特許第6205855号(P6205855)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6205855変倍光学系、撮像装置、および変倍光学系の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205855
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】変倍光学系、撮像装置、および変倍光学系の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 15/20 20060101AFI20170925BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   G02B15/20
   G02B13/18
【請求項の数】11
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2013-116186(P2013-116186)
(22)【出願日】2013年5月31日
(65)【公開番号】特開2014-235280(P2014-235280A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2016年4月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100077919
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153899
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100172638
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 隆治
(74)【代理人】
【識別番号】100159363
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 淳子
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩史
(72)【発明者】
【氏名】柴田 悟
【審査官】 堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−264390(JP,A)
【文献】 特開2007−264173(JP,A)
【文献】 特開平05−224125(JP,A)
【文献】 特開平04−096012(JP,A)
【文献】 特開2004−333770(JP,A)
【文献】 特開2007−248952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00−17/08
G02B 21/02−21/04
G02B 25/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、第4レンズ群とにより実質的に4個のレンズ群からなり、
広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔は変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔は変化し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔は変化し、
前記第3レンズ群は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第3aレンズ群と、絞りと、正の屈折力を有する第3bレンズ群とからなり、
前記第3aレンズ群と前記第3bレンズ群とは、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、互いの間隔が変化し、または互いの間隔が不変であり、
前記第3bレンズ群中の負の屈折力を有するレンズ群を防振レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることによって像ブレ発生時の像面補正を行い、
次の条件式(1A)、(2)、および(3A)を満足することを特徴とする変倍光学系。
(1A) |f3b/f4| < 1.00
(2) |fvr/f4| < 1.00
(3A) 5.27 ≦ f1/(−f2) < 6.20
ただし、
f3b:前記第3bレンズ群の焦点距離
f4:前記第4レンズ群の焦点距離
fvr:前記防振レンズ群の焦点距離
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
【請求項2】
光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、第4レンズ群とにより実質的に4個のレンズ群からなり、
広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群は光軸に沿って像面に対して物体側に移動し、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔は変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔は変化し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔は変化し、
前記第3レンズ群は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第3aレンズ群と、絞りと、正の屈折力を有する第3bレンズ群とからなり、
前記第3aレンズ群と前記第3bレンズ群とは、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、互いの間隔が変化し、または互いの間隔が不変であり、
前記第3bレンズ群中の負の屈折力を有するレンズ群を防振レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることによって像ブレ発生時の像面補正を行い、
前記防振レンズ群は、少なくとも1つの負レンズと少なくとも1つの正レンズとを有し
次の条件式(1)および(2)を満足することを特徴とする変倍光学系。
(1) |f3b/f4| < 2.00
(2) |fvr/f4| < 1.00
ただし、
f3b:前記第3bレンズ群の焦点距離
f4:前記第4レンズ群の焦点距離
fvr:前記防振レンズ群の焦点距離
【請求項3】
広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群は光軸に沿って像面に対して物体側に移動することを特徴とする請求項1に記載の変倍光学系。
【請求項4】
前記防振レンズ群は、少なくとも1つの負レンズと少なくとも1つの正レンズとを有していることを特徴とする請求項1に記載の変倍光学系。
【請求項5】
次の条件式(3)を満足することを特徴とする請求項2に記載の変倍光学系。
(3) 2.00 < f1/(−f2) < 6.20
ただし、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
【請求項6】
前記防振レンズ群は、接合レンズであることを特徴とする請求項2、4、5の何れか一項に記載の変倍光学系。
【請求項7】
広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第3aレンズ群と前記第3bレンズ群との間隔は増大することを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の変倍光学系。
【請求項8】
前記第1レンズ群は、1つの負レンズと1つの正レンズとからなることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の変倍光学系。
【請求項9】
前記第2レンズ群は、3つのレンズからなることを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載の変倍光学系。
【請求項10】
請求項1から9の何れか一項に記載の変倍光学系を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、第4レンズ群とにより実質的に4個のレンズ群からなる変倍光学系の製造方法であって、
広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔は変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔は変化し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔は変化するように構成し、
前記第3レンズ群は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第3aレンズ群と、絞りと、正の屈折力を有する第3bレンズ群とで構成し、
前記第3aレンズ群と前記第3bレンズ群とは、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、互いの間隔が変化し、または互いの間隔が不変であるように構成し、
前記第3bレンズ群中の負の屈折力を有するレンズ群を防振レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることによって像ブレ発生時の像面補正を行うように構成し、
次の条件式(1A)、(2)、および(3A)を満足するように構成することを特徴とする変倍光学系の製造方法。
(1A) |f3b/f4| < 1.00
(2) |fvr/f4| < 1.00
(3A) 5.27 ≦ f1/(−f2) < 6.20
ただし、
f3b:前記第3bレンズ群の焦点距離
f4:前記第4レンズ群の焦点距離
fvr:前記防振レンズ群の焦点距離
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、写真用カメラや電子スチルカメラ、ビデオカメラ等に適した、防振機能を有する変倍光学系と、該変倍光学系を有する撮像装置、および変倍光学系の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防振機能を有し、バックフォーカスが短く、レンズ系全体を小さくした、写真用カメラや電子スチルカメラ、ビデオカメラ等に適した変倍光学系が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3890574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の変倍光学系にあっては、レンズ系全体は比較的小さく構成されているが、望遠端状態においてレンズが極端に暗くなるという問題がある。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、小型で収差変動が少なく、望遠端状態でも充分に明るい高性能な変倍光学系、当該変倍光学系を備えた撮像装置、および変倍光学系の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る変倍光学系は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、第4レンズ群とにより実質的に4個のレンズ群からなり、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔は変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔は変化し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔は変化し、前記第3レンズ群は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第3aレンズ群と、絞りと、正の屈折力を有する第3bレンズ群とからなり、前記第3aレンズ群と前記第3bレンズ群とは、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、互いの間隔が変化し、または互いの間隔が不変であり、前記第3bレンズ群中の負の屈折力を有するレンズ群を防振レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることによって像ブレ発生時の像面補正を行い、次の条件式(1A)、(2)、および(3A)を満足することを特徴とする。
