特許第6206380号(P6206380)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6206380
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】シリコン単結晶ウェーハの評価方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
   H01L21/66 L
   H01L21/66 V
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-240090(P2014-240090)
(22)【出願日】2014年11月27日
(65)【公開番号】特開2016-103528(P2016-103528A)
(43)【公開日】2016年6月2日
【審査請求日】2016年11月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 久之
【審査官】 堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/081567(WO,A1)
【文献】 特開2006−203089(JP,A)
【文献】 特開2010−056264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン単結晶ウェーハ上にゲート酸化膜と複数の電極を順次形成してMOSキャパシタを作製した後、前記電極から前記ゲート酸化膜に電界を印加して該ゲート酸化膜の耐圧特性を測定することにより前記MOSキャパシタの良/不良を判定し、該良/不良と判定されたMOSキャパシタの数を基にシリコン単結晶ウェーハを評価する方法であって、
前記シリコン単結晶ウェーハの欠陥密度をパーティクルカウンターで測定する工程と、
該パーティクルカウンターの測定結果に基づいて、前記ゲート酸化膜の耐圧特性の測定における前記電極の面積と測定する前記電極の数を含む測定条件を決定する工程と、
該決定した測定条件で前記シリコン単結晶ウェーハのゲート酸化膜の耐圧特性を測定する工程と、
該ゲート酸化膜の耐圧特性測定結果に基づいて結晶欠陥起因の耐圧特性を評価する工程と、
を有することを特徴とするシリコン単結晶ウェーハの評価方法。
【請求項2】
前記シリコン単結晶ウェーハは直径が150〜300[mm]のものを評価対象とし、前記測定条件を決定する工程において、前記パーティクルカウンターで測定した際の欠陥密度が100[個/ウェーハ]以下の場合は前記電極の面積を40[mm]以上でかつ前記測定する電極が占める総面積のシリコン単結晶ウェーハの面積に対する割合である占有比率を80[%]以上とし、前記欠陥密度が100[個/ウェーハ]を超え2000[個/ウェーハ]未満の場合は前記電極の面積を4〜40[mm]でかつ前記占有比率を5〜80[%]とし、前記欠陥密度が2000[個/ウェーハ]以上の場合は前記電極の面積を4[mm]でかつ前記占有比率を1〜5[%]とすることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶ウェーハの評価方法。
【請求項3】
前記シリコン単結晶ウェーハは直径が150〜300[mm]のものを評価対象とし、前記測定条件を決定する工程において、前記欠陥密度が100[個/ウェーハ]以下の場合は前記電極の面積を40[mm]以上でかつウェーハ全面を測定し、前記欠陥密度が100[個/ウェーハ]を超え2000[個/ウェーハ]未満の場合は前記電極の面積を4[mm]でかつ前記測定する電極の数を3000、又は前記電極の面積を40[mm]でかつ前記測定する電極の数を300のいずれかとすることを特徴とする請求項2に記載のシリコン単結晶ウェーハの評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウェーハ上にゲート酸化膜と電極を順次形成してMOSキャパシタを作製した後、電極に電圧を印加してゲート酸化膜の耐圧特性を測定することにより、シリコン単結晶ウェーハを評価する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲート酸化膜耐圧はシリコンウェーハの特性上の重要項目のひとつである。
