(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
−第1の実施形態−
図面を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る撮像装置であるデジタルカメラ1の構成を示すブロック図である。デジタルカメラ1は、一眼レフカメラであって、交換レンズ2とカメラボディ3とを備える。デジタルカメラ1の交換レンズ2は不図示のマウント部によりカメラボディ3に交換可能に装着される。
【0010】
交換レンズ2は、フォーカシング用レンズやズーミング用レンズを含む撮像光学系21と、絞り22と、レンズ側制御装置23とを備える。レンズ側制御装置23は、CPUやRAM、ROMなどを有する。レンズ側制御装置23は、撮像光学系21や絞り22の駆動制御や、後述するカメラボディ3のボディ側制御装置38へのレンズ情報の送信などの処理を行う。
【0011】
カメラボディ3は、クイックリターンミラー30と、シャッター31と、撮像素子32と、ファインダスクリーン33と、ペンタプリズム34と、再結像光学系35と、測光センサ36と、接眼レンズ37と、ボディ側制御装置38と、表示部39と、操作部材40と、記録媒体41とを備える。
【0012】
被写体からの光束は、撮像光学系21を介してカメラボディ3へ入射される。クイックリターンミラー30が図示位置にあるときは、カメラボディ3へ入射した被写体光束は、クイックリターンミラー30に反射され、ファインダスクリーン33の拡散面に結像する。ファインダスクリーン33を透過した光束は、ペンタプリズム34に入射する。ペンタプリズム34にファインダ光学系光軸341に沿って入射した被写体光束は、ペンタプリズム34により接眼レンズ37へ導かれる。ペンタプリズム34に測光光学系光軸342に沿って入射した被写体光束は、ペンタプリズム34により再結像光学系35へ導かれる。再結像光学系35は、再結像レンズを有し、測光光学系光軸342に沿って入射した被写体光束を測光センサ36の受光面36aに再結像させる。クイックリターンミラー30が退避状態にあり、シャッター31が開放状態にあるときはカメラボディ3へ入射した被写体光束は撮像素子32へ導かれる。
【0013】
撮像素子32および測光センサ36は、それらの受光面に二次元状に画素が配列されている。各画素は、赤(R)、緑(G)、または青(B)のカラーフィルタを有しており、ベイヤ配列に基づいて受光面に配列されている。各画素は、被写体光束を受光すると、電荷が蓄積され、蓄積された電荷はボディ側制御装置38によりカラー画像信号として読み出される。
【0014】
ボディ側制御装置38はCPUやRAM、ROMなどを有し、カメラボディ3の各部位を制御して各種処理を実行する。表示部39は、カメラボディ3の背面に搭載された液晶モニタであって、各種メニュー画面や撮像画像の再生表示を行う。操作部材40は、レリーズボタンや電源ボタン、モード切替ボタンなどである。記録媒体41は、メモリーカードなどの着脱可能な記録媒体であって、撮像素子32による撮像画像などを記録する。
【0015】
ところで、撮像光学系21が回折光学素子を含む場合、撮像光学系21に強い光が入射した場合には、回折フレア(回折光学素子に起因する色のついたフレア)が生じてしまう。しかしながら、回折フレアの発生強度および発生領域は、撮像光学系21の絞り値によって大きく変化する。撮像光学系21の絞り22を絞りこむほど(すなわち絞り値を大きくするほど)、回折フレアの発生量が低下する。本実施形態ではこのことを利用し、回折フレアの発生を抑制するように絞り値を調整して撮影を行うようにした。
【0016】
以下、本実施形態のデジタルカメラ1が実行する撮影処理について、
図2のフローチャートを用いて説明する。ボディ側制御装置38は、操作部材40の操作に応じて撮影モードに設定されると、
図2に示す処理を開始する。
【0017】
ステップS101において、ユーザが操作部材40により絞り値を設定する操作を行うと、カメラボディ3のボディ側制御装置38は、操作部材40からの操作信号に応じて絞り値を設定する。ここで設定される絞り値を、以下、設定絞り値と表記する。ボディ側制御装置38は、設定絞り値の情報を交換レンズ2のレンズ側制御装置23に送信する。レンズ側制御装置23は、ボディ側制御装置38から送信された設定絞り値となるように撮像光学系21の絞り値を調整する。