(1A) |f3b/f4| < 1.00
(2) |fvr/f4| < 1.00
(3A) 5.27 ≦ f1/(−f2) < 6.20
ただし、
f3b:前記第3bレンズ群の焦点距離
f4:前記第4レンズ群の焦点距離
fvr:前記防振レンズ群の焦点距離
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
また、本発明に係る変倍光学系は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、第4レンズ群とにより実質的に4個のレンズ群からなり、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群は光軸に沿って像面に対して物体側に移動し、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔は変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔は変化し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔は変化し、前記第3レンズ群は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第3aレンズ群と、絞りと、正の屈折力を有する第3bレンズ群とからなり、前記第3aレンズ群と前記第3bレンズ群とは、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、互いの間隔が変化し、または互いの間隔が不変であり、前記第3bレンズ群中の負の屈折力を有するレンズ群を防振レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることによって像ブレ発生時の像面補正を行い、前記防振レンズ群は、少なくとも1つの負レンズと少なくとも1つの正レンズとを有し、次の条件式(1)および(2)を満足することを特徴とする。
(1) |f3b/f4| < 2.00
(2) |fvr/f4| < 1.00
ただし、
f3b:前記第3bレンズ群の焦点距離
f4:前記第4レンズ群の焦点距離
fvr:前記防振レンズ群の焦点距離
【0007】
また、本発明に係る撮像装置は、上記変倍光学系を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る変倍光学系の製造方法は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、第4レンズ群とにより実質的に4個のレンズ群からなる変倍光学系の製造方法であって、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔は変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔は変化し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔は変化するように構成し、前記第3レンズ群は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第3aレンズ群と、絞りと、正の屈折力を有する第3bレンズ群とで構成し、前記第3aレンズ群と前記第3bレンズ群とは、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、互いの間隔が変化し、または互いの間隔が不変であるように構成し、前記第3bレンズ群中の負の屈折力を有するレンズ群を防振レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることによって像ブレ発生時の像面補正を行うように構成し、次の条件式(1A)、(2)、および(3A)を満足するように構成することを特徴とする。
(1A) |f3b/f4| < 1.00
(2) |fvr/f4| < 1.00
(3A) 5.27 ≦ f1/(−f2) < 6.20
ただし、
f3b:前記第3bレンズ群の焦点距離
f4:前記第4レンズ群の焦点距離
fvr:前記防振レンズ群の焦点距離
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、小型で収差変動が少なく、望遠端状態でも充分に明るい高性能な変倍光学系、当該変倍光学系を備えた撮像装置、および変倍光学系の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施例に係る変倍光学系の構成を示す図である。
図2】(a)は第1実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦時の広角端状態での諸収差図であり、(b)は当該広角端状態において像ブレ補正を行ったときのメリディオナル横収差図である。
図3】第1実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦時の中間焦点距離状態での諸収差図である。
図4】(a)は第1実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦時の望遠端状態での諸収差図であり、(b)は当該望遠端状態において像ブレ補正を行ったときのメリディオナル横収差図である。
図5】本発明の第2実施例に係る変倍光学系の構成を示す図である。
図6】(a)は第2実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦時の広角端状態での諸収差図であり、(b)は当該広角端状態において像ブレ補正を行ったときのメリディオナル横収差図である。
図7】第2実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦時の中間焦点距離状態での諸収差図である。
図8】(a)は第2実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦時の望遠端状態での諸収差図であり、(b)は当該望遠端状態において像ブレ補正を行ったときのメリディオナル横収差図である。
図9】本発明の第3実施例に係る変倍光学系の構成を示す図である。
図10】(a)は第3実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦時の広角端状態での諸収差図であり、(b)は当該広角端状態において像ブレ補正を行ったときのメリディオナル横収差図である。
図11】第3実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦時の中間焦点距離状態での諸収差図である。
図12】(a)は第3実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦時の望遠端状態での諸収差図であり、(b)は当該望遠端状態において像ブレ補正を行ったときのメリディオナル横収差図である。
図13】本発明の第4実施例に係る変倍光学系の構成を示す図である。
図14】(a)は第4実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦時の広角端状態での諸収差図であり、(b)は当該広角端状態において像ブレ補正を行ったときのメリディオナル横収差図である。
図15】第4実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦時の中間焦点距離状態での諸収差図である。
図16】(a)は第4実施例に係る変倍光学系の無限遠合焦時の望遠端状態での諸収差図であり、(b)は当該望遠端状態において像ブレ補正を行ったときのメリディオナル横収差図である。
図17】本発明にかかる変倍光学系を搭載する電子スチルカメラを示し、(a)は正面図を、(b)は背面図をそれぞれ示す。
図18図17(a)のA−A線に沿った断面図を示している。本発明の変倍光学系を備えた撮像装置の概略を示す断面図である。
図19】本発明に係る変倍光学系の製造方法の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る変倍光学系、撮像装置、および変倍光学系の製造方法について説明する。
【0012】
まず、本発明に係る変倍光学系から説明する。本発明に係る変倍光学系は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、第4レンズ群とを有し、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔は変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔は変化し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔は変化する。この構成により変倍可能な光学系を実現し、変倍に伴う像面湾曲の変動を抑えて、高い光学性能を実現できる。
【0013】
また、本発明に係る変倍光学系は、このような構成のもと、第3レンズ群は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第3aレンズ群と、絞りと、正の屈折力を有する第3bレンズ群とからなり、前記第3bレンズ群中の負の屈折力を有するレンズ群を防振レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることによって像ブレ発生時の像面補正、すなわち防振を行っている。この構成により、像面補正時のコマ収差を良好に補正することができる。
【0014】
また、本発明に係る変倍光学系は、このような構成のもと、次の条件式(1)および(2)を満足することにより、小型化および高性能化を実現できる。
(1)|f3b/f4| < 2.00
(2)|fvr/f4| < 1.00
ただし、
f3b:前記第3bレンズ群の焦点距離
f4:前記第4レンズ群の焦点距離
fvr:前記防振レンズ群の焦点距離
【0015】
条件式(1)は、第3bレンズ群および第4レンズ群の焦点距離を規定する条件式であり、条件式(1)を満足することにより、好適な光学系を実現できる。
【0016】
条件式(1)の対応値が上限値を上回ると、第4レンズ群の焦点距離が短くなり、コマ収差および像面湾曲の補正が困難になる。なお、本発明の効果を確実にするために、条件式(1)の上限値を1.30にすることが好ましい。また、本発明の効果をさらに確実にするために、条件式(1)の上限値を1.00にすることが好ましい。
【0017】
また、本発明の効果を確実にするために、条件式(1)は、
0.10 < |f3b/f4|
をさらに満足することが好ましい。条件式(1)の対応値が該下限値を下回ると、第3bレンズ群の焦点距離が短くなり、球面収差の補正が困難になる。また、本発明の効果をさらに確実にするために、条件式(1)の該下限値を0.30にすることが好ましい。また、本発明の効果をさらに確実にするために、条件式(1)の該下限値を0.40にすることが好ましい。
【0018】
条件式(2)は、防振レンズ群および第4レンズ群の焦点距離を規定する条件式であり、条件式(2)を満足することにより、防振時に良好な光学性能を保つことができる。
【0019】
条件式(2)の対応値が上限値を上回ると、防振のためのレンズの移動量が増えてしまい、防振レンズ群が大型化すると共にその制御が困難になってしまう。また、像面湾曲を良好に補正できなくなってしまう。なお、本発明の効果を確実にするために、条件式(2)の上限値を0.9にすることが好ましい。