ゲート酸化膜耐圧(GOI:Gate Oxide Integrity)を落とす一つの要因として、結晶引き上げ時の欠陥(ボイド)の存在が知られている。ここで、GOI測定とは、シリコンウェーハを酸化してゲート酸化膜を形成し、このゲート酸化膜に電極を形成してMOSキャパシタを作製した後、電極に電圧を印加してゲート酸化膜を破壊し、ゲート酸化膜耐圧を測定する方法である。
【0003】
近年、ボイドの密度を減らす結晶引き上げ技術が確立し、ボイド等の結晶欠陥の極めて少ないシリコン単結晶が製造されている。また、300mmより大口径のウェーハではエピタキシャルウェーハも標準的に利用されている。このエピタキシャルウェーハも、結晶欠陥が極めて少ないウェーハである。
【0004】
パーティクルカウンター等による欠陥密度の測定では、通常ウェーハ全面を測定するが、GOI測定では装置的な制約のため、一部分しか測定できないのが普通であった。しかし、最近では、低欠陥密度のウェーハのGOIを精度よく評価するため、パーティクルカウンターによる測定と同様にGOIのウェーハ全面測定を行っている。
【0005】
この測定はほぼウェーハの全面に及ぶため、GOI不良の原因となる欠陥の見逃しがない。さらに、面積の小さいパターンで測定するため、GOI不良の原因となる欠陥の正確な分布がわかる。もちろん、GOI不良数からGOI不良の原因となる欠陥の欠陥密度への換算もできるため、優れた方法であるが、測定に膨大な時間がかかるという問題がある。
【0006】
最新のGOI測定装置は一度に300点の測定ができるが、それでも面積が4[mm]の電極で300[mm]ウェーハの全面を測定すると、14700点(300点×49回)測定することになり、ウェーハ1枚当たり約20時間の測定時間がかかる。以下の表1に、300[mm]ウェーハのGOIの測定条件、具体的には、1点当りの面積(電極の面積)、測定点数、全体の面積に占めるGOI測定面積の割合(占有比率)の例をまとめた。
【表1】
【0007】
1点当たりの面積を増やすと、少ない点数で広い面積を測れる。例えば、4[mm]で300点測定した場合の占有比率が1.7[%]であるのに対し、40[mm]で300点測定した場合の占有比率は17[%]となる。また、4[mm]で14700点測定する場合と50[mm]で1200点測定する場合の占有比率はほぼ同じである。しかし、電極の面積を広くした場合、広い面積全体に同じ電界をかけることが望ましいため、特許文献1では、1つの電極に複数の針を割り当てることで、電極すみずみまで同じ電界をかけている。また、欠陥密度が高い場合は、電極面積を広くすると1つの電極に複数のGOI不良の原因となる欠陥が入る場合もあり、測定精度が低くなる。
1点当たりの面積を小さいままにして測定点数を増やす場合は、上記の問題(電極内部の一様でない電界のかかり方、1つの電極に複数のGOI不良の原因となる欠陥が入ること)が無いため、測定点数を増やして占有比率を上げるのが測定精度の点では望ましいが、測定時間がかかるのが難点である。
【0008】
また占有比率については、以下のことを考慮する必要がある。
例えば、GOI不良の原因となる結晶欠陥が1000[個/ウェーハ]あり、GOI測定面積の割合(占有比率)が1[%]であれば、統計的に10個のパターン(MOSキャパシタ)が不良となる。GOI不良の原因となる結晶欠陥が10[個/ウェーハ]しかなければ、占有比率が1[%]では10枚に一度しか検出できないことになる。つまりGOI不良の原因となる結晶欠陥の密度が低い場合は測定面積を増やさなければ、GOI不良の原因となる結晶欠陥を検出することができない。特許文献2では、1点あたりの面積を増やすことで、測定時間はそのままで、GOI不良の原因となる結晶欠陥を検出する方法を提供した。このときは全面積のうち5[%]以上を測定すれば(即ち占有比率を5[%]以上とすれば)、シリコンウェーハを良好に評価できるとした。当時の低欠陥密度ウェーハの測定にはこれで充分であった。しかし、さらに欠陥密度が少ない場合は、GOI不良の原因となる欠陥の見逃しのリスクを避けるため、ウェーハ全面測定が必要になっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−056264号公報