【0018】
ステップS102において、ボディ側制御装置38は、交換レンズ2の撮像光学系21に回折光学素子が含まれるか否かを判定する。ここでレンズ側制御装置23は、撮像光学系21に回折光学素子が含まれるか否かを示すレンズ情報をボディ側制御装置38に送信する。ボディ側制御装置38は、このレンズ情報に基づいて上記判定を行う。
【0019】
撮像光学系21に回折光学素子が含まれない場合には、回折フレアが発生しない。この場合には、ボディ側制御装置38は、ステップS102を否定判定してステップS110に進み、設定絞り値のままの状態で、レリーズボタンの押下に応じて撮像素子32に撮像を行わせて撮像画像を取得し、記録媒体41に記録する。一方、撮像光学系21に回折光学素子が含まれる場合には、ボディ側制御装置38は、ステップS102を肯定判定してステップS103に進む。
【0020】
ステップS103において、ボディ側制御装置38は、測光センサ36からの出力信号に基づいて、撮像素子32の撮像範囲の明るさを検出し、領域ごとの相対的な明るさの強度比を求める。領域ごとの相対的な明るさの強度比については、たとえば被写体とその背景領域との明るさを比較する。
【0021】
ステップS104において、ボディ側制御装置38は、ステップS103の検出結果に基づいて、撮像範囲内に局所的に明るい領域があるか否かを判定する。ここで、局所的に明るい領域とは、回折フレアが撮像画像中で目立つ強度で発生する程度に明るい領域である。撮像範囲内に局所的に明るい領域が存在しない場合には、回折フレアが発生しない、あるいは回折フレアが発生しても撮像画像中で目立たない。この場合には、ボディ側制御装置38は、ステップS104を否定判定してステップS110に進み、設定絞り値のままの状態で、レリーズボタンの押下に応じて撮像素子32に撮像を行わせて撮像画像を取得し、記録媒体41に記録する。一方、撮像範囲内に局所的に明るい領域がある場合には、ボディ側制御装置38は、ステップS104を肯定判定して、ステップS105に進む。
【0022】
ステップS105において、ボディ側制御装置38は、測光センサ36からの出力信号に基づいて自動露出演算を行い、設定絞り値に対して適正露出となるようにシャッタースピードを調整する露出制御を行う。このとき、ボディ側制御装置38は、露出を合わせる被写体から局所的に明るい領域を除いて自動露出演算を行う。
【0023】
ステップS106において、ボディ側制御装置38は、回折フレアの発生を抑制するための推奨絞り値を算出する。なお、回折光学素子の特性は、回折フレアの発生量に影響を与え、局所的に明るい領域とその周囲領域との明るさの比は、回折フレアの撮像画像中での目立ち度合いに影響を与える。そのため、ボディ側制御装置38は、回折フレアを十分に抑制可能な推奨絞り値を、撮像光学系21の種類および局所的に明るい領域とその周囲領域との明るさの比に基づいて算出する。
【0024】
たとえば、交換レンズ2の不図示のメモリに、撮像光学系21に含まれる回折光学素子の特性に基づいて作成された計算式をレンズ情報として記憶させておく。この計算式は、局所的に明るい領域とその周囲領域との明るさの比を代入することで、推奨絞り値を算出できるように作成される。レンズ側制御装置23は、ボディ側制御装置38からの要求に応じて、上記計算式をボディ側制御装置38に送信する。ボディ側制御装置38は、ステップS103の算出結果から局所的に明るい領域とその周囲領域との明るさの比を求め、レンズ側制御装置23から受信した上記計算式に代入することで、推奨絞り値を算出する。
【0025】
なお、推奨絞り値を求めるために計算式を用いるのではなく、たとえば、局所的に明るい領域とその周囲領域との明るさの比と推奨絞り値とを対応付けたテーブルを用いるようにしてもよい。
【0026】
ステップS107において、ボディ側制御装置38は、ステップS101で設定した設定絞り値と、ステップS106で算出した推奨絞り値とを比較し、推奨絞り値の方が設定絞り値よりも大きいか否かを判定する。設定絞り値の方が推奨絞り値よりも大きい場合には、設定絞り値のままでも回折フレアの発生を抑制することができる。この場合には、ボディ側制御装置38は、ステップS107を否定判定してステップS110に進み、設定絞り値のままの状態で、レリーズボタンの押下に応じて撮像素子32に撮像を行わせて撮像画像を取得し、記録媒体41に記録する。一方、推奨絞り値の方が設定絞り値よりも大きい場合には、設定絞り値のままでは回折フレアの発生を抑制することができない。この場合には、ボディ側制御装置38は、ステップS107を肯定判定してステップS108に進む。
