分間の後、70℃、10分間でベーク処理(PAB)を行って感光性膜(膜厚50μm)を形成した。
その後、300mJ/cm
2の照射量でghi線を選択的に照射し、90℃のホットプレート上で5分間の露光後加熱を行った。
次いで、23℃にて、PGMEAで10分間浸漬現像を行い、振り切り乾燥を行って、ラインアンドスペースパターン(以下、単に「LSパターン」ということがある。)を得た。密着性評価に際しては、ライン幅6μm/スペース幅18μm、ライン幅8μm/スペース幅24μm、ライン幅10μm/スペース幅30μmの、1:3LSパターンを得た。解像性評価に際しては、ライン幅8μm/スペース幅8μm、ライン幅10μm/スペース幅10μm、ライン幅20μm/スペース幅20μmの、1:1LSパターンを得た。
【0178】
<最適露光量(Eop)の評価>
上記パターンの形成においてターゲットとするLSパターンが形成される最適露光量Eop(mJ/cm
2)を求めた。その結果を「Eop(mJ/cm
2)」として表4〜5に示す。
【0179】
<パターン倒れの評価>
上記パターンの形成において、露光量(mJ/cm
2)と焦点とを適宜変化させてLSパターンを形成した。この際、パターン倒れを生じずに解像したパターンにおけるライン部分の最大の寸法を、測長SEM(加速電圧300V)を用いて測定した。測長SEMには、日立ハイテクノロジーズ社製の走査型電子顕微鏡(商品名:S−9380)を用いた。当該寸法が小さい値を示すほど、密着性が良好である。
解像したLSパターンにおけるライン部分の最大の寸法を「密着性(μm)」として表4〜5に示す。
【0180】
<解像性の評価>
上記パターンが形成される最適露光量Eopにおける、ラインの限界解像度(μm)を、光学顕微鏡を用いて評価した。その結果を「解像性(μm)」として表4〜5に示す。
【0181】
<ラフネスの評価>
上記のようにして得られたLSパターンの側壁を、走査型電子顕微鏡S−9220(日立製作所社製)を用いて観察した。以下の基準で評価を行った結果を「ラフネス」として表4〜5に示す。
A:パターン側壁が非常に良好な表面特性を有している。
B:パターン側壁が良好な表面特性を有している。
C:パターン側壁に縦スジが若干認められる。
D:パターン側壁に縦スジが認められる。
【0182】
【表4】
【0183】
【表5】
【0184】
実施例1〜7、実施例11〜12と比較例1〜2、参考例1〜2との比較、及び、実施例8と比較例3との比較において、実施例1〜8、実施例11〜12は、比較例1〜3及び参考例1〜2に比して、同等または良好な密着性の値を有することから、ライン部分が小さく、スペース部分が大きい場合にもパターン倒れが生じず、パターンが支持体に良好に密着していることが確認できた。
さらに、実施例1〜8、実施例11〜36は、比較例1〜3及び参考例1〜2よりも同等又は優れた解像性を有していることが確認できた。
さらには、実施例1〜8、実施例11〜36は、比較例1〜3及び参考例1〜2よりも優れたラフネス特性を有していることも確認できた。
なお、(B0)成分を有しない以外は実施例1〜36と同様にして評価を行ったところ、感度不十分のため解像せず、パターンを得ることができなかった(結果省略)。
【0185】
また、フィルムを形成せずに液状のネガ型感光性組成物を直接支持体上に塗布してパターンを形成した実施例9〜10の組成物も、良好な感度、密着性、解像性及びラフネス特性を有していることが確認できた。