【特許文献2】WO2008/081567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、GOI測定を行う場合に、1枚ごとに欠陥密度の異なるシリコン単結晶ウェーハに対して、測定に用いるMOSキャパシタの電極の面積及び電極の数を含む測定条件を最適化することにより、測定時間を短縮するとともに正確な測定をすることができるシリコン単結晶ウェーハの評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、シリコン単結晶ウェーハ上にゲート酸化膜と複数の電極を順次形成してMOSキャパシタを作製した後、前記電極から前記ゲート酸化膜に電界を印加して該ゲート酸化膜の耐圧特性を測定することにより前記MOSキャパシタの良/不良を判定し、該良/不良と判定されたMOSキャパシタの数を基にシリコン単結晶ウェーハを評価する方法であって、
前記シリコン単結晶ウェーハの欠陥密度をパーティクルカウンターで測定する工程と、
該パーティクルカウンターの測定結果に基づいて、前記ゲート酸化膜の耐圧特性の測定における前記電極の面積と測定する前記電極の数を含む測定条件を決定する工程と、
該決定した測定条件で前記シリコン単結晶ウェーハのゲート酸化膜の耐圧特性を測定する工程と、
該ゲート酸化膜の耐圧特性測定結果に基づいて結晶欠陥起因の耐圧特性を評価する工程と、
を有することを特徴とするシリコン単結晶ウェーハの評価方法を提供する。
【0012】
このように、シリコン単結晶ウェーハの欠陥密度をパーティクルカウンターで測定し、ゲート酸化膜の耐圧(GOI)不良の原因となる欠陥の密度の目安を得た後、それに基づいて電極の面積と測定する電極の数を含む測定条件を決定して耐圧特性を測定することで、どのような欠陥密度のシリコン単結晶ウェーハに対しても測定条件を最適化することができ、測定時間を大幅に短縮しつつ測定精度を確保することができる。
【0013】
このとき、前記シリコン単結晶ウェーハは直径が150〜300[mm]のものを評価対象とし、前記測定条件を決定する工程において、前記パーティクルカウンターで測定した際の欠陥密度が100[個/ウェーハ]以下の場合は前記電極の面積を40[mm]以上でかつ前記測定する電極が占める総面積のシリコン単結晶ウェーハの面積に対する割合である占有比率を80[%]以上とし、前記欠陥密度が100[個/ウェーハ]を超え2000[個/ウェーハ]未満の場合は前記電極の面積を4〜40[mm]でかつ前記占有比率を5〜80[%]とし、前記欠陥密度が2000[個/ウェーハ]以上の場合は前記電極の面積を4[mm]でかつ前記占有比率を1〜5[%]とすることが好ましい。
このように欠陥密度が低い(100[個/ウェーハ])場合は電極の面積を40[mm]と大きくし測定点数を抑えたまま占有比率を上げ、欠陥密度が高い(2000[個/ウェーハ])場合は電極の面積を4[mm]と小さくしながらも占有比率を1〜5[%]とすることによって測定点数を抑え、欠陥密度がその中間の場合は測定条件をその間で適切に設定することにより、どのような欠陥密度のシリコン単結晶ウェーハに対しても測定時間を短縮しつつ測定精度を確保することができる。
【0014】
このとき、前記シリコン単結晶ウェーハは直径が150〜300[mm]のものを評価対象とし、前記測定条件を決定する工程において、前記欠陥密度が100[個/ウェーハ]以下の場合は前記電極の面積を40[mm]以上でかつウェーハ全面を測定し、前記欠陥密度が100[個/ウェーハ]を超え2000[個/ウェーハ]未満の場合は前記電極の面積を4[mm]でかつ前記測定する電極の数を3000、又は前記電極の面積を40[mm]でかつ前記測定する電極の数を300のいずれかとすることが好ましい。
このように、欠陥密度が100[個/ウェーハ]以下の場合には、電極の面積を40[mm]以上とすることにより、測定点数を抑えながらGOI不良の原因となる欠陥を確実に検出することができる。また、欠陥密度が100[個/ウェーハ]を超え2000[個/ウェーハ]未満の場合も、測定点数を3000以下とすることにより、測定時間を短縮しつつ測定精度を確保することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、パーティクルカウンターで測定した欠陥密度に基づき、電極の面積と測定する電極の数を含む測定条件を決定することで、シリコン単結晶ウェーハに対して測定条件を最適化することができ、測定点数を減らすことによって測定時間を大幅に短縮しつつ、測定精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ウェーハ面内のGOI不良数と測定条件毎のGOI良品数の関係を示す図である。