【0020】
また、本発明の効果を確実にするために、条件式(2)は、
0.10 < |fvr/f4|
をさらに満足することが好ましい。条件式(2)の対応値が該下限値を下回ると、防振レンズが偏心した際に発生するコマ収差、像面歪曲の補正が困難になる。また、本発明の効果をさらに確実にするために、条件式(2)の該下限値を0.20にすることが好ましい。
【0021】
また、本発明に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、第1レンズ群は光軸に沿って像面に対して物体側に移動することが望ましい。このような構成とすることで、小型化と効率的な変倍とが実現できる。さらに、第2レンズ群以降のレンズ群のパワーを適正に保つことができるため、球面収差および像面湾曲を良好に補正することができる。
【0022】
また、本発明に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、第3aレンズ群と第3bレンズ群との間隔は増大することが望ましい。このような構成とすることにより、変倍による球面収差の変動を良好に補正することができる。
【0023】
また、本発明に係る変倍光学系は、第1レンズ群は1つの負レンズと1つの正レンズとからなることが望ましい。このような構成とすることにより、光学系の全長を短くしつつ、倍率色収差を良好に補正することができる。なお、正レンズを1枚追加することでコマ収差、像面湾曲をさらに良好に補正することができるが、光学系の全長が長くなってしまうので小型化が困難になってしまう。
【0024】
また、本発明に係る変倍光学系は、次の条件式(3)を満足することが望ましい。
(3)2.00 < f1/(−f2) <6.20
ただし、
f1:第1レンズ群の焦点距離
f2:第2レンズ群の焦点距離
【0025】
条件式(3)は、第1レンズ群および第2レンズ群の焦点距離を規定する条件式であり、条件式(3)を満足することにより、変倍時に良好な光学性能を保ちつつ小型の光学系を実現できる。
【0026】
条件式(3)の対応値が上限値を上回ると、第1レンズ群の移動量が増えるため、光学系の小型化が困難になる。また、第2レンズ群以降のレンズ群のパワーが強くなり、変倍時の像面湾曲の変動を良好に補正することができなくなってしまう。なお、本発明の効果を確実にするために、条件式(3)の上限値を6.00にすることが好ましい。
【0027】
条件式(3)の対応値が下限値を下回ると、第1レンズ群の焦点距離が短くなりすぎるため、球面収差を良好に補正することができなくなってしまう。なお、本発明の効果を確実にするために、条件式(3)の下限値を2.50にすることが好ましい。また、本発明の効果をさらに確実にするために、条件式(3)の下限値を3.00にすることが好ましい。
【0028】
また、本発明に係る変倍光学系は、防振レンズ群は少なくとも1つの負レンズと1つの正レンズとを有していることが望ましい。このような構成とすることにより、防振レンズ群が偏心した際に発生する色収差を良好に補正することができる。
【0029】
また、本発明に係る変倍光学系は、防振レンズ群は接合レンズであることが望ましい。このような構成とすることにより、防振レンズ群が偏心した際に発生する色収差を良好に補正することができる。
【0030】
また、本発明に係る変倍光学系は、第2レンズ群は3つのレンズからなることが望ましい。第2レンズ群が2枚からなる構成では、変倍の際のコマ収差、倍率色収差の補正が困難になってしまう。また、4枚以上の構成では、第2レンズ群の光軸上の厚みが増え、全長が長くなってしまい、小型化が困難になってしまう。
【0031】
また、本発明に係る撮像装置は、上述した構成の変倍光学系を有することを特徴とする。これにより、高い光学性能を備えた撮像装置を実現することができる。
【0032】
また、本発明に係る変倍光学系の製造方法は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、第4レンズ群とを有する変倍光学系の製造方法であって、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔は変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔は変化し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔は変化するように構成し、前記第3レンズ群は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第3aレンズ群と、絞りと、正の屈折力を有する第3bレンズ群とで構成し、前記第3bレンズ群中の負の屈折力を有するレンズ群を防振レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることによって像ブレ発生時の像面補正を行うように構成し、次式の条件を満足するように構成することを特徴とする。
|f3b/f4| < 2.00
|fvr/f4| < 1.00
ただし、
f3b:前記第3bレンズ群の焦点距離
f4:前記第4レンズ群の焦点距離
fvr:前記防振レンズ群の焦点距離
【0033】
斯かる変倍光学系の製造方法により、高い光学性能を備えた変倍光学系を製造することができる。
【0034】
(数値実施例)
以下、本発明の数値実施例に係る変倍光学系を添付図面に基づいて説明する。
【0035】
(第1実施例)
図1は、本発明の第1実施例に係る変倍光学系ZL1のレンズ構成を示す断面図である。
【0036】
図1に示すように、本実施例に係る変倍光学系ZL1は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成される。
【0037】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12との接合レンズからなる。
【0038】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹レンズL22と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL23とから構成され、第2レンズ群G2の最も物体側に位置する負メニスカスレンズL21は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
【0039】
第3レンズ群G3は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第3aレンズ群G3aと、開口絞りSPと、正の屈折力を有する第3bレンズ群G3bとから構成される。
【0040】
第3aレンズ群G3aは、両凸レンズL31からなる。
第3bレンズ群G3bは、光軸に沿って物体側から順に、両凸レンズL32と両凹レンズL33との接合レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL34と両凹レンズL35との接合レンズとから構成される。
【0041】
第4レンズ群G4は、光軸に沿って物体側から順に、両凸レンズL41と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL42とから構成され、第4レンズ群G4の最も像側に位置する負メニスカスレンズL42は、像側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
【0042】
像面Iの近傍には、ローパスフィルタFLが配置されている。
像面I上には、CCDやCMOS等から構成された撮像素子(図示省略)が配置されている。
【0043】
本実施例に係る変倍光学系ZL1は、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3aレンズ群G3aとの間隔は減少し、第3aレンズ群G3aと第3bレンズ群G3bとの間隔は増大し、第3bレンズ群G3bと第4レンズ群G4との間隔は減少するように、像面Iに対して、第1レンズ群G1は物体側へ移動し、第2レンズ群G2は一旦像面I側へ移動してから物体側へ移動し、第3aレンズ群G3aと第4レンズ群G4とは一体に物体側へ移動し、第3bレンズ群G3bは物体側へ移動する。
【0044】
開口絞りSPは、第3aレンズ群G3aと第3bレンズ群G3bとの間に位置し、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第3bレンズ群G3bと共に移動する。
【0045】
また、本実施例に係る変倍光学系ZL1は、第3bレンズ群G3bを構成する接合レンズのうち、負の屈折力を有する像面側の接合レンズを防振レンズ群Gvrとして光軸と直交する方向の成分を含む方向に移動させることにより像ブレ発生時の像面補正、すなわち防振を行っている。
【0046】
また、本実施例に係る変倍光学系ZL1は、防振レンズ群Gvrの移動量は、広角端状態において0.387(mm)であり、望遠端状態において0.404(mm)である。
【0047】
以下の表1に、本発明の第1実施例に係る変倍光学系ZL1の諸元値を掲げる。
表1中の[全体諸元]において、fは変倍光学系全体の焦点距離、FNOはFナンバー、2ωは画角(単位:度)、Yは像高、TLは光学系全長、空気換算BFは空気換算したバックフォーカスをそれぞれ示している。ここで、光学系全長TLは第1レンズ群G1中の最も物体側のレンズ面から像面Iまでの光軸上の距離である。また、空気換算BFは第4レンズ群G4中の最も像側のレンズ面から像面Iまでの光軸上の距離を、屈折力のないフィルタ等の光学ブロックを光路中から除去した状態で測ったときの値である。また、Wは広角端状態、Mは中間焦点距離状態、Tは望遠端状態の各焦点距離状態をそれぞれ示す。
【0048】
[面データ]において、面番号は物体側から数えたレンズ面の順番、rはレンズ面の曲率半径、dはレンズ面の間隔、ndはd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、νdはd線(波長λ=587.6nm)に対するアッベ数をそれぞれ示している。また、物面は物体面、(絞りSP)は開口絞りSP、像面は像面Iをそれぞれ示している。なお、曲率半径r=∞は平面を示し、空気の屈折率d=1.00000の記載は省略している。また、レンズ面が非球面である場合には面番号に*印を付して曲率半径rの欄には近軸曲率半径を示している。
【0049】
[非球面データ]には、[面データ]に示した非球面について、その形状を次式で表した場合の円錐係数と非球面係数を示す。
X(y)=(y2/r)/[1+{1−κ(y2/r2)}1/2]+A4y4+A6y6+A8y8+A10y10
ここで、光軸に垂直な方向の高さをy、高さyにおける光軸方向の変位量をX(y)、基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)をr、円錐係数をκ、n次の非球面係数をAnとする。また、「E−n」は「×10−n」を示し、例えば、「1.234E−05」は、「1.234×10−5」を示す。
【0050】
[レンズ群データ]には、各レンズ群の始面番号と焦点距離を示す。
[可変間隔データ]には、焦点距離f、可変間隔の値を示す。
[条件式対応値]には、各条件式の対応値をそれぞれ示す。
ここで、表1に記載されている焦点距離fや曲率半径r、およびその他長さの単位は一般に「mm」が使われる。しかしながら光学系は、比例拡大または比例縮小しても同等の光学性能が得られるため、これに限られるものではない。
【0051】
なお、以上に述べた表1の符号は、後述する各実施例の表においても同様に用いるものとする。
【0052】
(表1)第1実施例
[全体諸元]
W M T
f 28.5 49.2 78.9
FNO 3.6 5.0 5.6
2ω 38.2 22.8 14.6
Y 21.6 21.6 21.6
TL 104.3 118.9 137.5
空気換算BF 22.4 33.0 43.6