【0027】
ステップS108において、ボディ側制御装置38は、撮像光学系21の絞り値を推奨絞り値に変更するようレンズ側制御装置23に指示を送信する。レンズ側制御装置23は、この指示に応じて、推奨絞り値となるように撮像光学系21の絞り値を調整する。
【0028】
ステップS109において、ボディ側制御装置38は、撮像光学系21が推奨絞り値である状態での露出が、ステップS105で算出した露出(設定絞り値である状態での露出)と同じになるようにシャッタースピードを調整する。このとき、ボディ側制御装置38は、露出を合わせる被写体から局所的に明るい領域を除いて露出を調整する。これにより、撮像光学系21が推奨絞り値である状態で取得する撮像画像において、設定絞り値である状態で取得される撮像画像と比較して、被写体の明るさが変わらないようにできる。
【0029】
ステップS109から進むステップS110において、ボディ側制御装置38は、推奨絞り値の状態で、レリーズボタンの押下に応じて撮像素子32に撮像を行わせて撮像画像を取得し、記録媒体41に記録する。この結果、回折フレアの発生を抑制した撮像画像を取得することができる。
【0030】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
デジタルカメラ1において、ボディ側制御装置38は、撮像範囲内に局所的に明るい領域があるか否かを判定し、局所的に明るい領域があると判定された場合に、撮像光学系21の回折光学素子に起因するフレアの発生を抑制するための推奨絞り値を算出する。そして、ボディ側制御装置38は、推奨絞り値が設定絞り値よりも大きい場合に、撮像光学系21の絞り値を推奨絞り値に自動調整して撮像素子32に撮像を行わせ、撮像画像を取得するようにした。こうすることにより、回折フレアの発生を抑制して、撮像画像を取得することができる。
【0031】
−第2の実施形態−
次に、図面を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態におけるデジタルカメラ1の構成は、第1の実施形態におけるデジタルカメラ1の構成と同じであるため、同一の符号を付し、説明を省略する。第2の実施形態では、設定絞り値の状態で撮像した撮像画像と推奨絞り値の状態で撮像した撮像画像とを合成することで、フレア領域を除去した画像を生成する点が、第1の実施形態と異なっている。
【0032】
以下、第2の実施形態のデジタルカメラ1が実行する撮影処理について、
図3のフローチャートを用いて説明する。ボディ側制御装置38は、操作部材40の操作に応じて撮影モードに設定されると、
図3に示す処理を開始する。
【0033】
ステップS201において、ボディ側制御装置38は、上述したステップS101と同様に、ユーザの操作に応じて絞り値を設定し、撮像光学系21の絞り値を設定絞り値に調整する。
【0034】
ステップS202において、ボディ側制御装置38は、設定絞り値のままの状態で、レリーズボタンの押下に応じて撮像素子32に撮像を行わせ、撮像画像を取得する。
【0035】
ステップS203において、ボディ側制御装置38は、上述したステップS102と同様に、撮像光学系21に回折光学素子が含まれるか否かを判定する。ボディ側制御装置38は、撮像光学系21に回折光学素子が含まれない場合には、ステップS203を否定判定し、ステップS202で取得した撮像画像を記録媒体41に記録して、撮影処理を終了する。一方、ボディ側制御装置38は、撮像光学系21に回折光学素子が含まれる場合には、ステップS203を肯定判定してステップS204に進む。
【0036】
ステップS204において、ボディ側制御装置38は、上述したステップS103と同様に、測光センサ36からの出力信号に基づいて撮像範囲の明るさを検出する。
【0037】