図2】ウェーハ面内のGOI不良数と測定条件毎のGOI不良品数の関係を示す図である。
図3】電極の面積4[mm]、電極の数14700点でGOI測定を行った結果を示す図である。
図4】電極の面積49[mm]、電極の数1200点でGOI測定を行った結果を示す図である。
図5】電極の面積40[mm]、電極の数300点でGOI測定を行った結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明をより詳細に説明する。
上記のように、シリコン単結晶ウェーハのゲート酸化膜耐圧(GOI)測定において、測定精度を維持しつつ測定時間を短縮する方法が求められている。
【0018】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、シリコン単結晶ウェーハ上にゲート酸化膜と複数の電極を順次形成してMOSキャパシタを作製した後、前記電極から前記ゲート酸化膜に電界を印加して該ゲート酸化膜の耐圧特性を測定することにより前記MOSキャパシタの良/不良を判定し、該良/不良と判定されたMOSキャパシタの数を基にシリコン単結晶ウェーハを評価する方法であって、
前記シリコン単結晶ウェーハの欠陥密度をパーティクルカウンターで測定する工程と、
該パーティクルカウンターの測定結果に基づいて、前記ゲート酸化膜の耐圧特性の測定における前記電極の面積と測定する前記電極の数を含む測定条件を決定する工程と、
該決定した測定条件で前記シリコン単結晶ウェーハのゲート酸化膜の耐圧特性を測定する工程と、
該ゲート酸化膜の耐圧特性測定結果に基づいて結晶欠陥起因の耐圧特性を評価する工程と、
を有することを特徴とするシリコン単結晶ウェーハの評価方法が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0019】
以下、本発明について、実施態様の一例として、図を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0020】
近年のN領域シリコンウェーハ、エピタキシャルウェーハ等ではGOI不良の原因となる結晶欠陥が少ないので、前述の電極の面積を増やす方法はGOI不良の原因となる結晶欠陥の分布を取得するのに有用である。例えば、ウェーハ中心に欠陥がある、又はウェーハ外周に欠陥があるということは容易に特定できる。
【0021】
GOIの良品率(=1−不良品率)から、GOI不良の原因となる欠陥の密度は以下の式で求められることが知られている。
良品率Y=exp(−D*A) (1)
ここで、YはGOIの良品率、DはGOI不良の原因となる欠陥の密度[個/cm]、Aは測定した電極の面積[cm]である。
【0022】
この式では良品率と測定した電極の面積からGOI不良の原因となる欠陥の密度が求められ、何パーセントの面積を測定したのかは、問題にならない。測定した総面積に関係なく、不良率100[%]なら欠陥の密度∞[個/cm]、不良率0[%]なら欠陥の密度0[個/cm]となる。
【0023】
以下では、ウェーハの口径毎に様々な測定条件の妥当性を検討する。
[300[mm]ウェーハの場合]
表1に5種類の測定条件を示したが、測定精度の点で理想である、電極の面積4[mm]、測定する電極の数(測定点数)14700点の測定条件を総ての場合に適用する必要はない。例として、ウェーハ面内のGOI不良数が1000[個/ウェーハ]で、ウェーハ面内分布に偏りがない場合を考えてみる。
【0024】
電極の面積が4[mm]、測定点数が14700点の場合、809点が不良、良品率は94.5[%]となる。
これに対し、電極の面積が4[mm]、測定点数が300点でも16点が不良、良品率は94.7[%]となるため、良品率の結果に違いはほとんどない。
【0025】
他の例として、ウェーハ面内のGOI不良数が50[個/ウェーハ]の場合では、電極の面積が4[mm]、測定点数が14700点では、42点が不良、良品率は99.7[%]となる。電極の面積が4[mm]、測定点数が300点でも0.8点が不良、良品率は99.7[%]となり、不良は1点以下になるが、良品率の結果に違いはない。
【0026】
表1に示した300[mm]ウェーハの5つの測定条件における、ウェーハ面内のGOI不良数[個/ウェーハ]と電極の面積の関係を表2にまとめた。表2の右端のGOI不良密度とは、ウェーハ面内のGOI不良数をウェーハ面積で割った値である。