[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1) 69.8451 1.70 1.84666 63.34
2) 49.2913 6.13 1.6968 55.52
3) 330.0000 D3
*4) 79.1000 1.35 1.755 52.34
5) 16.5989 7.79
6) −50.9281 1.30 1.72916 54.61
7) 109.8840 0.10
8) 30.8619 3.36 1.84666 23.8
9) 104.8439 D9
10) 123.7807 2.52 1.5186 69.89
11) −38.2947 D11
12) (絞り) 0.50
13) 16.5221 4.00 1.59319 67.9
14) −32.3462 1.44 1.84666 23.8
15) 221.1481 4.00
16) −154.6423 2.69 1.64769 33.73
17) −14.3173 1.26 1.60738 56.74
18) 30.5152 D18
19) 32.4553 5.03 1.48749 70.31
20) −26.6257 3.96
21) −12.7834 1.50 1.7725 49.62
*22) −26.6557 D22
23) ∞ 2.00 1.5168 63.88
24) ∞ 0.10
像面 ∞

[レンズ群データ]
始面 焦点距離
G1 1 140.90
G2 4 −26.75
G3a 10 56.70
G3b 13 103.66
G4 19 142.76
Gvr 16 −46.70

[非球面データ]
面番号:4
κ = 1
A4 =−2.27070E−06
A6 =−8.69500E−09
A8 = 2.51440E−11
A10=−2.72400E−14

面番号:22
κ = 1.0000
A4 = 1.45840E−05
A6 = 1.55010E−08
A8 = 3.09160E−11

[可変間隔データ]
W M T
f 28.5 49.2 78.9
D3 1.50 17.68 33.08
D9 22.13 10.00 2.50
D11 4.00 5.30 6.00
D18 5.00 3.70 3.00
D22 20.94 31.53 42.15