ステップS205において、ボディ側制御装置38は、上述したステップS104と同様に、撮像範囲内に局所的に明るい領域があるか否かを判定する。撮像範囲内に局所的に明るい領域が存在しない場合には、ボディ側制御装置38は、ステップS205を否定判定し、ステップS202で取得した撮像画像を記録媒体41に記録して、撮影処理を終了する。一方、撮像範囲内に局所的に明るい領域がある場合には、ボディ側制御装置38は、ステップS205を肯定判定して、ステップS206に進む。
【0038】
ステップS206において、ボディ側制御装置38は、上述したステップS106と同様に、回折フレアの発生を抑制するための推奨絞り値を算出する。
【0039】
ステップS207において、ボディ側制御装置38は、上述したステップS107と同様に、ステップS201で設定した設定絞り値と、ステップS206で算出した推奨絞り値とを比較し、推奨絞り値の方が設定絞り値よりも大きいか否かを判定する。設定絞り値の方が推奨絞り値よりも大きい場合には、ボディ側制御装置38は、ステップS207を否定判定し、ステップS202で取得した撮像画像を記録媒体41に記録して、撮影処理を終了する。一方、推奨絞り値の方が設定絞り値よりも大きい場合には、ボディ側制御装置38は、ステップS207を肯定判定してステップS208に進む。
【0040】
ステップS208において、ボディ側制御装置38は、上述したステップS108と同様に、撮像光学系21の絞り値を推奨絞り値に調整する。
【0041】
ステップS209において、ボディ側制御装置38は、撮像光学系21が推奨絞り値である状態での露出が、設定絞り値である状態での露出と同じになるようにシャッタースピードを調整する。このとき、ボディ側制御装置38は、露出を合わせる被写体から局所的に明るい領域を除いて露出を調整する。これにより、撮像光学系21が推奨絞り値である状態で取得する撮像画像において、設定絞り値である状態で取得する撮像画像と比較して、被写体の明るさが変わらないようにできる。
【0042】
ステップS210において、ボディ側制御装置38は、推奨絞り値の状態で、撮像素子32に撮像を行わせて撮像画像を取得する。なお、ステップS210での撮像は、ステップS202での撮像から極力タイムラグが生じないよう、ステップS202での撮像から連続して行われる。
【0043】
ステップS211において、ボディ側制御装置38は、ステップS202で取得した撮像画像およびステップS210で取得した撮像画像において、回折フレアが発生している領域(フレア領域)を推測して決定する。フレア領域を決定する方法としては、以下に説明する第1の決定方法または第2の決定方法のいずれを用いてもよい。
【0044】
まず、第1の決定方法について説明する。回折フレアは、局所的に明るい領域を中心として略円形状に発生すると推測される。そこで、第1の決定方法では、ボディ側制御装置38は、ステップS205で検出された局所的に明るい領域を中心とした円形またはこれに準ずる形状でなる領域をフレア領域として決定する。また、回折フレアの大きさは、撮像光学系21に含まれる回折光学素子の特性および撮像範囲の大きさ(すなわち画角)によって変化する。そこで、ボディ側制御装置38は、レンズ側制御装置23から送信されたレンズ情報に含まれる撮像光学系21の種類および焦点距離に応じて、フレア領域の大きさを決定する。
【0045】
次に、第2の決定方法について説明する。回折フレアは色のついたフレアであるため、回折フレアが発生している設定絞り値での撮像画像と回折フレアの発生が抑制された推奨絞り値での撮像画像とでは、フレア領域において色情報の差分(すなわち色差)が大きく、その他の領域では色差が小さいことが推測される。そこで、第2の決定方法では、ステップS202で取得した設定絞り値での撮像画像とステップS210で取得した推奨絞り値での撮像画像とを比較し、色情報の差分(すなわち色差)が所定の閾値以上大きい領域を検出し、この領域をフレア領域として決定する。
【0046】
ステップS212において、ボディ側制御装置38は、ステップS202で取得した設定絞り値での撮像画像とステップS210で取得した推奨絞り値での撮像画像とを合成することでフレア領域を除去した画像を生成し、記録媒体41に記録する。このとき、ボディ側制御装置38は、ステップS211で決定したフレア領域については推奨絞り値での撮像画像に重きを置き、当該フレア領域以外の領域については設定絞り値での撮像画像に重きを置いて合成する。具体的には、ボディ側制御装置38は、設定絞り値での撮像画像からはフレア領域の部分を取り除き、推奨絞り値での撮像画像からはフレア領域の部分を抜き出す。そして、ボディ側制御装置38は、推奨絞り値での撮像画像から抜き出したフレア領域の部分を、設定絞り値での撮像画像においてフレア領域が取り除かれた部分に嵌めこむ。このときボディ側制御装置38は、推奨絞り値の状態での撮像画像と設定絞り値の状態での撮像画像との境界部分(フレア領域の境界部分)が不自然にならないように、グラデーションをつける。