【表2】
【0027】
表2において、測定点数のほぼ総てが不良品であったり、不良品の数が1個程度以下であったりして、(1)式からGOI不良の原因となる欠陥の密度の計算が困難となる場合の不良品数を太字かつ下線を付けて示した。あらかじめGOI不良の原因となる欠陥の密度が予想できれば、常に電極の面積4[mm]、測定点数14700点の測定条件で測定をする必要はなく、もっと短時間に測定できる方法がある。
【0028】
表2から、ウェーハ面内のGOI不良数が10000[個/ウェーハ]以上では電極の面積が40[mm]より大きくなるとほぼ全数不良となり、GOI不良の原因となる欠陥の密度の正確な評価ができない。一方、ウェーハ面内のGOI不良数が100[個/ウェーハ]以下になると電極の面積が4[mm]の場合は、14700点(占有比率83[%])測定しないと正確な測定ができないが、この場合、電極の面積が50[mm]で1200点(占有比率85[%])測定でもほぼ同等の不良数が得られることが分かる。
【0029】
次に、ウェーハ面内のGOI不良数とGOI良品数(又はGOI不良品数)の関係を、電極の面積と測定する電極の数の測定条件をパラメータとして計算により求めた結果を図1及び図2に示す。
【0030】
図1は横軸にウェーハ面内のGOI不良数[個/ウェーハ]を、縦軸に各測定条件において(1)式から計算されたGOI良品数を取り、グラフ化したものである。図1において、電極の面積が40[mm]で測定点数が100/300点、及び電極の面積が49[mm]で測定点数が300/1200点の場合は、ウェーハ面内のGOI不良数が10000を超えると、GOI良品数が1個以下となり、ほぼ全面不良でGOI不良の原因となる欠陥の密度が∞となる。しかしながら、実際にはGOI不良の原因となる欠陥の密度が∞ということはなく、適切な測定条件で測定できれば、正確な結果を導き出すことができる。
【0031】
図2は横軸にウェーハ面内のGOI不良数[個/ウェーハ]を、縦軸に各測定条件において(1)式から計算されたGOI不良品数を取り、グラフ化したものである。図2において、電極の面積が4[mm]で測定点数が100/300/3000点、電極の面積が40[mm]で測定点数が100/300点、及び電極の面積が49[mm]で測定点数が300点の場合は、ウェーハ面内のGOI不良数が5[個/ウェーハ]以下では不良品数が1個未満となり、GOI不良の原因となる欠陥の密度が0となる。電極の面積4[mm]で測定点数が100点の場合は、ウェーハ面内のGOI不良数が100[個/ウェーハ]でも、GOI不良品数が1個未満となり、全面良品と判定される。このことは、欠陥密度が低い場合には、1点当りの面積を大きくするか(即ち、電極の面積を大きくするか)、電極の数を多くするかして、広い面積を測定しないと、GOI不良の原因となる欠陥の正確な密度を算出できないということを示唆している。
【0032】
[200[mm]ウェーハの場合]
200[mm]ウェーハについての、ウェーハ面内のGOI不良数[個/ウェーハ]と電極の面積の関係を表3にまとめた。測定条件は、8通り設定してある。
【表3】
【0033】
表3から、ウェーハ面内のGOI不良数が5000[個/ウェーハ]以上では電極の面積が40[mm]より大きくなると、ほぼ全数不良となりGOI不良の原因となる欠陥の密度の正確な評価ができない。一方、ウェーハ面内のGOI不良数が50[個/ウェーハ]以下になると、電極の面積が4[mm]の場合は、7000点測定しないと正確な測定ができないが、この場合、電極の面積が49[mm]で600点の測定でも、同等の不良数が得られることが分かる。このとき、占有比率は、電極の面積が4[mm]、7000点測定の場合は、89.2[%]であり、電極の面積が49[mm]、600点測定の場合は、93.6[%]であって、大きな相違はない。
【0034】
[150[mm]ウェーハの場合]
150[mm]ウェーハについての、ウェーハ面内のGOI不良数[個/ウェーハ]と電極の面積の関係を表4にまとめた。測定条件は、8通り設定してある。
【表4】
【0035】
表4から、ウェーハ面内のGOI不良数が5000[個/ウェーハ]以上では電極の面積が40[mm]より大きくなると、全数不良となりGOI不良の原因となる欠陥の密度の正確な評価ができない。一方、ウェーハ面内のGOI不良数が10[個/ウェーハ]以下になると電極の面積が4[mm]の場合は4000点測定することが望ましいが、この場合、電極の面積が49[mm]で300点測定でも同等の不良数が得られることが分かる。このとき、占有比率は、電極の面積が4[mm]、4000点測定の場合は、90.6[%]であり、電極の面積が49[mm]、300点測定の場合は、83.2[%]であって、大きな相違はない。