[各条件式対応値]
(1)|f3b/f4|=0.73
(2)|fvr/f4|=0.33
(3)f1/(−f2)=5.27
【0053】
図2(a)および(b)は、それぞれ、第1実施例に係る変倍光学系ZL1の無限遠合焦時の広角端状態における諸収差図、および像ブレ補正を行った時のメリディオナル横収差図である。
【0054】
図3は、第1実施例に係る変倍光学系ZL1の無限遠合焦時の中間焦点距離状態における諸収差図である。
【0055】
図4(a)および(b)は、それぞれ、第1実施例に係る変倍光学系ZL1の無限遠合焦時の望遠端状態における諸収差図、および像ブレ補正を行った時のメリディオナル横収差図である。
【0056】
各収差図において、FNOはFナンバーを、Yは像高をそれぞれ示している。また、図中のdはd線(波長λ=587.6nm)での収差曲線を示し、gはg線(波長λ=435.8nm)での収差曲線を示し、記載のないものはd線での収差曲線を示す。球面収差図では最大口径に対応するFナンバーの値を示し、非点収差図及び歪曲収差図では像高の最大値をそれぞれ示している。非点収差を示す収差図において実線はサジタル像面を示し、破線はメリディオナル像面を示している。コマ収差を示す収差図は、d線およびg線に対するメリディオナルコマ収差を表している。なお、以下に示す各実施例の諸収差図においても、本実施例と同様の符号を用いる。
【0057】
各収差図から明らかなように、第1実施例に係る変倍光学系ZL1は、広角端状態から望遠端状態に亘って諸収差が良好に補正され、高い光学性能を有することがわかる。
【0058】
(第2実施例)
図5は、本発明の第2実施例に係る変倍光学系ZL2のレンズ構成を示す断面図である。
【0059】
図5に示すように、本実施例に係る変倍光学系ZL2は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成される。
【0060】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12との接合レンズからなる。
【0061】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹レンズL22と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL23とから構成され、第2レンズ群G2の最も物体側に位置する負メニスカスレンズL21は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
【0062】
第3レンズ群G3は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第3aレンズ群G3aと、開口絞りSPと、正の屈折力を有する第3bレンズ群G3bとから構成される。
【0063】
第3aレンズ群G3aは、両凸レンズL31からなる。
第3bレンズ群G3bは、光軸に沿って物体側から順に、両凸レンズL32と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL33との接合レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL34と両凹レンズL35との接合レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL36とから構成され、第3bレンズ群G3bの最も物体側に位置する両凸レンズL32は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
【0064】
該4レンズ群G4は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL41と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL42とから構成され、第4レンズ群G4の最も物体側に位置する負メニスカスレンズL41は、像側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
【0065】
像面Iの近傍には、ローパスフィルタFLが配置されている。
像面I上には、CCDやCMOS等から構成された撮像素子(図示省略)が配置されている。
【0066】
本実施例に係る変倍光学系ZL2は、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3aレンズ群G3aとの間隔は減少し、第3bレンズ群G3bと第4レンズ群G4との間隔は減少するように、像面Iに対して、第1レンズ群G1は物体側へ移動し、第2レンズ群G2は物体側へ移動し、第3aレンズ群G3aと第3bレンズ群G3bとは一体に物体側へ移動し、第4レンズ群G4は物体側へ移動する。
【0067】
開口絞りSPは、第3aレンズ群G3aと第3bレンズ群G3bとの間に位置し、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第3aレンズ群G3aおよび第3bレンズ群G3bと共に移動する。
【0068】
また、本実施例に係る変倍光学系ZL2は、第3bレンズ群G3bを構成する接合レンズのうち、負の屈折力を有する像面側の接合レンズを防振レンズ群Gvrとして光軸と直交する方向の成分を含む方向に移動させることにより像ブレ発生時の像面補正、すなわち防振を行っている。
【0069】
また、本実施例に係る変倍光学系ZL2は、防振レンズ群Gvrの移動量は、広角端状態において0.330(mm)であり、望遠端状態において0.364(mm)である。
【0070】
以下の表2に、本発明の第2実施例に係る変倍光学系ZL2の諸元値を掲げる。
(表2)第2実施例
[全体諸元]
W M T
f 28.1 39.1 81.2
FNO 3.6 4.6 6.0
2ω 78.6 58.6 29.0
Y 21.6 21.6 21.6
TL 106.9 111.6 143.7
空気換算BF 17.8 31.2 43.5

[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1) 49.8244 2.00 1.80518 25.45
2) 35.6484 9.11 1.63854 55.34
3) 181.0912 D3
*4) 95.5564 1.50 1.80400 46.60
5) 14.4419 8.80
6) −104.0414 1.00 1.69680 55.52
7) 31.0596 0.10
8) 22.6472 4.00 1.75520 27.57
9) 210.8334 D9
10) 23.4456 3.00 1.61800 63.34
11) −658.7055 4.96
12) (絞り) 0.50
*13) 145.1295 4.00 1.61881 63.85
14) −13.9631 1.00 1.75520 27.57
15) −29.2259 2.00
16) −65.0000 2.80 1.75520 27.57
17) −13.1839 1.00 1.67270 32.19
18) 39.0356 2.00
19) −298.7544 2.00 1.51823 58.82
20) −27.2336 D20
21) −250.0000 4.00 1.58913 61.22
*22) −31.3591 3.70
23) −21.5784 2.20 1.58913 61.22
24) −1521.8520 D24
25) ∞ 2.00 1.5168 63.88
26) ∞ 0.10
像面 ∞

[レンズ群データ]
始面 焦点距離
G1 1 120.00
G2 4 −21.83
G3a 10 36.70
G3b 13 65.77
G4 21 −112.60
Gvr 16 −43.76

[非球面データ]
面番号:4
κ = 1
A4 =−7.19631E−07
A6 =−7.19631E−09
A8 =−3.84239E−11
A10=−5.62787E−14

面番号:13
κ = 1.0000
A4 =−3.82892E−05
A6 = 2.39543E−08
A8 =−4.31977E−09
A10= 5.50769E−11