【0047】
このような処理の結果、回折フレアがもともと発生していない領域についてはユーザの意図するボケ味であり、局所的に明るい領域の周辺(すなわち光源付近)は回折フレアの発生を抑制した撮像画像を取得することができる。
【0048】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
デジタルカメラ1において、ボディ側制御装置38は、撮像範囲内に局所的に明るい領域があるか否かを判定し、局所的に明るい領域があると判定された場合に、撮像光学系21の回折光学素子に起因するフレアの発生を抑制するための推奨絞り値を算出する。そして、ボディ側制御装置38は、推奨絞り値が設定絞り値よりも大きい場合に、撮像光学系21の絞り値を設定絞り値に調整した状態と推奨絞り値に調整した状態のそれぞれで撮像画像を取得し、これらの撮像画像を合成するようにした。こうすることにより、回折フレアがもともと発生しない領域についてはユーザの意図する設定絞り値での画像であり、設定絞り値では回折フレアが発生する領域については回折フレアの発生を抑制した画像を、取得することができる。
【0049】
−第3の実施形態−
次に、図面を参照して本発明の第3の実施形態について説明する。なお、第3の実施形態におけるデジタルカメラ1の構成は、第1の実施形態におけるデジタルカメラ1の構成と同じであるため、同一の符号を付し、説明を省略する。第3の実施形態では、ユーザに対して推奨絞り値または回折フレアの発生を報知する点が、第1および第2の実施形態と異なっている。なお、回折フレアの発生はファインダでも確認することができるが、撮影により取得される画像は画像処理の影響を受けるため、ファインダで確認される画像よりも回折フレアが目立つ場合がある。そこで、本実施形態では、撮影時にユーザに対して推奨絞り値または回折フレアの発生を報知することで、ユーザがファインダでは確認できない回折フレアについても発生を抑制して撮影を行うことができる。
【0050】
以下、第3の実施形態のデジタルカメラ1が実行する撮影処理について、
図4のフローチャートを用いて説明する。ボディ側制御装置38は、操作部材40の操作に応じて撮影モードに設定されると、
図4に示す処理を開始する。
【0051】
ステップS301において、ボディ側制御装置38は、上述したステップS101と同様に、ユーザの操作に応じて絞り値を設定し、撮像光学系21の絞り値を設定絞り値に調整する。
【0052】
ステップS302において、ボディ側制御装置38は、上述したステップS102と同様に、撮像光学系21に回折光学素子が含まれるか否かを判定する。撮像光学系21に回折光学素子が含まれない場合には、ボディ側制御装置38は、ステップS302を否定判定してステップS311に進む。一方、撮像光学系21に回折光学素子が含まれる場合には、ボディ側制御装置38は、ステップS302を肯定判定してステップS303に進む。
【0053】
ステップS303において、ボディ側制御装置38は、上述したステップS103と同様に、測光センサ36からの出力信号に基づいて撮像範囲の明るさを検出する。
【0054】
ステップS304において、ボディ側制御装置38は、上述したステップS104と同様に、撮像範囲内に局所的に明るい領域があるか否かを判定する。撮像範囲内に局所的に明るい領域が存在しない場合には、ボディ側制御装置38は、ステップS304を否定判定してステップS311に進む。一方、撮像範囲内に局所的に明るい領域がある場合には、ボディ側制御装置38は、ステップS304を肯定判定して、ステップS305に進む。
【0055】
ステップS305において、ボディ側制御装置38は、上述したステップS105と同様に、露出を合わせる被写体領域から局所的に明るい領域を除いて自動露出演算を行い、設定絞り値に対して適正露出となるようにシャッタースピードを調整する。
【0056】