【0036】
次に、シリコン単結晶ウェーハの欠陥密度をパーティクルカウンターで測定する工程と、該パーティクルカウンターの測定結果に基づいて、ゲート酸化膜の耐圧特性の測定における電極の面積と測定する電極の数を含む測定条件を決定する工程について説明する。
【0037】
まずあらかじめ、パーティクルカウンターで欠陥密度を測定し、GOI不良の原因となる欠陥の密度を予想する。そして、予想されたGOI不良の原因となる欠陥の密度をもとに、GOI測定条件を決定する。
パーティクルカウンターで検出するLPD(Light Point Defect)はGOIを落とす欠陥ではないものも含まれる。パーティクルカウンターは、ウェーハ上のごみ、ピット、出っ張り、PID(Polished Induced Defect)、ヘイズ等いろいろな欠陥を検出する。しかしながら、パーティクルカウンターで見つかるすべての欠陥がGOIに影響するわけではなく、デバイスの歩留まりを悪化させるわけでもない。パーティクルカウンターで検出される欠陥は一つの目安であり、GOIに影響する欠陥はGOIでしか判定できない。
【0038】
そこで、これまでの300〜150[mm]ウェーハに対しての検討に基づき、一つの目安として、パーティクルカウンターで検出した欠陥密度(欠陥数)により、GOI測定の条件を以下の3つの区分に分けて、測定することにする。
(a)低欠陥密度(100[個/ウェーハ]以下):
電極の面積40[mm]以上でウェーハ全面測定を行う。
(b)中欠陥密度(100〜2000[個/ウェーハ]):
電極の面積4[mm]で3000点、又は電極の面積40[mm]で
300点の測定を行う。
(c)高欠陥密度(2000[個/ウェーハ]以上):
電極の面積4[mm]で300点の測定を行う。
これらは、目安であり必ずしもこれらに従わなくてもよい。
【0039】
前記3区分に示した測定条件で測定を行うことにより、300[mm]ウェーハに対して、それ以前に標準としていた電極の面積4[mm]、14700点での測定に比べ、
高欠陥密度の場合: 300点測定で測定時間は約1/50、
中欠陥密度の場合: 3000点測定で測定時間は約1/5、又は300点測定で測定
時間は約1/50、
低欠陥密度の場合: 1200点測定(300[mm]ウェーハに対して、電極の面積49[mm2]でほぼ全数測定に相当)で測定時間は約1/10、
になる。いずれの区分においても、所定の測定精度を維持したうえで測定時間を大幅に短縮することができる。
直径200〜150[mm]ウェーハに対しても、同様に測定時間の短縮効果が得られる。
【0040】
以下では、パーティクルカウンターでウェーハの欠陥密度を測定し、LPD欠陥数が低密度、中密度、高密度であった場合に、用いることができる測定条件について、具体的検討を行った。
【0041】
まず、パーティクルカウンターでLPD欠陥数(欠陥密度)が45[個/ウェーハ](低密度)、200[個/ウェーハ](中密度)、1000[個/ウェーハ](中密度)、及び8000[個/ウェーハ](高密度)の4種類の300[mm]ウェーハについて、電極の面積4[mm]、測定点数14700点のGOI測定により、GOI不良の原因となる欠陥の密度を求め、パーティクルカウンターの欠陥密度と良い相関関係があることを確認した。そして、電極の面積4[mm]、測定点数14700点のGOI測定結果とほぼ同等なGOI不良の原因となる欠陥の密度が得られる測定条件を求めた。
【0042】
表5は300[mm]ウェーハにおける各測定条件での不良品数を、LPD欠陥数[個/ウェーハ]と測定条件(電極の面積、測定点数)に対して示したものである。表中の上段は不良品数、下段はLPD欠陥密度又はGOI不良密度を示している。GOI不良密度には下線を付してある。なお、表5はパーティクルカウンターで検出する欠陥(LPD欠陥)がすべてGOI不良の原因となる欠陥であるとした検討結果である。実際にはGOI不良を起こさないLPD欠陥もある。
【表5】
【0043】
次に、200[mm]ウェーハに対して同様の検討を行った結果を表6に示す。