面番号:22
κ = 1.0000
A4 = 1.98292E−06
A6 =−5.99060E−08
A8 = 5.18983E−10
A10=−1.30187E−12

[可変間隔データ]
W M T
f 28.1 39.1 81.2
D3 3.00 5.28 34.73
D9 15.82 9.46 1.20
D20 10.03 5.30 3.92
D24 16.37 29.76 42.12

[各条件式対応値]
(1)|f3b/f4|=0.58
(2)|fvr/f4|=0.39
(3)f1/(−f2)=5.50
【0071】
図6(a)および(b)は、それぞれ、第2実施例に係る変倍光学系ZL2の無限遠合焦時の広角端状態における諸収差図、および像ブレ補正を行った時のメリディオナル横収差図である。
【0072】
図7は、第2実施例に係る変倍光学系ZL2の無限遠合焦時の中間焦点距離状態における諸収差図である。
【0073】
図8(a)および(b)は、それぞれ、第2実施例に係る変倍光学系ZL2の無限遠合焦時の望遠端状態における諸収差図、および像ブレ補正を行った時のメリディオナル横収差図である。
【0074】
各収差図から明らかなように、第2実施例に係る変倍光学系ZL2は、広角端状態から望遠端状態に亘って諸収差が良好に補正され、高い光学性能を有することがわかる。
【0075】
(第3実施例)
図9は、本発明の第3実施例に係る変倍光学系ZL3のレンズ構成を示す断面図である。
【0076】
図9に示すように、本実施例に係る変倍光学系ZL3は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成される。
【0077】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12との接合レンズからなる。
【0078】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹レンズL22と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL23とから構成され、第2レンズ群G2の最も物体側に位置する負メニスカスレンズL21は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
【0079】
第3レンズ群G3は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第3aレンズ群G3aと、開口絞りSPと、正の屈折力を有する第3bレンズ群G3bとから構成される。
【0080】
第3aレンズ群G3aは、両凸レンズL31からなる。
第3bレンズ群G3bは、光軸に沿って物体側から順に、両凸レンズL32と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL33との接合レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL34と両凹レンズL35との接合レンズと、両凸レンズL36とから構成され、第3bレンズ群G3bの最も物体側に位置する両凸レンズL32は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
【0081】
該4レンズ群G4は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL41と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL42とから構成され、第4レンズ群G4の最も物体側に位置する負メニスカスレンズL41は、像側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
【0082】
像面Iの近傍には、ローパスフィルタFLが配置されている。
像面I上には、CCDやCMOS等から構成された撮像素子(図示省略)が配置されている。
【0083】
本実施例に係る変倍光学系ZL3は、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は一旦減少した後に増大し、第2レンズ群G2と第3aレンズ群G3aとの間隔は減少し、第3aレンズ群G3aと第3bレンズ群G3bとの間隔は増大し、第3bレンズ群G3bと第4レンズ群G4との間隔は減少するように、像面Iに対して、第1レンズ群G1は物体側へ移動し、第2レンズ群G2は物体側へ移動し、第3aレンズ群G3aは物体側へ移動し、第3bレンズ群G3bは物体側へ移動し、第4レンズ群G4は物体側へ移動する。
【0084】
開口絞りSPは、第3aレンズ群G3aと第3bレンズ群G3bとの間に位置し、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第3bレンズ群G3bと共に移動する。
【0085】
また、本実施例に係る変倍光学系ZL3は、第3bレンズ群G3bを構成する接合レンズのうち、負の屈折力を有する像面側の接合レンズを防振レンズ群Gvrとして光軸と直交する方向の成分を含む方向に移動させることにより像ブレ発生時の像面補正、すなわち防振を行っている。
【0086】
また、本実施例に係る変倍光学系ZL3は、防振レンズ群Gvrの移動量は、広角端状態において0.323(mm)であり、望遠端状態において0.367(mm)である。
【0087】
以下の表3に、本発明の第3実施例に係る変倍光学系ZL3の諸元値を掲げる。
(表3)第3実施例
[全体諸元]
W M T
f 28.1 40.6 81.2
FNO 3.7 4.9 5.8
2ω 78.0 56.3 28.1
Y 21.6 21.6 21.6
TL 107.9 107.3 142.1
空気換算BF 16.1 27.2 33.4

[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1) 56.3898 2.00 1.80518 25.45
2) 38.6820 11.00 1.63854 55.34
3) 343.2075 D3
*4) 129.4511 1.50 1.80400 46.60
5) 14.8481 8.80
6) −162.5392 1.00 1.69680 55.52
7) 30.4039 0.10
8) 23.1811 4.00 1.75520 27.57
9) 232.6964 D9
10) 21.4215 3.00 1.48749 70.32
11) −94.2244 D11
12) (絞り) 1.00
*13) 74.0303 4.00 1.61881 63.85
14) −13.2841 1.00 1.67270 32.19
15) −42.7602 2.00
16) −60.0000 2.80 1.75520 27.57
17) −15.8382 1.00 1.67270 32.19
18) 42.0000 2.00
19) 110.9609 2.00 1.54072 46.97
20) −40.9338 D20
21) −250.0000 4.00 1.58913 61.22
*22) −36.0000 3.70
23) −20.9907 2.20 1.63854 55.34
24) −271.6504 D24
25) ∞ 2.00 1.5168 63.88
26) ∞ 0.10
像面 ∞

[レンズ群データ]
始面 焦点距離
G1 1 120.00
G2 4 −22.48
G3a 10 36.11
G3b 13 68.07
G4 21 −79.25
Gvr 16 −42.23

[非球面データ]
面番号:4
κ = 1
A4 =−2.61235E−06
A6 = 3.87740E−09
A8 =−1.26453E−11
A10= 2.36388E−14

面番号:13
κ = 1.0000
A4 =−2.55225E−05
A6 =−2.85293E−08
A8 =−2.25512E−09
A10= 2.62109E−11

面番号:22
κ = 1.0000
A4 = 7.13545E−06
A6 =−3.87577E−08
A8 = 4.32982E−10
A10=−1.32702E−12

[可変間隔データ]
W M T
f 28.1 40.6 81.2
D3 3.00 0.10 35.55
D9 16.88 8.08 1.20
D11 4.24 4.86 5.09
D20 9.96 9.34 9.11
D24 14.66 25.76 31.97

