【実施例】
【0035】
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
(実施例1)
図1に示すような洗浄工程で、直径が300mmの両面を鏡面研磨で仕上げた酸化膜を形成していないシリコン単結晶ウェーハを洗浄した。
1回目のSC1洗浄の洗浄条件は、SC1洗浄液の濃度を容積混合比で、アンモニア水:過酸化過水疎水:純水=0.1:1:10とした。また、SC1洗浄液の温度は50℃に設定し、循環濾過装置を使用してヒーターによる温調を行った。このようにして、エッチング速度を0.05nm/minとした。そして、洗浄時間は240秒とした。従って、1回目のSC1洗浄における、エッチング量は0.20nmであった。
【0037】
また、2回目のSC1洗浄の洗浄条件は、SC1洗浄液の濃度を容積混合比で、アンモニア水:過酸化過水疎水:純水=1:1:10とした。また、SC1洗浄液の温度は60℃に設定し、循環濾過装置を使用してヒーターによる温調を行った。このようにして、エッチング速度を0.30nm/minとした。そして、洗浄時間は240秒とした。従って、2回目のSC1洗浄における、エッチング量は1.2nmであった。
【0038】
このような洗浄条件とすることで、1回目のSC1洗浄に対する、2回目のSC1洗浄によるシリコン単結晶ウェーハ表面のエッチング速度(エッチング速度比)を6倍に設定した。
【0039】
また、塩酸、過酸化水素水及び純水の混合液から成るSC2洗浄液の濃度は、容積混合比で、塩酸:過酸化過水疎水:純水=1:1:100とし、温度は80℃とした。また、SC1洗浄と同様に循環濾過装置を使用して、ヒーターによる温調を行った。SC2洗浄の洗浄時間は240秒とした。
【0040】
シリコン単結晶ウェーハの乾燥後、シリコン単結晶ウェーハの表面検査を行った。表面検査は、KLA−Tencor社製のウェーハ表面欠陥検査装置SP2で行い、ウェーハの表面粗さを示す指標となるHazeの値を測定した。
【0041】
また、この時、
図1に示すような洗浄工程において、最初に行う純水リンスの代わりにオゾン水による洗浄を行い、両面鏡面研磨後に、表面に自然酸化膜を形成させたシリコン単結晶ウェーハの洗浄も行った。オゾン水による洗浄以降の工程は、上述した洗浄工程及び洗浄条件と同様とした。そして、上記と同様にHazeの値を測定した。
【0042】
(実施例2)
実施例1と同様の洗浄工程で、酸化膜の無いシリコン単結晶ウェーハを洗浄した。
ただし、1回目のSC1洗浄の洗浄条件は、SC1洗浄液の濃度を容積混合比で、アンモニア水:過酸化過水疎水:純水=1:1:10とした。また、SC1洗浄液の温度は40℃に設定し、循環濾過装置を使用してヒーターによる温調を行った。このようにして、エッチング速度を0.06nm/minとした。そして、洗浄時間は240秒とした。従って、1回目のSC1洗浄における、エッチング量は0.24nmであった。
【0043】
また、2回目のSC1洗浄の洗浄条件は、SC1洗浄液の濃度を容積混合比で、アンモニア水:過酸化過水疎水:純水=1:1:10とした。また、SC1洗浄液の温度は60℃に設定し、循環濾過装置を使用してヒーターによる温調を行った。このようにして、エッチング速度を0.30nm/minとした。そして、洗浄時間は240秒とした。従って、2回目のSC1洗浄における、エッチング量は1.20nmであった。
【0044】
このような洗浄条件とすることで、1回目のSC1洗浄に対する、2回目のSC1洗浄によるシリコン単結晶ウェーハ表面のエッチング速度(エッチング速度比)を5倍に設定した。
これ以外の、洗浄工程、洗浄条件は、実施例1と同様とし、実施例1と同様な方法で、Hazeの値を測定した。
【0045】
また、この時、
図1に示すような洗浄工程において、最初に行う純水リンスの代わりにオゾン水による洗浄を行い、研磨後の表面に自然酸化膜を形成させたシリコン単結晶ウェーハの洗浄も行った。オゾン水による洗浄以降の工程は、上述した洗浄工程及び洗浄条件と同様とした。そして、上記と同様にHazeの値を測定した。
【0046】
(実施例3)
実施例1と同様の洗浄工程で、酸化膜の無いシリコン単結晶ウェーハを洗浄した。