表6は200[mm]ウェーハにおける不良品数を、LPD欠陥数[個/ウェーハ]と測定条件(電極の面積、測定点数)に対して示したものである。表中の上段は不良品数、下段はLPD欠陥密度又はGOI不良密度を示している。GOI不良密度には下線を付してある。なお、表6はパーティクルカウンターで検出する欠陥(LPD欠陥)がすべてGOI不良の原因となる欠陥であるとした検討結果である。
【表6】
【0044】
300[mm]ウェーハでLPD欠陥密度(LPD欠陥数)が200[個/ウェーハ]以下の場合、電極の面積が4[mm]、測定点数14700点の結果と比較すると、測定面積が80[%]以上であれば同等の結果が得られる。測定面積が5[%]程度以下では数点しか不良が発生しないため、1〜2点のゆらぎの測定結果に与える影響が大きい。今回設定した測定条件の中では電極の面積49[mm]、1200点測定であれば、電極の面積4[mm]、14700点の測定に対し、測定精度を維持しつつ約1/10の時間で測定できることになる。200[mm]ウェーハでLPD欠陥密度が200[個/ウェーハ]以下の場合も、同様のことが言え、電極の面積4[mm]、6600点の測定に対し、電極の面積49[mm]、520点測定であれば、測定精度を維持しつつ約1/10の時間で測定できることになる。
【0045】
直径が300[mm]及び200[mm]ウェーハともに、LPD欠陥密度(LPD欠陥数)が200〜1000[個/ウェーハ]の中欠陥密度の場合は、最も測定しやすく、今回設定したどの条件でも正確な測定が可能である。
【0046】
200[mm]ウェーハでLPD欠陥密度(LPD欠陥数)が8000[個/ウェーハ]の高欠陥密度の場合は、パターン面積が大きいと、不良になる確率が増え、全面不良と判定される場合が生じる。今回設定した電極の面積40及び49[mm]という大面積の測定では正確に測定することができなくなる。電極の面積4[mm]、300点、及び電極の面積4[mm]、3000点測定なら、電極の面積4[mm]、6600点測に対し、測定時間はそれぞれ約1/20、1/2に短縮できる。また、300[mm]ウェーハで電極の面積4[mm]、14700点測定の場合と比較すると、測定時間はそれぞれ約1/50(電極の面積4[mm]、300点の場合)、1/5(電極の面積4[mm]、3000点の場合)に短縮できる。
【0047】
なおこれまで、ウェーハ面内の電極の面積が単一の場合について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、1枚のウェーハ面内に大面積の電極と小面積の電極を設けてGOI測定を行ってもよい。また、測定する電極の数は、ウェーハ面内に設けられた電極の数と一致している必要はなく、電極自体はその面積に依らずウェーハ面内全面に配置されることができる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例)
パーティクルカウンターで欠陥を測定したところ、平均80[個/ウェーハ]のLPD欠陥のある直径300[mm]ウェーハのロットがあり、このロットのウェーハのGOI測定を実施した。まず、電極の面積4[mm]、14700点の測定を実施した。この測定には、21時間を要した。GOI不良となった欠陥の密度は、0.095[個/cm]であった。この時の測定結果のウェーハマップを図3に示した。
【0049】
同一ロットのウェーハを、電極の面積49[mm]、1200点、及び電極の面積40[mm]、300点の測定条件でGOI測定した。電極の面積49[mm]、1200点測定の結果のウェーハマップを図4に、電極の面積40[mm]、300点測定の結果のウェーハマップを図5に示した。その時のGOI不良となった欠陥の密度は、それぞれ0.099[個/cm]及び0.050[個/cm]となり、測定時間はそれぞれ約1/10及び1/50ですみ極めて短時間で測定できた。電極の面積49[mm]、1200点測定では、電極の面積4[mm]、14700点測定の場合とほぼ同等の結果を得ることができた。
【0050】
このように、本発明のシリコン単結晶ウェーハの評価方法によれば、パーティクルカウンターでの欠陥密度評価から、欠陥密度に応じたGOI評価条件を選択することにより、短時間で高精度のGOI不良の原因となる欠陥密度の評価が可能となる。
【0051】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
図1
図2
図3
図4
図5