ステップS306において、ボディ側制御装置38は、上述したステップS106と同様に、回折フレアの発生を抑制するための推奨絞り値を算出する。
【0057】
ステップS307において、ボディ側制御装置38は、上述したステップS107と同様に、ステップS301で設定した設定絞り値と、ステップS306で算出した推奨絞り値とを比較し、推奨絞り値の方が設定絞り値よりも大きいか否かを判定する。設定絞り値の方が推奨絞り値よりも大きい場合には、ボディ側制御装置38は、ステップS307を否定判定してステップS311に進む。一方、推奨絞り値の方が設定絞り値よりも大きい場合には、ボディ側制御装置38は、ステップS307を肯定判定してステップS308に進む。
【0058】
ステップS308において、ボディ側制御装置38は、ステップS306で算出した推奨絞り値または回折フレアが発生している旨の警告を報知する情報を、ファインダまたは表示部39(背面モニタ)に表示する。これにより、ユーザは回折フレアが発生していることを認識でき、撮影後に画像を確認して初めて回折フレアが発生していたことに気付くという事態を防止することができる。ここで、ユーザは、推奨絞り値または回折フレアが発生している旨の警告を報知する情報を確認し、回折フレアを抑制したい場合には、操作部材40により設定絞り値を変更する操作を行う。
【0059】
ステップS309において、ボディ側制御装置38は、ユーザの操作により設定絞り値が変更されたか否かを判定する。ボディ側制御装置38は、設定絞り値が変更された場合にはステップS309を肯定判定してステップS310に進み、設定絞り値が変更されない場合にはステップS309を否定判定してステップS311に進む。
【0060】
ステップS310において、ボディ側制御装置38は、絞り値変更後の露出が、ステップS305で算出した絞り値変更前の露出と同じになるようにシャッタースピードを調整する。このとき、ボディ側制御装置38は、露出を合わせる被写体から局所的に明るい領域を除いて露出を調整する。これにより、変更後の絞り値の状態で取得する撮像画像において、変更前の絞り値の状態で取得される撮像画像と比較して、被写体の明るさが変わらないようにできる。
【0061】
ステップS311において、ボディ側制御装置38は、レリーズボタンの押下に応じて撮像素子32に撮像を行わせて撮像画像を取得し、記録媒体41に記録する。
【0062】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
デジタルカメラ1において、ボディ側制御装置38は、撮像範囲内に局所的に明るい領域があるか否かを判定し、局所的に明るい領域があると判定された場合に、撮像光学系21の回折光学素子に起因するフレアの発生を抑制するための推奨絞り値を算出する。そして、ボディ側制御装置38は、推奨絞り値が設定絞り値よりも大きい場合に、推奨絞り値または警告を報知する情報を表示部39に表示するようにした。こうすることにより、ユーザが回折フレアが発生することを認識でき、回折フレアの発生を抑えるために絞り値を変更することができるので、回折フレアの発生を抑制した撮像画像を取得することができる。
【0063】
(変形例1)
上述した実施の形態では、ボディ側制御装置38は、ユーザによる操作部材40の操作に応じて、撮像光学系21の絞り値を設定する例について説明した。しかしながら、ボディ側制御装置38は、測光センサ36からの出力信号に基づいて自動露出演算を行い、その演算結果に応じて、撮像光学系21の絞り値を自動で設定するようにしてもよい。
【0064】
(変形例2)
上述した実施の形態では、設定された絞り値に対して適正露出となるようにシャッタースピードを調整して露出を制御する例について説明したが、撮像素子32のゲイン(感度)を調整して露出を制御するようにしてもよい。
【0065】
(変形例3)
上述した実施の形態では、一眼レフカメラに対して本発明を適用する例について説明したが、これに限らなくてよい。たとえば、電子ビューファインダを有するレンズ交換式のカメラや、コンパクトカメラに適用するようにしてもよい。撮像光学系が回折光学素子を含み、且つ撮像光学系が交換可能ではないカメラの場合には、上述した処理において回折光学素子を含むか否かの判定を行わずに、推奨絞り値を算出すればよい。
【0066】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。