[各条件式対応値]
(1)|f3b/f4|=0.86
(2)|fvr/f4|=0.53
(3)f1/(−f2)=5.34
【0088】
図10(a)および(b)は、それぞれ、第3実施例に係る変倍光学系ZL3の無限遠合焦時の広角端状態における諸収差図、および像ブレ補正を行った時のメリディオナル横収差図である。
【0089】
図11は、第3実施例に係る変倍光学系ZL3の無限遠合焦時の中間焦点距離状態における諸収差図である。
【0090】
図12(a)および(b)は、それぞれ、第3実施例に係る変倍光学系ZL3の無限遠合焦時の望遠端状態における諸収差図、および像ブレ補正を行った時のメリディオナル横収差図である。
【0091】
各収差図から明らかなように、第3実施例に係る変倍光学系ZL3は、広角端状態から望遠端状態に亘って諸収差が良好に補正され、高い光学性能を有することがわかる。
【0092】
(第4実施例)
図13は、本発明の第4実施例に係る変倍光学系ZL4のレンズ構成を示す断面図である。
【0093】
図13に示すように、本実施例に係る変倍光学系ZL4は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成される。
【0094】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12との接合レンズからなる。
【0095】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹レンズL22と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL23とから構成され、第2レンズ群G2の最も物体側に位置する負メニスカスレンズL21は、物体側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
【0096】
第3レンズ群G3は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第3aレンズ群G3aと、開口絞りSPと、正の屈折力を有する第3bレンズ群G3bとから構成される。
【0097】
第3aレンズ群G3aは、両凸レンズL31からなる。
第3bレンズ群G3bは、光軸に沿って物体側から順に、両凸レンズL32と両凹レンズL33との接合レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL34と両凹レンズL35との接合レンズとから構成される。
【0098】
該4レンズ群G4は、光軸に沿って物体側から順に、両凸レンズL41と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL42とから構成され、第4レンズ群G4の最も像側に位置する負メニスカスレンズL42は、像側のレンズ面を非球面形状とした非球面レンズである。
【0099】
像面Iの近傍には、ローパスフィルタFLが配置されている。
像面I上には、CCDやCMOS等から構成された撮像素子(図示省略)が配置されている。
【0100】
本実施例に係る変倍光学系ZL4は、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3aレンズ群G3aとの間隔は減少し、第3bレンズ群G3bと第4レンズ群G4との間隔は減少するように、像面Iに対して、第1レンズ群G1は物体側へ移動し、第2レンズ群G2は一旦像面I側へ移動した後に物体側へ移動し、第3aレンズ群G3aと第3bレンズ群G3bとは一体に物体側へ移動し、第4レンズ群G4は物体側へ移動する。
【0101】
開口絞りSPは、第3aレンズ群G3aと第3bレンズ群G3bとの間に位置し、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第3bレンズ群G3bと共に移動する。
【0102】
また、本実施例に係る変倍光学系ZL4は、第3bレンズ群G3bを構成する接合レンズのうち、負の屈折力を有する像面側の接合レンズを防振レンズ群Gvrとして光軸と直交する方向の成分を含む方向に移動させることにより像ブレ発生時の像面補正、すなわち防振を行っている。
【0103】
また、本実施例に係る変倍光学系ZL4は、防振レンズ群Gvrの移動量は、広角端状態において0.387(mm)であり、望遠端状態において0.404(mm)である。
【0104】
以下の表4に、本発明の第1実施例に係る変倍光学系ZL4の諸元値を掲げる。
(表4)第4実施例
[全体諸元]
W M T
f 28.5 49.2 79.0
FNO 3.6 5.0 5.6
2ω 38.2 22.8 14.6
Y 21.6 21.6 21.6
TL 104.8 118.1 136.0
空気換算BF 22.3 33.0 43.6

[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1) 69.8451 1.70 1.84666 23.8
2) 49.2913 6.13 1.6968 55.52
3) 330.0000 D3
*4) 79.1000 1.35 1.755 52.34
5) 16.5989 7.79
6) −50.9281 1.30 1.72916 54.61
7) 109.8840 0.10
8) 30.8619 3.36 1.84666 23.8
9) 104.8439 D9
10) 123.7807 2.52 1.5186 69.89
11) −38.2947 4.50
12) (絞り) 0.50
13) 16.5221 4.00 1.59319 67.9
14) −32.3462 1.44 1.84666 23.8
15) 221.1481 4.00
16) −154.6423 2.69 1.64769 33.73
17) −14.3173 1.26 1.60738 56.74
18) 30.5152 D18
19) 32.4553 5.03 1.48749 70.31
20) −26.6257 3.96
21) −12.7834 1.50 1.7725 49.62
*22) −26.6557 D22
23) ∞ 2.00 1.5168 63.88
24) ∞ 0.10
像面 ∞

[レンズ群データ]
始面 焦点距離
G1 1 14.090
G2 4 −26.75
G3a 10 56.70
G3b 13 103.66
G4 19 142.76
Gvr 16 −46.70

[非球面データ]
面番号:4
κ = 1
A4 =−2.27070E−06
A6 =−8.69500E−09
A8 = 2.51440E−11
A10=−2.72400E−14

面番号:22
κ = 1.0000
A4 = 1.45840E−05
A6 = 1.55010E−08
A8 = 3.09160E−11

[可変間隔データ]
W M T
f 28.5 49.2 79.0
D3 1.50 17.68 33.08
D9 22.13 10.00 2.50
D18 5.00 3.70 3.00
D22 20.90 31.53 42.16