ただし、1回目のSC1洗浄の洗浄条件は、SC1洗浄液の濃度を容積混合比で、アンモニア水:過酸化過水疎水:純水=0.1:2:10とした。また、SC1洗浄液の温度は50℃に設定し、循環濾過装置を使用してヒーターによる温調を行った。このようにして、エッチング速度を0.03nm/minとした。そして、洗浄時間は240秒とした。従って、1回目のSC1洗浄における、エッチング量は0.12nmであった。
【0047】
また、2回目のSC1洗浄の洗浄条件は、SC1洗浄液の濃度を容積混合比で、アンモニア水:過酸化過水疎水:純水=1:1:10とした。また、SC1洗浄液の温度は60℃に設定し、循環濾過装置を使用してヒーターによる温調を行った。このようにして、エッチング速度を0.30nm/minとした。そして、洗浄時間は240秒とした。従って、1回目のSC1洗浄における、エッチング量は1.20nmであった。
【0048】
このような洗浄条件とすることで、1回目のSC1洗浄に対する、2回目のSC1洗浄によるシリコン単結晶ウェーハ表面のエッチング速度(エッチング速度比)を10倍に設定した。
これ以外の、洗浄工程、洗浄条件は、実施例1と同様とし、実施例1と同様な方法で、Hazeの値を測定した。
【0049】
また、この時、
図1に示すような洗浄工程において、最初に行う純水リンスの代わりにオゾン水による洗浄を行い、研磨後の表面に自然酸化膜を形成させたシリコン単結晶ウェーハの洗浄も行った。オゾン水による洗浄以降の工程は、上述した洗浄工程及び洗浄条件と同様とした。そして、上記と同様にHazeの値を測定した。
【0050】
(比較例1)
実施例1と同様の洗浄工程で、酸化膜の無いシリコン単結晶ウェーハを洗浄した。
ただし、1回目のSC1洗浄の洗浄条件は、SC1洗浄液の濃度を容積混合比で、アンモニア水:過酸化過水疎水:純水=1:1:10とした。また、SC1洗浄液の温度は60℃に設定し、循環濾過装置を使用してヒーターによる温調を行った。このようにして、エッチング速度を0.30nm/minとした。そして、洗浄時間は40秒とした。従って、1回目のSC1洗浄における、エッチング量は0.20nmであった。
【0051】
また、2回目のSC1洗浄の洗浄条件は、1回目のSC1洗浄の洗浄条件と同様に、濃度を容積混合比で、アンモニア水:過酸化過水疎水:純水で1:1:10とし、温度は60℃に設定し、循環濾過装置を使用してヒーターによる温調を行った。このようにして、エッチング速度を1回目のSC1洗浄と同様に0.30nm/minとなった。そして、洗浄時間は240秒とした。従って、2回目のSC1洗浄における、エッチング量は1.20nmであった。このようにして、1回目と2回目のSC1洗浄による合計のエッチング量を実施例1と同様のエッチング量である1.40nmとした。
【0052】
そして、このような洗浄条件とすることで、1回目のSC1洗浄に対する、2回目のSC1洗浄によるシリコンウェーハ表面のエッチング速度(エッチング速度比)を1倍に設定した。
これ以外の、洗浄工程、洗浄条件は、実施例1と同様とし、実施例1と同様な方法で、Hazeの値を測定した。
【0053】
また、この時、
図1に示すような洗浄工程において、最初に行う純水リンスの代わりにオゾン水による洗浄を行い、研磨後の表面に自然酸化膜を形成させたシリコン単結晶ウェーハの洗浄も行った。オゾン水による洗浄以降の工程は、上述した洗浄工程及び洗浄条件と同様とした。そして、上記と同様にHazeの値を測定した。
【0054】
(比較例2)
実施例1と同様の洗浄工程で、酸化膜の無いシリコン単結晶ウェーハを洗浄した。
ただし、1回目のSC1洗浄の洗浄条件は、SC1洗浄液の濃度を容積混合比で、アンモニア水:過酸化過水疎水:純水=1:1:10とした。また、SC1洗浄液の温度は55℃に設定し、循環濾過装置を使用してヒーターによる温調を行った。この時の、エッチング速度は、0.20nm/minとなった。そして、洗浄時間は72秒とした。従って、1回目のSC1洗浄における、エッチング量は0.24nmであった。
【0055】
また、2回目のSC1洗浄の洗浄条件は、SC1洗浄液の濃度を容積混合比で、アンモニア水:過酸化過水疎水:純水=1:1:10とした。また、SC1洗浄液の温度は70℃に設定し、循環濾過装置を使用してヒーターによる温調を行った。この時の、エッチング速度は、0.60nm/minとなった。そして、洗浄時間は120秒とした。従って、2回目のSC1洗浄における、エッチング量は1.20nmであった。