[各条件式対応値]
(1)|f3b/f4|=0.73
(2)|fvr/f4|=0.33
(3)f1/(−f2)=5.27
【0105】
図14(a)および(b)は、それぞれ、第4実施例に係る変倍光学系ZL4の無限遠合焦時の広角端状態における諸収差図、および像ブレ補正を行った時のメリディオナル横収差図である。
【0106】
図15は、第4実施例に係る変倍光学系ZL4の無限遠合焦時の中間焦点距離状態における諸収差図である。
【0107】
図16(a)および(b)は、それぞれ、第4実施例に係る変倍光学系ZL4の無限遠合焦時の望遠端状態における諸収差図、および像ブレ補正を行った時のメリディオナル横収差図である。
【0108】
各収差図から明らかなように、第4実施例に係る変倍光学系ZL4は、広角端状態から望遠端状態に亘って諸収差が良好に補正され、高い光学性能を有することがわかる。
【0109】
以上説明したように、上記各実施例によれば、高い光学性能を有する変倍光学系を実現することができる。
【0110】
ここで、上記各実施例は本発明の一具体例を示しているものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。以下に記載の内容は、光学性能を損なわない範囲で適宜採用することが可能である。
【0111】
本発明の変倍光学系の数値実施例として4群構成のものを示したが、本発明はこれに限られず、他の群構成(例えば5群等)の変倍光学系を構成することも可能である。具体的には、本発明の変倍光学系の最も物体側にレンズまたはレンズ群を追加した構成や、最も像側にレンズまたはレンズ群を追加した構成でも構わない。なお、レンズ群とは、空気間隔で分離された少なくとも1枚のレンズを有する部分を示す。
【0112】
また、本発明の変倍光学系は、無限遠物体から近距離物体への合焦を行うために、レンズ群の一部、1つのレンズ群全体、あるいは複数のレンズ群を合焦レンズ群として光軸方向へ移動させる構成としても良い。合焦レンズ群は、オートフォーカスに適用することも可能であり、オートフォーカス用のモータ、例えば超音波モータ等による駆動にも適している。
【0113】
また、本発明の変倍光学系を構成するレンズのレンズ面は、球面または平面としても良く、あるいは非球面としても良い。レンズ面が球面または平面の場合、レンズ加工および組立調整が容易になり、レンズ加工および組立調整の誤差による光学性能の劣化を防止することができるため好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないため好ましい。レンズ面が非球面の場合、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に成型したガラスモールド非球面、またはガラス表面に設けた樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれの非球面でも良い。また、レンズ面は回折面としても良く、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)あるいはプラスチックレンズとしても良い。
【0114】
また、本発明の変倍光学系の開口絞りSPは第3レンズ群G3近傍に配置されることが好ましいが、開口絞りとして部材を設けずにレンズ枠でその役割を代用しても良い。
【0115】
また、本発明の変倍光学系を構成するレンズのレンズ面に、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施しても良い。これにより、フレアやゴーストを軽減し、高コントラストの光学性能を達成することができる。
【0116】
次に、本発明に係る変倍光学系を有するカメラについて図面を参照しつつ説明する。図17は、本発明に係る変倍光学系を搭載する電子スチルカメラを示し、(a)は正面図を、(b)は背面図をそれぞれ示す。図18は、図17(a)のA−A線に沿った断面図を示している。
【0117】
図17、18において、電子スチルカメラ1(以後、単にカメラ1と記す)の撮影レンズ2は、第1実施例に係る変倍光学系ZL1で構成されている。電子スチルカメラ1は、不図示の電源ボタンを押すと撮影レンズ2の不図示のシャッタが開放され、不図示の被写体からの光が撮影レンズ2で集光されて、像面Iに配置された撮像素子C(例えば、CCDやCMOS等)に結像される。撮像素子Cに結像された被写体像は、カメラ1の背面に配置された液晶モニター3に表示される。撮影者は、液晶モニター3を見ながら被写体像の構図を決めた後、レリーズボタン4を押し下げ被写体像を撮像素子Cで撮影し、不図示のメモリーに記録保存する。この際、カメラ1もしくは撮影レンズ鏡筒に内蔵された不図示の角速度センサーにより手ブレ等によって発生するカメラ1のブレが検出され、不図示の防振機構により、撮影レンズ2に配設された第3bレンズ群G3b中の防振レンズ群Gvrが撮影レンズ2の光軸に対して垂直方向にシフトされ、カメラ1のブレによって生じる像面I上の像ブレを補正する。
【0118】
また、カメラ1には、被写体が暗い場合に補助光を発光する補助光発光部5、撮影レンズ2である変倍光学系ZL1を広角端状態(W)から望遠端状態(T)に変倍する際のワイド(W)−テレ(T)ボタン6、およびカメラ1の種々の条件設定等に使用するファンクションボタン7等が配置されている。
【0119】
このようにして、第1実施例にかかる変倍光学系ZL1を内蔵し、高い光学性能を有するカメラ1が構成されている。なお、カメラ1に内蔵される撮影レンズ2は、他の実施例に係る変倍光学系であっても良い。また、カメラ1は、撮影レンズ2を着脱可能に保持するものでも良く、撮影レンズ2と一体に成形されるものでも良い。また、カメラ1は、一眼レフカメラでも良く、クイックリターンミラー等を有さないカメラでも良い。
【0120】
次に、本発明の変倍光学系の製造方法について説明する。図19は、本発明に係る変倍光学系の製造方法の概略を示す図である。
【0121】
本発明の変倍光学系の製造方法は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、第4レンズ群とを有する変倍光学系の製造方法であって、図19に示すように、以下の各ステップS1〜S4を含むものである。
【0122】
ステップS1:広角端状態から望遠端状態への変倍の際、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔は変化し、第2レンズ群と第3レンズ群との間隔は変化し、第3レンズ群と第4レンズ群との間隔は変化するように構成する。
【0123】
ステップS2:第3レンズ群を、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第3aレンズ群と、絞りと、正の屈折力を有する第3bレンズ群とで構成する。
【0124】
ステップS3:第3bレンズ群中の負の屈折力を有するレンズ群を防振レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることによって像ブレ発生時の像面補正を行うように構成する。
【0125】
ステップS4:次式の条件を満足するように構成する。
|f3b/f4| < 2.0
|fvr/f4| < 1.0
ただし、
f3b:前記第3bレンズ群の焦点距離
f4:前記第4レンズ群の焦点距離
fvr:前記防振レンズ群の焦点距離
【0126】
斯かる本発明の変倍光学系の製造方法によれば、小型で高い光学性能を備えた変倍光学系を製造することができる。
【符号の説明】
【0127】
ZL 変倍光学系
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G3a 第3aレンズ群
G3b 第3bレンズ群
G4 第4レンズ群
Gvr 防振レンズ群
SP 開口絞り
I 像面
1 カメラ
2 撮影レンズ
3 液晶モニター
4 レリーズボタン
5 補助光発光部
6 ワイド(W)−テレ(T)ボタン
7 ファンクションボタン

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19