【0056】
このような洗浄条件とすることで、1回目のSC1洗浄に対する、2回目のSC1洗浄によるシリコン単結晶ウェーハ表面のエッチング速度(エッチング速度比)を3倍に設定した。
これ以外の、洗浄工程、洗浄条件は、実施例1と同様とし、実施例1と同様な方法で、Hazeの値を測定した。
【0057】
また、この時、
図1に示すような洗浄工程において、最初に行う純水リンスの代わりにオゾン水による洗浄を行い、研磨後の表面に自然酸化膜を形成させたシリコン単結晶ウェーハの洗浄も行った。オゾン水による洗浄以降の工程は、上述した洗浄工程及び洗浄条件と同様とした。そして、上記と同様にHazeの値を測定した。
【0058】
(比較例3)
実施例1と同様の洗浄工程で、酸化膜の無いシリコン単結晶ウェーハを洗浄した。
ただし、1回目のSC1洗浄の洗浄条件は、SC1洗浄液の濃度を容積混合比で、アンモニア水:過酸化過水疎水:純水=1:1:10とした。また、SC1洗浄液の温度は50℃に設定し、循環濾過装置を使用してヒーターによる温調を行った。この時の、エッチング速度は、0.15nm/minとなった。そして、洗浄時間は168秒とした。従って、1回目のSC1洗浄における、エッチング量は0.42nmであった。
【0059】
また、2回目のSC1洗浄の洗浄条件は、SC1洗浄液の濃度を容積混合比で、アンモニア水:過酸化過水疎水:純水=1:1:10とした。また、SC1洗浄液の温度は70℃に設定し、循環濾過装置を使用してヒーターによる温調を行った。この時の、エッチング速度は、0.60nm/minとなった。そして、洗浄時間は90秒とした。従って、2回目のSC1洗浄における、エッチング量は0.90nmであった。
【0060】
このような洗浄条件とすることで、1回目のSC1洗浄に対する、2回目のSC1洗浄によるシリコンウェーハ表面のエッチング速度(エッチング速度比)を4倍に設定した。
これ以外の、洗浄工程、洗浄条件は、実施例1と同様とし、実施例1と同様な方法で、Hazeの値を測定した。
【0061】
また、この時、
図1に示すような洗浄工程において、最初に行う純水リンスの代わりにオゾン水による洗浄を行い、研磨後の表面に自然酸化膜を形成させたシリコン単結晶ウェーハの洗浄も行った。オゾン水による洗浄以降の工程は、上述した洗浄工程及び洗浄条件と同様とした。そして、上記と同様にHazeの値を測定した。
【0062】
表1に、実施例1−3、比較例1−3における洗浄条件をまとめたもの示す。
【0063】
【表1】
【0064】
表2に、実施例1−3、比較例1−3における実施結果をまとめたものを示す。
【0065】
【表2】
【0066】
表2、
図3に示すように、実施例1−3では、酸化膜を形成していないシリコン単結晶ウェーハを洗浄した場合のHazeの値はDWOモードでそれぞれ80ppb、82ppb、81ppb、酸化膜を形成したシリコン単結晶ウェーハを洗浄した場合のHazeの値は79ppb、80ppb、80ppbとなり、Hazeの値は同程度であった。
以上の結果から、本発明の洗浄方法であれば、洗浄後の表面粗さを抑制でき、特に酸化膜を形成していないシリコン単結晶ウェーハを洗浄した場合においても、酸化膜を形成したシリコン単結晶ウェーハを洗浄した場合と同等のHaze値となり、酸化膜の形成をしなくても洗浄後の表面粗さの悪化を抑えられていることが確認された。
【0067】
これに対して、比較例1−3では、酸化膜を形成していないシリコン単結晶ウェーハを洗浄した場合のHazeの値はそれぞれ91ppb、92ppb、90ppb、酸化膜を形成したシリコン単結晶ウェーハを洗浄した場合のHazeの値は82ppb、82ppb、80ppbとなり、酸化膜を形成していないシリコン単結晶ウェーハを洗浄した場合に表面粗さは大きくなっていた。
【0068】
以上の結果から、本発明により、保護膜として酸化膜を形成していないシリコン単結晶ウェーハを洗浄した場合であっても、酸化膜を形成したシリコン単結晶ウェーハを洗浄した場合と同等のHaze値となり、洗浄後の表面粗さを良好にすることができることが確認された。
【0069】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。